Chapter 1
1 ユダの 王 エホヤキムの 治世 の 第 三 年 にバビロンの 王 ネブカデネザル、ヱルサレムにきたりて 之 を 攻圍 みしに
2 主 ユダの 王 ヱホヤキムと 神 の 家 の 器具 幾何 とをかれの 手 にわたしたまひければ 則 ちこれをシナルの 地 に 携 へゆきて 己 の 神 の 家 にいたりその 器具 を 己 の 神 の 庫 に 蔵 めたり
3 茲 に 王 寺人 の 長 アシベナズに 命 じてイスラエルの 子孫 の 中 より 王 の 血統 の 者 と 貴 族 たる 者 幾何 を 召 寄 しむ
4 即 ち 身 に 疵 なく 容貌 美 しくして 一切 の 智慧 の 道 に 頴 く 知識 ありて 思慮 深 く 王 の 宮 に 侍 るに 足 る 能幹 ある 少 き 者 を 召 寄 しめこれにカルデヤ 人 の 文學 と 言語 とを 學 ばせんとす
5 是 をもて 王 は 命 を 下 して 日々 に 王 の 用 ゐる 饌 と 王 の 飮 む 酒 とを 彼 らに 與 へしめ三 年 の 間 かく 彼 らを 養 ひ 育 てしめんとす 是 その 後 に 彼 らをして 王 の 前 に 立 ことを 得 せしめんとてなり
6 是等 の 中 にユダの 人 ダニエル、ハナニヤ、ミシヤエル、アザリヤありしが
7 寺人 の 長 かれらに 名 をあたへてダニエルをベルテシヤザルと 名 けハナニヤをシヤデラクと 名 けミシヤエルをメシヤクと 名 けアザリヤをアベデネゴと 名 く
8 然 るにダニエルは 王 の 用 ゐる 饌 と 王 の 飮 む 酒 とをもて 己 の 身 を 汚 すまじと 心 に 思 ひさだめたれば 己 の 身 を 汚 さざらしめんことを 寺人 の 長 に 求 む
9 以前 よりヱホバ、ダニエルをして 寺人 の 長 の 慈悲 と 寵愛 とを 蒙 らしめたまふ
10 是 において 寺人 の 長 ダニエルに 言 けるは 吾 主 なる 王 すでに 命 をくだして 汝 らの 食物 と 汝 らの 飮物 とを 頒 たしめたまへば 我 かれを 畏 る 恐 くは 彼 なんぢらの 面 の 其 同輩 の 少 者等 と 異 にして 憂 色 あるを 見 ん 然 る 時 は 汝 らのために 我 首 王 の 前 に 危 からん
11 寺人 の 長 はメルザル 官 をしてダニエル、ハナニヤ、ミシヤエル 及 びアザリヤを 監督 らせ 置 たればダニエル 之 に 言 けるは
12 請 ふ 十日 の 間 僕 等 を 驗 したまへ 即 ち 我 らには 菜蔬 を 與 へて 食 せ 水 を 與 へて 飮 せよ
13 而 して 我 らの 面 と 王 の 饌 を 食 ふ 少者 どもの 面 とを 較 べ 見 汝 の 視 るところにしたがひて 僕 等 を 待 ひたまへと
14 是 において 彼 この 事 を 聽 いれ 十日 のあひだ 彼 らを 驗 しけるが
15 十日 の 後 にいたりて 見 るに 王 の 饌 を 食 へる 諸 の 少者 よりも 彼 らの 面 は 美 しくまた 肥 え 膩 つきてありければ
16 メルザル 官 すなはち 彼 らの 分 なる 饌 と 彼 らの 飮 べき 酒 とを 撤 きさりて 菜蔬 をこれに 與 へたり
17 この 四人 の 少者 には 神 知識 を 得 させ 諸 の 文學 と 智慧 に 頴 からしめたまへりダニエはまた 能 く 各諸 の 異象 と 夢兆 を 暁 る
18 王 かねて 命 をくだし 少者 どもを 召 いるる 迄 に 經 べき 日 を 定 めおきしがその 日 數 も 過 たるに 因 て 寺人 の 長 かれらを 引 てネブカデザルの 前 にいたりければ
19 王 かれらと 言談 へり 彼 ら 一切 の 中 にはダニエル、ハナニヤ、ミシヤエル、アザリヤに 比 ぶ 者 あらざりければこの 四人 は 王 の 前 に 侍 れり
20 王 かれらに 諸 の 事 を 詢 たづね 見 に 彼 らは 智慧 の 學 においてその 全國 の 博士 と 法術士 に 愈 ること 十 倍 なり
21 ダニエルはクロス 王 の 元年 までありき
Chapter 2
1 ネブカデネザルの 治世 の二 年 にネブカデネザル 夢 を 見 それがために 心 に 思 ひなやみて 復 睡 ること 能 はざりき
2 是 をもて 王 は 命 を 下 し 王 のためにその 夢 を 解 せんとて 博士 と 法術士 と 魔術 士 とカルデヤ 人 とを 召 しめたれば 彼 ら 來 りて 王 の 前 に 立 つ
3 王 すなはち 彼 らにむかひ 我 夢 を 見 その 夢 の 義 を 知 んと 心 に 思 ひなやむと 言 ければ
4 カルデヤ 人等 スリア 語 をもて 王 に 申 しけるは 願 くは 王 長壽 かれ 請 ふ 僕 等 にその 夢 を 語 りたまへ 我 らその 解明 を 進 めたてまつらんと
5 王 こたへてカルデヤ 人 に 言 けるは 我 すでに 命 を 出 せり 汝等 もしその 夢 とこれが 解明 とを 我 に 示 さざるにおいては 汝 らの 身 は 切 裂 れ 汝 らの 家 は 厠 にせられん
6 又 汝 らもしその 夢 とこれが 解明 を 示 さば 贐物 と 賞賚 と 大 なる 尊榮 とを 我 より 獲 ん 然 ばその 夢 と 之 が 解明 を 我 に 示 せ
7 彼 らまた 對 へて 言 けるは 願 くは 王 僕 どもにその 夢 を 語 りたまへ 然 ば 我 らその 解明 を 奏 すべしと
8 王 こたへて 言 けるは 我 あきらかに 知 る 汝 らは 吾 命 の 下 りしを 見 るが 故 に 時 を 延 さんことを 望 むなり
9 汝 らもしその 夢 を 我 に 示 さずば 汝 らを 處置 するの 法 は 只 一 のみ 汝 らは 相 語 らひて 虚言 と 妄誕 なる 詞 を 我 前 にのべて 時 の 變 るを 待 んとするなり 汝 ら 今 先 その 夢 を 我 に 示 せ 然 すれば 汝 らがその 解明 をも 我 にしめし 得 ることを 我 しらんと
10 カルデヤ 人等 こたへて 王 の 前 に 申 しけるは 世 の 中 には 王 のその 事 を 示 し 得 る 人 一箇 もなし 是 をもて 王 たる 者 主 たる 者 君 たる 者等 の 中 に 斯 る 事 を 博士 または 法術士 またはカルデヤ 人 に 問 たづねし 者 絶 てあらざるなり
11 王 の 問 たまふその 事 は 甚 だ 難 し 肉身 なる 者 と 共 に 居 ざる 神々 を 除 きては 王 の 前 にこれを 示 すことを 得 る 者 無 るべしと
12 斯 りしかば 王 怒 を 發 し 大 に 憤 りバビロンの 智者 をことごとく 殺 せと 命 じたり
13 即 ち 此 命 くだりければ 智者 等 は 殺 されんとせり 又 ダニエルとその 同僚 をも 殺 さんともとめたり
14 茲 に 王 の 侍衛 の 長 アリオク、バビロンの 智者 等 を 殺 さんとて 出 きたりければダニエル 遠慮 と 智慧 とをもて 之 に 應答 せり
15 すなはち 王 の 高官 アリオクに 對 へて 言 けるは 王 なにとて 斯 すみやかにこの 命 を 下 したまひしやとアリオクその 事 をダニエルに 告 しらせたれば
16 ダニエルいりて 王 に 乞 求 めて 言 ふ 暫 くの 時日 を 賜 へ 然 ばその 解明 を 王 に 奏 せんと
17 斯 てダニエルその 家 にかへりその 同僚 ハナニヤ、ミシヤエルおよびアザリヤにこの 事 を 告 しらせ
18 共 にこの 秘密 につき 天 の 神 の 憐憫 を 乞 ひダニエルとその 同僚 等 をしてその 他 のバビロンの 智者 とともに 滅 びさらしめんことを 求 めたりしが
19 ダニエルつひに 夜 の 異象 の 中 にこの 秘密 を 示 されければダニエル 天 の 神 を 稱賛 ふ
20 即 ちダニエル 應 へて 言 けるは 永遠 より 永遠 にいたるまでこの 神 の 御名 は 讃 まつるべきなり 智慧 と 權能 はこれが 有 なればなり
21 彼 は 時 と 期 とを 變 じ 王 を 廢 し 王 を 立 て 智者 に 智慧 を 與 へ 賢者 に 知識 を 賜 ふ
22 彼 は 深妙 秘密 の 事 を 顯 し 幽暗 にあるところの 者 を 知 たまふまた 光明 彼 の 裏 にあり
23 わが 先祖 等 の 神 よ 汝 は 我 に 智慧 と 權能 を 賜 ひ 今 われらが 汝 に 乞 求 めたるところの 事 を 我 にしめし 給 へば 我 感謝 して 汝 を 稱賛 ふ 即 ち 汝 は 王 のかの 事 を 我 らに 示 したまへり
24 是 においてダニエルは 王 がバビロンの 智者 等 を 殺 すことを 命 じおけるアリオクの 許 にいたり 即 ちいりてこれに 言 けるはバビロンの 智者 等 を 殺 す 勿 れ 我 を 王 の 前 に 引 いたれよ 我 その 解明 を 王 に 奏 上 ぐべしと
25 アリオクすなはちダニエルを 引 て 急 ぎ 王 の 前 にいたり 王 にまうしけるは 我 ユダの 俘囚人 の 中 に 一箇 の 人 を 得 たり 是 者 その 解明 を 王 にまうしあげん
26 王 こたへてベルテシヤザルと 名 くるダニエルに 言 けるは 汝 は 我 が 見 たる 夢 とその 解明 とを 我 に 知 らすることを 得 るやと
27 ダニエルすなはち 應 へて 王 の 前 に 言 けるは 王 の 問 たまふ 秘密 は 智者 法術士 博士 卜筮師 など 之 を 王 に 奏 上 ぐることを 得 ず
28 然 ど 天 に 一 の 神 ありて 秘密 をあらはし 給 ふ 彼 後 の 日 に 起 らんところの 事 の 如何 なるかをネブカデネザル 王 にしらせたまふなり 汝 の 夢 汝 が 牀 にありて 想 見 たまひし 汝 の 腦 中 の 異象 は 是 なり
29 王 よ 汝 牀 にいりし 時 將來 の 事 の 如何 を 想 ひまはしたまひしが 秘密 を 顯 す 者 將來 の 事 の 如何 を 汝 にしめし 給 へり
30 我 がこの 示現 を 蒙 れるは 凡 の 生 る 者 にまさりて 我 に 智慧 あるに 由 にあらず 唯 その 解明 を 王 に 知 しむる 事 ありて 王 のつひにその 心 に 想 ひたまひし 事 を 知 にいたり 給 はんがためなり
31 王 よ 汝 は 一箇 の 巨 なる 像 の 汝 の 前 に 立 るを 見 たまへり 其 像 は 大 くしてその 光輝 は 常 ならずその 形 は 畏 ろしくあり
32 其 像 は 頭 は 純金 胸 と 兩 腕 とは 銀 腹 と 腿 とは 銅
33 脛 は 鐵 脚 は 一分 は 鐵 一分 は 泥土 なり
34 汝 見 て 居 たまひしに 遂 に 一箇 の 石 人 手 によらずして 鑿 れて 出 でその 像 の 鐵 と 泥土 との 脚 を 撃 てこれを 碎 けり
35 斯 りしかばその 鐵 と 泥土 と 銅 と 銀 と 金 とは 皆 ともに 碎 けて 夏 の 禾場 の 糠 のごとくに 成 り 風 に 吹 はらはれて 止 るところ 無 りき 而 してその 像 を 撃 たる 石 は 大 なる 山 となりて 全地 に 充 り
36 是 その 夢 なり 我 らその 解明 を 王 の 前 に 陳 ん
37 王 よ 汝 は 諸王 の 王 にいませり 即 ち 天 の 神 汝 に 國 と 權威 と 能力 と 尊貴 とを 賜 へり
38 また 人 の 子等 野 の 獣畜 および 天空 の 鳥 は 何處 にをる 者 にもあれ 皆 これを 汝 の 手 に 與 へて 汝 にこれをことごとく 治 めしめたまふ 汝 はすなはち 此 金 の 頭 なり
39 汝 の 後 に 汝 に 劣 る 一 の 國 おこらんまた 第 三に 銅 の 國 おこりて 全 世界 を 治 めん
40 第 四の 國 は 堅 きこと 鐵 のごとくならん 鐵 は 能 く 萬 の 物 を 毀 ち 碎 くなり 鐵 の 是等 をことごとく 打 碎 くがごとく 其 國 は 毀 ちかつ 碎 くことをせん
41 汝 その 足 と 足 の 趾 を 見 たまひしに 一分 は 陶人 の 泥土 一分 は 鐵 なりければその 國 は 分裂 たる 者 ならん 又 汝 鐵 と 粘土 との 混和 たるを 見 たまひたればその 國 は 鐵 のごとく 強 からん
42 その 足 の 趾 の 一分 は 鐵 一分 は 泥土 なりしごとくその 國 は 強 きところもあり 脆 きところも 有 ん
43 汝 が 鐵 と 粘土 との 混 りたるを 見 たまひしごとく 其 等 は 人 草 の 種子 と 混 らん 然 ど 鐵 と 泥土 との 相 合 せざるごとく 彼 と 此 と 相 合 すること 有 じ
44 この 王等 の 日 に 天 の 神 一 の 國 を 建 たまはん 是 は 何時 までも 滅 ぶること 無 らん 此 國 は 他 の 民 に 歸 せず 却 てこの 諸 の 國 を 打 破 りてこれを 滅 せん 是 は 立 ちて 永遠 にいたらん
45 かの 石 の 人 手 によらずして 山 より 鑿 れて 出 で 鐵 と 銅 と 泥土 と 銀 と 金 とを 打 碎 きしを 汝 が 見 たまひしは 即 ちこの 事 なり 大 御 神 この 後 に 起 らんところの 事 を 王 にしらせたまへるなりその 夢 は 眞 にしてこの 解明 は 確 なり
46 是 においてネブカデネザル 王 は 俯伏 てダニエルを 拝 し 禮物 と 香 をこれに 献 ぐることを 命 じたり
47 而 して 王 こたへてダニエルに 言 けるは 汝 がこの 秘密 を 明 かに 示 すことを 得 たるを 見 れば 誠 に 汝 らの 神 は 神 等 の 神 王等 の 主 にして 能 く 秘密 を 示 す 者 なりと
48 かくて 王 はダこエルに 高 位 を 授 け 種々 の 大 なる 賜物 を 與 へてこれをバビロン 全 州 の 總督 となしまたバビロンの 智者 等 を 統 る 者 の 首長 となせり
49 王 またダニエルの 願 によりてシヤデラクとメシヤクとアベデネゴを 擧 てバビロン 州 の 事務 をつかさどらしめたりダニエルは 王 の 宮 にをる
Chapter 3
1 茲 にネブカデネザル 王 一箇 の 金 の 像 を 造 れりその 高 は六十キユビトその 横 の 廣 は六キユビトなりき 即 ちこれをバビロン 州 のドラの 平野 に 立 たり
2 而 してネブカデネザル 王 は 州 牧 將軍 方伯 刑官 庫官 法 官 士師 および 州 郡 の 諸 有司 を 召集 めそのネブカデネザル 王 の 立 たる 像 の 告成 禮 に 臨 ましめんとせり
3 是 においてその 州 牧 將軍 方伯 刑官 庫官 法 官 士師 および 州 郡 の 諸 有司 等 はネブカデネザル 王 の 立 たる 像 の 告成 禮 に 臨 みそのネブカデネザル 王 の 立 たる 像 の 前 に 立 り
4 時 に 傳令 者 大 聲 に 呼 はりて 言 ふ 諸民 諸 族 諸 音 よ 汝 らは 斯 命 ぜらる
5 汝 ら 喇叭 簫 琵琶 琴 瑟 篳篥 などの 諸 の 樂器 の 音 を 聞 く 時 は 俯伏 しネブカデネザル 王 の 立 たまへる 金 像 を 拝 すべし
6 凡 て 俯伏 て 拝 せざる 者 は 即時 に 火 の 燃 る 爐 の 中 に 投 こまるべしと
7 是 をもて 諸民 等 喇叭 簫 琵琶 琴 瑟 などの 諸 の 樂器 の 音 を 聞 くや 直 に 諸民 諸 族 諸 音 みな 俯伏 しネブカデネザル 王 の 立 たる 金 像 を 拝 したり
8 その 時 或 カルデヤ 人等 進 みきたりてユダヤ 人 を 讒奏 せり
9 即 ち 彼 らネブカデネザル 王 に 奏聞 して 言 ふ 願 くは 王 長壽 かれ
10 王 よ 汝 は 命 を 出 して 宣 へり 凡 て 喇叭 簫 琵琶 琴 瑟 篳篥 などの 諸 の 樂器 の 音 を 聞 く 者 はみな 俯伏 しこの 金 像 を 拝 すべし
11 凡 て 俯伏 し 拝 せざる 者 はみな 火 の 燃 る 爐 の 中 に 投 こまるべしと
12 此 に 汝 が 立 てバビロン 州 の 事務 を 司 どらせ 給 へるユダヤ 人 シヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴあり 王 よ 此 人々 は 汝 を 尊 ばず 汝 の 神々 にも 事 へず 汝 の 立 たまへる 金 像 をも 拝 せざるなりと
13 是 においてネブカデネザル 怒 りかつ 憤 りてシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴを 召 寄 よと 命 じければ 即 ちこの 人々 を 王 の 前 に 引 きたりしに
14 ネブカデネザルかれらに 問 て 言 けるはジヤデラク、メシヤク、アベデネゴよ 汝 ら 我 神 に 事 へずまた 我 が 立 たる 金 像 を 拝 せざるは 是 故意 にするなるか
15 汝 らもし 何 の 時 にもあれ 喇叭 簫 琵琶 琴 瑟 篳篥 などの 諸 の 樂器 の 音 を 聞 く 時 に 俯伏 し 我 が 造 れる 像 を 拝 することを 爲 ば 可 し 然 ど 汝 らもし 拝 することをせずば 即時 に 火 の 燃 る 爐 の 中 に 投 こまるべし 何 の 神 か 能 く 汝 らをわが 手 より 救 ひいだすことをせん
16 シヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴ 對 へて 王 に 言 けるはネブカデネザルよこの 事 においては 我 ら 汝 に 答 ふるに 及 ばず
17 もし 善 らんには 王 よ 我 らの 事 ふる 我 らの 神 我 らを 救 ふの 能 あり 彼 その 火 の 燃 る 爐 の 中 と 汝 の 手 の 中 より 我 らを 救 ひいださん
18 假令 しからざるも 王 よ 知 たまへ 我 らは 汝 の 神々 に 事 へずまた 汝 の 立 たる 金 像 を 拝 せじ
19 是 においてネブカデネザル 怒 氣 を 充 しシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴにむかひてその 面 の 容 を 變 へ 即 ち 爐 を 常 に 熱 くするよりも 七倍 熱 くせよと 命 じ
20 またその 軍勢 の 中 の 力 強 き 人々 を 喚 てシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴを 縛 りてこれを 火 の 燃 る 爐 の 中 に 投 こめと 命 じたり
21 是 をもて 此 人々 はその 褲子 羽織 外套 およびその 他 の 服装 を 着 たるままにて 縛 られて 火 の 燃 る 爐 の 中 に 投 こまれたりしが
22 王 の 命 はなはだ 急 にして 爐 は 甚 だしく 熱 しゐたれば 彼 のシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴを 引 抱 へゆける 者等 はその 火焔 に 燒 ころされたり
23 また 此 シヤデラク、メシヤク、デベデネゴの三 人 は 縛 られたるままにて 燃 る 爐 の 中 に 落 いりぬ
24 時 にネブカデネザル 王 驚 きて 急忙 しくたちあがり 大臣 等 に 言 ふ 我 らは三 人 を 縛 りて 火 の 中 に 投 いれざりしや 彼 ら 王 にこたへて 言 ふ 王 よ 然 りと
25 王 また 應 へて 言 ふ 今 我 見 るに 四人 の 者 縲絏 解 て 火 の 中 に 歩 みをり 凡 て 何 の 害 をも 受 ずまたその 第 四の 者 の 容 は 神 の 子 のごとしと
26 ネブカデネザルすなはちその 火 の 燃 る 爐 の 口 に 進 みよりて 呼 て 言 ふ 至高 神 の 僕 シヤデラク、メシヤク、アベデネゴよ 汝 ら 出 きたれと 是 においてシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴその 火 の 中 より 出 きたりしかば
27 州 牧 將軍 方伯 および 王 の 大臣 等 集 りて 比 人々 を 見 たり 此 人々 の 身 は 火 もこれを 害 する 力 なかりきまたその 頭 の 髮 は 燒 けずその 衣裳 は 傷 ねず 火 の 臭氣 もこれに 付 ざりき
28 ネブカデネザルすなはち 宣 て 曰 くシヤデラク、メシヤク、アベデネゴの 神 は 讃 べき 哉 彼 その 使者 を 遣 りて 己 を 賴 む 僕 を 救 へりまた 彼 らは 自己 の 神 の 外 には 何 の 神 にも 事 へずまた 拝 せざらんとて 王 の 命 をも 用 ひず 自己 の 身 をも 捨 んとせり
29 然 ば 我 今 命 を 下 す 諸民 諸 族 諸 音 の 中 凡 てシヤデラク、メシヤクおよびアベダネゴの 神 を 詈 る 者 あらばその 身 は 切 裂 れその 家 は 厠 にせられん 其 は 是 のごとくに 救 を 施 す 神 他 にあらざればなりと
30 かくて 王 またシヤデラク、メシヤクおよびアベデネゴの 位 をすすめてバビロン 州 にをらしむ
Chapter 4
1 ネブカデネザル 王 全 世界 に 住 める 諸民 諸族 諸音 に 諭 す 願 くは 大 なる 平安 汝 らにあれ
2 至高 神 我 にむかひて 徴證 と 奇蹟 を 行 へり 我 これを 知 しむることを 善 と 思 ふ
3 嗚呼 大 なるかなその 徴證 嗚呼 盛 なるかなその 奇蹟 その 國 は 永遠 の 國 その 權 は 世々 限 なし
4 我 ネブカデネザルわが 家 に 安然 に 居 りわが 宮 に 榮 え 居 れり
5 我 一 の 夢 を 見 て 之 がために 懼 れ 即 ち 床 にありてその 事 を 想 ひめぐらしその 我 腦 中 の 異象 のために 心 をなやませり
6 是 に 於 て 我 命 を 下 しバビロンの 智者 をことごとく 我 前 に 召 よせしめてその 夢 の 解明 を 我 にしめさせんと 爲 たれば
7 すなはち 博士 法術士 カルデヤ 人 卜筮師 等 きたりしに 囚 て 我 その 夢 を 彼 らに 語 りけるに 彼 らはその 解明 を 我 にしめすことを 得 ざりき
8 かくて 後 ダニエルわが 前 に 來 れり 彼 の 名 は 吾 神 の 名 にしたがひてベルテシヤザルと 稱 へられその 裏 には 聖 神 の 霊 やどれり 我 その 夢 を 彼 の 前 に 語 りて 曰 けらく
9 博士 の 長 ベルテシヤザルよ 我 しる 汝 の 裏 には 聖 神 の 霊 やどれば 如何 なる 秘密 も 汝 には 難 き 事 なし 我 が 夢 に 見 たるところの 事等 を 聞 きその 解明 を 我 に 告 げよ
10 我 が 床 にありて 見 たる 吾 腦 中 の 異象 は 是 のごとし 我 觀 しに 地 の 當中 に 一 の 樹 ありてその 丈 高 かりしが
11 その 樹 長 じて 強固 なり 天 に 達 するほどの 高 となりて 地 の 極 までも 見 えわたり
12 その 葉 は 美 しくその 菓 は 饒 にして 一切 の 者 その 中 より 食 を 得 また 野 の 獣 その 蔭 に 臥 し 空 の 鳥 その 枝 に 棲 み 凡 て 血氣 ある 者 みな 是 によりて 身 を 養 ふ
13 我 床 にありて 得 たる 腦 中 の 異象 の 中 に 一箇 の 警寤 者 一箇 の 聖者 の 天 より 下 るを 見 たりしが
14 彼 聲 高 く 呼 はりて 斯 いへり 此 樹 を 伐 たふしその 枝 を 斫 はなしその 葉 を 搖 おとしその 果 を 打 散 し 獣 をしてその 下 より 逃 はしらせ 鳥 をしてその 枝 を 飛 さらしめよ
15 但 しその 根 の 上 の 斬 株 を 地 に 遺 しおき 鐵 と 銅 の 索 をかけて 之 を 野 の 草 の 中 にあらしめよ 是 は 天 よりくだる 露 に 濕 れまた 地 の 草 の 中 にて 獣 とその 分 を 同 じうせん
16 又 その 心 は 變 りて 人間 の 心 のごとくならず 獣 の 心 を 稟 て 七 の 時 を 經 ん
17 この 事 は 警寤 者等 の 命 によりこの 事 は 聖者 等 の 言 による 是 至高者 人間 の 國 を 治 めて 自己 の 意 のままにこれを 人 に 與 へまた 人 の 中 の 最 も 賤 き 者 をその 上 に 立 たまふといふ 事 を 一切 の 者 に 知 しめんがためなり
18 我 ネブカデネザル 王 この 夢 を 見 たりベルテシヤザルよ 汝 その 解明 を 我 に 述 よ 我 國 の 智者 は 執 も 皆 その 解明 を 我 に 示 すことを 得 ざりしが 汝 は 之 を 能 せん 其 は 汝 の 裏 には 聖 神 の 霊 やどればなりと
19 その 時 ダニエル 又 の 名 はベルテシヤザルとい 者 暫時 の 間 驚 き 居 り 心 に 深 く 懼 れたれば 王 これに 告 て 言 りベルテシヤザルよ 汝 この 夢 とその 解明 のために 懼 るるにおよばずとベルテシヤザルすなはち 答 へて 言 けらく 我 主 よ 願 くはこの 夢 汝 を 惡 む 者 の 上 にかからん 事 を 願 くは 此 解明 汝 の 敵 にのぞまんことを
20 汝 が 見 たまひし 樹 すなはちその 長 じて 強 くなり 天 に 達 するほどの 高 となりて 地 の 極 までも 見 えわたり
21 その 葉 は 美 しくその 果 は 饒 にして 一切 の 者 その 中 より 食 を 得 またその 下 に 野 の 獣 臥 しその 枝 に 空 の 鳥 棲 たる 者
22 王 よ 是 はすなはち 汝 なり 汝 は 長 じて 強 くなり 汝 の 勢 ひは 盛 にして 天 におよび 汝 の 權 は 地 の 極 にまでおよべり
23 王 また 一箇 の 警寤 者 一箇 の 聖者 の 天 より 下 りて 斯 言 ふを 見 たまへり 云 くこの 樹 を 伐 たふして 之 をそこなへ 但 し 其 根 の 上 の 斬 株 を 地 に 遺 しおき 鐵 と 銅 の 索 をかけて 之 を 野 の 草 の 中 にあらしめよ 是 は 天 より 下 る 露 に 濡 れ 野 の 獣 とその 分 を 同 じうして 七 の 時 を 經 ん
24 王 よその 解明 は 是 の 如 し 是 即 ち 至高者 の 命 にして 王 我 主 に 臨 まんとする 者 なり
25 即 ち 汝 は 逐 れて 世 の 人 と 離 れ 野 の 獣 とともに 居 り 牛 のごとくに 草 を 食 ひ 天 よりくだる 露 に 濡 れん 是 の 如 くにして 七 の 時 を 經 て 汝 つひに 知 ん 至高者 人間 の 國 を 治 めて 自己 の 意 のままに 之 を 人 に 與 へ 給 ふと
26 又 彼 らその 樹 の 根 の 上 の 斬 株 を 遺 しおけと 言 たれば 汝 の 國 は 汝 が 天 は 主 たりと 知 にいたる 時 まで 汝 を 離 れん
27 然 ば 王 よ 吾 諌 を 容 れ 義 をおこなひて 罪 を 離 れ 貧者 を 憐 みて 惡 を 離 れよ 然 らば 汝 の 平安 あるひは 長 く 続 かんと
28 この 事 みなネブカデネザル 王 に 臨 めり
29 十二 箇 月 を 經 て 後 王 バビロンの 王 宮 の 上 に 歩 みをり
30 王 すなはち 語 りて 言 ふ 此 大 なるバビロンは 我 が 大 なる 力 をもて 建 て 京城 となし 之 をもてわが 威光 を 耀 かす 者 ならずや
31 その 言 なほ 王 の 口 にある 中 に 天 より 聲 降 りて 言 ふネブカデネザル 王 よ 汝 に 告 ぐ 汝 は 國 の 位 を 失 はん
32 汝 は 逐 れて 世 の 人 と 離 れ 野 の 獣 と 共 に 居 り 牛 のごとくに 草 を 食 はん 斯 の 如 くにして 七 の 時 を 經 て 汝 つひに 知 ん 至高者 人間 の 國 を 治 めて 己 れの 意 のままにこれを 人 に 與 へたまふと
33 その 時 直 にこの 事 ネブカデネザルに 臨 み 彼 は 逐 れて 世 の 人 に 離 れ 牛 のごとくに 草 を 食 ひてその 身 は 天 よりくだる 露 に 濡 れ 終 にその 髮 毛 は 鷲 の 羽 のごとくになりその 爪 は 鳥 の 爪 のごとくになりぬ
34 斯 てその 日 の 滿 たる 後 我 ネブカデネザル 目 をあげて 天 を 望 みしにわが 分別 性 我 に 歸 りたれば 我 至高者 に 感謝 しその 永遠 に 生 る 者 を 讃 かつ 崇 めたり 彼 の 御 宇 は 永遠 の 御 宇 彼 の 國 は 世々 かぎり 無 し
35 地上 の 居民 は 凡 て 無 き 者 のごとし 天 の 衆群 にも 地 の 居民 にも 彼 はその 意 のままに 事 をなしたまふ 誰 も 彼 の 手 をおさへて 汝 なんぞ 然 するやと 言 ことを 得 る 者 なし
36 この 時 わが 分別 性 かく 我 に 歸 りたりしがわが 國 の 榮光 につきてはまた 我 の 尊嚴 と 光耀 我 にかへれり 且 また 大臣 牧伯等 我 に 請 求 めて 我 ふたたび 國 の 祚 を 踐 み 前 よりも 著 しく 威光 を 増 たり
37 是 において 我 ネブカデネザル 今 は 天 の 王 を 讃 頌 へかつ 崇 む 彼 の 作爲 は 凡 て 眞實 彼 の 道 は 正義 自 ら 高 ぶる 者 は 彼 能 くこれを 卑 くしたまふ
Chapter 5
1 ベルシヤザル 王 その 大臣 一 千 人 のために 酒宴 を 設 けその一 千 人 の 者 の 前 に 酒 を 飮 たりしが
2 酒 の 進 むにいたりてベルシヤザルはその 父 ネブカデネザルがヱルサレムの 宮 より 取 きたりし 金銀 の 器 を 携 へいたれと 命 ぜり 是 王 とその 大臣 および 王 の 妻妾 等 みな 之 をもて 酒 を 飮 んとてなりき
3 是 をもてそのヱルサレムなる 神 の 宮 の 内院 より 取 たりし 金 の 器 を 携 へいたりければ 王 とその 大臣 および 王 の 妻妾 等 これをもて 飮 めり
4 すなはち 彼 らは 酒 をのみて 金 銀 銅 鐵 木 石 などの 神 を 讃 たたへたりしが
5 その 時 に 人 の 手 の 指 あらはれて 燭臺 と 相對 する 王 の 宮 の 粉壁 に 物 書 り 王 その 物 書 る 手 の 末 を 見 たり
6 是 において 王 の 愉快 なる 顔 色 は 變 りその 心 は 思 ひなやみて 安 からず 腿 の 關節 はゆるみ 膝 はあひ 撃 り
7 王 すなはち 大 聲 に 呼 はりて 法術士 カルデヤ 人 卜筮師 等 を 召 きたらしめ 而 して 王 バビロンの 智者 等 に 告 て 言 ふこの 文字 を 讀 みその 解明 を 我 に 示 す 者 には 紫 の 衣 を 衣 せ 頸 に 金 の 鏈 をかけさせて 之 を 國 の 第 三の 牧伯 となさんと
8 王 の 智者 等 は 皆 きたりしかどもその 文字 を 讀 こと 能 はずまたその 解明 を 王 にしめすこと 能 はざりければ
9 ベルシヤザル 王 おほいに 思 ひなやみてその 顔 色 を 失 へりその 大臣 等 もまた 驚 き 懼 れたり
10 時 に 大 后 王 と 大臣 等 の 言 を 聞 てその 酒宴 の 室 にいりきたり 大 后 すなはち 陳 て 言 ふ 願 くは 王 長壽 かれ 汝 心 に 思 ひなやむ 勿 れまた 顔 色 を 失 ふにおよばず
11 汝 の 國 に 聖 神 の 霊 のやどれる 一箇 の 人 あり 汝 の 父 の 代 に 彼 聰明 了知 および 神 の 智慧 のごとき 智慧 あることを 顯 せり 汝 の 父 ネブカデネザル 王 すなはち 汝 の 父 の 王 彼 を 立 てて 博士 法術士 カルデヤ 人 卜筮師 等 の 長 となせり
12 彼 はダニエルといへる 者 なるが 王 これにベルテシヤザルといふ 名 を 與 へたり 彼 は 心 の 殊勝 たる 者 にて 了知 あり 知識 ありて 能 く 夢 を 解 き 隠語 を 解 き 難 問 を 解 くなり 然 ばダニエルを 召 されよ 彼 その 解明 をしめさんと
13 是 においてダニエル 召 れて 王 の 前 に 至 りければ 王 ダニエルに 語 りて 言 ふ 汝 は 吾 父 の 王 がユダより 曳 きたりしユダの 俘囚人 なるそのダニエルなるか
14 我 聞 になんぢの 裏 には 神 の 霊 やどりをりて 汝 は 聰明 了知 および 非 凡 の 智慧 ありと 云 ふ
15 我 智者 法術士 等 を 吾 前 に 召 よせてこの 文字 を 讀 しめその 解明 を 我 にしめさせんと 爲 たれども 彼 らはこの 事 の 解明 を 我 にしめすことを 得 ず
16 我 聞 に 汝 は 能 く 物 事 の 解明 をなしかつ 難 問 を 解 くと 云 ふ 然 ば 汝 もし 能 くこの 文字 を 讀 みその 解明 を 我 に 示 さば 汝 に 紫 の 衣 を 衣 せ 金 の 索 を 汝 の 頸 にかけさせて 汝 をこの 國 の 第 三の 牧伯 となさんと
17 ダニエルこたへて 王 に 言 けるは 汝 の 賜物 は 汝 みづからこれを 取 り 汝 の 饒 物 はこれを 他 の 人 に 與 へたまへ 然 ながら 我 は 王 のためにその 文字 を 讀 みその 解明 をこれに 知 せたてまつらん
18 王 よ 至高 神 汝 の 父 ネブカデネザルに 國 と 權勢 と 榮光 と 尊貴 を 賜 へり
19 彼 に 權勢 を 賜 ひしによりて 諸民 諸族 諸音 みな 彼 の 前 に 慄 き 畏 れたり 彼 はその 欲 する 者 を 殺 しその 欲 する 者 を 活 しその 欲 する 者 を 上 げその 欲 する 者 を 下 ししなり
20 而 して 彼 心 に 高 ぶり 氣 を 剛愎 にして 驕 りしかばその 國 の 位 をすべりてその 尊貴 を 失 ひ
21 逐 れて 世 の 人 と 離 れその 心 は 獣 のごとくに 成 りその 住所 は 野 馬 の 中 にあり 牛 のごとくに 草 を 食 ひてその 身 は 天 よりの 露 に 濡 たり 是 のごとくにして 終 に 彼 は 至高 神 の 人間 の 國 を 治 めてその 意 のままに 人 を 立 たまふといふことをしるにいたれり
22 ベルシヤザルよ 汝 は 彼 の 子 にして 此事 を 盡 く 知 るといへども 猶 その 心 を 卑 くせず
23 却 つて 天 の 主 にむかひて 自 ら 高 ぶりその 家 の 器皿 を 汝 の 前 に 持 きたらしめて 汝 と 汝 の 大臣 と 汝 の 妻妾 等 それをもて 酒 を 飮 み 而 して 汝 は 見 ことも 聞 ことも 知 こともあらぬ 金 銀 銅 鐵 木 石 の 神 を 讃 頌 ふることを 爲 し 汝 の 生命 をその 手 に 握 り 汝 の 一切 の 道 を 主 どりたまふ 神 を 崇 むることをせず
24 是 をもて 彼 の 前 よりこの 手 の 末 いできたりてこの 文字 を 書 るなり
25 その 書 る 文字 は 是 のごとしメネ、メネ、テケル、ウバルシン
26 その 言 の 解明 は 是 のごとしメネ(數 へたり)は 神 汝 の 治世 を 數 へてこれをその 終 に 至 らせしを 謂 なり
27 テケル(秤 れり)は 汝 が 權衡 にて 秤 られて 汝 の 重 の 足 らざることの 顯 れたるを 謂 なり
28 ペレス(分 たれたり)は 汝 の 國 の 分 たれてメデアとペルシヤに 與 へらるるを 謂 なり
29 是 においてベルシヤザル 命 を 降 してダニエルに 紫 の 衣 を 着 せしめ 金 の 鏈 をこれが 頸 にかけさせて 彼 は 國 の 第 三の 牧伯 なりと 布告 せり
30 カルデヤ 人 の 王 ベルシヤザルはその 夜 の 中 に 殺 され
31 メデア 人 ダリヨスその 國 を 獲 たり 此時 ダリヨスは六十二 歳 なりき
Chapter 6
1 ダリヨスはその 國 に 百 二十 人 の 牧伯 を 立 ることを 善 とし 即 ちこれを 立 て 全國 を 治理 しめ
2 また 彼 らの 上 に 監督 三 人 を 立 たりダニエルはその 一人 なりき 是 その 州 牧 をして 此 三 人 の 前 にその 職 を 述 しめて 王 に 損 失 の 及 ぶこと 無 らしめんためなりき
3 ダニエルは 心 の 殊勝 たる 者 にしてその 他 の 監督 および 州 牧 等 に 勝 りたれば 王 かれを 立 て 全國 を 治 めしめんとせり
4 是 においてその 監督 と 州 牧 等 國事 につきてダエルを 訟 ふる 隙 を 得 んとしたりしが 何 の 隙 をも 何 の 咎 をも 見 いだすことを 得 ざりき 其 は 彼 は 忠義 なる 者 にてその 身 に 何 の 咎 もなく 何 の 過失 もなかりければなり
5 是 においてその 人々 言 けるはこのダニエルはその 神 の 例典 について 之 が 隙 を 獲 にあらざればついにこれを 訟 るに 由 なしと
6 すなはちその 監督 と 州 牧 等 王 の 許 に 集 り 來 りて 斯 王 に 言 りダリヨス 王 よ 願 くは 長壽 かれ
7 國 の 監督 將軍 州 牧 牧伯 方伯 等 みな 相 議 りて 王 に 一 の 律法 を 立 て 一 の 禁令 を 定 めたまはんことを 求 めんとす 王 よその 事 は 是 の 如 し 即 ち 今 より三十 日 の 内 は 唯 汝 にのみ 願 事 をなさしめ 若 汝 をおきて 神 または 人 にこれをなす 者 あらば 凡 て 獅子 の 穴 に 投 いれんといふ 是 なり
8 然 ば 王 よねがはくはその 禁令 を 立 てその 詔書 を 認 めメデアとペルシヤの 廢 ることなき 律法 のごとくに 之 をして 變 らざらしめたまへと
9 王 すなはち 詔書 をしたためてその 禁令 を 出 せり
10 茲 にダニエルはその 詔書 を 認 めたることを 知 りて 家 にかへりけるがその二 階 の 窓 のヱルサレムにむかひて 開 ける 處 にて一 日 に 三度 づつ 膝 をかがめて 祷 りその 神 に 向 て 感謝 せり 是 その 時 の 前 よりして 斯 なし 居 たればなり
11 斯 りしかばその 人々 馳 よりてダニエルがその 神 にむかひて 祷 りかつ 求 めをるを 見 あらはせり
12 而 して 彼 ら 進 みきたり 王 の 禁令 の 事 につきて 王 に 奏上 して 言 けるは 王 よ 汝 は 禁令 をしたため 出 し 今 より三十 日 の 内 には 只 なんぢにのみ 願事 をなさしめ 若 し 汝 をおきて 神 または 人 にこれをなす 者 あらば 凡 てその 者 を 獅子 の 穴 に 投 いれんと 定 めたまへるならずやと 王 こたへて 言 ふ 其 事 は 眞實 にしてメデアとペルシヤの 律法 のごとく 廢 べからざる 者 なり
13 彼 らまた 對 へて 王 の 前 に 言 けるは 王 よユダの 俘擄 人 なるダニエルは 汝 をも 汝 の 認 め 出 し 給 ひし 禁令 をも 顧 みずして一 日 に 三度 づつ 祈祷 をなすなりと
14 王 この 事 を 聞 てこれがために 大 に 愁 ひダニエルを 救 はんと 心 を 用 ひ 即 ちこれを 拯 けんと 力 をつくして 日 の 入 る 頃 におよびければ
15 その 人々 また 王 の 許 に 集 ひきたりて 王 に 言 けるは 王 よ 知 りたまへメデアとペルシヤの 律法 によれば 王 の 立 たる 禁令 または 法度 は 變 べからざる 者 なりと
16 是 において 王 命 を 下 しければダニエルを 曳 きたりて 獅子 の 穴 に 投 いれたり 王 ダニエルに 語 りて 言 ふ 願 くは 汝 が 恒 に 事 ふる 神 汝 を 救 はんことをと
17 時 に 石 を 持 きたりてその 穴 の 口 を 塞 ぎければ 王 おのれの 印 と 大臣 等 の 印 をもてこれに 封 印 をなせり 是 ダニエルの 處置 をして 變 ることなからしめんためなりき
18 斯 て 後 王 はその 宮 にかへりけるがその 夜 は 食 をなさずまた 嬪 等 を 召 よせずして 全 く 寝 ることをせざりき
19 而 して 王 は 朝 まだきに 起 いでてその 獅子 の 穴 に 急 ぎいたりしが
20 穴 にいたりける 時 哀 しげなる 聲 をあげてダニエルを 呼 りすなはち 王 ダニエルに 言 けるは 活 神 の 僕 ダニエルよ 汝 が 恒 に 事 ふる 神 汝 を 救 ふて 獅子 の 害 を 免 れしむることを 得 しや
21 ダニエル 王 にいひけるは 願 くは 王 長壽 かれ
22 吾 神 その 使 をおくりて 獅子 の 口 を 閉 させたまひたれば 獅子 は 我 を 害 せざりき 其 は 我 の 辜 なき 事 かれの 前 に 明 かなればなり 王 よ 我 は 汝 にも 惡 しき 事 をなさざりしなりと
23 是 において 王 おほいに 喜 びダニエルを 穴 の 中 より 出 せと 命 じければダニルは 穴 の 中 より 出 されけるがその 身 に 何 の 害 をも 受 をらざりき 是 は 彼 おのれの 神 を 賴 みたるによりてなり
24 かくて 王 また 命 を 下 しかのダニエルを 讒奏 せし 者等 を 曳 きたらせて 之 をその 妻 子 とともに 獅子 の 穴 に 投 いれしめたるにその 穴 の 底 につかざる 内 に 獅子 はやくも 彼 らを 攫 みてその 骨 までもことごとく 咬 碎 けり
25 是 においてダリヨス 王 全 世界 に 住 る 諸民 諸族 諸音 に 詔書 を 頒 てり 云 く 願 くは 大 なる 平安 なんぢらにあれ
26 今 我 詔命 を 出 す 我 國 の 各州 の 人 みなダニエルの 神 を 畏 れ 敬 ふべし 是 は 活 神 にして 永遠 に 立 つ 者 またその 國 は 亡 びずその 權 は 終極 まで 続 くなり
27 是 は 救 を 施 し 拯 をなし 天 においても 地 においても 休徴 をほどこし 奇蹟 をおこなふ 者 にてすなはちダニエルを 救 ひて 獅子 の 力 を 免 れしめたりと
28 このダニエルはダリヨスの 世 とペルシヤ 人 クロスの 世 においてその 身 榮 えたり
Chapter 7
1 バビロンの 王 ベルシヤザルの 元年 にダニエルその 牀 にありて 夢 を 見 腦 中 に 異象 を 得 たりしが 即 ちその 夢 を 記 してその 事 の 大 意 を 述 ぶ
2 ダニエル 述 て 曰 く 我 夜 の 異象 の 中 に 見 てありしに 四方 の 天風 大海 にむかひて 烈 しく 吹 きたり
3 四箇 の 大 なる 獣 海 より 上 りきたれりその 形 はおのおの 異 なり
4 第 一のは 獅子 の 如 くにして 鷲 の 翼 ありけるが 我 見 てをりしに 是 はその 翼 を 抜 とられまた 地 より 起 され 人 のごとく 足 にて 立 せられ 且 人 の 心 を 賜 はれり
5 第 二の 獣 は 熊 のごとくなりき 是 はその 體 の 一方 を 擧 げその 口 の 歯 の 間 に 三 の 脇 骨 を 啣 へ 居 けるが 之 にむかひて 言 る 者 あり 曰 く 起 あがりて 許多 の 肉 を 食 へと
6 その 後 に 我 見 しに 豹 のごとき 獣 いでたりしがその 背 には 鳥 の 翼 四 ありこの 獣 はまた 四 の 頭 ありて 統 轄 權 をたまはれり
7 我 夜 の 異象 の 中 に 見 しにその 後 第 四の 獣 いでたりしが 是 は 畏 しく 猛 く 大 に 強 くして 大 なる 鐵 の 歯 あり 食 ひかつ 咬 碎 きてその 殘餘 をば 足 にて 踏 つけたり 是 はその 前 に 出 たる 諸 の 獣 とは 異 なりてまた 十 の 角 ありき
8 我 その 角 を 考 へ 觀 つつありけるにその 中 にまた 一箇 の 小 き 角 出 きたりしがこの 小 き 角 のために 先 の 角 三箇 その 根 より 抜 おちたりこの 小 き 角 には 人 の 目 のごとき 目 ありまた 大 なる 事 を 言 ふ 口 あり
9 我 觀 つつありしに 遂 に 寳座 を 置 列 ぶるありて 日 の 老 たる 者 座 を 占 めたりしがその 衣 は 雪 のごとくに 白 くその 髮 毛 は 漂 潔 めたる 羊 の 毛 のごとし 又 その 寳座 は 火 の 熖 にしてその 車輪 は 燃 る 火 なり
10 而 して 彼 の 前 より 一道 の 火 の 流 わきいづ 彼 に 仕 ふる 者 は 千々 彼 の 前 に 侍 る 者 は 萬々 審判 すなはち 始 りて 書 を 開 けり
11 その 角 の 大 なる 事 を 言 ふ 聲 によりて 我 觀 つつありけるが 我 が 見 る 間 にその 獣 は 終 に 殺 され 體 を 壞 はれて 燃 る 火 に 投 いれられたり
12 またその 餘 の 獣 はその 權威 を 奪 はれたりしがその 生命 は 時 と 期 の 至 るまで 延 されたり
13 我 また 夜 の 異象 の 中 に 觀 てありけるに 人 の 子 のごとき 者 雲 に 乗 て 來 り 日 の 老 たる 者 の 許 に 到 りたればすなはちその 前 に 導 きけるに
14 之 に 權 と 榮 と 國 とを 賜 ひて 諸民 諸族 諸音 をしてこれに 事 へしむその 權 は 永遠 の 權 にして 移 りさらず 又 その 國 は 亡 ぶることなし
15 是 において 我 ダニエルその 體 の 内 の 魂 を 憂 へしめわが 腦 中 の 異象 のために 思 ひなやみたれば
16 すなはち 其處 にたてる 者 の 一箇 に 就 てこの 一切 の 事 の 眞意 を 問 けるに 其 者 われにこの 事 の 解明 を 告 しらせて 云 く
17 この 四 の 大 なる 獣 は 地 に 興 らんとする 四人 の 王 なり
18 然 ど 終 には 至高者 の 聖徒 國 を 受 け 長久 にその 國 を 保 ちて 世々 限 りなからんと
19 是 において 我 またその 第 四の 獣 の 眞意 を 知 んと 欲 せり 此 獣 は 他 の 獣 と 異 なりて 至 畏 ろしくその 歯 は 鐵 その 爪 は 銅 にして 食 ひかつ 咬 碎 きてその 殘餘 を 足 にて 踏 つけたり
20 此 獣 の 頭 には 十 の 角 ありしが 其 他 にまた 一 の 角 いできたりしかば 之 がために 三 の 角 抜 おちたり 此 角 には 目 ありまた 大 なる 事 を 言 ふ 口 ありてその 状 はその 同類 よりも 強 く 見 えたり 我 またこの 事 を 知 んと 欲 せり
21 我 觀 つつありけるに 此 角 聖徒 と 戰 ひてこれに 勝 たりしが
22 終 に 日 の 老 たる 者 來 りて 至高者 の 聖徒 のために 公義 をおこなへり 而 してその 時 いたりて 聖徒 國 を 獲 たり
23 彼 かく 言 り 第 四の 獣 は 地上 の 第 四の 國 なり 是 は 一切 の 國 と 異 なり 全 世界 を 并呑 しこれを 踏 つけかつ 打 破 らん
24 その 十 の 角 はこの 國 に 興 らんところの十 人 の 王 なり 之 が 後 にまた 一人 興 るべし 是 は 先 の 者 と 異 なり 且 その 王 三 人 を 倒 すべし
25 かれ 至高者 に 敵 して 言 を 出 しかつ 至高者 の 聖徒 を 惱 まさん 彼 また 時 と 法 とを 變 んことを 望 まん 聖徒 は 一時 と 二時 と 半時 を 經 るまで 彼 の 手 に 付 されてあらん
26 斯 て 後 審判 はじまり 彼 はその 權 を 奪 はれて 終極 まで 滅 び 亡 ん
27 而 して 國 と 權 と 天下 の 國々 の 勢力 とはみな 至高者 の 聖徒 たる 民 に 歸 せん 至高者 の 國 は 永遠 の 國 なり 諸國 の 者 みな 彼 に 事 へかつ 順 はんと
28 その 事 此 にて 終 れり 我 ダニエルこれを 思 ひまはして 大 に 憂 へ 顔 色 も 變 りぬ 我 この 事 を 心 に 蔵 む
Chapter 8
1 我 ダニエル 前 に 異象 を 得 たりしが 後 またベルシヤザルの 第 三 年 にいたりて 異象 を 得 たり
2 我 異象 を 見 たり 我 これを 見 たる 時 に 吾 身 はエラム 州 なるシユシヤンの 城 にあり 我 が 異象 を 見 たるはウライ 河 の 邊 においてなりき
3 我 目 を 擧 て 觀 しに 河 の 上 に 一匹 の 牡羊 立 をり 之 に 二 の 角 ありてその 角 共 に 長 かりしが 一 の 角 はその 他 の 角 よりも 長 かりきその 長 き 者 は 後 に 長 たるなり
4 我 觀 しにその 牡羊 西 北 南 にむかひて 牴觸 りけるが 之 に 敵 ることを 得 る 獣 一匹 も 無 くまたその 手 より 救 ひいだすことを 得 る 者 絶 てあらざりき 是 はその 意 にまかせて 事 をなしその 勢威 はなはだ 盛 なりき
5 我 これを 考 へ 見 つつありけるにて 一匹 の 牡山羊 全地 の 上 を 飛 わたりて 西 より 來 りしがその 足 は 土 を 履 ざりきこの 牡山羊 は 目 の 間 に 著明 しき 一 の 角 ありき
6 此 者 さきに 我 が 河 の 上 に 立 るを 見 たる 彼 の 二 の 角 ある 牡羊 に 向 ひ 來 り 熾盛 なる 力 をもて 之 の 所 に 跑 いたりけるが
7 我 觀 てあるに 牡羊 に 近 づくに 至 りて 之 にむかひて 怒 を 發 し 牡羊 を 撃 てその 二 の 角 を 碎 きたるに 牡羊 には 之 に 敵 る 力 なかりければこれを 地 に 打 倒 して 踏 つけたり 然 るにその 牡羊 をこれが 手 より 救 ひ 得 る 者 あらざりき
8 而 してその 牡山羊 甚 だ 大 きくなりけるがその 盛 なる 時 にあたりてかの 大 なる 角 折 れその 代 に 四 の 著明 しき 角 生 じて 天 の 四方 に 對 へり
9 またその 角 の 一 よりして 一 の 小 き 角 いできたり 南 にむかひ 東 にむかひ 美 地 にむかひて 甚 だ 大 きくなり
10 天 軍 におよぶまでに 高 くなりその 軍 と 星 數箇 を 地 に 投 くだしてこれを 踏 つけ
11 また 自 ら 高 ぶりてその 軍 の 主 に 敵 しその 常供 の 物 を 取 のぞきかつその 聖所 を 毀 てり
12 一軍 罪 の 故 によりて 常供 の 物 とともに 棄 られたり 彼者 はまた 眞理 を 地 に 擲 ち 事 をなしてその 意志 を 得 たり
13 かくて 我 聞 に 一箇 の 聖者 語 ひをりしが 又 一箇 の 聖者 ありてその 語 ひをる 聖者 にむかひて 言 ふ 常供 の 物 と 荒廢 を 來 らする 罪 とにつきて 異象 にあらはれたるところの 事 聖所 とその 軍 との 棄 られて 踏 つけらるる 事 は 何時 まで 斯 てあるべきかと
14 彼 すなはち 我 に 言 けるは二 千 三 百 の 朝夕 をかさぬるまで 斯 てあらん 而 して 聖所 は 潔 めらるべし
15 我 ダニエルこの 異象 を 見 てその 意義 を 知 んと 求 めをりける 時 人 のごとく 見 ゆる 者 わが 前 に 立 り
16 時 に 我 聞 にウライ 河 の 兩 岸 の 間 より 人 の 聲 出 て 呼 はりて 言 ふガブリエルよこの 異象 をその 人 に 暁 らしめよと
17 彼 すなはち 我 の 立 る 所 にきたりしがその 到 れる 時 に 我 おそれて 仆 れ 伏 たるに 彼 われに 言 けるは 人 の 子 よ 暁 れ 此 異象 は 終 の 時 にかかはる 者 なりと
18 彼 の 我 に 語 ひける 時 我 は 氣 を 喪 へる 状 にて 地 に 俯伏 をりしが 彼 我 に 手 をつけて 我 を 立 せ 言 けるは
19 視 よ 我 忿怒 の 終 に 起 らんところの 事 を 汝 に 知 せん 此事 は 終末 の 期 におよびてあらん
20 汝 が 見 たるかの 二 の 角 ある 牡羊 はメデアとペルシヤの 王 なり
21 またかの 牡山羊 はギリシヤの 王 その 目 の 間 の 大 なる 角 はその 第 一の 王 なり
22 またその 角 をれてその 代 に 四 の 角 生 じたればその 民 よりして 四 の 國 おこらん 然 ど 第 一の 者 の 權勢 には 及 ばざるなり
23 彼 らの 國 の 末 にいたり 罪人 の 罪 貫盈 におよびて 一人 の 王 おこらんその 顔 は 猛 惡 にして 巧 に 詭譎 を 言 ひ
24 その 權勢 は 熾盛 ならん 但 し 自己 の 能力 をもて 之 を 致 すに 非 ずその 毀滅 ことを 爲 は 常 ならず 意志 を 得 て 事 を 爲 し 權能 ある 者等 と 聖 民 とを 滅 さん
25 彼 は 機巧 をもて 詭譎 をその 手 に 行 ひ 遂 げ 心 にみづから 高 ぶり 平和 の 時 に 衆多 の 人 を 打 滅 しまた 君 の 君 たる 者 に 敵 せん 然 ど 終 には 人 手 によらずして 滅 されん
26 前 に 告 たる 朝夕 の 異象 は 眞實 なり 汝 その 異象 の 事 を 秘 しおけ 是 は 衆多 の 日 の 後 に 有 べき 事 なり
27 是 において 我 ダニエル 疲 れはてて 數日 の 間 病 わづらひて 後 興 いでて 王 の 事務 をおこなへり 我 はこの 異象 の 事 を 案 ひて 駭 けり 人 もまたこれを 暁 ることを 得 ざりき
Chapter 9
1 メデア 人 アハシユエロスの 子 ダリヨスがカルデヤ 人 の 王 とせられしその 元年
2 すなはちその 世 の 元年 に 我 ダニエル、ヱホバの 言 の 預言者 ヱレミヤにのぞみて 告 たるその 年 の 數 を 書 によりて 暁 れり 即 ちその 言 にヱルサレムは 荒 て七十 年 を 經 んとあり
3 是 にかいて 我 面 を 主 ヱホバに 向 け 斷食 をなし 麻 の 衣 を 着 灰 を 蒙 り 祈 りかつ 願 ひて 求 むることをせり
4 即 ち 我 わが 神 ヱホバに 祷 り 懺悔 して 言 り 嗚呼 大 にして 畏 るべき 神 なる 主 自己 を 愛 し 自己 の 誡命 を 守 る 者 のために 契約 を 保 ち 之 に 恩惠 を 施 したまふ 者 よ
5 我等 は 罪 を 犯 し 悖 れる 事 を 爲 し 惡 を 行 ひ 叛逆 を 爲 して 汝 の 誡命 と 律法 を 離 れたり
6 我等 はまた 汝 の 僕 なる 預言者 等 が 汝 の 名 をもて 我 らの 王等 君等 先祖 等 および 全國 の 民 に 告 たる 所 に 聽 したがはざりしなり
7 主 よ 公義 は 汝 に 歸 し 羞辱 は 我 らに 歸 せりその 状 今日 のごとし 即 ちユダの 人々 ヱルサレムの 居民 およびイスラエルの 全家 の 者 は 近 き 者 も 遠 き 者 も 皆 汝 の 逐 やりたまひし 諸 の 國々 にて 羞辱 を 蒙 れり 是 は 彼 らが 汝 に 背 きて 獲 たる 罪 によりて 然 るなり
8 主 よ 羞辱 は 我儕 に 歸 し 我 らの 王等 君等 および 先祖 等 に 歸 す 是 は 我儕 なんぢに 向 ひて 罪 を 犯 したればなり
9 憐憫 と 赦宥 は 主 たる 我 らの 神 の 裏 にあり 其 は 我 らこれに 叛 きたればなり
10 我 らはまた 我 らの 神 ヱホバの 言 に 遵 はずヱホバがその 僕 なる 預言者 等 によりて 我 らの 前 に 設 けたまひし 律法 を 行 はざりしなり
11 抑 イスラエルの 人 は 皆 汝 の 律法 を 犯 し 離 れさりて 汝 の 言 に 遵 はざりき 是 をもて 神 の 僕 モーセの 律法 に 記 したる 呪詛 と 誓詞 我 らの 上 に 斟 ぎかかれり 是 は 我 らこれに 罪 を 獲 たればなり
12 即 ち 神 は 大 なる 災害 を 我 らに 蒙 らせたまひてその 前 に 我 らと 我 らを 鞫 ける 士師 とにむかひて 宣 ひし 言 を 行 ひとげたまへりかのエルサレムに 臨 みたる 事 の 如 きは 普天 の 下 に 未 だ 曾 て 有 ざりしなり
13 モーセの 律法 に 記 したる 如 くにこの 災害 すべて 我 らに 臨 みしかども 我 らはその 神 ヱホバの 面 を 和 めんとも 爲 ずその 惡 を 離 れて 汝 の 眞理 を 暁 らんとも 爲 ざりき
14 是 をもてヱホバ 心 にかけて 災害 を 我 らに 降 したまへり 我 らの 神 ヱホバは 何事 をなしたまふも 凡 て 公義 いますなり 然 るに 我 らはその 言 に 遵 はざりき
15 主 たる 我 らの 神 よ 汝 は 強 き 手 をもて 汝 の 民 をエジプトの 地 より 導 き 出 して 今日 のごとく 汝 の 名 を 揚 たまふ 我 らは 罪 を 犯 し 惡 き 事 を 行 へり
16 主 よ 願 くは 汝 が 是 まで 公義 き 御 行爲 を 爲 たまひし 如 く 汝 の 邑 ヱルサレム 汝 の 聖山 より 汝 の 忿怒 と 憤恨 を 取 離 し 給 へ 其 は 我 らの 罪 と 我 らの 先祖 の 惡 のためにヱルサレムと 汝 の 民 は 我 らの 周圍 の 者 の 笑柄 となりたればなり
17 然 ば 我 らの 神 よ 僕 の 祷 と 願 を 聽 たまへ 汝 は 主 にいませばかの 荒 をる 汝 の 聖所 に 汝 の 面 を 耀 かせたまへ
18 我 神 よ 耳 を 傾 けて 聽 たまへ 目 を 啓 きて 我 らの 荒蕪 たる 状 を 觀 汝 の 名 をもて 稱 へらるる 邑 を 觀 たまへ 我 らが 汝 の 前 に 祈祷 をたてまつるは 自己 の 公義 によるに 非 ず 唯 なんぢの 大 なる 憐憫 によるなり
19 主 よ 聽 いれたまへ 主 よ 赦 したまへ 主 よ 聽 いれて 行 ひたまへこの 事 を 遅 くしたまふなかれわが 神 よ 汝 みづからのために 之 をなしたまへ 其 は 汝 の 邑 と 汝 の 民 は 汝 の 名 をもて 稱 へらるればなり
20 我 かく 言 て 祈 りかつわが 罪 とわが 民 イスラエルの 罪 を 懺悔 し 我 神 の 聖山 の 事 につきてわが 神 ヱホバのまへに 願 をたてまつりをる 時
21 即 ち 我 祈祷 の 言 をのべをる 時 我 が 初 に 異象 の 中 に 見 たるかの 人 ガブリエル 迅速 に 飛 て 晩 の 祭物 を 献 ぐる 頃 我 許 に 達 し
22 我 に 告 げ 我 に 語 りて 言 けるはダニエルよ 今 我 なんぢを 敎 へて 了解 を 得 せしめんとて 出 きたれり
23 汝 が 祈祷 を 始 むるに 方 りて 我 言 を 受 たれば 之 を 汝 に 示 さんとて 來 れり 汝 は 大 に 愛 せらるる 者 なり 此 言 を 了 りその 現 れたる 事 の 義 を 暁 れ
24 汝 の 民 と 汝 の 聖 邑 のために七十 週 を 定 めおかる 而 して 惡 を 抑 へ 罪 を 封 じ 愆 を 贖 ひ 永遠 の 義 を 携 へ 入 り 異象 と 預言 を 封 じ 至聖者 に 膏 を 灌 がん
25 汝 暁 り 知 べしヱルサレムを 建 なほせといふ 命令 の 出 づるよりメッシヤたる 君 の 起 るまでに七 週 と六十二 週 ありその 街 と 石垣 とは 擾亂 の 間 に 建 なほされん
26 その六十二 週 の 後 にメッシャ 絶 れん 但 し 是 は 自己 のために 非 ざるなりまた 一人 の 君 の 民 きたりて 邑 と 聖所 とを 毀 たんその 終 は 洪水 に 由 れる 如 くなるべし 戰爭 の 終 るまでに 荒蕪 すでに 極 る
27 彼 一 週 の 間 衆多 の 者 と 固 く 契約 を 結 ばん 而 して 彼 その 週 の 半 に 犠牲 と 供物 を 廢 せんまた 殘暴 可惡 者 羽翼 の 上 に 立 たん 斯 てつひにその 定 まれる 災害 殘暴 るる 者 の 上 に 斟 ぎくだらん
Chapter 10
1 ペルシヤの 王 クロスの三 年 にベルテシヤザルといふダニエル 一 の 事 の 默旨 を 得 たるがその 事 は 眞實 にしてその 戰爭 は 大 なり 彼 その 事 を 暁 りその 示現 の 義 を 暁 れり
2 當 時 我 ダニエル 三 七日 の 間 哀 めり
3 即 ち 三 七日 の 全 く 滿 るまでは 旨 き 物 を 食 ず 肉 と 酒 とを 口 にいれずまた 身 に 膏油 を 抹 ざりき
4 正月 の二十四 日 に 我 ヒデケルといふ 大河 の 邊 に 在 り
5 目 を 擧 て 望 觀 しに 一箇 の 人 ありて 布 の 衣 を 衣 ウバズの 金 の 帶 を 腰 にしめをり
6 その 體 は 黄金 色 の 玉 のごとくその 面 は 電光 の 如 くその 目 は 火 の 熖 のごとくその 手 とその 足 の 色 は 磨 ける 銅 のごとくその 言 ふ 聲 は 群衆 の 聲 の 如 し
7 この 示現 は 唯 我 ダニエル 一人 これを 觀 たり 我 と 偕 なる 人々 はこの 示現 を 見 ざりしが 何 となくその 身 大 に 慄 きて 逃 かくれたり
8 故 に 我 ひとり 遺 りたるがこの 大 なる 示現 を 觀 るにおよびて 力 ぬけさり 顔 色 まつたく 變 りて 毫 も 力 なかりき
9 我 その 語 ふ 聲 を 聞 けるがその 語 ふ 聲 を 聞 る 時 我 は 氣 を 喪 へる 状 にて 俯伏 し 面 を 土 につけゐたりしに
10 一 の 手 ありて 我 に 捫 りければ 我 戰 ひながら 跪 づきて 手 をつきたるに
11 彼 われに 言 けるは 愛 せらるる 人 ダニエルよ 我 が 汝 に 告 る 言 を 暁 れよ 汝 まづ 起 あがれ 我 は 今 汝 の 許 に 遣 されたるなりと 彼 がこの 言 を 我 に 告 る 時 に 我 は 戰 ひて 立 り
12 彼 すなはち 我 に 言 けるはダニエルよ 懼 るる 勿 れ 汝 が 心 をこめて 悟 らんとし 汝 の 神 の 前 に 身 をなやませるその 初 の 日 よりして 汝 の 言 はすでに 聽 れたれば 我 汝 の 言 によりて 來 れり
13 然 るにペルシヤの 國 の 君 二十一 日 の 間 わが 前 に 立 塞 がりけるが 長 たる 君 の 一 なるミカエル 來 りて 我 を 助 けたれば 我 勝 留 りてペルシヤの 王等 の 傍 にをる
14 我 は 末 の 日 に 汝 の 民 に 臨 まんとするところの 事 を 汝 に 暁 らせんとて 來 れりまた 後 の 日 に 關 はる 所 の 異象 ありと
15 かれ 是等 の 言 を 我 に 宣 たる 時 に 我 は 面 を 土 につけて 居 り 辭 を 措 ところ 無 りしが
16 人 の 子 のごとき 者 わが 唇 に 捫 りければ 我 すなはち 口 を 開 きわが 前 に 立 る 者 に 陳 て 言 り 我 主 よこの 示現 によりて 我 は 畏怖 にたへず 全 く 力 を 失 へり
17 此 わが 主 の 僕 いかでか 此 わが 主 と 語 ふことを 得 んとその 時 は 我 まつたく 力 を 失 ひて 氣息 も 止 らんばかりなりしが
18 人 の 形 のごとき 者 ふたたび 我 に 捫 り 我 に 力 をつけて
19 言 けるは 愛 せらるる 人 よ 懼 るる 勿 れ 安 んぜよ 心 強 かれ 心 強 かれと 斯 われに 言 ければ 我 力 づきて 曰 り 我 主 よ 語 りたまへ 汝 われに 力 をつけたまへりと
20 彼 われに 言 けるは 汝 は 我 が 何 のために 汝 に 臨 めるかを 知 るや 我 今 また 歸 りゆきてペルシヤの 君 と 戰 はんとす 我 が 出行 ん 後 にギリシヤの 君 きたらん
21 但 し 我 まづ 眞實 の 書 に 記 されたる 所 を 汝 に 示 すべし 我 を 助 けて 彼 らに 敵 る 者 は 汝 らの 君 ミカエルのみ
Chapter 11
1 我 はまたメデア 人 ダリヨスの 元年 にかれを 助 け 彼 に 力 をそへたる 事 ありしなり
2 我 いま 眞實 を 汝 に 示 さん 視 よ 此 後 ペルシヤに三 人 の 王 興 らんその 第 四の 者 は 富 ること 一切 の 者 に 勝 りその 富強 の 大 なるを 恃 みて 一切 を 激發 してギリシヤの 國 を 攻 ん
3 また 一箇 の 強 き 王 おこり 大 なる 威權 を 振 ふて 世 を 治 めその 意 のままに 事 を 爲 ん
4 但 し 彼 の 正 に 旺盛 なる 時 にその 國 は 破裂 して 天 の 四方 に 分 れん 其 は 彼 の 兒孫 に 歸 せず 又 かれの 振 ひしほどの 威權 あらず 即 ち 彼 の 國 は 抜 とられて 是等 の 外 なる 者等 に 歸 せん
5 南 の 王 は 強 からん 然 どその 大臣 の 一人 これに 逾 て 強 くなり 威權 を 振 はんその 威權 は 大 なる 威權 なるべし
6 年 を 經 て 後 彼等 相 結 ばん 即 ち 南 の 王 の 女子 北 の 王 に 適 て 和好 を 圖 らん 然 どその 腕 には 力 なしまたその 王 およびその 腕 は 立 ことを 得 じこの 女 とこれを 導 ける 者 とこれを 生 せたる 者 とこれに 力 をつけたる 者 はみな 時 におよびて 付 されん
7 斯 て 後 この 女 の 根 より 出 たる 芽 興 りて 之 に 代 り 北 の 王 の 軍勢 にむかひて 來 りこれが 城 に 打 いりて 之 を 攻 て 勝 を 得
8 之 が 神々 鑄像 および 金銀 の 貴 き 器具 をエジプトに 携 へさらん 彼 は 北 の 王 の 上 に 立 て 年 を 重 ねん
9 彼 南 の 王 の 國 に 打 入 ことあらん 然 ど 自己 の 國 に 退 くべし
10 その 子等 また 憤激 して 許多 の 大軍 を 聚 め 進 みきたり 溢 れて 往來 しその 城 まで 攻寄 せん
11 是 において 南 の 王 大 に 怒 り 出 きたりて 北 の 王 と 戰 ふべし 彼 大軍 を 興 してこれに 當 らん 然 れどもその 軍兵 はこれが 手 に 付 されん
12 大軍 すなはち 興 りて 彼 心 に 高 ぶり 數 萬人 を 仆 さん 然 れどもその 勢力 はこれがために 増 さじ
13 また 北 の 王 は 退 きて 初 よりも 大 なる 軍兵 を 興 し 或 時 すなはち 或 年數 を 經 て 後 かならず 大兵 を 率 ゐ 莫大 の 輜重 を 備 へて 攻 來 らん
14 是 時 にあたりて 衆多 の 者 興 りて 南 の 王 に 敵 せん 又 なんぢの 民 の 中 の 奸惡人 等 みづから 高 ぶりて 事 を 爲 しつひに 預言 をして 應 ぜしめん 即 ち 彼 らは 自 ら 仆 るべし
15 茲 に 北 の 王 襲 ひきたり 壘 を 築 きて 堅 城 を 攻 おとさん 南 の 王 の 腕 はこれに 當 ることを 得 じ 又 その 撰 抜 の 民 もこれに 當 る 力 なかるべし
16 之 に 攻 きたる 者 はその 意 に 任 せて 事 をなさんその 前 に 立 ことを 得 る 者 なかるべし 彼 は 美 しき 地 に 到 らんその 地 はこれがために 荒 さるべし
17 彼 その 全國 の 力 を 盡 して 打 入 んとその 面 をこれに 向 べけれどまたこれと 和好 をなして 婦人 の 女子 を 之 に 與 へん 然 るにその 婦人 の 女子 は 之 がために 身 を 滅 すに 至 り 何事 をも 成 あたはす 毫 も 彼 のために 益 する 所 なかるべし
18 彼 またその 面 を 島々 にむけて 之 を 多 く 取 らん 茲 に 一人 の 大將 ありて 彼 が 與 へたる 恥辱 を 雪 ぎその 恥辱 をかれの 身 に 與 へかへさん
19 かくて 彼 その 面 を 自己 の 國 の 城々 に 向 ん 而 して 終 に 躓 き 仆 れて 亡 ん
20 彼 に 代 りて 興 る 者 は 榮光 の 國 に 人 を 出 して 租税 を 征斂 しめん 但 し 彼 は 忿怒 にも 戰門 にもよらずして 數日 の 内 に 滅亡 せん
21 また 之 にかはりて 起 る 者 は 賤 まるる 者 にして 國 の 尊榮 これに 歸 せざらん 然 れども 彼 不意 に 來 り 巧言 をもて 國 を 獲 ん
22 洪水 のごとき 軍勢 かれのために 押 流 されて 敗 れん 契約 の 君 たる 者 も 然 らん
23 彼 は 之 に 契約 をむすびて 後 詭計 を 行 ひ 上 りきたりて 僅少 の 民 をもて 勢 を 得 ん
24 彼 すなはち 不意 にきたりてその 國 の 膏腴 なる 處 に 攻 いりその 父 もその 父 の 父 も 爲 ざりしところの 事 を 行 はん 彼 はその 奪 ひたる 物 掠 めたる 物 および 財寳 を 衆人 の 中 に 散 すべし 彼 は 謀略 をめぐらして 堅固 なる 城々 を 攻取 べし 時 の 至 るまで 斯 のごとくならん
25 彼 はその 勢力 を 奮 ひ 心 を 勵 まし 大軍 を 率 ゐて 南 の 王 に 攻 よせん 南 の 王 もまた 自 ら 奮 ひ 甚 だ 大 なる 強 き 軍勢 をもて 迎 へ 戰 はん 然 ど 謀略 をめぐらして 攻 るが 故 にこれに 當 ることを 得 ざるべし
26 すなはち 彼 の 珍膳 に 與 り 食 ふ 者 彼 を 倒 さんその 軍兵 溢 れん 打 死 する 者 衆 かるべし
27 此 二人 の 王 は 害 をなさんと 心 にはかり 同 席 に 共 に 食 して 詭計 を 言 ん 然 どもその 志 ならざるべし 定 まれる 時 のいたる 迄 は 其 事 終 らじ
28 彼 は 莫大 の 財寳 をもちて 自己 の 國 に 歸 らん 彼 は 聖 約 に 敵 する 心 を 懐 きて 事 をなし 而 してその 國 にかへらん
29 定 まれる 時 にいたりて 彼 また 進 みて 南 に 到 らん 然 ど 後 の 模樣 は 先 の 模樣 のごとくならざらん
30 即 ちキツテムの 船 かれに 到 るべければ 彼 力 をおとして 還 り 聖 約 にむかひて 忿怒 をもらして 事 をなさん 而 して 彼 歸 りゆき 聖 約 を 棄 る 者 と 相謀 らん
31 彼 より 腕 おこりて 聖所 すなはち 堅 城 を 汚 し 常供 の 物 を 撤 除 かせかつ 殘暴 可惡 者 を 立 ん
32 彼 はまた 契約 に 關 て 罪 を 獲 る 者等 を 巧言 をもて 引誘 して 背 かせん 然 どその 神 を 知 る 人々 は 力 ありて 事 をなさん
33 民 の 中 の 頴悟 者 ども 衆多 の 人 を 敎 ふるあらん 然 ながら 彼 らは 暫時 の 間 刃 にかかり 火 にやかれ 擄 はれ 掠 められ 等 して 仆 れん
34 その 仆 るる 時 にあたりて 彼 らは 少 しく 扶助 を 獲 ん 又 衆多 の 人 詐 りて 彼 らに 合 せん
35 また 穎悟 者等 の 中 にも 仆 るる 者 あらん 斯 のごとく 彼 らの 中 に 試 むる 事 淨 むる 事 潔 よくする 事 おこなはれて 終 の 時 にいたらん 即 ち 定 まれる 時 まで 然 るべし
36 此 王 その 意 のままに 事 をおこなひ 萬 の 神 に 逾 て 自己 を 高 くし 自己 を 大 にし 神々 の 神 たる 者 にむかひて 大言 を 吐 き 等 して 忿怒 の 息 む 時 までその 志 を 得 ん 其 はその 定 まれるところの 事 成 ざるべからざればなり
37 彼 はその 先祖 の 神々 を 顧 みず 婦女 の 愉快 を 思 はずまた 何 の 神 をも 顧 みざらん 其 は 彼 一切 に 逾 て 自己 を 大 にすればなり
38 彼 は 之 の 代 に 軍 神 を 崇 め 金銀 珠玉 および 寳物 をもてその 先祖 等 の 識 ざりし 神 を 崇 めん
39 彼 はこの 異邦 の 神 に 由 り 要害 の 城々 にむかひて 事 を 爲 ん 凡 て 彼 を 尊 ぶ 者 には 彼 加 ふるに 榮 を 以 てし 之 をして 衆多 の 人 を 治 めしめ 土地 をこれに 分 ち 與 へて 賞賜 とせん
40 終 の 時 にいたりて 南 の 王 彼 と 戰 はん 北 の 王 は 車 と 馬 と 衆多 の 船 をもて 大風 のごとく 之 に 攻寄 せ 國 に 打 いりて 潮 のごとく 溢 れ 渉 らん
41 彼 はまた 美 しき 國 に 進 み 入 ん 彼 のために 亡 ぶる 者 多 かるべし 然 どエドム、モアブ、アンモン 人 の 中 の 第一 なる 者 などは 彼 の 手 を 免 かれん
42 彼 國々 にその 手 を 伸 さんエジプトの 地 も 免 かれがたし
43 彼 は 遂 にエジプトの 金銀 財寳 を 手 に 入 れんリブア 人 とエテオピア 人 は 彼 の 後 に 從 はん
44 彼 東 と 北 より 報知 を 得 て 周章 ふためき 許多 の 人 を 滅 し 絶 んと 大 に 忿 りて 出 ゆかん
45 彼 は 海 の 間 において 美 しき 聖山 に 天 幕 の 宮殿 をしつらはん 然 ど 彼 つひにその 終 にいたらん 之 を 助 くる 者 なかるべし
Chapter 12
1 その 時 汝 の 民 の 人々 のために 立 ところの 大 なる 君 ミカエル 起 あがらん 是 艱難 の 時 なり 國 ありてより 以來 その 時 にいたるまで 斯 る 艱難 ありし 事 なかるべしその 時 汝 の 民 は 救 はれん 即 ち 書 にしるされたる 者 はみな 救 はれん
2 また 地 の 下 に 睡 りをる 者 の 中 衆多 の 者 目 を 醒 さんその 中 永生 を 得 る 者 ありまた 恥辱 を 蒙 りて 限 なく 羞 る 者 あるべし
3 穎悟 者 は 空 の 光輝 のごとくに 耀 かんまた 衆多 の 人 を 義 に 導 ける 者 は 星 のごとくなりて 永遠 にいたらん
4 ダニエルよ 終末 の 時 まで 此 言 を 秘 し 此 書 を 封 じおけ 衆多 の 者 跋 渉 らん 而 して 知識 増 べしと
5 茲 に 我 ダニエル 觀 に 別 にまた 二箇 の 者 ありて 一箇 は 河 の 此旁 の 岸 にあり 一箇 は 河 の 彼旁 の 岸 にありけるが
6 その 一箇 の 者 かの 布 の 衣 を 衣 て 河 の 水 の 上 に 立 る 人 にむかひて 言 り 此 奇跡 は 何 の 時 にいたりて 終 るべきやと
7 我 聞 にかの 布 の 衣 を 衣 て 河 の 水 の 上 に 立 る 人 天 にむかひてその 右 の 手 と 左 の 手 を 擧 げ 永久 に 生 る 者 を 指 て 誓 ひて 言 りその 間 は 一時 と 二時 と 半時 なり 聖 民 の 手 の 碎 くること 終 らん 時 に 是等 の 事 みな 終 るべしと
8 我 聞 たれども 暁 ることを 得 ざりき 我 また 言 りわが 主 よ 是等 の 事 の 終 は 何 ぞやと
9 彼 いひけるはダニエルよ 往 け 此 言 は 終極 の 時 まで 秘 しかつ 封 じ 置 るべし
10 衆多 の 者 淨 められ 潔 よくせられ 試 みられん 然 ど 惡 き 者 は 惡 き 事 を 行 はん 惡 き 者 は 一人 も 暁 ること 無 るべし 然 ど 頴悟 者 は 暁 るべし
11 常供 の 者 を 除 き 殘暴 可惡 者 を 立 ん 時 よりして一 千 二 百 九十 日 あらん
12 待 をりて一 千 三 百 三十五 日 に 至 る 者 は 幸福 なり
13 汝 終 りに 進 み 行 け 汝 は 安息 に 入 り 日 の 終 りに 至 り 起 て 汝 の 分 を 享 ん