Chapter 1
1 サウルの 死 し 後 ダビデ、アマレク 人 を 撃 てかへりチクラグに 二日 とどまりけるが
2 第三日 に 及 びて 一個 の 人 其 衣 を 裂 き 頭 に 土 をかむりて 陣 營 より 即 ちサウルの 所 より 來 りダビデの 許 にいたり 地 にふして 拝 せり
3 ダビデかれにいひけるは 汝 いづくより 來 れるやかれダビデにいひけるはイスラエルの 陣 營 より 逃 れきたれり
4 ダビデかれにいひけるは 事 いかん 請 ふ 我 につげよかれこたへけるは 民 戰 に 敗 れて 逃 げ 民 おほく 仆 れて 死 りまたサウルと 其 子 ヨナタンも 死 り
5 ダビデ 其 おのれにつぐる 少者 にいひけるは 汝 いかにしてサウルと 其 子 ヨナタンの 死 たるをしるや
6 ダビデにつぐる 少者 いひけるは 我 はからずもギルボア 山 にのぼり 見 しにサウル 其 槍 に 倚 かかりをりて 戰車 と 騎兵 かれにせめよらんとせり
7 彼 うしろにふりむきて 我 を 見 我 をよびたれば 我 こたへて 我 ここにありといふ
8 かれ 我 に 汝 は 誰 なるやといひければ 我 かれにこたへて 我 はアマレク 人 なりといふ
9 かれまた 我 にいひけるはわが 身 いたく 攣 ば 請 ふ 我 うへにのりて 我 をころせわが 生命 なほわれの 中 にまつたければなりと
10 我 すなはちかれの 上 にのりてかれを 殺 したり 其 は 我 かれが 旣 に 仆 て 生 ることをえざるをしりたればなりしかして 我 その 首 にありし 冕 とその 腕 にありし 釧 を 取 りてこれをわが 主 に 携 へきたれり
11 是 においてダビデおのれの 衣 を 執 てこれを 裂 けりまた 彼 とともにある 者 も 皆 しかせり
12 彼等 サウルのためまた 其 子 ヨナタンのためまたヱホバの 民 のためイスラエルの 家 のために 哭 きかなしみて 晩 まで 食 を 斷 り 其 は 彼 ら 劍 にたふれたればなり
13 ダビデおのれに 告 し 少者 にいひけるは 汝 は 何處 の 者 なるやかれこたへけるは 我 は 他國 の 人 すなはちアマレク 人 なりと
14 ダビデかれにいひけるは 汝 なんぞ 手 をのばしてヱホバの 膏 そそぎし 者 をころすことを 畏 ざりしやと
15 ダビデ 一人 の 少者 をよびていひけるは 近 よりてかれをころせとすなはちかれをうちければ 死 り
16 ダビデかれにいひけるは 汝 の 血 は 汝 の 首 に 歸 せよ 其 は 汝 口 づから 我 ヱホバのあぶらそそぎし 者 をころせりといひて 己 にむかひて 證 をたつればなり
17 ダビデ 悲 歌 をもてサウルと 其 子 ヨナタンを 吊 ふ
18 ダビデ 命 じてこれをユダの 族 にをしへしむ 即 ち 弓 の 歌 是 なり 是 はヤシル 書 に 記 さる
19 イスラエルよ 汝 の 榮耀 は 汝 の 崇邱 に 殺 さる 嗚呼 勇士 は 仆 れたるかな
20 此事 をガテに 告 るなかれアシケロンの 邑 に 傳 るなかれ 恐 くはペリシテ 人 の 女等 喜 ばん 恐 くは 割禮 を 受 ざる 者 の 女等 樂 み 祝 はん
21 ギルボアの 山 よ 願 は 汝 の 上 に 雨露 降 ることあらざれ 亦 供物 の 田園 もあらざれ 其 は 彼處 に 勇士 の 干 棄 らるればなり 即 ちサウルの 干 膏 を 沃 がずして 彼處 に 棄 らる
22 殺 せし 者 の 血 をのまずしてヨナタンの 弓 は 退 かず 勇士 の 脂 を 食 ずしてサウルの 劍 は 空 く 歸 らず
23 サウルとヨナタンは 愛 らしく 樂 げにして 生 死 ともに 離 れず 二人 は 鷲 よりも 捷 く 獅子 よりも 強 かりき
24 イスラエルの 女等 よサウルのために 哀 けサウルは 絳 き 衣 をもて 汝等 を 華麗 に 粧 ひ 金 の 飾 を 汝等 の 衣 に 着 たり
25 嗚呼 勇士 は 戰 の 中 に 仆 たるかなヨナタン 汝 の 崇邱 に 殺 されぬ
26 兄弟 ヨナタンよ 我 汝 のために 悲慟 む 汝 は 大 に 我 に 樂 き 者 なりき 汝 の 我 をいつくしめる 愛 は 尋常 ならず 婦 の 愛 にも 勝 りたり
27 嗚呼 勇士 は 仆 たるかな 戰 の 具 は 失 たるかな
Chapter 2
1 此 のちダビデ、ヱホバに 問 ていひけるは 我 ユダのひとつの 邑 にのぼるべきやヱホバかれにいひたまひけるはのぼれダビデいひけるは 何處 にのぼるべきやヱホバいひたまひけるはヘブロンにのぼるべしと
2 ダビデすなはち 彼處 にのぼれりその 二人 の 妻 ヱズレル 人 アヒノアムおよびカルメル 人 ナバルの 妻 なりしアビガルもともにのぼれり
3 ダビデ 其 おのれとともにありし 從者 と 其 家族 をことごとく 將 のぼりければ 皆 ヘブロンの 諸巴 にすめり
4 時 にユダの 人々 きたり 彼處 にてダビデに 膏 をそそぎてユダの 家 の 王 となせり 人々 ダビデにつげてサウルを 葬 りしはヤベシギレアデの 人 なりといひければ
5 ダビデ 使者 をヤベシギレアデの 人 におくりてこれにいひけるは 汝 らこの 厚 意 を 汝 らの 主 サウルにあらはしてかれを 葬 りたればねがはくは 汝 らヱホバより 福祉 をえよ
6 ねがはくはヱホバ 恩寵 と 眞實 を 汝等 にしめしたまへ 汝 らこの 事 をなしたるにより 我 亦 汝 らに 此 恩惠 をしめすなり
7 されば 汝 ら 手 をつよくして 勇 ましくなれ 汝 らの 主 サウルは 死 たり 又 ユダの 家 我 に 膏 をそそぎて 我 をかれらの 王 となしたればなりと
8 爰 にサウルの 軍 の 長 ネルの 子 アブネル、サウルの 子 イシボセテを 取 りてこれをマナイムにみちびきわたり
9 ギレアデとアシユリ 人 とヱズレルとエフライムとベニヤミンとイスラエルの 衆 の 王 となせり
10 サウルの 子 イシボセテはイスラエルの 王 となりし 時 四十 歳 にして二 年 のあひだ 位 にありしがユダの 家 はダビデにしたがへり
11 ダビデのヘブロンにありてユダの 家 の 王 たりし 日 數 は七 年 と六ヶ 月 なりき
12 ネルの 子 アブネル 及 びサウルの 子 なるイシボセテの 臣僕 等 マハナイムを 出 てギベオンに 至 れり
13 セルヤの 子 ヨアブとダビデの 臣僕 もいでゆけり 彼 らギベオンの 池 の 傍 にて 出會 一方 は 池 の 此畔 に 一方 は 池 の 彼畔 に 坐 す
14 アブネル、ヨアブにいひけるはいざ 少者 をして 起 て 我 らのまへに 戯 れしめんヨアブいひけるは 起 しめんと
15 サウルの 子 イシボセテに 屬 するベニヤミンの 人 其 數 十二 人 及 びダビデの 臣僕 十二 人 起 て 前 み
16 おのおの 其 敵手 の 首 を 執 へて 劍 を 其 敵手 の 脅 に 刺 し 斯 して 彼等 倶 に 斃 れたり 是故 に 其 處 はヘルカテハヅリム(利劍 の 地)と 稱 らる 即 ちギベオンにあり
17 此 日 戰 甚 だ 烈 しくしてアブネルとイスラエルの 人々 ダビデの 臣僕 のまへに 敗 る
18 其處 にゼルヤの三 人 の 子 ヨアブ、アビシヤイ、アサヘル 居 たりしがアサヘルは 疾足 なること 野 にをる 麆 のごとくなりき
19 アサヘル、アブネルの 後 を 追 ひけるが 行 に 右左 にまがらずアブネルの 後 をしたふ
20 アブネル 後 を 顧 みていふ 汝 はアサヘルなるか 彼 しかりと 答 ふ
21 アブネルかれにいひけるは 汝 の 右 か 左 に 轉向 て 少者 の 一人 を 擒 へて 其 戎服 を 取 れと 然 どアサヘル、アブネルをおふことを 罷 て 外 に 向 ふを 肯 ぜず
22 アブネルふたたびアサヘルにいふ 汝 我 を 追 ことをやめて 外 に 向 へ 我 なんぞ 汝 を 地 に 撃 ち 仆 すべけんや 然 せば 我 いかでかわが 面 を 汝 の 兄 ヨアブにむくべけんと
23 然 どもかれ 外 にむかふことをいなむによりアブネル 槍 の 後銛 をもてかれの 腹 を 刺 しければ 槍 その 背後 にいでたりかれ 其處 にたふれて 立時 に 死 り 斯 しかばアサヘルの 仆 れて 死 るところに 來 る 者 は 皆 たちどまれり
24 されどヨアブとアビシヤイはアブネルの 後 を 追 きたりしがギベオンの 野 の 道 傍 にギアの 前 にあるアンマの 山 にいたれる 時 日 暮 ぬ
25 ベニヤミンの 子孫 アブネルにしたがひて 集 まり 一隊 となりてひとつの 山 の 頂 にたてり
26 爰 にアブネル、ヨアブをよびていひけるは 刀劍 豈 永久 にほろぼさんや 汝 其 終 りには 怨恨 を 結 ぶにいたるをしらざるや 汝 何時 まで 民 に 其 兄弟 を 追 ふことをやめてかへることを 命 ぜざるや
27 ヨアブいひけるは 神 は 活 く 若 し 汝 が 言 出 さざりしならば 民 はおのおの 其 兄弟 を 追 はずして 今晨 のうちにさりゆきしならんと
28 かくてヨアブ 喇叭 を 吹 きければ 民 皆 たちどまりて 再 イスラエルの 後 を 追 はずまたかさねて 戰 はざりき
29 アブネルと 其 從者 終夜 アラバを 經 ゆきてヨルダンを 濟 りビテロンを 通 りてマハナイムに 至 れり
30 ヨアブ、アブネルを 追 ことをやめて 歸 り 民 をことごとく 集 めたるにダビデの 臣僕 十九 人 とアサヘル 缺 てをらざりき
31 されどダビデの 臣僕 はベニヤミンとアブネルの 從者 三 百 六十 人 を 撃 ち 殺 せり
32 人々 アサヘルを 取 りあげてベテレヘムにある 其 父 の 墓 に 葬 るヨアブと 其 從者 は 終夜 ゆきて 黎明 にヘブロンにいたれり
Chapter 3
1 サウルの 家 とダビデの 家 の 間 の 戰爭 久 しかりしがダビデは 益 強 くなりサウルの 家 はますます 弱 くなれり
2 ヘブロンにてダビデに 男子等 生 る 其 首出 の 子 はアムノンといひてヱズレル 人 アヒノアムより 生 る
3 其 次 はギレアブといひてカルメル 人 ナバルの 妻 なりしアビガルより 生 る 第 三はアブサロムといひてゲシユルの 王 タルマイの 女子 マアカの 子 なり
4 第 四はアドニヤといひてハギテの 子 なり 第 五はシバテヤといひてアビタルの 子 なり
5 第 六はイテレヤムといひてダビデの 妻 エグラの 子 なり 是等 の 子 ヘブロンにてダビデに 生 る
6 サウルの 家 とダビデの 家 の 間 に 戰爭 ありし 間 アブネルは 堅 くサウルの 家 に 荷擔 り
7 嚮 にサウル 一人 の 妾 を 有 り 其 名 をリヅパといふアヤの 女 なり 爰 にイシボセテ、アブネルにいひけるは 汝 何 ぞわが 父 の 妾 に 通 じたるや
8 アブネル 甚 しくイシボセテの 言 を 怒 りていひけるは 我 今日 汝 の 父 サウルの 家 とその 兄弟 とその 朋友 に 厚 意 をあらはし 汝 をダビデの 手 にわたさざるに 汝 今日 婦人 の 過 を 擧 て 我 を 責 む 我 あに 犬 の 首 ならんやユダにくみする 者 ならんや
9 神 アブネルに 斯 なしまたかさねて 斯 なしたまへヱホバのダビデに 誓 ひたまひしごとく 我 かれに 然 なすべし
10 即 ち 國 をサウルの 家 より 移 しダビデの 位 をダンよりベエルシバにいたるまでイスラエルとユダの 上 にたてん
11 イシボセテ、アブネルを 恐 れたればかさねて 一言 も 之 にこたふるをえざりき
12 アブネルおのれの 代 に 使者 をダビデにつかはしていひけるは 此地 は 誰 の 所有 なるや 又 いひけるは 汝 我 と 契約 を 爲 せ 我 力 を 汝 に 添 へてイスラエルを 悉 く 汝 に 歸 せしめん
13 ダビデいひけるは 善 し 我 汝 と 契約 をなさん 但 し 我 一 の 事 を 汝 に 索 む 即 ち 汝 來 りてわが 面 を 覿 る 時 先 づサウルの 女 ミカルを 携 きたらざれば 我 面 を 覿 るを 得 じと
14 ダビデ 使者 をサウルの 子 イシボセテに 遣 していひけるはわがペリシテ 人 の 陽皮 一百 を 以 て 聘 たるわが 妻 ミカルを 我 に 交 すべし
15 イシボセテ 人 をつかはしてかれを 其 夫 ライシの 子 パルテより 取 しかば
16 其 夫 哭 つつ 歩 みて 其 後 にしたがひて 倶 にバホリムにいたりしがアブネルかれに 歸 り 往 けといひければすなはち 歸 りぬ
17 アブネル、イスラエルの 長老等 と 語 りていひけるは 汝 ら 前 よりダビデを 汝 らの 王 となさんことを 求 め 居 たり
18 されば 今 これをなすべし 其 はヱホバ、ダビデに 付 て 語 りて 我 わが 僕 ダビデの 手 を 以 てわが 民 イスラエルをペリシテ 人 の 手 よりまたその 諸 の 敵 の 手 より 救 ひいださんといひたまひたればなりと
19 アブネル 亦 ベニヤミンの 耳 に 語 れりしかしてアブネル 自 らイスラエルおよびベニヤミンの 全家 の 善 とおもふ 所 をヘブロンにてダビデの 耳 に 告 んとて 往 り
20 すなはちアブネル二十 人 をしたがへてヘブロンにゆきてダビデの 許 にいたりければダビデ、アブネルと 其 したがへる 從者 のために 酒宴 を 設 けたり
21 アブネル、ダビデにいひけるは 我 起 てゆきイスラエルをことごとくわが 主 王 の 所 に 集 めて 彼等 に 汝 と 契約 を 立 しめ 汝 をして 心 の 望 む 所 の 者 をことごとく 治 むるにいたらしめんと 是 においてダビデ、アブネルを 歸 してかれ 安然 に 去 り
22 時 にダビデの 臣僕 およびヨアブ 人 の 國 を 侵 して 歸 り 大 なる 掠取物 を 携 へきたれり 然 どアブネルはタビデとともにヘブロンにはをらざりき 其 はダビデかれを 歸 してかれ 安然 に 去 りたればなり
23 ヨアブおよびともにありし 軍兵 皆 かへりきたりしとき 人々 ヨアブに 告 ていひけるはネルの 子 アブネル 王 の 所 にきたりしが 王 かれを 返 してかれ 安然 にされりと
24 ヨアブ 王 に 詣 りていひけるは 汝 何 を 爲 したるやアブネル 汝 の 所 にきたりしに 汝 何故 にかれを 返 して 去 ゆかしめしや
25 汝 ネルの 子 アブネルが 汝 を 誑 かさんとてきたり 汝 の 出 入 を 知 りまた 汝 のすべて 爲 す 所 を 知 んために 來 りしを 知 ると
26 かくてヨアブ、ダビデの 所 より 出 來 り 使者 をつかはしてアブネルを 追 しめたれば 使者 シラの 井 よりかれを 將 返 れりされどダビデは 知 ざりき
27 アブネル、ヘブロンに 返 りしかばヨアブ 彼 と 密 に 語 らんとてかれを 門 の 内 に 引 きゆき 其處 にてその 腹 を 刺 てこれを 殺 し 己 の 兄弟 アサヘルの 血 をむくいたり
28 其 後 ダビデ 聞 ていひけるは 我 と 我 國 はネルの 子 アブネルの 血 につきてヱホバのまへに 永 く 罪 あることなし
29 其 罪 はヨアブの 首 と 其 父 の 全家 に 歸 せよねがはくはヨアブの 家 には 白 濁 を 疾 ものか 癩 病 人 か 杖 に 倚 ものか 劍 に 仆 るものか 食物 に 乏 しき 者 か 絶 ゆることあらざれと
30 ヨアブとその 弟 アビシヤイのアブネルを 殺 したるは 彼 がギベオンにて 戰陣 のうちにおのれの 兄弟 アサヘルをころせしによれり
31 ダビデ、ヨアブおよびおのれとともにある 民 にいひけるは 汝 らの 衣服 を 裂 き 麻 の 衣 を 著 てアブネルのために 哀哭 くべしとダビデ 王 其 棺 にしたがふ
32 人衆 アブネルをヘブロンに 葬 れり 王 聲 をあげてアブネルの 墓 に 哭 き 又 民 みな 哭 けり
33 王 アブネルの 爲 に 悲 の 歌 を 作 りて 云 くアブネル 如何 にして 愚 なる 人 の 如 くに 死 けん
34 汝 の 手 は 縛 もあらず 汝 の 足 は 鏈 にも 繋 れざりしものを 嗚呼 汝 は 惡人 のために 仆 る 人 のごとくにたふれたり 斯 て 民 皆 再 びかれのために 哭 けり
35 民 みな 日 のあるうちにダビデにパンを 食 はしめんとて 來 りしにダビデ 誓 ひていひけるは 若 し 日 の 沒 まへに 我 パンにても 何 にても 味 ひなば 神 我 にかくなし 又 重 ねて 斯 なしたまへと
36 民 皆 見 て 之 を 其 目 に 善 しとせり 凡 て 王 の 爲 すところの 事 は 皆 民 の 目 に 善 と 見 えたり
37 其 日 民 すなはちイスラエル 皆 ネルの 子 アブネルを 殺 たるは 王 の 所爲 にあらざるを 知 れり
38 王 その 臣僕 にいひけるは 今日 一人 の 大 將 大 人 イスラエルに 斃 る 汝 らこれをしらざるや
39 我 は 膏 そそがれし 王 なれども 今日 尚 弱 しゼルヤの 子等 なる 此 等 の 人 我 には 制 しがたしヱホバ 惡 をおこな 者 に 其 惡 に 隨 ひて 報 いたまはん
Chapter 4
1 サウルの 子 はアブネルのヘブロンにて 死 たるを 聞 きしかば 其 手 弱 くなりてイスラエルみな 憂 へたり
2 サウルの 子 隊 長 二人 を 有 てり 其 一人 をバアナといひ 一人 をレカブといふベニヤミンの 支派 なるベロテ 人 リンモンの 子等 なり 其 はベロテも 亦 ベニヤミンの 中 に 數 らるればなり
3 昔 にペロテ 人 ギツタイムに 逃遁 れて 今日 にいたるまで 彼處 に 旅人 となりて 止 まる
4 サウルの 子 ヨナタンに 跛足 の 子 一人 ありヱズレルよりサウルとヨナタンの 事 の 報 いたりし 時 には五 歳 なりき 其 乳媼 かれを 抱 きて 逃 れたりしが 急 ぎ 逃 る 時 其 子 堕 て 跛者 となれり 其 名 をメピボセテといふ
5 ベロテ 人 リンモンの 子 レカブとバアナゆきて 日 の 熱 き 頃 イシボセテの 家 にいたるにイシボセテ 午睡 し 居 たり
6 かれら 麥 を 取 らんといひて 家 の 中 にいりきたりかれの 腹 を 刺 りしかしてレカブと 其 兄弟 バアナ 逃 げさりぬ
7 彼等 が 家 にいりしときイシボセテは 其 寝室 にありて 床 の 上 に 寝 たりかれら 即 ちこれをうちころしこれを 馘 りて 其 首級 をとり 終夜 アラバの 道 をゆきて
8 イシボセテの 首級 をヘブロンにダビデの 許 に 携 へいたりて 王 にいひけるは 汝 の 生命 を 求 めたる 汝 の 敵 サウルの 子 イシボセテの 首 を 視 よヱホバ 今日 我 主 なる 王 の 仇 をサウルと 其 裔 に 報 いたまへりと
9 ダビデ、ベロテ 人 リンモンの 子 レカブと 其 兄弟 バアナに 答 へていひけるはわが 生命 を 諸 の 艱難 の 中 に 救 ひたまひしヱホバは 生 く
10 我 は 嘗 て 人 の 我 に 告 て 視 よサウルは 死 りと 言 ひて 自 ら 我 に 善 き 事 を 傳 ふる 者 と 思 ひをりしを 執 てこれをチクラグに 殺 し 其 消息 に 報 いたり
11 况 や 惡人 の 義人 を 其 家 の 床 の 上 に 殺 したるをやされば 我 彼 の 血 をながせる 罪 を 汝 らに 報 い 汝 らをこの 地 より 絶 ざるべけんやと
12 ダビデ 少者 に 命 じければ 少者 かれらを 殺 して 其 手 足 を 切 離 しヘブロンの 池 の 上 に 懸 たり 又 イシボセテの 首 を 取 りてヘブロンにあるアブネルの 墓 に 葬 れり
Chapter 5
1 爰 にイスラエルの 支派 咸 くヘブロンにきたりダビデにいたりていひけるは 視 よ 我儕 は 汝 の 骨 肉 なり
2 前 にサウルが 我儕 の 王 たりし 時 にも 汝 はイスラエルを 率 ゐて 出 入 する 者 なりきしかしてヱホバ 汝 に 汝 わが 民 イスラエルを 牧養 はん 汝 イスラエルの 君長 とならんといひたまへりと
3 斯 くイスラエルの 長老 皆 ヘブロンにきたり 王 に 詣 りければダビデ 王 ヘブロンにてヱホバのまへにかれらと 契約 をたてたり 彼 らすなはちダビデに 膏 を 灑 でイスラエルの 王 となす
4 ダビデは 王 となりし 時 三十 歳 にして四十 年 の 間 位 に 在 き
5 即 ちヘブロンにてユダを 治 むること七 年 と六 箇 月 またエルサレムにてイスラエルとユダを 全 く 治 むること三十三 年 なり
6 茲 に 王 其 從者 とともにエルサレムに 往 き 其 地 の 居民 ヱブス 人 を 攻 んとすヱブス 人 ダビデに 語 りていひけるは 汝 此 に 入 ること 能 はざるべし 反 て 盲者 跛者 汝 を 追 はらはんと 是 彼 らダビデ 此 に 入 るあたはずと 思 へるなり
7 然 るにダビデ、シオンの 要害 を 取 り 是 即 ちダビデの 城邑 なり
8 ダビデ 其 日 いひけるは 誰 にても 水 道 にいたりてヱブス 人 を 撃 ちまたダビデの 心 の 惡 める 跛者 と 盲者 を 撃 つ 者 は(首 となし 長 となさん)と 是 によりて 人々 盲者 と 跛者 は 家 に 入 るべからずといひなせり
9 ダビデ 其 要害 に 住 て 之 をダビデの 城邑 と 名 けたりまたダビデ、ミロ(城塞)より 内 の 四方 に 建築 をなせり
10 かくてダビデはますます 大 に 成 りゆき 且 萬軍 の 神 ヱホバこれと 共 にいませり
11 ツロの 王 ヒラム 使者 をダビデに 遣 はして 香柏 および 木匠 と 石工 をおくれり 彼 らダビデの 爲 に 家 を 建 つ
12 ダビデ、ヱホバのかたく 己 をたててイスラエルの 王 となしたまへるを 暁 りまたヱホバの 其 民 イスラエルのために 其 國 を 興 したまひしを 暁 れり
13 ダビデ、ヘブロンより 來 りし 後 エルサレムの 中 よりまた 妾 と 妻 を 納 たれば 男子 女子 またダビデに 生 る
14 ヱルサレムにて 彼 に 生 れたる 者 の 名 はかくのごとしシヤンマ、シヨバブ、ナタン、ソロモン
15 イブハル、エリシユア、ネペグ、ヤピア
16 エリシヤマ、エリアダ、エリバレテ
17 爰 に 膏 を 沃 いでダビデをイスラエルの 王 と 爲 し 事 ペリシテ 人 に 聞 えければペリシテ 人 皆 ダビデを 獲 んとて 上 るダビデ 聞 て 要害 に 下 れり
18 ペリシテ 人 臻 りてレバイムの 谷 に 布 き 備 たり
19 ダビデ、ヱホバに 問 ていひけるは 我 ペリシテ 人 にむかひて 上 るべきや 汝 かれらをわが 手 に 付 したまふやヱホバ、ダビデにいひたまひけるは 上 れ 我 必 らずペリシテ 人 を 汝 の 手 にわたさん
20 ダビデ、バアルペラジムに 至 りかれらを 其所 に 撃 ていひけるはヱホバ 水 の 破壞 り 出 るごとく 我 敵 をわが 前 に 破壞 りたまへりと 是故 に 其所 の 名 をバアルペラジム(破壞 の 處)と 呼 ぶ
21 彼處 に 彼等 其 偶像 を 遺 たればダビデと 其 從者 これを 取 あげたり
22 ペリシテ 人 再 び 上 りてレバイムの 谷 に 布 き 備 へたれば
23 ダビデ、ヱホバに 問 にヱホバいひたまひけるは 上 るべからず 彼等 の 後 にまはりベカの 樹 の 方 より 彼等 を 襲 へ
24 汝 ベカの 樹 の 上 に 進行 の 音 を 聞 ばすなけち 突 出 づべし 其時 にはヱホバ 汝 のまへにいでてペリシテ 人 の 軍 を 撃 たまふべければなりと
25 ダビデ、ヱホバのおのれに 命 じたまひしごとくなしペリシテ 人 を 撃 てゲバよりガゼルにいたる
Chapter 6
1 ダビデ 再 びイスラエルの 選抜 の 兵士 三 萬人 を 悉 く 集 む
2 ダビデ 起 ておのれと 共 にをる 民 とともにバアレユダに 往 て 神 の 櫃 を 其處 より 舁 上 らんとす 其 櫃 はケルビムの 上 に 坐 したまふ 萬軍 のヱホバの 名 をもて 呼 る
3 すなはち 神 の 櫃 を 新 しき 車 に 載 せて 山 にあるアビナダブの 家 より 舁 だせり
4 アビナダブの 子 ウザとアヒオ 神 の 櫃 を 載 たる 其 新 しき 車 を 御 しアヒオは 櫃 のまへにゆけり
5 ダビデおよびイスラエルの 全家 琴 と 瑟 と 鼗 と 鈴 と 鐃鈸 をもちて 力 を 極 め 謡 を 歌 ひてヱホバのまへに 躍踴 れり
6 彼等 がナコンの 禾場 にいたれる 時 ウザ 手 を 神 の 櫃 に 伸 してこれを 扶 へたり 其 は 牛 振 たればなり
7 ヱホバ、ウザにむかひて 怒 りを 發 し 其 誤謬 のために 彼 を 其處 に 撃 ちたまひければ 彼 そこに 神 の 櫃 の 傍 に 死 ねり
8 ヱホバ、ウザを 撃 ちたまひしによりてダビデ 怒 り 其處 をペレヅウザ(ウザ 撃)と 呼 り 其 名 今日 にいたる
9 其 日 ダビデ、ヱホバを 畏 れていひけるはヱホバの 櫃 いかで 我所 にいたるべけんやと
10 ダビデ、ヱホバの 櫃 を 己 に 移 してダビデの 城邑 にいらしむるを 好 まず 之 を 轉 してガテ 人 オベデエドムの 家 にいたらしむ
11 ヱホバの 櫃 ガテ 人 オベデエドムの 家 に 在 ること 三月 なりきヱホバ、オベデエドムと 其 全家 を 惠 みたまふ
12 ヱホバ 神 の 櫃 のためにオベデエドムの 家 と 其 所有 を 皆 惠 みたまふといふ 事 ダビデ 王 に 聞 えけれぼダビデゆきて 喜樂 をもて 神 の 櫃 をオベデエドムの 家 よりダビデの 城邑 に 舁 上 れり
13 ヱホバの 櫃 を 舁 者 六歩 行](ゆき)}たる 時 ダビデ 牛 と 肥 たる 者 を 献 げたり
14 ダビデ 力 を 極 めてヱホバの 前 に 踊躍 れり 時 にダビデ 布 のエポデを 著 け 居 たり
15 ダビデおよびイスラエルの 全家 歓呼 と 喇叭 の 聲 をもてヱホバの 櫃 を 舁 のぼれり
16 神 の 櫃 ダビデの 城邑 にいりし 時 サウルの 女 ミカル 窻 より 窺 ひてダビデ 王 のヱホバのまへに 舞 躍 るを 見 其心 にダビデを 蔑視 む
17 人々 ヱホバの 櫃 を 舁 入 てこれをダビデが 其 爲 に 張 たる 天 幕 の 中 なる 其 所 に 置 りしかしてダビデ 燔祭 と 酬恩祭 をヱホバのまへに 献 げたり
18 ダビデ 燔祭 と 酬恩祭 を 献 ぐることを 終 し 時 萬軍 のヱホバの 名 を 以 て 民 を 祝 せり
19 また 民 の 中 即 ちイスラエルの 衆庶 の 中 に 男 にも 女 にも 倶 にパン 一箇 肉 一斤 乾葡萄 一 塊 を 分 ちあたへたり 斯 て 民 皆 おのおの 其 家 にかへりぬ
20 爰 にダビデ 其 家族 を 祝 せんとて 歸 りしかばサウルの 女 ミカル、ダビデをいでむかへていひけるはイスラエルの 王 今日 如何 に 威光 ありしや 自 ら 遊蕩者 の 其 身 を 露 すがごとく 今日 其 臣僕 の 婢 女 のまへに 其 身 を 露 したまへりと
21 ダビデ、ミカルにいふ 我 はヱホバのまへに 即 ち 汝 の 父 よりもまたその 全家 よりも 我 を 選 みて 我 をヱホバの 民 イスラエルの 首長 に 命 じたまへるヱホバのまへに 躍 れり
22 我 は 此 よりも 尚 鄙 からんまたみづから 賤 しと 思 はん 汝 が 語 る 婢 女 等 とともにありて 我 は 尊榮 をえんと
23 是故 にサウルの 女 ミカルは 死 ぬる 日 まで 子 あらざりき
Chapter 7
1 王 其 家 に 住 にいたり 且 ヱホバ 其 四方 の 敵 を 壞 てかれを 安 らかならしめたまひし 時
2 王 預言者 ナタンに 云 けるは 視 よ 我 は 香柏 の 家 に 住 む 然 ども 神 の 櫃 は 幔幕 の 中 にあり
3 ナタン 王 に 云 けるはヱホバ 汝 と 共 に 在 せば 往 て 凡 て 汝 の 心 にあるところを 爲 せ
4 其 夜 ヱホバの 言 ナタンに 臨 みていはく
5 往 てわが 僕 ダビデに 言 へヱホバ 斯 く 言 ふ 汝 わがために 我 の 住 むべき 家 を 建 んとするや
6 我 はイスラエルの 子孫 をエジプトより 導 き 出 せし 時 より 今日 にいたるまで 家 に 住 しことなくして 但 天 幕 と 幕屋 の 中 に 歩 み 居 たり
7 我 イスラエルの 子孫 と 共 に 凡 て 歩 める 處 にて 汝 ら 何故 に 我 に 香柏 の 家 を 建 ざるやとわが 命 じてわが 民 イスラエルを 牧養 しめしイスラエルの 士師 の 一人 に 一 言 も 語 りしことあるや
8 然 ば 汝 わが 僕 ダビデに 斯 く 言 ふべし 萬軍 のヱホバ 斯 く 言 ふ 我 汝 を 牧場 より 取 り 羊 に 隨 ふ 所 より 取 りてわが 民 イスラエルの 首長 となし
9 汝 がすべて 往 くところにて 汝 と 共 にあり 汝 の 諸 の 敵 を 汝 の 前 より 斷 さりて 地 の 上 の 大 なる 者 の 名 のごとく 汝 に 大 なる 名 を 得 さしめたり
10 又 我 わが 民 イスラエルのために 處 を 定 めてかれらを 植 つけかれらをして 自己 の 處 に 住 て 重 て 動 くことなからしめたり
11 また 惡人 昔 のごとくまたわが 民 イスラエルの 上 に 士師 を 立 てたる 時 よりの 如 くふたたび 之 を 惱 ますことなかるべし 我 汝 の 諸 の 敵 をやぶりて 汝 を 安 かならしめたり 又 ヱホバ 汝 に 告 ぐヱホバ 汝 のために 家 をたてん
12 汝 の 日 の 滿 て 汝 が 汝 の 父祖 等 と 共 に 寝 らん 時 に 我 汝 の 身 より 出 る 汝 の 種子 を 汝 の 後 にたてて 其 國 を 堅 うせん
13 彼 わが 名 のために 家 を 建 ん 我 永 く 其 國 の 位 を 堅 うせん
14 我 はかれの 父 となり 彼 はわが 子 となるべし 彼 もし 迷 はば 我 人 の 杖 と 人 の 子 の 鞭 を 以 て 之 を 懲 さん
15 されど 我 の 恩惠 はわが 汝 のまへより 除 きしサウルより 離 れたるごとくに 彼 よりは 離 るることあらじ
16 汝 の 家 と 汝 の 國 は 汝 のまへに 永 く 保 つべし 汝 の 位 は 永 く 堅 うせらるべし
17 ナタン 凡 て 是等 の 言 のごとくまたすべてこの 異象 のごとくダビデに 語 りければ
18 ダビデ 王 入 りてヱホバの 前 に 坐 していひけるは 主 ヱホバよ 我 は 誰 わが 家 は 何 なればか 爾 此 まで 我 を 導 きたまひしや
19 主 ヱホバよ 此 はなほ 汝 の 目 には 小 き 事 なり 汝 また 僕 の 家 の 遥 か 後 の 事 を 語 りたまへり 主 ヱホバよ 是 は 人 の 法 なり
20 ダビデ 此 上 何 を 汝 に 言 ふを 得 ん 其 は 主 ヱホバ 汝 僕 を 知 たまへばなり
21 汝 の 言 のためまた 汝 の 心 に 隨 ひて 汝 此 諸 の 大 なることを 爲 し 僕 に 之 をしらしめたまふ
22 故 に 神 ヱホバよ 爾 は 大 なり 其 は 我 らが 凡 て 耳 に 聞 る 所 に 依 ば 汝 の 如 き 者 なくまた 汝 の 外 に 神 なければなり
23 地 の 何 れの 國 か 汝 の 民 イスラエルの 如 くなる 其 は 神 ゆきてかれらを 贖 ひ 己 の 民 となして 大 なる 名 を 得 たまひまた 彼 らの 爲 に 大 なる 畏 るべき 事 を 爲 したまへばなり 即 ち 汝 がエジプトより 贖 ひ 取 たまひし 民 の 前 より 國々 の 人 と 其 諸 神 を 逐 拂 ひたまへり
24 汝 は 汝 の 民 イスラエルをかぎりなく 汝 の 民 として 汝 に 定 めたまへりヱホバよ 汝 はかれの 神 となりたまふ
25 されば 神 ヱホバよ 汝 が 僕 と 其 家 につきて 語 りたまひし 言 を 永 く 堅 うして 汝 のいひしごとく 爲 たまへ
26 ねがはくは 永久 に 汝 の 名 を 崇 めて 萬軍 のヱホバはイスラエルの 神 なりと 曰 しめたまへねがはくは 僕 ダビデの 家 をして 汝 のまへに 堅 く 立 しめたまへ
27 其 は 萬軍 のヱホバ、イスラエルの 神 よ 汝 僕 の 耳 に 示 して 我 汝 に 家 をたてんと 言 たまひたればなり 是故 に 僕 此 祈祷 を 汝 に 爲 す 道 を 心 の 中 に 得 たり
28 主 ヱホバよ 汝 は 神 なり 汝 の 言 は 眞 なり 汝 この 惠 を 僕 に 語 りたまへり
29 願 くは 僕 の 家 を 祝福 て 汝 のまへに 永 く 続 くことを 得 さしめたまへ 其 は 主 ヱホバ 汝 これを 語 りたまへばなりねがはくは 汝 の 祝福 によりて 僕 の 家 に 永 く 祝福 を 蒙 らしめたまへ
Chapter 8
1 此 後 ダビデ、ペリシテ 人 を 撃 てこれを 服 すダビデまたペリシテ 人 の 手 よりメテグアンマをとれり
2 ダビデまたモアブを 撃 ち 彼 らをして 地 に 伏 しめ 繩 をもてかれらを 度 れり 即 ち 二條 の 繩 をもて 死 す 者 を 度 り 一條 の 繩 をもて 生 しおく 者 を 量度 るモアブ 人 は 貢物 を 納 てダビデの 臣僕 となれり
3 ダビデまたレホブの 子 なるゾバの 王 ハダデゼルがユフラテ 河 の 邊 にて 其 勢 を 新 にせんとて 往 るを 撃 り
4 しかしてダビデ 彼 より 騎兵 千 七 百 人 歩 兵 二 萬人 を 取 りまたダビデ 一 百 の 車 の 馬 を 存 して 其 餘 の 車 馬 は 皆 其 筋 を 切斷 り
5 ダマスコのスリア 人 ゾバの 王 ハダデゼルを 援 んとて 來 りければダビデ、スリア 人 二 萬 二 千 を 殺 せり
6 しかしてダビデ、ダマスコのスリアに 代 官 を 置 きぬスリア 人 は 貢物 を 納 てダビデの 臣僕 となれりヱホバ、ダビデを 凡 て 其 往 く 所 にて 助 けたまへり
7 ダビデ、ハダデゼルの 臣僕 等 の 持 る 金 の 楯 を 奪 ひてこれをエルサレムに 携 きたる
8 ダビデ 王 又 ハダデゼルの 邑 ベタとベロタより 甚 だ 多 くの 銅 を 取 り
9 時 にハマテの 王 トイ、ダビデがハダデゼルの 總 の 軍 を 撃破 りしを 聞 て
10 トイ 其 子 ヨラムをダビデ 王 につかはし 安否 を 問 ひかつ 祝 を 宣 しむ 其 はハダデゼル 嘗 てトイと 戰 を 爲 したるにダビデ、ハダデゼルとたたかひてこれを 撃 やぶりたればなりヨラム 銀 の 器 と 金 の 器 と 銅 の 器 を 携 へ 來 りければ
11 ダビデ 王 其 攻 め 伏 せたる 諸 の 國民 の 中 より 取 りて 納 めたる 金銀 と 共 に 是等 をもヱホバに 納 めたり
12 即 ちエドムよりモアブよりアンモンの 子孫 よりペリシテ 人 よりアマレクよりえたる 物 およびゾバの 王 レホブの 子 ハダデゼルより 得 たる 掠取物 とともにこれを 納 めたり
13 ダビデ 鹽 谷 にてエドム 人 一 萬 八 千 を 撃 て 歸 て 名譽 を 得 たり
14 ダビデ、エドムに 代 官 を 置 り 即 ちエドムの 全地 に 徧 く 代 官 を 置 てエドム 人 は 皆 ダビデの 臣僕 となれりヱホバ、ダビデを 凡 て 其 往 くところにて 助 け 給 へり
15 ダビデ、イスラエルの 全地 を 治 め 其 民 に 公道 と 正義 を 行 ふ
16 ゼルヤの 子 ヨアブは 軍 の 長 アヒルデの 子 ヨシヤバテは 史 官
17 アヒトブの 子 ザドクとアビヤタルの 子 アヒメレクは 祭司 セラヤは 書記 官
18 ヱホヤダの 子 ベナヤはケレテ 人 およびペレテ 人 の 長 ダビデの 子等 は 大臣 なりき
Chapter 9
1 爰 にダビデいひけるはサウルの 家 の 遺存 れる 者 尚 あるや 我 ヨナタンの 爲 に 其人 に 恩惠 をほどこさんと
2 サウルの 家 の 僕 なるヂバと 名 くる 者 ありければかれをダビデの 許 に 召 きたるに 王 かれにいひけるは 汝 はヂバなるか 彼 いふ 僕 是 なり
3 王 いひけるは 尚 サウルの 家 の 者 あるか 我 其人 に 神 の 恩惠 をほどこさんとすヂバ 王 にいひけるはヨナタンの 子 尚 あり 跛足 なり
4 王 かれにいひけるは 其人 は 何處 にをるやヂバ 王 にいひけるはロデバルにてアンミエルの 子 マキルの 家 にをる
5 ダビデ 王 人 を 遣 はしてロデバルより 即 ちアンミエルの 子 マキルの 家 よりかれを 携 來 らしむ
6 サウルの 子 ヨナタンの 子 なるメピボセテ、ダビデの 所 に 來 り 伏 て 拝 せりダビデ、メピボセテよといひければ 答 て 僕 此 にありと 曰 ふ
7 ダビデかれにいひけるは 恐 るるなかれ 我 必 ず 汝 の 父 ヨナタンの 爲 に 恩惠 を 汝 にしめさん 我 汝 の 父 サウルの 地 を 悉 く 汝 に 復 すべし 又 汝 は 恒 に 我 席 において 食 ふべしと
8 かれ 拝 して 言 けるは 僕 何 なればか 汝 死 たる 犬 のごとき 我 を 眷顧 たまふ
9 王 サウルの 僕 ヂバを 呼 てこれにいひけるは 凡 てサウルとその 家 の 物 は 我 皆 汝 の 主人 の 子 にあたへたり
10 汝 と 汝 の 子等 と 汝 の 僕 かれのために 地 を 耕 へして 汝 の 主人 の 子 に 食 ふべき 食物 を 取 りきたるべし 但 し 汝 の 主人 の 子 メピボセテは 恒 に 我 席 において 食 ふべしとヂバは十五 人 の 子 と二十 人 の 僕 あり
11 ヂバ 王 にいひけるは 總 て 王 わが 主 の 僕 に 命 じたまひしごとく 僕 なすべしとメピボセテは 王 の 子 の 一人 のごとくダビデの 席 にて 食 へり
12 メピボセテに 一人 の 若 き 子 あり 其 名 をミカといふヂバの 家 に 住 る 者 は 皆 メピボセテの 僕 なりき
13 メピボセテはエルサレムに 住 みたり 其 はかれ 恒 に 王 の 席 にて 食 ひたればなりかれは 兩 の 足 ともに 跛 たる 者 なり
Chapter 10
1 此 後 アンモンの 子孫 の 王 死 て 其 子 ハヌン 之 に 代 りて 位 に 即 く
2 ダビデ 我 ナハシの 子 ハヌンにその 父 の 我 に 恩惠 を 示 せしごとく 恩惠 を 示 さんといひてダビデかれを 其 父 の 故 によりて 慰 めんとて 其 僕 を 遣 せりダビデの 僕 アンモンの 子孫 の 地 にいたるに
3 アンモンの 子孫 の 諸伯 其 主 ハヌンにいひけるはダビデ 慰 者 を 汝 に 遣 はしたるによりて 彼 汝 の 父 を 崇 むと 汝 の 目 に 見 ゆるやダビデ 此 城邑 を 窺 ひこれを 探 りて 陷 いれんために 其 僕 を 汝 に 遣 はせるにあらずや
4 是 においてハヌン、ダビデの 僕 を 執 へ 其 鬚 の 半 を 剃 り 落 し 其 衣服 を 中 より 斷 て 股 までにしてこれを 歸 せり
5 人々 これをダビデに 告 たればダビデ 人 を 遣 はしてかれらを 迎 へしむ 其 人々 大 に 恥 たればなり 即 ち 王 いふ 汝 ら 鬚 の 長 るまでヱリコに 止 まりて 然 るのち 歸 るべしと
6 アンモンの 子孫 自己 のダビデに 惡 まるるを 見 しかばアンモンの 子孫 人 を 遣 はしてベテレホブのスリア 人 とゾバのスリア 人 の 歩 兵 二 萬人 およびマアカの 王 より 一 千 人 トブの 人 より一 萬 二 千 人 を 雇 いれたり
7 ダビデ 聞 てヨアブと 勇士 の 惣軍 を 遣 はせり
8 アンモンの 子孫 出 て 門 の 入 口 に 軍 の 陣列 をなしたりゾバとレホブのスリア 人 およびトブの 人 とマアカの 人 は 別 に 野 に 居 り
9 ヨアブ 戰 の 前 後 より 己 に 向 ふを 見 てイスラエルの 選抜 の 兵 の 中 を 選 みてこれをスリア 人 に 對 ひて 備 へしめ
10 其 餘 の 民 をば 其 兄弟 アビシヤイの 手 に 交 してアンモンの 子孫 に 向 て 備 へしめて
11 いひけるは 若 スリア 人 我 に 手 強 からば 汝 我 を 助 けよ 若 アンモンの 子孫 汝 に 手 剛 からば 我 ゆきて 汝 をたすけん
12 汝 勇 ましくなれよ 我 ら 民 のためとわれらの 神 の 諸邑 のために 勇 しく 爲 んねがはくはヱホバ 其 目 によしと 見 ゆるところをなしたまへ
13 ヨアブ 己 と 共 に 在 る 民 と 共 にスリア 人 にむかひて 戰 んとて 近 づきければスリア 人 彼 のまへより 逃 たり
14 アンモンの 子孫 スリア 人 の 逃 たるを 見 て 亦 自己 等 もアビシヤイのまへより 逃 て 城邑 にいりぬヨアブすなはちアンモンの 子孫 の 所 より 還 りてエルサレムにいたる
15 スリア 人 其 イスラエルのまへに 敗 れたるを 見 て 倶 にあつまれり
16 ハダデゼル 人 をやりて 河 の 前岸 にをるスリア 人 を 將 ゐ 出 して 皆 ヘラムにきたらしむハダデゼルの 軍 の 長 シヨバクかれらを 率 ゐたり
17 其 事 ダビデに 聞 えければ 彼 イスラエルを 悉 く 集 めてヨルダンを 渉 りてヘラムに 來 れりスリア 人 ダビデに 向 ひて 備 へ 之 と 戰 ふ
18 スリア 人 イスラエルのまへより 逃 ければダビデ、スリアの 兵車 の 人 七 百 騎兵 四 萬 を 殺 し 又 其 軍 の 長 シヨバクを 撃 てこれを 其所 に 死 しめたり
19 ハダデゼルの 臣 なる 王等 其 イスラエルのまへに 壞 れたるを 見 てイスラエルと 平和 をなして 之 に 事 へたり 斯 スリア 人 は 恐 れて 再 びアンモンの 子孫 を 助 くることをせざりき
Chapter 11
1 年 歸 りて 王等 の 戰 に 出 る 時 におよびてダビデ、ヨアブおよび 自己 の 臣僕 並 にイスラエルの 全 軍 を 遣 はせり 彼等 アンモンの 子孫 を 滅 ぼしてラバを 圍 めりされどダビデはエルサレムに 止 りぬ
2 爰 に 夕 暮 にダビデ 其 床 より 興 きいでて 王 の 家 の 屋蓋 のうへに 歩 みしが 屋蓋 より 一人 の 婦人 の 體 をあらふを 見 たり 其 婦 は 觀 るに 甚 だ 美 し
3 ダビデ 人 を 遣 して 婦人 を 探 らしめしに 或 人 いふ 此 はエリアムの 女 ハテシバにてヘテ 人 ウリヤの 妻 なるにあらずやと
4 ダビデ 乃 ち 使者 を 遣 はして 其 婦 を 取 る 婦 彼 に 來 りて 彼 婦 と 寝 たりしかして 婦 其 不潔 を 清 めて 家 に 歸 りぬ
5 かくて 婦 孕 みければ 人 をつかはしてダビデに 告 ていひけるは 我 子 を 孕 めりと
6 是 においてダビデ 人 をヨアブにつかはしてヘテ 人 ウリヤを 我 に 遣 はせといひければヨアブ、ウリヤをダビデに 遣 はせり
7 ウリヤ、ダビデにいたりしかばダビデこれにヨアブの 如何 なると 民 の 如何 なると 戰爭 の 如何 なるを 問 ふ
8 しかしてダビデ、ウリヤにいひけるは 汝 の 家 に 下 りて 足 を 洗 へとウリヤ 王 の 家 を 出 るに 王 の 贈物 其 後 に 從 ひてきたる
9 然 どウリヤは 王 の 家 の 門 に 其 主 の 僕 等 とともに 寝 ておのれの 家 にくだりいたらず
10 人々 ダビデに 告 てウリヤ 其 家 にくだり 至 らずといひければダビデ、ウリヤにいひけるは 汝 は 旅 路 をなして 來 れるにあらずや 何故 に 自己 の 家 にくだらざるや
11 ウリヤ、ダビデにいひけるは 櫃 とイスラエルとユダは 小屋 の 中 に 住 まりわが 主 ヨアブとわが 主 の 僕 は 野 の 表 に 陣 を 取 るに 我 いかでわが 家 にゆきて 食 ひ 飮 しまた 妻 と 寝 べけけんや 汝 は 生 また 汝 の 霊魂 は 活 く 我 此事 をなさじ
12 ダビデ、ウリヤにいふ 今日 も 此 にとどまれ 明日 我 汝 を 去 しめんとウリヤ 其 日 と 次 の 日 エルサレムにとどまりしが
13 ダビデかれを 召 て 其 まへに 食 ひ 飮 せしめダビデかれを 酔 しめたり 晩 にいたりて 彼 出 て 其 床 に 其 主 の 僕 と 共 に 寝 たりされどおのれの 家 にはくだりゆかざりき
14 朝 におよびてダビデ、ヨアブヘの 書 を 認 めて 之 をウリヤの 手 によりて 遣 れり
15 ダビデ 其 書 に 書 ていはく 汝 らウリヤを 烈 しき 戰 の 先鉾 にいだしてかれの 後 より 退 きて 彼 をして 戰死 せしめよ
16 是 においてヨアブ 城邑 を 窺 ひてウリヤをば 其 勇士 の 居 ると 知 る 所 に 置 り
17 城邑 の 人 出 てヨアブと 戰 ひしかばダビデの 僕 の 中 の 數人 仆 れヘテ 人 ウリヤも 死 り
18 ヨアブ 人 をつかはして 軍 の 事 を 悉 くダビデに 告 げしむ
19 ヨアブ 其 使者 に 命 じていひけるは 汝 が 軍 の 事 を 皆 王 に 語 り 終 しとき
20 王 もし 怒 りを 發 して 汝 に 汝 らなんぞ 戰 はんとて 城邑 に 近 づきしや 汝 らは 彼 らが 石墻 の 上 より 射 ることを 知 らざりしや
21 ヱルベセテの 子 アビメレクを 撃 し 者 は 誰 なるや 一人 の 婦 が 石垣 の 上 より 磨 の 上 石 を 投 て 彼 をテベツに 殺 せしにあらずや 何 ぞ 汝 ら 城垣 に 近 づきしやと 言 はば 汝 言 べし 汝 の 僕 ヘテ 人 ウリヤもまた 死 りと
22 使者 ゆきてダビデにいたりヨアブが 遣 はしたるところのことをことごとく 告 げたり
23 使者 ダビデにいひけるは 敵 我儕 に 手 強 かりしが 城外 にいでて 我儕 にいたりしかば 我儕 これに 迫 りて 門 の 入 口 にまでいたれり
24 時 に 射手 の 者 城垣 の 上 より 汝 の 僕 を 射 たりければ 王 の 僕 の 或 者 死 に 亦 汝 の 僕 ヘテ 人 ウリヤも 死 りと
25 ダビデ 使者 にいひけるは 斯 汝 ヨアブに 言 べし 此事 を 憂 ふるなかれ 刀劍 は 此 をも 彼 をも 同 じく 殺 すなり 強 く 城邑 を 攻 て 戰 ひ 之 を 陷 いるべしと 汝 かくヨアブを 勵 ますべし
26 ウリヤの 妻 其 夫 ウリヤの 死 たるを 聞 て 夫 のために 悲哀 り
27 其 喪 の 過 し 時 ダビデ 人 を 遣 はしてかれをおのれの 家 に 召 いる 彼 すなはちその 妻 となりて 男子 を 生 り 但 しダビデの 爲 たる 此事 はヱホバの 目 に 惡 かりき
Chapter 12
1 ヱホバ、ナタンをダビデに 遣 はしたまへば 彼 ダビデに 至 りてこれにいひけるは 一 の 邑 に 二箇 の 人 あり 一 は 富 て 一 は 貧 し
2 其 富者 は 甚 だ 多 くの 羊 と 牛 を 有 り
3 されど 貧者 は 唯 自己 の 買 て 育 てたる 一 の 小 き 牝 羔 の 外 は 何 をも 有 ざりき 其 牝 羔 彼 およびかれの 子女 とともに 生長 ちかれの 食物 を 食 ひかれの 椀 に 飮 みまた 彼 の 懐 に 寝 て 彼 には 女子 のごとくなりき
4 時 に 一人 の 旅人 其 富 る 人 の 許 に 來 りけるが 彼 おのれの 羊 と 牛 の 中 を 取 りてそのおのれに 來 れる 旅人 のために 烹 を 惜 みてかの 貧 き 人 の 牝 羔 を 取 りて 之 をおのれに 來 れる 人 のために 烹 たり
5 ダビデ 其人 の 事 を 大 に 怒 りてナタンにいひけるはヱホバは 生 く 誠 に 此 をなしたる 人 は 死 べきなり
6 且 彼 此事 をなしたるに 因 りまた 憐憫 まざりしによりて 其 牝 羔 を 四 倍 になして 償 ふべし
7 ナタン、ダビデにいひけるは 汝 は 其人 なりイスラエルの 神 ヱホバ 斯 いひたまふ 我 汝 に 膏 を 沃 いでイスラエルの 王 となし 我 汝 をサウルの 手 より 救 ひいだし
8 汝 に 汝 の 主人 の 家 をあたへ 汝 の 主人 の 諸妻 を 汝 の 懐 に 與 へまたイスラエルとユダの 家 を 汝 に 與 へたり 若 し 少 からば 我 汝 に 種々 の 物 を 増 くはへしならん
9 何 ぞ 汝 ヱホバの 言 を 藐視 じて 其 目 のまへに 惡 をなせしや 汝 刃劍 をもてヘテ 人 ウリヤを 殺 し 其 妻 をとりて 汝 の 妻 となせり 即 ちアンモンの 子孫 の 劍 をもて 彼 を 斬 殺 せり
10 汝 我 を 軽 んじてヘテ 人 ウリヤの 妻 をとり 汝 の 妻 となしたるに 因 て 劍 何時 までも 汝 の 家 を 離 るることなかるべし
11 ヱホバ 斯 いひたまふ 視 よ 我 汝 の 家 の 中 より 汝 の 上 に 禍 を 起 すべし 我 汝 の 諸妻 を 汝 の 目 のまへに 取 て 汝 の 隣人 に 與 へん 其人 此 日 のまへにて 汝 の 諸妻 とともに 寝 ん
12 其 は 汝 は 密 に 事 をなしたれど 我 はイスラエルの 衆 のまへと 日 のまへに 此事 をなすべければなりと
13 ダビデ、ナタンにいふ 我 ヱホバに 罪 を 犯 したりナタン、ダビデにいひけるはヱホバまた 汝 の 罪 を 除 きたまへり 汝 死 ざるべし
14 されど 汝 此 所行 によりてヱホバの 敵 に 大 なる 罵 る 機會 を 與 へたれば 汝 に 生 れし 其 子 必 ず 死 べしと
15 かくてナタン 其 家 にかへれり 爰 にヱホバ、ウリヤの 妻 がダビデに 生 る 子 を 撃 たまひければ 痛 く 疾 めり
16 ダビデ 其 子 のために 神 に 乞 求 む 即 ちダビデ 斷食 して 入 り 終夜 地 に 臥 したり
17 ダビデの 家 の 年 寄 等 彼 の 傍 に 立 ちてかれを 地 より 起 しめんとせしかども 彼 肯 ぜず 又 かれらとともに 食 を 爲 ざりき
18 第七日 に 其 子 死 りダビデの 僕 其 子 の 死 たることをダビデに 告 ることを 恐 れたりかれらいひけるは 子 の 尚 生 る 間 に 我儕 彼 に 語 たりしに 彼 我儕 の 言 を 聽 いれざりき 如何 ぞ 彼 に 其 子 の 死 たるを 告 ぐべけんや 彼 害 を 爲 んと
19 然 にダビデ 其 僕 の 私語 くを 見 てダビデ 其 子 の 死 たるを 暁 れりダビデ 乃 ち 其 僕 に 子 は 死 たるやといひければかれら 死 りといふ
20 是 においてダビデ 地 よりおきあがり 身 を 洗 ひ 膏 をぬり 其 衣服 を 更 てヱホバの 家 にいりて 拝 し 自己 の 家 に 至 り 求 めておのれのために 食 を 備 へしめて 食 へり
21 僕 等 彼 にいひけるは 此 の 汝 がなせる 所 は 何事 なるや 汝 子 の 生 るあひだはこれがために 斷食 して 哭 きながら 子 の 死 る 時 に 汝 は 起 て 食 を 爲 すと
22 ダビデいひけるは 嬰孩 の 尚 生 るあひだにわが 斷食 して 哭 きたるは 我 誰 かヱホバの 我 を 憐 れみて 此 子 を 生 しめたまふを 知 んと 思 ひたればなり
23 されど 今 死 たれば 我 なんぞ 斷食 すべけんや 我 再 びかれをかへらしむるを 得 んや 我 かれの 所 に 往 べけれど 彼 は 我 の 所 にかへらざるべし
24 ダビデ 其 妻 バテシバを 慰 めかれの 所 にいりてかれとともに 寝 たりければ 彼 男子 を 生 りダビデ 其 名 をソロモンと 呼 ぶヱホバこれを 愛 したまひて
25 預言者 ナタンを 遣 はし 其 名 をヱホバの 故 によりてヱデデア(ヱホバの 愛 する 者)と 名 けしめたまふ
26 爰 にヨアブ、アンモンの 子孫 のラバを 攻 めて 王城 を 取 れり
27 ヨアブ 使者 をダビデにつかはしていひけるは 我 ラバを 攻 て 水 城 を 取 れり
28 されば 汝 今 餘 の 民 を 集 め 斯 城 に 向 て 陣 どりて 之 を 取 れ 恐 らくは 我 此 城 を 取 て 人 我 名 をもて 之 を 呼 にいたらんと
29 是 においてダビデ 民 を 悉 くあつめてラバにゆき 攻 て 之 を 取 り
30 しかしてダビデ、アンモン 王 の 冕 を 其 首 より 取 はなしたり 其 金 の 重 は 一 タラントなりまた 寶 石 を 嵌 たりこれをダビデの 首 に 置 ダビデ 其 邑 の 掠取物 を 甚 だ 多 く 持 出 せり
31 かくてダビデ 其 中 の 民 を 將 いだしてこれを 鋸 と 鐵 の 千歯 と 鐵 の 斧 にて 斬 りまた 瓦陶 の 中 を 通行 しめたり 彼 斯 のごとくアンモンの 子孫 の 凡 ての 城邑 になせりしかしてタビデと 民 は 皆 エルサレムに 還 りぬ
Chapter 13
1 此 後 ダビデの 子 アブサロムにタマルと 名 くる 美 しき 妹 ありしがダビデの 子 アムノンこれを 戀 ひたり
2 アムノン 心 を 苦 しめて 遂 に 其 姉妹 タマルのためにわづらへり 其 はタマルは 處女 なりければアムノンかれに 何事 をも 爲 しがたしと 思 ひたればなり
3 然 るにアムノンに 一人 の 朋友 ありダビデの 兄弟 シメアの 子 にして 其 名 をヨナダブといふヨナダブに 甚 だ 有智 き 人 なり
4 彼 アムノンにいひけるは 汝 王 の 子 なんぞ 日 に 日 に 斯 く 痩 ゆくや 汝 我 に 告 ざるやアムノン 彼 にいひけるは 我 わが 兄弟 アブサロムの 妹 タマルを 戀 ふ
5 ヨナダブかれにいひけるは 床 に 臥 て 病 と 佯 り 汝 の 父 の 來 りて 汝 を 見 る 時 これにいへ 請 ふわが 妹 タマルをして 來 りて 我 に 食 を 予 へしめわが 見 て 彼 の 手 より 食 ふことをうる 樣 にわが 目 のまへにて 食物 を 調理 しめよと
6 アムノンすなはち 臥 して 病 と 佯 りしが 王 の 來 りておのれを 見 る 時 アムノン 王 にいひけるは 請 ふ 吾 妹 タマルをして 來 りてわが 目 のまへにて 二 の 菓 子 を 作 へしめて 我 にかれの 手 より 食 ふことを 得 さしめよと
7 是 においてダビデ、タマルの 家 にいひつかはしけるは 汝 の 兄 アムノンの 家 にゆきてかれのために 食物 を 調理 よと
8 タマル 其 兄 アムノンの 家 にいたるにアムノンは 臥 し 居 たりタマル 乃 ち 粉 をとりて 之 を 摶 てかれの 目 のまへにて 菓子 を 作 へ 其 菓子 を 燒 き
9 鍋 を 取 て 彼 のまへに 傾出 たりしかれども 彼 食 ふことを 否 めりしかしてアムノンいひけるは 汝 ら 皆 我 を 離 れていでよと 皆 かれをはなれていでたり
10 アムノン、タマルにいひけるは 食物 を 寝室 に 持 きたれ 我 汝 の 手 より 食 はんとタマル 乃 ち 己 の 作 りたる 菓子 を 取 りて 寝室 に 持 ゆきて 其 兄 アムノンにいたる
11 タマル 彼 に 食 しめんとて 近 く 持 いたれる 時 彼 タマルを 執 へて 之 にいひけるは 妹 よ 來 りて 我 と 寝 よ
12 タマルかれにいひける 否 兄 上 よ 我 を 辱 しむるなかれ 是 のごとき 事 はイスラエルに 行 はれず 汝 此 愚 なる 事 をなすべからず
13 我 は 何處 にわが 恥辱 を 棄 んか 汝 はイスラエルの 愚 人 の 一人 となるべしされば 請 ふ 王 に 語 れ 彼 我 を 汝 に 予 ざることなかるべしと
14 然 どもアムノン 其 言 を 聽 ずしてタマルよりも 力 ありければタマルを 辱 しめてこれと 偕 に 寝 たりしが
15 遂 にアムノン 甚 だ 深 くタマルを 惡 むにいたる 其 かれを 惡 む 所 の 惡 みはかれを 戀 ひたるところの 戀 よりも 大 なり 即 ちアムノンかれにいひけるは 起 て 往 けよ
16 かれアムノンにいひけるは 我 を 返 して 此 惡 を 作 るなかれ 是 は 汝 がさきに 我 になしたる 所 の 惡 よりも 大 なりとしかれども 聽 いれず
17 其 側 に 仕 ふる 少者 を 呼 ていひけるは 汝 此 女 をわが 許 より 遣 りいだして 其 後 に 戸 を 楗 せと
18 タマル 振 袖 を 着 ゐたり 王 の 女等 の 處女 なるものは 斯 のごとき 衣服 をもて 粧 ひたりアムノンの 侍者 かれを 外 にいだして 其 後 に 戸 を 楗 せり
19 タマル 灰 を 其 首 に 蒙 り 着 たる 振 袖 を 裂 き 手 を 首 にのせて 呼 はりつつ 去 ゆけり
20 其 兄 アブサロムかれにいひけるは 汝 の 兄 アムノン 汝 と 偕 に 在 しや 然 ど 妹 よ 默 せよ 彼 は 汝 の 兄 なり 此事 を 心 に 留 るなかれとかくてタマルは 其 兄 アブサロムの 家 に 凄 しく 住 み 居 れり
21 ダビデ 王 是等 の 事 を 悉 く 聞 て 甚 だ 怒 れり
22 アブサロムはアムノンにむかひて 善 も 惡 きも 語 ざりき 其 はアブサロム、アムノンを 惡 みたればたり 是 はかれがおのれの 妹 タマルを 辱 しめたるに 由 り
23 全 二 年 の 後 アブサロム、エフライムの 邊 なるバアルハゾルにて 羊 の 毛 を 剪 しめ 居 て 王 の 諸子 を 悉 く 招 けり
24 アブサロム 王 の 所 にいりていひけるは 視 よ 僕 羊 の 毛 を 剪 しめをるねがはくは 王 と 王 の 僕 等 僕 とともに 來 りたまへ
25 王 アブサロムに 云 けるは 否 わが 子 よ 我儕 を 皆 いたらしむるなかれおそらくは 汝 の 費 を 多 くせんアブサロム、ダビデを 強 ふしかれどもダビデ 往 ことを 肯 ぜずして 彼 を 祝 せり
26 アブサロムいひけるは 若 しからずば 請 ふわが 兄 アムノンをして 我 らとともに 來 らしめよ 王 かれにいひけるは 彼 なんぞ 汝 とともにゆくべけんやと
27 されどアブサロムかれを 強 ければアムノンと 王 の 諸子 を 皆 アブサロムとともにゆかしめたり
28 爰 にアブサロム 其 少者 等 に 命 じていひけるは 請 ふ 汝 らアムノンの 心 の 酒 によりて 樂 む 時 を 視 すましてわが 汝等 にアムノンを 撃 てと 言 ふ 時 に 彼 を 殺 せ 懼 るるなかれ 汝等 に 之 を 命 じたるは 我 にあらずや 汝 ら 勇 しく 武 くなれと
29 アブサロムの 少者 等 アブサロムの 命 ぜしごとくアムノンになしければ 王 の 諸子 皆 起 て 各 其 騾馬 に 乗 て 逃 たり
30 彼等 が 路 にある 時 風 聞 ダビデにいたりていはくアブサロム 王 の 諸子 を 悉 く 殺 して 一人 も 遺 るものなしと
31 王 乃 ち 起 ち 其 衣 を 裂 きて 地 に 臥 す 其 臣僕 皆 衣 を 裂 て 其 傍 にたてり
32 ダビデの 兄弟 シメアの 子 ヨナダブ 答 へていひけるは 吾 主 よ 王 の 御子 等 なる 少年 を 皆 殺 したりと 思 たまふなかれアムノン 獨 り 死 るのみ 彼 がアブサロムの 妹 タマルを 辱 かしめたる 日 よりアブサロム 此事 をさだめおきたるなり
33 されば 吾 主 王 よ 王 の 御子 等 皆 死 りといひて 此事 をおもひ 煩 ひたまふなかれアムノン 獨 死 たるなればなりと
34 斯 てアブサロムは 逃 れたり 爰 に 守望 ゐたる 少者 目 をあげて 視 たるに 視 よ 山 の 傍 よりして 己 の 後 の 道 より 多 くの 人 來 れり
35 ヨナダブ 王 にいひけるは 視 よ 王 の 御子 等 來 る 僕 のいへるがごとくしかりと
36 彼 語 ることを 終 し 時 視 よ 王 の 子等 來 り 聲 をあげて 哭 り 王 と 其 僕 等 も 皆 大 に 甚 く 哭 り
37 偖 アブサロムは 逃 てゲシユルの 王 アミホデの 子 タルマイにいたるダビデは 日々 其 子 のために 悲 めり
38 アブサロム 逃 てゲシユルにゆき三 年 彼處 に 居 たり
39 ダビデ 王 アブサロムに 逢 んと 思 ひ 煩 らふ 其 はアムノンは 死 たるによりてダビデかれの 事 はあきらめたればなり
Chapter 14
1 ゼルヤの 子 ヨアブ 王 の 心 のアブサロムに 趣 くを 知 れり
2 ヨアブ 乃 ちテコアに 人 を 遣 りて 彼處 より 一人 の 哲 婦 を 呼 きたらしめて 其 婦 にいひけるは 請 ふ 汝 喪 にある 眞似 して 喪 の 服 を 着 油 む 身 にぬらず 死 者 のために 久 しく 哀 しめる 婦 のごとく 爲 りて
3 王 の 所 にいたり 是 のごとくかれに 語 るべしとヨアブ 其 語言 をかれの 口 に 授 けたり
4 テコアの 婦 王 にいたり 地 に 伏 て 拝 し 王 にいひけるは 王 よ 助 けたまへ
5 王 婦 にひけるは 何事 なるや 婦 いひけるは 我 は 實 に 嫠 婦 にしてわが 夫 は 死 り
6 仕女 に 二人 の 子 あり 倶 に 野 に 爭 ひしが 誰 もかれらを 排 解 ものなきにより 此 遂 に 彼 を 撃 て 殺 せり
7 是 において 視 よ 全家 仕女 に 逼 りていふ 其 兄弟 を 撃 殺 したる 者 を 付 せ 我 らかれをその 殺 したる 兄弟 の 生命 のために 殺 さんと 斯 く 嗣子 をも 滅 ぼし 存 れるわが 炭火 を 熄 てわが 夫 の 名 をも 遺存 をも 地 の 面 に 無 らしめんとす
8 王 婦 にいひけるは 汝 の 家 に 往 け 我 汝 の 事 につきて 命令 を 下 さん
9 テコアの 婦 王 にいひけるは 王 わが 主 よねがはくは 其 罪 は 我 とわが 父 の 家 に 歸 して 王 と 王 の 位 には 罪 あらざれ
10 王 いひけるは 誰 にても 爾 に 語 る 者 をば 我 に 將 來 れしかせば 彼 かさねて 爾 に 觸 ること 无 るべし
11 婦 いひけるは 願 くは 王 爾 の 神 ヱホバを 憶 えてかの 仇 を 報 ゆる 者 をして 重 て 滅 すことを 爲 しめず 我 子 を 斷 ことなからしめたまへと 王 いひけるはヱホバは 生 く 爾 の 子 の 髮毛 一 すぢも 地 に 隕 ることなかるべし
12 婦 いひけるは 請 ふ 仕女 をして 一 言 わが 主 王 に 言 しめたまヘダビデいひけるは 言 ふべし
13 婦 いひけるは 爾 なんぞ 斯 る 事 を 神 の 民 にむかひて 思 ひたるや 王 此 言 を 言 ふにより 王 は 罪 ある 者 のごとし 其 は 王 その 放 れたる 者 を 歸 らしめざればなり
14 抑 我儕 は 死 ざるべからず 我儕 は 地 に 潟 れたる 水 の 再 び 聚 る 能 はざるがごとし 神 は 生命 を 取 りたまはず 方法 を 設 けて 其 放 れたる 者 をして 己 の 所 より 放 たれをることなからしむ
15 我 此事 を 王 我 主 に 言 んとて 來 れるは 民 我 を 恐 れしめたればなり 故 に 仕女 謂 らく 王 に 言 ん 王 婢 の 言 を 行 ひたまふならんと
16 其 は 王 聞 て 我 とわが 子 を 共 に 滅 して 神 の 產業 に 離 れしめんとする 人 の 手 より 婢 を 救 ひいだしたまふべければなり
17 仕女 また 思 り 王 わが 主 の 言 は 慰 となるべしと 其 は 神 の 使 のごとく 王 わが 主 は 善 も 惡 も 聽 たまへばなりねがはくは 爾 の 神 ヱホバ 爾 と 共 に 在 せと
18 王 こたへて 婦 にいひけるは 請 ふわが 爾 に 問 んところの 事 を 我 に 隱 すなかれ 婦 いふ 請 ふ 王 わが 主 言 たまへ
19 王 いひけるは 比 すべての 事 においてはヨアブの 手 爾 とともにあるや 婦 答 へていひけるは 爾 の 霊魂 は 活 く 王 わが 主 よ 凡 て 王 わが 主 の 言 たまひしところは 右 にも 左 にもまがらず 皆 に 爾 の 僕 ヨアブ 我 に 命 じ 是等 の 言 を 悉 く 仕女 の 口 に 授 けたり
20 其 事 の 見 ゆるとこるを 變 んとて 爾 の 僕 ヨアブ 此事 をなしたるなり 然 どわが 主 は 神 の 使 の 智慧 のごとく 智慧 ありて 地 にある 事 を 悉 く 知 たまふと
21 是 において 王 ヨアブにいひけるは 視 よ 我 此事 を 爲 すされば 往 て 少年 アブサロムを 携 歸 るべし
22 ヨアブ 地 に 伏 し 拝 し 王 を 祝 せりしかしてヨアブいひけるは 王 わが 主 よ 王 僕 の 言 を 行 ひたまへば 今日 僕 わが 爾 に 惠 るるを 知 ると
23 ヨアブ 乃 ち 起 てゲシユルに 往 きアブサロムをエルサレムに 携 きたれり
24 王 いひけるは 彼 は 其 家 に 退 くべしわが 面 を 見 るべからずと 故 にアブサロム 己 の 家 に 退 きて 王 の 面 を 觀 ざりき
25 偖 イスラエルの 中 にアブサロムのごとく 其 美貌 のために 讃 られたる 人 はなかりき 其 足 の 跖 より 頭 の 頂 にいたるまで 彼 には 瑕疵 あることなし
26 アブサロム 其 頭 を 剪 る 時 其 頭 の 髮 を 衡 るに 王 の 權衡 の二 百 シケルあり 毎 年 の 終 にアブサロム 其 頭 を 剪 り 是 は 己 の 重 によりて 剪 たるなり
27 アブサロムに三 人 の 男子 と 一人 のタマルといふ 女子 生 れたりタマルは 美 女 なり
28 アブサロム二 年 のあひだエルサレムにをりたれども 王 の 顔 を 見 ざりき
29 是 によりてアブサロム 王 に 遣 さんとてヨアブを 呼 に 遣 はしけるが 彼 來 ることを 肯 ぜず 再 び 遣 せしかども 來 ることを 肯 ぜざりき
30 アブサロム 其 僕 にいひけるは 視 よヨアブの 田地 は 我 の 近 くにありて 其處 に 大 麥 あり 往 て 其 に 火 を 放 てとアブサロムの 僕 等 田地 に 火 を 放 てり
31 ヨアブ 起 てアブサロムの 家 に 來 りてこれにいひけるは 何故 に 爾 の 僕 等 田地 に 火 を 放 たるや
32 アブサロム、ヨアブにいひけるは 我 人 を 爾 に 遣 はして 此 に 來 れ 我 爾 を 王 につかはさんと 言 り 即 ち 爾 をして 王 に 我 何 のためにゲシユルよりきたりしや 彼處 に 尚 あらば 我 ためには 反 て 善 しと 言 しめんとせり 然 ば 我 今 王 の 面 を 見 ん 若 し 我 に 罪 あらば 王 我 を 殺 すべし
33 ヨアブ 王 にいたりてこれに 告 たれば 王 アブサロムを 召 す 彼 王 にいたりて 王 のまへに 地 に 伏 て 拝 せり 王 アブサロムに 接吻 す
Chapter 15
1 此 後 アブサロム 己 のために 戰車 と 馬 ならびに 己 のまへに 驅 る 者 五十 人 を 備 たり
2 アブサロム 夙 く 興 きて 門 の 途 の 傍 にたち 人 の 訴訟 ありて 王 に 裁判 を 求 めんとて 來 る 時 はアブサロム 其人 を 呼 ていふ 爾 は 何 の 邑 の 者 なるやと 其人 僕 はイスラエルの 某 の 支派 の 者 なりといへば
3 アブサロム 其人 にいふ 見 よ 爾 の 事 は 善 くまた 正 し 然 ど 爾 に 聽 くべき 人 は 王 いまだ 立 ずと
4 アブサロム 又 嗚呼 我 を 此地 の 士師 となす 者 もがな 然 れば 凡 て 訴訟 と 公事 ある 者 は 我 に 來 りて 我 之 に 公義 を 爲 しあたへんといふ
5 また 人 彼 を 拝 せんとて 近 づく 時 は 彼 手 をのばして 其人 を 扶 け 之 に 接吻 す
6 アブサロム 凡 て 王 に 裁判 を 求 めんとて 來 るイスラエル 人 に 是 のごとくなせり 斯 アブサロムはイスラエルの 人々 の 心 を 取 り
7 斯 て 四 年 の 後 アブサロム 王 にいひけるは 請 ふ 我 をして 往 てヘブロンにてヱホバに 我 嘗 て 立 し 願 を 果 さしめよ
8 其 は 僕 スリアのゲシユルに 居 し 時 願 を 立 て 若 しヱホバ 誠 に 我 をエルサレムに 携 歸 りたまはば 我 ヱホバに 事 へんと 言 たればなりと
9 王 かれにいひけるは 安然 に 往 けと 彼 すなはち 起 てヘブロンに 往 り
10 しかしてアブサロム 窺 ふ 者 をイスラエルの 支派 の 中 に 徧 く 遣 はして 言 せけるは 爾等 喇叭 の 音 を 聞 ばアブサロム、ヘブロンにて 王 となれりと 思 ふべしと
11 二 百 人 の 招 かれたる 者 エルサレムよりアブサロムとともにゆけり 彼 らは 何 心 なくゆきて 何事 をもしらざりき
12 アブサロム 犠牲 をささぐる 時 にダビデの 議官 ギロ 人 アヒトペルを 其 邑 ギロより 呼 よせたり 徒 黨 強 くして 民 次第 にアブサロムに 加 はりぬ
13 爰 に 使者 ダビデに 來 りてイスラエルの 人 の 心 アブサロムにしたがふといふ
14 ダビデおのれと 共 にエルサレムに 居 る 凡 ての 僕 にいひけるは 起 てよ 我 ら 逃 ん 然 らずば 我 らアブサロムより 遁 るるあたはざるべし 急 ぎ 往 け 恐 らくは 彼 急 ぎて 我 らに 追 ひつき 我儕 に 害 を 蒙 らせ 刃 をもて 邑 を 撃 ん
15 王 の 僕 等 王 にいひけるは 視 よ 僕 等 王 わが 主 の 選 むところを 凡 て 爲 ん
16 王 いでゆき 其 全家 これにしたがふ 王 十 人 の 妾 なる 婦 を 遺 して 家 をまもらしむ
17 王 いでゆき 民 みな 之 にしたがふ 彼等 遠 の 家 に 息 めり
18 かれの 僕 等 みな 其 傍 に 進 みケレテ 人 とペレテ 人 および 彼 にしたがひてガテよりきたれる六 百 人 のガテ 人 みな 王 のまへに 進 めり
19 時 に 王 がガテ 人 イツタイにいひけるは 何 ゆゑに 爾 もまた 我 らとともにゆくや 爾 かへりて 王 とともにをれ 爾 は 外國人 にして 移住 て 處 をもとむる 者 なり
20 爾 は 昨日 來 れり 我 は 今日 わが 得 るところに 往 くなれば 豈 爾 をして 我 らとともにさまよはしむべけんや 爾 歸 り 爾 の 兄弟 をも 携 歸 るべしねがはくは 恩 と 眞實 爾 とともにあれ
21 イツタイ 王 に 答 へていひけるはヱホバは 活 く 王 わが 主 は 活 く 誠 に 王 わが 主 いかなる 處 に 坐 すとも 生 死 ともに 僕 もまた 其處 に 居 るべし
22 ダビデ、イツタイにいひけるは 進 みゆけガテ 人 イツタイ 乃 ち 進 みかれのすべての 從者 およびかれとともにある 妻 子 皆 進 めり
23 國 中 皆 大 聲 をあげて 哭 き 民 皆 進 む 王 もまたキデロン 川 を 渡 りて 進 み 民 皆 進 みて 野 の 道 におもむけり
24 視 よザドクおよび 倶 にあるレビ 人 もまた 皆 神 の 契約 の 櫃 を 舁 ていたり 神 の 櫃 をおろして 民 の 悉 く 邑 よりいづるをまてりアビヤタルもまたのぼれり
25 ここに 王 ザドクにいひけるは 神 の 櫃 を 邑 に 舁 もどせ 若 し 我 ヱホバのまへに 恩 をうるならばヱホバ 我 を 携 かへりて 我 にこれを 見 し 其 往處 を 見 したまはん
26 されどヱホバもし 汝 を 悦 ばずと 斯 いひたまはば 視 よ 我 は 此 にあり 其 目 に 善 と 見 ゆるところを 我 になしたまへ
27 王 また 祭司 ザドクにいひけるは 汝 先見者 汝 らの 二人 の 子 即 ち 汝 の 子 アヒマアズとアビヤタルの 子 ヨナタンを 伴 ひて 安然 に 城邑 に 歸 れ
28 見 よ 我 は 汝 より 言 のきたりて 我 に 告 るまで 野 の 渡 場 に 留 まらんと
29 ザドクとアビヤタルすなはち 神 の 櫃 をエルサレムに 舁 もどりて 彼處 に 止 まれり
30 ここにダビデ 橄欖山 の 路 を 陟 りしが 陟 るときに 哭 き 其 首 を 蒙 みて 跣足 にて 行 りかれと 倶 にある 民 皆 各 其 首 を 蒙 みてのぼり 哭 つつのぼれり
31 時 にアヒトペルがアブサロムに 與 せる 者 の 中 にあることダビデに 聞 えければダビデいふヱホバねがはくはアヒトペルの 計策 を 愚 ならしめたまへと
32 ダビデ 嶺 にある 神 を 拝 する 處 に 至 れる 時 視 よアルキ 人 ホシヤイ 衣 を 裂 き 土 を 頭 にかむりてきたりてダビデを 迎 ふ
33 ダビデかれにいひけるは 爾 若 し 我 とともに 進 まば 我 の 負 となるべし
34 されど 汝 もし 城邑 にかへりてアブサロムにむかひ 王 よ 我 爾 の 僕 となるべし 此 まで 爾 の 父 の 僕 たりしごとく 今 また 汝 の 僕 となるべしといはば 爾 はわがためにアヒトペルの 計策 を 敗 るにいたらん
35 祭司 ザドクとアビヤタル 爾 とともに 彼處 にあるにあらずや 是故 に 爾 が 王 の 家 より 聞 たる 事 はことごとく 祭司 ザドクとアビヤタルに 告 べし
36 視 よかれらとともに 彼處 にはその 二人 の 子 即 ちザドクの 子 アヒマアズとアビヤタルの 子 ヨナタンをるなり 爾 ら 其 聞 たる 事 をことごとく 彼等 の 手 によりて 我 に 通 ずべし
37 ダビデの 友 ホシヤイすなはち 城邑 にいたりぬ 時 にアブサロムはエルサレムに 入 居 たり
Chapter 16
1 ダビデ 少 しく 嶺 を 過 ゆける 時 視 よメピボセテの 僕 ヂバ 鞍 おける 二頭 の 驢馬 を 引 き 其 上 にパン二 百 乾葡萄 一 百 球 乾 棗 の 團塊 一 百 酒 一 嚢 を 載 きたりてダビデを 迎 ふ
2 王 ヂバにいひけるは 此 等 は 何 なるかヂバいひけるは 驢馬 は 王 の 家族 の 乗 るためパンと 乾 棗 は 少者 の 食 ふため 洒 は 野 に 困憊 たる 者 の 飮 むためなり
3 王 いひけるは 爾 の 主人 の 子 は 何處 にあるやヂバ 王 にいひけるはかれはエルサレムに 止 まる 其 は 彼 イスラエルの 家 今日 我 父 の 國 を 我 にかへさんと 言 をればなり
4 王 ヂバにいひけるは 視 よメピボセテの 所有 は 悉 く 爾 の 所有 となるべしヂバいひけるは 我 拝 す 王 わが 主 よ 我 をして 爾 のまへに 恩 を 蒙 むらしめたまへ
5 斯 てダビデ 王 バホリムにいたるに 視 よ 彼處 よりサウルの 家 の 族 の 者 一人 出 きたる 其 名 をシメイといふゲラの 子 なり 彼 出 きたりて 來 りつつ 詛 へり
6 又 彼 ダビデとダビデ 王 の 諸 の 臣僕 にむかひて 石 を 投 たり 時 に 民 と 勇士 皆 王 の 左 右 にあり
7 シメイ 詛 の 中 に 斯 いへり 汝 血 を 流 す 人 よ 爾 邪 なる 人 よ 出 され 出 され
8 爾 が 代 りて 位 に 登 りしサウルの 家 の 血 を 凡 てヱホバ 爾 に 歸 したまへりヱホバ 國 を 爾 の 子 アブサロムの 手 に 付 したまへり 視 よ 爾 は 血 を 流 す 人 なるによりて 禍患 の 中 にあるなり
9 ゼルヤの 子 アビシヤイ 王 にいひけるは 此 死 たる 犬 なんぞ 王 わが 主 を 詛 ふべけんや 請 ふ 我 をして 渉 りゆきてかれの 首 を 取 しめよ
10 王 いひけるはゼルヤの 子等 よ 爾 らの 與 るところにあらず 彼 の 詛 ふはヱホバ 彼 にダビデを 詛 へと 言 たまひたるによるなれば 誰 か 爾 なんぞ 然 するやと 言 べけんや
11 ダビデ 又 アビシヤイおよび 己 の 諸 の 臣僕 にいひけるは 視 よわが 身 より 出 たるわが 子 わが 生命 を 求 む 况 や 此 ベニヤミン 人 をや 彼 を 聽 して 詛 はしめよヱホバ 彼 に 命 じたまへるなり
12 ヱホバわが 艱難 を 俯視 みたまふことあらん 又 ヱホバ 今日 彼 の 詛 のために 我 に 善 を 報 いたまふことあらんと
13 斯 てダビデと 其 從者 途 を 行 けるにシメイはダビデに 對 へる 山 の 傍 に 行 て 行 つつ 詛 ひまた 彼 にむかひて 石 を 投 げ 塵 を 揚 たり
14 王 および 倶 にある 民 皆 アエピムに 來 りて 彼處 に 息 をつげり
15 偖 アブサロムと 總 ての 民 イスラエルの 人々 エルサレムに 至 れりアヒトペルもアブサロムとともにいたる
16 ダビデの 友 なるアルキ 人 ホシヤイ、アブサロムの 許 に 來 りし 時 アブサロムにいふ 願 くは 王 壽 かれ 願 くは 王 壽 かれ
17 アブサロム、ホシヤイにいひけるは 此 は 爾 が 其 友 に 示 す 厚 意 なるや 爾 なんぞ 爾 の 友 と 往 ざるやと
18 ホシヤイ、アブサロムにいひけるは 然 らずヱホバと 此 民 とイスラエルの 總 の 人々 の 選 む 者 に 我 は 屬 し 且 其人 とともに 居 るべし
19 且 又 我 誰 に 事 ふべきか 其 子 の 前 に 事 べきにあらずや 我 は 爾 の 父 のまへに 事 しごとく 爾 のまへに 事 べし
20 爰 にアブサロム、アヒトベルにいひけるは 我儕 如何 に 爲 べきか 爾等 計 を 爲 すべしと
21 アヒトペル、アブサロムにいひけるは 爾 の 父 が 遺 して 家 を 守 らしむる 妾等 の 處 に 入 れ 然 ばイスラエル 皆 爾 が 其 父 に 惡 まるるを 聞 ん 而 して 爾 とともにをる 總 の 者 の 手 強 くなるべしと
22 是 において 屋脊 にアブサロムのために 天 幕 を 張 ければアブサロム、イスラエルの 目 のまへにて 其 父 の 妾等 の 處 に 入 りぬ
23 當時 アヒトペルが 謀 れる 謀計 は 神 の 言 に 問 たるごとくなりきアヒトペルの 謀計 は 皆 ダビデとアブサロムとに 倶 に 是 のごとく 見 えたりき
Chapter 17
1 時 にアヒトペル、アブサロムにいひけるは 請 ふ 我 に一 萬 二 千 の 人 を 擇 み 出 さしめよ 我 起 て 今夜 ダビデの 後 を 追 ひ
2 彼 が 憊 れて 手弱 なりし 所 を 襲 ふて 彼 をおびえしめん 而 して 彼 とともにをる 民 の 逃 ん 時 に 我 王 一人 を 撃 とり
3 總 の 民 を 爾 に 歸 せしむべし 夫 衆 の 歸 するは 爾 が 求 むる 此人 に 依 なれば 民 みな 平穩 になるべし
4 此 言 アブサロムの 目 とイスラエルの 總 の 長老 の 目 に 的當 と 見 えたり
5 アブサロムいひけるはアルキ 人 ホシヤイをも 召 きたれ 我等 彼 が 言 ふ 所 をも 聞 んと
6 ホシヤイ 乃 ちアブサロムに 至 るにアブサロムかれにかたりていひけるはアヒトペル 是 のごとく 言 り 我等 其 言 を 爲 べきか 若 し 可 ずば 爾 言 ふべし
7 ホシヤイ、アブサロムにいひけるは 此時 にあたりてアヒトペルが 授 けし 計略 は 善 らず
8 ホシヤイまたいひけるは 爾 の 知 るごとく 爾 の 父 と 其 從者 は 勇士 なり 且 彼等 は 野 にて 其 子 を 奪 れたる 熊 の 如 く 其 氣 激怒 をれり 又 爾 の 父 は 戰 士 なれば 民 と 共 に 宿 らざるべし
9 彼 は 今 何 の 穴 にか 何 の 處 にか 匿 れをる 若 し 數人 の 者 手 始 に 仆 なば 其 を 聞 く 者 は 皆 アブサロムに 從 ふ 者 の 中 に 敗 ありと 言 はん
10 しからば 獅子 の 心 のごとき 心 ある 勇猛 き 夫 といふとも 全 く 挫碎 ん 其 はイスラエル 皆 爾 の 父 の 勇士 にして 彼 とともにある 者 の 勇猛 き 人 なるをしればなり
11 我 は 計議 るイスラエルをダンよりベエルシバにいたるまで 海濱 の 沙 の 多 きが 如 くに 悉 く 爾 の 處 につどへ 集 めて 爾 親 ら 戰陣 に 臨 むべし
12 我等 彼 の 見 出 さるる 處 にて 彼 を 襲 ひ 露 の 地 に 下 るがごとく 彼 のうへに 降 らんしかして 彼 および 彼 とともにあるすべての 人々 を 一人 も 遺 さざるべし
13 若 し 彼 何 かの 城邑 に 集 らばイスラエル 皆 繩 を 其 城邑 にかけ 我等 これを 河 に 曳 きたふして 其處 に 一 の 小 石 も 見 えざらしむべしと
14 アブサロムとイスラエルの 人々 皆 アルキ 人 ホシヤイの 謀計 はアヒトペルの 謀計 よりも 善 しといふ 其 はヱホバ、アブサロムに 禍 を 降 さんとてヱホバ、アヒトペルの 善 き 謀計 を 破 ることを 定 めたまひたればなり
15 爰 にホシヤイ 祭司 ザドクとアビヤタルにいひけるはアヒトペル、アブサロムとイスラエルの 長老等 のために 斯々 に 謀 れりきた 我 は 斯々 に 謀 れり
16 されば 爾 ら 速 に 人 を 遣 してダビデに 告 て 今夜 野 の 渡 場 に 宿 ることなく 速 に 渡 りゆけといへおそらくは 王 および 倶 にある 民 皆 呑 つくされん
17 時 にヨナタンとアヒマアズはエンロゲルに 俟 居 たり 是 は 城邑 にいるを 見 られざらんとてなり 爰 に 一人 の 仕女 ゆきて 彼等 に 告 げければ 彼 らダビデ 王 に 告 んとて 往 く
18 しかるに 一人 の 少者 かれらを 見 てアブザロムにつげたりされど 彼等 二人 は 急 ぎさりてバホリムの 或 人 の 家 にいたる 其人 の 庭 に 井 ありてかれら 其處 にくだりければ
19 婦 蓋 をとりて 井 の 口 のうへに 掩 け 其 上 に 擣 たる 麥 をひろげたり 故 に 事 知 れざりき
20 時 にアブサロムの 僕 等 其 婦 の 家 に 來 りていひけるはアヒマアズとヨナタンは 何處 にをるや 婦 かれらに 彼 人々 は 小 川 を 濟 れりといふかれら 尋 ねたれども 見 當 ざればエルサレムに 歸 れり
21 彼等 が 去 し 時 かの 二人 は 井 よりのぼりて 往 てダビデ 王 に 告 げたり 即 ちダビデに 言 けるは 起 て 速 かに 水 を 濟 れ 其 はアヒトベル 斯 爾等 について 謀計 を 爲 したればなりと
22 ダビデ 起 て 己 とともにある 凡 ての 民 とともにヨルダンを 濟 れり 曙 には 一人 もヨルダンを 濟 らざる 者 はなかりき
23 アヒトベルは 其 謀計 の 行 れざるを 見 て 其 驢馬 に 鞍 おき 起 て 其 邑 に 往 て 其 家 にいたり 家 の 人 に 遺 言 して 自 ら 縊 れ 死 て 其 父 の 墓 に 葬 らる
24 爰 にダビデ、マナハイムに 至 る 又 アブサロムは 己 とともにあるイスラエルの 凡 の 人々 とともにヨルダンを 濟 れり
25 アブサロム、アマサをヨアブの 代 りに 軍 の 長 と 爲 りアマサは 夫 のナハシの 女 にてヨアブの 母 ゼルヤの 妹 なるアビガルに 通 じたるイシマエル 人 名 はヱテルといふ 人 の 子 なり
26 かくてイスラエルとアブサロムはギレアデの 地 に 陣 どれり
27 ダビデ、マハナイムにいたれる 時 アンモンの 子孫 の 中 なるラバのナハシの 子 シヨビとロデバルのアンミエルの 子 マキルおよびロゲリムのギレアデ 人 バルジライ
28 臥床 と 鍋 釜 と 陶 器 と 小麥 と 大 麥 と 粉 と 烘麥 と 豆 と 小豆 の 烘 たる 者 と
29 蜜 と 牛酪 と 羊 と 犢 をダビデおよび 倶 にある 民 の 食 ふために 持 來 れり 其 は 彼等 民 は 野 にて 饑 憊 れ 渇 くならんと 謂 たればなり
Chapter 18
1 爰 にダビデ 己 とともにある 民 を 核 べて 其 上 に 千夫 の 長 百夫 の 長 を 立 たり
2 しかしてダビデ 民 を 三 に 分 ちて 其 一 をヨアブの 手 に 託 け 一 をゼルヤの 子 ヨアブの 兄弟 アビシヤイの 手 に 託 け 一 をガテ 人 イツタイの 手 に 託 けたりかくして 王 民 にいひけるは 我 もまた 必 ず 汝 らとともに 出 んと
3 されど 民 いふ 汝 は 出 べからず 我儕 如何 に 逃 るとも 彼等 は 我儕 に 心 をとめじ 又 我儕 半 死 とも 我儕 に 心 をとめざるべしされど 汝 は 我儕 の一 萬 に 等 し 故 に 汝 は 城邑 の 中 より 我儕 を 助 けなば 善 し
4 王 かれらにいひけるは 汝等 の 目 に 善 と 見 ゆるところを 爲 すべしとかくて 王 門 の 傍 に 立 ち 民 皆 或 は 百 人 或 は 千 人 となりて 出 づ
5 王 ヨアブ、アビシヤイおよびイツタイに 命 じてわがために 少年 アブサロムを 寛 に 待 へよといふ 王 のアブサロムの 事 について 諸 の 將官 に 命 を 下 せる 時 民 皆 聞 り
6 爰 に 民 イスラエルにむかひて 野 に 出 でエフライムの 叢林 に 戰 ひしが
7 イスラエルの 民 其處 にてダビデの 臣僕 のまへに 敗 る 其 日 彼處 の 戰死 大 にして二 萬 にいたれり
8 しかして 戰 徧 く 其 地 の 表 に 廣 がりぬ 是 日 叢林 の 滅 ぼせる 者 は 刀劒 の 滅 ぼせる 者 よりも 多 かりき
9 爰 にアブサロム、ダビデの 臣僕 に 行 き 遭 り 時 にアブサロム 騾馬 に 乗 居 たりしが 騾馬 大 なる 橡樹 の 繁 き 枝 の 下 を 過 ければアブサロムの 頭 其 橡 に 繋 りて 彼 天地 のあひだにあがれり 騾馬 はかれの 下 より 行 過 たり
10 一箇 の 人 見 てヨアブに 告 ていひけるは 我 アブサロムが 橡樹 に 懸 りをるを 見 たりと
11 ヨアブ 其 告 たる 人 にいひけるはさらば 爾 見 て 何故 に 彼 を 其處 にて 地 に 撃 落 さざりしや 我 爾 に 銀 十 枚 と 一本 の 帶 を 與 へんものを
12 其人 ヨアブにいひけるは 假令 わが 手 に 銀 千 枚 を 受 べきも 我 は 手 をいだして 王 の 子 に 敵 せじ 其 は 王 我儕 の 聞 るまへにて 爾 とアビシヤイとイツタイに 命 じて 爾 ら 各 少年 アブサロムを 害 するなかれといひたまひたればなり
13 我 若 し 反 いてかれの 生命 を 戕賊 はば 何事 も 王 に 隱 るる 所 なければ 爾 自 ら 立 て 我 を 責 んと
14 時 にヨアブ 我 かく 爾 とともに 滞 るべからずといひて 手 に 三本 の 槍 を 携 へゆきて 彼 の 橡樹 の 中 に 尚 生 をるアブサロムの 胸 に 之 を 衝 通 せり
15 ヨアブの 武器 を 執 る十 人 の 少者 繞 きてアブサロムを 撃 ち 之 を 死 しめたり
16 かくてヨアブ 喇叭 を 吹 ければ 民 イスラエルの 後 を 追 ふことを 息 てかへれりヨアブ 民 を 止 めたればなり
17 衆 アブサロムを 將 て 叢林 の 中 なる 大 なる 穴 に 投 げいれ 其 上 に 甚 だ 大 きく 石 を 疊 あげたり 是 においてイスラエル 皆 おのおの 其 天 幕 に 逃 かへれり
18 アブサロム 我 はわが 名 を 傳 ふべき 子 なしと 言 て 其 生 る 間 に 己 のために 一 の 表柱 を 建 たり 王 の 谷 にあり 彼 おのれの 名 を 其 表柱 に 與 たり 其 表柱 今日 にいたるまでアブサロムの 碑 と 稱 らる
19 爰 にザドクの 子 アヒマアズいひけるは 請 ふ 我 をして 趨 りて 王 にヱホバの 王 をまもりて 其 敵 の 手 を 免 かれしめたまひし 音信 を 傳 へしめよと
20 ヨアブかれにいひけるは 汝 は 今日 音信 を 傳 ふるものとなるべからず 他 日 に 音信 を 傳 ふべし 今日 は 王 の 子 死 たれば 汝 音信 を 傳 ふべからず
21 ヨアブ、クシ 人 にいひけるは 往 て 爾 が 見 たる 所 を 王 に 告 よクシ 人 ヨアブに 禮 をなして 走 れり
22 ザドクの 子 アヒマアズ 再 びヨアブにいひけるは 請 ふ 何 にもあれ 我 をも 亦 クシ 人 の 後 より 走 ゆかしめよヨアブいひけるは 我 子 よ 爾 は 充 分 の 音信 を 持 ざるに 何故 に 走 りゆかんとするや
23 かれいふ 何 れにもあれ 我 をして 走 りゆかしめよとヨアブかれにいふ 走 るべし 是 においてアヒマアズ 低地 の 路 をはしりてクシ 人 を 走 越 たり
24 時 にダビデは 二 の 門 の 間 に 坐 しゐたり 爰 に 守望 者 門 の 蓋上 にのぼり 石墻 にのぼりて 其 目 を 擧 て 見 るに 視 よ 獨 一人 にて 走 きたる 者 あり
25 守望 者 呼 はりて 王 に 告 ければ 王 いふ 若 し 獨 ならば 口 に 音信 を 持 つならんと 其人 進 み 來 りて 近 づけり
26 守望 者 復 一人 の 走 りきたるを 見 しかば 守望 者 守門 者 に 呼 はりて 言 ふ 獨 一人 にて 走 きたる 者 あり 王 いふ 其人 もまた 音信 を 持 ものなり
27 守望 者 言 ふ 我 先 者 の 走 を 見 るにザドクの 子 アヒマアズの 走 るが 如 しと 王 いひけるは 彼 は 善 人 なり 善 き 音信 を 持 來 るならん
28 アヒマアズ 呼 はりて 王 にいひけるはねがはくは 平安 なれとかくて 王 のまへに 地 に 伏 していふ 爾 の 神 ヱホバは 讃 べきかなヱホバかの 手 をあげて 王 わが 主 に 敵 したる 人々 を 付 したまへり
29 王 いひけるは 少年 アブサロムは 平安 なるやアヒマアズこたへけるは 王 の 僕 ヨアブ 僕 を 遣 はせし 時 我 大 なる 噪 を 見 たれども 何 をも 知 らざるなり
30 王 いひけるは 側 にいたりて 其處 に 立 よと 乃 ち 側 にいたりて 立 つ
31 時 に 視 よクシ 人 來 れりクシ 人 いひけるはねがはくは 王 音信 を 受 たまへヱホバ 今日 爾 をまもりて 凡 て 爾 にたち 逆 ふ 者 の 手 を 免 かれしめたまへり
32 王 クシ 人 にいひけるは 少年 アブサロムは 平安 なるやクシ 人 いひけるはねがはくは 王 わが 主 の 敵 および 凡 て 汝 に 起 ち 逆 ひて 害 をなさんとする 者 は 彼 少年 のごとくなれと
33 王 大 に 感 み 門 の 樓 にのぼりて 哭 り 彼 行 ながらかくいへりわが 子 アブサロムよわが 子 わが 子 アブサロムよ 鳴呼 われ 汝 に 代 りて 死 たらん 者 をアブサロムわが 子 よわが 子 よ
Chapter 19
1 時 にヨアブに 告 る 者 ありていふ 視 よ 王 はアブサロムの 爲 に 哭 き 悲 しむと
2 其 日 の 勝利 は 凡 の 民 の 悲哀 となれり 其 は 民 其 日 王 は 其 子 のために 憂 ふと 言 ふを 聞 たればなり
3 其 日 民 は 戰爭 に 逃 て 羞 たる 民 の 竊 て 去 がごとく 竊 て 城邑 にいりぬ
4 王 は 其 面 を 掩 へり 王 大 聲 に 叫 てわが 子 アブサロムよアブサロムわが 子 よわが 子 よといふ
5 ここにヨアブ 家 にいり 王 の 許 にいたりていひけるは 汝 今日 汝 の 生命 と 汝 の 男子 汝 の 女子 の 生命 および 汝 の 妻 等 の 生命 と 汝 の 妾等 の 生命 を 救 ひたる 汝 の 凡 の 臣僕 の 顔 を 羞 させたり
6 是 は 汝 おのれを 惡 む 者 を 愛 しおのれを 愛 する 者 を 惡 むなり 汝 今日 汝 が 諸侯伯 をも 諸僕 をも 顧 みざるを 示 せり 今日 我 さとる 若 しアブサロム 生 をりて 我儕 皆 死 たらば 汝 の 目 に 適 ひしならん
7 されど 今 立 て 出 で 汝 の 諸僕 を 慰 めてかたるべし 我 ヱホバを 指 て 誓 ふ 汝 若 し 出 ずば 今夜 一人 も 汝 とともに 止 るものなかるべし 是 は 汝 が 若 き 時 より 今 にいたるまでに 蒙 りたる 諸 の 災禍 よりも 汝 に 惡 かるべし
8 是 に 於 て 王 たちて 門 に 坐 す 人々 凡 の 民 に 告 て 視 よ 王 は 門 に 坐 し 居 るといひければ 民 皆 王 のまへにいたる 然 どイスラエルはおのむの 其 天 幕 に 逃 かへれり
9 イスラエルの 諸 の 支派 の 中 に 民 皆 爭 ひていひけるは 王 は 我儕 を 敵 の 手 より 救 ひいだしまた 我儕 をペリシテ 人 の 手 より 助 けいだせりされど 今 はアブサロムのために 國 を 逃 いでたり
10 また 我儕 が 膏 そそぎて 我儕 の 上 にかきしアブサロムは 戰爭 に 死 ねりされば 爾 ら 何 ぞ 王 を 導 きかへらんことと 言 ざるや
11 ダビデ 王 祭司 ザドクとアビヤタルに 言 つかはしけるはユダの 長老等 に 告 て 言 ヘイスラエルの 全家 の 言語 王 の 家 に 達 せしに 爾 ら 何 ぞ 王 を 其 家 に 導 きかへる 最後 となるや
12 爾等 はわが 兄弟 爾 らはわが 骨 肉 なりしかるになんぞ 爾等 王 を 導 き 歸 る 最後 となるやと
13 又 アマサに 言 べし 爾 はわが 骨 肉 にあらずや 爾 ヨアブにかはりて 常 にわがまへにて 軍長 たるべし 若 しからずば 神 我 に 斯 なし 又 重 ねてかくなしたまへと
14 かくダビデ、ユダの 凡 の 人 をして 其心 を 傾 けて 一 人 のごとくにならしめければかれら 王 にねがはくは 爾 および 爾 の 諸 の 臣僕 歸 りたまへといひおくれり
15 是 において 王 歸 りてヨルダンにいたるにユダの 人々 王 を 迎 へんとて 來 りてギルガルにいたり 王 を 送 りてヨルダンを 濟 らんとす
16 時 にバホリムのベニヤミン 人 ゲラの 子 シメイ 急 ぎてユダの 人々 とともに 下 りダビデ 王 を 迓 ふ
17 一 千 のベニヤミン 人 彼 とともにあり 亦 サウルの 家 の 僕 ヂバも 其 十五 人 の 男子 と二十 人 の 僕 をしたがへて 偕 に 居 たりしが 皆 王 のまへにむかひてヨルダンをこぎ 渡 れり
18 時 に 王 の 家族 を 濟 しまた 王 の 目 に 善 と 見 ゆるところを 爲 んとて 濟舟 を 濟 せり 爰 にゲラの 子 シメイ、ヨルダンを 濟 れる 時 王 のまへに 伏 して
19 王 にいひけるはわが 主 よねがはくは 罪 を 我 に 歸 するなかれまた 王 わが 主 のエルサレムより 出 たまへる 日 に 僕 が 爲 たる 惡 き 事 を 記憶 えたまふなかれねがはくは 王 これを 心 に 置 たまふなかれ
20 其 は 僕 我 罪 を 犯 したるを 知 ればなり 故 に 視 よ 我 今日 ヨセフの 全家 の 最初 に 下 り 來 りて 王 わが 主 を 迓 ふと
21 然 にゼルヤの 子 アビシヤイ 答 へていひけるはシメイはヱホバの 膏 そそぎし 者 を 詛 たるに 因 て 其 がために 誅 さるべきにあらずやと
22 ダビデいひけるは 爾 らゼルヤの 子 よ 爾 らのあづかるところにあらず 爾等 今日 我 に 敵 となる 今日 豈 イスラエルの 中 にて 人 を 誅 すべけんや 我 豈 わが 今日 イスラエルの 王 となりたるをしらざらんやと
23 是 をもて 王 はシメイに 爾 は 誅 されじといひて 王 かれに 誓 へり
24 爰 にサウルの 子 メピボセテ 下 りて 王 をむかふ 彼 は 王 の 去 し 日 より 安 かに 歸 れる 日 まで 其 足 を 飾 らず 其 鬚 を 飾 らず 又 其 衣 を 濯 ざりき
26 彼 エルサレムよりきたりて 王 を 迓 ふる 時 王 かれにいひけるはメビボセテ 爾 なんぞ 我 とともに 往 ざりしや 彼 こたへけるはわが 主 王 よわが 僕 我 を 欺 けり 僕 はわれ 驢馬 に 鞍 おきて 其 に 乗 て 王 の 處 にゆかんといへり 僕 跛者 なればなり
27 しかるに 彼 僕 を 王 わが 主 に 讒言 せり 然 ども 王 わが 主 は 神 の 使 のごとし 故 に 爾 の 目 に 善 と 見 るところを 爲 たまへ
28 わが 父 の 全家 は 王 わが 主 のまへには 死 人 なるのみなるに 爾 僕 を 爾 の 席 にて 食 ふ 者 の 中 に 置 たまへりされば 我 何 の 理 ありてか 重 ねて 王 に 哀訴 ることをえん
29 王 かれにいひけるは 爾 なんぞ 重 ねて 爾 の 事 を 言 や 我 いふ 爾 とヂバ 其 地 を 分 つべし
30 メピボセテ 王 にいひけるは 王 わが 主 安然 に 其 家 に 歸 りたまひたればかれに 之 を 悉 くとらしめたまへと
31 爰 にギレアデ 人 バルジライ、ロゲリムより 下 り 王 を 送 りてヨルダンを 渡 らんとて 王 とともにヨルダンを 濟 れり
32 バルジライは 甚 だ 老 たる 人 にて八十 歳 なりきかれは 甚 だ 大 なる 人 なれば 王 のマハナイムに 留 れる 間 王 を 養 へり
33 王 バルジライにいひけるは 爾 我 とともに 濟 り 來 れ 我 エルサレムにて 爾 を 我 とともに 養 はん
34 バルジライ 王 にいひけるはわが 生命 の 年 の 日 尚 幾何 ありてか 我 王 とともにエルサレムに 上 らんや
35 我 は 今日 八十 歳 なり 善 きと 惡 きとを 辨 へるをえんや 僕 其 食 ふところと 飮 ところを 味 ふをえんや 我 再 び 謳歌之 男 と 謳歌之 女 の 聲 を 聽 えんや 僕 なんぞ 尚 王 わが 主 の 累 となるべけんや
36 僕 は 王 とともにヨルダンを 濟 りて 只 少 しくゆかん 王 なんぞこの 報賞 を 我 に 報 ゆるに 及 ばんや
37 請 ふ 僕 を 歸 らしめよ 我 自己 の 邑 にてわが 父母 の 墓 の 側 に 死 ん 但 し 僕 キムハムを 視 たまへかれを 王 わが 主 とともに 濟 り 往 しめたまへ 又 爾 の 目 に 善 と 見 る 所 を 彼 になしたまへ
38 王 いひけるはキムハム 我 とともに 濟 り 往 くべし 我 爾 の 目 に 善 と 見 ゆる 所 をかれに 爲 ん 又 爾 が 望 みて 我 に 求 むる 所 は 皆 我 爾 のために 爲 すべしと
39 民 皆 ヨルダンを 濟 れり 王 渡 りし 時 王 バルジライに 接吻 してこれを 祝 す 彼 遂 に 己 の 所 に 歸 れり
40 かくて 王 ギルガルに 進 むにキムハムかれとともに 進 めりユダの 民 皆 王 を 送 れりイスラエルの 民 の 半 も 亦 しかり
41 是 にイスラエルの 人々 皆 王 の 所 にいたりて 王 にいひけるは 我儕 の 兄弟 なるユダの 人々 何故 に 爾 を 竊 みさり 王 と 其 家族 およびダビデとともなる 其 凡 の 從者 を 送 りてヨルダンを 濟 りしやと
42 ユダの 人々 皆 イスラエルの 人々 に 對 へていふ 王 は 我 に 近 きが 故 なり 爾 なんぞ 此事 について 怒 るや 我儕 王 の 物 を 食 ひしことあるや 王 我儕 に 賜物 を 與 へたることあるや
43 イスラエルの 人 ユダの 人 に 對 ていひけるは 我 は 王 のうちに 十 の 分 を 有 ち 亦 ダビデのうちにも 我 は 爾 よりも 多 を 有 つなりしかるに 爾 なんぞ 我 らを 軽 じたるやわが 王 を 導 きかへらんと 言 しは 我 最初 なるにあらずやとされどユダの 人々 の 言 はイスラエルの 人々 の 言 よりも 厲 しかりき
Chapter 20
1 爰 に 一人 の 邪 なる 人 あり 其 名 をシバといビクリの 子 にしてベニヤミン 人 なり 彼 喇叭 を 吹 ていひけるは 我儕 はダビデの 中 に 分 なし 又 ヱサイの 子 のうちに 產業 なしイスラエルよ 各人 其 天 幕 に 歸 れよと
2 是 によりてイスラエルの 人 皆 ダビデに 随 ふことを 止 てのぼりビクリの 子 シバにしたがへり 然 どユダの 人々 は 其 王 に 附 てヨルダンよりエルサレムにいたれり
3 ダビデ、エルサレムにある 己 の 家 にいたり 王 其 遺 して 家 を 守 らせたる 妾 なる十 人 の 婦 をとりてこれを 一 の 室 に 守 り 置 て 養 へりされどかれらの 處 には 入 ざりき 斯 かれらは 死 る 日 まで 閉 こめられて 生涯 嫠婦 にてすごせり
4 爰 に 王 アマサにいひけるは 我 ために 三日 のうちにユダの 人々 を 召 きたれしかして 爾 此處 にをれ
5 アマサ 乃 ちユダを 召 あつめんとて 往 たりしが 彼 ダビデが 定 めたる 期 よりも 長 く 留 れり
6 是 においてダビデ、アビシヤイにいひけるはビクリの 子 シバ 今 我儕 にアブサロムよりもおほくの 害 をなさんとす 爾 の 主 の 臣僕 を 率 ゐて 彼 の 後 を 追 へ 恐 らくは 彼 堅固 なる 城邑 を 獲 て 我儕 の 目 を 逃 れんと
7 是 によりてヨアブの 從者 とケレテ 人 とペレテ 人 および 都 の 勇士 彼 にしたがびて 出 たり 即 ち 彼等 エルサレムより 出 てビクリの 子 シバの 後 を 追 ふ
8 彼等 がギベオンにある 大 石 の 傍 に 居 りし 時 アマサかれらにむかひ 來 れり 時 にヨアブ 戎 衣 に 帶 を 結 て 衣服 となし 其 上 に 刀 を 鞘 にをさめ 腰 に 結 びて 帶 び 居 たりしが 其 劍 脱 け 堕 ちたり
9 ヨアブ、アマサにわが 兄弟 よ 爾 は 平康 なるやといひて 右 の 手 をもてアマサの 鬚 を 將 て 彼 に 接吻 せんとせしが
10 アマサはヨアブの 手 にある 劍 に 意 を 留 ざりければヨアブ 其 をもてアマサの 腹 を 刺 して 其 膓 を 地 に 流 しいだし 重 ねて 撃 に 及 ばざらしめてこれをころせり かくてヨアブと 其 兄弟 アビシヤイ、ビクリの 子 シバの 後 を 追 り
11 時 にヨアブの 少者 の 一人 アマサの 側 にたちていふヨアブを 助 くる 者 とダビデに 附從 ものはヨアブの 後 に 隨 へと
12 アマサは 血 に 染 て 大路 の 中 に 轉 び 居 たり 斯 人民 の 皆 立 どまるを 見 てアマサを 大路 より 田 に 移 したるが 其 側 にいたれる 者 皆 見 て 立 ちとまりければ 衣 を 其 上 にかけたり
13 アマサ 大路 より 移 されければ 人 皆 ヨアブにしたがひ 進 みてビクリの 子 シバの 後 を 追 ふ
14 彼 イスラエルの 凡 の 支派 の 中 を 行 てアベルとベテマアカに 至 るに 少年 皆 集 りて 亦 かれにしたがひゆけり
15 かくて 彼等 來 りて 彼 をアベル、ベテマアカに 圍 み 城邑 にむかひて 壘 を 築 けり 是 は 壕 の 中 にたてりかくしてヨアブとともにある 民 皆 石垣 を 崩 さんとてこれを 撃 居 りしが
16 一箇 の 哲 き 婦 城邑 より 呼 はりていふ 爾 ら 聽 よ 爾 ら 聽 よ 請 ふ 爾 らヨアブに 此 に 近 よれ 我 爾 に 言 んと 言 へと
17 かれ 其 婦 にちかよるに 婦 いひけるは 爾 はヨアブなるやかれ 然 りといひければ 婦 彼 にいふ 婢 の 言 を 聽 けかれ 我 聽 くといふ
18 婦 即 ち 語 りていひけるは 昔 人々 誠 に 語 りて 人 必 ずアベルにおいて 索問 べしといひて 事 を 終 ふ
19 我 はイスラエルの 中 の 平和 なる 忠義 なる 者 なりしかるに 爾 はイスラルの 中 にて 母 ともいふべき 城邑 を 滅 さんことを 求 む 何 ゆゑに 爾 ヱホバの 產業 を 呑 み 盡 さんとするや
20 ヨアブ 答 へていひけるは 決 めてしからず 決 めてしからずわれ 呑 み 盡 し 或 は 滅 ぼさんとすることなし
21 其 事 しからずエフライムの 山地 の 人 ビクリの 子 名 はシバといふ 者 手 を 擧 て 王 ダビデに 敵 せり 爾 ら 只 彼 一人 を 付 せ 然 らば 我 此 邑 をさらんと 婦 ヨアブにいひけるは 視 よ 彼 の 首級 は 石垣 の 上 より 爾 に 投 いだすべし
22 かくて 婦 其 智慧 をもて 凡 の 民 の 所 にいたりければかれらビクリの 子 シバの 首級 を 刎 てヨアブの 所 に 投 出 せり 是 においてヨアブ 喇叭 を 吹 ならしければ 人々 散 て 邑 より 退 きておのおの 其 天 幕 に 還 りぬヨアブはエルサレムにかへりて 王 の 處 にいたれり
23 ヨアブはイスラエルの 全 軍 の 長 なりヱホヤダの 子 ベナヤはケレテ 人 とペレテ 人 の 長 なり
24 アドラムは 徴募 長 なりアヒルデの 子 ヨシヤパテは 史官 なり
25 シワは 書記 官 なりザドクとアビヤタルは 祭司 なり
26 亦 ヤイル 人 イラはダビデの 大臣 なり
Chapter 21
1 ダビデの 世 に 年 復 年 と 三 年 饑饉 ありければダビデ、ヱホバに 問 にヱホバ 言 たまひけるは 是 はサウルと 血 を 流 せる 其 家 のためなり 其 は 彼 嘗 てギベオン 人 を 殺 したればなりと
2 是 において 王 ギベオン 人 を 召 てかれらにいへりギベオン 人 はイスラエルの 子孫 にあらずアモリ 人 の 殘餘 なりしがイスラエルの 子孫 昔 彼等 に 誓 をなしたり 然 るにサウル、イスラエルとユダの 子孫 に 熱心 なるよりして 彼等 を 殺 さんと 求 めたり
3 即 ちダビデ、ギベオン 人 にいひけるは 我 汝等 のために 何 を 爲 すべきか 我 何 の 賠償 を 爲 さば 汝等 ヱホバの 產業 を 祝 するや
4 ギベオン 人 彼 にいひけるは 我儕 はサウルと 其 家 の 金銀 を 取 じ 又 汝 は 我 らのためにイスラエルの 中 の 人 一人 をも 殺 すなかれダビデいひけるは 汝等 が 言 ふ 所 は 我 汝 らのために 爲 ん
5 彼等 王 にいひけるは 我儕 を 滅 したる 人 我儕 を 殲 してイスラエルの 境 の 中 に 居留 ざらしめんとて 我儕 にむかひて 謀 を 設 けし 人
6 請 ふ 其人 の 子孫 七 人 を 我儕 に 與 へよ 我儕 ヱホバの 選 みたるサウルのギベアにて 彼等 をヱホバのまへに 懸 ん 王 いふ 我 與 ふべしと
7 されど 王 サウルの 子 ヨナタンの 子 なるメピボセテを 惜 めり 是 は 彼 等 のあひだ 即 ちダビデとサウルの 子 ヨナタンとの 間 にヱホバを 指 して 爲 る 誓 あるに 因 り
8 されど 王 アヤの 女 リヅパがサウルに 生 し 二人 の 子 アルモニとメピボセテおよびサウルの 女 メラブがメホラ 人 バルジライの 子 アデリエルに 生 し五 人 の 子 を 取 りて
9 かれらをギベオン 人 の 手 に 與 へければギベオン 人 かれらを 山 の 上 にてヱホバの 前 に 懸 たり 彼等 七 人 倶 に 斃 れて 刈穫 の 初 日 即 ち 大 麥 刈 の 初時 に 死 り
10 アヤの 女 リヅパ 麻布 を 取 りて 刈穫 の 初時 より 其 屍 上 に 天 より 雨 ふるまでこれをおのれのために 磐 の 上 に 布 きおきて 晝 は 空 の 鳥 を 屍 の 上 に 止 らしめず 夜 は 野 の 獣 をちかよらしめざりき
11 爰 にアヤの 女 サウルの 妾 リヅパの 爲 しことダビデに 聞 えければ
12 ダビデ 往 てサウルの 骨 と 其 子 ヨナタンの 骨 をヤベシギレアデの 人々 の 所 より 取 り 是 はペリシテ 人 がサウルをギルボアに 殺 してベテシヤンの 衢 に 懸 たるをかれらが 竊 みさりたるものなり
13 ダビデ 其處 よりサウルの 骨 と 其 子 ヨナタンの 骨 を 携 へ 上 れりまた 人々 其 懸 られたる 者等 の 骨 を 斂 たり
14 かくてサウルと 其 子 ヨナタンの 骨 をベニヤミンの 地 のゼラにて 其 父 キシの 墓 に 葬 り 都 て 王 の 命 じたる 所 を 爲 り 比 より 後 神 其 地 のため 祈祷 を 聽 たまへり
15 ペリシテ 人 復 イスラエルと 戰爭 を 爲 すダビデ 其 臣僕 とともに 下 りてペリシテ 人 と 戰 ひけるがダビデ 困憊 居 りければ
16 イシビベノブ、ダビデを 殺 さんと 思 へり(イシビベノブは 巨人 の 子等 の 一人 にて 其 槍 の 銅 の 重 は三 百 シケルあり 彼 新 しき 劒 を 帶 たり)
17 しかれどもゼルヤの 子 アビシヤイ、ダビデを 助 けて 其 ペリシテ 人 を 撃 ち 殺 せり 是 においてダビデの 從者 かれに 誓 ひていひけるは 汝 は 再 我儕 と 共 に 戰爭 に 出 べからず 恐 らくは 爾 イスラエルの 燈光 を 消 さんと
18 此 後 再 びゴブにおいてペリシテ 人 と 戰 あり 時 にホシヤ 人 シベカイ 巨人 の 子等 の 一人 なるサフを 殺 せり
19 爰 に 復 ゴブにてペリシテ 人 と 戰 あり 其處 にてベテレヘム 人 ヤレオレギムの 子 エルハナン、ガテのゴリアテの 兄弟 ラミを 殺 せり 其 槍 の 柄 は 機 の 梁 の 如 くなりき
20 又 ガテに 戰 ありしが 其處 に 一人 の 身 長 き 人 あり 手 には 各 六 の 指 あり 足 には 各 六 の 指 ありて 其 數 合 せて二十四なり 彼 もまた 巨人 の 生 る 者 なり
21 彼 イスラエルを 挑 みしかばダビデに 兄弟 シメアの 子 ヨナタン 彼 を 殺 せり
22 是 らの 四 人 はガテにて 巨人 の 生 るものなりしがダビデの 手 と 其 臣僕 の 手 に 斃 れたり
Chapter 22
1 ダビデ、ヱホバが 己 を 諸 の 敵 の 手 とサウルの 手 より 救 ひいだしたまへる 日 に 此 歌 の 言 をヱホバに 陳 たり 曰 く
2 ヱホバはわが 巌 わが 要害 我 を 救 ふ 者
3 わが 磐 の 神 なりわれ 彼 に 倚賴 むヱホバはわが 干 わが 救 の 角 わが 高 櫓 わが 逃躱處 わが 救主 なり 爾 我 をすくひて 暴 き 事 を 免 れしめたまふ
4 我 ほめまつるべきヱホバに 呼 はりてわが 敵 より 救 はる
5 死 の 波涛 われを 繞 み 邪曲 なる 者 の 河 われをおそれしむ
6 冥府 の 繩 われをとりまき 死 の 機檻 われにのぞめり
7 われ 艱難 のうちにヱホバをよびまたわが 神 に 龥 れりヱホバ 其 殿 よりわが 聲 をききたまひわが 喊呼 其 耳 にいりぬ
8 爰 に 地 震 ひ 撼 き 天 の 基 動 き 震 へりそは 彼 怒 りたまへばなり
9 烟 其 鼻 より 出 てのぽり 火 その 口 より 出 て 燒 きつくしおこれる 炭 かれより 燃 いづ
10 彼 天 を 傾 けて 下 りたまふ 黑雲 その 足 の 下 にあり
11 ケルブに 乗 て 飛 び 風 の 翼 の 上 にあらはれ
12 其 周圍 に 黑暗 をおき 集 まれる 水 密雲 を 幕 としたまふ
13 そのまへの 光 より 炭 火 燃 いづ
14 ヱホバ 天 より 雷 をくだし 最 高 者 聲 をいだし
15 又 箭 をはなちて 彼等 をちらし 電 をはなちて 彼等 をうちやぶりたまへり
16 ヱホバの 叱咤 とその 鼻 の 氣吹 の 風 によりて 海 の 底 あらはれいで 地 の 基 あらはになりぬ
17 ヱホバ 上 より 手 をたれて 我 をとり 洪水 の 中 より 我 を 引 あげ
18 またわが 勁 き 敵 および 我 をにくむ 者 より 我 をすくひたまへり 彼等 は 我 よりも 強 かりければなり
19 彼等 はわが 菑災 の 日 にわれに 臨 めりされどヱホバわが 支柱 となり
20 我 を 廣 き 處 にひきいだしわれを 喜 ぶがゆゑに 我 をすくひたまへり
21 ヱホバわが 義 にしたがひて 我 に 報 い 吾 手 の 清潔 にしたがひて 我 に 酬 したまへり
22 其 はわれヱホバの 道 をまもり 惡 をなしてわが 神 に 離 しことなければなり
23 その 律例 は 皆 わがまへにあり 其 法憲 は 我 これを 離 れざるなり
24 われ 神 にむかひて 完全 かり 又 身 を 守 りて 惡 を 避 たり
25 故 にヱホバわが 義 にしたがひ 其 目 のまへにわが 潔白 あるに 循 ひてわれに 報 いたまへり
26 矜恤 者 には 爾 矜恤 ある 者 のごとくし 完全 人 には 爾 完全 者 のごとくし
27 潔白 者 には 爾 潔白 もののごとくし 邪曲 者 には 爾 嚴刻 者 のごとくしたまふ
28 難 る 民 は 爾 これを 救 たまふ 然 ど 矜高 者 は 爾 の 目 見 て 之 を 卑 したまふ
29 ヱホバ 爾 はわが 燈火 なりヱホバわが 暗 をてらしたまふ
30 われ 爾 によりて 軍隊 の 中 を 驅 とほりわが 神 に 由 て 石垣 を 飛 こゆ
31 神 は 其 道 まつたしヱホバの 言 は 純粋 なし 彼 は 都 て 己 に 倚賴 む 者 の 干 となりたまふ
32 夫 ヱホバのほか 誰 か 神 たらん 我儕 の 神 のほか 敦 か 磐 たらん
33 神 はわが 強 き 堅衆 にてわが 道 を 全 うし
34 わが 足 を 麀 の 如 くなし 我 をわが 崇邱 に 立 しめたまふ
35 神 わが 手 に 戰 を 敎 へたまへばわが 腕 は 銅 の 弓 をも 挽 を 得
36 爾 我 に 爾 の 救 の 干 を 與 へ 爾 の 慈悲 われを 大 ならしめたまふ
37 爾 わが 身 の 下 の 歩 を 恢廓 しめたまへば 我 踝 ふるへず
38 われわが 敵 を 追 て 之 をほろぼし 之 を 絶 すまではかへらず
39 われ 彼等 を 絶 し 彼等 を 破碎 ば 彼等 たちえずわが 足 の 下 にたふる
40 汝 戰 のために 力 をもて 我 に 帶 しめ 又 われに 逆 ふ 者 をわが 下 に 拝跪 しめたまふ
41 爾 わが 敵 をして 我 に 後 を 見 せしめたまふ 我 を 惡 む 者 はわれ 之 をほろぼさん
42 彼等 環視 せど 救 ふ 者 なしヱホバを 仰視 ど 彼等 に 應 たまはず
43 地 の 塵 の 如 くわれ 彼等 をうちくだき 又 衢間 の 泥 のごとくわれ 彼等 をふみにぢる
44 爾 われをわが 民 の 爭闘 より 救 ひ 又 われをまもりて 異邦人 等 の 首長 となしたまふわが 知 ざる 民 我 につかふ
45 異邦人 等 は 我 に 媚 び 耳 に 聞 と 均 しく 我 にしたがふ
46 異邦人 等 は 衰 へ 其 衛所 より 戰慄 て 出 づ
47 ヱホバは 活 る 者 なりわが 磐 は 讃 べきかなわが 救 の 磐 の 神 はあがめまつるべし
48 此 神 われに 仇 を 報 いしめ 國々 の 民 をわが 下 にくだらしめたまひ
49 又 わが 敵 の 中 よりわれを 出 し 我 にさからふ 者 の 上 に 我 をあげまた 強暴人 の 許 よりわれを 救 ひいだしたまふ
50 是故 にヱホバよわれ 異邦人 等 のうちに 爾 をほめ 爾 の 名 を 稱 へん
51 ヱホバその 王 の 救 をおほいにしその 受膏者 なるダビデと 其 裔 に 永久 に 恩 を 施 したまふなり
Chapter 23
1 ダビデの 最後 の 言 は 是 なりヱサイの 子 ダビデの 詔言 即 ち 高 く 擧 られし 人 ヤコブの 神 に 膏 をそそがれし 者 イスラエルの 善 き 歌 人 の 詔言
2 ヱホバの 霊 わが 中 にありて 言 たまふ 其 諭言 わが 舌 にあり
3 イスラエルの 神 いひたまふイスラエルの 磐 われに 語 たまふ 人 を 正 く 治 むる 者 神 を 畏 れて 治 むる 者 は
4 日 の 出 の 朝 の 光 のごとく 雲 なき 朝 のごとく 又 雨 の 後 の 日 の 光明 によりて 地 に 茁 いづる 新 草 ごとし
5 わが 家 かく 神 とともにあるにあらずや 神 萬 具備 りて 鞏固 なる 永久 の 契約 を 我 になしたまへり 吾 が 救 と 喜 を 皆 いかで 生 ぜしめたまはざらんや
6 しかれども 邪 なる 者 は 荊棘 のごとくにして 手 をもて 取 がたければ 皆 ともにすてられん
7 之 にふるる 人 は 鐵 と 槍 の 柯 とを 其 身 に 備 ふべし 是 は 火 にやけて 燒 たゆるにいたらん
8 是等 はダビデの 勇士 の 名 なりタクモニ 人 ヤシヨベアムは 三 人 衆 の 長 なりしが 一 時 八 百 人 にむかひて 槍 を 揮 ひて 之 を 殺 せり
9 彼 の 次 はアホア 人 ドドの 子 エルアザルにして 三 勇士 の 中 の 者 なり 彼 其處 に 戰 はんとて 集 まれるペリシテ 人 にむかひて 戰 を 挑 みイスラエルの 人々 の 進 みのぼれる 時 にダビデとともに 居 たりしが
10 たちてペリシテ 人 を 撃 ち 終 に 其 手 疲 て 其 手 劍 に 固着 て 離 れざるにいたれり 此 日 ヱホバ 大 なる 救拯 を 行 ひたまふ 民 は 彼 の 跡 にしたがひゆきて 只 褫取 而巳 なりき
11 彼 の 次 はハラリ 人 アゲの 子 シヤンマなり 一 時 ペリシテ 人 一隊 となりて 集 まれり 彼處 に 扁豆 の 滿 たる 地 の 處 あり 民 ペリシテ 人 のまへより 逃 たるに
12 彼 其 地 の 中 に 立 て 禦 ぎペリシテ 人 を 殺 せりしかしてヱホバ 大 なる 救拯 を 行 ひたまふ
13 刈穫 の 時 に三十 人 衆 の 首長 なる 三 人 下 りてアドラムの 洞穴 に 往 てダビデに 詣 れり 時 にペリシテ 人 の 隊 レパイムの 谷 に 陣 どれり
14 其時 ダビデは 要害 に 居 りペリシテ 人 の 先陣 はベテレヘムにあり
15 ダビデ 慕 ひていひけるは 誰 かベテレヘムの 門 にある 井 の 水 を 我 にのましめんかと
16 三 勇士 乃 ちペリシテ 人 の 陣 を 衝 き 過 てベテレヘムの 門 にある 井 の 水 を 汲 取 てダビデの 許 に 携 へ 來 れり 然 どダビデ 之 をのむことをせずこれをヱホバのまへに 灌 ぎて
17 いひけるはヱホバよ 我 決 てこれを 爲 じ 是 は 生命 をかけて 往 し 人 の 血 なりと 彼 これを 飮 ことを 好 まざりき 三 勇士 は 是等 の 事 を 爲 り
18 ゼルヤの 子 ヨアブの 兄弟 アビシヤイは三十 人 衆 の 首 たり 彼 三 百 人 にむかひて 槍 を 揮 ひて 殺 せり 彼 其 三十 人 衆 の 中 に 名 を 得 たり
19 彼 は三十 人 衆 の 中 の 最 も 尊 き 者 にして 彼等 の 長 とたれり 然 ども 三 人 衆 には 及 ばざりき
20 ヱホヤダの 子 カブジエルのベナヤは 勇氣 あり 多 くの 功績 ありし 者 なり 彼 モアブの 人 の 獅子 の 如 きもの 二人 を 撃 殺 せり 彼 は 亦 雪 の 時 に 下 りて 穴 の 中 にて 獅子 を 撃 殺 せり
21 彼 また 容貌 魁偉 たるエジプト 人 を 撃 殺 せり 其 エジプト 人 は 手 に 槍 を 持 たるに 彼 は 杖 を 執 て 下 りエジプト 人 の 手 より 槍 を 捩 とりて 其 槍 をもてこれを 殺 せり
22 ヱホヤダの 子 ベナヤ 是等 の 事 を 爲 し三十 勇士 の 中 に 名 を 得 たり
23 彼 は三十 人 衆 の 中 に 尊 かりしかども三 人 衆 には 及 ばざりきダビデかれを 參議 の 中 に 列 しむ
24 三十 人 衆 の 中 にはヨアブの 兄弟 アサヘル、ベテレヘムのドドの 子 エルハナン
25 ハロデ 人 シヤンマ、ハロデ 人 エリカ
26 パルデ 人 ヘレヅ、テコア 人 イツケシの 子 イラ
27 アネトテ 人 アビエゼル、ホシヤ 人 メブンナイ
28 アホア 人 ザルモン、ネトバ 人 マハライ
29 ネトパ 人 バアナの 子 ヘレブ、ベニヤミンの 子孫 のギベアより 出 たるリバイの 子 イツタイ
30 ヒラトン 人 ベナヤ、ガアシの 谷 のヒダイ
31 アルパテ 人 アビアルボン、バホリム 人 アズマウテ
32 シヤルボニ 人 エリヤバ、キゾニ 人 ヤセン
33 ハラリ 人 シヤンマの 子 ヨナタン、アラリ 人 シヤラルの 子 アヒアム
34 ウルの 子 エリパレテ、マアカ 人 へペル、ギロ 人 アヒトペルの 子 エリアム
35 カルメル 人 ヘヅライ、アルバ 人 パアライ
36 ゾバのナタンの 子 イガル、ガド 人 バニ
37 アンモニ 人 ゼレク、ゼルヤの 子 ヨアブの 武器 を 執 る 者 ベエロデ 人 ナハライ
38 ヱテリ 人 イラ、ヱテリ 人 ガレブ
39 ヘテ 人 ウリヤあり 都 三十七 人
Chapter 24
1 ヱホバ 復 イスラエルにむかひて 怒 を 發 しダビデを 感動 して 彼等 に 敵對 しめ 往 てイスラエルとユダを 數 へよと 言 しめたまふ
2 王 乃 ちヨアブおよびヨアブとともにある 軍長 等 にいひけるは 請 ふイスラエルの 諸 の 支派 の 中 をダンよりベエルシバに 至 るまで 行 めぐりて 民 を 核 べ 我 をして 民 の 數 を 知 しめよ
3 ヨアブ 王 にいひけるは 幾何 あるともねがはくは 汝 の 神 ヱホバ 民 を 百 倍 に 増 たまへ 而 して 王 わが 主 の 目 それを 視 るにいたれ 然 りといへども 王 わが 主 の 此事 を 悦 びたまふは 何故 ぞやと
4 されど 王 の 言 ヨアブと 軍長 等 に 勝 ければヨアブと 軍長 等 王 の 前 を 退 きてイスラエルの 民 を 核 べに 往 り
5 かれらヨルダンを 濟 りアロエルより 即 ち 河 の 中 の 邑 より 始 めてガドにいたりヤゼルにいたり
6 ギレアデにいたりタテムホデシの 地 にいたり 又 ダニヤンにいたりてシドンに 旋 り
7 またツロの 城 にいたりヒビ 人 とカナン 人 の 諸 の 邑 にいたりユダの 南 に 出 てベエルシバにいたれり
8 彼等 國 を 徧 く 行 めぐり 九 月 と 廿日 を 經 てルサレムに 至 りぬ
9 ヨアブ 人口 の 數 を 王 に 告 たり 即 ちイスラエルに 劍 を 抜 く 壯士 八十 萬 ありき 又 ユダの 人 は五十 萬 ありき
10 ダビデ 民 の 數 を 書 し 後 其心 自 ら 責 む 是 においてダビデ、ヱホバにいふ 我 これを 爲 して 大 に 罪 を 犯 したりねがはくはヱホバよ 僕 の 罪 を 除 きたまへ 我 甚 だ 愚 なる 事 を 爲 りと
11 ダビデ 朝 興 し 時 ヱホバの 言 ダビデの 先見者 なる 預言 者 ガデに 臨 みて 曰 く
12 往 てダビデに 言 へヱホバ 斯 いふ 我 汝 に 三 を 示 す 汝 其 一 を 擇 べ 我 其 を 汝 に 爲 んと
13 ガデ、ダビデの 許 にいたりこれに 告 てこれにいひけるは 汝 の 地 に七 年 の 饑饉 いたらんか 或 は 汝 敵 に 追 れて 三月 其 前 に 遁 んか 或 は 爾 の 地 に 三日 の 疫病 あらんか 爾 考 へてわが 如何 なる 答 を 我 を 遣 はせし 者 に 爲 べきかを 決 めよ
14 ダビデ、ガデにいひけるは 我 大 に 苦 しむ 請 ふ 我儕 をしてヱホバの 手 に 陷 らしめよ 其 憐憫 大 なればなり 我 をして 人 の 手 に 陷 らしむるなかれ
15 是 においてヱホバ 朝 より 集會 の 時 まで 疫病 をイスラエルに 降 したまふダンよりベエルシバまでに 民 の 死 る 者 七 萬人 なり
16 天 の 使 其 手 をエルサレムに 伸 てこれを 滅 さんとしたりしがヱホバ 此 害 惡 を 悔 て 民 を 滅 す 天使 にいひたまひけるは 足 り 今 汝 の 手 を 住 めよと 時 にヱホバの 使 はヱブス 人 アラウナの 禾場 の 傍 にあり
17 ダビデ 民 を 撃 つ 天使 を 見 し 時 ヱホバに 申 していひけるは 嗚呼 我 は 罪 を 犯 したり 我 は 惡 き 事 を 爲 たり 然 ども 是等 の 羊群 は 何 を 爲 たるや 請 ふ 爾 の 手 を 我 とわが 父 の 家 に 對 たまへと
18 此 日 ガデ、ダビデの 所 にいたりてかれにいひけるは 上 りてヱブス 人 アラウナの 禾場 にてヱホバに 壇 を 建 よ
19 ダビデ、ガデの 言 に 隨 ひヱホバの 命 じたまひしごとくのぼれり
20 アラウナ 觀望 て 王 と 其 臣僕 の 己 の 方 に 進 み 來 るを 見 アラウナ 出 て 王 のまへに 地 に 伏 て 拝 せり
21 かくてアラウナいひけるは 何 に 因 てか 王 わが 主 僕 の 所 にきませるやダビデひけるは 汝 より 禾場 を 買 ひとりヱホバに 壇 を 築 きて 民 に 降 る 災 をとどめんとてなり
22 アラウナ、ダビデにいひけるはねがはくは 王 わが 主 其 目 に 善 と 見 ゆるものを 取 て 献 げたまへ 燔祭 には 牛 あり 薪 には 打禾車 と 牛 の 器 ありと
23 アラリナこれを 悉 く 王 に 奉呈 ぐアラウナ 又 王 にねがはくは 爾 の 神 ヱホバ 爾 を 受納 たまはんことをといふ
24 王 アラウナにいひけるは 斯 すべからず 我 必 ず 値 をはらひて 爾 より 買 とらん 我 費 なしに 燔祭 をわが 神 ヱホバに 献 ぐることをせじとダビデ 銀 五十 シケルにて 禾場 と 牛 を 買 とれり
25 ダビデ 其處 にてヱホバに 壇 を 築 き 燔祭 と 酬恩祭 を 献 げたり 是 においてヱホバ 其 地 のために 祈祷 を 聽 たまひて 災 のイスラエルに 降 ること 止 りぬ