Chapter 1
1 元始 に 神 天地 を 創造 たまへり
2 地 は 定形 なく 曠空 くして 黑暗 淵 の 面 にあり 神 の 靈 水 の 面 を 覆 たりき
3 神 光 あれと 言 たまひければ 光 ありき
4 神 光 を 善 と 觀 たまへり 神 光 と 暗 を 分 ちたまへり
5 神 光 を 晝 と 名 け 暗 を 夜 と 名 けたまへり 夕 あり 朝 ありき 是 首 の 日 なり
6 神 言 たまひけるは 水 の 中 に 穹蒼 ありて 水 と 水 とを 分 つべし
7 神 穹蒼 を 作 りて 穹蒼 の 下 の 水 と 穹蒼 の 上 の 水 とを 判 ちたまへり 即 ち 斯 なりぬ
8 神 穹蒼 を 天 と 名 けたまへり 夕 あり 朝 ありき 是 二日 なり
9 神 言 たまひけるは 天 の 下 の 水 は 一處 に 集 りて 乾 ける 土 顯 べしと 即 ち 斯 なりぬ
10 神 乾 ける 土 を 地 と 名 け 水 の 集合 るを 海 と 名 けたまへり 神 之 を 善 と 觀 たまへり
11 神 言 たまひけるは 地 は 靑草 と 實蓏 を 生 ずる 草蔬 と 其類 に 從 ひ 果 を 結 びみづから 核 をもつ 所 の 果 を 結 ぶ 樹 を 地 に 發出 すべしと 即 ち 斯 なりぬ
12 地 靑草 と 其類 に 從 ひ 實蓏 を 生 ずる 草蔬 と 其類 に 從 ひ 果 を 結 てみづから 核 をもつ 所 の 樹 を 發出 せり 神 これを 善 と 觀 たまへり
13 夕 あり 朝 ありき 是 三日 なり
14 神 言 たまひけるは 天 の 穹蒼 に 光明 ありて 晝 と 夜 とを 分 ち 又 天象 のため 時節 のため 日 のため 年 のために 成 べし
15 又 天 の 穹蒼 にありて 地 を 照 す 光 となるべしと 即 ち 斯 なりぬ
16 神 二 の 巨 なる 光 を 造 り 大 なる 光 に 晝 を 司 どらしめ 小 き 光 に 夜 を 司 どらしめたまふまた 星 を 造 りたまへり
17 神 これを 天 の 穹蒼 に 置 て 地 を 照 さしめ
18 晝 と 夜 を 司 どらしめ 光 と 暗 を 分 たしめたまふ 神 これを 善 と 觀 たまへり
19 夕 あり 朝 ありき 是 四日 なり
20 神 云 たまひけるは 水 には 生物 饒 に 生 じ 鳥 は 天 の 穹蒼 の 面 に 地 の 上 に 飛 べしと
21 神 巨 なる 魚 と 水 に 饒 に 生 じて 動 く 諸 の 生物 を 其類 に 從 ひて 創造 り 又 羽翼 ある 諸 の 鳥 を 其類 に 從 ひて 創造 りたまへり 神 之 を 善 と 觀 たまへり
22 神 之 を 祝 して 曰 く 生 よ 繁息 よ 海 の 水 に 充牣 よ 又 禽鳥 は 地 に 蕃息 よと
23 夕 あり 朝 ありき 是 五日 なり
24 神 言 給 ひけるは 地 は 生物 を 其類 に 從 て 出 し 家畜 と 昆蟲 と 地 の 獸 を 其類 に 從 て 出 すべしと 即 ち 斯 なりぬ
25 神 地 の 獸 を 其類 に 從 て 造 り 家畜 を 其類 に 從 て 造 り 地 の 諸 の 昆蟲 を 其類 に 從 て 造 り 給 へり 神 之 を 善 と 觀 給 へり
26 神 言 給 けるは 我儕 に 象 りて 我儕 の 像 の 如 くに 我儕 人 を 造 り 之 に 海 の 魚 と 天空 の 鳥 と 家畜 と 全地 と 地 に 匍 ふ 所 の 諸 の 昆蟲 を 治 めんと
27 神 其 像 の 如 くに 人 を 創造 たまへり 即 ち 神 の 像 の 如 くに 之 を 創造 之 を 男 と 女 に 創造 たまへり
28 神 彼等 を 祝 し 神 彼等 に 言 たまひけるは 生 よ 繁殖 よ 地 に 滿盈 よ 之 を 服從 せよ 又 海 の 魚 と 天空 の 鳥 と 地 に 動 く 所 の 諸 の 生物 を 治 めよ
29 神 言 たまひけるは 視 よ 我 全地 の 面 にある 實蓏 のなる 諸 の 草蔬 と 核 ある 木果 の 結 る 諸 の 樹 とを 汝等 に 與 ふこれは 汝 らの 糧 となるべし
30 又 地 の 諸 の 獸 と 天空 の 諸 の 鳥 および 地 に 匍 ふ 諸 の 物 等 凡 そ 生命 ある 者 には 我 食物 として 諸 の 靑 き 草 を 與 ふと 即 ち 斯 なりぬ
31 神 其 造 りたる 諸 の 物 を 視 たまひけるに 甚 だ 善 りき 夕 あり 朝 ありき 是 六日 なり
Chapter 2
1 斯 天地 および 其 衆群 悉 く 成 ぬ
2 第七日 に 神 其 造 りたる 工 を 竣 たまへり 即 ち 其 造 りたる 工 を 竣 て 七日 に 安息 たまへり
3 神 七日 を 祝 して 之 を 神聖 めたまへり 其 は 神 其 創造 爲 たまへる 工 を 盡 く 竣 て 是 日 に 安息 みたまひたればなり
4 ヱホバ 神 地 と 天 を 造 りたまへる 日 に 天地 の 創造 られたる 其 由來 は 是 なり
5 野 の 諸 の 灌木 は 未 だ 地 にあらず 野 の 諸 の 草蔬 は 未 生 ぜざりき 其 はヱホバ 神 雨 を 地 に 降 せたまはず 亦 土地 を 耕 す 人 なかりければなり
6 霧 地 より 上 りて 土地 の 面 を 遍 く 潤 したり
7 ヱホバ 神 土 の 塵 を 以 て 人 を 造 り 生氣 を 其 鼻 に 嘘入 たまへり 人 即 ち 生靈 となりぬ
8 ヱホバ 神 エデンの 東 の 方 に 園 を 設 て 其 造 りし 人 を 其處 に 置 たまへり
9 ヱホバ 神 觀 に 美麗 く 食 ふに 善 き 各種 の 樹 を 土地 より 生 ぜしめ 又 園 の 中 に 生命 の 樹 および 善惡 を 知 の 樹 を 生 ぜしめ 給 へり
10 河 エデンより 出 て 園 を 潤 し 彼處 より 分 れて 四 の 源 となれり
11 其 第一 の 名 はピソンといふ 是 は 金 あるハビラの 全地 を 繞 る 者 なり
12 其 地 の 金 は 善 し 又 ブドラクと 碧玉 彼處 にあり
13 第 二 の 河 の 名 はギホンといふ 是 はクシの 全地 を 繞 る 者 なり
14 第 三 の 河 の 名 はヒデケルといふ 是 はアッスリヤの 東 に 流 るるものなり 第 四 の 河 はユフラテなり
15 ヱホバ 神 其人 を 挈 て 彼 をエデンの 園 に 置 き 之 を 埋 め 之 を 守 らしめ 給 へり
16 ヱホバ 神 其人 に 命 じて 言 たまひけるは 園 の 各種 の 樹 の 果 は 汝 意 のままに 食 ふことを 得
17 然 ど 善惡 を 知 の 樹 は 汝 その 果 を 食 ふべからず 汝 之 を 食 ふ 日 には 必 ず 死 べければなり
18 ヱホバ 神 言 たまひけるは 人 獨 なるは 善 らず 我 彼 に 適 ふ 助者 を 彼 のために 造 らんと
19 ヱホバ 神 土 を 以 て 野 の 諸 の 獸 と 天空 の 諸 の 鳥 を 造 りたまひてアダムの 之 を 何 と 名 るかを 見 んとて 之 を 彼 の 所 に 率 ゐいたりたまへりアダムが 生物 に 名 けたる 所 は 皆 其 名 となりぬ
20 アダム 諸 の 家畜 と 天空 の 鳥 と 野 の 諸 の 獸 に 名 を 與 へたり 然 どアダムには 之 に 適 ふ 助者 みえざりき
21 是 に 於 てヱホバ 神 アダムを 熟 く 睡 らしめ 睡 りし 時 其 肋骨 の 一 を 取 り 肉 をもて 其處 を 填塞 たまへり
22 ヱホバ 神 アダムより 取 たる 肋骨 を 以 て 女 を 成 り 之 をアダムの 所 に 携 きたりたまへり
23 アダム 言 けるは 此 こそわが 骨 の 骨 わが 肉 の 肉 なれ 此 は 男 より 取 たる 者 なれば 之 を 女 と 名 くべしと
24 是故 に 人 は 其 父母 を 離 れて 其 妻 に 好合 ひ 二人 一體 となるべし
25 アダムと 其 妻 は 二人 倶 に 裸體 にして 愧 ざりき
Chapter 3
1 ヱホバ 神 の 造 りたまひし 野 の 生物 の 中 に 蛇 最 も 狡猾 し 蛇 婦 に 言 ひけるは 神 眞 に 汝等 園 の 諸 の 樹 の 果 は 食 ふべからずと 言 たまひしや
2 婦 蛇 に 言 けるは 我等 園 の 樹 の 果 を 食 ふことを 得
3 然 ど 園 の 中央 に 在 樹 の 果實 をば 神 汝等 之 を 食 ふべからず 又 之 に 捫 るべからず 恐 は 汝等 死 んと 言 給 へり
4 蛇 婦 に 言 けるは 汝等 必 らず 死 る 事 あらじ
5 神 汝等 が 之 を 食 ふ 日 には 汝等 の 目 開 け 汝等 神 の 如 くなりて 善惡 を 知 に 至 るを 知 りたまふなりと
6 婦 樹 を 見 ば 食 に 善 く 目 に 美麗 しく 且 智慧 からんが 爲 に 慕 はしき 樹 なるによりて 遂 に 其 果實 を 取 て 食 ひ 亦 之 を 己 と 偕 なる 夫 に 與 へければ 彼 食 へり
7 是 において 彼等 の 目 倶 に 開 て 彼等 其 裸體 なるを 知 り 乃 ち 無花果樹 の 葉 を 綴 て 裳 を 作 れり
8 彼等 園 の 中 に 日 の 清涼 き 時分 歩 みたまふヱホバ 神 の 聲 を 聞 しかばアダムと 其 妻 即 ちヱホバ 神 の 面 を 避 て 園 の 樹 の 間 に 身 を 匿 せり
9 ヱホバ 神 アダムを 召 て 之 に 言 たまひけるは 汝 は 何處 にをるや
10 彼 いひけるは 我 園 の 中 に 汝 の 聲 を 聞 き 裸體 なるにより 懼 れて 身 を 匿 せりと
11 ヱホバ 言 たまひけるは 誰 が 汝 の 裸 なるを 汝 に 告 しや 汝 は 我 が 汝 に 食 ふなかれと 命 じたる 樹 の 果 を 食 ひたりしや
12 アダム 言 けるは 汝 が 與 て 我 と 偕 ならしめたまひし 婦 彼 其 樹 の 果實 を 我 にあたへたれば 我 食 へりと
13 ヱホバ 神 婦 に 言 たまひけるは 汝 がなしたる 此事 は 何 ぞや 婦 言 けるは 蛇 我 を 誘惑 して 我 食 へりと
14 ヱホバ 神 蛇 に 言 たまひけるは 汝 是 を 爲 たるに 因 て 汝 は 諸 の 家畜 と 野 の 諸 の 獸 よりも 勝 りて 詛 はる 汝 は 腹行 て 一生 の 間 塵 を 食 ふべし
15 又 我 汝 と 婦 の 間 および 汝 の 苗裔 と 婦 の 苗裔 の 間 に 怨恨 を 置 ん 彼 は 汝 の 頭 を 碎 き 汝 は 彼 の 踵 を 碎 かん
16 又 婦 に 言 たまひけるは 我 大 に 汝 の 懷姙 の 劬勞 を 増 すべし 汝 は 苦 みて 子 を 產 ん 又 汝 は 夫 をしたひ 彼 は 汝 を 治 めん
17 又 アダムに 言 たまひけるは 汝 その 妻 の 言 を 聽 て 我 が 汝 に 命 じて 食 ふべからずと 言 たる 樹 の 果 を 食 ひしに 縁 て 土 は 汝 のために 詛 はる 汝 は 一生 のあひだ 勞苦 て 其 より 食 を 得 ん
18 土 は 荊棘 と 薊 とを 汝 のために 生 ずべしまた 汝 は 野 の 草蔬 を 食 ふべし
19 汝 は 面 に 汗 して 食物 を 食 ひ 終 に 土 に 歸 らん 其 は 其 中 より 汝 は 取 れたればなり 汝 は 塵 なれば 塵 に 皈 るべきなりと
20 アダム 其 妻 の 名 をヱバと 名 けたり 其 は 彼 は 群 の 生物 の 母 なればなり
21 ヱホバ 神 アダムと 其 妻 のために 皮衣 を 作 りて 彼等 に 衣 せたまへり
22 ヱホバ 神 曰 たまひけるは 視 よ 夫人 我等 の 一 の 如 くなりて 善惡 を 知 る 然 ば 恐 くは 彼 其 手 を 舒 べ 生命 の 樹 の 果實 をも 取 りて 食 ひ 限無 生 んと
23 ヱホバ 神 彼 をエデンの 園 よりいだし 其 取 て 造 られたるところの 土 を 耕 さしめたまへり
24 斯 神 其 人 を 逐出 しエデンの 園 の 東 にケルビムと 自 から 旋轉 る 焔 の 劍 を 置 て 生命 の 樹 の 途 を 保守 りたまふ
Chapter 4
1 アダム 其 妻 エバを 知 る 彼 孕 みてカインを 生 みて 言 けるは 我 ヱホバによりて 一個 の 人 を 得 たりと
2 彼 また 其 弟 アベルを 生 りアベルは 羊 を 牧 ふ 者 カインは 土 を 耕 す 者 なりき
3 日 を 經 て 後 カイン 土 より 出 る 果 を 携來 りてヱホバに 供物 となせり
4 アベルもまた 其 羊 の 初生 と 其 肥 たる 者 を 携 來 れりヱホバ、アベルと 其 供物 を 眷顧 みたまひしかども
5 カインと 其 供物 をば 眷 み 給 はざりしかばカイン 甚 だ 怒 り 且 其 面 をふせたり
6 ヱホバ、カインに 言 たまひけるは 汝 何 ぞ 怒 るや 何 ぞ 面 をふするや
7 汝 若 善 を 行 はば 擧 ることをえざらんや 若 善 を 行 はずば 罪 門戸 に 伏 す 彼 は 汝 を 慕 ひ 汝 は 彼 を 治 めん
8 カイン 其 弟 アベルに 語 りぬ 彼等 野 にをりける 時 カイン 其 弟 アベルに 起 かかりて 之 を 殺 せり
9 ヱホバ、カインに 言 たまひけるは 汝 の 弟 アベルは 何處 にをるや 彼 言 ふ 我 しらず 我 あに 我 弟 の 守者 ならんやと
10 ヱホバ 言 たまひけるは 汝 何 をなしたるや 汝 の 弟 の 血 の 聲 地 より 我 に 叫 べり
11 されば 汝 は 詛 れて 此地 を 離 るべし 此地 其 口 を 啓 きて 汝 の 弟 の 血 を 汝 の 手 より 受 たればなり
12 汝 地 を 耕 すとも 地 は 再 其 力 を 汝 に 效 さじ 汝 は 地 に 吟行 ふ 流離子 となるべしと
13 カイン、ヱホバに 言 けるは 我 が 罪 は 大 にして 負 ふこと 能 はず
14 視 よ 汝 今日 斯地 の 面 より 我 を 逐出 したまふ 我 汝 の 面 を 觀 ることなきにいたらん 我 地 に 吟行 ふ 流離子 とならん 凡 そ 我 に 遇 ふ 者 我 を 殺 さん
15 ヱホバ 彼 に 言 たまひけるは 然 らず 凡 そカインを 殺 す 者 は 七倍 の 罰 を 受 んとヱホバ、カインに 遇 ふ 者 の 彼 を 撃 ざるため 印誌 を 彼 に 與 へたまへり
16 カイン、ヱホバの 前 を 離 て 出 でエデンの 東 なるノドの 地 に 住 り
17 カイン 其 妻 を 知 る 彼 孕 みエノクを 生 りカイン 邑 を 建 て 其 邑 の 名 を 其 子 の 名 に 循 ひてエノクと 名 けたり
18 エノクにイラデ 生 れたりイラデ、メホヤエルを 生 みメホヤエル、メトサエルを 生 みメトサエル、レメクを 生 り
19 レメク 二人 の 妻 を 娶 れり 一 の 名 はアダと 曰 ひ 一 の 名 はチラと 曰 り
20 アダ、ヤバルを 生 めり 彼 は 天 幕 に 住 て 家畜 を 牧 ふ 所 の 者 の 先祖 なり
21 其 弟 の 名 はユバルと 云 ふ 彼 は 琴 と 笛 とをとる 凡 ての 者 の 先祖 なり
22 又 チラ、トバルカインを 生 り 彼 は 銅 と 鐡 の 諸 の 刃 物 を 鍛 ふ 者 なりトバルカインの 妹 をナアマといふ
23 レメク 其 妻 等 に 言 けるはアダとチラよ 我 聲 を 聽 けレメクの 妻 等 よわが 言 を 容 よ 我 わが 創傷 のために 人 を 殺 すわが 痍 のために 少年 を 殺 す
24 カインのために 七倍 の 罰 あればレメクのためには七十七 倍 の 罰 あらん
25 アダム 復 其 妻 を 知 て 彼 男子 を 生 み 其 名 をセツと 名 けたり 其 は 彼 神 我 にカインの 殺 したるアベルのかはりに 他 の 子 を 與 へたまへりといひたればなり
26 セツにもまた 男子 生 れたりかれ 其 名 をエノスと 名 けたり 此時 人々 ヱホバの 名 を 呼 ことをはじめたり
Chapter 5
1 アダムの 傳 の 書 は 是 なり 神 人 を 創造 りたまひし 日 に 神 に 象 りて 之 を 造 りたまひ
2 彼等 を 男女 に 造 りたまへり 彼等 の 創造 られし 日 に 神 彼等 を 祝 してかれらの 名 をアダムと 名 けたまへり
3 アダム百三十 歳 に 及 びて 其 像 に 循 ひ 己 に 象 りて 子 を 生 み 其 名 をセツと 名 けたり
4 アダムのセツを 生 し 後 の 齡 は八百 歳 にして 男子 女子 を 生 り
5 アダムの 生存 へたる 齡 は 都合 九百三十 歳 なりき 而 して 死 り
6 セツ百五 歳 に 及 びてエノスを 生 り
7 セツ、エノスを 生 し 後 八百七 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
8 セツの 齡 は 都合 九百十二 歳 なりき 而 して 死 り
9 エノス九十 歳 におよびてカイナンを 生 り
10 エノス、カイナンを 生 し 後 八百十五 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
11 エノスの 齡 は 都合 九百五 歳 なりき 而 して 死 り
12 カイナン七十 歳 におよびてマハラレルを 生 り
13 カイナン、マハラレルを 生 し 後 八百四十 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
14 カイナンの 齡 は 都合 九百十 歳 なりきしかして 死 り
15 マハラレル六十五 歳 に 及 びてヤレドを 生 り
16 マハラレル、ヤレドを 生 し 後 八百三十 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
17 マハラレルの 齡 は 都合 八百九十五 歳 なりき 而 して 死 り
18 ヤレド百六十二 歳 に 及 びてエノクを 生 り
19 ヤレド、エノクを 生 し 後 八百 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
20 ヤレドの 齡 は 都合 九百六十二 歳 なりき 而 して 死 り
21 エノク六十五 歳 に 及 びてメトセラを 生 り
22 エノク、メトセラを 生 し 後 三百 年 神 とともに 歩 み 男子 女子 を 生 り
23 エノクの 齡 は 都合 三百六十五 歳 なりき
24 エノク 神 と 偕 に 歩 みしが 神 かれを 取 りたまひければをらずなりき
25 メトセラ百八十七 歳 に 及 びてレメクを 生 り
26 メトセラ、レメクを 生 しのち七百八十二 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
27 メトセラの 齡 は 都合 九百六十九 歳 なりき 而 して 死 り
28 レメク百八十二 歳 に 及 びて 男子 を 生 み
29 其 名 をノアと 名 けて 言 けるは 此 子 はヱホバの 詛 ひたまひし 地 に 由 れる 我 操作 と 我 勞苦 とに 就 て 我 らを 慰 めん
30 レメク、ノアを 生 し 後 五百九十五 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
31 レメクの 齡 は 都合 七百七十七 歳 なりき 而 して 死 り
32 ノア五百 歳 なりきノア、セム、ハム、ヤペテを 生 り
Chapter 6
1 人 地 の 面 に 繁衍 はじまりて 女子 之 に 生 るるに 及 べる 時
2 神 の 子 等 人 の 女子 の 美 しきを 見 て 其 好 む 所 の 者 を 取 て 妻 となせり
3 ヱホバいひたまひけるは 我 靈 永 く 人 と 爭 はじ 其 は 彼 も 肉 なればなり 然 ど 彼 の 日 は百二十 年 なるべし
4 當時 地 にネピリムありき 亦 其 後 神 の 子 輩 人 の 女 の 所 に 入 りて 子女 を 生 しめたりしが 其 等 も 勇士 にして 古昔 の 名聲 ある 人 なりき
5 ヱホバ 人 の 惡 の 地 に 大 なると 其心 の 思念 の 都 て 圖維 る 所 の 恒 に 惟 惡 きのみなるを 見 たまへり
6 是 に 於 てヱホバ 地 の 上 に 人 を 造 りしことを 悔 いて 心 に 憂 へたまへり
7 ヱホバ 言 たまひけるは 我 が 創造 りし 人 を 我 地 の 面 より 拭去 ん 人 より 獸 昆蟲 天空 の 鳥 にいたるまでほろぼさん 其 は 我 之 を 造 りしことを 悔 ればなりと
8 されどノアはヱホバの 目 のまへに 恩 を 得 たり
9 ノアの 傳 は 是 なりノアは 義人 にして 其 世 の 完全 き 者 なりきノア 神 と 偕 に 歩 めり
10 ノアはセム、ハム、ヤペテの 三 人 の 子 を 生 り
11 時 に 世 神 のまへに 亂 れて 暴虐 世 に 滿盈 ちたりき
12 神 世 を 視 たまひけるに 視 よ 亂 れたり 其 は 世 の 人 皆 其 道 をみだしたればなり
13 神 ノアに 言 たまひけるは 諸 の 人 の 末期 わが 前 に 近 づけり 其 は 彼等 のために 暴虐 世 にみつればなり 視 よ 我 彼等 を 世 とともに 剪滅 さん
14 汝 松木 をもて 汝 のために 方舟 を 造 り 方舟 の 中 に 房 を 作 り 瀝靑 をもて 其 内外 を 塗 るべし
15 汝 かく 之 を 作 るべし 即 ち 其 方舟 の 長 は三百キユビト 其 濶 は五十キユビト 其 高 は三十キユビト
16 又 方舟 に 導光牖 を 作 り 上 一 キユビトに 之 を 作 り 終 べし 又 方舟 の 戸 は 其 傍 に 設 くべし 下牀 と 二 階 と 三 階 とに 之 を 作 るべし
17 視 よ 我 洪水 を 地 に 起 して 凡 て 生命 の 氣息 ある 肉 なる 者 を 天下 より 剪滅 し 絶 ん 地 にをる 者 は 皆 死 ぬべし
18 然 ど 汝 とは 我 わが 契約 をたてん 汝 は 汝 の 子等 と 汝 の 妻 および 汝 の 子等 の 妻 とともに 其 方舟 に 入 るべし
19 又 諸 の 生物 總 て 肉 なる 者 をば 汝 各 其 二 を 方舟 に 挈 へいりて 汝 とともに 其 生命 を 保 たしむべし 其 等 は 牝牡 なるべし
20 鳥 其類 に 從 ひ 獸 其類 に 從 ひ 地 の 諸 の 昆蟲 其類 に 從 ひて 各 二 汝 の 所 に 至 りて 其 生命 を 保 つべし
21 汝 食 はるる 諸 の 食品 を 汝 の 許 に 取 て 之 を 汝 の 所 に 集 むべし 是 即 ち 汝 と 是等 の 物 の 食品 となるべし
22 ノア 是 爲 し 都 て 神 の 己 に 命 じたまひしごとく 然 爲 せり
Chapter 7
1 ヱホバ、ノアに 言 たまひけるは 汝 と 汝 の 家 皆 方舟 に 入 べし 我 汝 がこの 世 の 人 の 中 にてわが 前 に 義 を 視 たればなり
2 諸 の 潔 き 獸 を 牝牡 七宛 汝 の 許 に 取 り 潔 らぬ 獸 を 牝牡 二
3 亦 天空 の 鳥 を 雌雄 七宛 取 て 種 を 全地 の 面 に 生 のこらしむべし
4 今 七日 ありて 我 四十 日 四十 夜 地 に 雨 ふらしめ 我 造 りたる 萬有 を 地 の 面 より 拭去 ん
5 ノア、ヱホバの 凡 て 己 に 命 じたまひし 如 くなせり
6 地 に 洪水 ありける 時 にノア六百 歳 なりき
7 ノア 其 子等 と 其 妻 および 其 子等 の 妻 と 倶 に 洪水 を 避 て 方舟 にいりぬ
8 潔 き 獸 と 潔 らざる 獸 と 鳥 および 地 に 匍 ふ 諸 の 物
9 牝牡 二宛 ノアに 來 りて 方舟 にいりぬ 神 のノアに 命 じたまへるが 如 し
10 かくて 七日 の 後 洪水 地 に 臨 めり
11 ノアの 齡 の六百 歳 の二 月 即 ち 其 月 の十七 日 に 當 り 此 日 に 大淵 の 源 皆 潰 れ 天 の 戸 開 けて
12 雨 四十 日 四十 夜 地 に 注 げり
13 此 日 にノアとノアの 子 セム、ハム、ヤペテおよびノアの 妻 と 其 子等 の三 人 の 妻 諸倶 に 方舟 にいりぬ
14 彼等 および 諸 の 獸 其 類 に 從 ひ 諸 の 家畜 其類 に 從 ひ 都 て 地 に 匍 ふ 昆蟲 其類 に 從 ひ 諸 の 禽 即 ち 各樣 の 類 の 鳥 皆 其類 に 從 ひて 入 りぬ
15 即 ち 生命 の 氣息 ある 諸 の 肉 なる 者 二宛 ノアに 來 りて 方舟 にいりぬ
16 入 たる 者 は 諸 の 肉 なる 者 の 牝牡 にして 皆 いりぬ 神 の 彼 に 命 じたまへるが 如 しヱホバ 乃 ち 彼 を 閉置 たまへり
17 洪水 四十 日 地 にありき 是 において 水 増 し 方舟 を 浮 めて 方舟 地 の 上 に 高 くあがれり
18 而 して 水 瀰漫 りて 大 に 地 に 増 しぬ 方舟 は 水 の 面 に 漂 へり
19 水 甚 大 に 地 に 瀰漫 りければ 天 下 の 高山 皆 おほはれたり
20 水 はびこりて十五キユビトに 上 りければ 山々 おほはれたり
21 凡 そ 地 に 動 く 肉 なる 者 鳥 家畜 獸 地 に 匍 ふ 諸 の 昆蟲 および 人 皆 死 り
22 即 ち 凡 そ 其 鼻 に 生命 の 氣息 のかよふ 者 都 て 乾土 にある 者 は 死 り
23 斯 地 の 表面 にある 萬有 を 人 より 家畜 昆蟲 天空 の 鳥 にいたるまで 盡 く 拭去 たまへり 是等 は 地 より 拭去 れたり 唯 ノアおよび 彼 とともに 方舟 にありし 者 のみ 存 れり
24 水 百五十 日 のあひだ 地 にはびこりぬ
Chapter 8
1 神 ノアおよび 彼 とともに 方舟 にある 諸 の 生物 と 諸 の 家畜 を 眷念 ひたまひて 神 乃 ち 風 を 地 の 上 に 吹 しめたまひければ 水 減 りたり
2 亦 淵 の 源 と 天 の 戸 閉塞 りて 天 よりの 雨 止 ぬ
3 是 に 於 て 水 次第 に 地 より 退 き百五十 日 を 經 てのち 水 減 り
4 方舟 は七 月 に 至 り 其 月 の十七 日 にアララテの 山 に 止 りぬ
5 水 次第 に 減 て十 月 に 至 りしが十 月 の 月朔 に 山々 の 嶺 現 れたり
6 四十 日 を 經 てのちノア 其 方舟 に 作 りし 窓 を 啓 て
7 鴉 を 放出 ちけるが 水 の 地 に 涸 るまで 往來 しをれり
8 彼 地 の 面 より 水 の 減少 しかを 見 んとて 亦 鴿 を 放出 いだしけるが
9 鴿 其 足 の 跖 を 止 べき 處 を 得 ずして 彼 に 還 りて 方舟 に 至 れり 其 は 水 全地 の 面 にありたればなり 彼 乃 ち 其 手 を 舒 て 之 を 執 へ 方舟 の 中 におのれの 所 に 接入 たり
10 尚 又 七日 待 て 再 び 鴿 を 方舟 より 放出 ちけるが
11 鴿 暮 におよびて 彼 に 還 れり 視 よ 其 口 に 橄欖 の 新葉 ありき 是 に 於 てノア 地 より 水 の 減少 しをしれり
12 尚 又 七日 まちて 鴿 を 放出 ちけるが 再 び 彼 の 所 に 歸 らざりき
13 六百一 年 の一 月 の 月朔 に 水 地 に 涸 たりノア 乃 ち 方舟 の 蓋 を 撤 きて 視 しに 視 よ 土 の 面 は 燥 てありぬ
14 二 月 の二十七 日 に 至 りて 地 乾 きたり
15 爰 に 神 ノアに 語 りて 言 給 はく
16 汝 および 汝 の 妻 と 汝 の 子等 と 汝 の 子等 の 妻 ともに 方舟 を 出 べし
17 汝 とともにある 諸 の 肉 なる 諸 の 生物 諸 の 肉 なる 者 即 ち 鳥 家畜 および 地 に 匍 ふ 諸 の 昆蟲 を 率 いでよ 此 等 は 地 に 饒 く 生育 地 の 上 に 生 且 殖増 すべし
18 ノアと 其 子等 と 其 妻 および 其 子等 の 妻 ともに 出 たり
19 諸 の 獸 諸 の 昆蟲 および 諸 の 鳥 等 凡 そ 地 に 動 く 者 種類 に 從 ひて 方舟 より 出 たり
20 ノア、ヱホバのために 壇 を 築 き 諸 の 潔 き 獸 と 諸 の 潔 き 鳥 を 取 て 燔祭 を 壇 の 上 に 献 げたり
21 ヱホバ 其 馨 き 香 を 聞 ぎたまひてヱホバ 其 意 に 謂 たまひけるは 我 再 び 人 の 故 に 因 て 地 を 詛 ふことをせじ 其 は 人 の 心 の 圖維 るところ 其 幼少時 よりして 惡 かればなり 又 我 曾 て 爲 たる 如 く 再 び 諸 の 生 る 物 を 撃 ち 滅 さじ
22 地 のあらん 限 りは 播種時、收穫時、寒熱 夏冬 および 日 と 夜 息 ことあらじ
Chapter 9
1 神 ノアと 其 子等 を 祝 して 之 に 曰 たまひけるは 生 よ 増殖 よ 地 に 滿 よ
2 地 の 諸 の 獸畜 天空 の 諸 の 鳥 地 に 匍 ふ 諸 の 物 海 の 諸 の 魚 汝等 を 畏 れ 汝等 に 懾 かん 是等 は 汝等 の 手 に 與 へらる
3 凡 そ 生 る 動物 は 汝等 の 食 となるべし 菜蔬 のごとく 我 之 を 皆 汝等 に 與 ふ
4 然 ど 肉 を 其 生命 なる 其 血 のままに 食 ふべからず
5 汝等 の 生命 の 血 を 流 すをば 我 必 ず 討 さん 獸 之 をなすも 人 をこれを 爲 すも 我 討 さん 凡 そ 人 の 兄弟 人 の 生命 を 取 ば 我 討 すべし
6 凡 そ 人 の 血 を 流 す 者 は 人 其 血 を 流 さん 其 は 神 の 像 のごとくに 人 を 造 りたまひたればなり
7 汝等 生 よ 増殖 よ 地 に 饒 くなりて 其 中 に 増殖 よ
8 神 ノアおよび 彼 と 偕 にある 其 子等 に 告 て 言 たまひけるは
9 見 よ 我 汝等 と 汝等 の 後 の 子孫
10 および 汝等 と 偕 なる 諸 の 生物 即 ち 汝等 とともなる 鳥 家畜 および 地 の 諸 の 獸 と 契約 を 立 ん 都 て 方舟 より 出 たる 者 より 地 の 諸 の 獸 にまで 至 らん
11 我 汝等 と 契約 を 立 ん 總 て 肉 なる 者 は 再 び 洪水 に 絶 るる 事 あらじ 又 地 を 滅 す 洪水 再 びあらざるべし
12 神 言 たまひけるは 我 が 我 と 汝等 および 汝等 と 偕 なる 諸 の 生物 の 間 に 世々 限 りなく 爲 す 所 の 契約 の 徴 は 是 なり
13 我 わが 虹 を 雲 の 中 に 起 さん 是 我 と 世 との 間 の 契約 の 徴 なるべし
14 即 ち 我 雲 を 地 の 上 に 起 す 時 虹 雲 の 中 に 現 るべし
15 我 乃 ち 我 と 汝等 および 總 て 肉 なる 諸 の 生物 の 間 のわが 契約 を 記念 はん 水 再 び 諸 の 肉 なる 者 を 滅 す 洪水 とならじ
16 虹 雲 の 中 にあらん 我 之 を 觀 て 神 と 地 にある 都 て 肉 なる 諸 の 生物 との 間 なる 永遠 の 契約 を 記念 えん
17 神 ノアに 言 たまひけるは 是 は 我 が 我 と 地 にある 諸 の 肉 なる 者 との 間 に 立 たる 契約 の 徴 なり
18 ノアの 子等 の 方舟 より 出 たる 者 はセム、ハム、ヤペテなりきハムはカナンの 父 なり
19 是等 はノアの 三 人 の 子 なり 全地 の 民 は 是等 より 出 て 蔓延 れり
20 爰 にノアの 農夫 となりて 葡萄園 を 植 ることを 始 しが
21 葡萄 酒 を 飮 て 醉 天 幕 の 中 にありて 裸 になれり
22 カナンの 父 ハム 其 父 のかくし 所 を 見 て 外 にありし 二人 の 兄弟 に 告 たり
23 セムとヤペテ 乃 ち 衣 を 取 て 倶 に 其 肩 に 負 け 後向 に 歩 みゆきて 其 父 の 裸體 を 覆 へり 彼等 面 を 背 にして 其 父 の 裸體 を 見 ざりき
24 ノア 酒 さめて 其 若 き 子 の 己 に 爲 たる 事 を 知 れり
25 是 に 於 て 彼 言 けるはカナン 詛 はれよ 彼 は 僕輩 の 僕 となりて 其 兄弟 に 事 へん
26 又 いひけるはセムの 神 ヱホバは 讚 べきかなカナン 彼 の 僕 となるべし
27 神 ヤペテを 大 ならしめたまはん 彼 はセムの 天 幕 に 居住 はんカナン 其 僕 となるべし
28 ノア 洪水 の 後 三百五十 年 生存 へたり
29 ノアの 齡 は 都 て九百五十 年 なりき 而 して 死 り
Chapter 10
1 ノアの 子 セム、ハム、ヤペテの 傳 は 是 なり 洪水 の 後 彼等 に 子等 生 れたり
2 ヤペテの 子 はゴメル、マゴグ、マデア、ヤワン、トバル、メセク、テラスなり
3 ゴメルの 子 はアシケナズ、リパテ、トガルマなり
4 ヤワンの 子 はエリシヤ、タルシシ、キツテムおよびドダニムなり
5 是等 より 諸國 の 洲島 の 民 は 派分 れ 出 て 各 其 方言 と 其 宗族 と 其 邦國 とに 循 ひて 其 地 に 住 り
6 ハムの 子 はクシ、ミツライム、フテおよびカナンなり
7 クシの 子 はセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカなりラアマの 子 はシバおよびデダンなり
8 クシ、ニムロデを 生 り 彼 始 めて 世 の 權力 ある 者 となれり
9 彼 はヱホバの 前 にありて 權力 ある 獵夫 なりき 是故 にヱホバの 前 にある 夫 權力 ある 獵夫 ニムロデの 如 しといふ 諺 あり
10 彼 の 國 の 起初 はシナルの 地 のバベル、エレク、アツカデ、及 びカルネなりき
11 其 地 より 彼 アッスリヤに 出 でニネベ、レホポテイリ、カラ
12 およびニネベとカラの 間 なるレセンを 建 たり 是 は 大 なる 城邑 なり
13 ミツライム、ルデ 族 アナミ 族 レハビ 族 ナフト 族
14 バテロス 族 カスル 族 およびカフトリ 族 を 生 りカスル 族 よりペリシテ 族 出 たり
15 カナン 其 冢子 シドンおよびヘテ
16 エブス 族 アモリ 族 ギルガシ 族
17 ヒビ 族 アルキ 族 セニ 族
18 アルワデ 族 ゼマリ 族 ハマテ 族 を 生 り 後 に 至 りてカナン 人 の 宗族 蔓延 りぬ
19 カナン 人 の 境 はシドンよりゲラルを 經 てガザに 至 りソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムに 沿 てレシヤにまで 及 べり
20 是等 はハムの 子孫 にして 其 宗族 と 其 方言 と 其 土地 と 其 邦國 に 隨 ひて 居 りぬ
21 セムはヱベルの 全 の 子孫 の 先祖 にしてヤペテの 兄 なり 彼 にも 子女 生 れたり
22 セムの 子 はエラム、アシユル、アルパクサデルデ、アラムなり
23 アラムの 子 はウヅ、ホル、ゲテル、マシなり
24 アルパクサデ、シラを 生 みシラ、エベルを 生 り
25 エベルに 二人 の 子 生 れたり 一人 の 名 をペレグ(分 れ)といふ 其 は 彼 の 代 に 邦國 分 れたればなり 其 弟 の 名 をヨクタンと 曰 ふ
26 ヨクタン、アルモダデ、シヤレフ、ハザルマウテ、ヱラ
27 ハドラム、ウザル、デクラ
28 オバル、アビマエル、シバ
29 オフル、ハビラおよびヨバブを 生 り 是等 は 皆 ヨクタンの 子 なり
30 彼等 の 居住所 はメシヤよりして 東方 の 山 セバルにまで 至 れり
31 是等 はセムの 子孫 にして 其 宗族 と 其 方言 と 其 土地 と 其 邦國 とに 隨 ひて 居 りぬ
32 是等 はノアの 子 の 宗族 にして 其 血統 と 其 邦國 に 隨 ひて 居 りぬ 洪水 の 後 是等 より 地 の 邦國 の 民 は 派分 れ 出 たり
Chapter 11
1 全地 は 一 の 言語 一 の 音 のみなりき
2 茲 に 人衆 東 に 移 りてシナルの 地 に 平野 を 得 て 其處 に 居住 り
3 彼等 互 に 言 けるは 去來 甎石 を 作 り 之 を 善 く 爇 んと 遂 に 石 の 代 に 甎石 を 獲 灰沙 の 代 に 石漆 を 獲 たり
4 又 曰 けるは 去來 邑 と 塔 とを 建 て 其 塔 の 頂 を 天 にいたらしめん 斯 して 我等 名 を 揚 て 全地 の 表面 に 散 ることを 免 れんと
5 ヱホバ 降臨 りて 彼 人衆 の 建 る 邑 と 塔 とを 觀 たまへり
6 ヱホバ 言 たまひけるは 視 よ 民 は 一 にして 皆 一 の 言語 を 用 ふ 今 旣 に 此 を 爲 し 始 めたり 然 ば 凡 て 其 爲 んと 圖維 る 事 は 禁止 め 得 られざるべし
7 去來 我等 降 り 彼處 にて 彼等 の 言語 を 淆 し 互 に 言語 を 通 ずることを 得 ざらしめんと
8 ヱホバ 遂 に 彼等 を 彼處 より 全地 の 表面 に 散 したまひければ 彼等 邑 を 建 ることを 罷 たり
9 是故 に 其 名 はバベル(淆亂)と 呼 ばる 是 はヱホバ 彼處 に 全地 の 言語 を 淆 したまひしに 由 てなり 彼處 よりヱホバ 彼等 を 全地 の 表 に 散 したまへり
10 セムの 傳 は 是 なりセム百 歳 にして 洪水 の 後 の二 年 にアルパクサデを 生 り
11 セム、アルパクサデを 生 し 後 五百 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
12 アルパクサデ三十五 歳 に 及 びてシラを 生 り
13 アルパクサデ、シラを 生 し 後 四百三 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
14 シラ三十 歳 におよびてエベルを 生 り
15 シラ、エベルを 生 し 後 四百三 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
16 エベル三十四 歳 におよびてペレグを 生 り
17 エベル、ペレグを 生 し 後 四百三十 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
18 ペレグ三十 歳 におよびてリウを 生 り
19 ペレグ、リウを 生 し 後 二百九 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
20 リウ三十二 歳 におよびてセルグを 生 り
21 リウ、セルグを 生 し 後 二百七 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
22 セルグ三十 年 におよびてナホルを 生 り
23 セルグ、ナホルを 生 しのち二百 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
24 ナホル二十九 歳 に 及 びてテラを 生 り
25 ナホル、テラを 生 し 後 百十九 年 生存 へて 男子 女子 を 生 り
26 テラ七十 歳 に 及 びてアブラム、ナホルおよびハランを 生 り
27 テラの 傳 は 是 なりテラ、アブラム、ナホルおよびハランを 生 ハラン、ロトを 生 り
28 ハランは 其 父 テラに 先 ちて 其 生處 なるカルデアのウルにて 死 たり
29 アブラムとナホルと 妻 を 娶 れりアブラムの 妻 の 名 をサライと 云 ナホルの 妻 の 名 をミルカと 云 てハランの 女 なりハランはミルカの 父 にして 亦 イスカの 父 なりき
30 サライは 石女 にして 子 なかりき
31 テラ、カナンの 地 に 往 とて 其 子 アブラムとハランの 子 なる 其 孫 ロト 及 其 子 アブラムの 妻 なる 其 媳 サライをひき 挈 て 倶 にカルデアのウルを 出 たりしがハランに 至 て 其處 に 住 り
32 テラの 齡 は二百五 歳 なりきテラはハランにて 死 り
Chapter 12
1 爰 にヱホバ、アブラムに 言 たまひけるは 汝 の 國 を 出 で 汝 の 親 族 に 別 れ 汝 の 父 の 家 を 離 れて 我 が 汝 に 示 さん 其 地 に 至 れ
2 我 汝 を 大 なる 國民 と 成 し 汝 を 祝 み 汝 の 名 を 大 ならしめん 汝 は 祉福 の 基 となるべし
3 我 は 汝 を 祝 する 者 を 祝 し 汝 を 詛 ふ 者 を 詛 はん 天 下 の 諸 の 宗族 汝 によりて 福禔 を 獲 と
4 アブラム 乃 ちヱホバの 自己 に 言 たまひし 言 に 從 て 出 たりロト 彼 と 共 に 行 りアブラムはハランを 出 たる 時 七十五 歳 なりき
5 アブラム 其 妻 サライと 其 弟 の 子 ロトおよび 其 集 めたる 總 の 所有 とハランにて 獲 たる 人衆 を 携 へてカナンの 地 に 往 んとて 出 で 遂 にカナンの 地 に 至 れり
6 アブラム 其 地 を 經過 てシケムの 處 に 及 びモレの 橡樹 に 至 れり 其時 にカナン 人 其 地 に 住 り
7 茲 にヱホバ、アブラムに 顯現 れて 我 汝 の 苗裔 に 此地 に 與 へんといひたまへり 彼處 にて 彼 己 に 顯現 れたまひしヱホバに 壇 を 築 けり
8 彼 其處 よりベテルの 東 の 山 に 移 りて 其 天 幕 を 張 り 西 にベテル 東 にアイありき 彼處 にて 彼 ヱホバに 壇 を 築 きヱホバの 名 を 龥 り
9 アブラム 尚 進 て 南 に 遷 れり
10 茲 に 饑饉 其 地 にありければアブラム、エジプトに 寄寓 らんとて 彼處 に 下 れり 其 は 饑饉 其 地 に 甚 しかりければなり
11 彼 近 く 來 りてエジプトに 入 んとする 時 其 妻 サライに 言 けるは 視 よ 我 汝 を 觀 て 美麗 き 婦人 なるを 知 る
12 是故 にエジプト 人 汝 を 見 る 時 是 は 彼 の 妻 なりと 言 て 我 を 殺 さん 然 ど 汝 をば 生存 かん
13 請 ふ 汝 わが 妹 なりと 言 へ 然 ば 我 汝 の 故 によりて 安 にしてわが 命 汝 のために 生存 ん
14 アブラム、エジプトに 至 りし 時 エジプト 人 此 婦 を 見 て 甚 だ 美麗 となせり
15 またパロの 大臣 等 彼 を 視 て 彼 をパロの 前 に 譽 めければ 婦 遂 にパロの 家 に 召 入 れられたり
16 是 に 於 てパロ 彼 のために 厚 くアブラムを 待 ひてアブラム 遂 に 羊 牛 僕 婢 牝牡 の 驢馬 および 駱駝 を 多 く 獲 るに 至 れり
17 時 にヱホバ、アブラムの 妻 サライの 故 によりて 大 なる 災 を 以 てパロと 其 家 を 惱 したまへり
18 パロ、アブラムを 召 て 言 けるは 汝 が 我 になしたる 此事 は 何 ぞや 汝 何故 に 彼 が 汝 の 妻 なるを 我 に 告 ざりしや
19 汝 何故 に 彼 はわが 妹 なりといひしや 我 幾 彼 をわが 妻 にめとらんとせり 然 ば 汝 の 妻 は 此 にあり 挈去 るべしと
20 パロ 即 ち 彼 の 事 を 人々 に 命 じければ 彼 と 其 妻 および 其 有 る 諸 の 物 を 送 りさらしめたり
Chapter 13
1 アブラム 其 妻 および 其 有 る 諸 の 物 と 偕 にエジプトを 出 て 南 の 地 に 上 れりロト 彼 と 共 にありき
2 アブラム 甚 家畜 と 金銀 に 富 り
3 彼 南 の 地 より 其 旅 路 に 進 てベテルに 至 りベテルとアイの 間 なる 其 以前 に 天 幕 を 張 たる 處 に 至 れり
4 即 ち 彼 が 初 に 其處 に 築 きたる 壇 のある 處 なり 彼處 にアブラム、ヱホバの 名 を 龥 り
5 アブラムと 偕 に 行 しロトも 羊 牛 および 天 幕 を 有 り
6 其 地 は 彼等 を 載 て 倶 に 居 しむること 能 はざりき 彼等 は 其 所有 多 かりしに 縁 て 倶 に 居 ることを 得 ざりしなり
7 斯有 かばアブラムの 家畜 の 牧者 とロトの 家畜 の 牧者 の 間 に 競爭 ありきカナン 人 とペリジ 人 此時 其 地 に 居住 り
8 アブラム、ロトに 言 けるは 我等 は 兄弟 の 人 なれば 請 ふ 我 と 汝 の 間 およびわが 牧者 と 汝 の 牧者 の 間 に 競爭 あらしむる 勿 れ
9 地 は 皆 爾 の 前 にあるにあらずや 請 ふ 我 を 離 れよ 爾 若 左 にゆかば 我 右 にゆかん 又 爾 右 にゆかば 我 左 にゆかんと
10 是 に 於 てロト 目 を 擧 てヨルダンの 凡 ての 低地 を 瞻望 みけるにヱホバ、ソドムとゴモラとを 滅 し 給 はざりし 前 なりければゾアルに 至 るまであまねく 善 く 潤澤 ひてヱホバの 園 の 如 くエジプトの 地 の 如 くなりき
11 ロト 乃 ちヨルダンの 低地 を 盡 く 撰 とりて 東 に 徙 れり 斯 彼等 彼此 に 別 たり
12 アブラムはカナンの 地 に 住 り 又 ロトは 低地 の 諸邑 に 住 み 其 天 幕 を 遷 してソドムに 至 れり
13 ソドムの 人 は 惡 くしてヱホバの 前 に 大 なる 罪人 なりき
14 ロトのアブラムに 別 れし 後 ヱホバ、アブラムに 言 たまひけるは 爾 の 目 を 擧 て 爾 の 居 る 處 より 西東 北 南 を 瞻望 め
15 凡 そ 汝 が 觀 る 所 の 地 は 我 之 を 永 く 爾 と 爾 の 裔 に 與 べし
16 我 爾 の 後裔 を 地 の 塵沙 の 如 くなさん 若 人 地 の 塵沙 を 數 ふることを 得 ば 爾 の 後裔 も 數 へらるべし
17 爾 起 て 縱 横 に 其 地 を 行 き 巡 るべし 我 之 を 爾 に 與 へんと
18 アブラム 遂 に 天 幕 を 遷 して 來 りヘブロンのマムレの 橡 林 に 住 み 彼處 にてヱホバに 壇 を 築 けり
Chapter 14
1 當時 シナルの 王 アムラペル、エラサルの 王 アリオク、エラムの 王 ケダラオメルおよびゴイムの 王 テダル 等
2 ソドムの 王 ベラ、ゴモルの 王 ビルシア、アデマの 王 シナブ、ゼボイムの 王 セメベルおよびベラ(即 ち 今 のゾアル)の 王 と 戰 ひをなせり
3 是等 の五 人 の 王 皆 結合 てシデムの 谷 に 至 れり 其處 は 今 の 鹽海 なり
4 彼等 は十二 年 ケダラオメルに 事 へ 第十三年 に 叛 けり
5 第十四年 にケダラオメルおよび 彼 と 偕 なる 王等 來 りてアシタロテカルナイムのレパイム 人、ハムのズジ 人、シヤベキリアタイムのエミ 人
6 およびセイル 山 のホリ 人 を 撃 て 曠野 の 傍 なるエルパランに 至 り
7 彼等 歸 りてエンミシパテ(即 ち 今 のカデシ)に 至 りアマレク 人 の 國 を 盡 く 撃 又 ハザゾンタマルに 住 るアモリ 人 を 撃 り
8 爰 にソドムの 王 ゴモラの 王 アデマの 王 ゼボイムの 王 およびベラ(即 ち 今 のゾアル)の 王 出 てシデムの 谷 にて 彼等 と 戰 ひを 接 たり
9 即 ち 彼 五 人 の 王等 エラムの 王 ケダラオメル、ゴイムの 王 テダル、シナルの 王 アムラペル、エラサルの 王 アリオクの 四 人 と 戰 へり
10 シデムの 谷 には 地瀝靑 の 坑 多 かりしがソドムとゴモラの 王等 遁 て 其處 に 陷 りぬ 其餘 の 者 は 山 に 遁逃 たり
11 是 に 於 て 彼等 ソドムとゴモラの 諸 の 物 と 其 諸 の 食 料 を 取 て 去 れり
12 彼等 アブラムの 姪 ロトと 其 物 を 取 て 去 り 其 は 彼 ソドムに 住 たればなり
13 茲 に 遁逃者 來 りてヘブル 人 アブラムに 之 を 告 たり 時 にアブラムはアモリ 人 マムレの 橡 林 に 住 りマムレはエシコルの 兄弟 又 アネルの 兄弟 なり 是等 はアブラムと 契約 を 結 べる 者 なりき
14 アブラム 其 兄弟 の 擄 にせられしを 聞 しかば 其 熟 練 したる 家 の 子 三百十八 人 を 率 ゐてダンまで 追 いたり
15 其 家臣 を 分 ちて 夜 に 乗 じて 彼等 を 攻 め 彼等 を 撃破 りてダマスコの 左 なるホバまで 彼等 を 追 ゆけり
16 アブラム 斯 諸 の 物 を 奪回 し 亦 其 兄弟 ロトと 其 物 および 婦人 と 人民 を 取回 せり
17 アブラム、ケダラオメルおよび 彼 と 偕 なる 王等 を 撃破 りて 歸 れる 時 ソドムの 王 シヤベの 谷(即 ち 今 の 王 の 谷)にて 彼 を 迎 へたり
18 時 にサレムの 王 メルキゼデク、パンと 酒 を 携出 せり 彼 は 至高 き 神 の 祭司 なりき
19 彼 アブラムを 祝 して 言 けるは 願 くは 天地 の 主 なる 至高 神 アブラムを 祝福 みたまへ
20 願 くは 汝 の 敵 を 汝 の 手 に 付 したまひし 至高 神 に 稱譽 あれとアブラム 乃 ち 彼 に 其 諸 の 物 の 什分 の一を 饋 れり
21 茲 にソドムの 王 アブラムに 言 けるは 人 を 我 に 與 へ 物 を 汝 に 取 れと
22 アブラム、ソドムの 王 に 言 けるは 我 天地 の 主 なる 至高 き 神 ヱホバを 指 て 言 ふ
23 一本 の 絲 にても 鞋帶 にても 凡 て 汝 の 所屬 は 我 取 ざるべし 恐 くは 汝 我 アブラムを 富 しめたりと 言 ん
24 但 少者 の 旣 に 食 ひたる 物 および 我 と 偕 に 行 し 人 アネル、エシコルおよびマムレの 分 を 除 くべし 彼等 には 彼等 の 分 を 取 しめよ
Chapter 15
1 是等 の 事 の 後 ヱホバの 言 異象 の 中 にアブラムに 臨 て 曰 くアブラムよ 懼 るなかれ 我 は 汝 の 干櫓 なり 汝 の 賚 は 甚 大 なるべし
2 アブラム 言 けるは 主 ヱホバよ 何 を 我 に 與 んとしたまふや 我 は 子 なくして 居 り 此 ダマスコのエリエゼル 我 が 家 の 相續人 なり
3 アブラム 又 言 けるは 視 よ 爾 子 を 我 にたまはず 我 の 家 の 子 わが 嗣子 とならんとすと
4 ヱホバの 言 彼 にのぞみて 曰 く 此 者 は 爾 の 嗣子 となるべからず 汝 の 身 より 出 る 者 爾 の 嗣子 となるべしと
5 斯 てヱホバ 彼 を 外 に 携 へ 出 して 言 たまひけるは 天 を 望 みて 星 を 數 へ 得 るかを 見 よと 又 彼 に 言 たまひけるは 汝 の 子孫 は 是 のごとくなるべしと
6 アブラム、ヱホバを 信 ずヱホバこれを 彼 の 義 となしたまへり
7 又 彼 に 言 たまひけるは 我 は 此地 を 汝 に 與 へて 之 を 有 たしめんとて 汝 をカルデアのウルより 導 き 出 せるヱホバなり
8 彼 言 けるは 主 ヱホバよ 我 いかにして 我 之 を 有 つことを 知 るべきや
9 ヱホバ 彼 に 言 たまひけるは 三 歳 の 牝 牛 と 三 歳 の 牝 山羊 と 三 歳 の 牡羊 と 山 鳩 および 雛 き 鴿 を 我 ために 取 れと
10 彼 乃 ち 是等 を 皆 取 て 之 を 中 より 剖 き 其 剖 たる 者 を 各 相對 はしめて 置 り 但 鳥 は 剖 ざりき
11 鷙鳥 其 死體 の 上 に 下 る 時 はアブラム 之 を 驅 はらへり
12 斯 て 日 の 沒 る 頃 アブラム 酣 く 睡 りしが 其 大 に 暗 きを 覺 えて 懼 れたり
13 時 にヱホバ、アブラムに 言 たまひけるは 爾 確 に 知 るべし 爾 の 子孫 他人 の 國 に 旅人 となりて 其 人々 に 服事 へん 彼等 四百 年 のあひだ 之 を 惱 さん
14 又 其 服事 たる 國民 は 我 之 を 鞫 かん 其 後 彼等 は 大 なる 財貨 を 携 へて 出 ん
15 爾 は 安然 に 爾 の 父祖 の 所 にゆかん 爾 は 遐齡 に 逹 りて 葬 らるべし
16 四 代 に 及 びて 彼等 此 に 返 りきたらん 其 はアモリ 人 の 惡 未 だ 貫盈 ざれば 也 と
17 斯 て 日 の 沒 て 黑暗 となりし 時 烟 と 火焔 の 出 る 爐 其 切剖 たる 物 の 中 を 通過 り
18 是 日 にヱホバ、アブラムと 契約 をなして 言 たまひけるは 我 此地 をエジプトの 河 より 彼 大河 即 ちユフラテ 河 まで 爾 の 子孫 に 與 ふ
19 即 ちケニ 人 ケナズ 人 カデモニ 人
20 ヘテ 人 ペリジ 人 レパイム 人
21 アモリ 人 カナン 人 ギルガシ 人 ヱブス 人 の 地 是 なり
Chapter 16
1 アブラムの 妻 サライ 子女 を 生 ざりき 彼 に 一人 の 侍女 ありしがエジプト 人 にして 其 名 をハガルと 曰 り
2 サライ、アブラムに 言 けるは 視 よヱホバわが 子 を 生 むことを 禁 めたまひければ 請 ふ 我 が 侍女 の 所 に 入 れ 我 彼 よりして 子女 を 得 ることあらんとアブラム、サライの 言 を 聽 いれたり
3 アブラムの 妻 サライ 其 侍女 なるエジプト 人 ハガルを 取 て 之 を 其 夫 アブラムに 與 へて 妻 となさしめたり 是 はアブラムがカナンの 地 に 十 年 住 みたる 後 なりき
4 是 においてアブラム、ハガルの 所 に 入 るハガル 遂 に 孕 みければ 己 の 孕 めるを 見 て 其 女主 を 藐視 たり
5 サライ、アブラムに 言 けるはわが 蒙 れる 害 は 汝 に 歸 すべし 我 わが 侍女 を 汝 の 懷 に 與 へたるに 彼 己 の 孕 るを 見 て 我 を 藐視 ぐ 願 はヱホバ 我 と 汝 の 間 の 事 を 鞫 きたまへ
6 アブラム、サライに 言 けるは 視 よ 汝 の 侍女 は 汝 の 手 の 中 にあり 汝 の 目 に 善 と 見 ゆる 所 を 彼 に 爲 すべしサライ 乃 ち 彼 を 苦 めければ 彼 サライの 面 を 避 て 逃 たり
7 ヱホバの 使者 曠野 の 泉 の 旁 即 ちシユルの 路 にある 泉 の 旁 にて 彼 に 遭 ひて
8 言 けるはサライの 侍女 ハガルよ 汝 何處 より 來 れるや 又 何處 に 往 や 彼 言 けるは 我 は 女主 サライの 面 をさけて 逃 るなり
9 ヱホバの 使者 彼 に 言 けるは 汝 の 女主 の 許 に 返 り 身 を 其 手 に 任 すべし
10 ヱホバの 使者 又 彼 に 言 ひけるは 我 大 に 汝 の 子孫 を 増 し 其 數 を 衆多 して 數 ふることあたはざらしめん
11 ヱホバの 使者 又 彼 に 言 けるは 汝 孕 めり 男子 を 生 まん 其 名 をイシマエル(神聽知)と 名 くべしヱホバ 汝 の 艱難 を 聽知 したまへばなり
12 彼 は 野驢馬 の 如 き 人 とならん 其 手 は 諸 の 人 に 敵 し 諸 の 人 の 手 はこれに 敵 すべし 彼 は 其 諸 の 兄弟 の 東 に 住 んと
13 ハガル 己 に 諭 したまへるヱホバの 名 をアタエルロイ(汝 は 見 たまふ 神 なり)とよべり 彼 いふ 我 視 たる 後 尚 生 るやと
14 是 をもて 其 井 はベエルラハイロイ(我 を 見 る 活 る 者 の 井)と 呼 ばる 是 はカデシとベレデの 間 にあり
15 ハガル、アブラムの 男子 を 生 めりアブラム、ハガルの 生 める 其 子 の 名 をイシマエルと 名 づけたり
16 ハガル、イシマエルをアブラムに 生 める 時 アブラムは八十六 歳 なりき
Chapter 17
1 アブラム九十九 歳 の 時 ヱホバ、アブラムに 顯 れて 之 に 言 たまひけるは 我 は 全 能 の 神 なり 汝 我 前 に 行 みて 完全 かれよ
2 我 わが 契約 を 我 と 汝 の 間 に 立 て 大 に 汝 の 子孫 を 増 ん
3 アブラム 乃 ち 俯伏 たり 神 又 彼 に 告 て 言 たまひけるは
4 我 汝 とわが 契約 を 立 つ 汝 は 衆多 の 國民 の 父 となるべし
5 汝 の 名 を 此 後 アブラムと 呼 ぶべからず 汝 の 名 をアブラハム(衆多 の 人 の 父)とよぶべし 其 は 我 汝 を 衆多 の 國民 の 父 と 爲 ばなり
6 我 汝 をして 衆多 の 子孫 を 得 せしめ 國々 の 民 を 汝 より 起 さん 王等 汝 より 出 べし
7 我 わが 契約 を 我 と 汝 および 汝 の 後 の 世々 の 子孫 との 間 に 立 て 永久 の 契約 となし 汝 および 汝 の 後 の 子孫 の 神 となるべし
8 我 汝 と 汝 の 後 の 子孫 に 此 汝 が 寄寓 る 地 即 ちカナンの 全地 を 與 へて 永久 の 產業 となさん 而 して 我 彼等 の 神 となるべし
9 神 またアブラハムに 言 たまひけるは 然 ば 汝 と 汝 の 後 の 世々 の 子孫 わが 契約 を 守 るべし
10 汝等 の 中 の 男子 は 咸 割禮 を 受 べし 是 は 我 と 汝等 および 汝 の 後 の 子孫 の 間 の 我 が 契約 にして 汝等 の 守 るべき 者 なり
11 汝等 其 陽 の 皮 を 割 べし 是 我 と 汝等 の 間 の 契約 の 徴 なり
12 汝等 の 代々 の 男子 は 家 に 生 れたる 者 も 異邦人 より 金 にて 買 たる 汝 の 子孫 ならざる 者 も 皆 生 れて 八日 に 至 らば 割禮 を 受 べし
13 汝 の 家 に 生 れたる 者 も 汝 の 金 にて 買 たる 者 も 割禮 を 受 ざるべからず 斯 我 契約 汝等 の 身 にありて 永久 の 契約 となるべし
14 割禮 を 受 ざる 男兒 即 ち 其 陽 の 皮 を 割 ざる 者 は 我 契約 を 破 るによりて 其人 其 民 の 中 より 絶 るべし
15 神 又 アブラハムの 言 たまひけるは 汝 の 妻 サライは 其 名 をサライと 稱 ぶべからず 其 名 をサラと 爲 べし
16 我 彼 を 祝 み 彼 よりして 亦 汝 に 一人 の 男子 を 授 けん 我 彼 を 祝 み 彼 をして 諸邦 の 民 の 母 とならしむべし 諸 の 民 の 王等 彼 より 出 べし
17 アブラハム 俯伏 て 哂 ひ 其心 に 謂 けるは百 歳 の 人 に 豈 で 子 の 生 るることあらんや 又 サラは九十 歳 なれば 豈 で 產 ことをなさんやと
18 アブラハム 遂 に 神 にむかひて 願 くはイシマエルの 汝 のまへに 生存 へんことをと 曰 ふ
19 神 言 たまひけるは 汝 の 妻 サラ 必 ず 子 を 生 ん 汝 其 名 をイサクと 名 くべし 我 彼 および 其 後 の 子孫 と 契約 を 立 て 永久 の 契約 となさん
20 又 イシマエルの 事 に 關 ては 我 汝 の 願 を 聽 たり 視 よ 我 彼 を 祝 みて 多衆 の 子孫 を 得 さしめ 大 に 彼 の 子孫 を 増 すべし 彼 十二の 君王 を 生 ん 我 彼 を 大 なる 國民 となすべし
21 然 どわが 契約 は 我 翌年 の 今 頃 サラが 汝 に 生 ん 所 のイサクと 之 を 立 べし
22 神 アブラハムと 言 ことを 竟 へ 彼 を 離 れて 昇 り 給 へり
23 是 に 於 てアブラハム 神 の 己 に 言 たまへる 如 く 此 日 其 子 イシマエルと 凡 て 其 家 に 生 れたる 者 および 凡 て 其 金 にて 買 たる 者 即 ちアブラハムの 家 の 人 の 中 なる 諸 の 男 を 將 きたりて 其 陽 の 皮 を 割 たり
24 アブラハムは 其 陽 の 皮 を 割 れたる 時 九十九 歳
25 其 子 イシマエルは 其 陽 の 皮 を 割 れたる 時 十三 歳 なりき
26 是 日 アブラハムと 其 子 イシマエル 割禮 を 受 たり
27 又 其 家 の 人 家 に 生 れたる 者 も 金 にて 異邦人 より 買 たる 者 も 皆 彼 とともに 割禮 を 受 たり
Chapter 18
1 ヱホバ、マムレの 橡 林 にてアブラハムに 顯現 たまへり 彼 は 日 の 熱 き 時刻 天 幕 の 入 口 に 坐 しゐたりしが
2 目 を 擧 て 見 たるに 視 よ 三 人 の 人 其 前 に 立 り 彼 見 て 天 幕 の 入 口 より 趨 り 行 て 之 を 迎 へ
3 身 を 地 に 鞠 めて 言 けるは 我 が 主 よ 我 若 汝 の 目 のまへに 恩 を 得 たるならば 請 ふ 僕 を 通 り 過 すなかれ
4 請 ふ 少許 の 水 を 取 きたらしめ 汝等 の 足 を 濯 ひて 樹 の 下 に 休憇 たまへ
5 我 一 口 のパンを 取 來 らん 汝等 心 を 慰 めて 然 る 後 過 ゆくべし 汝等 僕 の 所 に 來 ればなり 彼等 言 ふ 汝 が 言 るごとく 爲 せ
6 是 においてアブラハム 天 幕 に 急 ぎいりてサラの 許 に 至 りて 言 けるは 速 に 細 麺 三 セヤを 取 り 捏 てパンを 作 るべしと
7 而 してアブラハム 牛 の 群 に 趨 ゆき 犢 の 柔 にして 善 き 者 を 取 りきたりて 少者 に 付 しければ 急 ぎて 之 を 調理 ふ
8 かくてアブラハム 牛酪 と 牛乳 および 其 調理 へたる 犢 を 取 て 彼等 のまへに 供 へ 樹 の 下 にて 其 側 に 立 り 彼等 乃 ち 食 へり
9 彼等 アブラハムに 言 けるは 爾 の 妻 サラは 何處 にあるや 彼 言 ふ 天 幕 にあり
10 其 一人 言 ふ 明年 の 今 頃 我 必 ず 爾 に 返 るべし 爾 の 妻 サラに 男子 あらんサラ 其 後 なる 天 幕 の 入 口 にありて 聞 ゐたり
11 抑 アブラハムとサラは 年邁 み 老 いたる 者 にしてサラには 婦人 の 常 の 經 已 に 息 たり
12 是故 にサラ 心 に 哂 ひて 言 けるは 我 は 老衰 へ 吾 が 主 も 亦 老 たる 後 なれば 我 に 樂 あるべけんや
13 ヱホバ、アブラハムに 言 たまひけるは 何故 にサラは 哂 ひて 我 老 たれば 果 して 子 を 生 ことあらんと 言 ふや
14 ヱホバに 豈 爲 し 難 き 事 あらんや 時 至 らば 我 定 めたる 期 に 爾 に 歸 るべしサラに 男子 あらんと
15 サラ 懼 れたれば 承 ずして 我 哂 はずと 言 へりヱホバ 言 たまひけるは 否 汝 哂 へるなり
16 斯 て 其 人々 彼處 より 起 てソドムの 方 を 望 みければアブラハム 彼等 を 送 らんとて 倶 に 行 り
17 ヱホバ 言 ひ 給 けるは 我 爲 んとする 事 をアブラハムに 隱 すべけんや
18 アブラハムは 必 ず 大 なる 強 き 國民 となりて 天 下 の 民 皆 彼 に 由 て 福 を 獲 に 至 るべきに 在 ずや
19 其 は 我 彼 をして 其 後 の 兒孫 と 家族 とに 命 じヱホバの 道 を 守 りて 公儀 と 公道 を 行 しめん 爲 に 彼 をしれり 是 ヱホバ、アブラハムに 其 曾 て 彼 に 就 て 言 し 事 を 行 はん 爲 なり
20 ヱホバ 又 言 給 ふソドムとゴモラの 號呼 大 なるに 因 り 又 其 罪 甚 だ 重 に 因 て
21 我 今 下 りて 其 號呼 の 我 に 逹 れる 如 くかれら 全 く 行 ひたりしやを 見 んとす 若 しからずば 我 知 るに 至 らんと
22 其 人々 其處 より 身 を 旋 してソドムに 赴 むけりアブラハムは 尚 ほヱホバのまへに 立 り
23 アブラハム 近 よりて 言 けるは 爾 は 義者 をも 惡者 と 倶 に 滅 ぼしたまふや
24 若 邑 の 中 に五十 人 の 義者 あるも 汝 尚 ほ 其處 を 滅 ぼし 其 中 の五十 人 の 義者 のためにこれを 恕 したまはざるや
25 なんぢ 斯 の 如 く 爲 て 義者 と 惡者 と 倶 に 殺 すが 如 きは 是 あるまじき 事 なり 又 義者 と 惡者 を 均等 するが 如 きもあるまじき 事 なり 天 下 を 鞫 く 者 は 公儀 を 行 ふ 可 にあらずや
26 ヱホバ 言 たまひけるは 我 若 ソドムに 於 て 邑 の 中 に五十 人 の 義者 を 看 ば 其 人々 のために 其處 を 盡 く 恕 さん
27 アブラハム 應 へていひけるは 我 は 塵 と 灰 なれども 敢 て 我 主 に 言上 す
28 若 五十 人 の 義者 の 中 五 人 缺 たらんに 爾 五 人 の 缺 たるために 邑 を 盡 く 滅 ぼしたまふやヱホバ 言 たまひけるは 我 若 彼處 に四十五 人 を 看 ば 滅 さざるべし
29 アブラハム 又 重 ねてヱホバに 言上 して 曰 けるは 若 彼處 に四十 人 看 えなば 如何 ヱホバ 言 たまふ 我 四十 人 のために 之 をなさじ
30 アブラハム 曰 ひけるは 請 ふわが 主 よ 怒 らずして 言 しめたまへ 若 彼處 に三十 人 看 えなば 如何 ヱホバいひたまふ 我 三十 人 を 彼處 に 看 ば 之 を 爲 じ
31 アブラハム 言 ふ 我 あへてわが 主 に 言上 す 若 彼處 に二十 人 看 えなば 如何 ヱホバ 言 たまふ 我 二十 人 のためにほろぼさじ
32 アブラハム 言 ふ 請 ふわが 主 怒 らずして 今 一度 言 しめたまへ 若 かしこに十 人 看 えなば 如何 ヱホバ 言 たまふ 我 十 人 のためにほろぼさじ
33 ヱホバ、アブラハムと 言 ふことを 終 てゆきたまへりアブラハムおのれの 所 にかへりぬ
Chapter 19
1 其 二個 の 天使 黄昏 にソドムに 至 るロト 時 にソドムの 門 に 坐 し 居 たりしがこれを 視 起 て 迎 へ 首 を 地 にさげて
2 言 けるは 我 主 よ 請 ふ 僕 の 家 に 臨 み 足 を 濯 ひて 宿 りつとに 起 て 途 に 遄征 たまへ 彼等 言 ふ 否 我等 は 街衢 に 宿 らんと
3 然 ど 固 く 強 ければ 遂 に 彼 の 所 に 臨 みて 其 家 に 入 るロト 乃 ち 彼等 のために 筵 を 設 け 酵 いれぬパンを 炊 て 食 はしめたり
4 斯 て 未 だ 寢 ざる 前 に 邑 の 人々 即 ちソドムの 人 老 たるも 若 きも 諸共 に 四方八方 より 來 たれる 民 皆 其 家 を 環 み
5 ロトを 呼 て 之 に 言 けるは 今夕 爾 に 就 たる 人 は 何處 にをるや 彼等 を 我等 の 所 に 携 へ 出 せ 我等 之 を 知 らん
6 ロト 入 口 に 出 て 其 後 の 戸 を 閉 ぢ 彼等 の 所 に 至 りて
7 言 けるは 請 ふ 兄弟 よ 惡 き 事 を 爲 すなかれ
8 我 に 未 だ 男 知 ぬ 二人 の 女 あり 請 ふ 我 之 を 携 へ 出 ん 爾等 の 目 に 善 と 見 ゆる 如 く 之 になせよ 唯 此 人等 は 旣 に 我 家 の 蔭 に 入 たれば 何 をも 之 になすなかれ
9 彼等 曰 ふ 爾 退 け 又 言 けるは 此人 は 來 り 寓 れる 身 なるに 恒 に 士師 とならんとす 然 ば 我等 彼等 に 加 ふるよりも 多 くの 害 を 爾 に 加 へんと 遂 に 彼等 酷 しく 其人 ロトに 逼 り 前 よりて 其 戸 を 破 んとせしに
10 彼 二人 其 手 を 舒 しロトを 家 の 内 に 援 いれて 其 戸 を 閉 ぢ
11 家 の 入 口 にをる 人衆 をして 大 なるも 小 も 倶 に 目 を 眩 しめければ 彼等 遂 に 入 口 を 索 ぬるに 困憊 たり
12 斯 て 二人 ロトに 言 けるは 外 に 爾 に 屬 する 者 ありや 汝 の 婿 子 女 および 凡 て 邑 にをりて 爾 に 屬 する 者 を 此 所 より 携 へ 出 べし
13 此處 の 號呼 ヱホバの 前 に 大 になりたるに 因 て 我等 之 を 滅 さんとすヱホバ 我等 を 遣 はして 之 を 滅 さしめたまふ
14 ロト 出 て 其 女 を 娶 る 婿 等 に 告 て 言 けるはヱホバが 邑 を 滅 したまふべければ 爾等 起 て 此處 を 出 よと 然 ど 婿 等 は 之 を 戲言 と 視爲 り
15 曉 に 及 て 天使 ロトを 促 して 言 けるは 起 て 此 なる 爾 の 妻 と 二人 の 女 を 携 へよ 恐 くは 爾 邑 の 惡 とともに 滅 されん
16 然 るに 彼 遲延 ひしかば 二人 其 手 と 其 妻 の 手 と 其 二人 の 女 の 手 を 執 て 之 を 導 き 出 し 邑 の 外 に 置 りヱホバ 斯 彼 に 仁慈 を 加 へたまふ
17 旣 に 之 を 導 き 出 して 其 一人 曰 けるは 逃遁 て 汝 の 生命 を 救 へ 後 を 回顧 るなかれ 低地 の 中 に 止 るなかれ 山 に 遁 れよ 否 ずば 爾 滅 されん
18 ロト 彼等 に 言 けるはわが 主 よ 請 ふ 斯 したまふなかれ
19 視 よ 僕 爾 の 目 のまへに 恩 を 得 たり 爾 大 なる 仁慈 を 吾 に 施 してわが 生命 を 救 たまふ 吾 山 に 遁 る 能 はず 恐 くは 災害 身 に 及 びて 死 るにいたらん
20 視 よ 此 邑 は 遁 ゆくに 近 くして 且 小 し 我 をして 彼處 に 遁 れしめよしからば 吾 生命 全 からん 是 は 小 き 邑 なるにあらずや
21 天使 之 にいひけるは 視 よ 我 此事 に 關 ても 亦 爾 の 願 を 容 たれば 爾 が 言 ふところの 邑 を 滅 さじ
22 急 ぎて 彼處 に 遁 れよ 爾 が 彼處 に 至 るまでは 我 何事 をも 爲 を 得 ずと 是 に 因 て 其 邑 の 名 はゾアル(小 し)と 稱 る
23 ロト、ゾアルに 至 れる 時 日 地 の 上 に 昇 れり
24 ヱホバ 硫黄 と 火 をヱホバの 所 より 即 ち 天 よりソドムとゴモラに 雨 しめ
25 其 邑 と 低地 と 其 邑 の 居民 および 地 に 生 るところの 物 を 盡 く 滅 したまへり
26 ロトの 妻 は 後 を 回顧 たれば 鹽 の 柱 となりぬ
27 アブラハム 其 朝 夙 に 起 て 其 嘗 てヱホバの 前 に 立 たる 處 に 至 り
28 ソドム、ゴモラおよび 低地 の 全面 を 望 み 見 るに 其 地 の 烟燄 窰 の 烟 のごとくに 騰上 れり
29 神 低地 の 邑 を 滅 したまふ 時 即 ちロトの 住 る 邑 を 滅 したまふ 時 に 當 り 神 アブラハムを 眷念 て 斯 其 滅亡 の 中 よりロトを 出 したまへり
30 斯 てロト、ゾアルに 居 ることを 懼 れたれば 其 二人 の 女 と 偕 にゾアルを 出 て 上 りて 山 に 居 り 其 二人 の 女子 とともに 巖穴 に 住 り
31 茲 に 長女 季女 にいひけるは 我等 の 父 は 老 いたり 又 此地 には 我等 に 偶 て 世 の 道 を 成 す 人 あらず
32 然 ば 我等 父 に 酒 を 飮 せて 與 に 寢 ね 父 に 由 て 子 を 得 んと
33 遂 に 其 夜 父 に 酒 を 飮 せ 長女 入 て 其 父 と 與 に 寢 たり 然 るにロトは 女 の 起臥 を 知 ざりき
34 翌日 長女 季女 に 言 けるは 我 昨夜 わが 父 と 寢 たり 我等 此 夜 又 父 に 酒 をのません 爾 入 て 與 に 寢 よわれらの 父 に 由 て 子 を 得 ることをえんと
35 乃 ち 其 夜 も 亦 父 に 酒 をのませ 季女 起 て 父 と 與 に 寢 たりロトまた 女 の 起臥 を 知 ざりき
36 斯 ロトの 二人 の 女 其 父 によりて 孕 みたり
37 長女 子 を 生 み 其 名 をモアブと 名 く 即 ち 今 のモアブ 人 の 先祖 なり
38 季女 も 亦 子 を 生 み 其 名 をベニアンミと 名 く 即 ち 今 のアンモニ 人 の 先祖 なり
Chapter 20
1 アブラハム 彼處 より 徒 りて 南 の 地 に 至 りカデシとシユルの 間 に 居 りゲラルに 寄留 り
2 アブラハム 其 妻 サラを 我 妹 なりと 言 しかばゲラルの 王 アビメレク 人 を 遣 してサラを 召 入 たり
3 然 るに 神 夜 の 夢 にアビメレクに 臨 みて 之 に 言 たまひけるは 汝 は 其 召 入 たる 婦人 のために 死 るなるべし 彼 は 夫 ある 者 なればなり
4 アビメレク 未 だ 彼 に 近 づかざりしかば 言 ふ 主 よ 汝 は 義 き 民 をも 殺 したまふや
5 彼 は 我 に 是 はわが 妹 なりと 言 しにあらずや 又 婦 も 自 彼 はわが 兄 なりと 言 たり 我 全 き 心 と 潔 き 手 をもて 此 をなせり
6 神 又 夢 に 之 に 言 たまひけるは 然 り 我 汝 が 全 き 心 をもて 之 をなせるを 知 りたれば 我 も 汝 を 阻 めて 罪 を 我 に 犯 さしめざりき 彼 に 觸 るを 容 ざりしは 是 がためなり
7 然 ば 彼 の 妻 を 歸 せ 彼 は 預言者 なれば 汝 のために 祈 り 汝 をして 生命 を 保 しめん 汝 若 歸 ずば 汝 と 汝 に 屬 する 者 皆 必 死 るべきを 知 るべし
8 是 に 於 てアビメレク 其 朝 夙 に 起 て 臣僕 を 悉 く 召 し 此事 を 皆 語 り 聞 せければ 人々 甚 く 懼 れたり
9 斯 てアビメレク、アブラハムを 召 て 之 に 言 けるは 爾 我等 に 何 を 爲 すや 我 何 の 惡 き 事 を 爾 になしたれば 爾 大 なる 罪 を 我 とわが 國 に 蒙 らしめんとせしか 爾 爲 べからざる 所爲 を 我 に 爲 したり
10 アビメレク 又 アブラハムに 言 けるは 爾 何 を 見 て 此事 を 爲 たるや
11 アブラハム 言 けるは 我 此處 はかならず 神 を 畏 れざるべければ 吾 妻 のために 人 我 を 殺 さんと 思 ひたるなり
12 又 我 は 誠 にわが 妹 なり 彼 はわが 父 の 子 にしてわが 母 の 子 にあらざるが 遂 に 我 妻 となりたるなり
13 神 我 をして 吾 父 の 家 を 離 れて 周遊 しめたまへる 時 に 當 りて 我 彼 に 爾 我等 が 至 る 處 にて 我 を 爾 の 兄 なりと 言 へ 是 は 爾 が 我 に 施 す 恩 なりと 言 たり
14 アビメレク 乃 ち 羊 牛 僕 婢 を 將 てアブラハムに 與 へ 其 妻 サラ 之 に 歸 せり
15 而 してアビメレク 言 けるは 視 よ 我 地 は 爾 のまへにあり 爾 の 好 むところに 住 め
16 又 サラに 言 けるは 視 よ 我 爾 の 兄 に 銀 千 枚 を 與 へたり 是 は 爾 および 諸 の 人 にありし 事等 につきて 爾 の 目 を 蔽 ふ 者 なり 斯 爾 償贖 を 得 たり
17 是 に 於 てアブラハム 神 に 祈 りければ 神 アビメレクと 其 妻 および 婢 を 醫 したまひて 彼等 子 を 產 むにいたる
18 ヱホバさきにはアブラハムの 妻 サラの 故 をもてアビメレクの 家 の 者 の 胎 をことごとく 閉 たまへり
Chapter 21
1 ヱホバ 其 言 し 如 くサラを 眷顧 みたまふ 即 ちヱホバ 其 語 しごとくサラに 行 ひたまひしかば
2 サラ 遂 に 孕 み 神 のアブラハムに 語 たまひし 期日 に 及 びて 年 老 たるアブラハムに 男子 を 生 り
3 アブラハム 其 生 れたる 子 即 ちサラが 己 に 生 る 子 の 名 をイサクと 名 けたり
4 アブラハム 神 の 命 じたまひし 如 く 八日 に 其 子 イサクに 割禮 を 行 へり
5 アブラハムは 其 子 イサクの 生 れたる 時 百 歳 なりき
6 サラ 言 けるは 神 我 を 笑 はしめたまふ 聞 く 者 皆 我 とともに 笑 はん
7 又 曰 けるは 誰 かアブラハムにサラ 子女 に 乳 を 飮 しむるにいたらんと 言 しものあらん 然 に 彼 が 年 老 るに 及 びて 男子 を 生 たりと
8 偖 其 子 長育 ちて 遂 に 乳 を 離 るイサクの 乳 を 離 るる 日 にアブラハム 大 なる 饗宴 を 設 けたり
9 時 にサラ、エジプト 人 ハガルがアブラハムに 生 たる 子 の 笑 ふを 見 て
10 アブラハムに 言 けるは 此 婢 と 其 子 を 遂出 せ 此 婢 の 子 は 吾 子 イサクと 共 に 嗣子 となるべからざるなりと
11 アブラハム 其 子 のために 甚 く 此事 を 憂 たり
12 神 アブラハムに 言 たまひけるは 童兒 のため 又 汝 の 婢 のために 之 を 憂 るなかれサラが 汝 に 言 ところの 言 は 悉 く 之 を 聽 け 其 はイサクより 出 る 者 汝 の 裔 と 稱 らるべければなり
13 又 婢 の 子 も 汝 の 胤 なれば 我 之 を 一 の 國 となさん
14 アブラハム 朝 夙 に 起 てパンと 水 の 革嚢 とを 取 りハガルに 與 へて 之 を 其 肩 に 負 せ 其 子 を 携 へて 去 しめければ 彼 往 てベエルシバの 曠野 に 躑躅 しが
15 革嚢 の 水 遂 に 罄 たれば 子 を 灌木 の 下 に 置 き
16 我 子 の 死 るを 見 るに 忍 ずといひて 遙 かに 行 き 箭逹 を 隔 てて 之 に 對 ひ 坐 しぬ 斯 相嚮 ひて 坐 し 聲 をあげて 泣 く
17 神 其 童兒 の 聲 を 聞 たまふ 神 の 使 即 ち 天 よりハガルを 呼 て 之 に 言 けるはハガルよ 何事 ぞや 懼 るるなかれ 神 彼處 にをる 童兒 の 聲 を 聞 たまへり
18 起 て 童兒 を 起 し 之 を 汝 の 手 に 抱 くべし 我 之 を 大 なる 國 となさんと
19 神 ハガルの 目 を 開 きたまひければ 水 の 井 あるを 見 ゆきて 革嚢 に 水 を 充 し 童兒 に 飮 しめたり
20 神 童兒 と 偕 に 在 す 彼 遂 に 成長 り 曠野 に 居 りて 射者 となり
21 パランの 曠野 に 住 り 其 母 彼 のためにエジプトの 國 より 妻 を 迎 へたり
22 當時 アビメレクと 其 軍勢 の 長 ピコル、アブラハムに 語 て 言 けるは 汝 何事 を 爲 にも 神 汝 とともに 在 す
23 然 ば 汝 が 我 とわが 子 とわが 孫 に 僞 をなさざらんことを 今 此 に 神 をさして 我 に 誓 へ 我 が 厚情 をもて 汝 をあつかふごとく 汝 我 と 此 汝 が 寄留 る 地 とに 爲 べし
24 アブラハム 言 ふ 我 誓 はん
25 アブラハム、アビメレクの 臣僕 等 が 水 の 井 を 奪 ひたる 事 につきてアビメレクを 責 ければ
26 アビメレク 言 ふ 我 誰 が 此事 を 爲 しを 知 ず 汝 我 に 告 しこと 无 く 又 我 今日 まで 聞 しことなし
27 アブラハム 乃 ち 羊 と 牛 を 取 て 之 をアビメレクに 與 ふ 斯 て 二人 契約 を 結 べり
28 アブラハム 牝 の 羔 七 を 分 ち 置 ければ
29 アビメレク、アブラハムに 言 ふ 汝 此 七 の 牝 の 羔 を 分 ちおくは 何 のためなるや
30 アブラハム 言 けるは 汝 わが 手 より 此 七 の 牝 の 羔 を 取 りて 我 が 此 井 を 掘 たる 證據 とならしめよと 彼等 二人 彼處 に 誓 ひしによりて
31 其處 をベエルシバ(盟約 の 井)と 名 けたり
32 斯 彼等 ベエルシバにて 契約 を 結 びアビメレクと 其 軍勢 の 長 ピコルは 起 てペリシテ 人 の 國 に 歸 りぬ
33 アブラハム、ベエルシバに 柳 を 植 ゑ 永遠 に 在 す 神 ヱホバの 名 を 彼處 に 龥 り
34 斯 してアブラハム 久 くペリシテ 人 の 地 に 留寄 りぬ
Chapter 22
1 是等 の 事 の 後 神 アブラハムを 試 みんとて 之 をアブラハムよと 呼 たまふ 彼 言 ふ 我 此 にあり
2 ヱホバ 言 給 ひけるは 爾 の 子 爾 の 愛 する 獨子 即 ちイサクを 携 てモリアの 地 に 到 りわが 爾 に 示 さんとする 彼所 の 山 に 於 て 彼 を 燔祭 として 獻 ぐべし
3 アブラハム 朝 夙 に 起 て 其 驢馬 に 鞍 おき 二人 の 少者 と 其 子 イサクを 携 へ 且 燔祭 の 柴薪 を 劈 りて 起 て 神 の 己 に 示 したまへる 處 におもむきけるが
4 三日 におよびてアブラハム 目 を 擧 て 遙 に 其 處 を 見 たり
5 是 に 於 てアブラハム 其 少者 に 言 けるは 爾 等 は 驢馬 とともに 此 に 止 れ 我 と 童子 は 彼處 にゆきて 崇拜 を 爲 し 復 爾 等 に 歸 ん
6 アブラハム 乃 ち 燔祭 の 柴薪 を 取 て 其 子 イサクに 負 せ 手 に 火 と 刀 を 執 て 二人 ともに 往 り
7 イサク 父 アブラハムに 語 て 父 よと 曰 ふ 彼 答 て 子 よ 我 此 にありといひければイサク 即 ち 言 ふ 火 と 柴薪 は 有 り 然 ど 燔祭 の 羔 は 何處 にあるや
8 アブラハム 言 けるは 子 よ 神 自 ら 燔祭 の 羔 を 備 へたまはんと 二人 偕 に 進 みゆきて
9 遂 に 神 の 彼 に 示 したまへる 處 に 到 れり 是 においてアブラハム 彼處 に 壇 を 築 き 柴薪 を 臚列 べ 其 子 イサクを 縛 りて 之 を 壇 の 柴薪 の 上 に 置 せたり
10 斯 してアブラハム 手 を 舒 べ 刀 を 執 りて 其 子 を 宰 んとす
11 時 にヱホバの 使者 天 より 彼 を 呼 てアブラハムよアブラハムよと 言 へり 彼 言 ふ 我 此 にあり
12 使者 言 けるは 汝 の 手 を 童子 に 按 るなかれ 亦 何 をも 彼 に 爲 べからず 汝 の 子 即 ち 汝 の 獨子 をも 我 ために 惜 まざれば 我 今 汝 が 神 を 畏 るを 知 ると
13 茲 にアブラハム 目 を 擧 て 視 れば 後 に 牡綿羊 ありて 其 角 林叢 に 繋 りたりアブラハム 即 ち 往 て 其 牡綿羊 を 執 へ 之 を 其 子 の 代 に 燔祭 として 獻 げたり
14 アブラハム 其 處 をヱホバエレ(ヱホバ 預備 たまはん)と 名 く 是 に 縁 て 今日 もなほ 人々 山 にヱホバ 預備 たまはんといふ
15 ヱホバの 使者 再 天 よりアブラハムを 呼 て
16 言 けるはヱホバ 諭 したまふ 我 己 を 指 て 誓 ふ 汝 是 事 を 爲 し 汝 の 子 即 ち 汝 の 獨子 を 惜 まざりしに 因 て
17 我 大 に 汝 を 祝 み 又 大 に 汝 の 子孫 を 増 して 天 の 星 の 如 く 濱 の 沙 の 如 くならしむべし 汝 の 子孫 は 其 敵 の 門 を 獲 ん
18 又 汝 の 子孫 によりて 天 下 の 民 皆 福祉 を 得 べし 汝 わが 言 に 遵 ひたるによりてなりと
19 斯 てアブラハム 其 少者 の 所 に 歸 り 皆 たちて 偕 にベエルシバにいたれりアブラハムはベエルシバに 住 り
20 是等 の 事 の 後 アブラハムに 告 る 者 ありて 言 ふミルカ 亦 汝 の 兄弟 ナホルにしたがひて 子 を 生 り
21 長子 はウヅ 其 弟 はブヅ 其 次 はケムエル 是 はアラムの 父 なり
22 其 次 はケセデ、ハゾ、ピルダシ、ヱデラフ、ベトエル
23 ベトエルはリベカを 生 り 是 八 人 はミルカがアブラハムの 兄弟 ナホルに 生 たる 者 なり
24 ナホルの 妾名 はルマといふ 者 も 亦 テバ、ガハム、タハシおよびマアカを 生 り
Chapter 23
1 サラ百二十七 歳 なりき 是 即 ちサラの 齡 の 年 なり
2 サラ、キリアテアルバにて 死 り 是 はカナンの 地 のヘブロンなりアブラハム 至 りてサラのために 哀 み 且 哭 り
3 斯 てアブラハム 死 人 の 前 より 起 ち 出 てヘテの 子孫 に 語 りて 言 けるは
4 我 は 汝等 の 中 の 賓旅 なり 寄居者 なり 請 ふ 汝等 の 中 にて 我 は 墓地 を 與 へて 吾 が 所有 となし 我 をして 吾 が 死 人 を 出 し 葬 ることを 得 せしめよ
5 ヘテの 子孫 アブラハムに 應 て 之 に 言 ふ
6 我 主 よ 我等 に 聽 たまへ 我等 の 中 にありて 汝 は 神 の 如 き 君 なり 我等 の 墓地 の 佳者 を 擇 みて 汝 の 死 人 を 葬 れ 我等 の 中 一人 も 其 墓地 を 汝 にをしみて 汝 をしてその 死 人 を 葬 らしめざる 者 なかるべし
7 是 に 於 てアブラハム 起 ち 其 地 の 民 ヘテの 子孫 に 對 て 躬 を 鞠 む
8 而 して 彼等 と 語 ひて 言 けるは 若 我 をしてわが 死 人 を 出 し 葬 るを 得 せしむる 事 汝等 の 意 ならば 請 ふ 我 に 聽 て 吾 ためにゾハルの 子 エフロンに 求 め
9 彼 をして 其 野 の 極端 に 有 るマクペラの 洞穴 を 我 に 與 へしめよ 彼 其 十分 の 値 を 取 て 之 を 我 に 與 へ 汝等 の 中 にてわが 所有 なる 墓地 となさば 善 し
10 時 にエフロン、ヘテの 子孫 の 中 に 坐 しゐたりヘテ 人 エフロン、ヘテの 子孫 即 ち 凡 て 其 邑 の 門 に 入 る 者 の 聽 る 前 にてアブラハムに 應 へて 言 けるは
11 吾 主 よ 我 に 聽 たまへ 其 野 は 我 汝 に 與 ふ 又 其 中 の 洞穴 も 我 之 を 汝 に 與 ふ 我 吾 民 なる 衆人 の 前 にて 之 を 汝 にあたふ 汝 の 死 人 を 葬 れ
12 是 に 於 てアブラハム 其 地 の 民 の 前 に 躬 を 鞠 たり
13 而 して 彼 其 地 の 民 に 聽 る 前 にてエフロンに 語 りて 言 けるは 汝 若 之 を 肯 はば 請 ふ 吾 に 聽 け 我 其 野 の 値 を 汝 に 償 はん 汝 之 を 吾 より 取 れ 我 わが 死 人 を 彼處 に 葬 らん
14 エフロン、アブラハムに 答 て 曰 けるは
15 わが 主 よ 我 に 聽 たまへ 彼 地 は 銀 四百シケルに 當 る 是 は 我 と 汝 の 間 に 豈 道 に 足 んや 然 ば 汝 の 死 人 を 葬 れ
16 アブラハム、エフロンの 言 に 從 ひエフロンがヘテの 子孫 の 聽 る 前 にて 言 たる 所 の 銀 を 秤 り 商買 の 中 の 通用 銀 四百シケルを 之 に 與 へたり
17 マムレの 前 なるマクペラに 在 るエフロンの 野 は 野 も 其 中 の 洞穴 も 野 の 中 と 其 四周 の 堺 にある 樹 も 皆
18 ヘテの 子孫 の 前 即 ち 凡 て 其 邑 に 入 る 者 の 前 にてアブラハムの 所有 と 定 りぬ
19 厥後 アブラハム 其 妻 サラをマムレの 前 なるマクペラの 野 の 洞穴 に 葬 れり 是 即 ちカナンの 地 のヘブロンなり
20 斯 く 其 野 と 其 中 の 洞穴 はヘテの 子孫 之 をアブラハムの 所有 なる 墓地 と 定 めたり
Chapter 24
1 アブラハム 年 邁 て 老 たりヱホバ 萬 の 事 に 於 てアブラハムを 祝 みたまへり
2 茲 にアブラハム 其 凡 の 所有 を 宰 る 其 家 の 年邁 なる 僕 に 言 けるは 請 ふ 爾 の 手 を 吾 髀 の 下 に 置 よ
3 我 爾 をして 天 の 神 地 の 神 ヱホバを 指 て 誓 はしめん 即 ち 汝 わが 偕 に 居 むカナン 人 の 女 の 中 より 吾 子 に 妻 を 娶 るなかれ
4 汝 わが 故國 に 往 き 吾 親 族 に 到 りて 吾 子 イサクのために 妻 を 娶 れ
5 僕 彼 に 言 けるは 倘 女 我 に 從 ひて 此地 に 來 ることを 好 まざる 事 あらん 時 は 我 爾 の 子 を 彼 汝 が 出來 りし 地 に 導 き 歸 るべきか
6 アブラハム 彼 に 曰 けるは 汝 愼 みて 吾 子 を 彼處 に 携 かへるなかれ
7 天 の 神 ヱホバ 我 を 導 きて 吾 父 の 家 とわが 親 族 の 地 を 離 れしめ 我 に 語 り 我 に 誓 ひて 汝 の 子孫 に 此地 を 與 へんと 言 たまひし 者 其 使 を 遣 して 汝 に 先 たしめたまはん 汝 彼處 より 我 子 に 妻 を 娶 るべし
8 若 女 汝 に 從 ひ 來 る 事 を 好 ざる 時 は 汝 吾 此 誓 を 解 るべし 唯 我 子 を 彼處 に 携 へかへるなかれ
9 是 に 於 て 僕 手 を 其 主人 アブラハムの 髀 の 下 に 置 て 此事 について 彼 に 誓 へり
10 斯 て 僕 其 主人 の 駱駝 の 中 より 十頭 の 駱駝 を 取 りて 出 たてり 即 ち 其 主人 の 諸 の 佳物 を 手 にとりて 起 てメソポタミアに 往 きナホルの 邑 に 至 り
11 其 駱駝 を 邑 の 外 にて 井 の 傍 に 跪伏 しめたり 其時 は 黄昏 にて 婦女等 の 水汲 にいづる 時 なりき
12 斯 して 彼 言 けるは 吾 主人 アブラハムの 神 ヱホバよ 願 くは 今日 我 にその 者 を 逢 しめわが 主人 アブラハムに 恩惠 を 施 し 給 へ
13 我 この 水井 の 傍 に 立 ち 邑 の 人 の 女 等 水 を 汲 に 出 づ
14 我 童女 に 向 ひて 請 ふ 汝 の 瓶 をかたむけて 我 に 飮 しめよと 言 んに 彼 答 へて 飮 め 我 また 汝 の 駱駝 にも 飮 しめんと 言 ば 彼 は 汝 が 僕 イサクの 爲 に 定 め 給 ひし 者 なるべし 然 れば 我 汝 の 吾 主人 に 恩惠 を 施 し 給 ふを 知 らん
15 彼 語 ふことを 終 るまへに 視 よリベカ 瓶 を 肩 にのせて 出 きたる 彼 はアブラハムの 兄弟 ナホルの 妻 ミルカの 子 ベトエルに 生 れたる 者 なり
16 其 童女 は 觀 に 甚 だ 美 しく 且 處女 にして 未 だ 人 に 適 しことあらず 彼 井 に 下 り 其 瓶 に 水 を 盈 て 上 りしかば
17 僕 はせゆきて 之 にあひ 請 ふ 我 をして 汝 の 瓶 より 少許 の 水 を 飮 しめよといひけるに
18 彼 主 よ 飮 たまへといひて 乃 ち 急 ぎ 其 瓶 を 手 におろして 之 にのましめたりしが
19 飮 せをはりて 言 ふ 汝 の 駱駝 のためにも 其 飮 をはるまで 水 を 汲 て 飽 しめん
20 急 ぎて 其 瓶 を 水 鉢 にあけ 又 汲 んとて 井 にはせゆき 其 諸 の 駱駝 のために 汲 みたり
21 其人 之 を 見 つめヱホバが 其 途 に 幸福 をくだしたまふや 否 やをしらんとして 默 し 居 たり
22 茲 に 駱駝 飮 をはりしかば 其人 重 半 シケルの 金 の 鼻 環 一箇 と 重 十 シケルの 金 の 手釧 二箇 をとりて
23 言 けるは 汝 は 誰 の 女 なるや 請 ふ 我 に 告 よ 汝 の 父 の 家 に 我等 が 宿 る 隙地 ありや
24 女 彼 に 曰 けるは 我 はミルカがナホルに 生 みたる 子 ベトエルの 女 なり
25 又 彼 にいひけるは 家 には 藁 も 飼草 も 多 くあり 且 宿 る 隙地 もあり
26 是 に 於 て 其人 伏 てヱホバを 拜 み
27 言 けるは 吾 主人 アブラハムの 神 ヱホバは 讃美 べきかなわが 主人 に 慈惠 と 眞實 とを 缺 きたまはず 我 途 にありしにヱホバ 我 を 吾 主人 の 兄弟 の 家 にみちびきたまへり
28 茲 に 童女 走 行 て 其 母 の 家 に 此 等 の 事 を 告 たり
29 リベカに 一人 の 兄 あり 其 名 をラバンといふラバンはせいで 井 にゆきて 其人 の 許 につく
30 すなはち 彼 鼻 環 および 其 妹 の 手 の 手釧 を 見 又 其 妹 リベカが 其人 斯 我 に 語 りといふを 聞 て 其人 の 所 に 到 り 見 るに 井 の 側 らにて 駱駝 の 傍 にたちゐたれば
31 之 に 言 けるは 汝 ヱホバに 祝 るる 者 よ 請 ふ 入 れ 奚 ぞ 外 にたつや 我 家 を 備 へ 且 駱駝 のために 所 をそなへたり
32 是 に 於 て 其人 家 にいりぬラバン 乃 ち 其 駱駝 の 負 を 釋 き 藁 と 飼草 を 駱駝 にあたへ 又 水 をあたへて 其人 の 足 と 其 從者 の 足 をあらはしめ
33 斯 して 彼 の 前 に 食 をそなへたるに 彼 言 ふ 我 はわが 事 をのぶるまでは 食 はじとラバン 語 れといひければ
34 彼 言 ふわれはアブラハムの 僕 なり
35 ヱホバ 大 にわが 主人 をめぐみたまひて 大 なる 者 とならしめ 又 羊 牛 金銀 僕 婢 駱駝 驢馬 をこれにたまへり
36 わが 主人 の 妻 サラ 年 老 てのちわが 主人 に 男子 をうみければ 主人 其 所有 を 悉 く 之 に 與 ふ
37 わが 主人 我 を 誓 せて 言 ふ 吾 すめるカナンの 地 の 人 の 女子 の 中 よりわが 子 に 妻 を 娶 るなかれ
38 汝 わが 父 の 家 にゆきわが 親 族 にいたりわが 子 のために 妻 をめとれと
39 我 わが 主人 にいひけるは 倘 女 我 にしたがひて 來 ずば 如何
40 彼 我 にいひけるは 吾 事 ふるところのヱホバ 其 使者 を 汝 とともに 遣 はして 汝 の 途 に 幸福 を 降 したまはん 爾 わが 親 族 わが 父 の 家 より 吾 子 に 妻 をめとるべし
41 汝 わが 親 族 に 至 れる 時 はわが 誓 を 解 さるべし 若 彼等 汝 にあたへずば 汝 はわが 誓 をゆるさるべしと
42 我 今日 井 に 至 りて 謂 けらくわが 主人 アブラハムの 神 ヱホバねがはくはわがゆく 途 に 幸福 を 降 したまへ
43 我 はこの 井水 の 傍 に 立 つ 水 を 汲 にいづる 處女 あらん 時 我 彼 にむかひて 請 ふ 汝 の 瓶 より 少許 の 水 を 我 にのましめよと 言 んに
44 若 我 に 答 へて 汝 飮 め 我 亦 汝 の 駱駝 のためにも 汲 んと 言 ば 是 ヱホバがわが 主人 の 子 のために 定 たまひし 女 なるべし
45 我 心 の 中 に 語 ふことを 終 るまへにリベカ 其 瓶 を 肩 にのせて 出來 り 井 にくだりて 水 を 汲 みたるにより 我 彼 に 請 ふ 我 にのましめよと 言 ければ
46 彼 急 ぎ 其 瓶 を 肩 よりおろしていひけるは 飮 めまた 汝 の 駱駝 にものましめんと 是 に 於 て 我 飮 しが 彼 また 駱駝 にものましめたり
47 我 彼 に 問 て 汝 は 誰 の 女 なるやといひければミルカがナホルに 生 たる 子 ベトエルの 女 なりといふ 是 に 於 て 我 其 鼻 に 環 をつけ 其 手 に 手釧 をつけたり
48 而 して 我 伏 てヱホバを 拜 み 吾 主人 アブラハムの 神 ヱホバを 頌美 たりヱホバ 我 を 正 き 途 に 導 きてわが 主人 の 兄弟 の 女 を 其 子 のために 娶 しめんとしたまへばなり
49 されば 汝等 若 わが 主人 にむかひて 慈惠 と 眞誠 をもて 事 をなさんと 思 はば 我 に 告 よ 然 ざるも 亦 我 に 告 よ 然 ば 我 右 か 左 におもむくをえん
50 ラバンとベトエル 答 て 言 けるは 此事 はヱホバより 出 づ 我等 汝 に 善惡 を 言 ふあたはず
51 視 よリベカ 汝 の 前 にをる 携 へてゆき 彼 をしてヱホバの 言 たまひし 如 く 汝 の 主人 の 子 の 妻 とならしめよ
52 アブラハムの 僕 彼等 の 言 を 聞 て 地 に 伏 てヱホバを 拜 めり
53 是 に 於 て 僕 銀 の 飾品 金 の 飾品 および 衣服 をとりいだしてリベカに 與 へ 亦 其 兄 と 母 に 寶物 をあたへたり
54 是 に 於 て 彼 および 其 從者 等 食飮 して 宿 りしが 朝 起 たる 時 彼 言 我 をして 吾 主人 に 還 らしめよ
55 リベカの 兄 と 母 言 けるは 童女 を 數 日 の 間 少 くも 十 日 我等 と 偕 にをらしめよしかるのち 彼 ゆくべし
56 彼人 之 に 言 ヱホバ 吾 途 に 福祉 をくだしたまひたるなれば 我 を 阻 むるなかれ 我 を 歸 してわが 主人 に 往 しめよ
57 彼等 いひけるは 童女 をよびて 其 言 を 問 んと
58 即 ちリベカを 呼 て 之 に 言 けるは 汝 此人 と 共 に 往 や 彼 言 ふ 往 ん
59 是 に 於 て 彼等 妹 リベカと 其 乳媼 およびアブラハムの 僕 と 其 從者 を 遣 り 去 しめたり
60 即 ち 彼等 リベカを 祝 して 之 にいひけるはわれらの 妹 よ 汝 千萬 の 人 の 母 となれ 汝 の 子孫 をして 其 仇 の 門 を 獲 しめよ
61 是 に 於 てリベカ 起 て 其 童女等 とともに 駱駝 にのりて 其人 にしたがひ 往 く 僕 乃 ちリベカを 導 きてさりぬ
62 茲 にイサク、ラハイロイの 井 の 路 より 來 れり 南 の 國 に 住居 たればなり
63 しかしてイサク 黄昏 に 野 に 出 て 默想 をなしたりしが 目 を 擧 て 見 しに 駱駝 の 來 るあり
64 リベカ 目 をあげてイサクを 見 駱駝 をおりて
65 僕 にいひけるは 野 をあゆみて 我等 にむかひ 來 る 者 は 何人 なるぞ 僕 わが 主人 なりといひければリベカ 覆衣 をとりて 身 をおほへり
66 茲 に 僕 其 凡 てなしたる 事 をイサクに 告 ぐ
67 イサク、リベカを 其 母 サラの 天 幕 に 携至 りリベカを 娶 りて 其 妻 となしてこれを 愛 したりイサクは 母 にわかれて 後 茲 に 慰籍 を 得 たり
Chapter 25
1 アブラハム 再 妻 を 娶 る 其 名 をケトラといふ
2 彼 ジムラン、ヨクシヤン、メダン、ミデアン、イシバク、シユワを 生 り
3 ヨクシヤン、シバとデダンを 生 むデダンの 子 はアッシユリ 族 レトシ 族 リウミ 族 なり
4 ミデアンの 子 はエパ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダアなり 是等 は 皆 ケトラの 子孫 なり
5 アブラハム 其 所有 を 盡 くイサクに 與 へたり
6 アブラハムの 妾等 の 子 にはアブラハム 其 生 る 間 の 物 をあたへて 之 をして 其 子 イサクを 離 れて 東 にさりて 東 の 國 に 至 らしむ
7 アブラハムの 生存 へたる 齡 の 日 は 即 ち百七十五 年 なりき
8 アブラハム 遐 齡 に 及 び 老人 となり 年 滿 て 氣 たえ 死 て 其 民 に 加 る
9 其 子 イサクとイシマエル 之 をヘテ 人 ゾハルの 子 エフロンの 野 なるマクペラの 洞穴 に 葬 れり 是 はマムレの 前 にあり
10 即 ちアブラハムがヘテの 子孫 より 買 たる 野 なり 彼處 にアブラハムと 其 妻 サラ 葬 らる
11 アブラハムの 死 たる 後 神 其 子 イサクを 祝 みたまふイサクはベエルラハイロイの 邊 に 住 り
12 サラの 侍婢 なるエジプト 人 ハガルがアブラハムに 生 たる 子 イシマエルの 傳 は 左 のごとし
13 イシマエルの 子 の 名 は 其名氏 と 其世代 に 循 ひて 言 ば 是 のごとしイシマエルの 長子 はネバヨテなり 其 次 はケダル、アデビエル、ミブサム
14 ミシマ、ドマ、マツサ
15 ハダデ、テマ、ヱトル、ネフシ、ケデマ
16 是等 はイシマエルの 子 なり 是等 は 其 郷黨 を 其 營 にしたがひて 言 る 者 にして 其 國 に 循 ひていへば十二の 牧伯 なり
17 イシマエルの 齡 は百三十七 歳 なりき 彼 いきたえ 死 て 其 民 にくははる
18 イシマエルの 子等 はハビラよりエジプトの 前 なるシユルまでの 間 に 居住 てアッスリヤまでにおよべりイシマエルは 其 すべての 兄弟 等 のまへにすめり
19 アブラハムの 子 イサクの 傳 は 左 のごとしアブラハム、イサクを 生 り
20 イサク四十 歳 にしてリベカを 妻 に 娶 れりリベカはパダンアラムのスリア 人 ベトエルの 女 にしてスリア 人 ラバンの 妹 なり
21 イサク 其 妻 の 子 なきに 因 て 之 がためにヱホバに 祈願 をたてければヱホバ 其 ねがひを 聽 たまへり 遂 に 其 妻 リベカ 孕 みしが
22 其 子 胎 の 内 に 爭 そひければ 然 らば 我 いかで 斯 てあるべきと 言 て 往 てヱホバに 問 に
23 ヱホバ 彼 に 言 たまひけるは 二 の 國民 汝 の 胎 にあり 二 の 民 汝 の 腹 より 出 て 別 れん 一 の 民 は 一 の 民 よりも 強 かるべし 大 は 小 に 事 へんと
24 かくて 臨月 みちて 見 しに 胎 には 孿 ありき
25 先 に 出 たる 者 は 赤 くして 躰中 裘 の 如 し 其 名 をエサウと 名 けたり
26 其 後 に 弟 出 たるが 其 手 にエサウの 踵 を 持 り 其 名 をヤコブとなづけたりリベカが 彼等 を 生 し 時 イサクは六十 歳 なりき
27 茲 に 童子 人 となりしがエサウは 巧 なる 獵人 にして 野 の 人 となりヤコブは 質樸 なる 人 にして 天 幕 に 居 ものとなれり
28 イサクは 麆 を 嗜 によりてエサウを 愛 したりしがリベカはヤコブを 愛 したり
29 茲 にヤコブ 羹 を 煮 たり 時 にエサウ 野 より 來 りて 憊 れ 居 り
30 エサウ、ヤコブにむかひ 我 憊 れたれば 請 ふ 其 紅羹 其處 にある 紅羹 を 我 にのませよといふ 是 をもて 彼 の 名 はエドム(紅)と 稱 らる
31 ヤコブ 言 けるは 今日 汝 の 家 督 の 權 を 我 に 鬻 れ
32 エサウいふ 我 は 死 んとして 居 る 此 家 督 の 權 我 に 何 の 益 をなさんや
33 ヤコブまた 言 けるは 今日 我 に 誓 へと 彼 すなはち 誓 て 其 家 督 の 權 をヤコブに 鬻 ぬ
34 是 に 於 てヤコブ、パンと 扁豆 の 羹 とをエサウに 與 へければ 食 且 飮 て 起 て 去 り 斯 エサウ 家 督 の 權 を 藐視 じたり
Chapter 26
1 アブラハムの 時 にありし 最初 の 饑饉 の 外 に 又 其 國 に 饑饉 ありければイサク、ゲラルに 往 てペリシテ 人 の 王 アビメレクの 許 にいたれり
2 時 にヱホバ 彼 にあらはれて 言 たまひけるはエジプトに 下 るなかれ 吾 汝 に 示 すところの 地 にをれ
3 汝 此地 にとどまれ 我 汝 と 共 にありて 汝 を 祝 まん 我 是等 の 國 を 盡 く 汝 および 汝 の 子孫 に 與 へ 汝 の 父 アブラハムに 誓 ひたる 誓言 を 行 ふべし
4 われ 汝 の 子孫 を 増 て 天 の 星 のごとくなし 汝 の 子孫 に 凡 て 是等 の 國 を 與 へん 汝 の 子孫 によりて 天 下 の 國民 皆 福祉 を 獲 べし
5 是 はアブラハムわが 言 に 順 ひわが 職守 とわが 誡命 とわが 憲法 とわが 律法 を 守 りしに 因 てなり
6 イサク 乃 ちゲラルに 居 しが
7 處 の 人 其 妻 の 事 をとへば 我 妹 なりと 言 ふリベカは 觀 に 美麗 かりければ 其 處 の 人 リベカの 故 をもて 我 を 殺 さんと 謂 て 彼 をわが 妻 と 言 をおそれたるなり
8 イサク 久 しく 彼處 にをりし 後 一日 ペリシテ 人 の 王 アビメレク\牖 より 望 みてイサクが 其 妻 リベカと 嬉戲 るを 見 たり
9 是 に 於 てアビメレク、イサクを 召 て 言 けるは 彼 は 必 ず 汝 の 妻 なり 汝 なんぞ 吾 妹 といひしやイサク 彼 に 言 けるは 恐 くは 我 彼 のために 死 るならんと 思 たればなり
10 アビメレクいひけるは 汝 なんぞ 此事 を 我等 になすや 民 の 一人 もし 輕々 しく 汝 の 妻 と 寢 ることあらんその 時 は 汝 罪 を 我等 に 蒙 らしめんと
11 アビメレク 乃 ちすべて 民 に 皆 命 じて 此人 と 其 妻 にさはるものは 必 ず 死 すべしと 言 り
12 イサク 彼 地 に 種播 て 其 年 に 百 倍 を 獲 たりヱホバ 彼 を 祝 みたまふ
13 其人 大 になりゆきて 進 て 盛 になり 遂 に 甚 だ 大 なる 者 となれり
14 即 ち 羊 と 牛 と 僕從 を 多 く 有 しかばペリシテ 人 彼 を 嫉 みたり
15 其 父 アブラハムの 世 に 其 父 の 僕從 が 掘 たる 諸 の 井 はペリシテ 人 之 をふさぎて 土 を 之 にみてたり
16 茲 にアビメレク、イサクに 言 けるは 汝 は 大 に 我等 よりも 強大 ければ 我等 をはなれて 去 れと
17 イサク 乃 ち 彼處 をさりてゲラルの 谷 に 天 幕 を 張 て 其處 に 住 り
18 其 父 アブラハムの 世 に 掘 たる 水井 をイサク 茲 に 復 び 鑿 り 其 はアブラハムの 死 たる 後 ペリシテ 人 之 を 塞 ぎたればなり 斯 してイサク 其 父 が 之 に 名 けたる 名 をもて 其 名 となせり
19 イサクの 僕 谷 に 掘 て 其處 に 泉 の 湧 出 る 井 を 得 たり
20 ゲラルの 牧者 此 水 は 我儕 の 所屬 なりといひてイサクの 僕 と 爭 ひければイサク 其 井 の 名 をエセク(競爭)と 名 けたり 彼等 が 己 と 之 を 競爭 たるによりてなり
21 是 に 於 て 又 他 の 井 を 鑿 しが 彼等 是 をも 爭 ひければ 其 名 をシテナ(敵)となづけたり
22 イサク 乃 ち 彼處 より 遷 りて 他 の 井 を 鑿 けるが 彼等 之 をあらそはざりければ 其 名 をレホボテ(廣塲)と 名 けて 言 けるは 今 ヱホバ 我等 の 處所 を 廣 くしたまへり 我等 此地 を 繁衍 ん
23 斯 て 彼 其處 よりベエルシバにのぼりしが
24 其 夜 ヱホバ 彼 にあらはれて 言 たまひけるは 我 は 汝 の 父 アブラハムの 神 なり 懼 るるなかれ 我 汝 と 偕 にありて 汝 を 祝 み 我 僕 アブラハムのために 汝 の 子孫 を 増 んと
25 是 に 於 て 彼處 に 壇 を 築 きてヱホバの 名 を 龥 び 天 幕 を 彼處 に 張 り 彼處 にてイサクの 僕 井 を 鑿 り
26 茲 にアビメレク 其 友 アホザテ 及 び 其 軍勢 の 長 ピコルと 共 にゲラルよりイサクの 許 に 來 りければ
27 イサク 彼等 に 言 ふ 汝等 は 我 を 惡 み 我 をして 汝等 をはなれて 去 らしめたるなるに 何 ぞ 我 許 に 來 るや
28 彼等 いひけるは 我等 確然 にヱホバが 汝 と 偕 にあるを 見 たれば 我等 の 間 即 ち 我等 と 汝 の 間 に 誓詞 を 立 て 汝 と 契約 を 結 ばんと 謂 へり
29 汝 我等 に 惡事 をなすなかれ 其 は 我等 は 汝 を 害 せず 只 善事 のみを 汝 になし 且 汝 を 安然 に 去 しめたればなり 汝 はヱホバの 祝 みたまふ 者 なり
30 イサク 乃 ち 彼等 のために 酒宴 を 設 けたれば 彼等 食 ひ 且 飮 り
31 斯 て 朝 夙 に 起 て 互 に 相 誓 へり 而 してイサク 彼等 を 去 しめたれば 彼等 イサクをはなれて 安然 にかへりぬ
32 其 日 イサクの 僕 來 りて 其 ほりたる 井 につきて 之 に 告 て 我等 水 を 得 たりといへり
33 即 ち 之 をシバとなづく 此故 に 其 邑 の 名 は 今日 までベエルシバ(誓詞 の 井)といふ
34 エサウ四十 歳 の 時 ヘテ 人 の 女 ユデテとヘテ 人 エロンの 女 バスマテを 妻 に 娶 り
35 彼等 はイサクとリベカの 心 の 愁煩 となれり
Chapter 27
1 イサク 老 て 目 くもりて 見 るあたはざるに 及 びて 其 長子 エサウを 召 て 之 に 吾 子 よといひければ 答 へて 我 此 にありといふ
2 イサクいひけるは 視 よ 我 は 今 老 て 何時 死 るやを 知 ず
3 然 ば 請 ふ 汝 の 器 汝 の 弓 矢 を 執 て 野 に 出 でわがために 麆 を 獵 て
4 わが 好 む 美味 を 作 り 我 にもちきたりて 食 はしめよ 我 死 るまへに 心 に 汝 を 祝 せん
5 イサクが 其 子 エサウに 語 る 時 にリベカ 聞 ゐたりエサウは 麆 を 獵 て 携 きたらんとて 野 に 往 り
6 是 に 於 てリベカ 其 子 ヤコブに 語 りていひけるは 我 聞 ゐたるに 汝 の 父 汝 の 兄 エサウに 語 りて 言 けらく
7 吾 ために 麆 をとりきたり 美味 を 製 りて 我 にくはせよ 死 るまへに 我 ヱホバの 前 にて 汝 を 祝 せんと
8 然 ば 吾 子 よ 吾 言 にしたがひわが 汝 に 命 ずるごとくせよ
9 汝 群畜 の 所 にゆきて 彼處 より 山羊 の 二箇 の 善 き 羔 を 我 にとりきたれ 我 之 をもて 汝 の 父 のために 其 好 む 美味 を 製 らん
10 汝 之 を 父 にもちゆきて 食 しめ 其 死 る 前 に 汝 を 祝 せしめよ
11 ヤコブ 其 母 リベカに 言 けるは 兄 エサウは 毛 深 き 人 にして 我 は 滑澤 なる 人 なり
12 恐 くは 父 我 に 捫 ることあらん 然 らば 我 は 欺 く 者 と 父 に 見 えんされば 祝 をえずして 返 て 呪詛 をまねかん
13 其 母 彼 にいひけるは 我 子 よ 汝 の 詛 はるる 所 は 我 に 歸 せん 只 わが 言 にしたがひ 往 て 取 來 れと
14 是 において 彼 往 て 取 り 母 の 所 にもちきたりければ 母 すなはち 父 の 好 むところの 美味 を 製 れり
15 而 してリベカ 家 の 中 に 己 の 所 にある 長子 エサウの 美服 をとりて 之 を 季子 ヤコブに 衣 せ
16 又 山羊 の 羔 の 皮 をもて 其 手 と 其 頸 の 滑澤 なる 處 とを 掩 ひ
17 其 製 りたる 美味 とパンを 子 ヤコブの 手 にわたせり
18 彼 乃 ち 父 の 許 にいたりて 我 父 よといひければ 我 此 にありわが 子 よ 汝 は 誰 なると 曰 ふ
19 ヤコブ 父 にいひけるは 我 は 汝 の 長子 エサウなり 我 汝 が 我 に 命 じたるごとくなせり 請 ふ 起 て 坐 しわが 麆 の 肉 をくらひて 汝 の 心 に 我 を 祝 せよ
20 イサク 其 子 に 言 けるは 吾 子 よ 汝 いかにして 斯 速 に 獲 たるや 彼 言 ふ 汝 の 神 ヱホバ 之 を 我 にあはせたまひしが 故 なり
21 イサク、ヤコブにいひけるはわが 子 よ 請 ふ 近 くよれ 我 汝 に 捫 て 汝 がまことに 吾 子 エサウなるや 否 やをしらん
22 ヤコブ 父 イサクに 近 よりければイサク 之 にさはりていひけるは 聲 はヤコブの 聲 なれども 手 はエサウの 手 なりと
23 彼 の 手 其 兄 エサウの 手 のごとく 毛 深 かりしに 因 て 之 を 辨別 へずして 遂 に 之 を 祝 したり
24 即 ちイサクいひけるは 汝 はまことに 吾 子 エサウなるや 彼 然 りといひければ
25 イサクいひけるは 我 に 持 きたれ 吾 子 の 麆 を 食 ひてわが 心 に 汝 を 祝 せんと 是 に 於 てヤコブ 彼 の 許 にもちきたりければ 食 へり 又 酒 をもちきたりければ 飮 り
26 かくて 父 イサク 彼 にいひけるは 吾 子 よ 近 くよりて 我 に 接吻 せよと
27 彼 すなはち 近 よりて 之 に 接吻 しければ 其 衣 の 馨香 をかぎて 彼 を 祝 していひけるは 嗚呼 吾 子 の 香 はヱホバの 祝 たまへる 野 の 馨香 のごとし
28 ねがはくは 神 天 の 露 と 地 の 腴 および 饒多 の 穀 と 酒 を 汝 にたまへ
29 諸 の 民 汝 につかへ 諸 の 邦 汝 に 躬 を 鞠 ん 汝 兄弟 等 の 主 となり 汝 の 母 の 子等 汝 に 身 をかがめん 汝 を 詛 ふ 者 はのろはれ 汝 を 祝 す 者 は 祝 せらるべし
30 イサク、ヤコブを 祝 することを 終 てヤコブ 父 イサクの 前 より 出 さりし 時 にあたりて 兄 エサウ 獵 より 歸 り 來 り
31 己 も 亦 美味 をつくりて 之 を 其 父 の 許 にもちゆき 父 にいひけるは 父 よ 起 て 其 子 の 麆 を 食 ひて 心 に 我 を 祝 せよ
32 父 イサク 彼 にいひけるは 汝 は 誰 なるや 彼 いふ 我 は 汝 の 子 汝 の 長子 エサウなり
33 イサク 甚 大 に 戰兢 ていひけるは 然 ば 彼 麆 を 獵 て 之 を 我 にもちきたりし 者 は 誰 ぞや 我 汝 がきたるまへに 諸 の 物 を 食 ひて 彼 を 祝 したれば 彼 まことに 祝福 をうべし
34 エサウ 父 の 言 を 聞 て 大 に 哭 き 痛 く 泣 て 父 にいひけるは 父 よ 我 を 祝 せよ 我 をも 祝 せよ
35 イサク 言 けるは 汝 の 弟 僞 りて 來 り 汝 の 祝 を 奪 ひたり
36 エサウいひけるは 彼 をヤコブ(推除者)となづくるは 宜 ならずや 彼 が 我 をおしのくる 事 此 にて 二次 なり 昔 にはわが 家 督 の 權 を 奪 ひ 今 はわが 祝 を 奪 ひたり 又 言 ふ 汝 は 祝 をわがために 殘 しおかざりしや
37 イサク 對 てエサウにいひけるは 我 彼 を 汝 の 主 となし 其 兄弟 を 悉 く 僕 として 彼 にあたへたり 又 穀 と 酒 とを 彼 に 授 けたり 然 ば 吾 子 よ 我 何 を 汝 になすをえん
38 エサウ 父 に 言 けるは 父 よ 父 の 祝 唯一 ならんや 父 よ 我 を 祝 せよ 我 をも 祝 せよと 聲 をあげて 哭 ぬ
39 父 イサク 答 て 彼 にいひけるは 汝 の 住所 は 地 の 膏腴 にはなれ 上 よりの 天 の 露 にはなるべし
40 汝 は 劍 をもて 世 をわたり 汝 の 弟 に 事 ん 然 ど 汝 繋 を 離 るる 時 は 其 軛 を 汝 の 頸 より 振 ひおとすを 得 ん
41 エサウ 父 のヤコブを 祝 したる 其 祝 の 爲 にヤコブを 惡 めり 即 ちエサウ 心 に 謂 けるは 父 の 喪 の 日 近 ければ 其時 我 弟 ヤコブを 殺 さんと
42 長子 エサウの 此 言 リベカに 聞 えければ 季子 ヤコブを 呼 よせて 之 に 言 けるは 汝 の 兄 エサウ 汝 を 殺 さんとおもひて 自 ら 慰 む
43 されば 吾 子 よ 我 言 にしたがひ 起 てハランにゆきわが 兄 ラバンの 許 にのがれ
44 汝 の 兄 の 怒 の 釋 るまで 暫 く 彼 とともに 居 れ
45 汝 の 兄 の 鬱憤 釋 て 汝 をはなれ 汝 彼 になしたる 事 を 忘 るるにいたらば 我 人 をやりて 汝 を 彼處 よりむかへん 我 何 ぞ 一日 のうちに 汝等 二人 を 喪 ふべけんや
46 リベカ、イサクに 言 けるは 我 はヘテの 女 等 のために 世 を 厭 ふにいたるヤコブ 若 此地 の 彼 女 等 の 如 きヘテの 女 の 中 より 妻 を 娶 らば 我 身 生 るも 何 の 利益 あらんや
Chapter 28
1 イサク、ヤコブを 呼 て 之 を 祝 し 之 に 命 じて 言 けるは 汝 カナンの 女 の 中 より 妻 を 娶 るなかれ
2 起 てパダンアラムに 往 き 汝 の 母 の 父 ベトエルの 家 にいたり 彼處 にて 汝 の 母 の 兄 ラバンの 女 の 中 より 妻 を 娶 れ
3 願 くは 全 能 の 神 汝 を 祝 み 汝 をして 子女 を 多 く 得 せしめ 且 汝 の 子孫 を 増 て 汝 をして 多衆 の 民 とならしめ
4 又 アブラハムに 賜 んと 約 束 せし 祝 を 汝 および 汝 と 共 に 汝 の 子孫 に 賜 ひ 汝 をして 神 がアブラハムにあたへ 給 ひし 此 汝 が 寄寓 る 地 を 持 たしめたまはんことをと
5 斯 てイサク、ヤコブを 遣 しければパダンアラムにゆきてラバンの 所 にいたれりラバンはスリア 人 ベトエルの 子 にしてヤコブとエサウの 母 なるリベカの 兄 なり
6 エサウはイサクがヤコブを 祝 して 之 をパダンアラムにつかはし 彼處 より 妻 を 娶 しめんとしたるを 見 又 之 を 祝 し 汝 はカナンの 女 の 中 より 妻 をめとるなかれといひて 之 に 命 じたることを 見
7 又 ヤコブが 其 父母 の 言 に 順 ひてパダンアラムに 往 しを 見 たり
8 エサウまたカナンの 女 の 其 父 イサクの 心 にかなはぬを 見 たり
9 是 においてエサウ、イシマエルの 所 にゆきて 其 有 る 妻 の 外 に 又 アブラハムの 子 イシマエルの 女 ネバヨテの 妹 マハラテを 妻 にめとれり
10 茲 にヤコブ、ベエルシバより 出 たちてハランの 方 におもむきけるが
11 一處 にいたれる 時 日 暮 たれば 即 ち 其處 に 宿 り 其 處 の 石 をとり 枕 となして 其 處 に 臥 て 寢 たり
12 時 に 彼 夢 て 梯 の 地 にたちゐて 其 巓 の 天 に 逹 れるを 見 又 神 の 使者 の 其 にのぼりくだりするを 見 たり
13 ヱホバ 其 上 に 立 て 言 たまはく 我 は 汝 の 祖父 アブラハムの 神 イサクの 神 ヱホバなり 汝 が 偃臥 ところの 地 は 我 之 を 汝 と 汝 の 子孫 に 與 へん
14 汝 の 子孫 は 地 の 塵沙 のごとくなりて 西東 北 南 に 蔓 るべし 又 天 下 の 諸 の 族 汝 と 汝 の 子孫 によりて 福祉 をえん
15 また 我 汝 とともにありて 凡 て 汝 が 往 ところにて 汝 をまもり 汝 を 此地 に 率返 るべし 我 はわが 汝 にかたりし 事 を 行 ふまで 汝 をはなれざるなり
16 ヤコブ 目 をさまして 言 けるは 誠 にヱホバ 此處 にいますに 我 しらざりきと
17 乃 ち 惶懼 ていひけるは 畏 るべき 哉 此處 是 即 ち 神 の 殿 の 外 ならず 是 天 の 門 なり
18 かくてヤコブ 朝 夙 に 起 き 其 枕 となしたる 石 を 取 り 之 を 立 て 柱 となし 膏 を 其 上 に 沃 ぎ
19 其處 を 名 をベテル(神殿)と 名 けたり 其 邑 の 名 は 初 はルズといへり
20 ヤコブ 乃 ち 誓 をたてていひけるは 若 神 我 とともにいまし 此 わがゆく 途 にて 我 をまもり 食 ふパンと 衣 る 衣 を 我 にあたへ
21 我 をしてわが 父 の 家 に 安然 に 歸 ることを 得 せしめたまはばヱホバをわが 神 となさん
22 又 わが 柱 にたてたる 此 石 を 神 の 家 となさん 又 汝 がわれにたまふ 者 は 皆 必 ず 其 十 分 の 一 を 汝 にささげん
Chapter 29
1 斯 てヤコブ 其 途 にすすみて 東 の 民 の 地 にいたりて
2 見 るに 野 に 井 ありて 羊 の 群 三 其 傍 に 臥 ゐたり 此 井 より 群 に 飮 へばなり 大 なる 石井 の 口 にあり
3 羊 の 群 皆 其處 に 集 る 時 に 井 の 口 より 石 をまろばして 羊 に 水飼 ひ 復 故 のごとく 井 の 口 に 石 をのせおくなり
4 ヤコブ 人々 に 言 けるは 兄弟 よ 奚 よりきたれるや 彼等 いふ 我等 はハランより 來 る
5 ヤコブ 彼等 にいひけるは 汝等 ナホルの 子 ラバンをしるや 彼等 識 といふ
6 ヤコブ 又 かれらにいひけるは 彼 は 安 きや 彼等 いふ 安 し 視 よ 彼 の 女 ラケル 羊 と 偕 に 來 ると
7 ヤコブ 言 ふ 視 よ 日 尚 高 し 家畜 を 聚 むべき 時 にあらず 羊 に 飮 ひて 往 て 牧 せよ
8 彼等 いふ 我等 しかする 能 はず 群 の 皆 聚 るに 及 て 井 の 口 より 石 をまろばして 羊 に 飮 ふべきなり
9 ヤコブ 尚 彼等 と 語 れる 時 にラケル 父 の 羊 とともに 來 る 其 は 之 を 牧居 たればなり
10 ヤコブ 其 母 の 兄 ラバンの 女 ラケルおよび 其 母 の 兄 ラバンの 羊 を 見 しかばヤコブ 進 みよりて 井 の 口 より 石 をまろばし 母 の 兄 ラバンの 羊 に 飮 ひたり
11 而 してヤコブ、ラケルに 接吻 して 聲 をあげて 啼哭 ぬ
12 即 ちヤコブ、ラケルに 己 はその 父 の 兄弟 にしてリベカの 子 なることを 告 ければ 彼 はしりゆきて 父 に 告 たり
13 ラバン 其 妹 の 子 ヤコブの 事 を 聞 しかば 趨 ゆきて 之 を 迎 へ 之 を 抱 きて 接吻 し 之 を 家 に 導 きいたれりヤコブすなはち 此 等 の 事 を 悉 くラバンに 述 たり
14 ラバン 彼 にいひけるは 汝 は 誠 にわが 骨 肉 なりとヤコブ 一月 の 間 彼 とともに 居 る
15 茲 にラバン、ヤコブにいひけるは 汝 はわが 兄弟 なればとて 空 く 我 に 役事 べけんや 何 の 報酬 を 望 むや 我 に 告 よ
16 ラバン 二人 の 女子 を 有 り 姉 の 名 はレアといひ 妹 の 名 はラケルといふ
17 レアは 目 弱 かりしがラケルは 美 くして 姝 し
18 ヤコブ、ラケルを 愛 したれば 言 ふ 我 汝 の 季女 ラケルのために七 年 汝 に 事 ん
19 ラバンいひけるは 彼 を 他 の 人 にあたふるよりも 汝 にあたふるは 善 し 我 と 偕 に 居 れ
20 ヤコブ七 年 の 間 ラケルのために 勤 たりしが 彼 を 愛 するが 爲 に 此 を 數 日 の 如 く 見做 り
21 茲 にヤコブ、ラバンに 言 けるはわが 期 滿 たればわが 妻 をあたへて 我 をしてかれの 處 にいることを 得 せしめよ
22 是 に 於 てラバン 處 の 人 を 盡 く 集 めて 酒宴 を 設 けたりしが
23 晩 に 及 びて 其 女 レアを 携 へて 此 をヤコブにつれ 來 れりヤコブ 即 ち 彼 の 處 にいりぬ
24 ラバンまた 其 侍婢 ジルパを 娘 レアに 與 へて 侍婢 となさしめたり
25 朝 にいたりて 見 るにレアなりしかばヤコブ、ラバンに 言 けるは 汝 なんぞ 此事 を 我 になしたるや 我 ラケルのために 汝 に 役事 しにあらずや 汝 なんぞ 我 を 欺 くや
26 ラバンいひけるは 姉 より 先 に 妹 を 嫁 しむる 事 は 我 國 にて 爲 ざるところなり
27 其 七日 を 過 せ 我等 是 をも 汝 に 與 へん 然 ば 汝 是 がために 尚 七 年 我 に 事 へて 勤 むべし
28 ヤコブ 即 ち 斯 なして 其 七日 をすごせしかばラバン 其 女 ラケルをも 之 にあたへて 妻 となさしむ
29 またラバン 其 侍婢 ビルハを 女 ラケルにあたへて 侍婢 となさしむ
30 ヤコブまたラケルの 所 にいりぬ 彼 レアよりもラケルを 愛 し 尚 七 年 ラバンに 事 たり
31 ヱホバ、レアの 嫌 るるを 見 て 其 胎 をひらきたまへり 然 どラケルは 姙 なきものなりき
32 レア 孕 みて 子 を 生 み 其 名 をルベンと 名 けていひけるはヱホバ 誠 にわが 艱苦 を 顧 みたまへりされば 今 夫 我 を 愛 せんと
33 彼 ふたたび 孕 みて 子 を 產 みヱホバわが 嫌 るるを 聞 たまひしによりて 我 に 是 をもたまへりと 言 て 其 名 をシメオンと 名 けたり
34 彼 また 孕 みて 子 を 生 み 我 三 人 の 子 を 生 たれば 夫 今 より 我 に 膠漆 んといへり 是 によりて 其 名 をレビと 名 けたり
35 彼 復 姙 みて 子 を 生 み 我 今 ヱホバを 讚美 んといへり 是 によりて 其 名 をユダと 名 けたり 是 にいたりて 產 ことやみぬ
Chapter 30
1 ラケル 己 がヤコブに 子 を 生 ざるを 見 て 其 姉 を 夢 みヤコブに 言 けるは 我 に 子 を 與 へよ 然 らずば 我 死 んと
2 ヤコブ、ラケルにむかひて 怒 を 發 して 言 ふ 汝 の 胎 に 子 をやどらしめざる 者 は 神 なり 我 神 に 代 るをえんや
3 ラケルいふ 吾 婢 ビルハを 視 よ 彼 の 處 に 入 れ 彼 子 を 生 てわが 膝 に 置 ん 然 ば 我 もまた 彼 によりて 子 をうるにいたらんと
4 其 仕女 ビルハを 彼 にあたへて 妻 となさしめたりヤコブ 即 ち 彼 の 處 にいる
5 ビルハ 遂 にはらみてヤコブに 子 を 生 ければ
6 ラケルいひけるは 神 我 を 監 み 亦 わが 聲 を 聽 いれて 吾 に 子 をたまへりと 是 によりて 其 名 をダンと 名 けたり
7 ラケルの 仕女 ビルハ 再 び 姙 みて 次 の 子 をヤコブに 生 ければ
8 ラケル 我 神 の 爭 をもて 姉 と 爭 ひて 勝 ぬといひて 其 名 をナフタリと 名 けたり
9 茲 にレア 產 ことの 止 たるを 見 しかば 其 仕女 ジルパをとりて 之 をヤコブにあたへて 妻 となさしむ
10 レアの 仕女 ジルパ、ヤコブに 子 を 產 ければ
11 レア 福 來 れりといひて 其 名 をガドと 名 けたり
12 レアの 仕女 ジルパ 次子 をヤコブに 生 ければ
13 レアいふ 我 は 幸 なり 女等 我 を 幸 なる 者 となさんと 其 名 をアセルとなづけたり
14 茲 に 麥 苅 の 日 にルベン 出 ゆきて 野 にて 戀茄 を 獲 これを 母 レアの 許 にもちきたりければラケル、レアにいひけるは 請 ふ 我 に 汝 の 子 の 戀茄 をあたへよ
15 レア 彼 にいひけるは 汝 のわが 夫 を 奪 しは 微 き 事 ならんや 然 るに 汝 またわが 子 の 戀茄 をも 奪 んとするやラケルいふ 然 ば 汝 の 子 の 戀茄 のために 夫 是 夜 汝 と 寢 べし
16 晩 におよびてヤコブ 野 より 來 りければレア 之 をいでむかへて 言 けるは 我 誠 にわが 子 の 戀茄 をもて 汝 を 雇 ひたれば 汝 我 の 所 にいらざるべからずヤコブ 即 ち 其 夜 彼 といねたり
17 神 レアに 聽 たまひければ 彼 妊 みて 第 五 の 子 をヤコブに 生 り
18 レアいひけるは 我 わが 仕女 を 夫 に 與 へたれば 神 我 に 其 値 をたまへりと 其 名 をイツサカルと 名 けたり
19 レア 復 妊 みて 第 六 の 子 をヤコブに 生 り
20 レアいひけるは 神 我 に 嘉賚 を 貺 ふ 我 六 人 の 男子 を 生 たれば 夫 今 より 我 と 偕 にすまんと 其 名 をゼブルンとなづけたり
21 其 後 彼 女子 を 生 み 其 名 をデナと 名 けたり
22 茲 に 神 ラケルを 念 ひ 神 彼 に 聽 て 其 胎 を 開 きたまひければ
23 彼 妊 みて 男子 を 生 て 曰 ふ 神 わが 恥辱 を 洒 ぎたまへりと
24 乃 ち 其 名 をヨセフと 名 けて 言 ふヱホバ 又 他 の 子 を 我 に 加 へたまはん
25 茲 にラケルのヨセフを 生 むに 及 びてヤコブ、ラバンに 言 けるは 我 を 歸 して 故郷 に 我 國 に 往 しめよ
26 わが 汝 に 事 て 得 たる 所 の 妻 子 を 我 に 與 へて 我 を 去 しめよわが 汝 になしたる 役事 は 汝 之 を 知 るなり
27 ラバン 彼 にいひけるは 若 なんぢの 意 にかなはばねがはくは 留 れ 我 ヱホバが 汝 のために 我 を 祝 みしを 卜 ひ 得 たり
28 又 言 ふ 汝 の 望 む 値 をのべよ 我 之 を 與 ふべし
29 ヤコブ 彼 にいひけるは 汝 は 如何 にわが 汝 に 事 しか 如何 に 汝 の 家畜 を 牧 しかを 知 る
30 わが 來 れる 前 に 汝 の 有 たる 者 は 鮮少 なりしが 増 て 遂 に 群 をなすに 至 る 吾 來 りてよりヱホバ 汝 を 祝 みたまへり 然 ども 我 は 何時 吾 家 を 成 にいたらんや
31 彼 言 ふ 我 何 を 汝 に 與 へんかヤコブいひけるは 汝 何 者 をも 我 に 與 ふるに 及 ばず 汝 若 此事 を 我 になさば 我 復 汝 の 群 を 牧守 らん
32 即 ち 我 今日 徧 く 汝 の 群 をゆきめぐりて 其 中 より 凡 て 斑 なる 者 點 なる 者 を 移 し 綿羊 の 中 の 凡 て 黑 き 者 を 移 し 山羊 の 中 の 點 なる 者 と 斑 なる 者 を 移 さん 是 わが 値 なるべし
33 後 に 汝 來 りてわが 傭値 をしらぶる 時 わが 義 我 にかはりて 應 をなすべし 若 わが 所 に 山羊 の 斑 ならざる 者 點 ならざる 者 あり 綿羊 の 黑 からざる 者 あらば 皆 盜 る 者 となすべし
34 ラバンいふ 汝 の 言 の 如 くなさんことを 願 ふ
35 是 に 於 て 彼 其 日 牡山羊 の 斑入 なる 者 斑點 なる 者 を 移 し 凡 て 牝 山羊 の 斑駮 なる 者 斑點 なる 者 都 て 身 に 白 色 ある 者 を 移 し 又 綿羊 の 中 の 凡 て 黑 き 者 を 移 して 其 子等 の 手 に 付 せり
36 而 して 彼 己 とヤコブの 間 に 三日 程 の 隔 をたてたりヤコブはラバンの 餘 の 群 を 牧 ふ
37 茲 にヤコブ 楊柳 と 楓 と 桑 の 靑 枝 を 執 り 皮 を 剥 て 白紋理 を 成 り 枝 の 白 き 所 をあらはし
38 其 皮 をはぎたる 枝 を 群 の 來 りて 飮 むところの 水槽 と 水 鉢 に 立 て 群 に 向 はしめ 群 をして 水 のみの 來 る 時 に 孕 ましむ
39 群 すなはち 枝 の 前 に 孕 みて 斑入 の 者 斑駮 なる 者 斑點 なる 者 を 產 しかば
40 ヤコブ 其 羔羊 を 區分 ちラバンの 群 の 面 を 其 群 の 斑入 なる 者 と 黑 き 者 に 對 はしめたりしが 己 の 群 をば 一所 に 置 てラバンの 群 の 中 にいれざりき
41 又 家畜 の 壯健 き 者 孕 みたる 時 はヤコブ 水槽 の 中 にて 其 家畜 の 目 の 前 に 彼 枝 を 置 き 枝 の 傍 において 孕 ましむ
42 然 ど 家畜 の 羸弱 かる 時 は 之 を 置 ず 是 に 因 て 羸弱者 はラバンのとなり 壯健者 はヤコブのとなれり
43 是 に 於 て 其人 大 に 富饒 になりて 多 の 家畜 と 婢 僕 および 駱駝 驢馬 を 有 にいたれり
Chapter 31
1 茲 にヤコブ、ラバンの 子等 がヤコブわが 父 の 所有 を 盡 く 奪 ひ 吾 父 の 所有 によりて 此 凡 の 榮光 を 獲 たりといふを 聞 り
2 亦 ヤコブ、ラバンの 面 を 見 るに 己 に 對 すること 疇昔 の 如 くならず
3 時 にヱホバ、ヤコブに 言 たまへるは 汝 の 父 の 國 にかへり 汝 の 親 族 に 至 れ 我 汝 と 偕 にをらんと
4 是 に 於 てヤコブ 人 をやりてラケルとレアを 野 に 招 きて 群 の 所 に 至 らしめ
5 之 にいひけるは 我 汝等 の 父 の 面 を 見 るに 其 我 に 對 すること 疇昔 の 如 くならず 然 どわが 父 の 神 は 我 と 偕 にいますなり
6 汝等 がしるごとく 我 力 を 竭 して 汝 らの 父 に 事 へたるに
7 汝等 の 父 我 を 欺 きて 十次 もわが 値 を 易 たり 然 ども 神 彼 の 我 を 害 するを 容 したまはず
8 彼 斑駮 なる 者 は 汝 の 傭値 なるべしといへば 群 の 生 ところ 皆 斑駮 なり 斑入 の 者 は 汝 の 値 なるべしといへば 群 の 生 ところ 皆 斑入 なり
9 斯 神 汝 らの 父 の 家畜 を 奪 て 我 に 與 へたまへり
10 群 の 孕 む 時 に 當 りて 我 夢 に 目 をあげて 見 しに 群 の 上 に 乗 る 牡羊 は 皆 斑入 の 者 斑駮 なる 者 白點 なる 者 なりき
11 時 に 神 の 使者 夢 の 中 に 我 に 言 ふヤコブよと 我 此 にありと 對 へければ
12 乃 ち 言 ふ 汝 の 目 をあげて 見 よ 群 の 上 に 乗 る 牡羊 は 皆 斑入 の 者 斑駮 なる 者 白點 なる 者 なり 我 ラバンが 凡 て 汝 に 爲 すところを 鑒 みる
13 我 はベテルの 神 なり 汝 彼處 にて 柱 に 膏 を 沃 ぎ 彼處 にて 我 に 誓 を 立 たり 今 起 て 斯地 を 出 て 汝 の 親 族 の 國 に 歸 れと
14 ラケルとレア 對 て 彼 にいひけるは 我等 の 父 の 家 に 尚 われらの 分 あらんや 我等 の 產業 あらんや
15 我等 は 父 に 他人 のごとくせらるるにあらずや 其 は 父 我等 を 賣 り 亦 我等 の 金 を 蝕减 したればなり
16 神 がわが 父 より 取 たまひし 財寶 は 我等 とわれらの 子女 の 所屬 なり 然 ば 都 て 神 の 汝 に 言 たまひし 事 を 爲 せ
17 是 に 於 てヤコブ 起 て 子等 と 妻 等 を 駱駝 に 乗 せ
18 其 獲 たる 凡 の 家畜 と 凡 の 所有 即 ちパダンアラムにてみづから 獲 たるところの 家畜 を 携 へ 去 てカナンの 地 に 居 所 の 其 父 イサクの 所 におもむけり
19 時 にラバンは 羊 の 毛 を 剪 んとて 往 てありラケル 其 父 のテラピムを 竊 めり
20 ヤコブは 其 去 ことをスリア 人 ラバンに 告 ずして 潛 に 忍 びいでたり
21 即 ち 彼 その 凡 の 所有 を 挈 へて 逃 去 り 起 て 河 を 渡 りギレアデの 山 にむかふ
22 ヤコブの 逃 去 しこと 三日 におよびてラバンに 聞 えければ
23 彼 兄弟 を 率 てその 後 を 追 ひしが 七日路 をへてギレアデの 山 にて 之 に 追及 ぬ
24 神 夜 の 夢 にスリア 人 ラバンに 臨 みて 汝 愼 みて 善 も 惡 もヤコブに 道 なかれと 之 に 告 たまへり
25 ラバン 遂 にヤコブに 追及 しがヤコブは 山 に 天 幕 を 張 ゐたればラバンもその 兄弟 と 共 にギレアデの 山 に 天 幕 をはれり
26 而 してラバン、ヤコブに 言 けるは 汝 我 に 知 しめずして 忍 びいで 吾 女 等 を 劍 をもて 執 たる 者 のごとくにひき 往 り 何 ぞかかる 事 をなすや
27 何故 に 汝 潛 に 逃 さり 我 をはなれて 忍 いで 我 につげざりしや 我 歡喜 と 歌謠 と 鼗 と 琴 をもて 汝 を 送 りしならんを
28 何 ぞ 我 をしてわが 孫 と 女 に 接吻 するを 得 ざらしめしや 汝 愚妄 なる 事 をなせり
29 汝等 に 害 をくはふるの 能 わが 手 にあり 然 ど 汝等 の 父 の 神 昨夜 我 に 告 て 汝 つつしみて 善 も 惡 もヤコブに 語 べからずといへり
30 汝 今 父 の 家 を 甚 く 戀 て 歸 んと 願 ふは 善 れども 何 ぞわが 神 を 竊 みたるや
31 ヤコブ 答 へてラバンにいひけるは 恐 くは 汝 強 て 女 を 我 より 奪 ならんと 思 ひて 懼 れたればなり
32 汝 の 神 を 持 る 者 を 見 ば 之 を 生 しおくなかれ 我等 の 兄弟 等 の 前 にて 汝 の 何 物 我 の 許 にあるかをみわけて 之 を 汝 に 取 れと 其 はヤコブ、ラケルが 之 を 竊 しを 知 ざればなり
33 是 に 於 てラバン、ヤコブの 天 幕 に 入 りレアの 天 幕 に 入 りまた 二人 の 婢 の 天 幕 にいりしが 視 いださざればレアの 天 幕 を 出 てラケルの 天 幕 にいる
34 ラケル 已 にテラピムを 執 て 之 を 駱駝 の 鞍 の 下 にいれて 其 上 に 坐 しければラバン 遍 く 天 幕 の 中 をさぐりたれども 見 いださざりき
35 時 にラケル 父 にいひけるは 婦女 の 經 の 習例 の 事 わが 身 にあれば 父 の 前 に 起 あたはず 願 くは 主 之 を 怒 り 給 ふなかれと 是 をもて 彼 さがしたれども 遂 にテラピムを 見 いださざりき
36 是 に 於 てヤコブ 怒 てラバンを 謫 即 ちヤコブ 應 てラバンに 言 けるは 我 何 の 愆 あり 何 の 罪 ありてか 汝 火急 く 我 をおふや
37 汝 わが 物 を 盡 く 索 たるが 汝 の 家 の 何 物 を 見 いだしたるや 此 にわが 兄弟 と 汝 の 兄弟 の 前 に 其 を 置 て 我等 二人 の 間 をさばかしめよ
38 我 この二十 年 汝 とともにありしが 汝 の 牝 綿羊 と 牝 山羊 其 胎 を 殰 ねしことなし 又 汝 の 群 の 牡 綿羊 は 我 食 はざりき
39 又 噛 裂 れたる 者 は 我 これを 汝 の 所 に 持 きたらずして 自 ら 之 を 補 へり 又 晝 竊 るるも 夜 竊 るるも 汝 わが 手 より 之 を 要 めたり
40 我 は 是 ありつ 晝 は 暑 に 夜 は 寒 に 犯 されて 目 も 寐 るの 遑 なく
41 此 二十 年 汝 の 家 にありたり 汝 の 二人 の 女 の 爲 に十四 年 汝 の 群 のために六 年 汝 に 事 たり 然 に 汝 は 十次 もわが 値 を 易 たり
42 若 わが 父 の 神 アブラハムの 神 イサクのの 畏 む 者 我 とともにいますにあらざれば 汝 今 必 ず 我 を 空手 にて 去 しめしならん 神 わが 苦難 とわが 手 の 勞苦 をかへりみて 昨夜 汝 を 責 たまへるなり
43 ラバン 應 てヤコブに 言 けるは 女 等 はわが 女 子等 はわが 子 群 はわが 群 汝 が 見 る 者 は 皆 わが 所屬 なり 我 今日 此 わが 女 等 とその 生 たる 子等 に 何 をなすをえんや
44 然 ば 來 れ 我 と 汝 二人 契約 をむすび 之 を 我 と 汝 の 間 の 證憑 となすべし
45 是 に 於 てヤコブ 石 を 執 りこれを 建 て 柱 となせり
46 ヤコブ 又 その 兄弟 等 に 石 をあつめよといひければ 即 ち 石 をとりて 垤 を 成 れり 斯 て 彼等 彼處 にて 垤 の 上 に 食 す
47 ラバン 之 をエガルサハドタ(證憑 の 垤)と 名 けヤコブ 之 をギレアデ(證憑 の 垤)と 名 けたり
48 ラバン 此 垤 今日 われとなんぢの 間 の 證憑 たりといひしによりて 其 名 はギレアデとと 稱 らる
49 又 ミヅパ(觀望樓)と 稱 らる 其 は 彼 我等 が 互 にわかるるに 及 べる 時 ねがはくはヱホバ 我 と 汝 の 間 を 監 みたまへといひたればなり
50 彼 又 いふ 汝 もしわが 女 をなやまし 或 はわが 女 のほかに 妻 をめとらば 人 の 我 らと 偕 なる 者 なきも 神 と 汝 のあひだにいまして 證 をなしたまふ
51 ラバン 又 ヤコブにいふ 我 われとなんぢの 間 にたてたる 此 垤 を 視 よ 柱 をみよ
52 此 垤 證 とならん 柱 證 とならん 我 この 垤 を 越 て 汝 を 害 せじ 汝 この 垤 この 柱 を 越 て 我 を 害 せざれ
53 アブラハムの 神 ナホルの 神 彼等 の 父 の 神 われらの 間 を 鞫 きたまへとヤコブ 乃 ちその 父 イサクの 畏 む 者 をさして 誓 へり
54 斯 てヤコブ 山 にて 犧牲 をささげその 兄弟 を 招 きてパンを 食 しむ 彼等 パンを 食 ひて 山 に 宿 れり
55 ラバン 朝 蚤 に 起 き 其 孫 と 女 に 接吻 して 之 を 祝 せりしかしてラバンゆきて 其 所 にかへりぬ
Chapter 32
1 茲 にヤコブその 途 に 進 みしが 神 の 使者 これにあふ
2 ヤコブこれを 見 て 是 は 神 の 陣 營 なりといひてその 處 の 名 をマハナイム(二 營)となづけたり
3 かくてヤコブ 己 より 前 に 使者 をつかはしてセイルの 地 エドムの 野 にをる 其 兄 エサウの 所 にいたらしむ
4 即 ち 之 に 命 じて 言 ふ 汝等 かくわが 主 エサウにいふべし 汝 の 僕 ヤコブ 斯 いふ 我 ラバンの 所 に 寄寓 て 今 までとどまれり
5 我 牛 驢馬 羊 僕 婢 あり 人 をつかはしてわが 主 に 告 ぐ 汝 の 前 に 恩 をえんことを 願 ふなりと
6 使者 ヤコブにかへりて 言 けるは 我等 汝 の 兄 エサウの 許 に 至 れり 彼 四百 人 をしたがへて 汝 をむかへんとて 來 ると
7 是 によりヤコブ 大 におそれ 且 くるしみ 己 とともにある 人衆 および 羊 と 牛 と 駱駝 を 二隊 にわかちて
8 言 けるはエサウもし 一 の 隊 に 來 りて 之 をうたば 遺 れるところの 一隊 逃 るべし
9 ヤコブまた 言 けるはわが 父 アブラハムの 神 わが 父 イサクの 神 ヱホバよ 汝 甞 て 我 につげて 汝 の 國 にかへり 汝 の 親 族 に 到 れ 我 なんぢを 善 せんといひたまへり
10 我 はなんぢが 僕 にほどこしたまひし 恩惠 と 眞實 を 一 も 受 るにたらざるなり 我 わが 杖 のみを 持 てこのヨルダンを 濟 りしが 今 は 二隊 とも 成 にいたれり
11 願 くはわが 兄 の 手 よりエサウの 手 より 我 をすくひいだしたまへ 我 彼 をおそる 恐 くは 彼 きたりて 我 をうち 母 と 子 とに 及 ばん
12 汝 は 甞 て 我 かならず 汝 を 惠 み 汝 の 子孫 を 濱 の 沙 の 多 して 數 ふべからざるが 如 くなさんといひたまへりと
13 彼 その 夜 彼處 に 宿 りその 手 にいりし 物 の 中 より 兄 エサウへの 禮物 をえらべり
14 即 ち 牝 山羊 二百 牡山羊 二十 牝 羊 二百 牡羊 二十
15 乳 駱駝 と 其 子 三十 牝 牛 四十 牡牛 十 牝 の 驢馬 二十 驢馬 の 子 十
16 而 して 其 群 と 群 とをわかちて 之 を 僕 の 手 に 授 し 僕 にいひけるは 吾 に 先 ちて 進 み 群 と 群 との 間 を 隔 ておくべし
17 又 その 前者 に 命 じて 言 けるはわが 兄 エサウ 汝 にあひ 汝 に 問 て 汝 は 誰 の 人 にして 何處 にゆくや 是 汝 のまへなる 者 は 誰 の 所有 なるやといはば
18 汝 の 僕 ヤコブの 所有 にしてわが 主 エサウにたてまつる 禮物 なり 視 よ 彼 もわれらの 後 にをるといふべしと
19 彼 かく 第 二 の 者 第 三 の 者 および 凡 て 群々 にしたがひゆく 者 に 命 じていふ 汝等 エサウにあふ 時 はかくの 如 く 之 にいふべし
20 且 汝等 いへ 視 よなんぢの 僕 ヤコブわれらの 後 にをるとヤコブおもへらく 我 わが 前 におくる 禮物 をもて 彼 を 和 めて 然 るのち 其 面 を 觀 ん 然 ば 彼 われを 接遇 ることあらんと
21 是 によりて 禮物 かれに 先 ちて 行 く 彼 は 其 夜 陣 營 の 中 に 宿 りしが
22 其 夜 おきいでて 二人 の 妻 と 二人 の 仕女 および 十 一 人 の 子 を 導 きてヤボクの 渡 をわたれり
23 即 ち 彼等 をみちびきて 川 を 渉 らしめ 又 その 有 る 物 を 渡 せり
24 而 してヤコブ 一人 遺 りしが 人 ありて 夜 の 明 るまで 之 と 角力 す
25 其人 己 のヤコブに 勝 ざるを 見 てヤコブの 髀 の 樞骨 に 觸 しかばヤコブの 髀 の 樞骨 其人 と 角力 する 時 挫離 たり
26 其人 夜明 んとすれば 我 をさらしめよといひければヤコブいふ 汝 われを 祝 せずばさらしめずと
27 是 に 於 て 其人 かれにいふ 汝 の 名 は 何 なるや 彼 いふヤコブなり
28 其人 いひけるは 汝 の 名 は 重 てヤコブととなふべからずイスラエルととなふべし 其 は 汝 神 と 人 とに 力 をあらそひて 勝 たればなりと
29 ヤコブ 問 て 請 ふ 汝 の 名 を 告 よといひければ 其人 何故 にわが 名 をとふやといひて 乃 ち 其處 にて 之 を 祝 せり
30 是 を 以 てヤコブその 處 の 名 をベニエル(神 の 面)となづけて 曰 ふ 我 面 と 面 をあはせて 神 とあひ 見 てわが 生命 なほ 存 るなりと
31 斯 て 彼 日 のいづる 時 にベニエルを 過 たりしが 其 髀 のために 歩行 はかどらざりき
32 是故 にイスラエルの 子孫 は 今日 にいたるまで 髀 の 樞 の 巨筋 を 食 はず 是 彼人 がヤコブの 髀 の 巨筋 に 觸 たるによりてなり
Chapter 33
1 爰 にヤコブ 目 をあげて 視 にエサウ四百 人 をひきゐて 來 しかば 即 ち 子等 を 分 ちてレアとラケルと 二人 の 仕女 とに 付 し
2 仕女 とその 子等 を 前 におきレアとその 子等 を 次 におきラケルとヨセフを 後 におきて
3 自 彼等 の 前 に 進 み 七度 身 を 地 にかがめて 遂 に 兄 に 近 づきけるに
4 エサウ 趨 てこれを 迎 へ 抱 きてその 頸 をかかへて 之 に 接吻 すしかして 二人 ともに 啼泣 り
5 エサウ 目 をあげて 婦人 と 子等 を 見 ていひけるは 是等 の 汝 とともなる 者 は 誰 なるやヤコブいひけるは 神 が 僕 に 授 たまひし 子 なりと
6 時 に 仕女 等 その 子 とともに 近 よりて 拜 し
7 レアも 亦 その 子 とともに 近 よりて 拜 す 其 後 にヨセフとラケルちかよりて 拜 す
8 エサウ 又 いひけるは 我 あへる 此 諸 の 群 は 何 のためなるやヤコブいふ 主 の 目 の 前 に 恩 を 獲 んがためなり
9 エサウいひけるは 弟 よわが 有 ところの 者 は 足 り 汝 の 所有 は 汝 自 ら 之 を 有 てよ
10 ヤコブいひけるは 否 我 もし 汝 の 目 の 前 に 恩 をえたらんには 請 ふわが 手 よりこの 禮物 を 受 よ 我 汝 の 面 をみるに 神 の 面 をみるがごとくなり 汝 また 我 をよろこぶ
11 神 我 をめぐみたまひて 我 が 有 ところの 者 足 りされば 請 ふわが 汝 にたてまつる 禮物 を 受 よと 彼 に 強 ければ 終 に 受 たり
12 エサウいひけるは 我等 いでたちてゆかん 我 汝 にさきだつべし
13 ヤコブ 彼 にいひけるは 主 のしりたまふごとく 子等 は 幼弱 し 又 子 を 持 る 羊 と 牛 と 我 にしたがふ 若 一日 これを 驅 すごさば 群 みな 死 ん
14 請 ふわが 主 僕 にさきだちて 進 みたまへ 我 はわが 前 にゆくところの 家畜 と 子女 に 足 にまかせて 徐 に 導 きすすみセイルにてわが 主 に 詣 らん
15 エサウいひけるは 然 ば 我 わがひきゐる 人 數 人 を 汝 の 所 にのこさんヤコブいひけるは 何 ぞ 此 を 須 んや 我 をして 主 の 目 の 前 に 恩 を 得 せしめよ
16 是 に 於 てエサウは 此 日 その 途 にしたがひてセイルに 還 りぬ
17 斯 てヤコブ、スコテに 進 みて 己 のために 家 を 建 て 又 家畜 のために 廬 を 作 れり 是 によりて 其 處 の 名 をスコテ(廬)といふ
18 ヤコブ、パダンアラムより 來 りて 恙 なくカナンの 地 にあるシケムの 邑 に 至 り 邑 の 前 にその 天 幕 を 張 り
19 遂 にその 天 幕 をはりしところの 野 をシケムの 父 ハモルの 子等 の 手 により 金 百 枚 にて 購 とり
20 彼處 に 壇 をきづきて 之 をエル、エロヘ、イスラエル(イスラエルの 神 なる 神)となづけたり
Chapter 34
1 レアのヤコブに 生 たる 女 デナその 國 の 婦女 を 見 んとていでゆきしが
2 その 國 の 君主 なるヒビ 人 ハモルの 子 シケムこれを 見 て 之 をひきいれこれと 寢 てこれを 辱 しむ
3 而 してその 心 ふかくヤコブの 女 デナを 戀 ひて 彼 此 女 を 愛 しこの 女 の 心 をいひなだむ
4 斯 てシケムその 父 ハモルに 語 り 此 少 き 女 をわが 妻 に 獲 よといへり
5 ヤコブ 彼 がその 女子 デナを 汚 したることを 聞 しかどもその 子等 家畜 を 牧 て 野 にをりしによりて 其 かへるまでヤコブ 默 しゐたり
6 シケムの 父 ハモル、ヤコブの 許 にいできたりて 之 と 語 らふ
7 茲 にヤコブの 子等 野 より 來 りしが 之 を 聞 しかば 其 人々 憂 へかつ 甚 く 怒 れり 是 はシケムがヤコブの 女 と 寢 てイスラエルに 愚 なる 事 をなしたるに 因 り 是 のごとき 事 はなすべからざる 者 なればなり
8 ハモル 彼等 に 語 りていひけるはわが 子 シケム 心 になんぢの 女 を 戀 ふねがはくは 彼 をシケムにあたへて 妻 となさしめよ
9 汝 ら 我 らと 婚姻 をなし 汝 らの 女 を 我 らにあたへ 我 らの 女 汝 らに 娶 れ
10 かくして 汝等 われらとともに 居 るべし 地 は 汝等 の 前 にあり 此 に 住 て 貿易 をなし 此 にて 產業 を 獲 よ
11 シケム 又 デナの 父 と 兄弟 等 にいひけるは 我 をして 汝等 の 目 のまへに 恩 を 獲 せしめよ 汝 らが 我 にいふところの 者 は 我 あたへん
12 いかに 大 なる 聘物 と 禮物 を 要 るも 汝 らがわれに 言 ふごとくあたへん 唯 この 女 を 我 にあたへて 妻 となさしめよ
13 ヤコブの 子等 シケムとその 父 ハモルに 詭 りて 答 へたり 即 ちシケムがその 妹 デナを 汚 したるによりて
14 彼等 これに 語 りていひけるは 我等 この 事 を 爲 あたはず 割禮 をうけざる 者 にわれらの 妹 をあたふるあたはず 是 われらの 恥辱 なればなり
15 然 ど 斯 せば 我等 汝 らに 允 さん 若 し 汝 らの 中 の 男子 みな 割禮 をうけてわれらの 如 くならば
16 我等 の 女子 を 汝等 にあたへ 汝 らの 女子 をわれらに 娶 り 汝 らと 偕 にをりて 一 の 民 とならん
17 汝等 もし 我等 に 聽 ずして 割禮 をうけずば 我等 女子 をとりて 去 べしと
18 彼等 の 言 ハモルとハモルの 子 シケムの 心 にかなへり
19 此 若 き 人 ヤコブの 女 を 愛 するによりて 其 事 をなすを 遲 せざりき 彼 はその 父 の 家 の 中 にて 最 貴 れたる 者 なり
20 ハモルとその 子 シケム 乃 ちその 邑 の 門 にいたり 邑 の 人々 に 語 りていひけるは
21 是 人々 は 我等 と 睦 し 彼等 をして 此地 に 住 て 此 に 貿易 をなさしめよ 地 は 廣 くして 彼 らを 容 るにたるなり 我 ら 彼 らの 女 を 妻 にめとり 我 らの 女 をかれらに 與 へん
22 若 唯 われらの 中 の 男子 みな 彼 らが 割禮 をうくるごとく 割禮 を 受 なば 此 人々 われらに 聽 て 我等 と 偕 にをり 一 の 民 となるべし
23 然 ばかれらの 家畜 と 財產 と 其 諸 の 畜 は 我等 が 所有 となるにあらずや 只 かれらに 聽 んしからば 彼 らわれらとともにをるべしと
24 邑 の 門 に 出 入 する 者 みなハモルとその 子 シケムに 聽 したがひ 邑 の 門 に 出 入 する 男子 皆 割禮 を 受 たり
25 斯 て 三日 におよび 彼等 その 痛 をおぼゆる 時 ヤコブの 子 二人 即 ちデナの 兄弟 なるシメオンとレビ 各 劍 をとり 往 て 思 よらざる 時 に 邑 を 襲 ひ 男子 を 悉 く 殺 し
26 利刄 をもてハモルとその 子 シケムをころしシケムの 家 よりデナを 携 へいでたり
27 而 してヤコブの 子等 ゆきて 其 殺 されし 者 を 剥 ぎ 其 邑 をかすめたり 是 彼等 がその 妹 を 汚 したるによりてなり
28 またその 羊 と 牛 と 驢馬 およびその 邑 にある 者 と 野 にある 者
29 並 にその 諸 の 貨財 を 奪 ひその 子女 と 妻 等 を 悉 く 擄 にし 家 の 中 なる 物 を 悉 く 掠 めたり
30 ヤコブ、シメオンとレビに 言 けるは 汝等 我 を 累 はし 我 をして 此 國 の 人 即 ちカナン 人 とベリジ 人 の 中 に 避嫌 れしむ 我 は 數 すくなければ 彼 ら 集 りて 我 をせめ 我 をころさん 然 ば 我 とわが 家 滅 さるべし
31 彼 らいふ 彼 豈 われらの 妹 を 娼妓 のごとくしてよからんや
Chapter 35
1 茲 に 神 ヤコブに 言 たまひけるは 起 てベテルにのぼりて 彼處 に 居 り 汝 が 昔 に 兄 エサウの 面 をさけて 逃 る 時 に 汝 にあらはれし 神 に 彼處 にて 壇 をきづけと
2 ヤコブ 乃 ちその 家人 および 凡 て 己 とともなる 者 にいふ 汝等 の 中 にある 異神 を 棄 て 身 を 清 めて 衣服 を 易 よ
3 我等 起 てベテルにのぼらん 彼處 にて 我 わが 苦患 の 日 に 我 に 應 へわが 往 ところの 途 にて 我 とともに 在 せし 神 に 壇 をきづくべし
4 是 に 於 て 彼等 その 手 にある 異神 およびその 耳 にある 耳 環 を 盡 くヤコブに 與 へしかばヤコブこれをシケムの 邊 なる 橡樹 の 下 に 埋 たり
5 斯 て 彼等 いでたちしが 神 其 四周 の 邑々 をして 懼 れしめたまひければヤコブの 子 の 後 を 追 ふ 者 なかりき
6 ヤコブ 及 び 之 と 共 なる 諸 の 人 遂 にカナンの 地 にあるルズに 至 る 是 即 ちベテルなり
7 彼 かしこに 壇 をきづき 其處 をエルベテルと 名 けたり 是 は 兄 の 面 をさけて 逃 る 時 に 神 此 にて 己 にあらはれ 給 しによりてなり
8 時 にリベカの 乳媼 デボラ 死 たれば 之 をベテルの 下 にて 橡樹 の 下 に 葬 れり 是 によりてその 樹 の 名 をアロンバクテ(哀哭 の 橡)といふ
9 ヤコブ、パダンアラムより 歸 りし 時 神 復 これにあらはれて 之 を 祝 したまふ
10 神 かれに 言 たまはく 汝 の 名 はヤコブといふ 汝 の 名 は 重 てヤコブとよぶべからずイスラエルを 汝 の 名 となすべしとその 名 をイスラエルと 稱 たまふ
11 神 また 彼 にいひたまふ 我 は 全 能 の 神 なり 生 よ 殖 よ 國民 および 多 の 國民 汝 よりいで 又 王等 なんぢの 腰 よりいでん
12 わがアブラハムおよびイサクに 與 し 地 は 我 これを 汝 にあたへん 我 なんぢの 後 の 子孫 にその 地 をあたふべしと
13 神 かれと 言 たまひし 處 より 彼 をはなれて 昇 りたまふ
14 是 に 於 てヤコブ 神 の 己 と 言 いひたまひし 處 に 柱 すなはち 石 の 柱 を 立 て 其 上 に 酒 を 灌 ぎまた 其 上 に 膏 を 沃 げり
15 而 してヤコブ 神 の 己 にものいひたまひし 處 の 名 をベテルとなづけたり
16 かくてヤコブ 等 ベテルよりいでたちしがエフラタに 至 るまでは 尚 路 の 隔 ある 處 にてラケル 產 にのぞみその 產 おもかりき
17 彼 難 產 にのぞめる 時 產婆 之 にいひけるは 懼 るなかれ 汝 また 此 男 の 子 を 得 たり
18 彼 死 にのぞみてその 魂 さらんとする 時 その 子 の 名 をベノニ(吾 苦痛 の 子)と 呼 たり 然 ど 其 父 これをベニヤミン(右手 の 子)となづけたり
19 ラケル 死 てエフラタの 途 に 葬 らる 是 即 ちベテレヘムなり
20 ヤコブその 墓 に 柱 を 立 たり 是 はラケルの 墓 の 柱 といひて 今日 まで 在 り
21 イスラエル 復 いでたちてエダルの 塔 の 外 にその 天 幕 を 張 り
22 イスラエルかの 地 に 住 る 時 にルベン 往 て 父 の 妾 ビルハと 寢 たりイスラエルこれを 聞 く 夫 ヤコブの 子 は十二 人 なり
23 即 ちレアの 子 はヤコブの 長子 ルベンおよびシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルンなり
24 ラケルの 子 はヨセフとベニヤミンなり
25 ラケルの 仕女 ビルハの 子 はダンとナフタリなり
26 レアの 仕女 ジルパの 子 はガドとアセルなり 是等 はヤコブの 子 にしてパダンアラムにて 彼 に 生 れたる 者 なり
27 ヤコブ、キリアテアルバのマムレにゆきてその 父 イサクに 至 れり 是 すなはちヘブロンなり 彼處 はアブラハムとイサクの 寄寓 しところなり
28 イサクの 齡 は百八十 歳 なりき
29 イサク 老 て 年 滿 ち 氣息 たえ 死 にて 其 民 にくははれりその 子 エサウとヤコブ 之 をはうむる
Chapter 36
1 エサウの 傳 はかくのごとしエサウはすなはちエドムなり
2 エサウ、カナンの 女 の 中 より 妻 をめとれり 即 ちヘテ 人 エロンの 女 アダおよびヒビ 人 ヂベオンの 女 なるアナの 女 アホリバマ 是 なり
3 又 イシマエルの 女 ネバヨテの 妹 バスマテをめとれり
4 アダはエリパズをエサウに 生 みバスマテはリウエルを 生 み
5 アホリバマはヱウシ、ヤラムおよびコラを 生 り 是等 はエサウの 子 にしてカナンの 地 に 於 て 彼 に 生 れたる 者 なり
6 エサウその 妻 と 子 女 およびその 家 の 諸 の 人 並 に 家畜 と 諸 の 畜類 およびそのカナンの 地 にて 獲 たる 諸 の 物 を 挈 へて 弟 ヤコブをはなれて 他 の 地 にゆけり
7 其 は 二人 の 富有 多 くして 倶 にをるあたはざればなり 彼 らが 寄寓 しところの 地 はかれらの 家畜 のためにかれらを 容 るをえざりき
8 是 に 於 てエサウ、セイル 山 に 住 りエサウはすなはちエドムなり
9 セイル 山 にをりしエドミ 人 の 先祖 エサウの 傳 はかくのごとし
10 エサウの 子 の 名 は 左 のごとしエサウの 妻 アダの 子 はエリパズ、エサウの 妻 バスマテの 子 はリウエル
11 エリパズの 子 はテマン、オマル、ゼポ、ガタムおよびケナズなり
12 テムナはエサウの 子 エリパズの 妾 にしてアマレクをエリパズに 生 り 是等 はエサウの 妻 アダの 子 なり
13 リウエルの 子 は 左 の 如 しナハテ、ゼラ、シヤンマおよびミザ 是等 はエサウの 妻 バスマテの 子 なり
14 ヂベオンの 女 なるアナの 女 にしてエサウの 妻 なるアホリバマの 子 は 左 のごとし 彼 ヱウシ、ヤラムおよびコラをエサウに 生 り
15 エサウの 子孫 の 侯 たる 者 は 左 のごとしエサウの 冢子 エリパスの 子 にはテマン 侯 オマル 侯 ゼボ 侯 ケナズ 侯
16 コラ 侯 ガタム 侯 アマレク 侯 是等 はエリパズよりいでたる 侯 にしてエドムの 地 にありき 是等 はアダの 子 なり
17 エサウの 子 リウエルの 子 は 左 のごとしナハテ 侯 ゼラ 侯 シヤンマ 侯 ミザ 侯 是等 はリウエルよりいでたる 侯 にしてエドムの 地 にありき 是等 はエサウの 妻 バスマテの 子 なり
18 エサウの 妻 アホリバマの 子 は 左 のごとしヱウシ 侯 ヤラム 侯 コラ 侯 是等 はアナの 女 にしてエサウの 妻 なるアホリバマよりいでたる 侯 なり
19 是等 はエサウすなはちエドムの 子孫 にしてその 侯 たる 者 なり
20 素 より 此地 に 住 しホリ 人 セイルの 子 は 左 のごとしロタン、シヨバル 、ヂベオン、アナ
21 デシヨン、エゼル、デシヤン 是等 はセイルの 子 ホリ 人 の 中 の 侯 にしてエドムの 地 にあり
22 ロタンの 子 はホリ、ヘマムなりロタンの 妹 はテムナ
23 シヨバルの 子 は 左 のごとしアルワン、マナハテ、エバル、シボ、オナム
24 ヂベオンの 子 は 左 のごとし 即 ちアヤとアナ 此 アナその 父 ヂベオンの 驢馬 を 牧 をりし 時 曠野 にて 温泉 を 發見 り
25 アナの 子 は 左 のごとしデシヨンおよびアホリバマ、アホリバマはアナの 女 なり
26 デシヨンの 子 は 左 のごとしヘムダン、エシバン、イテラン、ケラン
27 エゼルの 子 は 左 のごとしビルハン、ザワン、ヤカン
28 デシヤンの 子 は 左 のごとしウヅ、アラン
29 ホリ 人 の 侯 たる 者 は 左 のごとしロタン 侯 シヨバル 侯 ヂベオン 侯 アナ 侯
30 デシヨン 侯 エゼル 侯 デシヤン 侯 是等 はホリ 人 の 侯 にしてその 所領 にしたがひてセイルの 地 にあり
31 イスラエルの 子孫 を 治 むる 王 いまだあらざる 前 にエドムの 地 を 治 めたる 王 は 左 のごとし
32 ベオルの 子 ベラ、エドムに 王 たりその 都 の 名 はデナバといふ
33 ベラ 薨 てボヅラのゼラの 子 ヨバブ 之 にかはりて 王 となる
34 ヨバブ 薨 てテマン 人 の 地 のホシヤムこれにかはりて 王 となる
35 ホシヤム 薨 てベダデの 子 ハダデの 子 ハダこれに 代 て 王 となる 彼 モアブの 野 にてミデアン 人 を 撃 しことあり 其 邑 の 名 はアビテといふ
36 ハダデ 薨 てマスレカのサムラこれにかはりて 王 となる
37 サラム 薨 て 河 の 旁 なるレホボテのサウル 之 にかはりて 王 となる
38 サウル 薨 てアクボルの 子 バアルハナンこれに 代 りて 王 となる
39 アクボルの 子 バアルハナン 薨 てハダル 之 にかはりて 王 となる 其 都 の 名 はパウといふその 妻 の 名 はメヘタベルといひてマテレデの 女 なりマテレデはメザハブの 女 なり
40 エサウよりいでたる 侯 の 名 はその 宗族 と 居處 と 名 に 循 ひていへば 左 のごとしテムナ 侯 アルワ 侯 エテテ 侯
41 アホリバマ 侯 エラ 侯 ピノン 侯
42 ケナズ 侯 テマン 侯 ミブザル 侯
43 マグデエル 侯 イラム 侯 是等 はエドムの 侯 にして 其 領地 の 居處 によりて 言 る 者 なりエドミ 人 の 先祖 はエサウ 是 なり
Chapter 37
1 ヤコブはカナンの 地 に 住 り 即 ちその 父 が 寄寓 し 地 なり
2 ヤコブの 傳 は 左 のごとしヨセフ十七 歳 にしてその 兄弟 と 偕 に 羊 を 牧 ふヨセフは 童子 にしてその 父 の 妻 ビルハの 子 およびジルパの 子 と 侶 たりしが 彼等 の 惡 き 事 を 父 につぐ
3 ヨセフは 老年子 なるが 故 にイスラエルその 諸 の 兄弟 よりも 深 くこれを 愛 しこれがために 綵 る 衣 を 製 れり
4 その 兄弟 等 父 がその 諸 の 兄弟 よりも 深 く 彼 を 愛 するを 見 て 彼 を 惡 み 穩和 に 彼 にものいふことを 得 せざりき
5 茲 にヨセフ 夢 をみてその 兄弟 に 告 ければ 彼等 愈 これを 惡 めり
6 ヨセフ 彼等 にいひけるは 請 ふわが 夢 たる 此 夢 を 聽 け
7 我等 田 の 中 に 禾束 をむすび 居 たるにわが 禾束 おき 且 立 り 而 して 汝等 の 禾束 環 りたちてわが 禾束 を 拜 せり
8 その 兄弟 等 之 にいひけるは 汝 眞 にわれらの 君 となるや 眞 に 我等 ををさむるにいたるやとその 夢 とその 言 のために 益 これを 惡 めり
9 ヨセフ 又 一 の 夢 をみて 之 をその 兄弟 に 述 ていひけるは 我 また 夢 をみたるに 日 と 月 と十一の 星 われを 拜 せりと
10 則 ちこれをその 父 と 兄弟 に 述 ければ 父 かれを 戒 めて 彼 にいふ 汝 が 夢 しこの 夢 は 何 ぞや 我 と 汝 の 母 となんぢの 兄弟 と 實 にゆきて 地 に 鞠 て 汝 を 拜 するにいたらんやと
11 斯 しかばその 兄弟 かれを 嫉 めり 然 どその 父 はこの 言 をおぼえたり
12 茲 にその 兄弟 等 シケムにゆきて 父 の 羊 を 牧 ゐたりしかば
13 イスラエル、ヨセフにいひけるは 汝 の 兄弟 はシケムにて 羊 を 牧 をるにあらずや 來 れ 汝 を 彼等 につかはさんヨセフ 父 にいふ 我 ここにあり
14 父 かれにいひけるは 請 ふ 往 て 汝 の 兄弟 と 群 の 恙 なきや 否 を 見 てかへりて 我 につげよと 彼 をヘブロンの 谷 より 遣 はしければ 遂 にシケムに 至 る。
15 或 人 かれに 遇 ふに 彼 野 にさまよひをりしかば 其人 かれに 問 て 汝 何 をたづぬるやといひければ
16 彼 いふ 我 はわが 兄弟 等 をたづぬ 請 ふかれらが 羊 をかひをる 所 をわれに 告 よ
17 その 人 いひけるは 彼等 は 此 をされり 我 かれらがドタンにゆかんといふを 聞 たりと 是 に 於 てヨセフその 兄弟 の 後 をおひゆきドタンにて 之 に 遇 ふ
18 ヨセフの 彼等 に 近 かざる 前 に 彼 ら 之 を 遙 に 見 てこれを 殺 さんと 謀 り
19 互 にいひけるは 視 よ 作夢者 きたる
20 去來 彼 をころして 阱 に 投 いれ 或 惡 き 獸 これを 食 たりと 言 ん 而 して 彼 の 夢 の 如何 になるかを 觀 るべし
21 ルベン 聞 てヨセフを 彼等 の 手 より 拯 ひださんとして 言 けるは 我等 これを 殺 すべからず
22 ルベンまた 彼 らにいひけるは 血 をながすなかれ 之 を 曠野 の 此 阱 に 投 いれて 手 をこれにつくるなかれと 是 は 之 を 彼等 の 手 よりすくひだして 父 に 歸 んとてなりき
23 茲 にヨセフ 兄弟 の 許 に 到 りければ 彼等 ヨセフの 衣 即 ちその 着 たる 綵 る 衣 を 褫 ぎ
24 彼 を 執 て 阱 に 投 いれたり 阱 は 空 にしてその 中 に 水 あらざりき
25 斯 して 彼等 坐 てパンを 食 ひ 目 をあげて 見 しに 一群 のイシマエル 人 駱駝 に 香物 と 乳香 と 沒藥 をおはせてエジプトにくだりゆかんとてギレアデより 來 る
26 ユダその 兄弟 にいひけるは 我儕 弟 をころしてその 血 を 匿 すも 何 の 益 かあらん
27 去來 彼 をイシマエル 人 に 賣 ん 彼 は 我等 の 兄弟 われらの 肉 なればわれらの 手 をかれにつくべからずと 兄弟 等 これを 善 とす
28 時 にミデアンの 商旅 經過 ければヨセフを 阱 よりひきあげ 銀 二十 枚 にてヨセフをイシマエル 人 に 賣 り 彼等 すなはちヨセフをエジプトにたづさへゆきぬ
29 茲 にルベンかへりて 阱 にいたり 見 しにヨセフ 阱 にをらざりしかばその 衣 を 裂 き
30 兄弟 の 許 にかへりて 言 ふ 童子 はをらず 嗚呼 我 何處 にゆくべきや
31 斯 て 彼等 ヨセフの 衣 をとり 牡山羊 の 羔 をころしてその 衣 を 血 に 濡 し
32 その 綵 る 衣 を 父 におくり 遣 していひけるは 我等 これを 得 たりなんぢの 子 の 衣 なるや 否 を 知 れと
33 父 これを 知 りていふわが 子 の 衣 なり 惡 き 獸 彼 をくらへりヨセフはかならずさかれしならんと
34 ヤコブその 衣 を 裂 き 麻布 を 腰 にまとひ 久 くその 子 のためになげけり
35 その 子 女 みな 起 てかれを 慰 むれどもその 慰謝 をうけずして 我 は 哀 きつつ 陰府 にくだりて 我 子 のもとにゆかんといふ 斯 その 父 かれのために 哭 ぬ
36 偖 ミデアン 人 はエジプトにてパロの 侍衞 の 長 ポテパルにヨセフを 賣 り
Chapter 38
1 當時 ユダ 兄弟 をはなれて 下 りアドラム 人 名 はヒラといふ 者 の 近邊 に 天 幕 をはりしが
2 ユダかしこにてカナン 人 名 はシュアといふ 者 の 女子 を 見 これを 娶 りてその 所 にいる
3 彼 はらみて 男子 を 生 みければユダその 名 をエルとなづく
4 彼 ふたたび 孕 みて 男子 を 生 みその 名 をオナンとなづけ
5 またかさねて 孕 みて 男子 を 生 みてその 名 をシラとなづく 此 子 をうみける 時 ユダはクジブにありき
6 ユダその 長子 エルのために 妻 をむかふその 名 をタマルといふ
7 ユダの 長子 エル、ヱホバの 前 に 惡 をなしたればヱホバこれを 死 しめたまふ
8 茲 にユダ、オナンにいひけるは 汝 の 兄 の 妻 の 所 にいりて 之 をめとり 汝 の 兄 をして 子 をえせしめよ
9 オナンその 子 の 己 のものとならざるを 知 たれば 兄 の 妻 の 所 にいりし 時 兄 に 子 をえせしめざらんために 地 に 洩 したり
10 斯 なせし 事 ヱホバの 目 に 惡 かりければヱホバ 彼 をも 死 しめたまふ
11 ユダその 媳 タマルにいひけるは 嫠婦 となりて 汝 の 父 の 家 にをりわが 子 シラの 人 となるを 待 てと 恐 らくはシラも 亦 その 兄弟 のごとく 死 るならんとおもひたればなりタマルすなはち 往 てその 父 の 家 にをる
12 日 かさなりて 後 シュアの 女 ユダの 妻 死 たりユダ 慰 をいれてその 友 アドラム 人 ヒラとともにテムナにのぼりその 羊毛 を 剪 る 者 の 所 にいたる
13 茲 にタマルにつげて 視 よなんぢの 舅 はその 羊 の 毛 を 剪 んとてテムナにのぼるといふ 者 ありしかば
14 彼 その 嫠 の 服 を 脱 すて 被衣 をもて 身 をおほひつつみテムナの 途 の 側 にあるエナイムの 入 口 に 坐 す 其 はシラ 人 となりたれども 己 これが 妻 にせられざるを 見 たればなり
15 彼 その 面 を 蔽 ひゐたりしかばユダこれを 見 て 娼妓 ならんとおもひ
16 途 の 側 にて 彼 に 就 き 請 ふ 來 りて 我 をして 汝 の 所 にいらしめよといふ 其 はその 子 の 妻 なるをしらざればなり 彼 いひけるは 汝 何 を 我 にあたへてわが 所 にいらんとするや
17 ユダいひけるは 我 群 より 山羊 の 羔 をおくらん 彼 いふ 汝 其 をおくるまで 質 をあたへんか
18 ユダ 何 の 質 をなんぢに 與 ふべきやといふに 彼 汝 の 印 と 綬 と 汝 の 手 の 杖 をといひければ 即 ちこれを 與 へて 彼 の 所 にいりぬ 彼 ユダに 由 て 姙 めり
19 彼 起 て 去 りその 被衣 をぬぎすて 嫠婦 の 服 をまとふ
20 かくてユダ 婦 の 手 より 質 をとらんとてその 友 アドラム 人 の 手 に 托 して 山羊 の 羔 をおくりけるが 彼 婦 を 見 ざれば
21 その 處 の 人 に 問 て 途 の 側 なるエナイムの 娼妓 は 何處 にをるやといふに 此 には 娼妓 なしといひければ
22 ユダの 許 にかへりていふ 我 彼 を 見 いださず 亦 その 處 の 人 此 には 娼妓 なしといへりと
23 ユダいひけるは 彼 にとらせおけ 恐 くはわれら 笑抦 とならん 我 この 山羊 の 羔 をおくりたるに 汝 かれを 見 ざるなりと
24 三月 ばかりありて 後 ユダに 告 る 者 ありていふ 汝 の 媳 タマル 姦淫 をなせり 亦 その 姦淫 によりて 妊 めりユダいひけるは 彼 を 曵 いだして 焚 べし
25 彼 ひきいだされし 時 その 舅 にいひつかはしけるは 是 をもてる 人 によりて 我 は 妊 りと 彼 すなはち 請 ふこの 印 と 綬 と 杖 は 誰 の 所屬 なるかを 辨別 よといふ
26 ユダこれを 見識 ていひけるは 彼 は 我 よりも 正 しわれ 彼 をわが 子 わがシラにあたへざりしによりてなりと 再 びこれを 知 らざりき
27 かくて 產 の 時 にいたりて 見 るにその 胎 に 孿 あり
28 その 產 時 手 出 しかば 產婆 是 首 にいづといひて 絳 き 線 をとりてその 手 にしばりしが
29 手 を 引 こむるにあたりて 兄弟 いでたれば 汝 なんぞ 圻 いづるやその 圻 汝 に 歸 せんといへり 故 にその 名 はペレヅ(圻)と 稱 る
30 その 兄弟 手 に 絳線 のある 者 後 にいづその 名 はゼラとよばる
Chapter 39
1 ヨセフ 挈 へられてエジプトにくだりしがエジプト 人 ポテパル、パロの 臣 侍衞 の 長 なる 者 彼 を 其處 にたづさへくだれるイシマエル 人 の 手 よりこれを 買 ふ
2 ヱホバ、ヨセフとともに 在 す 彼 享通者 となりてその 主人 なるエジプト 人 の 家 にをる
3 その 主人 ヱホバの 彼 とともにいますを 見 またヱホバがかれの 手 の 凡 てなすところを 享通 しめたまふを 見 たり
4 是 によりてヨセフ 彼 の 心 にかなひて 其 近侍 となる 彼 ヨセフにその 家 を 宰 どらしめその 所有 を 盡 くその 手 に 委 たり
5 彼 ヨセフにその 家 とその 有 る 凡 の 物 をつかさどらせし 時 よりしてヱホバ、ヨセフのために 其 エジプト 人 の 家 を 祝 みたまふ 即 ちヱホバの 祝福 かれが 家 と 田 に 有 る 凡 の 物 におよぶ
6 彼 その 有 る 物 をことごとくヨセフの 手 にゆだねその 食 ふパンの 外 は 何 もかへりみざりき 夫 ヨセフは 容貌 麗 しくして 顏 美 しかりき
7 これらの 事 の 後 その 主人 の 妻 ヨセフに 目 をつけて 我 と 寢 よといふ
8 ヨセフ 拒 みて 主人 の 妻 にいひけるは 視 よわが 主人 の 家 の 中 の 物 をかへりみずその 有 るものことごとくわが 手 に 委 ぬ
9 この 家 には 我 より 大 なるものなし 又 主人 何 をも 我 に 禁 ぜず 只 汝 を 除 くのみ 汝 はその 妻 なればなり 然 ば 我 いかで 此 おほいなる 惡 をなして 神 に 罪 ををかすをえんや
10 彼 日々 にヨセフに 言 よりたれどもヨセフきかずして 之 といねず 亦 與 にをらざりき
11 當時 ヨセフその 職 をなさんとて 家 にいりしが 家 の 人 一箇 もその 内 にをらざりき
12 時 に 彼 婦 その 衣 を 執 て 我 といねよといひければヨセフ 衣 を 彼 の 手 に 棄 おきて 外 に 遁 いでたり
13 彼 ヨセフがその 衣 を 己 の 手 に 棄 おきて 遁 いでしを 見 て
14 その 家 の 人々 を 呼 てこれにいふ 視 よヘブル 人 を 我等 の 所 につれ 來 て 我等 にたはむれしむ 彼 我 といねんとて 我 の 所 にいり 來 しかば 我 大 聲 によばはれり
15 彼 わが 聲 をあげて 呼 はるを 聞 しかばその 衣 をわが 許 にすておきて 外 に 遁 いでたりと
16 其 衣 を 傍 に 置 て 主人 の 家 に 歸 るを 待 つ
17 かくて 彼 是 言 のごとく 主人 につげていふ 汝 が 我 らに 携 へきたりしヘブルの 僕 われにたはむれんとて 我 許 にいりきたりしが
18 我 聲 をあげてよばはりしかばその 衣 を 我 許 にすておきて 遁 いでたり
19 主人 その 妻 が 己 につげて 汝 の 僕 斯 のごとく 我 になせりといふ 言 を 聞 て 怒 を 發 せり
20 是 に 於 てヨセフの 主人 彼 を 執 へて 獄 にいる 其 獄 は 王 の 囚徒 を 繋 ぐ 所 なりヨセフ 彼處 にて 獄 にをりしが
21 ヱホバ、ヨセフとともに 在 して 之 に 仁慈 を 加 へ 典獄 の 恩顧 をこれにえさせたまひければ
22 典獄 獄 にある 囚人 をことごとくヨセフの 手 に 付 せたり 其處 になす 所 の 事 は 皆 ヨセフこれをなすなり
23 典獄 そのまかせたる 所 の 事 は 何 をもかへりみざりき 其 はヱホバ、ヨセフとともにいませばなりヱホバかれのなすところをさかえしめたまふ
Chapter 40
1 これらの 事 の 後 エジプト 王 の 酒人 と 膳夫 その 主 エジプト 王 に 罪 ををかす
2 パロその 二人 の 臣 すなはち 酒人 の 長 と 膳夫 の 長 を 怒 りて
3 之 を 侍衞 の 長 の 家 の 中 なる 獄 に 幽囚 ふヨセフが 繋 れをる 所 なり
4 侍衞 の 長 ヨセフをして 彼等 の 側 に 侍 しめたればヨセフ 之 につかふ 彼等 幽囚 れて 日 を 經 たり
5 茲 に 獄 に 繋 れたるエジプト 王 の 酒人 と 膳夫 の 二人 ともに 一夜 の 中 に 各 夢 を 見 たりその 夢 はおのおんおのその 解明 にかなふ
6 ヨセフ 朝 に 及 びて 彼等 の 所 に 入 て 視 るに 彼等 物憂 に 見 ゆ
7 是 に 於 てヨセフその 主人 の 家 に 己 とともに 幽囚 をるパロの 臣 に 問 て 汝等 なにゆゑに 今日 は 顏 色 あやしきやといふに
8 彼等 これにいふ 我等 夢 を 見 たれど 之 を 解 く 者 なしとヨセフ 彼等 にいひけるは 解 く 事 は 神 によるにあらずや 請 ふ 我 に 述 よ
9 酒人 の 長 その 夢 をヨセフに 述 て 之 にいふ 我 夢 の 中 に 見 しにわが 前 に 一 の 葡萄樹 あり
10 その 樹 に 三 の 枝 あり 芽 いで 花 ひらきて 葡萄 なり 球 をなして 熟 たるがごとくなりき
11 時 にパロの 爵 わが 手 にあり 我 葡萄 を 摘 てこれをパロの 爵 に 搾 りその 爵 をパロの 手 に 奉 たり
12 ヨセフ 彼 にいひけるはその 解明 は 是 のごとし 三 の 枝 は 三日 なり
13 今 より 三日 の 中 にパロなんぢの 首 を 擧 げ 汝 を 故 の 所 にかへさん 汝 は 曩 に 酒人 たりし 時 になせし 如 くパロの 爵 をその 手 に 奉 ぐるにいたらん
14 然 ば 請 ふ 汝 善 ならん 時 に 我 をおもひて 我 に 恩惠 をほどこし 吾 事 をパロにのべてこの 家 よりわれを 出 せ
15 我 はまことにヘブル 人 の 地 より 掠 れ 來 しものなればなりまた 此 にても 我 は 牢 にいれらるるがごとき 事 はなさざりしなり
16 茲 に 膳夫 の 長 その 解明 の 善 りしを 見 てヨセフにいふ 我 も 夢 を 得 て 見 たるに 白 きパン 三筐 わが 首 にありて
17 その 上 の 筐 には 膳夫 がパロのために 作 りたる 各種 の 饌 ありしが 鳥 わが 首 の 筐 の 中 より 之 をくらへり
18 ヨセフこたへていひけるはその 解明 はかくのごとし 三 の 筐 は 三日 なり
19 今 より 三日 の 中 にパロ 汝 の 首 を 擧 はなして 汝 を 木 に 懸 んしかして 鳥 汝 の 肉 をくらひとるべしと
20 第三日 はパロの 誕辰 なればパロその 諸 の 臣僕 に 筵席 をなし 酒人 の 長 と 膳夫 の 長 をして 首 をその 臣僕 の 中 に 擧 しむ
21 即 ちパロ 酒人 の 長 をその 職 にかへしければ 彼 爵 をパロの 手 に 奉 たり
22 されど 膳夫 の 長 は 木 に 懸 らるヨセフの 彼等 に 解明 せるがごとし
23 然 るに 酒人 の 長 ヨセフをおぼえずして 之 を 忘 れたり
Chapter 41
1 二 年 の 後 パロ 夢 ることあり 即 ち 河 の 濱 にたちて
2 視 るに 七 の 美 しき 肥 たる 牝 牛 河 よりのぼりて 葦 を 食 ふ
3 その 後 また 七 の 醜 き 痩 たる 牛 河 よりのぼり 河 の 畔 にて 彼 牛 の 側 にたちしが
4 その 醜 き 痩 たる 牛 かの 美 しき 肥 たる 七 の 牛 を 食 ひつくせりパロ 是 にいたりて 寤 む
5 彼 また 寢 て 再 び 夢 るに 一 の 莖 に 七 の 肥 たる 佳 き 穗 いできたる
6 其 のちに 又 しなびて 東風 に 燒 たる 七 の 穗 いできたりしが
7 その 七 のしなびたる 穗 かの 七 の 肥 實 りたる 穗 を 呑盡 せりパロ 寤 て 見 に 夢 なりき
8 パロ 朝 におよびてその 心安 からず 人 をつかはしてエジプトの 法術士 とその 博士 を 皆 ことごとく 召 し 之 にその 夢 を 述 たり 然 ど 之 をパロに 解 うる 者 なかりき
9 時 に 酒人 の 長 パロに 告 ていふ 我 今日 わが 過 をおもひいづ
10 甞 てパロその 僕 を 怒 て 我 と 膳夫 の 長 を 侍衞 の 長 の 家 に 幽囚 へたまひし 時
11 我 と 彼 ともに 一夜 のうちに 夢 み 各 その 解明 にかなふ 夢 をみたりしが
12 彼處 に 侍衞 の 長 の 僕 なる 若 きヘブル 人 我 らと 偕 にあり 我等 これにのべたれば 彼 われらの 夢 を 解 その 夢 にしたがひて 各人 に 解明 をなせり
13 しかして 其 事 かれが 解 たるごとくなりて 我 はわが 職 にかへり 彼 は 木 に 懸 らる
14 是 に 於 てパロ 人 をやりてヨセフを 召 しければ 急 ぎてこれを 獄 より 出 せりヨセフすなはち 髭 を 薙 り 衣 をかへてパロの 許 にいり 來 る
15 パロ、ヨセフにいひけるは 我 夢 をみたれど 之 をとく 者 なし 聞 に 汝 は 夢 をききて 之 を 解 くことをうると 云 ふ
16 ヨセフ、パロにこたへていひけるは 我 によるにあらず 神 パロの 平安 を 告 たまはん
17 パロ、ヨセフにいふ 我 夢 に 河 の 岸 にたちて 見 るに
18 河 より 七 の 肥 たる 美 しき 牝 牛 のぼりて 葦 を 食 ふ
19 後 また 弱 く 甚 だ 醜 き 瘠 たる 七 の 牝 牛 のぼりきたる 其 惡 き 事 エジプト 全國 にわが 未 だ 見 ざるほどなり
20 その 瘠 たる 醜 き 牛 初 の 七 の 肥 たる 牛 を 食 ひつくしたりしが
21 已 に 腹 にいりても 其 腹 にいりし 事 しれず 尚 前 のごとく 醜 かりき 我 是 にいたりて 寤 めたり
22 我 また 夢 に 見 るに 七 の 實 たる 佳 き 穗 一 の 莖 にいできたる
23 その 後 にまたいぢけ 萎 びて 東風 にやけたる 七 の 穗 生 じたりしが
24 そのしなびたる 穗 かの 七 の 佳 穗 を 呑 つくせり 我 これを 法術士 に 告 たれどもわれにこれをしめすものなし
25 ヨセフ、パロにいひけるはパロの 夢 は 一 なり 神 その 爲 んとする 所 をパロに 示 したまへるなり
26 七 の 美 牝 牛 は七 年 七 の 佳 穗 も七 年 にして 夢 は 一 なり
27 其 後 にのぼりし 七 の 瘠 たる 醜 き 牛 は七 年 にしてその 東風 にやけたる 七 の 空穗 は七 年 の 饑饉 なり
28 是 はわがパロに 申 すところなり 神 そのなさんとするところをパロにしめしたまふ
29 エジプトの 全地 に七 年 の 大 なる 豐 年 あるべし
30 その 後 に七 年 の 凶 年 おこらん 而 してエジプトの 地 にありし 豐 作 を 皆 忘 るにいたるべし 饑饉 國 を 滅 さん
31 後 にいたるその 饑饉 はなはだはげしきにより 前 の 豐 作 國 の 中 に 知 れざるにいたらん
32 パロのふたたび 夢 をかさね 見 たまひしは 神 がこの 事 をさだめて 速 に 之 をなさんとしたまふなり
33 さればパロ 慧 く 賢 き 人 をえらみて 之 にエジプトの 國 を 治 めしめたまふべし
34 パロこれをなし 國 中 に 官吏 を 置 てその七 年 の 豐 年 の 中 にエジプトの 國 の 五 分 の 一 を 取 たまふべし
35 而 して 其 官吏 をして 來 らんとするその 善 き 年 の 諸 の 糧 食 を 斂 めてその 穀物 をパロの 手 に 蓄 へしめ 糧 食 を 邑々 にかこはしめたまふべし
36 その 糧 食 を 國 のために 畜藏 へおきてエジプトの 國 にのぞむ七 年 の 饑饉 に 備 へ 國 をして 饑饉 のために 滅 ざらしむべし
37 パロとその 諸 の 臣僕 此事 を 善 とす
38 是 に 於 てパロその 臣僕 にいふ 我等 神 の 靈 のやどれる 是 のごとき 人 を 看 いだすをえんやと
39 しかしてパロ、ヨセフにいひけるは 神 是 を 盡 く 汝 にしめしたまひたれば 汝 のごとく 慧 く 賢 き 者 なかるべし
40 汝 わが 家 を 宰 るべしわが 民 みな 汝 の 口 にしたがはん 唯 位 においてのみ 我 は 汝 より 大 なるべし
41 パロ、ヨセフにいひけるは 視 よ 我 汝 をエジプト 全國 の 冢宰 となすと
42 パロすなはち 指環 をその 手 より 脱 して 之 をヨセフの 手 にはめ 之 を 白 布 を 衣 せ 金 の 索 をその 項 にかけ
43 之 をして 己 のもてる 次 の 輅 に 乗 しめ 下 にゐよと 其 前 に 呼 しむ 是 彼 をエジプト 全國 の 冢宰 となせり
44 パロ、ヨセフにいひけるは 我 はパロなりエジプト 全國 に 汝 の 允准 をえずして 手 足 をあぐる 者 なかるべしと
45 パロ、ヨセフの 名 をザフナテパネアと 名 けまたオンの 祭司 ポテパルの 女 アセナテを 之 にあたへて 妻 となさしむヨセフいでてエジプトの 地 をめぐる
46 ヨセフはエジプトの 王 パロのまへに 立 し 時 三十 歳 なりきヨセフ、パロのまへを 出 て 遍 くエジプトの 地 を 巡 れり
47 七 年 の 豐 年 の 中 に 地 山 なして 物 を 生 ず
48 ヨセフすなはちエジプトの 地 にありしその七 年 の 糧 食 を 斂 めてその 糧 食 を 邑々 に 藏 む 即 ち 邑 の 周圍 の 田圃 の 糧 食 を 其 邑 の 中 に 藏 む
49 ヨセフ 海隅 の 沙 のごとく 甚 だ 多 く 穀物 を 儲 へ 遂 に 數 ふることをやむるに 至 る 其 は 數 かぎり 無 ればなり
50 饑饉 の 歳 のいたらざる 前 にヨセフに 二人 の 子 うまる 是 はオンの 祭司 ポテパルの 女 アセナテの 生 たる 者 なり
51 ヨセフその 冢子 の 名 をマナセ(忘)となづけて 言 ふ 神 我 をしてわが 諸 の 苦難 とわが 父 の 家 の 凡 の 事 をわすれしめたまふと
52 又 次 の 子 の 名 をエフライム(多 く 生 る)となづけていふ 神 われをしてわが 艱難 の 地 にて 多 くの 子 をえせしめたまふと
53 爰 にエジプトの 國 の七 年 の 豐 年 をはり
54 ヨセフの 言 しごとく七 年 の 凶 年 きたりはじむその 饑饉 は 諸 の 國 にあり 然 どエジプト 全國 には 食物 ありき
55 エジプト 全國 饑 し 時 民 さけびてパロに 食物 を 乞 ふパロ、エジプトの 諸 の 人 にいひけるはヨセフに 往 け 彼 が 汝等 にいふところをなせと
56 饑饉 全地 の 面 にありヨセフすなはち 諸 の 倉廩 をひらきてエジプト 人 に 賣 わたせり 饑饉 ますますエジプトの 國 にはげしくなる
57 饑饉 諸 の 國 にはげしくなりしかば 諸國 の 人 エジプトにきたりヨセフにいたりて 穀物 を 買 ふ
Chapter 42
1 ヤコブ、エジプトに 穀物 あるを 見 しかばその 子等 にいひけるは 汝等 なんぞたがひに 面 を 見 あはするや
2 ヤコブまたいふ 我 エジプトに 穀物 ありと 聞 り 彼處 にくだりて 彼處 より 我等 のために 買 きたれ 然 らばわれら 生 るを 得 て 死 をまぬかれんと
3 ヨセフの十 人 の 兄弟 エジプトにて 穀物 をかはんとて 下 りゆけり
4 されどヨセフの 弟 ベニヤミンはヤコブこれをその 兄弟 とともに 遣 さざりきおそらくは 災難 かれの 身 にのぞむことあらんと 思 たればなり
5 イスラエルの 子等 穀物 を 買 んとて 來 る 者 とともに 來 る 其 はカナンの 地 に 饑饉 ありたればなり
6 時 にヨセフは 國 の 總督 にして 國 の 凡 の 人 に 賣 ことをなせりヨセフの 兄弟 等 來 りてその 前 に 地 に 伏 て 拜 す
7 ヨセフその 兄弟 を 見 てこれを 知 たれども 知 ざる 者 のごとくして 荒々 しく 之 にものいふ 即 ち 彼等 に 汝等 は 何處 より 來 れるやといへば 彼等 いふ 糧 食 を 買 んためにカナンの 地 より 來 れりと
8 ヨセフはその 兄弟 をしりたれども 彼等 はヨセフをしらざりき
9 ヨセフその 昔 に 彼等 の 事 を 夢 たる 夢 をを 憶 いだし 彼等 に 言 けるは 汝等 は 間者 にして 此 國 の 隙 を 窺 んとて 來 れるなり
10 彼等 之 にいひけるはわが 主 よ 然 らず 唯 糧 食 をかはんとて 僕 等 は 來 れるなり
11 我等 はみな 一箇 の 人 の 子 にして 篤實 なる 者 なり 僕 等 は 間者 にあらず
12 ヨセフ 彼等 にいひけるは 否 汝等 は 此地 の 隙 を 窺 んとて 來 れるなり
13 彼等 いひけるは 僕 等 は十二 人 の 兄弟 にしてカナンの 地 の 一箇 の 人 の 子 なり 季子 は 今日 父 とともにをる 又 一人 はをらずなりぬ
14 ヨセフかれらにいひけるはわが 汝等 につげて 汝等 は 間者 なりといひしはこの 事 なり
15 汝等 斯 してその 眞實 をあかすべしパロの 生命 をさして 誓 ふ 汝等 の 末弟 ここに 來 るにあらざれば 汝等 は 此 をいづるをえじ
16 汝等 の 一人 をやりて 汝等 の 弟 をつれきたらしめよ 汝等 をば 繋 ぎおきて 汝等 の 言 をためし 汝 らの 中 に 眞實 あるや 否 をみんパロの 生命 をさして 誓 ふ 汝等 はかならず 間者 なりと
17 彼等 を 皆 ともに 三日 のあひだ 幽囚 おけり
18 三日 におよびてヨセフ 彼等 にいひけるは 我 神 を 畏 る 汝等 是 なして 生命 をえよ
19 汝等 もし 篤實 なる 者 ならば 汝 らの 兄弟 の 一人 をしてこの 獄 に 繋 れしめ 汝等 は 穀物 をたづさへゆきてなんぢらの 家々 の 饑 をすくへ
20 但 し 汝 らの 末弟 を 我 につれきたるべしさすればなんぢらの 言 の 眞實 あらはれて 汝等 死 をまぬかるべし 彼等 すなはち 斯 なせり
21 茲 に 彼 らたがひに 言 けるは 我等 は 弟 の 事 によりて 信 に 罪 あり 彼等 は 彼 が 我 らに 只管 にねがひし 時 にその 心 の 苦 を 見 ながら 之 を 聽 ざりき 故 にこの 苦 われらにのぞめるなり
22 ルベンかれらに 對 ていひけるは 我 なんぢらにいひて 童子 に 罪 ををかすなかれといひしにあらずや 然 るに 汝等 きかざりき 是故 に 視 よ 亦 彼 の 血 をながせし 罪 をたださると
23 彼等 はヨセフが 之 を 解 するをしらざりき 其 は 互 に 通辨 をもちひたればなり
24 ヨセフ 彼等 を 離 れゆきて 哭 き 復 かれらにかへりて 之 とかたり 遂 にシメオンを 彼 らの 中 より 取 りその 目 のまへにて 之 を 縛 れり
25 而 してヨセフ 命 じてその 器 に 穀物 をみたしめ 其 人々 の 金 を 嚢 に 返 さしめ 又 途 の 食 を 之 にあたへしむヨセフ 斯 かれらになせり
26 彼等 すなはち 穀物 を 驢馬 におはせて 其處 をさりしが
27 其 一人 旅邸 にて 驢馬 に 糧 を 與 んとて 嚢 をひらき 其 金 を 見 たり 其 は 嚢 の 口 にありければなり
28 彼 その 兄弟 にいひけるは 吾 金 は 返 してあり 視 よ 嚢 の 中 にありと 是 において 彼等 膽 を 消 し 懼 れてたがひに 神 の 我 らになしたまふ 此事 は 何 ぞやといへり
29 かくて 彼等 カナンの 地 にかへりて 父 ヤコブの 所 にいたり 其 身 にありし 事等 を 悉 く 之 につげていひけるは
30 彼 國 の 主 荒々 しく 我等 にものいひ 我 らをもて 國 を 偵 ふ 者 となせり
31 我 ら 彼 にいふ 我等 は 篤實 なる 者 なり 間者 にあらず
32 我 らは十二 人 の 兄弟 にして 同 じ 父 の 子 なり 一人 はをらずなり 季 のは 今日 父 とともにカナンの 地 にありと
33 國 の 主 なるその 人 われらにいひけるは 我 かくして 汝等 の 篤實 なるをしらん 汝等 の 兄弟 の 一人 を 吾 もとにのこし 糧 食 をたづさへゆきて 汝 らの 家々 の 饑 をすくへ
34 しかして 汝 らの 季 の 弟 をわが 許 につれきたれ 然 れば 我 なんぢらが 間者 にあらずして 篤實 なる 者 たるをしらん 我 なんぢらの 兄弟 を 汝等 に 返 し 汝等 をしてこの 國 にて 交易 をなさしむべしと
35 茲 に 彼等 その 嚢 を 傾 たるに 視 よ 各人 の 金包 その 嚢 のなかにあり 彼等 とその 父 金包 を 見 ておそれたり
36 その 父 ヤコブ 彼等 にいひけるは 汝等 は 我 をして 子 を 喪 はしむヨセフはをらずなりシメオンもをらずなりたるにまたベニヤミンを 取 んとす 是 みなわが 身 にかかるなり
37 ルベン 父 に 告 ていふ 我 もし 彼 を 汝 につれかへらずば 吾 ふたりの 子 を 殺 せ 彼 をわが 手 にわたせ 我 之 をなんぢにつれかへらん
38 ヤコブいひけるはわが 子 はなんぢらとともに 下 るべからず 彼 の 兄 は 死 て 彼 ひとり 遺 たればなり 若 なんぢらが 行 ところの 途 にて 災難 かれの 身 におよばば 汝等 はわが 白髮 をして 悲 みて 墓 にくだらしむるにいたらん
Chapter 43
1 饑饉 その 地 にはげしかりき
2 茲 に 彼等 エジプトよりもちきたりし 穀物 を 食 つくせし 時 父 かられらに 再 びゆきて 少許 の 糧 食 を 買 きたれといひければ
3 ユダ 父 にかたりていひけるは 彼人 かたく 我等 をいましめていふ 汝 らの 弟 汝 らとともにあるにあらざれば 汝 らはわが 面 をみるべからずと
4 汝 もし 弟 をわれらとともに 遣 さば 我等 下 て 汝 のために 糧 食 を 買 ふべし
5 されど 汝 もし 彼 をつかはさずば 我等 くだらざるべし 其 はかの 人 われらにむかひ 汝等 の 弟 なんぢらとともにあるにあらざれば 汝 ら 吾 面 をみるべからずといひたればなりと
6 イスラエルいひけるは 汝等 なにゆゑに 汝等 に 尚 弟 のあることを 彼人 につげて 我 を 惡 くなすや
7 彼等 いふ 其人 われらの 模樣 とわれらの 親 族 を 問 ただして 汝 らの 父 は 尚 生存 へをるや 汝等 は 弟 をもつやといひしにより 其 言 の 條々 にしたがひて 彼 につげたるなり 我等 いかでか 彼 が 汝等 の 弟 をつれくだれといふならんとしるをえん
8 ユダ 父 イスラエルにいひけるは 童子 をわれとともに 遣 はせ 我等 たちて 往 ん 然 らば 我儕 と 汝 およびわれらの 子女 生 ることを 得 て 死 をまぬかるべし
9 我 彼 の 身 を 保 はん 汝 わが 手 にかれを 問 へ 我 もし 彼 を 汝 につれかへりて 汝 のまへに 置 ずば 我 永遠 に 罪 をおはん
10 我儕 もし 濡滯 ことなかりしならば 必 ずすでにゆきて 再 びかへりしならん
11 父 イスラエル 彼等 にいひけるは 然 ば 斯 なせ 汝等 國 の 名 物 を 器 にいれ 携 へくだりて 彼人 に 禮物 とせよ 乳香 少許、蜜 少許、香物、沒藥、胡桃 および 巴旦杏
12 又 手 に 一 倍 の 金 を 取 りゆけ 汝等 の 嚢 の 口 に 返 してありし 彼 金 を 再 び 手 にたづさへ 行 べし 恐 くは 差謬 にてありしならん
13 且 また 汝 らの 弟 を 挈 へ 起 てふたたたび 其人 の 所 にゆけ
14 ねがはくは 全 能 の 神 その 人 のまへにて 汝等 を 矜恤 みその 人 をして 汝等 の 他 の 兄弟 とベニヤミンを 放 ちかへさしめたまはんことを 若 われ 子 に 別 るべくあらば 別 れんと
15 是 に 於 てかの 人々 その 禮物 を 執 り 一 倍 の 金 を 手 に 執 りベニヤミンを 携 へて 起 てエジプトにくだりヨセフの 前 に 立 つ
16 ヨセフ、ベニヤミンの 彼 らと 偕 なるを 見 てその 家宰 にいひけるはこの 人々 を 家 に 導 き 畜 を 屠 て 備 へよこの 人々 卓午 に 我 とともに 食 をなすべければなり
17 其人 ヨセフのいひしごとくなし 其人 この 人々 をヨセフの 家 に 導 けり
18 人々 ヨセフの 家 に 導 かれたるによりて 懼 れいひけるは 初 めにわれらの 嚢 にかへりてありし 金 の 事 のために 我等 はひきいれらる 是 われらを 抑留 へて 我等 にせまり 執 へて 奴隸 となし 且 われらの 驢馬 を 取 んとするなりと
19 彼等 すなはちヨセフの 家宰 に 進 みよりて 家 の 入 口 にて 之 にかたりて
20 いひけるは 主 よ 我等 實 に 最初 くだりて 糧 食 を 買 たり
21 しかるに 我等 旅邸 に 至 りて 嚢 を 啓 き 見 るに 各人 の 金 その 嚢 の 口 にありて 其 金 の 量 全 かりし 然 ば 我等 これを 手 にもちかへれり
22 又 糧 食 を 買 ふ 他 の 金 をも 手 にもちくだる 我等 の 金 を 嚢 にいれたる 者 は 誰 なるかわれらは 知 ざるなり
23 彼 いひけるは 汝 ら 安 ぜよ 懼 るなかれ 汝 らの 神 汝 らの 父 の 神 財寶 を 汝等 の 嚢 におきて 汝 らに 賜 ひしなり 汝 らの 金 は 我 にとどけりと 遂 にシメオンを 彼等 の 所 にたづさへいだせり
24 かくて 其人 この 人々 をヨセフの 家 に 導 き 水 をあたへてその 足 を 濯 はしめ 又 その 驢馬 に 飼草 をあたふ
25 彼等 其處 にて 食 をなすなりと 聞 しかば 禮物 を 調 へてヨセフの 日午 に 來 るをまつ
26 茲 にヨセフ 家 にかへりしかば 彼等 その 手 の 禮物 を 家 にもちきたりてヨセフの 許 にいたり 地 に 伏 てこれを 拜 す
27 ヨセフかれらの 安否 をとふていふ 汝等 の 父 汝 らが 初 にかたりしその 老人 は 恙 なきや 尚 いきながらへをるや
28 彼等 こたへてわれらの 父 汝 の 僕 は 恙 なくしてなほ 生 ながらへをるといひ 身 をかがめ 禮 をなす
29 ヨセフ 目 をあげてその 母 の 子 なる 己 の 弟 ベニヤミンを 見 ていひけるは 是 は 汝 らが 初 に 我 にかたりし 汝 らの 若 き 兄弟 なるや 又 いふわが 子 よ 願 はくは 神 汝 をめぐみたまはんことをと
30 ヨセフその 弟 のために 心 焚 るがごとくなりしかば 急 ぎてその 泣 べきところを 尋 ね 室 にいりて 其處 に 泣 り
31 而 して 面 をあらひて 出 で 自 から 抑 へて 食 をそなへよといふ
32 すなはちヨセフはヨセフ 彼等 は 彼等 陪 食 するエジプト 人 はエジプト 人 と 別々 に 之 を 供 ふ 是 はエジプト 人 ヘブル 人 と 共 に 食 することをえざるによる 其 事 エジプト 人 の 穢 はしとするところなればなり
33 かくて 彼等 ヨセフの 前 に 坐 るに 長子 をばその 長 たるにしたがひて 坐 らせ 若 き 者 をばその 幼少 にしたがひてすわらせければその 人々 駭 きあへり
34 ヨセフ 己 のまへより 皿 を 彼等 に 供 ふベニヤミンの 皿 は 他 の 人 のよりも 五 倍 おほかりきかれら 飮 てヨセフとともに 樂 めり
Chapter 44
1 茲 にヨセフその 家宰 に 命 じていふこの 人々 の 嚢 にその 負 うるほど 糧 食 を 充 せ 各人 の 金 をその 嚢 の 口 に 置 れ
2 またわが 杯 すなはち 銀 の 杯 を 彼 の 少 き 者 の 嚢 の 口 に 置 てその 穀物 の 金子 とともにあらしめよと 彼 がヨセフがいひし 言 のごとくなせり
3 かくて 夜 のあくるにおよびてその 人々 と 驢馬 をかへしけるが
4 かれら 城邑 をいでてなほ 程 とほからぬにヨセフ 家宰 にいひけるは 起 てかの 人々 の 後 を 追 ひおひつきし 時 之 にいふべし 汝 らなんぞ 惡 をもて 善 にむくゆるや
5 其 はわが 主 がもちひて 飮 み 又 用 ひて 常 に 卜 ふ 者 にあらずや 汝 らかくなすは 惡 しと
6 是 に 於 て 家宰 かれらにおひつきてこの 言 をかれらにいひければ
7 かれら 之 にいふ 主 なにゆゑに 是 事 をいひたまふや 僕 等 きはめてこの 事 をなさず
8 視 よ 我 らの 嚢 の 口 にありし 金 はカナンの 地 より 汝 の 所 にもちかへれり 然 ば 我等 いかで 汝 の 主 の 家 より 金銀 をぬすまんや
9 僕 等 の 中 誰 の 手 に 見 あたるも 其 者 は 死 べし 我等 またわが 主 の 奴隸 となるべし
10 彼 いひけるはさらば 汝 らの 言 のごとくせん 其 の 見 あたりし 者 はわが 奴隸 となるべし 汝等 は 咎 なしと
11 是 において 彼等 急 ぎて 各 その 嚢 を 地 におろし 各 その 嚢 をひらきしかば
12 彼 すなはち 索 し 長者 よりはじめて 少者 にをはるに 杯 はベニヤミンの 嚢 にありき
13 斯有 しかば 彼等 その 衣 を 裂 きおのおのその 驢馬 に 荷 を 負 せて 邑 にかへる
14 しかしてユダとその 兄弟 等 ヨセフの 家 にいたるにヨセフなほ 其處 にをりしかばその 前 に 地 に 伏 す
15 ヨセフかれらにいひけるは 汝等 がなしたるこの 事 は 何 ぞや 我 のごとき 人 は 善 く 卜 ひうる 者 なるをしらざるや
16 ユダいひけるは 我等 主 に 何 をいはんや 何 をのべんや 如何 にしてわれらの 正直 をあらはさんや 神 僕 等 の 罪 を 摘發 したまへり 然 ば 我等 およびこの 杯 の 見 あたりし 者 倶 に 主 の 奴隸 となるべし
17 ヨセフいひけるはきはめて 然 せじ 杯 の 手 に 見 あたりし 人 はわが 奴隸 となるべし 汝等 は 安然 に 父 にかへりのぼるべし
18 時 にユダかれに 近 よりていひけるはわが 主 よ 請 ふ 僕 をして 主 の 耳 に 一言 いふをえせしめよ 僕 にむかひて 怒 を 發 したまふなかれ 汝 はパロのごとくにいますなり
19 昔 にわが 主 僕 等 に 問 て 汝等 は 父 あるや 弟 あるやといひたまひしかば
20 我等 主 にいへり 我等 にわが 父 あり 老人 なり 又 その 老年子 なる 少者 ありその 兄 は 死 てその 母 の 遺 せるは 只 是 のみ 故 に 父 これを 愛 すと
21 汝 また 僕 等 にいひたまはく 彼 を 我 許 につれくだり 我 をして 之 に 目 をつくることをえせしめよと
22 われら 主 にいへり 童子 父 を 離 るをえず 若 父 をはなるるならば 父 死 べしと
23 汝 また 僕 等 にいひたまはく 汝 らの 季 の 弟 汝等 とともに 下 るにあらざれば 汝等 ふたたたびわが 面 を 見 るべからずと
24 我等 すなはちなんぢの 僕 わが 父 の 所 にかへりのぼりて 主 の 言 をこれに 告 たり
25 我 らの 父 再 びゆきて 少許 の 糧 食 を 買 きたれといひければ
26 我 らいふ 我 らくだりゆくことをえずわれらの 季 の 弟 われらと 共 にあらば 下 りゆくべし 其 は 季 の 弟 われらと 共 にあるにあらざれば 彼人 の 面 をみるをえざればなりと
27 なんぢの 僕 わが 父 われらにいふ 汝 らのしるごとく 吾 妻 われに 二人 を 生 しが
28 その 一人 出 てわれをはなれたれば 必 ず 裂 ころされしならんと 思 へり 我 今 にいたるまで 彼 を 見 ず
29 なんぢら 是 をも 我 側 より 取 ゆかんに 若 災害 是 の 身 におよぶあらば 遂 にわが 白髮 をして 悲 みて 墓 にくだらしむるにいたらんと
30 抑 父 の 生命 と 童子 の 生命 とは 相 結 びてあれば 我 なんぢの 僕 わが 父 に 歸 りいたらん 時 に 童子 もしわれらと 共 に 在 ずば 如何 ぞや
31 父 童子 の 在 ざるを 見 ば 死 るにいたらん 然 れば 僕 等 なんぢの 僕 われらの 父 の 白髮 をして 悲 みて 墓 にくだらしむるなり
32 僕 わが 父 に 童子 の 事 を 保 ひて 我 もし 是 を 汝 につれかへらずば 永久 に 罪 を 父 に 負 んといへり
33 されば 請 ふ 僕 をして 童子 にかはりをりて 主 の 奴隸 とならしめ 童子 をしてその 兄弟 とともに 歸 りのぼらしめたまへ
34 我 いかでか 童子 を 伴 はずして 父 の 許 に 上 りゆくべけん 恐 くは 災害 の 父 におよぶを 見 ん
Chapter 45
1 茲 にヨセフその 側 にたてる 人々 のまへに 自 ら 禁 ぶあたはざるに 至 りければ 人 皆 われを 離 ていでよと 呼 はれり 是 をもてヨセフが 己 を 兄弟 にあかしたる 時 一人 も 之 とともにたつものなかりき
2 ヨセフ 聲 をあげて 泣 りエジプト 人 これを 聞 きパロの 家 またこれを 聞 く
3 ヨセフすなはちその 兄弟 にいひけるは 我 はヨセフなりわが 父 はなほ 生 ながらへをるやと 兄弟 等 その 前 に 愕 き 懼 れて 之 にこたふるをえざりき
4 ヨセフ 兄弟 にいひけるは 請 ふ 我 にちかよれとかれらすなはち 近 よりければ 言 ふ 我 はなんぢらの 弟 ヨセフなんぢらがエジプトにうりたる 者 なり
5 されど 汝等 我 をここに 賣 しをもて 憂 ふるなかれ 身 を 恨 るなかれ 神 生命 をすくはしめんとて 我 を 汝等 の 前 につかはしたまへるなり
6 この二 年 のあひだ 饑饉 國 の 中 にありしが 尚 五 年 の 間 耕 すことも 穫 こともなかるべし
7 神 汝等 の 後 を 地 につたへんため 又 大 なる 救 をもて 汝 らの 生命 を 救 はんために 我 を 汝等 の 前 に 遣 したまへり
8 然 ば 我 を 此 につかはしたる 者 は 汝等 にはあらず 神 なり 神 われをもてパロの 父 となしその 全家 の 主 となしエジプト 全國 の 宰 となしたまへり
9 汝等 いそぎ 父 の 許 にのぼりゆきて 之 にいへ 汝 の 子 ヨセフかく 言 ふ 神 われをエジプト 全國 の 主 となしたまへりわが 所 にくだれ 遲疑 なかれ
10 汝 ゴセンの 地 に 住 べし 斯 汝 と 汝 の 子 と 汝 の 子 の 子 およびなんぢの 羊 と 牛 並 に 汝 のすべて 有 ところの 者 われの 近方 にあるべし
11 なほ五 年 の 饑饉 あるにより 我 其處 にてなんぢを 養 はん 恐 くは 汝 となんぢの 家族 およびなんぢの 凡 て 有 ところの 者 匱乏 ならん
12 汝等 の 目 とわが 弟 ベニヤミンの 目 の 視 るごとく 汝等 にこれをいふ 者 はわが 口 なり
13 汝等 わがエジプトにて 亨 る 顯榮 となんぢらが 見 たる 所 とを 皆 悉 く 父 につげよ 汝 ら 急 ぎて 父 を 此 にみちびき 下 るべし
14 而 してヨセフその 弟 ベニヤミンの 頸 を 抱 へて 哭 にベニヤミンもヨセフの 頸 をかかへて 哭 く
15 ヨセフ 亦 その 諸 の 兄弟 に 接吻 し 之 をいだきて 哭 く 是 のち 兄弟 等 ヨセフと 言 ふ
16 茲 にヨセフの 兄弟 等 きたれりといふ 聲 パロの 家 にきこえければパロとその 臣僕 これを 悦 ぶ
17 パロすなはちヨセフにいひけるは 汝 の 兄弟 に 言 べし 汝等 かく 爲 せ 汝等 の 畜 に 物 を 負 せ 往 てカナンの 地 に 至 り
18 なんぢらの 父 となんぢらの 家族 を 携 へて 我 にきたれ 我 なんぢらにエジプトの 地 の 嘉物 をあたへん 汝等 國 の 膏腴 を 食 ふことをうべしと
19 今 汝 命 をうく 汝等 かく 爲 せ 汝等 エジプトの 地 より 車 を 取 ゆきてなんぢらの 子女 と 妻 等 を 載 せ 汝等 の 父 を 導 きて 來 れ
20 また 汝等 の 器 を 惜 み 視 るなかれエジプト 全國 の 嘉物 は 汝 らの 所屬 なればなり
21 イスラエルの 子等 すなはち 斯 なせりヨセフ、パロの 命 にしたがひて 彼等 に 車 をあたへかつ 途 の 餱糧 をかれらにあたへたり
22 又 かれらに 皆 おのおの 衣 一襲 を 與 へたりしがベニヤミンには 銀 三 百 と 衣 五襲 をあたへたり
23 彼 また 斯 のごとく 父 に 餽 れり 即 ち 驢馬 十疋 にエジプトの 嘉物 をおはせ 牝 の 驢馬 十疋 に 父 の 途 の 用 に 供 ふる 穀物 と 糧 と 肉 をおはせて 餽 れり
24 斯 して 兄弟 をかへして 去 しめ 之 にいふ 汝等 途 にて 相 あらそふなかれと
25 かれらエジプトより 上 りてカナンの 地 にゆきその 父 ヤコブにいたり
26 之 につげてヨセフは 尚 いきてをりエジプト 全國 の 宰 となりをるといふしかるにヤコブの 心 なほ 寒冷 なりき 其 はこれを 信 ぜざればなり
27 彼等 またヨセフの 己 にいひたる 言 をことごとく 之 につげたりその 父 ヤコブ、ヨセフがおのれを 載 んとておくりし 車 をみるにおよびて 其 氣 おのれにかへれり
28 イスラエルすなはちいふ 足 りわが 子 ヨセフなほ 生 をるわれ 死 ざるまへに 往 て 之 を 視 ん
Chapter 46
1 イスラエルその 己 につける 諸 の 者 とともに 出 たちベエルシバにいたりてその 父 イサクの 神 に 犧牲 をささぐ
2 神 夜 の 異象 にイスラエルにかたりてヤコブよヤコブよといひたまふ
3 ヤコブわれ 此 にありといひければ 神 いひたまふ 我 は 神 なり 汝 の 父 の 神 なりエジプトにくだることを 懼 るなかれわれ 彼處 にて 汝 を 大 なる 國民 となさん
4 我 汝 と 共 にエジプトに 下 るべし 亦 かならず 汝 を 導 のぼるべしヨセフ 手 をなんぢの 目 の 上 におかんと
5 かくてヤコブ、ベエルシバをたちいでたりイスラエルの 子等 すなはちパロの 載 んとておくりたる 車 に 父 ヤコブと 己 の 子女 と 妻 等 を 載 せ
6 その 家畜 とカナンの 地 にてえたる 貨財 をたづさへ 斯 してヤコブとその 子孫 皆 ともにエジプトにいたれり
7 ヤコブかくその 子 と 子 の 子 およびその 女 と 子 の 女 すなはちその 子孫 を 皆 ともなひてエジプトににつれゆけり
8 イスラエルの 子 のエジプトにくだれる 者 の 名 は 左 のごとしヤコブとその 子等 ヤコブの 長子 はルベン
9 ルベンの 子 はヘノク、パル、ヘヅロン、カルミ
10 シメオンの 子 はヱムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハルおよびカナンの 婦 のうめる 子 シヤウル
11 レビの 子 はゲルシヨン、コハテ、メラリ
12 ユダの 子 エル、オナン、シラ、ペレヅ、ゼラ 但 しエルとオナンはカナンの 地 に 死 たりペレヅの 子 はヘヅロンおよびハムルなり
13 イツサカルの 子 はトラ、プワ、ヨブ、シムロン
14 ゼブルンの 子 はセレデ、エロン、ヤリエルなり
15 是等 および 女子 デナはレアがパダンアラムにてヤコブにうみたる 者 なりその 男子 女子 あはせて三十三 人 なりき
16 ガドの 子 はゼボン、ハギ、シユニ、エヅポン、エリ、アロデ、アレリ
17 アセルの 子 はヱムナ、イシワ、イスイ、ベリアおよびその 妹 サラ 並 にベリアの 子 ヘベルとマルキエルなり
18 是等 はラバンがその 女 レアにあたへたるジルパの 子 なり 彼 是等 をヤコブにうめり 都合 十六 人
19 ヤコブの 妻 ラケルの 子 はヨセフとベニヤミンなり
20 エジプトの 國 にてヨセフにマナセとエフライムうまれたり 是 はオンの 祭司 ポテパルの 女 アセナテが 生 たる 者 なり
21 ベニヤミンの 子 はベラ、ベケル、アシベル、ゲラ、ナアマン、エヒ、ロシ、ムツピム、ホパム、アルデ
22 是等 はラケルの 子 にしてヤコブにうまれたる 者 なり 都合 十四 人
23 ダンの 子 はホシム
24 ナフタリの 子 はヤジエル、グニ、ヱゼル、シレム
25 是等 はラバンがその 女 ラケルにあたへたるビルハの 子 なり 彼 これらをヤコブにうめり 都合 七 人
26 ヤコブとともにエジプトにいたりし 者 はヤコブの 子 の 妻 をのぞきて六十六 人 なりき 是 皆 ヤコブの 身 よりいでたる 者 なり
27 エジプトにてヨセフにうまれたる 子 二人 ありヤコブの 家 の 人 のエジプトにいたりし 者 はあはせて七十 人 なりき
28 ヤコブ 預 じめユダをヨセフにつかはしおのれをゴセンにみちびかしむ 而 して 皆 ゴセンの 地 にいたる
29 ヨセフその 車 を 整 へゴセンにのぼりて 父 イスラエルを 迓 へ 之 にまみえてその 頸 を 抱 き 頸 をかかへて 久 く 啼 く
30 イスラエル、ヨセフにいふ 汝 なほ 生 てをり 我 汝 の 面 を 見 ることをえたれば 今 は 死 るも 可 しと
31 ヨセフその 兄弟 等 と 父 の 家族 とにいひけるは 我 のぼりてパロにつげて 之 にいふべしわが 兄弟 等 とわが 父 の 家族 カナンの 地 にをりし 者 我 のところに 來 れり
32 その 人々 は 牧者 にして 牧 畜 の 人 なり 彼等 その 羊 と 牛 およびその 有 る 諸 の 物 をたづさへ 來 れりと
33 パロもし 汝等 を 召 て 汝等 の 業 は 何 なるやと 問 ことあらば
34 僕 等 は 幼少 より 今 に 至 るまで 牧 畜 の 人 なり 我儕 も 先祖 等 もともにしかりといへしからばなんぢらゴセンの 地 にすむことをえん 牧者 は 皆 エジプト 人 の 穢 はしとするものなればなり
Chapter 47
1 茲 にヨセフゆきてパロにつげていひけるはわが 父 と 兄弟 およびその 羊 と 牛 と 諸 の 所有物 カナンの 地 よりいたれり 彼 らはゴセンの 地 にをると
2 その 兄弟 の 中 より五 人 をとりてこれをパロにまみえしむ
3 パロ、ヨセフの 兄弟 等 にいひけるは 汝 らの 業 は 何 なるか 彼等 パロにいふ 僕 等 は 牧者 なりわれらも 先祖 等 もともにしかりと
4 かれら 又 パロにいひけるは 此 國 に 寓 らんとて 我等 はきたる 其 はカナンの 地 に 饑饉 はげしくして 僕 等 の 群 をやしなふ 牧場 なければなりされば 請 ふ 僕 等 をしてゴセンの 地 にすましめたまへ
5 パロ、ヨセフにかたりていふ 汝 の 父 と 兄弟 汝 の 所 にきたれり
6 エジプトの 地 はなんぢの 前 にあり 地 の 善 き 處 に 汝 の 父 と 兄弟 をすましめよすなはちゴセンの 地 にかれらをすましめよ 汝 もし 彼等 の 中 に 才能 ある 者 あるをしらば 其 人々 をしてわが 家畜 をつかさどらしめよ
7 ヨセフまた 父 ヤコブを 引 ていりパロの 前 にたたしむヤコブ、パロを 祝 す
8 パロ、ヤコブにいふ 汝 の 齡 の 日 は 幾何 なるか
9 ヤコブ、パロにいひけるはわが 旅 路 の 年 月 は百三十 年 にいたる 我 が 齡 の 日 は 僅少 にして 且 惡 かり 未 だわが 先祖 等 の 齡 の 日 と 旅 路 の 日 にはおよばざるなり
10 ヤコブ、パロを 祝 しパロのまへよりいでさりぬ
11 ヨセフ、パロの 命 ぜしごとくその 父 と 兄弟 に 居所 を 與 へエジプトの 國 の 中 の 善 き 地 即 ちラメセスの 地 をかれらにあたへて 所有 となさしむ
12 ヨセフその 父 と 兄弟 と 父 の 全家 にその 子 の 數 にしたがひて 食物 をあたへて 養 へり
13 却説 饑饉 ははなはだはげしくして 全國 に 食物 なくエジプトの 國 とカナンの 國 饑饉 のために 弱 れり
14 ヨセフ 穀物 を 賣 あたへてエジプトの 地 とカナンの 地 にありし 金 をことごとく 斂 む 而 してヨセフその 金 をパロの 家 にもちきたる
15 エジプトの 國 とカナンの 國 に 金 つきたればエジプト 人 みなヨセフにいたりていふ 我等 に 食物 をあたへよ 如何 ぞなんぢの 前 に 死 べけんや 金 すでにたえたり
16 ヨセフいひけるは 汝等 の 家畜 をいだせ 金 もしたえたらば 我 なんぢらの 家畜 にかへて 與 ふべしと
17 かれら 乃 ちその 家畜 をヨセフにひききたりければヨセフその 馬 と 羊 の 群 と 牛 の 群 および 驢馬 にかへて 食物 をかれらにあたへそのすべての 家畜 のために 其 年 のあひだ 食物 をあたへてこれをやしなふ
18 かくてその 年 暮 けるが 明年 にいたりて 人衆 またヨセフにきたりて 之 にいふ 我等 主 に 隱 すところなしわれらの 金 は 竭 たりまたわれらの 畜 の 群 は 主 に 皈 す 主 のまへにいだすべき 者 は 何 ものこりをらず 唯 われらの 身體 と 田 地 あるのみ
19 われらいかんぞわれらの 田 地 とともに 汝 の 目 のまへに 死亡 ぶべけんや 我等 とわれらの 田 地 を 食物 に 易 て 買 とれ 我等 田 地 とともにパロの 僕 とならんまた 我等 に 種 をあたへよ 然 ばわれら 生 るをえて 死 るにいたらず 田 地 も 荒蕪 にいたらじ
20 是 に 於 てヨセフ、エジプトの 田 地 をことごとく 購 とりてパロに 納 る 其 はエジプト 人 饑饉 にせまりて 各人 その 田圃 を 賣 たればなり 是 によりて 地 はパロの 所有 となれり
21 また 民 はエジプトのこの 境 の 極 よりかの 境 の 極 の 者 までヨセフこれを 邑々 にうつせり
22 但 祭司 の 田 地 は 購 とらざりき 祭司 はパロより 祿 をたまはりをればパロの 與 る 祿 を 食 たるによりてその 田 地 を 賣 ざればなり
23 茲 にヨセフ 民 にいひけるは 視 よ 我 今日 汝等 となんぢらの 田 地 をかひてパロに 納 る 視 よこの 種子 を 汝 らに 與 ふ 地 に 播 べし
24 しかして 收穫 の五 分 の一をパロに 輸 し 四 分 をなんぢらに 取 て 田圃 の 種 としなんぢらの 食 としなんぢらの 家族 と 子女 の 食 とせよ
25 人衆 いひけるは 汝 われらの 生命 を 拯 ひたまへりわれら 主 のまへに 恩 をえんことをねがふ 我等 パロの 僕 となるべしと
26 ヨセフ、エジプトの 田 地 に 法 をたてその五 分 の一をパロにをさめしむその 事 今日 にいたる 唯 祭司 の 田 地 のみパロの 有 とならざりき
27 イスラエル、エジプトの 國 に 於 てゴセンの 地 にすみ 彼處 に 產業 を 獲 その 數 増 て 大 に 殖 たり
28 ヤコブ、エジプトの 國 に十七 年 いきながらへたりヤコブの 年齒 の 日 は 合 て百四十七 年 なりき
29 イスラエル 死 る 日 ちかよりければその 子 ヨセフをよびて 之 にいひけるは 我 もし 汝 のまへに 恩 を 得 るならば 請 ふなんぢの 手 をわが 髀 の 下 にいれ 懇 に 眞實 をもて 我 をあつかへ 我 をエジプトに 葬 るなかれ
30 我 は 先祖 等 とともに 偃 んことをねがふ 汝 われをエジプトよ 舁 いだして 先祖 等 の 墓 場 にはうむれヨセフいふ 我 なんぢが 言 るごとくなすべしと
31 ヤコブまた 我 に 誓 へといひければすなはち 誓 へりイスラエル 床 の 頭 にて 拜 をなせり
Chapter 48
1 是等 の 事 の 後 汝 の 父 病 にかかるとヨセフに 告 る 者 ありければヨセフ 二人 の 子 マナセとエフライムをともなひて 至 る
2 人 ヤコブに 告 て 汝 の 子 ヨセフなんぢの 許 にきたるといひければイスラエル 強 て 床 に 坐 す
3 しかしてヤコブ、ヨセフにいひけるは 昔 に 全 能 の 神 カナンの 地 のルズにて 我 にあらはれて 我 を 祝 し
4 我 にいひたまひけらく 我 なんぢをして 多 く 子 をえせしめ 汝 をふやし 汝 を 衆多 の 民 となさん 我 この 地 を 汝 の 後 の 子孫 にあたへて 永久 の 所有 となさしめんと
5 わがエジプトにきたりて 汝 に 就 まへにエジプトにて 汝 に 生 れたる 二人 の 子 エフライムとマナセ 是等 はわが 子 となるべしルベンとシメオンのごとく 是等 はわが 子 とならん
6 是等 の 後 になんぢが 得 たる 子 は 汝 のものとすべし 又 その 產業 はその 兄弟 の 名 をもて 稱 らるべし
7 我 事 をいはんに 我 昔 パダンより 來 れる 時 ラケル 我 にしたがひをりて 途 にてカナンの 地 に 死 り 其處 はエフラタまで 尚 途 の 隔 あるところなりわれ 彼處 にて 彼 をエフラタの 途 にはうむれり(エフラタはすなはちベテレヘムなり)
8 斯 てイスラエル、ヨセフの 子等 を 見 て 是等 は 誰 なるやといひければ
9 ヨセフ 父 にいふ 是 は 神 の 此 にて 我 にたまひし 子等 なりと 父 すなはちいふ 請 ふ 彼 らを 我所 につれきたれ 我 これを 祝 せんと
10 イスラエルの 目 は 年壽 のために 眯 て 見 るをえざりしがヨセフかれらをその 許 につれきたりければ 之 に 接吻 してこれを 抱 けり
11 しかしてイスラエル、ヨセフにいひけるは 我 なんぢの 面 を 見 るあらんとは 思 はざりしに 視 よ 神 なんぢの 子 をもわれにしめしたまふと
12 ヨセフかれらをその 膝 の 間 よりいだし 地 に 俯 て 拜 せり
13 しかしてヨセフ、エフライムを 右 の 手 に 執 てヤコブに 左 の 手 にむかはしめマナセを 左 の 手 に 執 てヤコブの 右 の 手 にむかはしめ 二人 をみちびきてかれに 就 ければ
14 イスラエル 右 の 手 をのべて 季子 エフライムの 頭 に 按 き 左 の 手 をのべてマナセの 頭 におけりマナセは 長子 なれども 故 にかくその 手 をおけるなり
15 斯 してヨセフを 祝 していふわが 父 アブラハム、イサクの 事 へし 神 わが 生 れてより 今日 まで 我 をやしなひたまひし 神
16 我 をして 諸 の 災禍 を 贖 はしめたまひし 天使 ねがはくは 是 童子 等 を 祝 たまへねがはくは 是等 の 者 わが 名 とわが 父 アブラハム、イサクの 名 をもて 稱 られんことをねがはくは 是等 地 の 中 に 繁殖 がるにいたれ
17 ヨセフ 父 が 右 の 手 をエフライムの 頭 に 按 るを 見 てよろこばず 父 の 手 をあげて 之 をエフライムの 頭 よりマナセの 頭 にうつさんとす
18 ヨセフすなはち 父 にいひけるは 然 にあらず 父 よ 是 長子 なれば 右 の 手 をその 頭 に 按 たまへ
19 父 こばみていひけるは 我 知 るわが 子 よわれしる 彼 も 一 の 民 となり 彼 も 大 なる 者 とならん 然 れどもその 弟 は 彼 よりも 大 なる 者 となりてその 子孫 は 多衆 の 國民 となるべしと
20 此 日 彼等 を 祝 していふイスラエル 汝 を 指 て 人 を 祝 し 願 くは 神 汝 をしてエフライムのごとくマナセのごとくならしめたまへといふにいたらんとすなはちエフライムをマナセの 先 にたてたり
21 イスラエルまたヨセフにいひけるは 視 よわれは 死 んされど 神 なんぢらとともにいまして 汝等 を 先祖 等 の 國 にみちびきかへりたまふべし
22 且 われ 一 の 分 をなんぢの 兄弟 よりもおほく 汝 にあたふ 是 わが 刀 と 弓 を 以 てアモリ 人 の 手 より 取 たる 者 なり
Chapter 49
1 ヤコブその 子等 を 呼 ていひけるは 汝 らあつまれ 我 後 の 日 に 汝 らが 遇 んところの 事 を 汝等 につげん
2 汝等 つどひて 聽 けヤコブの 子等 よ 汝 らの 父 イスラエルに 聽 け
3 ルベン 汝 はわが 冢子 わが 勢 わが 力 の 始 威光 の 卓越 たる 者 權威 の 卓越 たる 者 なり
4 汝 は 水 の 沸 あがるがごとき 者 なれば 卓越 を 得 ざるべし 汝 父 の 床 にのぼりて 浼 したればなり 嗚呼 彼 はわが 寢 牀 にのぼれり
5 シメオン、レビは 兄弟 なりその 劍 は 暴 逆 の 器 なり
6 我 魂 よかれらの 席 にのぞむなかれ 我 寶 よかれらの 集會 につらなるなかれ 其 は 彼等 その 怒 にまかせて 人 をころしその 意 にまかせて 牛 を 筋截 たればなり
7 その 怒 は 烈 しかれば 詛 ふべしその 憤 は 暴 あれば 詛 ふべし 我 彼 らをヤコブの 中 に 分 ちイスラエルの 中 に 散 さん
8 ユダよ 汝 は 兄弟 の 讚 る 者 なり 汝 の 手 はなんぢの 敵 の 頸 を 抑 へんなんぢの 父 の 子等 なんぢの 前 に 鞠 ん
9 ユダは 獅子 の 子 の 如 しわが 子 よ 汝 は 所掠物 をさきてかへりのぼる 彼 は 牡獅子 のごとく 伏 し 牝獅 のごとく 蹲 まる 誰 か 之 をおこすことをせん
10 杖 ユダを 離 れず 法 を 立 る 者 その 足 の 間 をはなるることなくしてシロの 來 る 時 にまでおよばん 彼 に 諸 の 民 したがふべし
11 彼 その 驢馬 を 葡萄 の 樹 に 繋 ぎその 牝驢馬 の 子 を 葡萄 の 蔓 に 繋 がん 又 その 衣 を 酒 にあらひ 其 服 を 葡萄 の 汁 にあらふべし
12 その 目 は 酒 によりて 紅 くその 齒 は 乳 によりて 白 し
13 ゼブルンは 海邊 にすみ 舟 の 泊 る 海邊 に 住 はんその 界 はシドンにおよぶべし
14 イッサカルは 羊 の 牢 の 間 に 伏 す 健 き 驢馬 の 如 し
15 彼 みて 安泰 を 善 としその 國 を 樂 とし 肩 をさげて 負 ひ 租税 をいだして 僕 となるべし
16 ダンはイスラエルの 他 の 支派 の 如 く 其 民 を 鞫 かん
17 ダンは 路 の 旁 の 蛇 のごとく 途邊 にある 蝮 のごとし 馬 の 踵 を 噛 てその 騎者 をして 後 に 落 しむ
18 ヱホバよわれ 汝 の 拯救 を 待 り
19 ガドは 軍勢 これにせまらんされど 彼 返 てその 後 にせまらん
20 アセルよりいづる 食物 は 美 るべし 彼 王 の 食 ふ 美味 をいださん
21 ナフタリは 釋 れたる 麀 のごとし 彼 美言 をいだすなり
22 ヨセフは 實 を 結 ぶ 樹 の 芽 のごとし 即 ち 泉 の 傍 にある 實 をむすぶ 樹 の 芽 のごとしその 枝 つひに 垣 を 踰 ゆ
23 射者 彼 をなやまし 彼 を 射 かれを 惡 めり
24 然 どかれの 弓 はなほ 勁 くあり 彼 の 手 の 臂 は 力 あり 是 ヤコブの 全能者 の 手 によりてなり 其 よりイスラエルの 磐 なる 牧者 いづ
25 汝 の 父 の 神 による 彼 なんぢを 助 けん 全能者 による 彼 なんぢを 祝 まん 上 なる 天 の 福、下 によこたはる 淵 の 福、乳哺 の 福、胎 の 福、汝 にきたるべし
26 父 の 汝 を 祝 することはわが 父祖 の 祝 したる 所 に 勝 て 恒久 の 山 の 限極 にまでおよばん 是等 の 祝福 はヨセフの 首 に 歸 しその 兄弟 と 別 になりたる 者 の 頭頂 に 歸 すべし
27 ベニヤミンは 物 を 噛 む 狼 なり 朝 にその 所掠物 を 啖 ひ 夕 にその 所攫物 をわかたん
28 是等 はイスラエルの 十二 の 支派 なり 斯 その 父 彼 らに 語 り 彼等 を 祝 せりすなはちその 祝 すべき 所 にしたがひて 彼等 諸人 を 祝 せり
29 ヤコブまた 彼等 に 命 じて 之 にいひけるは 我 はわが 民 にくははらんとすヘテ 人 エフロンの 田 にある 洞穴 にわが 先祖 等 とともに 我 をはうむれ
30 その 洞穴 はカナンの 地 にてマムレのまへなるマクペラの 田 にあり 是 はアブラハムがヘテ 人 エフロンより 田 とともに 購 て 所有 の 墓所 となせし 者 なり
31 アブラハムとその 妻 サラ 彼處 にはうむられイサクとその 妻 リベカ 彼處 に 葬 られたり 我 またかしこにレアを 葬 れり
32 彼 田 とその 中 の 洞穴 はヘテの 子孫 より 購 たる 者 なり
33 ヤコブその 子 に 命 ずることを 終 し 時 足 を 床 に 斂 めて 氣 たえてその 民 にくははる
Chapter 50
1 ヨセフ 父 の 面 に 俯 し 之 をいだきて 哭 き 之 に 接吻 す
2 而 してヨセフその 僕 なる 醫 者 に 命 じてその 父 に 釁 らしむ 醫 者 イスラエルに 釁 れり
3 すなはち 之 がために四十 日 を 用 ふ 其 は 尸 に 釁 るにはこの 日數 を 用 ふべければなりエジプト 人 七十 日 の 間 之 がために 哭 けり
4 哀哭 の 日 すぎし 時 ヨセフ、パロの 家 にかたりていひけるは 我 もし 汝等 の 前 に 恩惠 を 得 るならば 請 ふパロの 耳 にまうして 言 へ
5 わが 父 我 死 ばカナンの 地 にわが 掘 おきたる 墓 に 我 をはうむれといひて 我 を 誓 はしめたり 然 ば 請 ふわれをして 上 りて 父 を 葬 らしめたまへまた 歸 りきたらんと
6 パロいひけるは 汝 の 父 汝 をちかはせしごとくのぼりて 之 を 葬 るべし
7 是 に 於 てヨセフ 父 を 葬 らんとて 上 るパロの 諸 の 臣 パロの 家 の 長老 等 エジプトの 地 の 長老 等
8 およびヨセフの 全家 とその 兄弟 等 およびその 父 の 家 之 とともに 上 る 只 その 子女 と 羊 と 牛 はゴセンの 地 にのこせり
9 また 車 と 騎兵 ヨセフにしたがひてのぼり 其 隊 ははなはだ 大 なりき
10 彼等 つひにヨルダンの 外 なるアタデの 禾場 に 到 り 彼 にて 大 に 泣 き 痛 く 哀 しむヨセフすなはち 七日 父 のために 哭 きぬ
11 その 國 の 居人 なるカナン 人 等 アタデの 禾場 の 哀哭 を 見 て 是 はエジプト 人 の 痛 くなげくなりといへり 是 によりて 其處 の 名 をアベルミツライム(エジプト 人 の 哀哭)と 稱 ふヨルダンの 外 にあり
12 ヤコブの 子等 その 命 ぜられたるごとく 之 になせり
13 すなはちヤコブの 子等 彼 をカナンの 地 に 舁 ゆきて 之 をマクペラの 田 の 洞穴 にはうむれり 是 はアブラハムがヘテ 人 エフロンより 田 とともに 購 とりて 所有 の 墓所 となせし 者 にてマムレの 前 にあり
14 ヨセフ 父 を 葬 りてのち 其 兄弟 および 凡 て 己 とともにのぼりて 父 をはうむれる 者 とともにエジプトにかへりぬ
15 ヨセフの 兄弟 等 その 父 の 死 たるを 見 ていひけるはヨセフあるいはわれらを 恨 むることあらん 又 かならずわれらが 彼 になしたる 諸 の 惡 にむくゆるならんと
16 すなはちヨセフにいひおくりけるはなんぢの 父 死 るまへに 命 じて 言 けらく
17 汝 ら 斯 ヨセフにいふべし 汝 の 兄弟 汝 に 惡 をなしたれども 冀 はくはその 罪咎 をゆるせと 然 ば 請 ふ 汝 の 父 の 神 の 僕 等 の 咎 をゆるせとヨセフその 言 を 聞 て 啼泣 り
18 兄弟 等 もまた 自 らきたりヨセフの 面 の 前 に 俯 し 我儕 は 汝 の 僕 とならんといふ
19 ヨセフかれらに 曰 けるは 懼 るなかれ 我 あに 神 にかはらんや
20 汝等 は 我 を 害 せんとおもひたれども 神 はそれを 善 にかはらせ 今日 のごとく 多 の 民 の 生命 を 救 ふにいたらしめんとおもひたまへり
21 故 に 汝 らおそるるなかれ 我 なんぢらと 汝 らの 子女 をやしなはんと 彼等 をなぐさめ 懇 に 之 にかたれり
22 ヨセフ 父 の 家族 とともにエジプトにすめりヨセフは百十 歳 いきながらへたり
23 ヨセフ、エフライムの 三 世 の 子女 をみるにいたれりマナセの 子 マキルの 子女 もうまれてヨセフの 膝 にありき
24 ヨセフその 兄弟 等 にいひけるは 我 死 ん 神 かならず 汝等 を 眷顧 みなんぢらを 此地 よりいだしてそのアブラハム、イサク、ヤコブに 誓 ひし 地 にいたらしめたまはんと
25 ヨセフ 神 かならず 汝等 をかへりみたまはん 汝 らわが 骨 をここよりたづさへのぼるべしといひてイスラエルの 子孫 を 誓 はしむ
26 ヨセフ百十 歳 にして 死 たれば 之 に 釁 りて 櫃 にをさめてエジプトにおけり