Chapter 1
1 エフライムの 山地 のラマタイムゾビムにエルカナと 名 くる 人 ありエフライテ 人 にしてエロハムの 子 なりエロハムはエリウの 子 エリウはトフの 子 トフはツフの 子 なり
2 エルカナに 二人 の 妻 ありてひとりの 名 をハンナといひひとりの 名 をペニンナといふペニンナには 子 ありたれどもハンナには 子 あらざりき
3 是 人 毎歳 に 其 邑 をいで 上 りてシロにおいて 萬軍 のヱホバを 拝 み 之 に 祭物 をささぐ 其處 にエリの 二人 の 子 ホフニとピネハスをりてヱホバに 祭司 たり
4 エルカナ 祭物 をささぐる 時 其 妻 ペニンナと 其 すべての 息子 女子 にわかちあたへしが
5 ハンナには 其 倍 をあたふ 是 はハンナを 愛 するが 故 なりされどヱホバ 其 孕 みをとどめたまふ
6 其 敵 もまた 痛 くこれをなやましてヱホバが 其 はらみをとどめしを 怒 らせんとす
7 歳々 ハンナ、ヱホバの 家 にのぼるごとにエルカナかくなせしかばペニンナかくのごとく 之 をなやます 是故 にハンナないてものくはざりき
8 其 夫 エルカナ 之 にいひけるはハンナよ 何故 になくや 何故 にものくはざるや 何故 に 心 かなしむや 我 は 汝 のためには十 人 の 子 よりもまさるにあらずや
9 かくてシロにて 食 飮 せしのちハンナたちあがれり 時 に 祭司 エリ、ヱホバの 宮 の 柱 の 傍 にある 壇 に 坐 す
10 ハンナ 心 にくるしみヱホバにいのりて 甚 く 哭 き
11 誓 をなしていひけるは 萬軍 のヱホバよ 若 し 誠 に 婢 の 惱 をかへりみ 我 を 憶 ひ 婢 を 忘 れずして 婢 に 男子 をあたへたまはば 我 これを一 生 のあひだヱホバにささげ 剃髮刀 を 其 首 にあつまじ
12 ハンナ、ヱホバのまへに 長 くいのりければエリ 其 口 に 目 をとめたり
13 ハンナ 心 の 中 にものいへば 只 唇 うごくのみにて 聲 きこえず 是故 にエリこれを 酔 たる 者 と 思 ひ
14 之 にいひけるは 何時 まで 酔 ひをるか 爾 の 酒 をされよ
15 ハンナこたへていひけるは 主 よ 然 るにあらず 我 は 氣 のわづらふ 婦人 にして 葡萄 酒 をも 濃 き 酒 をものまず 惟 わが 心 をヱホバのまへに 明 せるなり
16 婢 を 邪 なる 女 となすなかれ 我 はわが 憂 と 悲 みの 多 きよりして 今 までかたれり
17 エリ 答 へていひけるは 安 んじて 去 れ 願 くはイスラエルの 神 汝 の 求 むる 願 ひを 許 したまはんことを
18 ハンナいひけるはねがはくは 仕女 の 汝 のまへに 恩 をえんことをと 斯 てこの 婦 さりて 食 ひ 其 顔 ふたたび 哀 しげならざりき
19 是 に 於 て 彼等 朝 はやくおきてヱホバの 前 に 拝 をしかへりてラマの 家 にいたる 而 してエルカナ 其 つまハンナとまじはるヱホバ 之 をかへりみたまふ
20 ハンナ 孕 みてのち 月 みちて 男子 をうみ 我 これをヱホバに 求 めし 故 なりとて 其 名 をサムエル(ヱホバに 聽 る)となづく
21 爰 に 其人 エルカナ 及 び 其 家族 みな 上 りて 年々 の 祭物 及 び 其 誓 ひし 物 をささぐ
22 然 どもハンナは 上 らず 其 夫 にいひけるは 我 はこの 子 の 乳 ばなれするに 及 びてのち 之 をたづさへゆきヱホバのまへにあらはれしめ 恒 にかしこに 居 らしめん
23 其 夫 エルカナ 之 にいひけるは 汝 の 善 と 思 ふところを 爲 し 此 子 を 乳 ばなすまでとどまるべし 只 ヱホバの 其 言 を 確實 ならしめ 賜 んことをねがふと 斯 くこの 婦 止 まりて 其 子 に 乳 をのませ 其 ちばなれするをまちしが
24 乳 ばなせしとき 牛 三頭 粉 一斗 酒 一嚢 を 取 り 其 子 をたづさへてシロにあるヱホバの 家 にいたる 其 子 なほ 幼稚 し
25 是 に 於 て 牛 をころしその 子 をエリの 許 に 携 へゆきぬ
26 ハンナいひけるは 主 よ 汝 のたましひは 活 くわれはかつてここにてなんぢの 傍 にたちヱホバにいのりし 婦 なり
27 われ 此 子 のためにいのりしにヱホバわが 求 めしものをあたへたまへり
28 此故 にわれまたこれをヱホバにささげん 其 一生 のあひだ 之 をヱホバにささぐ 斯 てかしこにてヱホバををがめり
Chapter 2
1 ハンナ 祷 りて 言 けるは 我 心 はヱホバによりて 喜 び 我 角 はヱホバによりて 高 し 我 口 はわが 敵 の 上 にはりひらく 是 は 我 汝 の 救拯 によりて 樂 むが 故 なり
2 ヱホバのごとく 聖 き 者 はあらず 其 は 汝 の 外 に 有 る 者 なければなり 又 われらの 神 のごとき 磐 はあることなし
3 汝等 重 ねて 甚 く 誇 りて 語 るなかれ 汝等 の 口 より 漫 言 を 出 すなかれヱホバは 全知 の 神 にして 行爲 を 裁度 りたまふなり
4 勇者 の 弓 は 折 れ 倒 るる 者 は 勢力 を 帶 ぶ
5 飽 足 る 者 は 食 のために 身 を 傭 はせ 饑 たる 者 は 憩 へり 石女 は七 人 を 生 み 多 くの 子 を 有 る 者 は 衰 ふるにいたる
6 ヱホバは 殺 し 又 生 したまひ 陰府 に 下 し 又 上 らしめたまふ
7 ヱホバは 貧 からしめ 又 富 しめたまひ 卑 くしまた 高 くしたまふ
8 荏弱 者 を 塵 の 中 より 擧 げ 窮乏 者 を 埃 の 中 より 升 せて 王公 の 中 に 坐 せしめ 榮光 の 位 をつがしめ 給 ふ 地 の 柱 はヱホバの 所屬 なりヱホバ 其 上 に 世界 を 置 きたまへり
9 ヱホバ 其 聖徒 の 足 を 守 りたまはん 惡 き 者 は 黑暗 にありて 默 すべし 其 は 人 力 をもて 勝 つべからざればなり
10 ヱホバと 爭 ふ 者 は 破碎 かれんヱホバ 天 より 雷 を 彼等 の 上 にくだしヱホバは 地 の 極 を 審 き 其 王 に 力 を 與 へ 其 膏 そそぎし 者 の 角 を 高 くし 給 はん
11 エルカナ、ラマに 往 て 其 家 にいたりしが 稚子 は 祭司 エリのまへにありてヱホバにつかふ
12 さてエリの 子 は 邪 なる 者 にしてヱホバをしらざりき
13 祭司 の 民 に 於 る 習慣 は 斯 のごとし 人 祭物 をささぐる 時 肉 を 烹 るあひだに 祭司 の 僕 三 の 歯 ある 肉叉 を 手 にとりて 來 り
14 之 を 釜 あるひは 鍋 あるひは 鼎 又 は 炮烙 に 突 きいれ 肉叉 の 引 きあぐるところの 肉 は 祭司 みなこれを 己 にとる 是 くシロに 於 て 凡 てそこに 來 るイスラエル 人 になせり
15 脂 をやく 前 にも 亦 祭司 のしもべ 來 り 祭物 をささぐる 人 にいふ 祭司 のために 燒 くべき 肉 をあたへよ 祭司 は 汝 より 烹 たる 肉 を 受 けず 生腥 の 肉 をこのむと
16 もし 其人 これにむかひ 直 ちに 脂 をやくべければ 後 心 のこのむままに 取 れといはば 僕 之 にいふ 否 今 あたへよ 然 らずば 我 強 て 取 んと
17 故 に 其 壯 者 の 罪 ヱホバのまへに 甚 だ 大 なりそは 人々 ヱホバに 祭物 をささぐることをいとひたればなり
18 サムエルなほ 幼 して 布 のエポデを 著 てヱホバのまへにつかふ
19 また 其 母 これがために 小 き 明衣 をつくり 歳 毎 にその 夫 とともに 年 の 祭物 をささげにのぼる 時 これをもちきたる
20 エリ、エルカナとその 妻 を 祝 していひけるは 汝 がヱホバにささげたる 者 のためにヱホバ 此 婦 よりして 子 を 汝 にあたへたまはんことをねがふと 斯 てかれら 其 郷 にかへる
21 しかしてヱホバ、ハンナをかへりみたまひければハンナ 孕 みて三 人 の 男子 と 二人 の 女子 をうめり 童子 サムエルはヱホバのまへにありて 生育 てり
22 ここにエリ 甚 だ 老 て 其 子 等 がイスラエルの 人々 になせし 諸 の 事 を 聞 きまた 其 集會 の 幕屋 の 門 にいづる 婦人 たちと 寝 たるを 聞 て
23 これにいひけるは 何 ぞ 斯 る 事 をなすや 我 このすべての 民 より 汝 らのあしき 行 をきく
24 わが 子 よ 然 すべからず 我 きくところの 風聞 よからず 爾 らヱホバの 民 をしてあやまたしむ
25 人 もし 人 にむかひて 罪 ををかさば 神 之 をさばかんされど 人 もしヱホバに 向 ひて 罪 ををかさば 誰 かこれがためにとりなしをなさんやとしかれども 其 子 父 のことばを 聽 ざりきそはヱホバかれらを 殺 さんと 思 ひたまへばなり
26 童子 サムエル 生長 ゆきてヱホバと 人 とに 愛 せらる
27 茲 に 神 の 人 エリの 許 に 來 りこれにいひけるはヱホバ 斯 くいひたまふ 爾 の 父祖 の 家 エジプトにおいてパロの 家 にありしとき 我 明 かに 之 にあらはれしにあらずや
28 我 これをイスラエルの 諸 の 支派 のうちより 選 みてわが 祭司 となしわが 壇 の 上 に 祭物 をささげ 香 をたかしめ 我 前 にエポデを 衣 しめまたイスラエルの 人 の 火 祭 を 悉 く 汝 の 父 の 家 にあたへたり
29 なんぞわが 命 ぜし 犠牲 と 禮物 を 汝 の 家 にてふみつくるや 何 ぞ 我 よりもなんぢの 子 をたふとみわが 民 イスラエルの 諸 の 祭物 の 最 も 嘉 きところをもて 己 を 肥 すや
30 是 ゆゑにイスラエルの 神 ヱホバいひたまはく 我 誠 に 曾 ていへり 汝 の 家 およびなんぢの 父祖 の 家 永 くわがまへにあゆまんと 然 ども 今 ヱホバいひたまふ 決 めてしからず 我 をたふとむ 者 は 我 もこれをたふとむ 我 を 賤 しむる 者 はかろんぜらるべし
31 視 よ 時 いたらん 我 汝 の 腕 と 汝 の 父祖 の 家 の 腕 を 絶 ち 汝 の 家 に 老 たるもの 无 らしめん
32 我 大 にイスラエルを 善 すべけれど 汝 の 家内 には 災 見 えん 汝 の 家 にはこののち 永 く 老 るものなかるべし
33 またわが 壇 より 絶 ざる 汝 の 族 の 者 は 汝 の 目 をそこなひ 汝 の 心 をいたましめん 又 汝 の 家 にうまれいづるものは 壯年 にして 死 なん
34 汝 のふたりの 子 ホフニとピネスの 遇 ところの 事 を 其 徴 とせよ 即 ち 二人 ともに 同 じ 日 に 死 なん
35 我 はわがために 忠信 なる 祭司 をおこさん 其人 わが 心 とわが 意 にしたがひておこなはんわれその 家 をかたうせんかれわが 膏 そそぎし 者 のまへに 恒 にあゆむべし
36 しかして 汝 の 家 にのこれる 者 は 皆 きたりてこれに 屈 み 一 厘 の 金 と 一片 のパンを 乞 ひ 且 いはんねがはくは 我 を 祭司 の 職 の 一 に 任 じて 些少 のパンにても 食 ふことをえせしめよと
Chapter 3
1 童子 サムエル、エリのまへにありてヱホバにつかふ 當時 はヱホバの 言 まれにして 默示 あること 恒 ならざりき
2 偖 エリ 目 漸 くくもりて 見 ることをえず 此時 其 室 に 寝 たり
3 神 の 燈 なほきえずサムエル 神 の 櫃 あるヱホバの 宮 に 寝 ね
4 時 にヱホバ、サムエルをよびたまふ 彼 我 此 にありといひて
5 エリの 許 に 趨 ゆきいひけるは 汝 われをよぶ 我 ここにありエリいひけるは 我 よばず 反 りて 臥 よと 乃 ちゆきていぬ
6 ヱホバまたかさねてサムエルよとよびたまへばサムエルおきてエリのもとにいたりいひけるは 汝 われをよぶ 我 ここにありエリこたへけるは 我 よばずわが 子 よ 反 りていねよ
7 サムエルいまだヱホバをしらずまたヱホバのことばいまだかれにあらはれず
8 ヱホバ、三 たびめに 又 サムエルをよびたまへばサムエルおきてエリの 許 にたりいひけるは 汝 われをよぶ 我 ここにありとエリ 乃 ちヱホバの 童子 をよびたまひしをさとる
9 故 にエリ、サムエルにいひけるはゆきて 寝 よ 彼 若 し 汝 をよばば 僕 聽 くヱホバ 語 りたまへといへとサムエルゆきて 其 室 にいねしに
10 ヱホバ 來 りて 立 ちまへの 如 くサムエル、サムエルとよびたまへばサムエル 僕 きく 語 りたまへといふ
11 ヱホバ、サムエルにいひ 賜 けるは 視 よ 我 イスラエルのうちに 一 の 事 をなさんこれをきくものは 皆 其 耳 ふたつながら 鳴 ん
12 其 日 にはわれ 嘗 てエリの 家 について 言 しことを 始 より 終 までことごとくエリになすべし
13 われかつてエリに 其 惡事 のために 永 くその 家 をさばかんとしめせりそは 其 子 の 詛 ふべきことをなすをしりて 之 をとどめざればなり
14 是故 に 我 エリのいへに 誓 ひてエリの 家 の 惡 は 犠牲 あるひは 禮物 をもて 永 くあがなふ 能 はずといへり
15 サムエル 朝 までいねてヱホバの 家 の 戸 を 開 きしが 其 異象 をエリにしめすことをおそる
16 エリ、サムエルをよびていひけるはわが 子 サムエルよ 答 へけるはわれここにあり
17 エリいひけるは 何事 を 汝 につげたまひしや 請 ふ 我 にかくすなかれ 汝 もし 其 汝 に 告 げたまひしところを 一 にてもかくすときは 神 汝 にかくなし 又 かさねてかくなしたまヘ
18 サムエル 其 事 をことごとくしめして 彼 に 隱 すことなかりきエリいひけるは 是 はヱホバなり 其 よしと 見 たまふことをなしたまへと
19 サムエルそだちぬヱホバこれとともにいましてそのことばをして 一 も 地 におちざらしめたまふ
20 ダンよりベエルシバにいたるまでイスラエルの 人 みなサムエルがヱホバの 預言者 とさだまれるをしれり
21 ヱホバふたたびシロにてあらはれたまふヱホバ、シロにおいてヱホバの 言 によりてサムエルにおのれをしめしたまふなりサムエルの 言 あまねくイスラエル 人 におよぶ
Chapter 4
1 イスラエル 人 ペリシテ 人 にいであひて 戰 はんとしエベネゼルの 邊 に 陣 をとりペリシテ 人 はアベクに 陣 をとる
2 ペリシテ 人 イスラエル 人 にむかひて 陣列 をなせり 戰 ふにおよびてイスラエル 人 ペリシテ 人 のまへにやぶるペリシテ 人 戰 場 において 其 軍 四 千 人 ばかりを 殺 せり
3 民 陣 營 にいたるにイスラエルの 長老 曰 けるはヱホバ 何故 に 今日 我等 をペリシテ 人 のまへにやぶりたまひしやヱホバの 契約 の 櫃 をシロより 此 にたづさへ 來 らん 其 櫃 われらのうちに 來 らば 我 らを 敵 の 手 よりすくひいだすことあらんと
4 かくて 民 人 をシロにつかはしてケルビムの 上 に 坐 したまふ 萬軍 のヱホバの 契約 の 櫃 を 其處 よりたづさへきたらしむ 時 にエリの 二人 の 子 ホフニとピネハス 神 の 契約 のはことともに 彼處 にありき
5 ヱホバの 契約 の 櫃 陣 營 にいたりしときイスラエル 人 皆 大 によばはりさけびければ 地 なりひびけり
6 ペリシテ 人 喊呼 の 聲 を 聞 ていひけるはヘブル 人 の 陣 營 に 起 れる 此 大 なるさけびの 聲 は 何 ぞやと 遂 にヱホバの 櫃 の 其 陣 營 にいたれるを 知 る
7 ペリシテ 人 おそれていひけるは 神 陣 營 にいたる 又 いひけるは 鳴呼 われら 禍 なるかな 今 にいたるまで 斯 ることなかりき
8 ああ 我等 禍 なるかな 誰 かわれらを 是 らの 強 き 神 の 手 よりすくひいださんや 此 等 の 神 は 昔 し 諸 の 災 を 以 てエジプト 人 を 曠野 に 撃 し 者 なり
9 ペリシテ 人 よ 強 くなり 豪傑 のごとく 爲 せヘブル 人 がかつて 汝 らに 事 へしごとく 汝 らこれに 事 ふるなかれ 豪傑 のごとく 爲 して 戰 へよ
10 かくてペリシテ 人 戰 ひしかばイスラエル 人 やぶれて 各々 其 天 幕 に 逃 かへる 戰死 はなはだ 多 くイスラエルの 歩 兵 の 仆 れし 者 三 萬人 なりき
11 又 神 の 櫃 は 奪 はれエリの 二人 の 子 ホフニとピネハス 殺 さる
12 是 日 ベニヤミンの 一人 軍 中 より 走 來 り 其 衣 を 裂 き 土 をかむりてシロにいたる
13 其 いたれる 時 エリ 道 の 傍 に 壇 に 坐 して 觀望 居 たり 其心 に 神 の 櫃 のことを 思 ひ 煩 らひたればなり 其人 いたり 邑 にて 人々 に 告 ければ 邑 こぞりてさけびたり
14 エリ 此 呼號 の 聲 をききていひけるは 是 喧嘩 の 聲 は 何 なるやと 其人 いそぎきたりてエリにつぐ
15 時 にエリ九十八 歳 にして 其 目 かたまりて 見 ることあたはず
16 其人 エリにいひけるは 我 は 軍 中 より 來 れるもの 我 今日 軍 中 より 逃 れたりエリいひけるは 吾 子 よ 事 いかん
17 使人 答 へていひけるはイスラエル 人 ペリシテ 人 の 前 に 逃 げ 且 民 の 中 に 大 なる 戰死 ありまた 汝 の 二人 の 子 ホフニとピネハスは 殺 され 神 の 櫃 は 奪 はれたり
18 神 の 櫃 のことを 演 しときエリ 其 壇 より 仰 けに 門 の 傍 におち 頸 をれて 死 ねり 是 はかれ 老 て 身 重 かりければなり 其 イスラエルを 鞫 しは四十 年 なりき
19 エリの 媳 ピネハスの 妻 孕 みて 子 產 ん 時 ちかかりしが 神 の 櫃 の 奪 はれしと 舅 と 夫 の 死 にしとの 傳言 を 聞 しかば 其 痛 みおこりきたり 身 をかがめて 子 を 產 り
20 其 死 なんとする 時 傍 にたてる 婦人 これにいひけるは 懼 るるなかれ 汝 男子 を 生 りと 然 ども 答 へず 又 かへりみず
21 只 榮光 イスラエルをさりぬといひて 其 子 をイカボデ(榮 なし)と 名 く 是 は 神 の 櫃 奪 はれしによりまた 舅 と 夫 の 故 に 因 るなり
22 またいひけるは 榮光 イスラエルをさりぬ 神 の 櫃 うばはれたればなり
Chapter 5
1 ペリシテ 人 神 の 櫃 をとりて 之 をエベネゼルよりアシドドにもちきたる
2 即 ちペリシテ 人 神 の 櫃 をとりて 之 をダゴンの 家 にもちきたりダゴンの 傍 に 置 ぬ
3 アシドド 人 次 の 日 夙 く 興 きヱホバの 櫃 のまへにダゴンの 俯伏 に 地 にたふれをるをみ 乃 ちダゴンをとりて 再 びこれを 本 の 處 におく
4 また 翌朝 夙 く 興 きヱホバの 櫃 のまへにダゴン 俯伏 に 地 にたふれをるを 見 るダゴンの 頭 と 其 兩 手 門閾 のうへに 斷 ち 切 れをり 只 ダゴンの 體 のみのこれり
5 是 をもてダゴンの 祭司 およびダゴンの 家 にいるもの 今日 にいたるまでアシドドにあるダゴンの 閾 をふまず
6 かくてヱホバの 手 おもくアシドド 人 にくははりヱホバこれをほろぼし 腫物 をもてアシドドおよび 其 四周 の 人 をくるしめたまふ
7 アシドド 人 その 斯 るを 見 ていひけるはイスラエルの 神 の 櫃 を 我 らのうちにとどむべからず 其 は 其 手 いたくわれらおよび 我 らの 神 ダゴンにくははればなり
8 是故 に 人 をつかはしてペリシテ 人 の 諸君主 を 集 めていひけるはイスラエルの 神 の 櫃 をいかにすべきや 彼 らいひけるはイスラエルの 神 のはこはガテに 移 さんと 遂 にイスラエルの 神 のはこをうつす
9 之 をうつせるのち 神 の 手 其 邑 にくははりて 滅亡 るもの 甚 だおほし 即 ち 老 たると 幼 とをいはず 邑 の 人 をうちたまひて 腫物 人々 におこれり
10 是 において 神 のはこをエクロンにおくりたるに 神 の 櫃 エクロンにいたりしときエクロン 人 さけびていひけるは 我等 とわが 民 をころさんとてイスラエルの 神 のはこを 我等 にうつすと
11 かくて 人 を 遣 してペリシテ 人 の 諸君主 をあつめていひけるはイスラエルの 神 の 櫃 をおくりて 本 のところにかへさん 然 らば 我等 とわが 民 をころすことなからん 蓋 は 邑 中 に 恐 ろしき 滅亡 おこり 神 の 手 甚 だおもく 其處 にくははればなり
12 死 なざる 者 は 腫物 にくるしめられ 邑 の 號呼 天 に 達 せり
Chapter 6
1 ヱホバの 櫃 七 月 のあひだペリシテ 人 の 國 にあり
2 ペリシテ 人 祭司 と 卜筮師 をよびていひけるは 我 らヱホバの 櫃 をいかがせんや 如何 にして 之 をもとの 所 にかへすべきか 我 らにつげよ
3 答 へけるはイスラエルの 神 の 櫃 をかへすときはこれを 空 しくかへすなかれ 必 らず 彼 に 過 祭 をなすべし 然 なさば 汝 ら 愈 ことをえ 且 彼 の 手 の 汝 らをはなれざる 故 を 知 にいたらん
4 人々 いひけるは 如何 なる 過 祭 を 彼 になすべきや 答 へけるはペリシテ 人 の 諸君主 の 數 にしたがひて 五 の 金 の 腫物 と 五 の 金 の 鼠 をつくれ 是 は 汝 ら 皆 と 汝 らの 諸伯 におよべる 災 は 一 なるによる
5 汝 らの 腫物 の 像 および 地 をあらす 鼠 の 像 をつくりイスラエルの 神 に 榮光 を 皈 すべし 庶幾 はその 手 を 汝等 およびなんぢらの 神 と 汝等 の 地 にくはふることを 軽 くせん
6 汝 らなんぞエジプト 人 とパロの 其心 を 頑 にせしごとくおのれの 心 をかたくなにするや 神 かれらの 中 に 數 度 其 力 をしめせしのち 彼 ら 民 をゆかしめ 民 つひにさりしにあらずや
7 されば 今 あたらしき 車 一輛 をつくり 乳 牛 のいまだ 軛 をつけざるもの 二頭 をとり 其 牛 を 車 に 繋 ぎ 其 犢 をはなして 家 につれゆき
8 ヱホバの 櫃 をとりて 之 を 其 車 に 載 せ 汝 らが 過 祭 として 彼 になす 金 の 製作物 を 檟 にをさめて 其 傍 におき 之 をおくりて 去 らしめ
9 しかして 見 よ 若 し 其 境 のみちよりベテシメシにのぼらばこの 大 なる 災 を 我 らになせるものは 彼 なり 若 ししかせずば 我等 をうちしは 彼 の 手 にあらずしてそのことの 偶然 なりしをしるべし
10 人々 つひに 斯 なし 二 つの 乳 牛 をとりて 之 を 車 につなぎその 犢 を 室 にとぢこめ
11 ヱホバの 櫃 および 金 の 鼠 と 其 腫物 の 像 ををさめたる 檟 を 車 に 載 す
12 牝牛 直 にあゆみてベテシメシの 路 をゆき 鳴 つつ 大路 をすすみゆきて 右左 にまがらずペリシテ 人 の 君主 ベテシメシの 境 まで 其 うしろにしたがひゆけり
13 時 にベテシメシ 人 谷 に 麥 を 刈 り 居 たりしが 目 をあげて 其 櫃 をみ 之 を 見 るをよろこべり
14 車 ベテシメシ 人 ヨシユアの 田 にいりて 其處 にとどまる 此 に 大 なる 石 あり 人々 車 の 木 を 劈 り 其 牝牛 を 燔祭 としてヱホバにささげたり
15 レビの 人 ヱホバの 櫃 とこれとともなる 檟 の 金 の 製作物 ををさめたる 者 をとりおろし 之 を 其 大 石 のうへにおくしかしてベテシメシ 人 此 日 ヱホバに 燔祭 をそなへ 犠牲 をささげたり
16 ペリシテ 人 の五 人 の 君主 これを 見 て 同 じ 日 にエクロンにかへれり
17 さてペリシテ 人 が 過 祭 としてヱホバにたせし 金 の 腫物 はこれなり 即 ちアシドドのために 一 ガザのために 一 アシケロンのために 一 ガテのために 一 エクロンのために 一 なりき
18 また 金 の 鼠 は 城邑 と 郷里 をいはず 凡 て五 人 の 君主 に 屬 するペリシテ 人 の 邑 の 數 にしたがひて 造 れりヱホバの 櫃 をおろせし 大 石 今日 にいたるまでベテシメシ 人 ヨシユアの 田 にあり
19 ベテシメシの 人々 ヱホバの 櫃 をうかがひしによりヱホバこれをうちたまふ 即 ち 民 の 中 七十 人 をうてりヱホバ 民 をうちて 大 にこれをころしたまひしかば 民 なきさけべり
20 ベテシメシ 人 いひけるは 誰 かこの 聖 き 神 たるヱホバのまへに 立 つことをえんヱホバ 我 らをはなれて 何人 のところにのぼりゆきたまふべきや
21 かくて 使者 をキリアテヤリムの 人 に 遣 はしていひけるはペリシテ 人 ヱホバの 櫃 をかへしたれば 汝 らくだりて 之 を 汝 らの 所 に 携 へのぼるべし
Chapter 7
1 キリアテヤリムの 人 來 りヱホバのはこを 携 へのぼりこれを 山 のうへなるアビナダブの 家 にもちきたり 其 子 エレアザルを 聖 てヱホバの 櫃 をまもらしむ
2 其 櫃 キリアテヤリムにとどまること 久 しくして二十 年 をへたりイスラエルの 全家 ヱホバをしたひて 歎 けり
3 時 にサムエル、イスラエルの 全家 に 告 ていひけるは 汝 らもし 一心 を 以 てヱホバにかへり 異 る 神 とアシタロテを 汝 らの 中 より 棄 て 汝 らの 心 をヱホバに 定 め 之 にのみ 事 へなばヱホバ 汝 らをペリシテ 人 の手より 救 ひださん
4 ここにおいてイスラエルの 人々 バアルとアシタロテをすててヱホバにのみ 事 ふ
5 サムエルいひけるはイスラエル 人 をことごとくミズパにあつめよ 我 汝 らのためにヱホバにいのらん
6 かれらミズパに 集 り 水 を 汲 て 之 をヱホバのまへに 注 ぎ 其 日 斷食 して 彼處 にいひけるは 我等 ヱホバに 罪 ををかしたりとサムエル、ミズパに 於 てイスラエルの 人 を 鞫 く
7 ペリシテ 人 イスラエルの 人々 のミズパに 集 れるを 聞 しかばペリシテ 人 の 諸君主 イスラエルにせめのぼれりイスラエル 人 これを 聞 てペリシテ 人 をおそれたり
8 イスラエルの 人々 サムエルに 云 けるは 我 らのために 我 らの 神 ヱホバに 祈 ることをやむるなかれ 然 らばヱホバ 我 らをペリシテ 人 の 手 よりすくひいださん
9 サムエル 哺乳 羊 をとり 燔祭 となしてこれをまつたくヱホバにささぐまたサムエル、イスラエルのためにヱホバにいのりければヱホバこれにこたへたまふ
10 サムエル 燔祭 をささげ 居 し 時 ペリシテ 人 イスラエル 人 と 戰 はんとて 近 づきぬ 是 日 ヱホバ 大 なる 雷 をくだしペリシテ 人 をうちて 之 を 亂 し 賜 ければペリシテ 人 イスラエル 人 のまへに 敗 れたり
11 イスラエル 人 ミズパをいでてペリシテ 人 をおひ 之 をうちてベテカルの 下 にいたる
12 サムエル 一 の 石 をとりてミズパとセンの 間 におきヱホバ 是 まで 我 らを 助 けたまへりといひて 其 名 をエベネゼル(助 けの 石)と 呼 ぶ
13 ペリシテ 人 攻伏 られて 再 びイスラエルの 境 にいらずサムエルの 一生 のあひだヱホバの 手 ペリシテ 人 をふせげり
14 ペリシテ 人 のイスラエルより 取 たる 邑々 はエクロンよりガテまでイスラエルにかへりぬまた 其 周圍 の 地 はイスラエル 人 これをペリシテ 人 の 手 よりとりかへせりまたイスラエル 人 とアモリ 人 と 好 をむすべり
15 サムエル 一生 のあひだイスラエルをさばき
16 歳々 ベテルとギルガルおよびミズパをめぐりて 其 處々 にてイスラエル 人 をさばき
17 またラマにかへれり 此處 に 其 家 あり 此 にてイスラエルをさばき 又 此 にてヱホバに 壇 をきづけり
Chapter 8
1 サムエル 年 老 て 其 子 をイスラエルの 士師 となす
2 兄 の 名 をヨエルといひ 弟 の 名 をアビヤといふベエルシバにありて 士師 たり
3 其 子 父 の 道 をあゆまずして 利 にむかひ 賄賂 をとりて 審判 を 曲 ぐ
4 是 においてイスラエルの 長老 みなあつまりてラマにゆきサムエルの 許 に 至 りて
5 これにいひけるは 視 よ 汝 は 老 い 汝 の 子 は 汝 の 道 をあゆまずさればわれらに 王 をたててわれらを 鞫 かしめ 他 の 國々 のごとくならしめよと
6 その 我 らに 王 をあたへて 我 らを 鞫 かしめよといふを 聞 てサムエルよろこばず 而 してサムエル、ヱホバにいのりしかば
7 ヱホバ、サムエルにいひたまひけるは 民 のすべて 汝 にいふところのことばを 聽 け 其 は 汝 を 棄 るにあらず 我 を 棄 て 我 をして 其 王 とならざらしめんとするなり
8 かれらはわがエジプトより 救 ひいだせし 日 より 今日 にいたるまで 我 をすてて 他 の 神 につかへて 種々 の 所行 をなせしごとく 汝 にもまた 然 す
9 然 れどもいま 其 言 をきけ 但 し 深 くいさめて 其 治 むべき 王 の 常例 をしめすべし
10 サムエル 王 を 求 むる 民 にヱホバのことばをことごとく 告 て
11 いひけるは 汝等 ををさむる 王 の 常例 は 斯 のごとし 汝 らの 男子 をとり 己 れのために 之 をたてて 車 の 御者 となし 騎兵 となしまた 其 車 の 前驅 となさん
12 また 之 をおのれの 爲 に 千夫 長 五十夫 長 となしまた 其 地 をたがへし 其 作 物 を 刈 らしめまた 武器 と 車 器 とを 造 らしめん
13 また 汝 らの 女子 をとりて 製香者 となし 厨婢 となし 灸麺者 となさん
14 又 汝 らの 田畝 と 葡萄園 と 橄欖 園 の 最 も 善 きところを 取 て 其 臣僕 にあたへ
15 汝 らの 穀物 と 汝 らの 葡萄 の 什分 一 をとりて 其 官吏 と 臣僕 にあたへ
16 また 汝 らの 僕 婢 および 汝 らの 最 も 善 き 牛 と 汝 らの 驢馬 を 取 ておのれのために 作 かしめ
17 又 汝 らの 羊 の 十分 一 をとり 又 汝 らを 其 僕 となさん
18 其 日 において 汝等 己 のために 擇 みし 王 のことによりて 呼號 らんされどヱホバ 其 日 に 汝 らに 聽 たまはざるべしと
19 然 るに 民 サムエルの 言 にしたがふことをせずしていひけるは 否 われらに 王 なかるべからず
20 我 らも 他 の 國々 の 如 くになり 我 らの 王 われらを 鞫 きわれらを 率 て 我 らの 戰 にたたかはん
21 サムエル 民 のことばを 盡 く 聞 て 之 をヱホバの 耳 に 告 ぐ
22 ヱホバ、サムエルにいひたまひけるはかれらのことばを 聽 きかれらのために 王 をたてよサムエル、イスラエルの 人々 にいひけるは 汝 らおのおの 其 邑 にかへるべし
Chapter 9
1 茲 にベニヤミンの 人 にてキシと 名 くる 力 の 大 なるものありキシはアビエルの 子 アビニルはゼロンの 子 ゼロンはベコラテの 子 ベコラテはアビヤの 子 アビヤはベニヤミンの 子 なり
2 キシにサウルと 名 くる 子 あり 壯 にして 美 はしイスラエルの 子孫 の 中 に 彼 より 美 はしき 者 たく 肩 より 上 民 のいづれの 人 よりも 高 し
3 サウルの 父 キシの 驢馬 失 ぬキシ 其 子 サウルにいひけるは 一人 の 僕 をともなひ 起 ちてゆき 驢馬 を 尋 ねよ
4 サウル、ニフライムの 山地 を 通 り 過 ぎシヤリシヤの 地 を 通 りすぐれども 見 あたらずシヤリムの 地 を 通 りすぐれども 居 らずベニヤミンの 地 をとほりすぐれども 見 あたらず
5 かれらツフの 地 にいたれる 時 サウル 其 ともなへる 僕 にいひけるはいざ 還 らん 恐 らくはわが 父 驢馬 の 事 を 措 て 我等 の 事 を 思 ひ 煩 はん
6 僕 これにいひけるは 此 邑 に 神 の 人 あり 尊 き 人 にして 其 言 ふところは 皆 必 らず 成 る 我 らかしこにいたらんかれ 我 らがゆくべき 路 をわれらにしめすことあらん
7 サウル 僕 にいひけるは 我 らもしゆかば 何 を 其人 におくらんか 器 のパンは 旣 に 罄 て 神 の 人 におくるべき 禮物 あらず 何 かあるや
8 僕 またサウルにこたへていひけるは 視 よわが 手 に 銀 一シケルの四 分 の一あり 我 これを 神 の 人 にあたへて 我 らに 路 をしめさしめんと
9 昔 しイスラエルにおいては 人 神 にとはんとてゆく 時 はいざ 先見者 にゆかんといへり 其 は 今 の 預言者 は 昔 しは 先見者 とよばれたればなり
10 サウル 僕 にいひけるは 善 くいへりいざゆかんとて 神 の 人 のをる 邑 におもむけり
11 かれら 邑 にいる 坂 をのぼれる 時 童 女 數人 の 水 くみにいづるにあひ 之 にいひけるは 先見者 は 此 にをるや
12 答 ていひけるはをる 視 よ 汝 のまへにをる 急 ぎゆけ 今日 民 崇邱 にて 祭 をなすにより 彼 けふ 邑 にきたれり
13 汝 ら 邑 にる 時 かれが 崇邱 にのぼりて 食 に 就 くまへに 直 ちにかれにあはん 其 は 彼 まづ 祭品 を 祝 してしかるのち 招 かれたる 者 食 ふべきに 因 りかれが 來 るまでは 民 食 はざるなり 故 に 汝 らのぼれ 今 かれにあはんと
14 かれら 邑 にのぼりて 邑 のなかにいるとき 視 よサムエル 崇邱 にのぼらんとてかれらにむかひて 出 きたりぬ
15 ヱホバ、サウルのきたる 一日 まへにサムエルの 耳 につげていひたまひけるは
16 明日 いまごろ 我 ベニヤミンの 地 より 一箇 の 人 を 汝 につかはさん 汝 かれに 膏 を 注 ぎてわが 民 イスラエルの 長 となせかれわが 民 をペリシテ 人 の 手 より 救 ひいださんわが 民 のさけび 我 に達せしにより 我 是 をかへりみるなり
17 サムエル、サウルを 見 るときヱホバこれにいひたまひけるは 視 よわが 汝 につげしは 此人 なり 是 人 わが 民 ををさむべし
18 サウル 門 の 中 にてサムエルにちかづきいひけるは 先見者 の 家 はいづくにあるや 請 ふ 我 につげよ
19 サムエル、サウルにこたへていひけるは 我 はすなはち 先見者 なり 汝 わがまへにゆきて 崇邱 にのぼれ 汝 ら 今日 我 とともに 食 す 可 し 明日 われ 汝 をさらしめ 汝 の 心 にあることを 悉 く 汝 にしめさん
20 三日 まへに 失 たる 汝 の 驢馬 は 旣 に 見 あたりたれば 之 をおもふなかれ 抑 もイスラエルの 總 ての 寶 は 誰 の 者 なるや 即 ち 汝 と 汝 の 父 の 家 のものならずや
21 サウルこたへていひけるは 我 はイスラエルの 支派 の 最 も 小 き 支派 なるベニヤミンの 人 にしてわが 族 はベニヤミンの 支派 の 諸 の 族 の 最 も 小 き 者 に 非 やなんぞ 斯 る 事 を 我 にかたるや
22 サムエル、サウルと 其 僕 をみちびきて 堂 にいり 招 かれたる三十 人 ばかりの 者 の 中 の 最 も 上 に 坐 せしむ
23 サムエル 庖人 にいひけるはわが 汝 にわたして 汝 の 許 におけといひし 分 をもちきたれ
24 庖人 肩 と 肩 に 屬 る 者 をとりあげて 之 をサウルのまへに 置 くサムエルいひけるは 視 よ 是 は 存 へおきたる 物 なり 汝 のまへにおきて 食 へ 其 はわれ 民 をまねきし 時 よりこれを 汝 の 爲 にたくはへおきたればなりかくてサウル 此 日 サムエルとともに 食 せり
25 崇邱 をくだりて 邑 にいりし 時 サムエル、サウルとともに 屋背 の 上 にてものがたる
26 かれら 早 くおく 即 ちサムエル 曙 に 屋背 の 上 なるサウルをよびていけるは 起 よわれ 汝 をかへさんとサウルすなはちおきあがるサウルとサムエルともに 外 にいで
27 邑 の 極處 にくだれるときサムエル、サウルにいひけるは 僕 に 命 じて 我等 の 先 にゆかしめよ(僕 先 にゆく)しかして 汝 暫 くとどまれ 我 汝 に 神 の 言 をしめさん
Chapter 10
1 サムエルすなはち 膏 の 瓶 をとりてサウルの 頭 に 沃 ぎ 口 接 して 曰 けるはヱホバ 汝 をたてて 其 產業 の 長 となしたまふにあらずや
2 汝 今日 我 をはなれて 去 りゆく 時 ベニヤミンの 境 のゼルザにあるラケルの 墓 のかたはらにて 二人 の 人 にあふべしかれら 汝 にいはん 汝 がたづねにゆきし 驢馬 は 見 あたりぬ 汝 の 父 驢馬 のことをすてて 汝 らのことをおもひわづらひわが 子 の 事 をいかがすべきやといへりと
3 其處 より 汝 尚 すすみてタボルの 橡 の 樹 のところにいたらんに 彼處 にてベテルにのぼり 神 にまうでんとする三 人 の 者 汝 にあはん 一人 は 三頭 の 山羊羔 を 携 へ 一人 は 三團 のパンをたづさへ 一人 は 一嚢 の 酒 をたづさふ
4 かれら 汝 に 安否 をとひ 二團 のパンを 汝 にあたへん 汝 之 を 其 手 よりうくべし
5 其 の 後 汝 神 のギベアにいたらん 其處 にペリシテ 人 の 代 官 あり 汝 彼處 にゆきて 邑 にいるとき 一群 の 預言者 の 瑟 と 鼗 と 笛 と 琴 を 前 に 執 らせて 預言 しつつ 崇邱 をくだるにあはん
6 其 の 時 神 のみたま 汝 にのぞみて 汝 かれらとともに 預言 し 變 りて 新 しき 人 とならん
7 是 らの 徴 汝 の 身 におこらば 手 のあたるにまかせて 事 を 爲 すべし 神 汝 とともにいませばなり
8 汝 我 にさきだちてギルガルにくだるべし 我 汝 の 許 にくだりて 燔祭 を 供 へ 酬恩祭 を 献 げんわが 汝 のもとに 至 り 汝 の 爲 すべきことを 示 すまで 汝 七日 のあひだ 待 つべし
9 サケウル 背 をかへしてサムエルを 離 れし 時 神 之 に 新 しき 心 をあたへたまふしかして 此 しるし 皆 其 日 におこれり
10 ふたり 彼處 にゆきてギベアにいたれるときみよ 一群 の 預言者 これにあふしかして 神 の 霊 サウルにのぞみてサウルかれらの 中 にありて 預言 せり
11 素 よりサウルを 識 る 人々 サウルの 預言 者 と 偕 に 預言 するを 見 て 互 ひにいひけるはキシの 子 サウル 今 何事 にあふやサウルも 預言者 の 中 にあるやと
12 其 處 の 人 ひとり 答 へて 彼等 の 父 は 誰 ぞやといふ 是故 にサウルも 預言者 の 中 にあるやといふは 諺 となれり
13 サウル 預言 を 終 て 崇邱 にいたるに
14 サウルの 叔父 サウルと 僕 にいひけるは 汝 ら 何處 にゆきしやサウルいひけるは 驢馬 を 尋 ねに 出 しが 何處 にもをらざるを 見 てサムエルの 許 にいたれり
15 サウルの 叔父 いひけるはサムエルは 汝 に 何 をいひしか 請 ふ 我 につげよ
16 サウル 叔父 にいひけるは 明 かに 驢馬 の 見 あたりしを 告 げたりと 然 れどもサムエルが 言 る 國 王 の 事 はこれにつげざりき
17 サムエル 民 をミヅパにてヱホバのまへに 集 め
18 イスラエルの 子孫 にいひけるはイスラエルの 神 ヱホバ 斯 くいひたまふ 我 イスラエルをみちびきてエジプトより 出 し 汝 らをエジプト 人 の 手 および 凡 て 汝 らを 虐遇 る 國人 の 手 より 救 ひいだせり
19 然 るに 汝 らおのれを 患難 と 難苦 のうちより 救 ひいだしたる 汝 らの 神 を 棄 て 且 否 われらに 王 をたてよといへり 是故 にいま 汝等 の 支派 と 群 にしたがひてヱホバのまへに 出 よ
20 サムエル、イスラエルの 諸 の 支派 を 呼 よせし 時 ベニヤミンの 支派 籤 にあたりぬ
21 またベニヤミンの 支派 を 其 族 のかずにしたがひて 呼 よせしときマテリの 族 籤 にあたりキシの 子 サウル 籤 にあたれり 人々 かれを 尋 ねしかども 見 出 ざれば
22 またヱホバに 其人 は 此 に 來 るや 否 やを 問 しにヱホバ 答 たまはく 視 よ 彼 は 行李 のあひだにかくると
23 人々 はせゆきて 彼 を 其處 よりつれきたれり 彼 民 の 中 にたつに 肩 より 以上 民 の 何 の 人 よりも 高 かりき
24 サムエル 民 にいひけるは 汝 らヱホバの 擇 みたまひし 人 を 見 るか 民 のうちに 是 人 の 如 き 者 とし 民 みなよばはりいひけるは 願 くは 王 いのちながかれ
25 時 にサムエル 王 國 の 典章 を 民 にしめして 之 を 書 にしるし 之 をヱホバのまへに 蔵 めたりしかしてサムエル 民 をことごとく 其 家 にかへらしむ
26 サウルもまたギベアの 家 にかへるに 神 に 心 を 感 ぜられたる 勇士 等 これとともにゆけり
27 然 れども 邪 なる 人々 は 彼人 いかで 我 らを 救 はんやといひて 之 を 蔑視 り 之 に 禮物 をおくらざりしかどサウルは 唖 のごとくせり
Chapter 11
1 アンモニ 人 ナハシ、ギレアデのヤベシにのぼりて 之 を 圍 むヤベシの 人々 ナハシにいひけるは 我 らと 約 をなせ 然 らば 汝 につかへん
2 アンモニ 人 ナハシこれに 答 へけるは 我 かくして 汝 らと 約 をなさん 即 ち 我 汝 らの 右 の 目 を 抉 りてイスラエルの 全地 に 恥辱 をあたへん
3 ヤベシの 長老 これにいひけるは 我 らに 七日 の 猶予 をあたへて 使 をイスラエルの 四方 の 境 におくることを 得 さしめよ 而 して 若 し 我 らを 救 ふ 者 なくば 我 ら 汝 にくだらん
4 斯 て 使 サウルのギベアにいたり 此事 を 民 の 耳 に 告 しかば 民 皆 聲 をあげて 哭 きぬ
5 爰 にサウル 田 より 牛 にしたがひて 來 るサウルいひけるは 民 何 によりて 哭 くやと 人々 これにヤベシ 人 の 事 を 告 ぐ
6 サウル 之 を 聞 るとき 神 の 霊 これに 臨 みてその 怒 甚 だしく 燃 えたち
7 一 軛 の 牛 をころしてこれを 切 り 割 き 使 の 手 をもてこれをイスラエルの 四方 の 境 にあまねくおくりていはしめけるは 誰 にてもサウルとサムエルにしたがひて 出 ざる 者 は 其 牛 かくのごとくせらるべしと 民 ヱホバを 畏 み 一人 のごとく 均 くいでたり
8 サウル、ベゼクにてこれを 數 ふるにイスラエルの 子孫 三十 萬 ユダの 人 三 萬 ありき
9 斯 て 人々 來 れる 使 にいひけるはギレアデのヤベシの 人 にかくいへ 明日 日 の 熱 き 時 汝 ら 助 を 得 んと 使 かへりてヤベシ 人 に 告 げければ 皆 よろこびぬ
10 是 をもてヤベシの 人 云 けるは 明日 汝 らに 降 らん 汝 らの 善 と 思 ふところを 爲 せ
11 明日 サウル 民 を 三隊 にわかち 暁更 に 敵 の 軍 の 中 にいりて 日 の 熱 くなる 時 までアンモニ 人 をころしければ 遺 れる 者 は 皆 ちりぢりになりて 二人 倶 にあるものなかりき
12 民 サムエルにいひけるはサウル 豈 我 らの 王 となるべけんやと 言 しは 誰 ぞや 其人 を 引 き 來 れ 我 ら 之 をころさん
13 サウルいひけるは 今日 ヱホバ 救 をイスラエルに 施 したまひたれば 今日 は 人 をころすべからず
14 茲 にサムエル 民 にいひけるはいざギルガルに 往 て 彼處 にて 王 國 を 新 にせんと
15 民 みなギルガルにゆきて 彼處 にてヱホバのまへにサウルを 王 となし 彼處 にて 酬恩祭 をヱホバのまへに 献 げサウルとイスラエルの 人々 皆 かしこにて 大 に 祝 へり
Chapter 12
1 サムエル、イスラエルの 人々 にいひけるは 視 よ 我 汝 らが 我 にいひし 言 をことごとく 聽 て 汝 らに 王 を 立 たり
2 見 よ 今 王 汝 らのまへにあゆむ 我 は 老 て 髮 しろし 視 よわが 子 ども 汝 らと 共 にあり 我 幼稚時 より 今日 にいたるまで 汝等 のまへにあゆめり
3 視 よ 我 ここにありヱホバのまへと 其 膏 そそぎし 者 のまへに 我 を 訴 へよ 我 誰 の 牛 を 取 りしや 誰 の 驢馬 をとりしや 誰 を 掠 めしや 誰 を 虐遇 しや 誰 の 手 より 賄賂 をとりてわが 目 を 矇 せしや 有 ば 我 これを 汝 らにかへさん
4 彼 らいひけるは 汝 は 我 らをかすめずくるしめず 又 何 をも 人 の 手 より 取 りしことなし
5 サムエルかれらにいひけるは 汝 らが 我 手 のうちに 何 をも 見 いださざるをヱホバ 汝 らに 證 したまふ 其 膏 そそぎし 者 も 今日 證 す 彼 ら 答 へけるは 證 したまふ
6 サムエル 民 にいひけるはヱホバはモーセとアロンをたてし 者 汝 らの 先祖 をエジプトの 地 より 導 きいだせしものなり
7 立 ちあがれヱホバが 汝 らおよび 汝 らの 先祖 になしたまひし 諸 の 義 しき 行爲 につきて 我 ヱホバのまへに 汝 らと 論 ぜん
8 ヤコブのエジプトにいたるにおよびて 汝 らの 先祖 のヱホバに 呼 はりし 時 ヱホバ、モーセとアロンを 遣 はしたまひて 此 二人 汝 らの 先祖 をエジプトより 導 きいだして 此處 にすましめたり
9 しかるに 彼 ら 其 神 ヱホバを 忘 れしかばヱホバこれをハゾルの 軍 の 長 シセラの 手 とペリシテ 人 の 手 およびモアブ 王 の 手 にわたしたまへり 斯 て 彼 らこれを 攻 ければ
10 民 ヱホバに 呼 はりていひけるは 我 らヱホバを 棄 てバアルとアシタロテに 事 へてヱホバに 罪 を 犯 したりされど 今 我 らを 敵 の 手 より 救 ひいだしたまへ 我 ら 汝 につかへんと
11 是 においてヱホバ、ヱルバアルとバラクとエフタとサムエルを 遣 はして 汝 らを 四方 の 敵 の 手 より 救 ひいだしたまひて 汝 ら 安 らかに 住 めり
12 しかるに 汝 らアンモンの 子孫 の 王 ナハシの 汝 らを 攻 んとて 來 るを 見 て 汝 らの 神 ヱホバ 汝 らの 王 なるに 汝 ら 我 にいふ 否 我 らををさむる 王 なかるべからずと
13 今 汝 らが 選 みし 王 汝 らがねがひし 王 を 見 よ 視 よヱホバ 汝 らに 王 をたてたまへり
14 汝 らもしヱホバを 畏 みて 之 につかへ 其 言 にしたがひてヱホバの 命 にそむかずまた 汝 らと 汝 らををさむる 王 恒 に 汝 らの 神 ヱホバに 從 はば 善 し
15 しかれども 汝 らもしヱホバの 言 にしたがはずしてヱホバの 命 にそむかばヱホバの 手 汝 らの 先祖 をせめしごとく 汝 らをせむべし
16 汝 ら 今 たちてヱホバが 爾 らの 目 のまへになしたまふ 此 大 なる 事 を 見 よ
17 今日 は 麥 刈 時 にあらずや 我 ヱホバを 呼 んヱホバ 雷 と 雨 をくだして 汝 らが 王 をもとめてヱホバのまへに 爲 したる 罪 の 大 なるを 見 しらしめたまはん
18 かくてサムエル、ヱホバをよびければヱホバ 其 日 雷 と 雨 をくだしたまへり 民 みな 大 にヱホバとサムエルを 恐 る
19 民 みなサムエルにいひけるは 僕 らのために 汝 の 神 ヱホバにいのりて 我 らを 死 なざらしめよ 我 ら 諸 の 罪 にまた 王 を 求 むるの 惡 をくはへたればなり
20 サムエル 民 にいひけるは 懼 るなかれ 汝 らこの 總 ての 惡 をなしたりされどヱホバに 從 ふことを 息 ず 心 をつくしてヱホバに 事 へ
21 虚 しき 物 に 迷 ひゆくなかれ 是 は 虚 しき 物 なれば 汝 らを 助 くることも 救 ふことも 得 ざるなり
22 ヱホバ 其 大 なる 名 のために 此 民 をすてたまはざるべし 其 はヱホバ 汝 らをおのれの 民 となすことを 善 としたまへばなり
23 また 我 は 汝 らのために 祈 ることをやめてヱホバに 罪 ををかすことは 決 てせざるべし 且 われ 善 き 正 しき 道 をもて 汝 らををしへん
24 汝 ら 只 ヱホバをかしこみ 心 をつくして 誠 にこれにつかへよ 而 して 如何 に 大 なることをヱホバ 汝 らになしたまひしかを 思 ふ 可 し
25 しかれども 汝 らもしなほ 惡 をなさば 汝 らと 汝 らの 王 ともにほろぼさるべし
Chapter 13
1 サウル三十 歳 にて 王 の 位 に 即 く 彼 二 年 イスラエルををさめたり
2 爰 にサウル、イスラエル 人 三 千 を 擇 む 其 二 千 はサウルとともにミクマシおよびベテルの 山地 にあり 其 一 千 はヨナタンとともにベニヤミンのギベアにあり 其 餘 の 民 はサウルおのおの 其 幕屋 にかへらしむ
3 ヨナタン、ゲバにあるペリシテ 人 の 代 官 をころせりペリシテ 人 之 れをきく 是 においてサウル 國 中 にあまねくラツパを 吹 ていはしめけるはヘブル 人 よ 聞 くべし
4 イスラエル 人 皆 聞 けるに 云 くサウル、ペリシテ 人 の 代 官 を 撃 りしかしてイスラエル、ペリシテ 人 の 中 に 惡 まると 斯 て 民 めされてサウルにしたがひギルガルにいたる
5 ペリシテ 人 イスラエルと 戰 はんとて 集 りけるが 兵 車 三 百 騎兵 六 千 にして 民 は 濱 の 沙 の 多 きがごとくなりき 彼 らのぼりてベテアベンにむかへるミクマシに 陣 をとれり
6 イスラエルの 人 苦 められ 其 危 きを 見 て 皆 巖穴 に 林叢 に 崗巒 に 高塔 に 坎阱 にかくれたり
7 また 或 るヘブル 人 はヨルダンを 渉 りてガドとギレアデの 地 にいたる 然 るにサウルは 尚 ギルガルにあり 民 皆 戰慄 て 之 にしたがふ
8 サウル、サムエルの 定 めし 期 にしたがひて 七日 とどまりしがサムエル、ギルガルに 來 らず 民 はなれて 散 ければ
9 サウルいひけるは 燔祭 と 酬恩祭 を 我 にもちきたれと 遂 に 燔祭 をささげたり
10 燔祭 をささぐることを 終 しときに 視 よサムエルいたるサウル 安否 を 問 はんとてこれをいで 迎 ふに
11 サムエルいひけるは 汝 何 をなせしやサウルいひけるは 我民 の 我 をはなれてちりまた 汝 の 定 まれる 日 のうちに 來 らずしてペリシテ 人 のミクマシに 集 まれるを 見 しかば
12 ペリシテ 人 ギルガルに 下 りて 我 をおそはんに 我 いまだヱホバをなごめずといひて 勉 て 燔祭 をささげたり
13 サムエル、サウルにいひけるは 汝 おろかなることをなせり 汝 その 神 ヱホバのなんぢに 命 じたまひし 命令 を 守 らざりしなり 若 し 守 りしならばヱホバ、イスラエルををさむる 位 を 永 く 汝 に 定 めたまひしならん
14 然 どもいま 汝 の 位 たもたざるべしヱホバ 其心 に 適 ふ 人 を 求 めてヱホバ 之 に 其 民 の 長 を 命 じたまへり 汝 がヱホバの 命 ぜしことを 守 らざるによる
15 かくてサムエルたちてギルガルよりベニヤミンのギベアにのぼりいたる
16 サウルおのれとともにある 民 をかぞふるに 凡 そ六 百 人 ありき
17 サウルおよび 其 子 ヨナタン 並 にこれとともにある 民 はベニヤミンのゲバに 居 りペリシテ 人 はミクマシに 陣 を 張 る
18 劫掠 人 三隊 にわかれてペリシテ 人 の 陣 よりいで 一隊 はオフラの 路 にむかひてシユアルの 地 にいたり
19 一隊 はベテホロンの 道 に 向 ひ 一隊 は 曠野 の 方 にあるゼボイムの 谷 をのぞむ 境 の 路 にむかふ
20 時 にイスラエルの 地 のうち 何處 にも 鐵工 なかりき 是 はペリシテ 人 ヘブル 人 の 劍 あるひは 槍 を 作 ることを 恐 れたればなり
21 イスラエル 人 皆 其 耜 鋤 斧 耒 即 ち 耜 鋤 三歯 鍬 斧 の 錣 に 缺 ありてこれを 鍛 ひ 改 さんとする 時 又 は 鞭 を 尖 らさんとする 時 は 常 にペリシテ 人 の 所 にくだれり
22 是 をもて 戰 の 日 にサウルおよびヨナタンとともにある 民 の 手 には 劍 も 槍 も 見 えず 只 サウルと 其 子 ヨナクンのみ 持 り
23 茲 にペリシテ 人 の 先陣 ミクマシの 渡口 に 進 む
Chapter 14
1 其時 サウルの 子 ヨナタン 武器 を 執 る 若 者 にいひけるはいざ 對面 にあるペリシテ 人 の 先 陣 に 渉 りゆかんと 然 ど 其 父 には 告 ざりき
2 サウル、ギベアの 極 においてミグロンにある 石榴 の 樹 の 下 に 住 まりしが 倶 にある 民 はおよそ六 百 人 なりき
3 又 アヒヤ、エポデを 衣 てともにをるアヒヤはアヒトブの 子 アヒトブはイカボデの 兄弟 イカボデばピネハスの 子 ピネハスはシロにありてヱホバの 祭司 たりしエリの 子 なり 民 ヨナタンの 行 けるをしらざりき
4 ヨナタンの 渉 りてペリシテ 人 の 先 陣 にいたらんとする 渡口 の 間 に 此傍 に 巉巌 あり 彼傍 にも 巉巌 あり 一 の 名 をボゼツといひ 一 の 名 をセネといふ
5 其 一 は 北 に 向 ひてミクマシに 對 し 一 に 南 にむかひてゲバに 對 す
6 ヨナタン 武器 を 執 る 少者 にいふいざ 我 ら 此 割禮 なき 者 どもの 先 陣 にわたらんヱホバ 我 らのためにはたらきたまことあらん 多 くの 人 をもて 救 ふも 少 き 人 をもてすくふもヱホバにおいては 妨 げなし
7 武器 をとるもの 之 にいひけるは 總 て 汝 の 心 にあるところをなせ 進 めよ 我 汝 の 心 にしたがひて 汝 とともにあり
8 ヨナタンいひけるは 見 よ 我 らかの 人々 のところにわたり 身 をかれらにあらはさん
9 かれら 若 し 我 らが 汝 らにいたるまでとどまれと 斯 く 我 らにいはば 我 らはこのままとどまりてかれらの 所 にのぼらじ
10 されど 若 し 我 らのところにのぼれとかくいはば 我 らのぼらんヱホバかれらを 我 らの 手 にわたしたまふなり 是 を 徴 となさんと
11 斯 て 二人 其 身 をペリシテ 人 の 先 陣 にあらはしければペリシテ 人 いひけるは 視 よヘブル 人 其 かくれたる 穴 よりいで 來 ると
12 すなはち 先 陣 の 人 ヨナタンと 其 武器 を 執 る 者 にこたへて 我等 の 所 に 上 りきたれ 目 に 物 見 せんといひしかばヨナタン 武器 を 執 る 者 にいひけるは 我 にしたがひてのぼれヱホバ 彼 らをイスラエルの 手 にわたしたまふなり
13 ヨナタン 攀 のぼり 其 武器 を 執 るもの 之 にしたがふペリシテ 人 ヨナタンのまへに 仆 る 武器 をとる 者 も 後 にしたがひて 之 をころす
14 ヨナタンと 其 武器 を 取 るもの 手 はじめに 殺 せし 者 およそ二十 人 此事 田畑 半 段 の 内 になれり
15 しかして 野 にある 陣 のものおよび 凡 ての 民 の 中 に 戰慄 おこり 先陣 の 人 および 劫掠 人 もまたおののき 地 ふるひ 動 けり 是 は 神 よりの 戰慄 なりき
16 ベニヤミンのギベアにあるサウルの 戌卒 望 見 しに 視 よペリシテ 人 の 群衆 くづれて 此彼 にちらばる
17 時 にサウルおのれとともなる 民 にいひけるは 汝 ら 點驗 て 誰 が 我 らの 中 よりゆきしかを 見 よとすなはちしらべたるにヨナタンとその 武器 を 執 るもの 居 らざりき
18 サウル、アヒヤにエポデを 持 きたれといふ 其 はかれ 此時 イスラエルのまへにエポデを 著 たれば 也
19 サウル 祭司 にかたれる 時 ペリシテ 人 の 軍 の 騒 いよいよましたりければサウル 祭司 にいふ 姑 く 汝 の 手 を 措 けと
20 かくてサウルおよびサウルと 共 にある 民 皆 呼 はりて 戰 ひに 至 るにペリシテ 人 おのおの 劍 を 以 て 互 に 相 撃 ちければその 敗績 はなはだ 大 なりき
21 また 此時 よりまへにペリシテ 人 とともにありてペリシテ 人 と 共 に 上 りて 陣 に 來 るところのヘブル 人 もまた 翻 へりてサウルおよびヨナタンと 共 にあるイスラエル 人 に 合 せり
22 又 エフライムの 山地 にかくれたるイスラエル 人 皆 ペリシテ 人 の 逃 るを 聞 てまた 戰 ひに 出 て 之 を 追撃 り
23 是 の 如 くヱホバ 此 日 イスラエルをすくひたまふ 而 して 戰 はベテアベンにうつれり
24 されど 此 日 イスラエル 人 苦 めり 其 はサウル 民 を 誓 はせて 夕 まで 即 ちわが 敵 に 仇 をむくゆるまでに 食物 を 食 ふ 者 は 呪詛 れんと 言 たればなり 是故 に 民 の 中 に 食物 を 味 ひし 者 なし
25 爰 に 民 みな 林森 に 至 に 地 の 表 に 蜜 あり
26 即 ち 民 森 にいたりて 蜜 のながるるをみる 然 ども 民 誓 を 畏 るれば 誰 も 手 を 口 につくる 者 なし
27 然 にヨナタンは 其 父 が 民 をちかはせしを 聞 ざりければ 手 にある 杖 の 末 をのばして 蜜 にひたし 手 を 口 につけたり 是 に 由 て 其 目 あきらかになりぬ
28 時 に 民 のひとり 答 て 言 けるは 汝 の 父 かたく 民 をちかはせて 今日 食物 をくらふ 人 は 呪詛 はれんと 言 り 是 に 由 て 民 つかれたり
29 ヨナタンいひけるはわが 父 國 を 煩 せり 請 ふ 我 この 蜜 をすこしく 嘗 しによりて 如何 にわが 目 の 明 かになりしかを 見 よ
30 ましてや 民 今日 敵 よりうばひし 物 を 十分 に 食 しならばペリシテ 人 をころすこと 更 におほかるべきにあらずや
31 イスラエル 人 かの 日 ペリシテ 人 を 撃 てミクマシよりアヤロンにいたる 而 して 民 はなはだ 疲 たり
32 是 において 民 劫掠 物 に 走 かかり 羊 と 牛 と 犢 とを 取 りて 之 を 地 のうへにころし 血 のままに 之 をくらふ
33 人々 サウルにつげていひけるは 民 肉 を 血 のままに 食 ひて 罪 をヱホバにをかすとサウルいひけるは 汝 ら 背 けり 直 ちにわがもとに 大 石 をまろばしきたれ
34 サウルまたいひけるは 汝 らわかれて 民 のうちにいりていへ 人 各 其 牛 と 各 其 羊 をわがもとに 引 ききたり 此處 にてころしくらへ 血 のままにくらひて 罪 をヱホバに 犯 すなかれと 此 において 民 おのおのこの 夜 其 牛 を 手 にひききたりて 之 をかしこにころせり
35 しかしてサウル、ヱホバに一つの 壇 をきづく 是 はサウルのヱホバに 壇 を 築 ける 始 なり
36 斯 てサウルいひけるは 我 ら 夜 のうちにペリシテ 人 を 追 くだり 夜明 までかれらを 掠 めて 一人 をも 殘 すまじ 皆 いひけるは 凡 て 汝 の 目 に 善 とみゆる 所 をなせと 時 に 祭司 いひけるは 我 ら 此 にちかより 神 にもとめんと
37 サウル 神 に 我 ペリシテ 人 をおひくだるべきか 汝 かれらをイスラエルの 手 にわたしたまふやと 問 けれど 此 日 はこたへたまはざりき
38 是 においてサウルいひけるは 民 の 長 たちよ 皆 此 にちかよれ 汝 らみて 今日 のこの 罪 のいづくにあるを 知 れ
39 イスラエルを 救 ひたまへるヱホバはいく 假令 わが 子 ヨナタンにもあれ 必 ず 死 なざるべからずとされど 民 のうち 一人 もこれにこたへざりき
40 サウル、イスラエルの 人々 にいひけるはなんぢらは 彼處 にをれ 我 とわが 子 ヨナタンは 此處 にをらんと 民 いひけるは 汝 の 目 によしとみゆるところをなせ
41 サウル、イスラエルの 神 ヱホバにいひけるはねがはくは 眞實 をしめしたまへとかくてヨナタンとサウル 籤 にあたり 民 はのがれたり
42 サウルいひけるは 我 とわが 子 のあひだの 鬮 を 掣 けと 即 ちヨナタンこれにあたれり
43 サウル、ヨナタンにいひけるは 汝 がなせしところを 我 に 告 よヨナタンつげていひけるは 我 は 只 わが 手 の 杖 の 末 をもて 少許 の 蜜 をなめしのみなるが 我 しなざるをえず
44 サウルこたへけるは 神 かくなしまたかさねてかくなしたまヘヨナタンよ 汝 死 ざるべからず
45 民 サウルにいひけるはイスラエルの 中 に 此 大 なるすくひをなせるヨナタン 死 ぬべけんや 決 めてしからずヱホバは 生 くヨナタンの 髮 の 毛 ひとすぢも 地 におつべからず 其 はかれ 神 とともに 今日 はたらきたればなりとかく 民 ヨナタンをすくひて 死 なざらしむ
46 サウル、ペリシテ 人 を 追 ことを 息 てのぼりぬペリシテ 人 其 國 にかへれり
47 かくてサウル、イスラエルの 王 の 位 につきて 四方 の 敵 を 攻 む 即 ちモアブ、アンモンの 子孫 エドム、ゾバの 王 たちおよびペリシテ 人 をせめけるに 凡 てむかふところにて 勝利 を 得 たり
48 サウル 力 をえアマレク 人 をうちてイスラエルを 其 劫掠 人 の 手 よりすくひいだせり
49 サウルの 男子 はヨナタン、ヱスイおよびマルキシユアなり 其 二人 の 女子 の 名 は 姉 はメラブといひ 妹 はミカルといふ
50 サウルの 妻 の 名 はアヒノアムといひてアヒマアズの 女子 なり 其 軍 の 長 の 名 はアブネルといひてサウルの 叔父 なるネルの 子 なり
51 サウルの 父 キシとアブネルの 父 ネルはアビエルの 子 なり
52 サウルの 一生 のあひだ 恒 にペリシテ 人 と 烈 しき 戰 ありサウルは 力 ある 人 または 勇 ある 人 を 見 るごとにこれをかかへたり
Chapter 15
1 茲 にサムエル、サウルにいひけるはヱホバ 我 をつかはし 汝 に 膏 を 沃 ぎて 其 民 イスラエルの 王 となさしめたりさればヱホバの 言 の 聲 をきけ
2 萬軍 のヱホバかくいひたまふ 我 アマレクがイスラエルになせし 事 すなはちエジプトよりのぼれる 時 其 途 を 遮 りしをかへりみる
3 今 ゆきてアマレクを 撃 ち 其 有 る 物 をことごとく 滅 しつくし 彼 らを 憐 むなかれ 男 女 童稚 哺乳兒 牛 羊 駱駝 驢馬 を 皆 殺 せ
4 サウル 民 をよびあつめてこれをテライムに 核 ふ 歩兵 二十 萬 ユダの 人 一 萬 あり
5 しかしてサウル、アマレクの 邑 にいたりて 谷 に 兵 を 伏 たり
6 サウル、ケニ 人 にいひけるは 汝 らゆきてさりアマレク 人 をはなれくだるべし 恐 らくはかれらとともに 汝 らをほろぼすにいたらんイスラエルの 子孫 のエジプトよりのぼれる 時 汝 らこれに 恩 みをほどこしたりと 即 ちケニ 人 アマレク 人 をはなれてさりぬ
7 サウル、アマレク 人 をうちてハビラよりエジプトの 東面 なるシユルにいたる
8 サウル、アマレク 人 の 王 アガグを 生 擒 り 刃 をもて 其 民 をことごとくほろぼせり
9 然 ども、サウルと 民 アガグをゆるしまた 羊 と 牛 の 最 も 嘉 きもの 及 び 肥 たる 物 並 に 羔 と 凡 て 善 き 物 を 殘 して 之 をほろぼしつくすをこのまず 但 惡 き 弱 き 物 をほろぼしつくせり
10 時 にヱホバの 言 サムエルにのぞみていはく
11 我 サウルを 王 となせしを 悔 ゆ 其 は 彼 背 きて 我 にしたがはずわが 命 をおこなはざればなりとサムエル 憂 て 終夜 ヱホバによばはれり
12 かくてサムエル、サウルにあはんとて 夙 く 起 きけるにサムエルにつぐるものありていふサウル、カルメルにいたり 勝利 の 表 を 立 て 轉 り 進 みてギルガルにくだれりと
13 サムエル、サウルの 許 に 至 りければサウルこれにいひけるは 汝 がヱホバより 福祉 を 得 んことをねがふ 我 ヱホバの 命 を 行 へりと
14 サムエルいひけるは 然 らばわが 耳 にいる 此 羊 の 聲 およびわがきく 牛 のこゑは 何 ぞや
15 サウルいひけるは 人々 これをアマレク 人 のところより 引 ききたれり 其 は 民 汝 の 神 ヱホバにささげんために 羊 と 牛 の 最 も 嘉 きものをのこせばなり 其 ほかは 我 らほろぼしつくせり
16 サムエル、サウルにいけるは 止 まれ 昨夜 ヱホバの 我 にかたりたまひしことを 汝 につげんサウルいひけるはいへ
17 サムエルいひけるはさきに 汝 が 微 き 者 とみづから 憶 へる 時 に 爾 イスラエルの 支派 の 長 となりしに 非 ずや 即 ちヱホバ 汝 に 膏 を 注 いでイスラエルの 王 となせり
18 ヱホバ 汝 を 途 に 遣 はしていひたまはく 往 て 惡人 なるアマレク 人 をほろぼし 其 盡 るまで 戰 へよと
19 何故 に 汝 ヱホバの 言 をきかずして 敵 の 所有物 にはせかかりヱホバの 目 のまへに 惡 をなせしや
20 サウル、サムエルにひけるは 我 誠 にヱホバの 言 にしたがひてヱホバのつかはしたまふ 途 にゆきアマレクの 王 アガグを 執 きたりアマレクをほろぼしつくせり
21 ただ 民 其 ほろぼしつくすべき 物 の 最初 としてギルガルにて 汝 の 神 ヱホバにささげんとて 敵 の 物 の 中 より 羊 と 牛 をとれり
22 サムエルいひけるはヱホバはその 言 にしたがふ 事 を 善 したまふごとく 燔祭 と 犠牲 を 善 したまふや 夫 れ 順 ふ 事 は 犠牲 にまさり 聽 く 事 は 牡羔 の 脂 にまさるなり
23 其 は 違逆 は 魔術 の 罪 のごとく 抗戻 は 虚 しき 物 につかふる 如 く 偶像 につかふるがごとし 汝 ヱホバの 言 を 棄 たるによりヱホバもまた 汝 をすてて 王 たらざらしめたまふ
24 サウル、サムエルにいひけるに 我 ヱホバの 命 と 汝 の 言 をやぶりて 罪 ををかしたり 是 は 民 をおそれて 其 言 にしたがひたるによりてなり
25 されば 今 ねがはくはわがつみをゆるし 我 とともにかへりて 我 をしてヱホバを 拝 することをえさしめよ
26 サムエル、サウルにいひけるは 我 汝 とともにかへらじ 汝 ヱホバの 言 を 棄 たるによりヱホバ 汝 をすててイスラエルに 王 たらしめたまはざればなり
27 サムエル 去 らんとて 振 還 しときサウルその 明衣 の 裾 を 捉 へしかば 裂 たり
28 サムエルかれにいひけるは 今日 ヱホバ、イスラエルの 國 を 裂 て 汝 よりはなし 汝 の 隣 なる 汝 より 善 きものにこれをあたへたまふ
29 またイスラエルの 能力 たる 者 は 謊 らず 悔 ず 其 はかれは 人 にあらざればくゆることなし
30 サウルいひけるは 我 罪 ををかしたれどねがはくはわが 民 の 長老 のまへおよびイスラエルのまへにて 我 をたふとみて 我 とともにかへり 我 をして 汝 の 神 ヱホバを 拝 むことをえさしめよ
31 ここにおいてサムエル、サウルにしたがひてかへるしかしてサウル、ヱホバを 拝 む
32 時 にサムエルいひけるは 汝 らわが 許 にアマレクの 王 アガグをひききたれとアガグ 喜 ばしげにサムエルの 許 にきたりアガグいひけるは 死 の 苦 みは 必 ず 過 さりぬ
33 サムエルいひけるに 汝 の 劍 はおほくの 婦人 を 子 なき 者 となせりかくのごとく 汝 の 母 は 婦人 の 中 の 最 も 子 なき 者 となるべしとサムエル、ギルガルにてヱホバのまへにおいてアガグを 斬 り
34 かくてサムエルはラマにゆきサウルはサウルのギベアにのぼりてその 家 にいたる
35 サムエル 其 しぬる 日 までふたたびきたりてサウルをみざりきしかれどもサムエル、サウルのためにかなしめりまたヱホバはサウルをイスラエルの 王 となせしを 悔 たまへり
Chapter 16
1 爰 にヱホバ、サムエルにいひたまひけるは 我 すでにサウルを 棄 てイスラエルに 王 たらしめざるに 汝 いつまでかれのために 歎 くや 汝 の 角 に 膏油 を 滿 してゆけ 我 汝 をベテレヘム 人 ヱサイの 許 につかはさん 其 は 我 其 子 の 中 にひとりの 王 を 尋 ねえたればなり
2 サムエルいひけるは 我 いかで 往 くことをえんサウル 聞 て 我 をころさんヱホバいひたまひけるは 汝 一犢 を 携 へゆきて 言 へヱホバに 犠牲 をささげんために 來 ると
3 しかしてヱサイを 犠牲 の 場 によべ 我 汝 が 爲 すべき 事 をしめさん 我 汝 に 告 るところの 人 に 膏 をそそぐ 可 し
4 サムエル、ヱホバの 語 たまひしごとくなしてベテレヘムにいたる 邑 の 長老 おそれて 之 をむかへいひけるは 汝 平康 なる 事 のためにきたるや
5 サムエルいひけるは 平康 なることのためなり 我 はヱホバに 犠牲 をささげんとてきたる 汝 ら 身 をきよめて 我 とともに 犠牲 の 場 にきたれと 斯 てヱサイと 其 諸子 を 潔 めて 犠牲 の 場 によびきたる
6 かれらが 至 れる 時 サムエル、エリアブを 見 ておもへらくヱホバの 膏 そそぐものは 必 ず 此人 ならんと
7 しかるにヱホバ、サムエルにいひたまひけるは 其 容貌 と 身 長 を 觀 るなかれ 我 すでにかれをすてたりわが 視 るところは 人 に 異 なり 人 は 外 の 貌 を 見 ヱホバは 心 をみるなり
8 ヱサイ、ヘアビナダブをよびてサムエルのまへを 過 しむサムエルいひけるは 此人 もまたヱホバ 擇 みたまはず
9 ヱサイ、シヤンマを 過 しむサムエルいひけるは 此人 もまたヱホバえらみたまはず
10 ヱサイ 其 七 人 の 子 をしてサムエルの 前 をすぎしむサムエル、ヱサイにいふヱホバ 是等 をえらみたまはず
11 サムエル、ヱサイにいひけるは 汝 の 男子 は 皆 此 にをるやヱサイいひけるは 尚 季子 のこれり 彼 は 羊 を 牧 をるなりとサムエル、ヱサイにいひけるは 彼 を 迎 へきたらしめよかれが 此 にいたるまでは 我 ら 食 に 就 かざるべし
12 是 において 人 をつかはしてかれをつれきたらしむ 其人 色 赤 く 目 美 しくして 其 貌 麗 しヱホバいひたまひけるは 起 てこれにあぶらを 沃 げ 是 其人 なり
13 サムエル 膏 の 角 をとりて 其 兄弟 の 中 にてこれに 膏 をそそげり 此 日 よりのちヱホバの 霊 ダビデにのぞむサムエルはたちてラマにゆけり
14 かくてヱホバの 霊 サウルをはなれヱホバより 來 る 惡 鬼 これを 惱 せり
15 サウルの 臣僕 これにいひけるは 視 よ 神 より 來 れる 惡 鬼 汝 をなやます
16 ねがはくはわれらの 主 汝 のまへにつかふる 臣僕 に 命 じて 善 く 琴 を 鼓 く 者 一人 を 求 めしめよ 神 よりきたれる 惡 鬼 汝 に 臨 む 時 彼 手 をもて 琴 を 鼓 て 汝 いゆることをえん
17 サウル 臣僕 にいひけるはわがために 巧 に 鼓琴 者 をたづねてわがもとにつれきたれ
18 時 に 一人 の 少者 こたへていひけるは 我 ベテレヘム 人 ヱサイの 子 を 見 しが 琴 に 巧 にしてまた 豪氣 して 善 くたたかふ 辯舌 さはやかなる 美 しき 人 なりかつヱホバこれとともにいます
19 サウルすなはち 使者 をヱサイにつかはしていひけるは 羊 をかふ 汝 の 子 ダビデをわがもとに 遣 はせと
20 ヱサイすなはち 驢馬 にパンを 負 せ 一 嚢 の 酒 と 山羊 の 羔 を 執 りてこれを 其 子 ダビデの 手 によりてサウルにおくれり
21 ダビデ、サウルの 許 にいたりて 其 まへに 事 ふサウル 大 にこれを 愛 し 其 武器 を 執 る 者 となす
22 サウル 人 をヱサイにつかはしていひけるはねがはくはダビデをしてわが 前 に 事 へしめよ 彼 はわが 心 にかなへりと
23 神 より 出 たる 惡 鬼 サウルに 臨 めるときダビデ 琴 を 執 り 手 をもてこれを 弾 にサウル 慰 さみて 愈 え 惡 鬼 かれをはなる
Chapter 17
1 爰 にペリシテ 人 其 軍 を 集 めて 戰 はんとしユダに 屬 するシヨコにあつまりシヨコとアゼカの 間 なるバスダミムに 陣 をとる
2 サウルとイスラエルの 人々 集 まりてエラの 谷 に 陣 をとりペリシテ 人 にむかひて 軍 の 陣列 をたつ
3 ペリシテ 人 は 此方 の 山 にたちイスラエルは 彼方 の 山 にたつ 谷 は 其 あひだにあり
4 時 にペリシテ 人 の 陣 よりガテのゴリアテと 名 くる 挑戰 者 いできたる 其 身 の 長 六キユビト 半
5 首 に 銅 の 盔 を 戴 き 身 に 鱗綴 の 鎧甲 を 着 たり 其 よろひの 銅 のおもさは五 千 シケルなり
6 また 脛 には 銅 の 脛 當 を 着 け 肩 の 間 に 銅 の 矛戟 を 負 ふ
7 其 槍 の 柄 は 機 の 梁 のごとく 槍 の 鋒刃 の 鐵 は六 百 シケルなり 楯 を 執 る 者 其 前 にゆく
8 ゴリアテ 立 てイスラエルの 諸行伍 によばはり 云 けるは 汝 らはなんぞ 陣列 をなして 出 きたるや 我 はペリシテ 人 にして 汝 らはサウルの 臣下 にあらずや 汝 ら 一人 をえらみて 我 ところにくだせ
9 其人 もし 我 とたたかひて 我 をころすことをえば 我 ら 汝 らの 臣僕 とならんされど 若 し 我 かちてこれを 殺 さば 汝 ら 我 らの 僕 となりて 我 らに 事 ふ 可 し
10 かくて 此 ペリシテ 人 いひけるは 我 今日 イスラエルの 諸行伍 を 挑 む 一人 をいだして 我 と 戰 はしめよと
11 サウルおよびイスラエルみなペリシテ 人 のこの 言 を 聞 き 驚 きて 大 に 懼 れたり
12 抑 ダビデはかのベテレヘムユダのエフラタ 人 ヱサイとなづくる 者 の 子 なり 此人 八 人 の 子 ありしがサウルの 世 には 年邁 みてすでに 老 たり
13 ヱサイの 長子 三 人 ゆきてサウルにしたがひて 戰爭 にいづ 其 戰 にいでし三 人 の 子 の 名 は 長 をエリアブといひ 次 をアビナダブといひ 第 三をシヤンマといふ
14 ダビデは 季子 にして 其 兄 三 人 はサウルにしたがへり
15 ダビデはサウルに 往來 してベテレヘムにて 其 父 の 羊 を 牧 ふ
16 彼 ペリシテ 人 四十 日 のあひだ 朝夕 近 づきて 前 にたてり
17 時 にヱサイ 其 子 ダビデにいひけるは 今 汝 の 兄 のために 此 烘麥 一 斗 と 此 十 のパンを 取 りて 陣 營 にをる 兄 のところにいそぎゆけ
18 また 此 十 の 乾酪 をとりて 其 千夫 の 長 におくり 兄 の 安否 を 視 て 其 返 事 をもちきたれと
19 サウルと 彼等 およびイスラエルの 人 は 皆 ペリシテ 人 とたたかひてエラの 谷 にありき
20 ダビデ 朝 夙 くおきて 羊 をひとりの 牧者 にあづけヱサイの 命 ぜしごとく 携 へゆきて 車 營 にいたるに 軍勢 いでて 行伍 をなし 鯨波 をあげたり
21 しかしてイスラエルとペリシテ 人 陣列 をたてて 行伍 を 行伍 に 相 むかはせたり
22 ダビデ 其 荷 をおろして 荷 をまもる 者 の 手 にわたし 行伍 の 中 にはせゆきて 兄 の 安否 を 問 ふ
23 ダビデ 彼等 と 倶 に 語 れる 時 視 よペリシテ 人 の 行伍 よりガテのペリシテのゴリアテとなづくる 彼 の 挑戰 者 のぼりきたり 前 のことばのごとく 言 しかばダビデ 之 を 聞 けり
24 イスラエルの 人 其人 を 見 て 皆 逃 て 之 をはなれ 痛 く 懼 れたり
25 イスラエルの 人 いひけるは 汝 らこののぼり 來 る 人 を 見 しや 誠 にイスラエルを 挑 んとて 上 りきたるなり 彼 をころす 人 は 王 大 なる 富 を 以 てこれをとまし 其 女子 をこれにあたへて 其 父 の 家 にはイスラエルの 中 にて 租税 をまぬかれしめん
26 ダビデ 其 傍 にたてる 人々 にかたりていひけるは 此 ペリシテ 人 をころしイスラエルの 耻辱 を 雪 ぐ 人 には 如何 なることをなすや 此 割禮 なきペリシテ 人 は 誰 なればか 活 る 神 の 軍 を 搦 む
27 民 まへのごとく 答 へていひけるはかれを 殺 す 人 には 斯 のごとくせらるべしと
28 兄 エリアブ、ダビデが 人々 とかたるを 聞 しかばエリアブ、ダビデにむかひて 怒 りを 發 しいひけるは 汝 なにのために 此 に 下 りしや 彼 の 野 にあるわづかの 羊 を 誰 にあづけしや 我 汝 の 傲慢 と 惡 き 心 を 知 る 其 は 汝 戰爭 を 見 んとて 下 ればなり
29 ダビデいひけるは 我 今 なにをなしたるや 只 一言 にあらずやと
30 又 ふりむきて 他 の 人 にむかひ 前 のごとく 語 れるに 民 まへのごとく 答 たり
31 人々 ダビデが 語 れる 言 をききてこれをサウルのまへにつげければサウルかれを 召 す
32 ダビデ、サウルにいひけるは 人々 かれがために 氣 をおとすべからず 僕 ゆきてかのペリシテ 人 とたたかはん
33 サウル、ダビデにいひけるは 汝 はかのペリシテ 人 をむかへてたたかふに 勝 ず 其 は 汝 は 少年 なるにかれは 若 き 時 よりの 戰 士 なればなり
34 ダビデ、サウルにいひけるは 僕 さきに 父 の 羊 を 牧 るに 獅子 と 熊 と 來 りて 其 群 の 羔 を 取 たれば
35 其 後 をおひて 之 を 搏 ち 羔 を 其 口 より 援 ひいだせりしかして 其 獣 我 に 猛 りかかりたれば 其 鬚 をとらへてこれを 撃 ちころせり
36 僕 は 旣 に 獅子 と 熊 とを 殺 せり 此 割禮 なきペリシテ 人 活 る 神 の 軍 をいどみたれば 亦 かの 獣 の 一 のごとくなるべし
37 ダビデまたいひけるはヱホバ 我 を 獅子 の 爪 と 熊 の 爪 より 援 ひいだしたまひたれば 此 ペリシテ 人 の 手 よりも 援 ひいだしたまはんとサウル、ダビデにいふ 往 けねがはくはヱホバ 汝 とともにいませ
38 是 においてサウルおのれの 戎 衣 をダビデに 衣 せ 銅 の 盔 を 其 首 にかむらせ 亦 鱗綴 の 鎧 をこれにきせたり
39 ダビデ 戎 衣 のうへに 劍 を 佩 て 往 かんことを 試 む 未 だ 驗 せしことなければなりしかしてダビデ、サウルにいひけるは 我 いまだ 驗 せしことなければ 是 を 衣 ては 往 くあたはずと
40 ダビデこれを 脱 ぎすて 手 に 杖 をとり 谿間 より 五 の 光滑 なる 石 を 拾 ひて 之 を 其 持 てる 牧羊者 の 具 なる 袋 に 容 れ 手 に 投石索 を 執 りて 彼 ペリシテ 人 にちかづく
41 ペリシテ 人 進 みきてダビデに 近 づけり 楯 を 執 るもの 其 まへにあり
42 ペリシテ 人 環視 てダビデを 見 て 之 を 藐視 る 其 は 少 くして 赤 くまた 美 しき 貌 なればなり
43 ペリシテ 人 ダビデにいひけるは 汝 杖 を 持 てきたる 我 豈 犬 ならんやとペリシテ 人 其 神 の 名 をもってダビデを 呪詛 ふ
44 しかしてペリシテ 人 ダビデにいひけるは 我 がもとに 來 れ 汝 の 肉 を 空 の 鳥 と 野 の 獣 にあたへんと
45 ダビデ、ペリシテ 人 にいひけるは 汝 は 劍 と 槍 と 矛戟 をもて 我 にきたる 然 ど 我 は 萬軍 のヱホバの 名 すなはち 汝 が 搦 みたるイスラエルの 軍 の 神 の 名 をもて 汝 にゆく
46 今日 ヱホバ 汝 をわが 手 に 付 したまはんわれ 汝 をうちて 汝 の 首級 を 取 りペリシテ 人 の 軍勢 の 尸體 を 今日 空 の 鳥 と 地 の 野 獣 にあたへて 全地 をしてイスラエルに 神 あることをしらしめん
47 且 又 この 群衆 みなヱホバは 救 ふに 劍 と 槍 を 用 ひたまはざることをしるにいたらん 其 は 戰 はヱホバによれば 汝 らを 我 らの 手 にわたしたまはんと
48 ペリシテ 人 すなはち 立 あがり 進 みちかづきてダビデをむかへしかばダビデいそぎ 陣 にはせゆきてペリシテ 人 をむかふ
49 ダビデ 手 を 嚢 にいれて 其 中 より一つの 石 をとり 投 てペリシテ 人 の 顙 を 撃 ければ 石 其 顙 に 突 きいりて 俯伏 に 地 にたふれたり
50 かくダビデ 投石索 と 石 をもてペリシテ 人 にかちペリシテ 人 をうちて 之 をころせり 然 どダビデの 手 には 劍 なかりしかば
51 ダビデはしりてペリシテ 人 の 上 にのり 其 劍 を 取 て 之 を 鞘 より 抜 きはなしこれをもて 彼 をころし 其 首級 を 斬 りたり 爰 にペリシテの 人々 其 勇士 の 死 るを 見 てにげしかば
52 イスラエルとユダの 人 おこり 喊呼 をあげてペリシテ 人 をおひガテの 入 口 およびエクロンの 門 にいたるペリシテ 人 の 負傷人 シヤライムの 路 に 仆 れてガテおよびエクロンにおよぶ
53 イスラエルの 子孫 ペリシテ 人 をおふてかへり 其 陣 を 掠 む
54 ダビデかのペリシテ 人 の 首 を 取 りて 之 をエルサレムにたづさへきたりしが 其 甲冑 はおのれの 天 幕 におけり
55 サウル、ダビデがペリシテ 人 にむかひて 出 るを 見 て 軍長 アブネルにいひけるはアブネル 此 少者 はたれの 子 なるやアブネルいひけるは 王 汝 の 霊魂 は 生 くわれしらざるなり
56 王 いひけるはこの 少年 はたれの 子 なるかを 尋 ねよ
57 ダビデかのペリシテ 人 を 殺 してかへれる 時 アブネルこれをひきて 其 ペリシテ 人 の 首級 を 手 にもてるままサウルのまへにつれゆきければ
58 サウルかれにいひけるは 若 き 人 よ 汝 はたれの 子 なるやダビデこたへけるは 汝 の 僕 ベテレヘム 人 ヱサイの 子 なり
Chapter 18
1 ダビデ、サウルにかたることを 終 しときヨナタンの 心 ダビデの 心 にむすびつきてヨナタンおのれの 命 のごとくダビデを 愛 せり
2 此 日 サウル、ダビデをかかへて 父 の 家 にかへらしめず
3 ヨナタンおのれの 命 のごとくダビデを 愛 せしかばヨナタンとダビデ 契約 をむすべり
4 ヨナタンおのれの 衣 たる 明衣 を 脱 てダビデにあたふ 其 戎衣 および 其 刀 も 弓 も 帶 もまたしかせり
5 ダビデは 凡 てサウルが 遣 はすところにいでゆきて 功 をあらはしければサウルかれを 兵隊 の 長 となせりしかしてダビデ 民 の 心 にかなひ 又 サウルの 僕 の 心 にもかなふ
6 衆人 かへりきたれる 時 すなはちダビデ、ペリシテ 人 をころして 還 れる 時 婦女 イスラエルの 邑々 よりいできたり 鼗 と 祝 歌 と 磬 をもちて 歌 ひまひつつサウル 王 を 迎 ふ
7 婦人 踊躍 つつ 相 こたへて 歌 ひけるはサウルは 千 をうち 殺 しダビデは 萬 をうちころすと
8 サウル 甚 だ 怒 りこの 言 をよろこばずしていひけるは 萬 をダビデに 歸 し 千 をわれに 歸 す 此 上 かれにあたふべき 者 は 唯 國 のみと
9 サウルこの 日 より 後 ダビデを 目 がけたり
10 次 の 日 神 より 出 たる 惡 鬼 サウルにのぞみてサウル 家 のなかにて 預言 したりしかばダビデ 故 のごとく 手 をもつて 琴 をひけり 時 にサウルの 手 に 投 槍 ありければ
11 サウル 我 ダビデを 壁 に 刺 とほさんといひて 其 投 槍 をさしあげしがダビデ 二度 身 をかはしてサウルをさけたり
12 ヱホバ、サウルをはなれてダビデと 共 にいますによりてサウル 彼 をおそれたり
13 是故 にサウル 彼 を 遠 ざけて 千夫 長 となせりダビデすなはち 民 のまへに 出 入 す
14 またダビデすべて 其 ゆくところにて 功 をあらはし 且 ヱホバかれとともにいませり
15 サウル、ダビデが 大 に 功 をあらはすをみてこれを 恐 れたり
16 しかれどもイスラエルとユダの 人 はみなダビデを 愛 せり 彼 が 其 前 に 出 入 するによりてなり
17 サウル、ダビデにいひけるはわれわが 長女 メラブを 汝 に 妻 さん 汝 ただわがために 勇 みヱホバの 軍 に 戰 ふべしと 其 はサウルわが 手 にてかれを 殺 さでペリシテ 人 の 手 にてころさんとおもひたればなり
18 ダビデ、サウルにいひけるは 我 は 誰 ぞわが 命 はなんぞわが 父 の 家 はイスラエルにおいて 何 なる 者 ぞや 我 いかでか 王 の 婿 となるべけんと
19 然 るにサウルの 女子 メラブはダビデに 嫁 ぐべき 時 におよびてメホラ 人 アデリエルに 妻 されたり
20 サウルの 女 ミカル、ダビデを 愛 す 人 これを 王 に 告 ければサウル 其 事 を 善 しとせり
21 サウルいひけるは 我 ミカルをかれにあたへて 彼 を 謀 る 手段 となしペリシテ 人 の 手 にてかれを 殺 さんといひてサウル、ダビデにいひけるは 汝 今日 ふたたびわが 婿 となるべし
22 かくてサウル 其 僕 に 命 じけるは 汝 ら 密 にダビデにかたりて 言 へ 視 よ 王 汝 を 悦 び 王 の 僕 みな 汝 を 愛 すされば 汝 王 の 婿 となるべしと
23 サウルの 僕 此 言 をダビデの 耳 に 語 りしかばダビデいひけるは 王 の 婿 となること 汝 らの 目 には 易 き 事 とみゆるや 且 われは 貧 しく 賤 しき 者 なりと
24 サウルの 僕 サウルにつげてダビデ 是 の 如 くかたれりといへり
25 サウルいひけるはなんぢらかくダビデにいへ 王 は 聘禮 を 望 まずただペリシテ 人 の 陽 皮 一 百 をえて 王 の 仇 をむくいんことを 望 むと 是 はサウル、ダビデをペリシテ 人 の 手 に 殞沒 しめんとおもへるなり
26 サウルの 僕 此 言 をダビデにつげしかばダビデは 王 の 婿 となることを 善 とせり 斯 て 其時 いまだ 滿 ざるあひだに
27 ダビデ 起 て 其 從者 とともにゆきペリシテ 人 二百 人 をころして 其 陽 皮 をたづさへきたり 之 を 悉 く 王 にささげて 王 の 婿 とならんとすサウル 乃 はち 其 女 ミカルをダビデに 妻 せたり
28 サウル 見 てヱホバのダビデとともにいますを 知 りぬまたサウルの 女 ミカルはダビデを 愛 せり
29 サウルさらにますますダビデを 恐 れサウル 一生 のあひだダビデの 敵 となれり
30 爰 にペリシテ 人 の 諸伯 攻 きたりしがダビデかれらが 攻 めきたるごとにサウルの 諸 の 臣僕 よりは 多 の 功 をたてしかば 其 名 はなはだ 尊 まる
Chapter 19
1 サウル 其 子 ヨナタンおよび 諸 の 臣僕 にダビデをころさんとすることを 語 れり
2 されどサウルの 子 ヨナタン 深 くダビデを 愛 せしかばヨナタン、ダビデにつげていひけるはわが 父 サウル 汝 をころさんことを 求 むこのゆゑに 今 ねがはくは 汝 翌朝 謹恪 で 潜 みをりて 身 を 隱 せ
3 我 いでゆきて 汝 がをる 野 にてわが 父 の 傍 にたちわが 父 とともに 汝 の 事 を 談 はんしかして 我 其 事 の 如何 なるを 見 て 汝 に 告 ぐべし
4 ヨナタン 其 父 サウルに 向 ひダビデを 褒揚 ていひけるは 願 くは 王 其 僕 ダビデにむかひて 罪 ををかすなかれ 彼 は 汝 に 罪 ををかさずまた 彼 が 汝 になす 行爲 ははなはだ 善 し
5 またかれは 生命 をかけてかのペリシテ 人 をころしたりしかしてヱホバ、イスラエルの 人々 のためにおほいなる 救 をほどこしたまふ 汝 見 てよろこべりしかるに 何 ぞゆゑなくしてダビデをころし 無辜者 の 血 をながして 罪 ををかさんとするや
6 サウル、ヨナタンの 言 を 聽 いれサウル 誓 ひけるはヱホバはいくわれかならずかれをころさじ
7 ヨナタン、ダビデをよびてヨナタン 其 事 をみなダビデにつげ 遂 にダビデをサウルの 許 につれきたりければダビデさきのごとくサウルの 前 にをる
8 爰 に 再 び 戰爭 おこりぬダビデすなはちいでてペリシテ 人 とたたかひ 大 にかれらを 殺 せしかばかれら 其 まへを 逃 げされり
9 サウル 手 に 投 槍 を 執 て 室 に 坐 する 時 ヱホバより 出 たる 惡 鬼 これにのりうつれり 其時 ダビデ 乃 ち 手 をもて 琴 を 弾 く
10 サウル 投 槍 をもてダビデを 壁 に 刺 とほさんとしたりしがダビデ、サウルのまへを 避 ければ 投 槍 を 壁 に 衝 たてたりダビデ 其 夜 逃 さりぬ
11 サウル 使者 をダビデの 家 につかはしてかれを 守 らしめ 朝 におよびてかれをころさしめんとすダビデの 妻 ミカル、ダビデにつげていひけるは 若 し 今夜 爾 の 命 を 援 ずば 明 朝 汝 は 殺 されんと
12 ミカル 即 ち 牖 よりダビデを 縋 おろしければ 往 て 逃 されり
13 斯 てミカル 像 をとりて 其 牀 に 置 き 山羊 の 毛 の 編物 を 其 頭 におき 衣服 をもて 之 をおほへり
14 サウル、ダビデを 執 ふる 使者 をつかはしければミカルいふかれは 疾 ありと
15 サウル 使者 をつかはしダビデを 見 させんとていひけるはかれを 牀 のまま 我 にたづさきたれ 我 これをころさん
16 使者 いりて 見 たるに 牀 には 像 ありて 其 頭 に 山羊 の 毛 の 編物 ありき
17 サウル、ミカルにいひけるはなんぞかく 我 をあざむきてわが 敵 を 逃 しやりしやミカル、サウルにこたへけるは 彼 我 にいへり 我 をはなちてさらしめよ 然 らずば 我 汝 をころさんと
18 ダビデにげさりてラマにゆきサムエルの 許 にいたりてサウルがおのれになせしことをことごとくつげたりしかしてダビデとサムエルはゆきてナヨテにすめり
19 サウルに 告 る 者 ありていふ 視 よダビデはラマのナヨテにをると
20 サウル 乃 ちダビデを 執 ふる 使者 をつかはせしが 彼等 預言者 の 一群 の 預言 しをりてサムエルが 其 中 の 長 となりて 立 てるを 見 るにおよび 神 の 霊 サウルの 使者 にのぞみて 彼等 もまた 預言 せり
21 人々 これを 告 ければサウル 他 の 使者 を 遣 しけるにかれらも 亦 預言 せしかばサウルまた 三度 使者 を 遣 はしけるが 彼等 もまた 預言 せり
22 是 においてサウルもまたラマにゆきけるがセクの 大 井 にいたれる 時 問 ていひけるはサムエルとダビデは 何處 にをるや 答 ていふラマのナヨテにをる
23 サウルかしこにゆきてラマのナヨテに 至 りけるに 神 の 霊 また 彼 にのぞみて 彼 ラマのナヨテにいたるまで 歩 きつつ 預言 せり
24 彼 もまた 其 衣服 をぬぎすて 同 くサムエルのまへに 預言 し 其 一日 一夜 裸體 にて 仆 臥 たり 是故 に 人々 サウルもまた 預言者 のうちにあるかといふ
Chapter 20
1 ダビデ、ラマのナヨテより 逃 きたりてヨナタンにいひけるは 我 何 をなし 何 のあしき 事 あり 汝 の 父 のまへに 何 の 罪 を 得 てか 彼 わが 命 を 求 むる
2 ヨナタンかれにいひけるは 汝 決 て 殺 さるることあらじ 視 よわが 父 は 事 の 大 なるも 小 なるも 我 につげずしてなすことなしわが 父 なんぞこの 事 を 我 にかくさんやこの 事 しからず
3 ダビデまた 誓 ひていひけるは 汝 の 父 必 ずわが 汝 のまへに 恩惠 をうるを 知 る 是 をもてかれ 思 へらく 恐 らくはヨナタン 悲 むべければこの 事 をかれにしらしむべからずとしかれどもヱホバはいくまたなんぢの 霊魂 はいくわれは 死 をさること 只 一歩 のみ
4 ヨナタン、ダビデにいひけるはなんぢの 心 なにをねがふか 我 爾 のために 之 をなさんと
5 ダビデ、ヨナタンにいひけるは 明日 は 月朔 なれば 我 王 とともに 食 につかざるべからず 然 ども 我 をゆるして 去 らしめ 三日 の 晩 まで 野 に 隱 るることをえさしめよ
6 若 汝 の 父 まことに 我 をもとめなば 其時 言 へダビデ 切 に 其 邑 ベテレヘムにはせゆかんことを 我 に 請 り 其 は 彼處 に 全家 の 歳 祭 あればなりと
7 彼 もし 善 しといはば 僕 やすからんされど 彼 もし 甚 しく 怒 らば 彼 の 害 をくはへんと 決 しを 知 れ
8 汝 ヱホバのまへに 僕 と 契約 をむすびたれば 願 くは 僕 に 恩 をほどこせ 然 ど 若 我 に 惡 き 事 あらば 汝 自 ら 我 をころせ 何 ぞ 我 を 汝 の 父 に 引 ゆくべけんや
9 ヨナタンいひけるは 斯 る 事 かならず 汝 にあらざれ 我 わが 父 の 害 を 汝 にくはへんと 決 るをしらば 必 ず 之 を 汝 につげん
10 ダビデ、ヨナタンにいひけるは 若 し 汝 の 父 荒々 しく 汝 にこたふる 時 は 誰 か 其 事 を 我 に 告 ぐべきや
11 ヨナタン、ダビデにいひけるは 來 れ 我 ら 野 にいでゆかんと 倶 に 野 にいでゆけり
12 しかしてヨナタン、ダビデにいひけるはイスラエルの 神 ヱホバよ 明日 か 明後日 の 今 ごろ 我 わが 父 を 窺 ひて 事 のダビデのために 善 きを 見 ながら 人 を 汝 に 遣 はして 告 しらさずばヱホバ、ヨナタンに 斯 なしまた 重 て 斯 くなしたまへ
13 されど 若 しわが 父 汝 に 害 をくはへんと 欲 せば 我 これを 告 げしらせて 汝 をにがし 汝 を 安 らかにさらしめん 願 くはヱホバわが 父 とともに 坐 せしごとく 汝 とともにいませ
14 汝 只 わが 生 るあひだヱホバの 恩 を 我 にしめして 死 ざらしむるのみならず
15 ヱホバがダビデの 敵 を 悉 く 地 の 表 より 絶 ちさりたまふ 時 にもまた 汝 わが 家 を 永 く 汝 の 恩 にはなれしむるなかれ
16 かくヨナタン、ダビデの 家 と 契約 をむすぶヱホバ 之 に 關 てダビデの 敵 を 討 したまへり
17 しかしてヨナタンふたたびダビデに 誓 はしむかれを 愛 すればなり 即 ちおのれの 生命 を 愛 するごとく 彼 を 愛 せり
18 またヨナタン、ダビデにいひけるは 明日 は 月朔 なるが 汝 の 座 空 かるべければ 汝 求 めらるべし
19 汝 三日 とどまりて 速 かに 下 り 嘗 てかの 事 の 日 に 隱 れたるところに 至 りてエゼルの 石 の 傍 に 居 るべし
20 我 的 を 射 るごとくして 其 石 の 側 に 三本 の 矢 をはなたん
21 しかしてゆきて 矢 をたづねよといひて 僮子 をつかはすべし 我 もし 故 に 僮子 に 視 よ 矢 は 汝 の 此旁 にあり 其 を 取 と 曰 ばなんぢきたるべしヱホバは 生 く 汝 安 くして 何 もなかるべければなり
22 されど 若 し 我 少年 に 視 よ 矢 は 汝 の 彼旁 にありといはば 汝 さるべしヱホバ 汝 をさらしめたまふなり
23 汝 と 我 とかたれることについては 願 はくはヱホバ 恒 に 汝 と 我 との 間 にいませと
24 ダビデ 即 ち 野 にかくれぬ 偖 月朔 になりければ 王 坐 して 食 に 就 く
25 即 ち 王 は 常 のごとく 壁 によりて 座 を 占 むヨナタン 立 あがりアブネル、サウルの 側 に 坐 すダビデの 座 はなむし
26 されど 其 日 にはサウル 何 をも 曰 ざりき 其 は 何事 か 彼 におこりしならん 彼 きよからず 定 て 潔 からずと 思 ひたればなり
27 明日 すなはち 月 の 二日 におよびてダビデの 座 なほ 虚 しサウル 其 子 ヨナタンにいひけるは 何 ゆゑにヱサイの 子 は 昨日 も 今日 も 食 に 來 らざるや
28 ヨナタン、サウルにこたへけるはダビデ 切 にベテレヘムにゆかんことを 我 にこひて 曰 けるは
29 ねがはくは 我 をゆるしてゆかしめよわが 家 邑 にて 祭 をなすによりわが 兄 我 にきたることを 命 ぜり 故 に 我 もし 汝 のまへにめぐみをえたるならばねがはくは 我 をゆるして 去 しめ 兄弟 をみることを 得 さしめよと 是故 にかれは 王 の 席 に 來 らざるなり
30 サウル、ヨナタンにむかひて 怒 りを 發 しかれにいひけるは 汝 は 曲 り 且 悖 れる 婦 の 子 なり 我 あに 汝 がヱサイの 子 を 簡 みて 汝 の 身 をはづかしめまた 汝 の 母 の 膚 を 辱 しむることを 知 ざらんや
31 ヱサイの 子 の 此 世 にながらふるあひだは 汝 と 汝 の 位 固 くたつを 得 ず 是故 に 今 人 をつかはして 彼 をわが 許 に 引 きたれ 彼 は 死 ぬべき 者 なり
32 ヨナタン 父 サウルに 對 へていひけるは 彼 なにによりて 殺 さるべきか 何 をなしたるやと
33 ここにおいてサウル、ヨナタンを 撃 んとて 投 槍 をさしあげたりヨナタンすなはち 其 父 のダビデを 殺 さんと 決 しをしれり
34 かくてヨナタン 烈 しく 怒 りて 席 を 立 ち 月 の 二日 には 食 をなさざりき 其 は 其 父 のダビデをはづかしめしによりてダビデのために 憂 へたればなり
35 翌朝 ヨナタン 一 小 童子 を 從 がヘダビデと 約 せし 時刻 に 野 にいでゆき
36 童 にいひけるは 走 りて 我 はなつ 矢 をたづねよと 童子 はしる 時 ヨナタン 矢 を 彼 のさきに 發 てり
37 童子 がヨナタンの 發 ちたる 矢 のところにいたれる 時 ヨナタン 童子 のうしろに 呼 はりていふ 矢 は 汝 のさきにあるにあらずや
38 ヨナタンまた 童子 のうしろによばはりていひけるは 速 かにせよ 急 げ 止 まるなかれとヨナタンの 童子 矢 をひろひあつめて 其 主人 のもとにかへる
39 されど 童子 は 何 をも 知 ざりき 只 ヨナタンとダビデ 其 事 をしりたるのみ
40 かくてヨナタン 其 武器 を 童子 に 授 ていひけるは 往 けこれを 邑 に 携 へよと
41 童子 すなはち 往 けり 時 にダビデ 石 の 傍 より 立 ちあがり 地 にふして三たび 拝 せりしかしてふたり 互 に 接吻 してたがひに 哭 くダビデ 殊 にはなはだし
42 ヨナタン、ダビデにいひけるは 安 じて 往 け 我 ら 二人 ともにヱホバの 名 に 誓 ひて 願 くはヱホバ 恒 に 我 と 汝 のあひだに 坐 し 我 が 子孫 と 汝 の 子孫 のあひだにいませといへりとダビデすなはちたちて 去 るヨナタン 邑 にいりぬ
Chapter 21
1 ダビデ、ノブにゆきて 祭司 アヒメレクにいたるアヒメレク 懼 れてダビデを 迎 へこれにいひけるは 汝 なんぞ 獨 にして 誰 も 汝 とともならざるや
2 ダビデ 祭司 アヒメレクにいふ 王 我 に 一 の 事 を 命 じて 我 にいふ 我 が 汝 を 遣 はすところの 事 およびわが 汝 に 命 じたる 所 については 何 をも 人 にしらするなかれと 我 某 處 に 我 少者 を 出 おけり
3 いま 何 か 汝 の 手 にあるや 我 手 に 五 のパンか 或 はなににてもある 所 を 與 よ
4 祭司 ダビデに 對 ていひけるは 常 のパンはわが 手 になしされど 若 し 少者 婦女 をだに 愼 みてありしならば 聖 きパンあるなりと
5 ダビデ 祭司 に 對 へていひけるは 實 にわがいでしより 此 三日 は 婦女 われらにちかづかず 且 少者 等 の 器 は 潔 し 又 パンは 常 の 物 のごとし 今日 器 に 潔 きパンあれば 殊 に 然 と
6 祭司 かれに 聖 きパンを 與 たり 其 はかしこに 供前 のパンの 外 はパン 无 りければなり 即 ち 其 パンは 下 る 日 に 熱 きパンをささげんとて 之 をヱホバのまへより 取 されるなり
7 其 日 かしこにサウルの 僕 一人 留 められてヱホバのまへにあり 其 名 をドエグといふエドミ 人 にしてサウルの 牧者 の 長 なり
8 ダビデまたアヒメレクにいふ 此 に 汝 の 手 に 槍 か 劍 あらぬか 王 の 事 急 なるによりて 我 は 刀 も 武器 も 携 へざりしと
9 祭司 いひけるは 汝 がエラの 谷 にて 殺 したるペリシテ 人 ゴリアテの 劍 布 に 裏 みてエポデの 後 にあり 汝 もし 之 をとらんとおもはば 取 れ 此 にはほかの 劍 なしダビデいひけるはそれにまさるものなし 我 にあたへよと
10 ダビデ 其 日 サウルをおそれて 立 てガテの 王 アキシのところに 逃 げゆきぬ
11 アキシの 臣僕 アキシに 曰 けるは 此 は 其 地 の 王 ダビデにあらずや 人々 舞踏 のうちにこの 人 のことを 歌 ひあひてサウルは 千 をうちころしダビデは 萬 をうちころすといひしにあらずや
12 ダビデこの 言 を 心 に 蔵 め 深 くガテの 王 アキシをおそれ
13 人々 のまへに 佯 て 其 氣 を 變 じ 執 はれて 狂 人 のさまをなし 門 の 扉 に 書 き 其 涎沫 を 鬚 にながれくだらしむ
14 アキシ 僕 に 云 けるは 汝 らの 見 るごとく 此人 は 狂 人 なり 何 ぞかれを 我 にひき 來 るや
15 我 なんぞ 狂 人 を 須 ひんや 汝 ら 此 者 を 引 きたりてわがまへに 狂 しめんとするや 此 者 なんぞ 吾 が 家 にいるべけんや
Chapter 22
1 是故 にダビデ 其處 をいでたちてアドラムの 洞穴 にのがる 其 兄弟 および 父 の 家 みな 聞 きおよびて 彼處 にくだり 彼 の 許 に 至 る
2 また 惱 める 人 負債 者 心 に 嫌 ぬ 者 皆 かれの 許 にあつまりて 彼 其 長 となれりかれとともにある 者 はおよそ四 百 人 なり
3 ダビデ 其處 よりモアブのミヅパにいたりモアブの 王 にいひけるは 神 の 我 をいかがなしたまふかを 知 るまでねがはくはわが 父母 をして 出 て 汝 らとともにをらしめよと
4 遂 にかれらをモアブの 王 のまへにつれきたるかれらはダビデが 要害 にをる 間 王 とともにありき
5 預言者 ガデ、ダビデに 云 けるは 要害 に 住 るなかれゆきてユダの 地 にいたれとダビデゆきてハレテの 叢林 にいたる
6 爰 にサウル、ダビデおよびかれとともなる 人々 の 見 露 されしを 聞 けり 時 にサウルはギベアにあり 手 に 槍 を 執 て 岡巒 の 柳 の 樹 の 下 にをり 臣僕 ども 皆 其 傍 にたてり
7 サウル 側 にたてる 僕 にいひけるは 汝 らベニヤミン 人 聞 けよヱサイの 子 汝 らおのおのに 田 と 葡萄園 をあたへ 汝 らおのおのを 千夫 長 百夫 長 となすことあらんや
8 汝 ら 皆 我 に 敵 して 謀 り 一人 もわが 子 のヱサイの 子 と 契約 を 結 びしを 我 につげしらする 者 なしまた 汝 ら 一人 もわがために 憂 へずわが 子 が 今日 のごとくわが 僕 をはげまして 道 に 伏 て 我 をおそはしめんとするを 我 につげしらす 者 なし
9 時 にエドミ 人 ドエグ、サウルの 僕 の 中 にたち 居 りしが 答 へていひけるは 我 ヱサイの 子 のノブにゆきてアヒトブの 子 アヒメレクに 至 るを 見 しが
10 アヒメレクかれのためにヱホバに 問 ひまたかれに 食物 をあたへペリシテ 人 ゴリアテの 劍 をあたへたりと
11 王 すなはち 人 をつかはしてアヒトブの 子 祭司 アヒメレクなよびその 父 の 家 すなはちノブの 祭司 たる 人々 を 召 したればみな 王 の 許 にきたる
12 サウルいひけるは 汝 アヒトブの 子 聽 よ 答 へけるは 主 よ 我 ここにあり
13 サウルかれにいふ 汝 なんぞヱサイの 子 とともに 我 に 敵 して 謀 り 汝 かれにパンと 劍 をあたへ 彼 が 爲 に 神 に 問 ひかれをして 今日 のごとく 道 に 伏 て 我 をおそはしめんとするや
14 アヒメレク 王 にこたへていひけるは 汝 の 臣僕 のうち 誰 かダビデのごとく 忠義 なる 彼 は 王 の 婿 にして 親 しく 汝 に 見 ゆるもの 汝 の 家 に 尊 まるる 者 にあらずや
15 我 其時 かれのために 神 に 問 ことを 始 めしや 決 てしからずねがはくは 王 僕 およびわが 父 の 全家 に 何 をも 歸 するなかれ 其 は 僕 この 事 については 多少 をいはず 何 をもしらざればなり
16 王 いひけるはアヒメレク 汝 必 ず 死 ぬべし 汝 の 父 の 全家 もしかりと
17 王 旁 にたてる 前驅 の 人々 にいひけるは 身 をひるがへしてヱホバの 祭司 を 殺 せかれらもダビデと 力 を 合 するが 故 またかれらダビデの 逃 たるをしりて 我 に 告 ざりし 故 なりと 然 ど 王 の 僕 手 をいだしてヱホバの 祭司 を 撃 ことを 好 まざれば
18 王 ドエグにいふ 汝 身 をひるがへして 祭司 をころせとエドミ 人 ドエグ 乃 ち 身 をひるがへして 祭司 をうち 其 日 布 のエポデを 衣 たる 者 八十五 人 をころせり
19 かれまた 刃 を 以 て 祭司 の 邑 ノブを 撃 ち 刃 をもて 男 女 童稚 嬰孩 牛 驢馬 羊 を 殺 せり
20 アヒトブの 子 アヒメレクの 一人 の 子 アビヤタルとなづくる 者 逃 れてダビデにはしり 從 がふ
21 アビヤタル、サウルがヱホバの 祭司 を 殺 したることをダビデに 告 しかば
22 ダビデ、アビヤタルにいふかの 日 エドミ 人 ドエグ 彼處 にをりしかば 我 かれが 必 らずサウルにつげんことを 知 れり 我 汝 の 父 の 家 の 人々 の 生命 を 喪 へる 源由 となれり
23 汝 我 とともに 居 れ 懼 るるなかれわが 生命 を 求 むる 者 汝 の 生命 をも 求 むるなり 汝 我 とともにあらば 安全 なるべし
Chapter 23
1 人々 ダビデにつげていひけるは 視 よペリシテ 人 ケイラを 攻 め 穀場 を 掠 むと
2 ダビデ、ヱホバに 問 ていひけるは 我 ゆきて 是 のペリシテ 人 を 撃 つべきかとヱホバ、ダビデにいひたまひけるは 往 てペリシテ 人 をうちてケイラを 救 ヘ
3 ダビデの 從者 かれにいひけるは 視 よわれら 此 にユダにあるすら 尚 ほおそる 况 やケイラにゆきてペリシテ 人 の 軍 にあたるをやと
4 ダビデふたたびヱホバに 問 ひけるにヱホバ 答 ていひたまひけるは 起 てケイラにくだれ 我 ペリシテ 人 を 汝 の 手 にわたすべし
5 ダビデとその 從者 ケイラにゆきてペリシテ 人 とたたかひ 彼 らの 家畜 を 奪 ひとり 大 にかれらをうちころせりかくダビデ、ケイラの 居民 をすくふ
6 アヒメレクの 子 アビヤタル、ケイラにのがれてダビデにいたれる 時 其 手 にエポデを 執 てくだれり
7 爰 にダビデのケイラに 至 れる 事 サウルに 聞 えければサウルいふ 神 かれを 我 手 にわたしたまへり 其 はかれ 門 あり 關 ある 邑 にいりたれば 閉 こめらるればなり
8 サウルすなはち 民 をことごとく 軍 によびあつめてケイラにくだりてダビデと 其 從者 を 圍 んとす
9 ダビデはサウルのおのれを 害 せんと 謀 るを 知 りて 祭司 アビヤタルにいひけるはエポデを 持 ちきたれと
10 しかしてダビデいひけるはイスラエルの 神 ヱホバよ 僕 たしかにサウルがケイラにきたりてわがために 此 邑 をほろぼさんと 求 むるを 聞 り
11 ケイラの 人々 我 をかれの 手 にわたすならんか 僕 のきけるごとくサウル 下 るならんかイスラエルの 神 ヱホバよ 請 ふ 僕 につげたまへとヱホバいひたまひけるは 彼 下 るべしと
12 ダビデいひけるはケイラの 人々 われとわが 從者 をサウルの 手 にわたすならんかヱホバいひたまひけるは 彼 らわたすべし
13 是 においてダビデと 其 六 百 人 ばかりの 從者 起 てケイラをいで 其 ゆきうる 所 にゆけりダビデのケイラをにげはなれしことサウルに 聞 えければサウルいづることを 止 たり
14 ダビデは 曠野 にをり 要害 の 地 にをりまたジフの 野 にある 山 に 居 るサウル 恒 にかれを 尋 ねたれども 神 かれを 其 手 にわたしたまはざりき
15 ダビデ、サウルがおのれの 生命 を 求 めんために 出 たるを 見 る 時 にダビデはジフの 野 の 叢林 にをりしが
16 サウルの 子 ヨナタンたちて 叢林 にいりてダビデにいたり 神 によりて 其 力 を 強 うせしめたり
17 即 ちヨナタンかれにいひけるに 懼 るるなかれわが 父 サウルの 手 汝 にとどくことあらじ 汝 はイスラエルの 王 とならん 我 は 汝 の 次 なるべし 此事 はわが 父 サウルもしれりと
18 かくて 彼 ら 二人 ヱホバのまへに 契約 をむすびダビデは 叢林 にとどまりヨナタンは 其 家 にかへれり
19 時 にジフ 人 ギベアにのぼりサウルの 許 にいたりていひけるはダビデは 曠野 の 南 にあるハキラの 山 の 叢林 の 中 なる 要害 に 隱 れて 我 らとともにをるにあらずや
20 今 王 汝 のくだらんとする 望 のごとく 下 りたまへ 我 らはかれを 王 の 手 にわたさんと
21 サウルいひけるは 汝 ら 我 をあはれめば 願 くは 汝等 ヱホバより 福祉 をえよ
22 請 ふゆきて 尚 ほ 心 を 用 ひ 彼 の 踪跡 ある 處 と 誰 がかれを 見 たるかを 見 きはめよ 其 は 人 我 にかれが 甚 だ 機巧 く 事 を 爲 すを 告 たれば 也
23 されば 汝 ら 彼 が 隱 るる 逃躱處 を 皆 たしかに 見 きはめて 再 び 我 にきたれ 我 汝 らとともにゆかん 彼 もし 其 地 にあらば 我 ユダの 郡中 をあまねく 尋 ねて 彼 を 獲 んと
24 かれらたちてサウルに 先 てジフにゆけりダビデと 其 從者 は 曠野 の 南 のアラバにあるマオンの 野 にをる
25 斯 てサウルと 其 從者 ゆきて 彼 を 尋 ぬ 人々 これをダビデに 告 ければダビデ 巌 を 下 てマオンの 野 にをるサウル 之 を 聞 てマオンの 野 に 至 てダビデを 追 ふ
26 サウルは 山 の 此旁 に 行 ダビデと 其 從者 は 山 の 彼旁 に 行 ダビデは 周章 てサウルの 前 を 避 んとしサウルと 其 從者 はダビデと 其 從者 を 圍 んで 之 を 取 んとす
27 時 に 使者 サウルに 來 て 言 けるはペリシテ 人 國 ををかす 急 ぎきたりたまへと
28 故 にサウル、ダビデを 追 ことを 止 てかへり 往 てペリシテ 人 にあたるここをもて 人々 その 處 をセラマレコテ(逃 岩)となづく
29 ダビデ 其處 よりのぼりてエンゲデの 要害 にをる
Chapter 24
1 サウル、ペリシテ 人 を 追 ふことをやめて 還 りし 時 人々 かれにつげていひけるは 視 よダビデはエンゲデの 野 にありと
2 サウル、イスラエルの 中 より 選 みたる三 千 の 人 を 率 ゐゆきて 野羊 の 巌 にダビデと 其 從者 を 尋 ぬ
3 途 にて 羊 の 棧 にいたるに 其處 に 洞穴 ありサウル 其 足 を 掩 んとていりぬ 時 にダビデと 其 從者 洞 の 隅 に 居 たり
4 ダビデの 從者 これにいひけるはヱホバが 汝 に 告 て 視 よ 我 汝 の 敵 を 汝 の 手 にわたし 汝 をして 善 と 見 るところを 彼 になさしめんといひたまひし 日 は 今 なりとダビデすなはち 起 てひそかにサウルの 衣 の 裾 をきれり
5 ダビデ、サウルの 衣 の 裾 をきりしによりて 後 ち 其心 みづから 責 む
6 ダビデ 其 從者 にいひけるはヱホバの 膏 そそぎし 者 なるわが 主 にわが 此事 をなすをヱホバ 禁 じたまふかれはヱホバの 膏 そそぎし 者 なればかれに 敵 してわが 手 をのぶるは 善 らず
7 ダビデ 此 ことばをもって 其 從者 を 止 めサウルに 撃 ちかかる 事 を 容 さずサウルたちて 洞 を 出 て 其 道 にゆく
8 ダビデもまた 後 よりたちて 洞 をいでサウルのうしろに 呼 はりて 我 主 王 よといふサウル 後 をかへりみる 時 ダビデ 地 にふして 拝 す
9 ダビデ、サウルにいひけるは 汝 なんぞダビデ 汝 を 害 せん 事 を 求 むといふ 人 の 言 を 聽 くや
10 視 よ 今日 汝 の 目 ヱホバの 汝 を 洞 のうちにて 今日 わが 手 にわたしたまひしことを 見 たり 人々 我 に 汝 をころさんことを 勸 めたれども 我 汝 を 惜 めり 我 いひけらくわが 主 はヱホバの 膏 そそぎし 者 なればこれに 敵 してわが 手 をのぶべからずと
11 わが 父 よ 視 よわが 手 にある 汝 の 衣 の 裾 を 見 よわが 汝 の 衣 の 裾 をきりて 汝 を 殺 さざるを 見 ばわが 手 には 惡 も 罪過 もなきことを 汝 見 て 知 るべし 我 汝 に 罪 ををかせしことなし 然 るに 汝 わが 生命 をとらんとねらふ
12 ヱホバ 我 と 汝 の 間 を 審 きたまはんヱホバわがために 汝 に 報 いたまふべし 然 どわが 手 は 汝 に 加 へざるべし
13 古 への 諺 にいふごとく 惡 は 惡人 よりいづされどわが 手 は 汝 にくはへざるべし
14 イスラエルの 王 は 誰 を 趕 んとて 出 たるや 汝 たれを 追 ふや 死 たる 犬 をおひ 一 の 蚤 をおふなり
15 ねがはくはヱホバ 審判 者 となりて 我 と 汝 のあひだをさばきかつ 見 てわが 訟 を 理 し 我 を 汝 の 手 よりすくひいだしたまはんことを
16 ダビデこれらの 言 をサウルに 語 りをへしときサウルいひけるはわが 子 ダビデよ 是 は 汝 の 聲 なるかとサウル 聲 をあげて 哭 きぬ
17 しかしてダビデにいひけるは 汝 は 我 よりも 正 し 我 は 汝 に 惡 をむくゆるに 汝 は 我 に 善 をむくゆ
18 汝 今日 いかに 汝 が 我 に 善 くなすかを 明 かにせりヱホバ 我 を 爾 の 手 にわたしたまひしに 爾 我 をころさざりしなり
19 人 もし 其 敵 にあはばこれを 安 らかに 去 しむべけんや 爾 が 今日 我 になしたる 事 のためにヱホバ 爾 に 善 をむくいたまふべし
20 視 よ 我 爾 が 必 ず 王 とならんことを 知 りまたイスラエルの 王 國 の 爾 の 手 によりて 堅 くたたんことをしる
21 今 爾 ヱホバをさして 我 にわが 後 にてわが 子孫 を 斷 ずわが 名 をわが 父 の 家 に 滅 せざらんことを 誓 へと
22 ダビデすなはちサウルにちかふ 是 においてサウルは 家 にかへりダビデと 其 從者 は 要害 にのぼれり
Chapter 25
1 爰 にサムエル 死 にしかばイスラエル 人 皆 あつまりて 之 をかなしみラマにあるその 家 にてこれを 葬 むれりダビデたちてバランの 野 にくだる
2 マオンに 一箇 の 人 あり 其 所有 はカルメルにあり 其人 甚 だ 大 なる 者 にして三 千 の 羊 と一 千 の 山羊 をもちしがカルメルにて 羊 の 毛 を 剪 り 居 たり
3 其人 の 名 はナバルといひ 其 妻 の 名 はアビガルといふアビガルは 賢 く 顔 美 き 婦 なりされど 其 夫 は 剛愎 にして 其 爲 すところ 惡 かりきかれはカレブの 人 なり
4 ダビデ 野 にありてナバルが 其 羊 の 毛 を 剪 りをるを 聞 き
5 ダビデ 十 人 の 少者 を 遣 はすダビデ 其 少者 にいひけるはカルメルにのぼりナバルにいたりわが 名 をもてかれに 安否 をとひ
6 かくのごとくいへ 願 くは 壽 ながかれ 爾 平安 なれ 爾 の 家 やすらかなれ 爾 が 有 ところの 物 みなやすらかなれ
7 我 爾 が 羊毛 を 剪 せをるを 聞 り 爾 の 牧羊者 は 我 らとともにありしが 我 らこれを 害 せざりきまたかれらがカルメルにありしあひだかれらの 物 何 も 失 たることなし
8 爾 の 少者 に 問 へかれら 爾 につげん 願 くは 少者 をして 爾 のまへに 恩 をえせしめよ 我 ら 吉 日 に 來 る 請 ふ 爾 の 手 にあるところの 物 を 爾 の 僕 らおよび 爾 の 子 ダビデにあたへよ
9 ダビデの 少者 いたりダビデの 名 をもって 是 らのことばの 如 くナバルに 語 りてやめり
10 ナバル、ダビデの 僕 にこたへていひけるはダビデは 誰 なるヱサイの 子 は 誰 なる 此 頃 は 主人 をすてて 遁逃 るる 僕 おほし
11 我 あにわがパンと 水 およびわが 羊毛 をきる 者 のために 殺 したる 肉 をとりて 何處 よりか 知 れざるところの 人々 にあたふべけんや
12 ダビデの 少者 ふりかへりて 其 道 に 就 き 歸 りきたりて 此 等 の 言 のごとくダビデに 告 ぐ
13 是 においてダビデ 其 從者 に 爾 らおのおの 劍 を 帶 よと 言 ければ 各 劍 をおぶダビデもまた 劍 をおぶ 而 して 四 百 人 ばかりダビデにしたがひて 上 り 二 百 人 は 輜重 のところに 止 れり
14 時 にひとりの 少者 ナバルの 妻 アビガルに 告 ていひけるは 視 よダビデ 野 より 使者 をおくりて 我 らの 主人 を 祝 したるに 主人 かれらを 詈 れり
15 されどかの 人々 はわれらに 甚 だ 善 くなし 我 らは 害 をかうむらず 亦 われら 野 にありし 時 かれらとともにをるあひだはなにをも 失 なはざりき
16 我 らが 羊 をかひて 彼 らとともにありしあひだ 彼 らは 日夜 われらの 墻 となれり
17 されば 爾 今 しりてなにをなさんかを 考 ふべし 其 はわれらの 主人 および 主人 の 全家 に 定 めて 害 きたるべければなり 主人 は 邪魔 なる 者 にして 語 ることをえずと
18 アビガルいそぎパン 二 百 酒 の 革嚢 二 旣 に 調 へたる 羊 五 烘麥 五 セア 乾葡萄 百 球 乾 無花果 の 團塊 二 百 を 取 て 驢馬 にのせ
19 其 少者 にいひけるは 我 先 に 進 め 視 よ 我 爾 らの 後 にゆくと 然 ど 其 夫 ナバルには 告 げざりき
20 アビガル 驢馬 にのりて 山 の 僻處 にくだれる 時 視 よダビデと 其 從者 かれにむかひてくだりければかれ 其 人々 にあふ
21 ダビデかつていひけるは 誠 にわれ 徒 に 此人 の 野 にて 有 る 物 をみなまもりてその 物 をして 何 もうせざらしめたりかれは 惡 をもてわが 善 にむくゆ
22 ねがはくは 神 ダビデの 敵 にかくなしまた 重 ねてかくなしたまへ 明 晨 までに 我 はナバルに 屬 する 總 ての 物 の 中 ひとりの 男 をものこさざるべし
23 アビガル、ダビデを 視 しとき 急 ぎ 驢馬 よりおりダビデのまへに 地 に 俯 して 拝 し
24 其 足 もとにふしていひけるはわが 主 よ 此 咎 を 我 に 歸 したまへ 但 し 婢 をして 爾 の 耳 にいふことを 得 さしめ 婢 のことばを 聽 たまへ
25 ねがはくは 我 主 この 邪 なる 人 ナバル(愚)の 事 を 意 に 介 むなかれ 其 はかれは 其 名 の 如 くなればなりかれの 名 はナバルにしてかれは 愚 なりわれなんぢの 婢 はわが 主 のつかはせし 少 ものを 見 ざりき
26 さればわがしゆよヱホバはいくまたなんぢのたましひはいくヱホバなんぢのきたりて 血 をながしまた 爾 がみづから 仇 をむくゆるを 阻 めたまへりねがはくは 爾 の 敵 たるものおよびわが 主 に 害 をくはへんとする 者 はナバルのごとくなれ
27 さて 仕女 がわが 主 にもちきたりしこの 禮物 をねがはくはわが 主 の 足 迹 にあゆむ 少者 にたてまつらしめたまへ
28 請 ふ 婢 の 過 をゆるしたまへヱホバ 必 ずわが 主 のために 堅 き 家 を 立 たまはん 是 はわが 主 ヱホバの 軍 に 戰 ふにより 又 世 にいでてよりこのかた 爾 の 身 に 惡 きこと 見 えざるによりてなり
29 人 たちて 爾 を 追 ひ 爾 の 生命 を 求 むれどもわが 主 の 生命 は 爾 の 神 ヱホバとともに 生命 の 包裏 の 中 に 包 みあり 爾 の 敵 の 生命 は 投石器 のうちより 投 すつる 如 くヱホバこれをなげすてたまはん
30 ヱホバその 爾 につきて 語 りたまひし 諸 の 善 き 事 をわが 主 になして 爾 をイスラエルの 主宰 に 命 じたまはん 時 にいたりて
31 爾 の 故 なくして 血 をながしたることも 又 わが 主 のみづから 其 仇 をむくいし 事 も 爾 の 憂 となることなくまたわが 主 の 心 の 責 となることなかるべし 但 しヱホバのわが 主 に 善 くなしたまふ 時 にいたらばねがはくは 婢 を 憶 たまへ
32 ダビデ、アビガルにいふ 今日 汝 をつかはして 我 をむかへしめたまふイスラエルの 神 ヱホバは 頌美 べきかな
33 また 汝 の 智慧 はほむべきかな 又 汝 はほむべきかな 汝 今日 わがきたりて 血 をながし 自 ら 仇 をむくゆるを 止 めたり
34 わが 汝 を 害 するを 阻 めたまひしイスラエルの 神 ヱホバは 生 く 誠 にもし 汝 いそぎて 我 を 來 り 迎 ずば 必 ず 翌朝 までにナバルの 所 にひとりの 男 ものこらざりしならんと
35 ダビデ、アビガルの 携 へきたりし 物 を 其 手 より 受 てかれにいひけるは 安 かに 汝 の 家 にかへりのぼれ 視 よわれ 汝 の 言 をききいれて 汝 の 顔 を 立 たり
36 かくてアビガル、ナバルにいたりて 視 にかれは 家 に 酒宴 を 設 け 居 たり 王 の 酒宴 のごとしナバルの 心 これがために 樂 みて 甚 だしく 酔 たればアビガル 多少 をいはず 何 をも 翌朝 までかれにつげざりき
37 朝 にいたりナバルの 酒 のさめたる 時 妻 かれに 是等 の 事 をつげたるに 彼 の 心 そのうちに 死 て 其 身 石 のごとくなりぬ
38 十 日 ばかりありてヱホバ、ナバルを 撃 ちたまひければ 死 り
39 ダビデ、ナバルの 死 たるを 聞 ていひけるはヱホバは 頌美 べきかなヱホバわが 蒙 むりたる 恥辱 の 訟 を 理 してナバルにむくい 僕 を 阻 めて 惡 をおこなはざらしめたまふ 其 はヱホバ、ナバルの 惡 を 其 首 に 歸 し 賜 へばなりと 爰 にダビデ、アビガルを 妻 にめとらんとて 人 を 遣 はしてこれとかたらはしむ
40 ダビデの 僕 カルメルにをるアビガルの 許 にいたりてこれにかたりいひけるはダビデ 汝 を 妻 にめとらんとて 我 らを 汝 に 遣 はすと
41 アビガルたちて 地 にふして 拝 しいひけるは 視 よ 婢 はわが 主 の 僕 等 の 足 を 洗 ふ 仕女 なりと
42 アビガルいそぎたちて 驢馬 に 乗 り 五 人 の 侍女 とともにダビデの 使者 にしたがひゆきてダビデの 妻 となる
43 ダビデまたヱズレルのアヒノアムを 娶 れり 彼 ら 二人 ダビデの 妻 となる
44 但 しサウルはダビデの 妻 なりし 其 女 ミカルをガリムの 人 なるライシの 子 パルテにあたへたり
Chapter 26
1 ジフ 人 ギベアにきたりサウルの 許 にいたりてひけるはダビデは 曠野 のまへなるハキラの 山 にかくれをるにあらずやと
2 サウルすなはち 起 ちジフの 野 にダビデを 尋 ねんとイスラエルの 中 より 選 みたる三 千 の 人 をしたがへてジフの 野 にくだる
3 サウルは 曠野 のまへなるハキラの 山 において 路 のほとりに 陣 を 取 るダビデは 曠野 に 居 てサウルのおのれをおふて 曠野 にきたるをさとりければ
4 ダビデ 斥候 を 出 してサウルの 誠 に 來 しをしれり
5 ここにおいてダビデたちてサウルの 陣 をとれるところにいたりサウルおよび 其 軍 の 長 ネルの 子 アブネルの 寝 たるところを 見 たりすなはちサウルは 車 營 の 中 に 寝 ぬ 民 其 まはりに 陣 をはれり
6 ダビデ 答 へてヘテ 人 アヒメレクおよびゼルヤの 子 にしてヨアブの 兄弟 なるアビシヤイにいひけるは 誰 か 我 とともにサウルの 陣 にくだらんかとアビシヤイいふ 我 汝 とともに 下 らん
7 ダビデとアビシヤイすなはち 夜 にいりて 民 の 所 にいたるに 視 よサウルは 車 營 のうちに 寝 臥 し 其 槍 地 にさして 枕 邊 にありアブネルと 民 は 其 まはりに 寝 たり
8 アビシヤイ、ダビデにいひけるは 神 今日 爾 の 敵 を 爾 の 手 にわたしたまふ 請 ふいま 我 に 槍 をもてかれを 一度 地 にさしとほさしめよ 再 びするにおよばじ
9 ダビデ、アビシヤイにいふ 彼 をころすなかれ 誰 かヱホバの 膏 そそぎし 者 に 敵 して 其 手 をのべて 罪 なからんや
10 ダビデまたいひけるはヱホバは 生 くヱホバかれを 撃 たまはんあるひはその 死 ぬる 日 來 らんあるひは 戰 ひにくだりて 死 うせん
11 わがヱホバのあぶらそそぎしものに 敵 して 手 をのぶることはきはめて 善 らずヱホバ 禁 じたまふされどいま 請 ふ 爾 そのまくらもとの 槍 と 水 の 瓶 をとれしかして 我 らさりゆかんと
12 ダビデ、サウルの 枕 邊 より 槍 と 水 の 瓶 を 取 りてかれらさりゆきしが 誰 も 見 ず 誰 もしらず 誰 も 目 を 醒 さざりき 其 はかれら 皆 眠 り 居 たればなり 即 ちヱホバかれらをふかく 睡 らしめたまふ
13 かくてダビデは 彼旁 にわたりて 遥 に 山 の 頂 にたてり 彼 と 此 とのへだたり 大 なり
14 ダビデ 民 とネルの 子 アブネルによばはりいひけるはアブネルよ 爾 こたへざるかアブネルこたへていふ 王 をよぶ 爾 はたれなるや
15 ダビデ、アブネルにいひけるは 爾 は 勇士 ならずやイスラエルの 中 にて 誰 か 爾 に 如 ものあらんしかるに 爾 なんぞ 爾 の 主 なる 王 をまもらざるや 民 のひとり 爾 の 主 なる 王 を 殺 さんとていりぬ
16 爾 がなせる 此事 よからずヱホバは 生 くなんぢらの 罪 死 にあたれり 爾 らヱホバの 膏 そそぎし 爾 らの 主 をまもらざればなり 今 王 の 槍 と 王 の 枕 邊 にありし 水 の 瓶 はいづくにあるかを 見 よ
17 サウル、ダビデの 聲 をしりていひけるはわが 子 ダビデよ 是 は 爾 の 聲 なるかダビデいひけるは 王 わが 主 よわが 聲 なり
18 ダビデまたいひけるはわが 主 なにゆゑに 斯 くその 僕 をおふや 我 なにをなせしや 何 の 惡 き 事 わが 手 にあるや
19 王 わが 主 よ 請 ふいま 僕 の 言 を 聽 きたまへ 若 しヱホバ 爾 を 我 に 敵 せしめたまふならばねがはくはヱホバ 禮物 をうけたまへされど 若 し 人 ならばねがはくは 其 人々 ヱホバのまへにのろはれよ 其 は 彼等 爾 ゆきて 他 の 神 につかへよといひて 今日 我 を 追 ひヱホバの 產業 に 連 なることをえざらしむるが 故 なり
20 ねがはくは 我 血 をしてヱホバのまへをはなれて 地 におちしむるなかれそは 人 の 山 にて 鷓鴣 をおふがごとくイスラエルの 王 一 の 蚤 をたづねにいでたればなり
21 サウルいひけるは 我 罪 ををかせりわが 子 ダビデよ 歸 れわが 生命 今日 爾 の 目 に 寶 と 見 なされたる 故 により 我々 かさねて 爾 に 害 を 加 へざるべし 嗚呼 われ 愚 なることをなして 甚 だしく 過 てり
22 ダビデこたへていひけるは 王 よ 槍 を 視 よ 請 ひとりの 少者 をしてわたりてこれを 取 しめよ
23 ねがはくはヱホバおのおのに 其 義 と 眞實 とにしたがひて 報 いたまへ 共 はヱホバ 今日 爾 をわが 手 にわたしたまひしに 我 ヱホバの 受膏 者 に 敵 してわが 手 をのぶることをせざればなり
24 爾 の 生命 を 今日 わがおもんぜしごとくねがはくはヱホバわが 生命 をおもんじて 諸 の 艱難 のうちより 我 をすくひいだしたまへ
25 サウル、ダビデにいひけるはわが 子 ダビデよ 爾 はほむべきかな 爾 大 なる 事 を 爲 さん 亦 かならず 勝 をえんとしかしてダビデは 其 道 にさりサウルはおのれの 所 にかへれり
Chapter 27
1 ダビデ 心 の 中 にいひけるは 是 のごとくば 我 早晩 サウルの 手 にほろびん 速 にペリシテ 人 の 地 にのがるるにまさることあらず 然 らばサウルかさねて 我 をイスラエルの 四方 の 境 にたづぬることをやめて 我 かれの 手 をのがれんと
2 ダビデたちておのれとともな六 百 人 のものとともにわたりてガテの 王 マオクの 子 アキシにいたる
3 ダビデと 其 從者 ガテにてアキシとともに 住 ておのおの 其 家族 とともにをるダビデはその 二人 の 妻 すなはちヱズレル 人 アヒノアムとカルメル 人 ナバルの 妻 なりしアビガルとともにあり
4 ダビデのガテににげしことサウルにきこえければサウルかさねてかれをたづねざりき
5 ここにダビデ、アキシにいひけるは 我 もし 爾 のまへに 恩 を 得 たるならばねがはくは 郷里 にある 邑 のうちにて 一 のところを 我 にあたへて 其處 にすむことを 得 さしめよ 僕 なんぞ 爾 とともに 王城 にすむべけんやと
6 アキシ 其 日 チクラグをかれにあたへたり 是故 にヂクラグは 今日 にいたるまでユダの 王 に 屬 す
7 タビデのペリシテ 人 の 國 にをりし 日 數 は 一 年 と 四箇 月 なりき
8 ダビデ 其 從者 と 共 にのぼりゲシユル 人 ゲゼリ 人 アマレク 人 を 襲 ふたり 昔 より 是等 はシユルにいたる 地 にすみてエジプトの 地 にまでおよべり
9 ダビデ 其 地 をうちて 男 をも 女 をも 生 し 存 さず 羊 と 牛 と 駱駝 と 衣服 をとりて 還 りてアキシに 至 る
10 アキシいひけるは 爾 ら 今日 何地 を 襲 ひしやダビデいひけるはユダの 南 とヱラメルの 南 とケニ 人 の 南 ををかせりと
11 ダビデ 男 も 女 も 生存 らしめずして 一人 をもガテにひきゆかざりき 其 はダビデ 恐 くは 彼 らダビデかくなせりといひて 我儕 の 事 を 告 んといひたればなりダビデ、ペリシテ 人 の 地 にすめるあひだは 其 なすところ 常 にかくのごとくなりき
12 アキシ、ダビデを 信 じていひけるは 彼 は 其 民 イスラエルをして 全 くおのれを 惡 ましむされば 永 くわが 僕 となるべし
Chapter 28
1 其 頃 ペリシテ 人 イスラエルと 戰 はんとて 軍 のために 軍勢 を 集 めたればアキシ、ダビデにいひけるは 爾 明 かにこれをしれ 爾 と 爾 の 從者 我 とともに 出 て 軍 にくははるべし
2 ダビデ、アキシにいひけるはされば 爾 僕 のなさんところをしるべしとアキシ、ダビデにさらば 我 爾 を 永 く 我 身 をまもる 者 となさんといへり
3 サムエルすでに 死 たればイスラエルみなこれをかなしみてこれをそのまちラマにはうむれりまたサウルは 口寄者 と 卜筮師 を 其 地 よりおひいだせり
4 ペリシテ 人 あつまりきたりてシユネムに 陣 をとりければサウル、イスラエルを 悉 くあつめてギルボアに 陣 をとれり
5 サウル、ペリシテ 人 の 軍 を 見 しときおそれて 其心 大 にふるへたり
6 サウル、ヱホバに 問 ひけるにヱホバ 對 たまはず 夢 に 因 てもウリムによりても 預言者 によりてもこたへたまはず
7 サウル 僕 等 にいひけるは 口 寄 の 婦 を 求 めよわれそのところにゆきてこれに 尋 ねんと 僕 等 かれにいひけるは 視 よエンドルに 口 寄 の 婦 あり
8 サウル 形 を 變 へて 他 の 衣服 を 著 二人 の 人 をともなひてゆき 彼等 夜 の 間 に 其 婦 の 所 にいたるサウルいひけるは 請 ふわがために 口 寄 の 術 をおこなひてわが 爾 に 言 ふ 人 をわれに 呼 おこせ
9 婦 かれにいひけるはなんぢサウルのなしたる 事 すなはち 如何 にかれが 口寄者 と 卜筮師 を 國 より 斷 さりたるを 知 る 爾 なんぞ 我 を 死 しめんとてわが 生命 を 亡 す 謀計 をなすや
10 サウル、ヱホバを 指 てかれに 誓 ひいひけるはヱホバは 生 く 此 事 のためになんぢ 罪 にあふことあらじ
11 婦 いひけるは 誰 を 我 なんぢに 呼 起 すべきかサウルいふサムエルをよびおこせ
12 婦 サムエルを 見 て 大 なる 聲 にてさけびいだせりしかして 婦 サウルにいひけるは 爾 なにゆゑに 我 を 欺 きしや 爾 はすなはちサウルなり
13 王 かれにいひけるは 恐 るるなかれ 爾 なにを 見 しや 婦 サウルにいひけるは 我 神 の 地 よりのぼるを 見 たり
14 サウルかれにいひけるは 其 形容 は 如何 彼 いひけるは 一人 の 老翁 のぼる 其人 明衣 を 衣 たりサウル 其人 のサムエルなるをしりて 地 にふして 拝 せり
15 サムエル、サウルにいひけるは 爾 なんぞ 我 をよびおこして 我 をわづらはすやサウルこたへけるは 我 いたく 惱 むペリシテ 人 我 にむかひて 軍 をおこし 又 神 我 をはなれて 預言者 によりても 又 夢 によりてもふたたび 我 にこたへたまはずこのゆゑに 我 なすべき 事 を 爾 にまなばんとて 爾 を 呼 り
16 サムエルいひけるはヱホバ 爾 をはなれて 爾 の 敵 となりたまふに 爾 なんぞ 我 にとふや
17 ヱホバわれをもて 語 りたまひしことをみづから 行 ひてヱホバ 國 を 爾 の 手 より 割 きはなち 爾 の 隣人 ダビデにあたへたまふ
18 爾 ヱホバの 言 にしたがはず 其 烈 しき 怒 をアマレクにもらさざりしによりてヱホバ 此事 を 今日 爾 になしたまふ
19 ヱホバ、イスラエルをも 爾 とともにペリシテ 人 の 手 にわたしたまふべし 明日 爾 と 爾 の 子等 我 とともなるべしまたイスラエルの 陣 營 をもヱホバ、ペリシテ 人 の 手 にわたしたまはんと
20 サウル 直 ちに 地 に 伸 びたふれサムエルの 言 のために 痛 くおそれ 又 其 力 を 失 へり 其 はかれ 其 一日 一夜 物 食 ざりければなり
21 かの 婦 サウルにいたり 其 痛 く 慄 くを 見 てこれにいひけるは 視 よ 仕女 爾 の 言 をききわが 生命 をかけて 爾 が 我 にいひし 言 にしたがへり
22 されば 請 ふ 爾 も 仕女 の 言 を 聽 て 我 をして 一 口 のパンを 爾 のまへにそなへしめよしかして 爾 くらひて 途 に 就 く 時 に 力 を 得 よ
23 されどサウル 否 みて 我 は 食 はじといひしを 其 僕 および 婦 強 ければ 其 言 をききいれて 地 より 立 あがり 床 のうへに 坐 せり
24 婦 の 家 に 肥 たる 犢 ありしかば 急 ぎて 之 を 殺 しまた 粉 をとり 摶 て 酵 いれぬパンを 炊 き
25 サウルのまへと 其 僕 等 のまへに 持 ちきたりければ 彼等 くらひて 立 ちあがり 其 夜 のうちにされり
Chapter 29
1 爰 にペリシテ 人 其 軍 をことごとくアペクにあつむイスラエルはヱズレルにある 泉水 の 傍 に 陣 をとる
2 ペリシテ 人 の 君等 あるひは 百 人 或 は 千 人 をひきゐて 進 みダビデと 其 從者 はアキシとともに 其 後 にすすむ
3 ペリシテ 人 の 諸伯 いひけるは 是等 のヘブル 人 は 何 なるやアキシ、ペリシテ 人 の 諸伯 にいひけるは 此 はイスラエルの 王 サウルの 僕 ダビデにあらずやかれ 此 日 ごろ 此 年 ごろ 我 とともにをりしがその 逃 げおちし 日 より 今日 にいたるまで 我 かれの 身 に 咎 あるを 見 ずと
4 ペリシテ 人 の 諸伯 これを 怒 る 即 ちペリシテ 人 の 諸伯 彼 にいひけるは 此人 をかへらしめて 爾 が 之 をおきし 其 所 にふたたびいたらしめよ 彼 は 我 らとともに 戰 ひにくだるべからず 然 ば 彼 戰爭 においてわれらの 敵 とならざるべしかれ 其 主 と 和 がんとせば 何 をもてすべきやこの 人々 の 首級 をもてすべきにあらずや
5 是 はかつて 人々 が 舞踏 の 中 にて 歌 ひあひサウルは 千 をうちころしダビデは 萬 をうちころすといひたるダビデにあらずや
6 アキシ、ダビデをよびてこれにいひけるはヱホバは 生 くまことになんぢは 正 し 爾 の 我 とともに 陣 營 に 出 入 するはわが 目 には 善 と 見 ゆ 其 は 爾 が 我 に 來 りし 日 より 今日 にいたるまで 我 爾 の 身 に 惡 き 事 あるを 見 ざればなり 然 ど 諸伯 の 目 には 爾 よからず
7 されば 今 かへりて 安 かにゆきペリシテ 人 の 諸伯 の 目 に 惡 く 見 ゆることをなすなかれ
8 ダビデ、アキシにいひけるは 我 何 をなせしやわが 爾 のまへに 出 し 日 より 今日 までに 爾 何 を 僕 の 身 に 見 たればか 我 ゆきてわが 主 なるわうの 敵 とたたかふことをえざると
9 アキシこたへてダビデにいひけるは 我 爾 のわが 目 には 神 の 使 のごとく 善 きをしるされどペリシテ 人 の 諸伯 かれは 我 らとともに 戰 ひにのぼるべからずといへり
10 されば 爾 および 爾 の 主 の 僕 の 爾 とともにきたれる 者 明 朝 夙 く 起 よ 爾 ら 朝 はやくおきて 夜 のあくるに 及 ばばさるべし
11 是 をもてダビデと 其 從者 ペリシテ 人 の 地 にかへらんと 朝 はやく 起 てされりしかしてペリシテ 人 はヱズレルにのぼれり
Chapter 30
1 ダビデと 其 從者 第三日 にチクラグにいたるにアマレク 人 すでに 南 の 地 とチクラグを 侵 したりかれらチクラグを 撃 ち 火 をもて 之 を 燬 き
2 其 中 に 居 りし 婦女 を 擄 にし 老 たるをも 若 きをも 一人 も 殺 さずして 之 をひきて 其 途 におもむけり
3 ダビデと 其 從者 邑 にいたりて 視 に 邑 は 火 に 燬 けその 妻 と 男子 女子 は 擄 にせられたり
4 ダビデおよびこれとともにある 民 聲 をあげて 哭 き 終 に 哭 く 力 もなきにいたれり
5 ダビデのふたりの 妻 すなはちヱズレル 人 アヒノアムとカルメル 人 ナバルの 妻 なりしアビガルも 虜 にせられたり
6 時 にダビデ 大 に 心 を 苦 めたり 其 は 民 おのおの 其 男子 女子 のために 氣 をいらだてダビデを 石 にて 撃 んといひたればなりされどダビデ 其 神 ヱホバによりておのれをはげませり
7 ダビデ、アヒメレクの 子 祭司 アビヤタルにいひけるは 請 ふエポデを 我 にもちきたれとアビヤタル、エポデをダビデにもちきたる
8 ダビデ、ヱホバに 問 ていひけるは 我 此 軍 の 後 を 追 ふべきや 我 これに 追 つくことをえんかとヱホバかれにこたへたまはく 追 ふべし 爾 かならず 追 つきてたしかに 取 もどすことをえん
9 ダビデおよびこれとともなる六 百 人 の 者 ゆきてベソル 川 にいたれり 後 にのこれる 者 はここにとどまる
10 即 ちダビデ四 百 人 をひきゐて 追 ゆきしが 憊 れてベソル 川 をわたることあたはざる 者 二 百 人 はとどまれり
11 衆人 野 にて 一人 のエジプト 人 を 見 これをダビデにひききたりてこれに 食物 をあたへければ 食 へりまたこれに 水 をのませたり
12 すなはち 一段 の 乾 無花果 と 二 球 の 乾葡萄 をこれにあたへたり 彼 くらひて 其 氣 ふたたび 爽 かになれりかれは 三日三夜 物 をもくはず 水 をものまざりしなり
13 ダビデかれにいひけるは 爾 は 誰 の 人 なる 爾 はいづくの 者 なるやかれいひけるは 我 はエジプトの 少者 にて 一人 のアマレク 人 の 僕 なり 三日 まへに 我 疾 にかかりしゆゑにわが 主人 我 をすてたり
14 我 らケレテ 人 の 南 とユダの 地 とカレブの 南 ををかしまた 火 をもてチクラグをやけり
15 ダビデかれにいひけるは 爾 我 を 此 軍 にみちびきくだるやかれいひけるは 爾 我 をころさずまた 我 をわが 主人 の 手 にわたさざるを 神 をさして 我 に 誓 へ 我 爾 を 此 軍 にみちびきくだらん
16 かれダビデをみちびきくだりしが 視 よ 彼等 はペリシテ 人 の 地 とユダの 地 より 奪 ひたる 諸 の 大 なる 掠取物 のためによろこびて 飮 食 し 踊 りつつ 地 にあまねく 散 ひろがりて 居 る
17 ダビデ 暮 あひより 次 日 の 晩 にいたるまでかれらを 撃 しかば 駱駝 にのりて 逃 げたる四 百 人 の 少者 の 外 は 一人 ものがれたるもの 无 りき
18 ダビデはすべてアマレク 人 の 奪 ひたる 物 を 取 りもどせり 其 二人 の 妻 もダビデとりもどせり
19 小 きも 大 なるも 男子 も 女子 も 掠取物 もすべてアマレク 人 の 奪 さりし 物 は 一 も 失 はずダビデことごとく 取 かへせり
20 ダビデまた 凡 の 羊 と 牛 をとれり 人々 この 家畜 をそのまへに 驅 きたり 是 はダビデの 掠取物 なりといへり
21 かくてダビデかの 憊 れてダビデにしたがひ 得 ずしてベソル 川 のほとりに 止 まりし二 百 人 の 者 のところにいたるに 彼 らダビデをいでむかへまたダビデとともなる 民 をいでむかふダビデかの 民 にちかづきてその 安否 をたづぬ
22 ダビデとともにゆきし 人々 の 中 の 惡 く 邪 なる 者 みなこたへていひけるは 彼等 は 我 らとともにゆかざりければ 我 らこれに 取 りもどしたる 掠取物 をわけあたふべからず 唯 おのおのにその 妻 子 をあたへてこれをみちびきさらしめん
23 ダビデ 言 けるはわが 兄弟 よヱホバ 我 らをまもり 我 らにせめきたりし 軍 を 我 らの 手 にわたしたまひたれば 爾 らヱホバのわれらにたまひし 物 をしかするは 宜 からず
24 誰 か 爾 らにかかることをゆるさんや 戰 ひにくだりし 者 の 取 る 分 のごとく 輜重 のかたはらに 止 まりし 者 の 取 る 分 もまた 然 あるべし 共 にひとしく 取 るべし
25 この 日 よりのちダビデこれをイスラエルの 法 となし 例 となせり 其 事 今日 にいたる
26 ダビデ、チクラグにいたりて 其 掠取 物 をユダの 長老 なる 其 朋友 にわかちおくりて 曰 しめけるは 是 はヱホバの 敵 よりとりて 爾 らにおくる 饋物 なり
27 ベテルにをるもの 南 のラモテにをるものヤツテルにをる 者
28 アロエルにをる 者 シフモテにをるものエシテモにをるもの
29 ラカルにをるものヱラメル 人 の 邑 にをるものケニ 人 の 邑 にをるもの
30 ホルマにをるものコラシヤンにをるものアタクにをるもの
31 ヘブロンにをるものおよびすべてダビデが 其 從者 とともに 毎 にゆきし 所 にこれをわかちおくれり
Chapter 31
1 ペリシテ 人 イスラエルと 戰 ふイスラエルの 人々 ペリシテ 人 のまへより 逃 げ 負傷者 ギルボア 山 に 斃 れたり
2 ペリシテ 人 サウルと 其 子等 に 攻 よりペリシテ 人 サウルの 子 ヨナタン、アビナダブおよびマルキシユアを 殺 したり
3 戰 はげしくサウルにせまりて 射手 の 者 サウルを 射 とめければ 彼 痛 く 射手 の 者 のために 苦 しめり
4 サウル 武器 を 執 る 者 にいひけるは 爾 の 劍 を 抜 き 其 をもて 我 を 刺 とほせ 恐 らくは 是等 の 割禮 なき 者 きたりて 我 を 刺 し 我 をはづかしめんと 然 ども 武器 をとるもの 痛 くおそれて 肯 ぜざればサウル 劍 をとりて 其 上 に 伏 したり
5 武器 を 執 るものサウルの 死 たるを 見 ておのれも 劍 の 上 にふしてかれとともに 死 り
6 かくサウルと 其 三 人 の 子 およびサウルの 武器 をとるもの 並 に 其 從者 みな 此 日 倶 に 死 り
7 イスラエルの 人々 の 谷 の 對向 にをるもの 及 びヨルダンの 對面 にをるものイスラエルの 人々 の 逃 るを 見 サウルと 其 子等 の 死 るをみて 諸邑 を 棄 て 逃 ければペリシテ 人 きたりて 其 中 にをる
8 明日 ペリシテ 人 戰沒 せる 者 を 剥 んとてきたりサウルと 其 三 人 の 子 のギルボア 山 にたふれをるを 見 たり
9 彼等 すなはちサウルの 首 を 斬 り 其 鎧甲 をはぎとりペリシテ 人 の 地 の 四方 につかはして 此 好 報 を 其 偶像 の 家 および 民 の 中 につげしむ
10 またかれら 其 鎧甲 をアシタロテの 家 におき 其 體 をベテシヤンの 城垣 に 釘 けたり
11 ヤベシギレアデの 人々 ペリシテ 人 のサウルになしたる 事 を 聞 きしかば
12 勇士 みなおこり 終夜 ゆきてサウルの 體 と 其 子等 の 體 をベテシヤンの 城垣 よりとりおろしヤベシにいたりて 之 を 其處 に 焚 き
13 其 骨 をとりてヤベシの 柳 樹 の 下 にはうむり 七日 のあひだ 斷食 せり