Chapter 1
1 ウヅの 地 にヨブという 名 の 人 があった。そのひととなりは 全 く、かつ 正 しく、神 を 恐 れ、悪 に 遠 ざかった。
2 彼 に 男 の 子 七 人 と 女 の 子 三 人 があり、
3 その 家畜 は 羊 七千 頭、らくだ三千 頭、牛 五百くびき、雌 ろば五百 頭 で、しもべも 非常 に 多 く、この 人 は 東 の 人々 のうちで 最 も 大 いなる 者 であった。
4 そのむすこたちは、めいめい 自分 の 日 に、自分 の 家 でふるまいを 設 け、その三 人 の 姉妹 をも 招 いて 一緒 に 食 い 飲 みするのを 常 とした。
5 そのふるまいの 日 がひとめぐり 終 るごとに、ヨブは 彼 らを 呼 び 寄 せて 聖別 し、朝 早 く 起 きて、彼 らすべての 数 にしたがって 燔祭 をささげた。これはヨブが「わたしのむすこたちは、ことによったら 罪 を 犯 し、その 心 に 神 をのろったかもしれない」と 思 ったからである。ヨブはいつも、このように 行 った。
6 ある 日、神 の 子 たちが 来 て、主 の 前 に 立 った。サタンも 来 てその 中 にいた。
7 主 は 言 われた、「あなたはどこから 来 たか」。サタンは 主 に 答 えて 言 った、「地 を 行 きめぐり、あちらこちら 歩 いてきました」。
8 主 はサタンに 言 われた、「あなたはわたしのしもべヨブのように 全 く、かつ 正 しく、神 を 恐 れ、悪 に 遠 ざかる 者 の 世 にないことを 気 づいたか」。
9 サタンは 主 に 答 えて 言 った、「ヨブはいたずらに 神 を 恐 れましょうか。
10 あなたは 彼 とその 家 およびすべての 所有物 のまわりにくまなく、まがきを 設 けられたではありませんか。あなたは 彼 の 勤労 を 祝福 されたので、その 家畜 は 地 にふえたのです。
11 しかし 今 あなたの 手 を 伸 べて、彼 のすべての 所有物 を 撃 ってごらんなさい。彼 は 必 ずあなたの 顔 に 向 かって、あなたをのろうでしょう」。
12 主 はサタンに 言 われた、「見 よ、彼 のすべての 所有物 をあなたの 手 にまかせる。ただ 彼 の 身 に 手 をつけてはならない」。サタンは 主 の 前 から 出 て 行 った。
13 ある 日 ヨブのむすこ、娘 たちが 第 一の 兄 の 家 で 食事 をし、酒 を 飲 んでいたとき、
14 使者 がヨブのもとに 来 て 言 った、「牛 が 耕 し、ろばがそのかたわらで 草 を 食 っていると、
15 シバびとが 襲 ってきて、これを 奪 い、つるぎをもってしもべたちを 打 ち 殺 しました。わたしはただひとりのがれて、あなたに 告 げるために 来 ました」。
16 彼 がなお 語 っているうちに、またひとりが 来 て 言 った、「神 の 火 が 天 から 下 って、羊 およびしもべたちを 焼 き 滅 ぼしました。わたしはただひとりのがれて、あなたに 告 げるために 来 ました」。
17 彼 がなお 語 っているうちに、またひとりが 来 て 言 った、「カルデヤびとが三 組 に 分 れて 来 て、らくだを 襲 ってこれを 奪 い、つるぎをもってしもべたちを 打 ち 殺 しました。わたしはただひとりのがれて、あなたに 告 げるために 来 ました」。
18 彼 がなお 語 っているうちに、またひとりが 来 て 言 った、「あなたのむすこ、娘 たちが 第 一の 兄 の 家 で 食事 をし、酒 を 飲 んでいると、
19 荒野 の 方 から 大風 が 吹 いてきて、家 の 四 すみを 撃 ったので、あの 若 い 人 たちの 上 につぶれ 落 ちて、皆 死 にました。わたしはただひとりのがれて、あなたに 告 げるために 来 ました」。
20 このときヨブは 起 き 上 がり、上着 を 裂 き、頭 をそり、地 に 伏 して 拝 し、
21 そして 言 った、「わたしは 裸 で 母 の 胎 を 出 た。また 裸 でかしこに 帰 ろう。主 が 与 え、主 が 取 られたのだ。主 のみ 名 はほむべきかな」。
22 すべてこの 事 においてヨブは 罪 を 犯 さず、また 神 に 向 かって 愚 かなことを 言 わなかった。
Chapter 2
1 ある 日、また 神 の 子 たちが 来 て、主 の 前 に 立 った。サタンもまたその 中 に 来 て、主 の 前 に 立 った。
2 主 はサタンに 言 われた、「あなたはどこから 来 たか」。サタンは 主 に 答 えて 言 った、「地 を 行 きめぐり、あちらこちら 歩 いてきました」。
3 主 はサタンに 言 われた、「あなたは、わたしのしもべヨブのように 全 く、かつ 正 しく、神 を 恐 れ、悪 に 遠 ざかる 者 の 世 にないことを 気 づいたか。あなたは、わたしを 勧 めて、ゆえなく 彼 を 滅 ぼそうとしたが、彼 はなお 堅 く 保 って、おのれを 全 うした」。
4 サタンは 主 に 答 えて 言 った、「皮 には 皮 をもってします。人 は 自分 の 命 のために、その 持 っているすべての 物 をも 与 えます。
5 しかしいま、あなたの 手 を 伸 べて、彼 の 骨 と 肉 とを 撃 ってごらんなさい。彼 は 必 ずあなたの 顔 に 向 かって、あなたをのろうでしょう」。
6 主 はサタンに 言 われた、「見 よ、彼 はあなたの 手 にある。ただ 彼 の 命 を 助 けよ」。
7 サタンは 主 の 前 から 出 て 行 って、ヨブを 撃 ち、その 足 の 裏 から 頭 の 頂 まで、いやな 腫物 をもって 彼 を 悩 ました。
8 ヨブは 陶器 の 破片 を 取 り、それで 自分 の 身 をかき、灰 の 中 にすわった。
9 時 にその 妻 は 彼 に 言 った、「あなたはなおも 堅 く 保 って、自分 を 全 うするのですか。神 をのろって 死 になさい」。
10 しかしヨブは 彼女 に 言 った、「あなたの 語 ることは 愚 かな 女 の 語 るのと 同 じだ。われわれは 神 から 幸 をうけるのだから、災 をも、うけるべきではないか」。すべてこの 事 においてヨブはそのくちびるをもって 罪 を 犯 さなかった。
11 時 に、ヨブの三 人 の 友 がこのすべての 災 のヨブに 臨 んだのを 聞 いて、めいめい 自分 の 所 から 尋 ねて 来 た。すなわちテマンびとエリパズ、シュヒびとビルダデ、ナアマびとゾパルである。彼 らはヨブをいたわり、慰 めようとして、たがいに 約束 してきたのである。
12 彼 らは 目 をあげて 遠方 から 見 たが、彼 のヨブであることを 認 めがたいほどであったので、声 をあげて 泣 き、めいめい 自分 の 上着 を 裂 き、天 に 向 かって、ちりをうちあげ、自分 たちの 頭 の 上 にまき 散 らした。
13 こうして 七日 七夜、彼 と 共 に 地 に 座 していて、ひと 言 も 彼 に 話 しかける 者 がなかった。彼 の 苦 しみの 非常 に 大 きいのを 見 たからである。
Chapter 3
1 この 後、ヨブは 口 を 開 いて、自分 の 生 れた 日 をのろった。
2 すなわちヨブは 言 った、
3 「わたしの 生 れた 日 は 滅 びうせよ。『男 の 子 が、胎 にやどった』と 言 った 夜 もそのようになれ。
4 その 日 は 暗 くなるように。神 が 上 からこれを 顧 みられないように。光 がこれを 照 さないように。
5 やみと 暗黒 がこれを 取 りもどすように。雲 が、その 上 にとどまるように。日 を 暗 くする 者 が、これを 脅 かすように。
6 その 夜 は、暗 やみが、これを 捕 えるように。年 の 日 のうちに 加 わらないように。月 の 数 にもはいらないように。
7 また、その 夜 は、はらむことのないように。喜 びの 声 がそのうちに 聞 かれないように。
8 日 をのろう 者 が、これをのろうように。レビヤタンを 奮 い 起 すに 巧 みな 者 が、これをのろうように。
9 その 明 けの 星 は 暗 くなるように。光 を 望 んでも、得 られないように。また、あけぼののまぶたを 見 ることのないように。
10 これは、わたしの 母 の 胎 の 戸 を 閉 じず、また 悩 みをわたしの 目 に 隠 さなかったからである。
11 なにゆえ、わたしは 胎 から 出 て、死 ななかったのか。腹 から 出 たとき 息 が 絶 えなかったのか。
12 なにゆえ、ひざが、わたしを 受 けたのか。なにゆえ、乳 ぶさがあって、わたしはそれを 吸 ったのか。
13 そうしなかったならば、わたしは 伏 して 休 み、眠 ったであろう。そうすればわたしは 安 んじており、
14 自分 のために 荒 れ 跡 を 築 き 直 した 地 の 王 たち、参議 たち、
15 あるいは、こがねを 持 ち、しろがねを 家 に 満 たした 君 たちと 一緒 にいたであろう。
16 なにゆえ、わたしは 人知 れずおりる 胎児 のごとく、光 を 見 ないみどりごのようでなかったのか。
17 かしこでは 悪人 も、あばれることをやめ、うみ 疲 れた 者 も、休 みを 得、
18 捕 われ 人 も 共 に 安 らかにおり、追 い 使 う 者 の 声 を 聞 かない。
19 小 さい 者 も 大 きい 者 もそこにおり、奴隷 も、その 主人 から 解 き 放 される。
20 なにゆえ、悩 む 者 に 光 を 賜 い、心 の 苦 しむ 者 に 命 を 賜 わったのか。
21 このような 人 は 死 を 望 んでも 来 ない、これを 求 めることは 隠 れた 宝 を 掘 るよりも、はなはだしい。
22 彼 らは 墓 を 見 いだすとき、非常 に 喜 び 楽 しむのだ。
23 なにゆえ、その 道 の 隠 された 人 に、神 が、まがきをめぐらされた 人 に、光 を 賜 わるのか。
24 わたしの 嘆 きはわが 食物 に 代 って 来 り、わたしのうめきは 水 のように 流 れ 出 る。
25 わたしの 恐 れるものが、わたしに 臨 み、わたしの 恐 れおののくものが、わが 身 に 及 ぶ。
26 わたしは 安 らかでなく、またおだやかでない。わたしは 休 みを 得 ない、ただ 悩 みのみが 来 る」。
Chapter 4
1 その 時、テマンびとエリパズが 答 えて 言 った、
2 「もし 人 があなたにむかって 意見 を 述 べるならば、あなたは 腹 を 立 てるでしょうか。しかしだれが 黙 っておれましょう。
3 見 よ、あなたは 多 くの 人 を 教 えさとし、衰 えた 手 を 強 くした。
4 あなたの 言葉 はつまずく 者 をたすけ 起 し、かよわいひざを 強 くした。
5 ところが 今、この 事 があなたに 臨 むと、あなたは 耐 え 得 ない。この 事 があなたに 触 れると、あなたはおじ 惑 う。
6 あなたが 神 を 恐 れていることは、あなたのよりどころではないか。あなたの 道 の 全 きことは、あなたの 望 みではないか。
7 考 えてみよ、だれが 罪 のないのに、滅 ぼされた 者 があるか。どこに 正 しい 者 で、断 ち 滅 ぼされた 者 があるか。
8 わたしの 見 た 所 によれば、不義 を 耕 し、害悪 をまく 者 は、それを 刈 り 取 っている。
9 彼 らは 神 のいぶきによって 滅 び、その 怒 りの 息 によって 消 えうせる。
10 ししのほえる 声、たけきししの 声 はともにやみ、若 きししのきばは 折 られ、
11 雄 じしは 獲物 を 得 ずに 滅 び、雌 じしの 子 は 散 らされる。
12 さて、わたしに、言葉 がひそかに 臨 んだ、わたしの 耳 はそのささやきを 聞 いた。
13 すなわち 人 の 熟睡 するころ、夜 の 幻 によって 思 い 乱 れている 時、
14 恐 れがわたしに 臨 んだので、おののき、わたしの 骨 はことごとく 震 えた。
15 時 に、霊 があって、わたしの 顔 の 前 を 過 ぎたので、わたしの 身 の 毛 はよだった。
16 そのものは 立 ちどまったが、わたしはその 姿 を 見 わけることができなかった。一つのかたちが、わたしの 目 の 前 にあった。わたしは 静 かな 声 を 聞 いた、
17 『人 は 神 の 前 に 正 しくありえようか。人 はその 造 り 主 の 前 に 清 くありえようか。
18 見 よ、彼 はそのしもべをさえ 頼 みとせず、その 天使 をも 誤 れる 者 とみなされる。
19 まして、泥 の 家 に 住 む 者、ちりをその 基 とする 者、しみのようにつぶされる 者。
20 彼 らは 朝 から 夕 までの 間 に 打 ち 砕 かれ、顧 みる 者 もなく、永遠 に 滅 びる。
21 もしその 天幕 の 綱 が 彼 らのうちに 取 り 去 られるなら、ついに 悟 ることもなく、死 にうせるではないか』。
Chapter 5
1 試 みに 呼 んでみよ、だれかあなたに 答 える 者 があるか。どの 聖者 にあなたは 頼 もうとするのか。
2 確 かに、憤 りは 愚 かな 者 を 殺 し、ねたみはあさはかな 者 を 死 なせる。
3 わたしは 愚 かな 者 の 根 を 張 るのを 見 た、しかしわたしは、にわかにそのすみかをのろった。
4 その 子 らは 安 きを 得 ず、町 の 門 でしえたげられても、これを 救 う 者 がない。
5 その 収穫 は 飢 えた 人 が 食 べ、いばらの 中 からさえ、これを 奪 う。また、かわいた 者 はその 財産 をあえぎ 求 める。
6 苦 しみは、ちりから 起 るものでなく、悩 みは 土 から 生 じるものでない。
7 人 が 生 れて 悩 みを 受 けるのは、火 の 子 が 上 に 飛 ぶにひとしい。
8 しかし、わたしであるならば、神 に 求 め、神 に、わたしの 事 をまかせる。
9 彼 は 大 いなる 事 をされるかたで、測 り 知 れない、その 不思議 なみわざは 数 えがたい。
10 彼 は 地 に 雨 を 降 らせ、野 に 水 を 送 られる。
11 彼 は 低 い 者 を 高 くあげ、悲 しむ 者 を 引 き 上 げて、安全 にされる。
12 彼 は 悪賢 い 者 の 計 りごとを 敗 られる。それで 何事 もその 手 になし 遂 げることはできない。
13 彼 は 賢 い 者 を、彼 ら 自身 の 悪巧 みによって 捕 え、曲 った 者 の 計 りごとをくつがえされる。
14 彼 らは 昼 も、やみに 会 い、真昼 にも、夜 のように 手探 りする。
15 彼 は 貧 しい 者 を 彼 らの 口 のつるぎから 救 い、また 強 い 者 の 手 から 救 われる。
16 それゆえ 乏 しい 者 に 望 みがあり、不義 はその 口 を 閉 じる。
17 見 よ、神 に 戒 められる 人 はさいわいだ。それゆえ 全能者 の 懲 しめを 軽 んじてはならない。
18 彼 は 傷 つけ、また 包 み、撃 ち、またその 手 をもっていやされる。
19 彼 はあなたを六つの 悩 みから 救 い、七つのうちでも、災 はあなたに 触 れることがない。
20 ききんの 時 には、あなたをあがなって、死 を 免 れさせ、いくさの 時 には、つるぎの 力 を 免 れさせられる。
21 あなたは 舌 をもってむち 打 たれる 時 にも、おおい 隠 され、滅 びが 来 る 時 でも、恐 れることはない。
22 あなたは 滅 びと、ききんとを 笑 い、地 の 獣 をも 恐 れることはない。
23 あなたは 野 の 石 と 契約 を 結 び、野 の 獣 はあなたと 和 らぐからである。
24 あなたは 自分 の 天幕 の 安全 なことを 知 り、自分 の 家畜 のおりを 見回 っても、欠 けた 物 がなく、
25 また、あなたの 子孫 の 多 くなり、そのすえが 地 の 草 のようになるのを 知 るであろう。
26 あなたは 高齢 に 達 して 墓 に 入 る、あたかも 麦 束 をその 季節 になって 打 ち 場 に 運 びあげるようになるであろう。
27 見 よ、われわれの 尋 ねきわめた 所 はこのとおりだ。あなたはこれを 聞 いて、みずから 知 るがよい」。
Chapter 6
1 ヨブは 答 えて 言 った、
2 「どうかわたしの 憤 りが 正 しく 量 られ、同時 にわたしの 災 も、はかりにかけられるように。
3 そうすれば、これは 海 の 砂 よりも 重 いに 相違 ない。それゆえ、わたしの 言葉 が 軽率 であったのだ。
4 全能者 の 矢 が、わたしのうちにあり、わたしの 霊 はその 毒 を 飲 み、神 の 恐 るべき 軍勢 が、わたしを 襲 い 攻 めている。
5 野 ろばは、青草 のあるのに 鳴 くであろうか。牛 は 飼葉 の 上 でうなるであろうか。
6 味 のない 物 は 塩 がなくて 食 べられようか。すべりひゆのしるは 味 があろうか。
7 わたしの 食欲 はこれに 触 れることを 拒 む。これは、わたしのきらう 食物 のようだ。
8 どうかわたしの 求 めるものが 獲 られるように。どうか 神 がわたしの 望 むものをくださるように。
9 どうか 神 がわたしを 打 ち 滅 ぼすことをよしとし、み 手 を 伸 べてわたしを 断 たれるように。
10 そうすれば、わたしはなお 慰 めを 得、激 しい 苦 しみの 中 にあっても 喜 ぶであろう。わたしは 聖 なる 者 の 言葉 を 否 んだことがないからだ。
11 わたしにどんな 力 があって、なお 待 たねばならないのか。わたしにどんな 終 りがあるので、なお 耐 え 忍 ばねばならないのか。
12 わたしの 力 は 石 の 力 のようであるのか。わたしの 肉 は 青銅 のようであるのか。
13 まことに、わたしのうちに 助 けはなく、救 われる 望 みは、わたしから 追 いやられた。
14 その 友 に 対 するいつくしみをさし 控 える 者 は、全能者 を 恐 れることをすてる。
15 わが 兄弟 たちは 谷川 のように、過 ぎ 去 る 出水 のように 欺 く。
16 これは 氷 のために 黒 くなり、そのうちに 雪 が 隠 れる。
17 これは 暖 かになると 消 え 去 り、暑 くなるとその 所 からなくなる。
18 隊商 はその 道 を 転 じ、むなしい 所 へ 行 って 滅 びる。
19 テマの 隊商 はこれを 望 み、シバの 旅 びとはこれを 慕 う。
20 彼 らはこれにたよったために 失望 し、そこに 来 てみて、あわてる。
21 あなたがたは 今 わたしにはこのような 者 となった。あなたがたはわたしの 災難 を 見 て 恐 れた。
22 わたしは 言 ったことがあるか、『わたしに 与 えよ』と、あるいは『あなたがたの 財産 のうちからわたしのために、まいないを 贈 れ』と、
23 あるいは『あだの 手 からわたしを 救 い 出 せ』と、あるいは『しえたげる 者 の 手 からわたしをあがなえ』と。
24 わたしに 教 えよ、そうすればわたしは 黙 るであろう。わたしの 誤 っている 所 をわたしに 悟 らせよ。
25 正 しい 言葉 はいかに 力 のあるものか。しかしあなたがたの 戒 めは 何 を 戒 めるのか。
26 あなたがたは 言葉 を 戒 めうると 思 うのか。望 みの 絶 えた 者 の 語 ることは 風 のようなものだ。
27 あなたがたは、みなしごのためにくじをひき、あなたがたの 友 をさえ 売 り 買 いするであろう。
28 今、どうぞわたしを 見 られよ、わたしはあなたがたの 顔 に 向 かって 偽 らない。
29 どうぞ、思 いなおせ、まちがってはならない。さらに 思 いなおせ、わたしの 義 は、なおわたしのうちにある。
30 わたしの 舌 に 不義 があるか。わたしの 口 は 災 をわきまえることができぬであろうか。
Chapter 7
1 地上 の 人 には、激 しい 労務 があるではないか。またその 日 は 雇人 の 日 のようではないか。
2 奴隷 が 夕暮 を 慕 うように、雇人 がその 賃銀 を 望 むように、
3 わたしは、むなしい 月 を 持 たせられ、悩 みの 夜 を 与 えられる。
4 わたしは 寝 るときに 言 う、『いつ 起 きるだろうか』と。しかし 夜 は 長 く、暁 までころびまわる。
5 わたしの 肉 はうじと 土 くれとをまとい、わたしの 皮 は 固 まっては、またくずれる。
6 わたしの 日 は 機 のひよりも 速 く、望 みをもたずに 消 え 去 る。
7 記憶 せよ、わたしの 命 は 息 にすぎないことを。わたしの 目 は 再 び 幸 を 見 ることがない。
8 わたしを 見 る 者 の 目 は、かさねてわたしを 見 ることがなく、あなたがわたしに 目 を 向 けられても、わたしはいない。
9 雲 が 消 えて、なくなるように、陰府 に 下 る 者 は 上 がって 来 ることがない。
10 彼 は 再 びその 家 に 帰 らず、彼 の 所 も、もはや 彼 を 認 めない。
11 それゆえ、わたしはわが 口 をおさえず、わたしの 霊 のもだえによって 語 り、わたしの 魂 の 苦 しさによって 嘆 く。
12 わたしは 海 であるのか、龍 であるのか、あなたはわたしの 上 に 見張 りを 置 かれる。
13 『わたしの 床 はわたしを 慰 め、わたしの 寝床 はわが 嘆 きを 軽 くする』とわたしが 言 うとき、
14 あなたは 夢 をもってわたしを 驚 かし、幻 をもってわたしを 恐 れさせられる。
15 それゆえ、わたしは 息 の 止 まることを 願 い、わが 骨 よりもむしろ 死 を 選 ぶ。
16 わたしは 命 をいとう。わたしは 長 く 生 きることを 望 まない。わたしに 構 わないでください。わたしの 日 は 息 にすぎないのだから。
17 人 は 何者 なので、あなたはこれを 大 きなものとし、これにみ 心 をとめ、
18 朝 ごとに、これを 尋 ね、絶 え 間 なく、これを 試 みられるのか。
19 いつまで、あなたはわたしに 目 を 離 さず、つばをのむまも、わたしを 捨 てておかれないのか。
20 人 を 監視 される 者 よ、わたしが 罪 を 犯 したとて、あなたに 何 をなしえようか。なにゆえ、わたしをあなたの 的 とし、わたしをあなたの 重荷 とされるのか。
21 なにゆえ、わたしのとがをゆるさず、わたしの 不義 を 除 かれないのか。わたしはいま 土 の 中 に 横 たわる。あなたがわたしを 尋 ねられても、わたしはいないでしょう」。
Chapter 8
1 時 にシュヒびとビルダデが 答 えて 言 った、
2 「いつまであなたは、そのような 事 を 言 うのか。あなたの 口 の 言葉 は 荒 い 風 ではないか。
3 神 は 公義 を 曲 げられるであろうか。全能者 は 正義 を 曲 げられるであろうか。
4 あなたの 子 たちが 彼 に 罪 を 犯 したので、彼 らをそのとがの 手 に 渡 されたのだ。
5 あなたがもし 神 に 求 め、全能者 に 祈 るならば、
6 あなたがもし 清 く、正 しくあるならば、彼 は 必 ずあなたのために 立 って、あなたの 正 しいすみかを 栄 えさせられる。
7 あなたの 初 めは 小 さくあっても、あなたの 終 りは 非常 に 大 きくなるであろう。
8 先 の 代 の 人 に 問 うてみよ、先祖 たちの 尋 ねきわめた 事 を 学 べ。
9 われわれはただ、きのうからあった 者 で、何 も 知 らない、われわれの 世 にある 日 は、影 のようなものである。
10 彼 らはあなたに 教 え、あなたに 語 り、その 悟 りから 言葉 を 出 さないであろうか。
11 紙 草 は 泥 のない 所 に 生長 することができようか。葦 は 水 のない 所 におい 茂 ることができようか。
12 これはなお 青 くて、まだ 刈 られないのに、すべての 草 に 先 だって 枯 れる。
13 すべて 神 を 忘 れる 者 の 道 はこのとおりだ。神 を 信 じない 者 の 望 みは 滅 びる。
14 その 頼 むところは 断 たれ、その 寄 るところは、くもの 巣 のようだ。
15 その 家 によりかかろうとすれば、家 は 立 たず、それにすがろうとしても、それは 耐 えない。
16 彼 は 日 の 前 に 青々 と 茂 り、その 若 枝 を 園 にはびこらせ、
17 その 根 を 石塚 にからませ、岩 の 間 に 生 きていても、
18 もしその 所 から 取 り 除 かれれば、その 所 は 彼 を 拒 んで 言 うであろう、『わたしはあなたを 見 たことがない』と。
19 見 よ、これこそ 彼 の 道 の 喜 びである、そしてほかの 者 が 地 から 生 じるであろう。
20 見 よ、神 は 全 き 人 を 捨 てられない。また 悪 を 行 う 者 の 手 を 支持 されない。
21 彼 は 笑 いをもってあなたの 口 を 満 たし、喜 びの 声 をもってあなたのくちびるを 満 たされる。
22 あなたを 憎 む 者 は 恥 を 着 せられ、悪 しき 者 の 天幕 はなくなる」。
Chapter 9
1 ヨブは 答 えて 言 った、
2 「まことにわたしは、その 事 のそのとおりであることを 知 っている。しかし 人 はどうして 神 の 前 に 正 しくありえようか。
3 よし 彼 と 争 おうとしても、千に一つも 答 えることができない。
4 彼 は 心 賢 く、力強 くあられる。だれが 彼 にむかい、おのれをかたくなにして、栄 えた 者 があるか。
5 彼 は、山 を 移 されるが、山 は 知 らない。彼 は 怒 りをもって、これらをくつがえされる。
6 彼 が、地 を 震 い 動 かしてその 所 を 離 れさせられると、その 柱 はゆらぐ。
7 彼 が 日 に 命 じられると、日 は 出 ない。彼 はまた 星 を 閉 じこめられる。
8 彼 はただひとり 天 を 張 り、海 の 波 を 踏 まれた。
9 彼 は 北斗、オリオン、プレアデスおよび 南 の 密室 を 造 られた。
10 彼 が 大 いなる 事 をされることは 測 りがたく、不思議 な 事 をされることは 数 知 れない。
11 見 よ、彼 がわたしのかたわらを 通 られても、わたしは 彼 を 見 ない。彼 は 進 み 行 かれるが、わたしは 彼 を 認 めない。
12 見 よ、彼 が 奪 い 去 られるのに、だれが 彼 をはばむことができるか。だれが 彼 にむかって『あなたは 何 をするのか』と 言 うことができるか。
13 神 はその 怒 りをやめられない。ラハブを 助 ける 者 どもは 彼 のもとにかがんだ。
14 どうしてわたしは 彼 に 答 え、言葉 を 選 んで、彼 と 議論 することができよう。
15 たといわたしは 正 しくても 答 えることができない。わたしを 責 められる 者 にあわれみを 請 わなければならない。
16 たといわたしが 呼 ばわり、彼 がわたしに 答 えられても、わたしの 声 に 耳 を 傾 けられたとは 信 じない。
17 彼 は 大風 をもってわたしを 撃 ち 砕 き、ゆえなく、わたしに 多 くの 傷 を 負 わせ、
18 わたしに 息 をつかせず、苦 い 物 をもってわたしを 満 たされる。
19 力 の 争 いであるならば、彼 を 見 よ、さばきの 事 であるならば、だれが 彼 を 呼 び 出 すことができよう。
20 たといわたしは 正 しくても、わたしの 口 はわたしを 罪 ある 者 とする。たといわたしは 罪 がなくても、彼 はわたしを 曲 った 者 とする。
21 わたしは 罪 がない、しかしわたしは 自分 を 知 らない。わたしは 自分 の 命 をいとう。
22 皆 同一 である。それゆえ、わたしは 言 う、『彼 は 罪 のない 者 と、悪 しき 者 とを 共 に 滅 ぼされるのだ』と。
23 災 がにわかに 人 を 殺 すような 事 があると、彼 は 罪 のない 者 の 苦難 をあざ 笑 われる。
24 世 は 悪人 の 手 に 渡 されてある。彼 はその 裁判人 の 顔 をおおわれる。もし 彼 でなければ、これはだれのしわざか。
25 わたしの 日 は 飛脚 よりも 速 く、飛 び 去 って 幸 を 見 ない。
26 これは 走 ること 葦 舟 のごとく、えじきに 襲 いかかる、わしのようだ。
27 たといわたしは『わが 嘆 きを 忘 れ、憂 い 顔 をかえて 元気 よくなろう』と 言 っても、
28 わたしはわがもろもろの 苦 しみを 恐 れる。あなたがわたしを 罪 なき 者 とされないことをわたしは 知 っているからだ。
29 わたしは 罪 ある 者 とされている。どうして、いたずらに 労 する 必要 があるか。
30 たといわたしは 雪 で 身 を 洗 い、灰汁 で 手 を 清 めても、
31 あなたはわたしを、みぞの 中 に 投 げ 込 まれるので、わたしの 着物 も、わたしをいとうようになる。
32 神 はわたしのように 人 ではないゆえ、わたしは 彼 に 答 えることができない。われわれは 共 にさばきに 臨 むことができない。
33 われわれの 間 には、われわれふたりの 上 に 手 を 置 くべき 仲裁者 がない。
34 どうか 彼 がそのつえをわたしから 取 り 離 し、その 怒 りをもって、わたしを 恐 れさせられないように。
35 そうすれば、わたしは 語 って、彼 を 恐 れることはない。わたしはみずからそのような 者 ではないからだ。
Chapter 10
1 わたしは 自分 の 命 をいとう。わたしは 自分 の 嘆 きを 包 まず 言 いあらわし、わが 魂 の 苦 しみによって 語 ろう。
2 わたしは 神 に 申 そう、わたしを 罪 ある 者 とされないように。なぜわたしと 争 われるかを 知 らせてほしい。
3 あなたはしえたげをなし、み 手 のわざを 捨 て、悪人 の 計画 を 照 すことを 良 しとされるのか。
4 あなたの 持 っておられるのは 肉 の 目 か、あなたは 人 が 見 るように 見 られるのか。
5 あなたの 日 は 人 の 日 のごとく、あなたの 年 は 人 の 年 のようであるのか。
6 あなたはなにゆえわたしのとがを 尋 ね、わたしの 罪 を 調 べられるのか。
7 あなたはわたしの 罪 のないことを 知 っておられる。またあなたの 手 から 救 い 出 しうる 者 はない。
8 あなたの 手 はわたしをかたどり、わたしを 作 った。ところが 今 あなたはかえって、わたしを 滅 ぼされる。
9 どうぞ 覚 えてください、あなたは 土 くれをもってわたしを 作 られた 事 を。ところが、わたしをちりに 返 そうとされるのか。
10 あなたはわたしを 乳 のように 注 ぎ、乾酪 のように 凝 り 固 まらせたではないか。
11 あなたは 肉 と 皮 とをわたしに 着 せ、骨 と 筋 とをもってわたしを 編 み、
12 命 といつくしみとをわたしに 授 け、わたしを 顧 みてわが 霊 を 守 られた。
13 しかしあなたはこれらの 事 をみ 心 に 秘 めおかれた。この 事 があなたの 心 のうちにあった 事 をわたしは 知 っている。
14 わたしがもし 罪 を 犯 せば、あなたはわたしに 目 をつけて、わたしを 罪 から 解 き 放 されない。
15 わたしがもし 悪 ければわたしはわざわいだ。たといわたしが 正 しくても、わたしは 頭 を 上 げることができない。わたしは 恥 に 満 ち、悩 みを 見 ているからだ。
16 もし 頭 をあげれば、あなたは、ししのようにわたしを 追 い、わたしにむかって 再 びくすしき 力 をあらわされる。
17 あなたは 証人 を 入 れ 替 えてわたしを 攻 め、わたしにむかってあなたの 怒 りを 増 し、新 たに 軍勢 を 出 してわたしを 攻 められる。
18 なにゆえあなたはわたしを 胎 から 出 されたか、わたしは 息 絶 えて 目 に 見 られることなく、
19 胎 から 墓 に 運 ばれて、初 めからなかった 者 のようであったなら、よかったのに。
20 わたしの 命 の 日 はいくばくもないではないか。どうぞ、しばしわたしを 離 れて、少 しく 慰 めを 得 させられるように。
21 わたしが 行 って、帰 ることのないその 前 に、これを 得 させられるように。わたしは 暗 き 地、暗黒 の 地 へ 行 く。
22 これは 暗 き 地 で、やみにひとしく、暗黒 で 秩序 なく、光 もやみのようだ」。
Chapter 11
1 そこでナアマびとゾパルは 答 えて 言 った、
2 「言葉 が 多 ければ、答 なしにすまされるだろうか。口 の 達者 な 人 は 義 とされるだろうか。
3 あなたのむなしい 言葉 は 人 を 沈黙 させるだろうか。あなたがあざけるとき、人 はあなたを 恥 じさせないだろうか。
4 あなたは 言 う、『わたしの 教 は 正 しい、わたしは 神 の 目 に 潔 い』と。
5 どうぞ 神 が 言葉 を 出 し、あなたにむかってくちびるを 開 き、
6 知恵 の 秘密 をあなたに 示 されるように。神 はさまざまの 知識 をもたれるからである。それであなたは 知 るがよい、神 はあなたの 罪 よりも 軽 くあなたを 罰 せられることを。
7 あなたは 神 の 深 い 事 を 窮 めることができるか。全能者 の 限界 を 窮 めることができるか。
8 それは 天 よりも 高 い、あなたは 何 をなしうるか。それは 陰府 よりも 深 い、あなたは 何 を 知 りうるか。
9 その 量 は 地 よりも 長 く、海 よりも 広 い。
10 彼 がもし 行 きめぐって 人 を 捕 え、さばきに 召 し 集 められるとき、だれが 彼 をはばむことができよう。
11 彼 は 卑 しい 人間 を 知 っておられるからだ。彼 は 不義 を 見 る 時、これに 心 をとめられぬであろうか。
12 しかし 野 ろばの 子 が 人 として 生 れるとき、愚 かな 者 も 悟 りを 得 るであろう。
13 もしあなたが 心 を 正 しくするならば、神 に 向 かって 手 を 伸 べるであろう。
14 もしあなたの 手 に 不義 があるなら、それを 遠 く 去 れ、あなたの 天幕 に 悪 を 住 まわせてはならない。
15 そうすれば、あなたは 恥 じることなく 顔 をあげることができ、堅 く 立 って、恐 れることはない。
16 あなたは 苦 しみを 忘 れ、あなたのこれを 覚 えることは、流 れ 去 った 水 のようになる。
17 そしてあなたの 命 は 真昼 よりも 光 り 輝 き、たとい 暗 くても 朝 のようになる。
18 あなたは 望 みがあるゆえに 安 んじ、保護 されて 安 らかにいこうことができる。
19 あなたは 伏 してやすみ、あなたを 恐 れさせるものはない。多 くの 者 はあなたの 好意 を 求 めるであろう。
20 しかし 悪 しき 者 の 目 は 衰 える。彼 らは 逃 げ 場 を 失 い、その 望 みは 息 の 絶 えるにひとしい」。
Chapter 12
1 そこでヨブは 答 えて 言 った、
2 「まことに、あなたがたのみ、人 である、知恵 はあなたがたと 共 に 死 ぬであろう。
3 しかしわたしも、あなたがたと 同様 に 悟 りをもつ。わたしはあなたがたに 劣 らない。だれがこのような 事 を 知 らないだろうか。
4 わたしは 神 に 呼 ばわって、聞 かれた 者 であるのに、その 友 の 物笑 いとなっている。正 しく 全 き 人 は 物笑 いとなる。
5 安 らかな 者 の 思 いには、不幸 な 者 に 対 する 侮 りがあって、足 のすべる 者 を 待 っている。
6 かすめ 奪 う 者 の 天幕 は 栄 え、神 を 怒 らす 者 は 安 らかである。自分 の 手 に 神 を 携 えている 者 も 同様 だ。
7 しかし 獣 に 問 うてみよ、それはあなたに 教 える。空 の 鳥 に 問 うてみよ、それはあなたに 告 げる。
8 あるいは 地 の 草 や 木 に 問 うてみよ、彼 らはあなたに 教 える。海 の 魚 もまたあなたに 示 す。
9 これらすべてのもののうち、いずれか 主 の 手 がこれをなしたことを 知 らぬ 者 があろうか。
10 すべての 生 き 物 の 命、およびすべての 人 の 息 は 彼 の 手 のうちにある。
11 口 が 食物 を 味 わうように、耳 は 言葉 をわきまえないであろうか。
12 老 いた 者 には 知恵 があり、命 の 長 い 者 には 悟 りがある。
13 知恵 と 力 は 神 と 共 にあり、深慮 と 悟 りも 彼 のものである。
14 彼 が 破壊 すれば、再 び 建 てることができない。彼 が 人 を 閉 じ 込 めれば、開 き 出 すことができない。
15 彼 が 水 を 止 めれば、それはかれ、彼 が 水 を 出 せば、地 をくつがえす。
16 力 と 深 き 知恵 は 彼 と 共 にあり、惑 わされる 者 も 惑 わす 者 も 彼 のものである。
17 彼 は 議 士 たちを 裸 にして 連 れ 行 き、さばきびとらを 愚 かにし、
18 王 たちのきずなを 解 き、彼 らの 腰 に 腰帯 を 巻 き、
19 祭司 たちを 裸 にして 連 れ 行 き、力 ある 者 を 滅 ぼし、
20 みずから 頼 む 者 たちの 言葉 を 奪 い、長老 たちの 分別 を 取 り 去 り、
21 君 たちの 上 に 侮 りを 注 ぎ、強 い 者 たちの 帯 を 解 き、
22 暗 やみの 中 から 隠 れた 事 どもをあらわし、暗黒 を 光 に 引 き 出 し、
23 国々 を 大 きくし、またこれを 滅 ぼし、国々 を 広 くし、また 捕 え 行 き、
24 地 の 民 の 長 たちの 悟 りを 奪 い、彼 らを 道 なき 荒野 にさまよわせ、
25 光 なき 暗 やみに 手探 りさせ、酔 うた 者 のようによろめかせる。
Chapter 13
1 見 よ、わたしの 目 は、これをことごとく 見 た。わたしの 耳 はこれを 聞 いて 悟 った。
2 あなたがたの 知 っている 事 は、わたしも 知 っている。わたしはあなたがたに 劣 らない。
3 しかしわたしは 全能者 に 物 を 言 おう、わたしは 神 と 論 ずることを 望 む。
4 あなたがたは 偽 りをもってうわべを 繕 う 者、皆、無用 の 医師 だ。
5 どうか、あなたがたは 全 く 沈黙 するように。これがあなたがたの 知恵 であろう。
6 今、わたしの 論 ずることを 聞 くがよい。わたしの 口 で 言 い 争 うことに 耳 を 傾 けるがよい。
7 あなたがたは 神 のために 不義 を 言 おうとするのか。また 彼 のために 偽 りを 述 べるのか。
8 あなたがたは 彼 にひいきしようとするのか。神 のために 争 おうとするのか。
9 神 があなたがたを 調 べられるとき、あなたがたは 無事 だろうか。あなたがたは 人 を 欺 くように 彼 を 欺 くことができるか。
10 あなたがたがもし、ひそかにひいきするならば、彼 は 必 ずあなたがたを 責 められる。
11 その 威厳 はあなたがたを 恐 れさせないであろうか。彼 をおそれる 恐 れがあなたがたに 臨 まないであろうか。
12 あなたがたの 格言 は 灰 のことわざだ。あなたがたの 盾 は 土 の 盾 だ。
13 黙 して、わたしにかかわるな、わたしは 話 そう。何事 でもわたしに 来 るなら、来 るがよい。
14 わたしはわが 肉 をわが 歯 に 取 り、わが 命 をわが 手 のうちに 置 く。
15 見 よ、彼 はわたしを 殺 すであろう。わたしは 絶望 だ。しかしなおわたしはわたしの 道 を 彼 の 前 に 守 り 抜 こう。
16 これこそわたしの 救 となる。神 を 信 じない 者 は、神 の 前 に 出 ることができないからだ。
17 あなたがたはよくわたしの 言葉 を 聞 き、わたしの 述 べる 所 を 耳 に 入 れよ。
18 見 よ、わたしはすでにわたしの 立 ち 場 を 言 い 並 べた。わたしは 義 とされることをみずから 知 っている。
19 だれかわたしと 言 い 争 う 事 のできる 者 があろうか。もしあるならば、わたしは 黙 して 死 ぬであろう。
20 ただわたしに二つの 事 を 許 してください。そうすれば、わたしはあなたの 顔 をさけて 隠 れることはないでしょう。
21 あなたの 手 をわたしから 離 してください。あなたの 恐 るべき 事 をもってわたしを 恐 れさせないでください。
22 そしてお 呼 びください、わたしは 答 えます。わたしに 物 を 言 わせて、あなたご 自身、わたしにお 答 えください。
23 わたしのよこしまと、わたしの 罪 がどれほどあるか。わたしのとがと 罪 とをわたしに 知 らせてください。
24 なにゆえ、あなたはみ 顔 をかくし、わたしをあなたの 敵 とされるのか。
25 あなたは 吹 き 回 される 木 の 葉 をおどし、干 あがったもみがらを 追 われるのか。
26 あなたはわたしについて 苦 き 事 どもを 書 きしるし、わたしに 若 い 時 の 罪 を 継 がせ、
27 わたしの 足 を 足 かせにはめ、わたしのすべての 道 をうかがい、わたしの 足 の 周囲 に 限 りをつけられる。
28 このような 人 は 腐 れた 物 のように 朽 ち 果 て、虫 に 食 われた 衣服 のようにすたれる。
Chapter 14
1 女 から 生 れる 人 は 日 が 短 く、悩 みに 満 ちている。
2 彼 は 花 のように 咲 き 出 て 枯 れ、影 のように 飛 び 去 って、とどまらない。
3 あなたはこのような 者 にさえ 目 を 開 き、あなたの 前 に 引 き 出 して、さばかれるであろうか。
4 だれが 汚 れたもののうちから 清 いものを 出 すことができようか、ひとりもない。
5 その 日 は 定 められ、その 月 の 数 もあなたと 共 にあり、あなたがその 限 りを 定 めて、越 えることのできないようにされたのだから、
6 彼 から 目 をはなし、手 をひいてください。そうすれば 彼 は 雇人 のように、その 日 を 楽 しむことができるでしょう。
7 木 には 望 みがある。たとい 切 られてもまた 芽 をだし、その 若 枝 は 絶 えることがない。
8 たといその 根 が 地 の 中 に 老 い、その 幹 が 土 の 中 に 枯 れても、
9 なお 水 の 潤 いにあえば 芽 をふき、若木 のように 枝 を 出 す。
10 しかし 人 は 死 ねば 消 えうせる。息 が 絶 えれば、どこにおるか。
11 水 が 湖 から 消 え、川 がかれて、かわくように、
12 人 は 伏 して 寝、また 起 きず、天 のつきるまで、目 ざめず、その 眠 りからさまされない。
13 どうぞ、わたしを 陰府 にかくし、あなたの 怒 りのやむまで、潜 ませ、わたしのために 時 を 定 めて、わたしを 覚 えてください。
14 人 がもし 死 ねば、また 生 きるでしょうか。わたしはわが 服役 の 諸 日 の 間、わが 解放 の 来 るまで 待 つでしょう。
15 あなたがお 呼 びになるとき、わたしは 答 えるでしょう。あなたはみ 手 のわざを 顧 みられるでしょう。
16 その 時 あなたはわたしの 歩 みを 数 え、わたしの 罪 を 見 のがされるでしょう。
17 わたしのとがは 袋 の 中 に 封 じられ、あなたはわたしの 罪 を 塗 りかくされるでしょう。
18 しかし 山 は 倒 れてくずれ、岩 もその 所 から 移 される。
19 水 は 石 をうがち、大水 は 地 のちりを 洗 い 去 る。このようにあなたは 人 の 望 みを 断 たれる。
20 あなたはながく 彼 に 勝 って、彼 を 去 り 行 かせ、彼 の 顔 かたちを 変 らせて 追 いやられる。
21 彼 の 子 らは 尊 くなっても、彼 はそれを 知 らない、卑 しくなっても、それを 悟 らない。
22 ただおのが 身 に 痛 みを 覚 え、おのれのために 嘆 くのみである」。
Chapter 15
1 そこでテマンびとエリパズは 答 えて 言 った、
2 「知者 はむなしき 知識 をもって 答 えるであろうか。東風 をもってその 腹 を 満 たすであろうか。
3 役 に 立 たない 談話 をもって 論 じるであろうか。無益 な 言葉 をもって 争 うであろうか。
4 ところがあなたは 神 を 恐 れることを 捨 て、神 の 前 に 祈 る 事 をやめている。
5 あなたの 罪 はあなたの 口 を 教 え、あなたは 悪賢 い 人 の 舌 を 選 び 用 いる。
6 あなたの 口 みずからあなたの 罪 を 定 める、わたしではない。あなたのくちびるがあなたに 逆 らって 証明 する。
7 あなたは 最初 に 生 れた 人 であるのか。山 よりも 先 に 生 れたのか。
8 あなたは 神 の 会議 にあずかったのか。あなたは 知恵 を 独占 しているのか。
9 あなたが 知 るものはわれわれも 知 るではないか。あなたが 悟 るものはわれわれも 悟 るではないか。
10 われわれの 中 にはしらがの 人 も、年老 いた 人 もあって、あなたの 父 よりも 年上 だ。
11 神 の 慰 めおよびあなたに 対 するやさしい 言葉 も、あなたにとって、あまりに 小 さいというのか。
12 どうしてあなたの 心 は 狂 うのか。どうしてあなたの 目 はしばたたくのか。
13 あなたが 神 にむかって 気 をいらだて、このような 言葉 をあなたの 口 から 出 すのはなぜか。
14 人 はいかなる 者 か、どうしてこれは 清 くありえよう。女 から 生 れた 者 は、どうして 正 しくありえよう。
15 見 よ、神 はその 聖 なる 者 にすら 信 を 置 かれない、もろもろの 天 も 彼 の 目 には 清 くない。
16 まして 憎 むべき 汚 れた 者、また 不義 を 水 のように 飲 む 人 においては。
17 わたしはあなたに 語 ろう、聞 くがよい。わたしは 自分 の 見 た 事 を 述 べよう。
18 これは 知者 たちがその 先祖 からうけて、隠 す 所 なく 語 り 伝 えたものである。
19 彼 らにのみこの 地 は 授 けられて、他国 人 はその 中 に 行 き 来 したことがなかった。
20 悪 しき 人 は 一生 の 間、もだえ 苦 しむ。残酷 な 人 には 年 の 数 が 定 められている。
21 その 耳 には 恐 ろしい 音 が 聞 え、繁栄 の 時 にも 滅 ぼす 者 が 彼 に 臨 む。
22 彼 は、暗 やみから 帰 りうるとは 信 ぜず、つるぎにねらわれる。
23 彼 は 食物 はどこにあるかと 言 いつつさまよい、暗 き 日 が 手近 に 備 えられてあるのを 知 る。
24 悩 みと 苦 しみとが 彼 を 恐 れさせ、戦 いの 備 えをした 王 のように 彼 に 打 ち 勝 つ。
25 これは 彼 が 神 に 逆 らってその 手 を 伸 べ、全能者 に 逆 らって 高慢 にふるまい、
26 盾 の 厚 い 面 をもって 強情 に、彼 にはせ 向 かうからだ。
27 また 彼 は 脂肪 をもってその 顔 をおおい、その 腰 には 脂肪 の 肉 を 集 め、
28 滅 ぼされた 町々 に 住 み、人 の 住 まない 家、荒塚 となる 所 におるからだ。
29 彼 は 富 める 者 とならず、その 富 はながく 続 かない、また 地 に 根 を 張 ることはない。
30 彼 は 暗 やみからのがれることができない。炎 はその 若 枝 を 枯 らし、その 花 は 風 に 吹 き 去 られる。
31 彼 をしてみずから 欺 いて、むなしい 事 にたよらせてはならない。その 報 いはむなしいからだ。
32 彼 の 時 のこない 前 にその 事 がなし 遂 げられ、彼 の 枝 は 緑 とならないであろう。
33 彼 はぶどうの 木 のように、その 熟 さない 実 をふり 落 すであろう。またオリブの 木 のように、その 花 を 落 すであろう。
34 神 を 信 じない 者 のやからは 子 なく、まいないによる 天幕 は 火 で 焼 き 滅 ぼされるからだ。
35 彼 らは 害悪 をはらみ、不義 を 生 み、その 腹 は 偽 りをつくる」。
Chapter 16
1 そこでヨブは 答 えて 言 った、
2 「わたしはこのような 事 を 数多 く 聞 いた。あなたがたは 皆 人 を 慰 めようとして、かえって 人 を 煩 わす 者 だ。
3 むなしき 言葉 に、はてしがあろうか。あなたは 何 に 激 して 答 をするのか。
4 わたしもあなたがたのように 語 ることができる。もしあなたがたがわたしと 代 ったならば、わたしは 言葉 を 練 って、あなたがたを 攻 め、あなたがたに 向 かって 頭 を 振 ることができる。
5 また 口 をもって、あなたがたを 強 くし、くちびるの 慰 めをもって、あなたがたの 苦 しみを 和 らげることができる。
6 たといわたしは 語 っても、わたしの 苦 しみは 和 らげられない。たといわたしは 忍 んでも、どれほどそれがわたしを 去 るであろうか。
7 まことに 神 は 今 わたしを 疲 れさせた。彼 はわたしのやからをことごとく 荒 した。
8 彼 はわたしを、しわ 寄 らせた。これがわたしに 対 する 証拠 である。またわたしのやせ 衰 えた 姿 が 立 って、わたしを 攻 め、わたしの 顔 にむかって 証明 する。
9 彼 は 怒 ってわたしをかき 裂 き、わたしを 憎 み、わたしに 向 かって 歯 をかみ 鳴 らした。わたしの 敵 は 目 を 鋭 くして、わたしを 攻 める。
10 人々 はわたしに 向 かって 口 を 張 り、侮 ってわたしのほおを 打 ち、ともに 集 まってわたしを 攻 める。
11 神 はわたしをよこしまな 者 に 渡 し、悪人 の 手 に 投 げいれられる。
12 わたしは 安 らかであったのに、彼 はわたしを 切 り 裂 き、首 を 捕 えて、わたしを 打 ち 砕 き、わたしを 立 てて 的 とされた。
13 その 射手 はわたしを 囲 む。彼 は 無慈悲 にもわたしの 腰 を 射通 し、わたしの 肝 を 地 に 流 れ 出 させられる。
14 彼 はわたしを 打 ち 破 って、破 れに 破 れを 加 え、勇士 のようにわたしに、はせかかられる。
15 わたしは 荒布 を 膚 に 縫 いつけ、わたしの 角 をちりに 伏 せた。
16 わたしの 顔 は 泣 いて 赤 くなり、わたしのまぶたには 深 いやみがある。
17 しかし、わたしの 手 には 暴虐 がなく、わたしの 祈 は 清 い。
18 地 よ、わたしの 血 をおおってくれるな。わたしの 叫 びに、休 む 所 を 得 させるな。
19 見 よ、今 でもわたしの 証人 は 天 にある。わたしのために 保証 してくれる 者 は 高 い 所 にある。
20 わたしの 友 はわたしをあざける、しかしわたしの 目 は 神 に 向 かって 涙 を 注 ぐ。
21 どうか 彼 が 人 のために 神 と 弁論 し、人 とその 友 との 間 をさばいてくれるように。
22 数年 過 ぎ 去 れば、わたしは 帰 らぬ 旅路 に 行 くであろう。
Chapter 17
1 わが 霊 は 破 れ、わが 日 は 尽 き、墓 はわたしを 待 っている。
2 まことにあざける 者 どもはわたしのまわりにあり、わが 目 は 常 に 彼 らの 侮 りを 見 る。
3 どうか、あなた 自 ら 保証 となられるように。ほかにだれがわたしのために 保証 となってくれる 者 があろうか。
4 あなたは 彼 らの 心 を 閉 じて、悟 ることのないようにされた。それゆえ、彼 らに 勝利 を 得 させられるはずはない。
5 分 け 前 を 得 るために 友 を 訴 えるものは、その 子 らの 目 がつぶれるであろう。
6 彼 はわたしを 民 の 笑 い 草 とされた。わたしは 顔 につばきされる 者 となる。
7 わが 目 は 憂 いによってかすみ、わがからだはすべて 影 のようだ。
8 正 しい 者 はこれに 驚 き、罪 なき 者 は 神 を 信 ぜぬ 者 に 対 して 憤 る。
9 それでもなお 正 しい 者 はその 道 を 堅 く 保 ち、潔 い 手 をもつ 者 はますます 力 を 得 る。
10 しかし、あなたがたは 皆 再 び 来 るがよい、わたしはあなたがたのうちに 賢 い 者 を 見 ないのだ。
11 わが 日 は 過 ぎ 去 り、わが 計 りごとは 敗 れ、わが 心 の 願 いも 敗 れた。
12 彼 らは 夜 を 昼 に 変 える。彼 らは 言 う、『光 が 暗 やみに 近 づいている』と。
13 わたしがもし 陰府 をわたしの 家 として 望 み、暗 やみに 寝床 をのべ、
14 穴 に 向 かって『あなたはわたしの 父 である』と 言 い、うじに 向 かって『あなたはわたしの 母、わたしの 姉妹 である』と 言 うならば、
15 わたしの 望 みはどこにあるか、だれがわたしの 望 みを 見 ることができようか。
16 これは 下 って 陰府 の 関門 にいたり、われわれは 共 にちりに 下 るであろうか」。
Chapter 18
1 そこでシュヒびとビルダデは 答 えて 言 った、
2 「あなたはいつまで 言葉 にわなを 設 けるのか。あなたはまず 悟 るがよい、それからわれわれは 論 じよう。
3 なぜ、われわれは 獣 のように 思 われるのか。なぜ、あなたの 目 に 愚 かな 者 と 見 えるのか。
4 怒 っておのが 身 を 裂 く 者 よ、あなたのために 地 は 捨 てられるだろうか。岩 はその 所 から 移 されるだろうか。
5 悪 しき 者 の 光 は 消 え、その 火 の 炎 は 光 を 放 たず、
6 その 天幕 のうちの 光 は 暗 く、彼 の 上 のともしびは 消 える。
7 その 力 ある 歩 みはせばめられ、その 計 りごとは 彼 を 倒 す。
8 彼 は 自分 の 足 で 網 にかかり、また 落 し 穴 の 上 を 歩 む。
9 わなは 彼 のかかとを 捕 え、網 わなは 彼 を 捕 える。
10 輪 なわは 彼 を 捕 えるために 地 に 隠 され、張 り 網 は 彼 を 捕 えるために 道 に 設 けられる。
11 恐 ろしい 事 が 四方 にあって 彼 を 恐 れさせ、その 歩 みにしたがって 彼 を 追 う。
12 その 力 は 飢 え、災 は 彼 をつまずかすために 備 わっている。
13 その 皮膚 は 病 によって 食 いつくされ、死 のういごは 彼 の 手足 を 食 いつくす。
14 彼 はその 頼 む 所 の 天幕 から 引 き 離 されて、恐 れの 王 のもとに 追 いやられる。
15 彼 に 属 さない 者 が 彼 の 天幕 に 住 み、硫黄 が 彼 のすまいの 上 にまき 散 らされる。
16 下 ではその 根 が 枯 れ、上 ではその 枝 が 切 られる。
17 彼 の 形見 は 地 から 滅 び、彼 の 名 はちまたに 消 える。
18 彼 は 光 からやみに 追 いやられ、世 の 中 から 追 い 出 される。
19 彼 はその 民 の 中 に 子 もなく、孫 もなく、彼 のすみかには、ひとりも 生 き 残 る 者 はない。
20 西 の 者 は 彼 の 日 について 驚 き、東 の 者 はおじ 恐 れる。
21 まことに、悪 しき 者 のすまいはこのようであり、神 を 知 らない 者 の 所 はこのようである」。
Chapter 19
1 そこでヨブは 答 えて 言 った、
2 「あなたがたはいつまでわたしを 悩 まし、言葉 をもってわたしを 打 ち 砕 くのか。
3 あなたがたはすでに 十度 もわたしをはずかしめ、わたしを 悪 くあしらってもなお 恥 じないのか。
4 たといわたしが、まことにあやまったとしても、そのあやまちは、わたし 自身 にとどまる。
5 もしあなたがたが、まことにわたしに 向 かって 高 ぶり、わたしの 恥 を 論 じるならば、
6 『神 がわたしをしえたげ、その 網 でわたしを 囲 まれたのだ』と 知 るべきだ。
7 見 よ、わたしが『暴虐』と 叫 んでも 答 えられず、助 けを 呼 び 求 めても、さばきはない。
8 彼 はわたしの 道 にかきをめぐらして、越 えることのできないようにし、わたしの 行 く 道 に 暗 やみを 置 かれた。
9 彼 はわたしの 栄 えをわたしからはぎ 取 り、わたしのこうべから 冠 を 奪 い、
10 四方 からわたしを 取 りこわして、うせさせ、わたしの 望 みを 木 のように 抜 き 去 り、
11 わたしに 向 かって 怒 りを 燃 やし、わたしを 敵 のひとりのように 思 われた。
12 その 軍勢 がいっせいに 来 て、塁 を 築 いて 攻 め 寄 せ、わたしの 天幕 のまわりに 陣 を 張 った。
13 彼 はわたしの 兄弟 たちをわたしから 遠 く 離 れさせられた。わたしを 知 る 人々 は 全 くわたしに 疎遠 になった。
14 わたしの 親類 および 親 しい 友 はわたしを 見捨 て、
15 わたしの 家 に 宿 る 者 はわたしを 忘 れ、わたしのはしためらはわたしを 他人 のように 思 い、わたしは 彼 らの 目 に 他国 人 となった。
16 わたしがしもべを 呼 んでも、彼 は 答 えず、わたしは 口 をもって 彼 に 請 わなければならない。
17 わたしの 息 はわが 妻 にいとわれ、わたしは 同 じ 腹 の 子 たちにきらわれる。
18 わらべたちさえもわたしを 侮 り、わたしが 起 き 上 がれば、わたしをあざける。
19 親 しい 人々 は 皆 わたしをいみきらい、わたしの 愛 した 人々 はわたしにそむいた。
20 わたしの 骨 は 皮 と 肉 につき、わたしはわずかに 歯 の 皮 をもってのがれた。
21 わが 友 よ、わたしをあわれめ、わたしをあわれめ、神 のみ 手 がわたしを 打 ったからである。
22 あなたがたは、なにゆえ 神 のようにわたしを 責 め、わたしの 肉 をもって 満足 しないのか。
23 どうか、わたしの 言葉 が、書 きとめられるように。どうか、わたしの 言葉 が、書物 にしるされるように。
24 鉄 の 筆 と 鉛 とをもって、ながく 岩 に 刻 みつけられるように。
25 わたしは 知 る、わたしをあがなう 者 は 生 きておられる、後 の 日 に 彼 は 必 ず 地 の 上 に 立 たれる。
26 わたしの 皮 がこのように 滅 ぼされたのち、わたしは 肉 を 離 れて 神 を 見 るであろう。
27 しかもわたしの 味方 として 見 るであろう。わたしの 見 る 者 はこれ 以外 のものではない。わたしの 心 はこれを 望 んでこがれる。
28 あなたがたがもし『われわれはどうして 彼 を 責 めようか』と 言 い、また『事 の 根源 は 彼 のうちに 見 いだされる』と 言 うならば、
29 つるぎを 恐 れよ、怒 りはつるぎの 罰 をきたらすからだ。これによって、あなたがたは、さばきのあることを 知 るであろう」。
Chapter 20
1 そこでナアマびとゾパルは 答 えて 言 った、
2 「これによって、わたしは 答 えようとの 思 いを 起 し、これがために 心中 しきりに 騒 ぎ 立 つ。
3 わたしはわたしをはずかしめる 非難 を 聞 く、しかし、わたしの 悟 りの 霊 がわたしに 答 えさせる。
4 あなたはこの 事 を 知 らないのか、昔 から 地 の 上 に 人 の 置 かれてよりこのかた、
5 悪 しき 人 の 勝 ち 誇 はしばらくであって、神 を 信 じない 者 の 楽 しみはただつかのまであることを。
6 たといその 高 さが 天 に 達 し、その 頭 が 雲 におよんでも、
7 彼 はおのれの 糞 のように、とこしえに 滅 び、彼 を 見 た 者 は 言 うであろう、『彼 はどこにおるか』と。
8 彼 は 夢 のように 飛 び 去 って、再 び 見 ることはない。彼 は 夜 の 幻 のように 追 い 払 われるであろう。
9 彼 を 見 た 目 はかさねて 彼 を 見 ることがなく、彼 のいた 所 も 再 び 彼 を 見 ることがなかろう。
10 その 子 らは 貧 しい 者 に 恵 みを 求 め、その 手 は 彼 の 貨 財 を 償 うであろう。
11 その 骨 には 若 い 力 が 満 ちている、しかしそれは 彼 と 共 にちりに 伏 すであろう。
12 たとい 悪 は 彼 の 口 に 甘 く、これを 舌 の 裏 にかくし、
13 これを 惜 しんで 捨 てることなく、口 の 中 に 含 んでいても、
14 その 食物 は 彼 の 腹 の 中 で 変 り、彼 の 内 で 毒蛇 の 毒 となる。
15 彼 は 貨 財 をのんでも、またそれを 吐 き 出 す、神 がそれを 彼 の 腹 から 押 し 出 されるからだ。
16 彼 は 毒蛇 の 毒 を 吸 い、まむしの 舌 は 彼 を 殺 すであろう。
17 彼 は 蜜 と 凝乳 の 流 れる 川 々を 見 ることができない。
18 彼 はほねおって 獲 たものを 返 して、それを 食 うことができない。その 商 いによって 得 た 利益 をもって 楽 しむことができない。
19 彼 が 貧 しい 者 をしえたげ、これを 捨 てたからだ。彼 は 家 を 奪 い 取 っても、それを 建 てることができない。
20 彼 の 欲張 りは 足 ることを 知 らぬゆえ、その 楽 しむ 何 物 をも 救 うことができないであろう。
21 彼 が 残 して 食 べなかった 物 とては一つもない。それゆえ、その 繁栄 はながく 続 かないであろう。
22 その 力 の 満 ちている 時、彼 は 窮境 に 陥 り、悩 みの 手 がことごとく 彼 の 上 に 臨 むであろう。
23 彼 がその 腹 を 満 たそうとすれば、神 はその 激 しい 怒 りを 送 って、それを 彼 の 上 に 降 り 注ぎ、彼 の 食物 とされる。
24 彼 は 鉄 の 武器 を 免 れても、青銅 の 矢 は 彼 を 射通 すであろう。
25 彼 がこれをその 身 から 引 き 抜 けば、きらめく 矢 じりがその 肝 から 出 てきて、恐 れが 彼 の 上 に 臨 む。
26 もろもろの 暗黒 が 彼 の 宝物 のためにたくわえられ、人 が 吹 き 起 したものでない 火 が 彼 を 焼 きつくし、その 天幕 に 残 っている 者 を 滅 ぼすであろう。
27 天 は 彼 の 罪 をあらわし、地 は 起 って 彼 を 攻 めるであろう。
28 その 家 の 財産 は 奪 い 去 られ、神 の 怒 りの 日 に 消 えうせるであろう。
29 これが 悪 しき 人 の 神 から 受 ける 分、神 によって 定 められた 嗣 業 である」。
Chapter 21
1 そこでヨブは 答 えて 言 った、
2 「あなたがたはとくと、わたしの 言葉 を 聞 き、これをもって、あなたがたの 慰 めとするがよい。
3 まずわたしをゆるして 語 らせなさい。わたしが 語 ったのち、あざけるのもよかろう。
4 わたしのつぶやきは 人 に 対 してであろうか。わたしはどうして、いらだたないでいられようか。
5 あなたがたはわたしを 見 て、驚 き、手 を 口 にあてるがよい。
6 わたしはこれを 思 うと 恐 ろしくなって、からだがしきりに 震 えわななく。
7 なにゆえ 悪 しき 人 が 生 きながらえ、老齢 に 達 し、かつ 力強 くなるのか。
8 その 子 らは 彼 らの 前 に 堅 く 立 ち、その 子孫 もその 目 の 前 に 堅 く 立 つ。
9 その 家 は 安 らかで、恐 れがなく、神 のつえは 彼 らの 上 に 臨 むことがない。
10 その 雄牛 は 種 を 与 えて、誤 ることなく、その 雌牛 は 子 を 産 んで、そこなうことがない。
11 彼 らはその 小 さい 者 どもを 群 れのように 連 れ 出 し、その 子 らは 舞 い 踊 る。
12 彼 らは 手 鼓 と 琴 に 合 わせて 歌 い、笛 の 音 によって 楽 しみ、
13 その 日 をさいわいに 過 ごし、安 らかに 陰府 にくだる。
14 彼 らは 神 に 言 う、『われわれを 離 れよ、われわれはあなたの 道 を 知 ることを 好 まない。
15 全能者 は 何者 なので、われわれはこれに 仕 えねばならないのか。われわれはこれに 祈 っても、なんの 益 があるか』と。
16 見 よ、彼 らの 繁栄 は 彼 らの 手 にあるではないか。悪人 の 計 りごとは、わたしの 遠 く 及 ぶ 所 でない。
17 悪人 のともしびの 消 されること、幾 たびあるか。その 災 の 彼 らの 上 に 臨 むこと、神 がその 怒 りをもって 苦 しみを 与 えられること、幾 たびあるか。
18 彼 らが 風 の 前 のわらのようになること、あらしに 吹 き 去 られるもみがらのようになること、幾 たびあるか。
19 あなたがたは 言 う、『神 は 彼 らの 罪 を 積 みたくわえて、その 子 らに 報 いられるのだ』と。どうかそれを 彼 ら 自身 に 報 いて、彼 らにその 罪 を 知 らせられるように。
20 すなわち 彼 ら 自身 の 目 にその 滅 びを 見 させ、全能者 の 怒 りを 彼 らに 飲 ませられるように。
21 その 月 の 数 のつきるとき、彼 らはその 後 の 家 になんのかかわる 所 があろうか。
22 神 は 天 にある 者 たちをさえ、さばかれるのに、だれが 神 に 知識 を 教 えることができようか。
23 ある 者 は 繁栄 をきわめ、全 く 安 らかに、かつおだやかに 死 に、
24 そのからだには 脂肪 が 満 ち、その 骨 の 髄 は 潤 っている。
25 ある 者 は 心 を 苦 しめて 死 に、なんの 幸 をも 味 わうことがない。
26 彼 らはひとしくちりに 伏 し、うじにおおわれる。
27 見 よ、わたしはあなたがたの 思 いを 知 り、わたしを 害 しようとするたくらみを 知 る。
28 あなたがたは 言 う、『王侯 の 家 はどこにあるか、悪人 の 住 む 天幕 はどこにあるか』と。
29 あなたがたは 道行 く 人々 に 問 わなかったか、彼 らの 証言 を 受 け 入 れないのか。
30 すなわち、災 の 日 に 悪人 は 免 れ、激 しい 怒 りの 日 に 彼 は 救 い 出 される。
31 だれが 彼 に 向 かって、その 道 を 告 げ 知 らせる 者 があるか、だれが 彼 のした 事 を 彼 に 報 いる 者 があるか。
32 彼 はかかれて 墓 に 行 き、塚 の 上 で 見張 りされ、
33 谷 の 土 くれも 彼 には 快 く、すべての 人 はそのあとに 従 う。彼 の 前 に 行 った 者 も 数 えきれない。
34 それで、あなたがたはどうしてむなしい 事 をもって、わたしを 慰 めようとするのか。あなたがたの 答 は 偽 り 以外 の 何 ものでもない」。
Chapter 22
1 そこでテマンびとエリパズは 答 えて 言 った、
2 「人 は 神 を 益 することができるであろうか。賢 い 人 も、ただ 自身 を 益 するのみである。
3 あなたが 正 しくても、全能者 になんの 喜 びがあろう。あなたが 自分 の 道 を 全 うしても、彼 になんの 利益 があろう。
4 神 はあなたが 神 を 恐 れることのゆえに、あなたを 責 め、あなたをさばかれるであろうか。
5 あなたの 悪 は 大 きいではないか。あなたの 罪 は、はてしがない。
6 あなたはゆえなく 兄弟 のものを 質 にとり、裸 な 者 の 着物 をはぎ 取 り、
7 疲 れた 者 に 水 を 飲 ませず、飢 えた 者 に 食物 を 与 えなかった。
8 力 ある 人 は 土地 を 得、名 ある 人 はそのうちに 住 んだ。
9 あなたは、やもめをむなしく 去 らせた。みなしごの 腕 は 折 られた。
10 それゆえ、わなはあなたをめぐり、恐怖 は、にわかにあなたを 驚 かす。
11 あなたの 光 は 暗 くされ、あなたは 見 ることができない。大水 はあなたをおおうであろう。
12 神 は 天 に 高 くおられるではないか。見 よ、いと 高 き 星 を。いかに 高 いことよ。
13 それであなたは 言 う、『神 は 何 を 知 っておられるか。彼 は 黒雲 を 通 して、さばくことができるのか。
14 濃 い 雲 が 彼 をおおい 隠 すと、彼 は 見 ることができない。彼 は 天 の 大空 を 歩 まれるのだ』と。
15 あなたは 悪 しき 人々 が 踏 んだいにしえの 道 を 守 ろうとするのか。
16 彼 らは 時 がこないうちに 取 り 去 られ、その 基 は 川 のように 押 し 流 された。
17 彼 らは 神 に 言 った、『われわれを 離 れてください』と、また『全能者 はわれわれに 何 をなしえようか』と。
18 しかし 神 は 彼 らの 家 を 良 い 物 で 満 たされた。ただし 悪人 の 計 りごとはわたしのくみする 所 ではない。
19 正 しい 者 はこれを 見 て 喜 び、罪 なき 者 は 彼 らをあざ 笑 って 言 う、
20 『まことにわれわれのあだは 滅 ぼされ、その 残 した 物 は 火 で 焼 き 滅 ぼされた』と。
21 あなたは 神 と 和 らいで、平安 を 得 るがよい。そうすれば 幸福 があなたに 来 るでしょう。
22 どうか、彼 の 口 から 教 を 受 け、その 言葉 をあなたの 心 におさめるように。
23 あなたがもし 全能者 に 立 ち 返 って、おのれを 低 くし、あなたの 天幕 から 不義 を 除 き 去 り、
24 こがねをちりの 中 に 置 き、オフルのこがねを 谷川 の 石 の 中 に 置 き、
25 全能者 があなたのこがねとなり、あなたの 貴重 なしろがねとなるならば、
26 その 時、あなたは 全能者 を 喜 び、神 に 向 かって 顔 をあげることができる。
27 あなたが 彼 に 祈 るならば、彼 はあなたに 聞 かれる。そしてあなたは 自分 の 誓 いを 果 す。
28 あなたが 事 をなそうと 定 めるならば、あなたはその 事 を 成就 し、あなたの 道 には 光 が 輝 く。
29 彼 は 高 ぶる 者 を 低 くされるが、へりくだる 者 を 救 われるからだ。
30 彼 は 罪 のない 者 を 救 われる。あなたはその 手 の 潔 いことによって、救 われるであろう」。
Chapter 23
1 そこでヨブは 答 えて 言 った、
2 「きょうもまた、わたしのつぶやきは 激 しく、彼 の 手 はわたしの 嘆 きにかかわらず、重 い。
3 どうか、彼 を 尋 ねてどこで 会 えるかを 知 り、そのみ 座 に 至 ることができるように。
4 わたしは 彼 の 前 にわたしの 訴 えをならべ、口 をきわめて論 議 するであろう。
5 わたしは、わたしに 答 えられるみ 言葉 を 知 り、わたしに 言 われる 所 を 悟 ろう。
6 彼 は 大 いなる 力 をもって、わたしと 争 われるであろうか、いな、かえってわたしを 顧 みられるであろう。
7 かしこでは 正 しい 人 は 彼 と 言 い 争 うことができる。そうすれば、わたしはわたしをさばく 者 から 永久 に 救 われるであろう。
8 見 よ、わたしが 進 んでも、彼 を 見 ない。退 いても、彼 を 認 めることができない。
9 左 の 方 に 尋 ねても、会 うことができない。右 の 方 に 向 かっても、見 ることができない。
10 しかし 彼 はわたしの 歩 む 道 を 知 っておられる。彼 がわたしを 試 みられるとき、わたしは 金 のように 出 て 来 るであろう。
11 わたしの 足 は 彼 の 歩 みに 堅 く 従 った。わたしは 彼 の 道 を 守 って 離 れなかった。
12 わたしは 彼 のくちびるの 命令 にそむかず、その 口 の 言葉 をわたしの 胸 にたくわえた。
13 しかし 彼 は 変 ることはない。だれが 彼 をひるがえすことができようか。彼 はその 心 の 欲 するところを 行 われるのだ。
14 彼 はわたしのために 定 めた 事 をなし 遂 げられる。そしてこのような 事 が 多 く 彼 の 心 にある。
15 それゆえ、わたしは 彼 の 前 におののく。わたしは 考 えるとき、彼 を 恐 れる。
16 神 はわたしの 心 を 弱 くされた。全能者 はわたしを 恐 れさせられた。
17 わたしは、やみによって 閉 じこめられ、暗黒 がわたしの 顔 をおおっている。
Chapter 24
1 なにゆえ、全能者 はさばきの 時 を 定 めておかれないのか。なにゆえ、彼 を 知 る 者 がその 日 を 見 ないのか。
2 世 には 地境 を 移 す 者、群 れを 奪 ってそれを 飼 う 者、
3 みなしごのろばを 追 いやる 者、やもめの 牛 を 質 に 取 る 者、
4 貧 しい 者 を 道 から 押 しのける 者 がある。世 の 弱 い 者 は 皆 彼 らをさけて 身 をかくす。
5 見 よ、彼 らは 荒野 におる 野 ろばのように 出 て 働 き、野 で 獲物 を 求 めて、その 子 らの 食物 とする。
6 彼 らは 畑 でそのまぐさを 刈 り、また 悪人 のぶどう 畑 で 拾 い 集 める。
7 彼 らは 着 る 物 がなく、裸 で 夜 を 過 ごし、寒 さに 身 をおおうべき 物 もない。
8 彼 らは 山 の 雨 にぬれ、しのぎ 場 もなく 岩 にすがる。
9 (みなしごをその 母 のふところから 奪 い、貧 しい 者 の 幼 な 子 を 質 にとる 者 がある。)
10 彼 らは 着 る 物 がなく、裸 で 歩 き、飢 えつつ 麦 束 を 運 び、
11 悪人 のオリブ並み 木 の 中 で 油 をしぼり、酒 ぶねを 踏 んでも、かわきを 覚 える。
12 町 の 中 から 死 のうめきが 起 り、傷 ついた 者 の 魂 が 助 けを 呼 び 求 める。しかし 神 は 彼 らの 祈 を 顧 みられない。
13 光 にそむく 者 たちがある。彼 らは 光 の 道 を 知 らず、光 の 道 にとどまらない。
14 人 を 殺 す 者 は 暗 いうちに 起 き 出 て 弱 い 者 と 貧 しい 者 を 殺 し、夜 は 盗 びととなる。
15 姦淫 する 者 の 目 はたそがれを 待 って、『だれもわたしを 見 ていないだろう』と 言 い、顔 におおう 物 を 当 てる。
16 彼 らは 暗 やみで 家 をうがち、昼 は 閉 じこもって 光 を 知 らない。
17 彼 らには 暗黒 は 朝 である。彼 らは 暗黒 の 恐 れを 友 とするからだ。
18 あなたがたは 言 う、『彼 らは 水 のおもてにすみやかに 流 れ 去 り、その 受 ける 分 は 地 でのろわれ、酒 ぶねを 踏 む 者 はだれも 彼 らのぶどう 畑 の 道 に 行 かない。
19 ひでりと 熱 さは 雪 水 を 奪 い 去 る、陰府 が 罪 を 犯 した 者 に 対 するも、これと 同様 だ。
20 町 の 広場 は 彼 らを 忘 れ、彼 らの 名 は 覚 えられることなく、不義 は 木 の 折 られるように 折 られる』と。
21 彼 らは 子 を 産 まぬうまずめをくらい、やもめをあわれむことをしない。
22 しかし 神 はその 力 をもって、強 い 人々 を 生 きながらえさせられる。彼 らは 生 きる 望 みのない 時 にも 起 きあがる。
23 神 が 彼 らに 安全 を 与 えられるので、彼 らは 安 らかである。神 の 目 は 彼 らの 道 の 上 にある。
24 彼 らはしばし 高 められて、いなくなり、ぜにあおいのように 枯 れて 消 えうせ、麦 の 穂先 のように 切 り 取 られる。
25 もし、そうでないなら、だれがわたしにその 偽 りを 証明 し、わが 言葉 のむなしいことを 示 しうるだろうか」。
Chapter 25
1 そこでシュヒびとビルダデは 答 えて 言 った、
2 「大権 と 恐 れとは 神 と 共 にある。彼 は 高 き 所 で 平和 を 施 される。
3 その 軍勢 は 数 えることができるか。何 物 かその 光 に 浴 さないものがあるか。
4 それで 人 はどうして 神 の 前 に 正 しくありえようか。女 から 生 れた 者 がどうして 清 くありえようか。
5 見 よ、月 さえも 輝 かず、星 も 彼 の 目 には 清 くない。
6 うじのような 人、虫 のような 人 の 子 はなおさらである」。
Chapter 26
1 そこでヨブは 答 えて 言 った、
2 「あなたは 力 のない 者 をどれほど 助 けたかしれない。気力 のない 腕 をどれほど 救 ったかしれない。
3 知恵 のない 者 をどれほど 教 えたかしれない。悟 りをどれほど 多 く 示 したかしれない。
4 あなたはだれの 助 けによって 言葉 をだしたのか。あなたから 出 たのはだれの 霊 なのか。
5 亡霊 は 水 およびその 中 に 住 むものの 下 に 震 う。
6 神 の 前 では 陰府 も 裸 である。滅 びの 穴 もおおい 隠 すものはない。
7 彼 は 北 の 天 を 空間 に 張 り、地 を 何 もない 所 に 掛 けられる。
8 彼 は 水 を 濃 い 雲 の 中 に 包 まれるが、その 下 の 雲 は 裂 けない。
9 彼 は 月 のおもてをおおい 隠 して、雲 をその 上 にのべ、
10 水 のおもてに 円 を 描 いて、光 とやみとの 境 とされた。
11 彼 が 戒 めると、天 の 柱 は 震 い、かつ 驚 く。
12 彼 はその 力 をもって 海 を 静 め、その 知恵 をもってラハブを 打 ち 砕 き、
13 その 息 をもって 天 を 晴 れわたらせ、その 手 をもって 逃 げるへびを 突 き 通 される。
14 見 よ、これらはただ 彼 の 道 の 端 にすぎない。われわれが 彼 について 聞 く 所 はいかにかすかなささやきであろう。しかし、その 力 のとどろきに 至 っては、だれが 悟 ることができるか」。
Chapter 27
1 ヨブはまた 言葉 をついで 言 った、
2 「神 は 生 きておられる。彼 はわたしの 義 を 奪 い 去 られた。全能者 はわたしの 魂 を 悩 まされた。
3 わたしの 息 がわたしのうちにあり、神 の 息 がわたしの 鼻 にある 間、
4 わたしのくちびるは 不義 を 言 わない、わたしの 舌 は 偽 りを 語 らない。
5 わたしは 断 じて、あなたがたを 正 しいとは 認 めない。わたしは 死 ぬまで、潔白 を 主張 してやめない。
6 わたしは 堅 くわが 義 を 保 って 捨 てない。わたしは 今 まで一 日 も 心 に 責 められた 事 がない。
7 どうか、わたしの 敵 は 悪人 のようになり、わたしに 逆 らう 者 は 不義 なる 者 のようになるように。
8 神 が 彼 を 断 ち、その 魂 を 抜 きとられるとき、神 を 信 じない 者 になんの 望 みがあろう。
9 災 が 彼 に 臨 むとき、神 はその 叫 びを 聞 かれるであろうか。
10 彼 は 全能者 を 喜 ぶであろうか、常 に 神 を 呼 ぶであろうか。
11 わたしは 神 のみ 手 についてあなたがたに 教 え、全能者 と 共 にあるものを 隠 すことをしない。
12 見 よ、あなたがたは 皆 みずからこれを 見 た、それなのに、どうしてむなしい 者 となったのか。
13 これは 悪人 の 神 から 受 ける 分、圧制者 の 全能者 から 受 ける 嗣 業 である。
14 その 子 らがふえればつるぎに 渡 され、その 子孫 は 食物 に 飽 きることがない。
15 その 生 き 残 った 者 は 疫病 で 死 んで 埋 められ、そのやもめらは 泣 き 悲 しむことをしない。
16 たとい 彼 は 銀 をちりのように 積 み、衣服 を 土 のように 備 えても、
17 その 備 えるものは 正 しい 人 がこれを 着、その 銀 は 罪 なき 者 が 分 かち 取 るであろう。
18 彼 の 建 てる 家 は、くもの 巣 のようであり、番人 の 造 る 小屋 のようである。
19 彼 は 富 める 身 で 寝 ても、再 び 富 むことがなく、目 を 開 けばその 富 はない。
20 恐 ろしい 事 が 大水 のように 彼 を 襲 い、夜 はつむじ 風 が 彼 を 奪 い 去 る。
21 東風 が 彼 を 揚 げると、彼 は 去 り、彼 をその 所 から 吹 き 払 う。
22 それは 彼 を 投 げつけて、あわれむことなく、彼 はその 力 からのがれようと、もがく。
23 それは 彼 に 向 かって 手 を 鳴 らし、あざけり 笑 って、その 所 から 出 て 行 かせる。
Chapter 28
1 しろがねには 掘 り 出 す 穴 があり、精錬 するこがねには 出 どころがある。
2 くろがねは 土 から 取 り、あかがねは 石 から 溶 かして 取 る。
3 人 は 暗 やみを 破 り、いやはてまでも 尋 ねきわめて、暗 やみおよび 暗黒 の 中 から 鉱石 を 取 る。
4 彼 らは 人 の 住 む 所 を 離 れて 縦穴 をうがち、道行 く 人 に 忘 れられ、人 を 離 れて 身 をつりさげ、揺 れ 動 く。
5 地 はそこから 食物 を 出 す。その 下 は 火 でくつがえされるようにくつがえる。
6 その 石 はサファイヤのある 所、そこにはまた 金塊 がある。
7 その 道 は 猛禽 も 知 らず、たかの 目 もこれを 見 ず、
8 猛獣 もこれを 踏 まず、ししもこれを 通 らなかった。
9 人 は 堅 い 岩 に 手 をくだして、山 を 根元 からくつがえす。
10 彼 は 岩 に 坑道 を 掘 り、その 目 はもろもろの 尊 い 物 を 見 る。
11 彼 は 水路 をふさいで、漏 れないようにし、隠 れた 物 を 光 に 取 り 出 す。
12 しかし 知恵 はどこに 見 いだされるか。悟 りのある 所 はどこか。
13 人 はそこに 至 る 道 を 知 らない、また 生 ける 者 の 地 でそれを 獲 ることができない。
14 淵 は 言 う、『それはわたしのうちにない』と。また 海 は 言 う、『わたしのもとにない』と。
15 精 金 もこれと 換 えることはできない。銀 も 量 ってその 価 とすることはできない。
16 オフルの 金 をもってしても、その 価 を 量 ることはできない。尊 い 縞 めのうも、サファイヤも 同様 である。
17 こがねも、玻璃 もこれに 並 ぶことができない。また 精 金 の 器物 もこれと 換 えることができない。
18 さんごも 水晶 も 言 うに 足 りない。知恵 を 得 るのは 真珠 を 得 るのにまさる。
19 エチオピヤのトパズもこれに 並 ぶことができない。純金 をもってしても、その 価 を 量 ることはできない。
20 それでは 知恵 はどこから 来 るか。悟 りのある 所 はどこか。
21 これはすべての 生 き 物 の 目 に 隠 され、空 の 鳥 にも 隠 されている。
22 滅 びも 死 も 言 う、『われわれはそのうわさを 耳 に 聞 いただけだ』。
23 神 はこれに 至 る 道 を 悟 っておられる、彼 はそのある 所 を 知 っておられる。
24 彼 は 地 の 果 までもみそなわし、天 が 下 を 見 きわめられるからだ。
25 彼 が 風 に 重 さを 与 え、水 をますで 量 られたとき、
26 彼 が 雨 のために 規定 を 設 け、雷 のひらめきのために 道 を 設 けられたとき、
27 彼 は 知恵 を 見 て、これをあらわし、これを 確 かめ、これをきわめられた。
28 そして 人 に 言 われた、『見 よ、主 を 恐 れることは 知恵 である、悪 を 離 れることは 悟 りである』と」。
Chapter 29
1 ヨブはまた 言葉 をついで 言 った、
2 「ああ 過 ぎた 年月 のようであったらよいのだが、神 がわたしを 守 ってくださった 日 のようであったらよいのだが。
3 あの 時 には、彼 のともしびがわたしの 頭 の 上 に 輝 き、彼 の 光 によってわたしは 暗 やみを 歩 んだ。
4 わたしの 盛 んな 時 のようであったならよいのだが。あの 時 には、神 の 親 しみがわたしの 天幕 の 上 にあった。
5 あの 時 には、全能者 がなおわたしと 共 にいまし、わたしの 子供 たちもわたしの 周囲 にいた。
6 あの 時、わたしの 足跡 は 乳 で 洗 われ、岩 もわたしのために 油 の 流 れを 注 ぎだした。
7 あの 時 には、わたしは 町 の 門 に 出 て 行 き、わたしの 座 を 広場 に 設 けた。
8 若 い 者 はわたしを 見 てしりぞき、老 いた 者 は 身 をおこして 立 ち、
9 君 たる 者 も 物言 うことをやめて、その 口 に 手 を 当 て、
10 尊 い 者 も 声 をおさめて、その 舌 を 上 あごにつけた。
11 耳 に 聞 いた 者 はわたしを 祝福 された 者 となし、目 に 見 た 者 はこれをあかしした。
12 これは 助 けを 求 める 貧 しい 者 を 救 い、また、みなしごおよび 助 ける 人 のない 者 を 救 ったからである。
13 今 にも 滅 びようとした 者 の 祝福 がわたしに 来 た。わたしはまたやもめの 心 をして 喜 び 歌 わせた。
14 わたしは 正義 を 着、正義 はわたしをおおった。わたしの 公義 は 上着 のごとく、また 冠 のようであった。
15 わたしは 目 しいの 目 となり、足 なえの 足 となり、
16 貧 しい 者 の 父 となり、知 らない 人 の 訴 えの 理由 を 調 べてやった。
17 わたしはまた 悪 しき 者 のきばを 折 り、その 歯 の 間 から 獲物 を 引 き 出 した。
18 その 時、わたしは 言 った、『わたしは 自分 の 巣 の 中 で 死 に、わたしの 日 は 砂 のように 多 くなるであろう。
19 わたしの 根 は 水 のほとりにはびこり、露 は 夜 もすがらわたしの 枝 におくであろう。
20 わたしの 栄 えはわたしと 共 に 新 しく、わたしの 弓 はわたしの 手 にいつも 強 い』と。
21 人々 はわたしに 聞 いて 待 ち、黙 して、わたしの 教 に 従 った。
22 わたしが 言 った 後 は 彼 らは 再 び 言 わなかった。わたしの 言葉 は 彼 らの 上 に 雨 のように 降 りそそいだ。
23 彼 らは 雨 を 待 つように、わたしを 待 ち 望 み、春 の 雨 を 仰 ぐように 口 を 開 いて 仰 いだ。
24 彼 らが 希望 を 失 った 時 にも、わたしは 彼 らにむかってほほえんだ。彼 らはわたしの 顔 の 光 を 除 くことができなかった。
25 わたしは 彼 らのために 道 を 選 び、そのかしらとして 座 し、軍中 の 王 のようにしており、嘆 く 者 を 慰 める 人 のようであった。
Chapter 30
1 しかし 今 はわたしよりも 年 若 い 者 が、かえってわたしをあざ 笑 う。彼 らの 父 はわたしが 卑 しめて、群 れの 犬 と 一緒 にさえしなかった 者 だ。
2 彼 らの 手 の 力 からわたしは 何 を 得 るであろうか、彼 らはその 気力 がすでに 衰 えた 人々 だ。
3 彼 らは 乏 しさと 激 しい 飢 えとによって、かわいた 荒 れ 地 をかむ。
4 彼 らは、ぜにあおいおよび 灌木 の 葉 を 摘 み、れだまの 根 をもって 身 を 暖 める。
5 彼 らは 人々 の 中 から 追 いだされ、盗 びとを 追 うように、人々 は 彼 らを 追 い 呼 ばわる。
6 彼 らは 急流 の 谷間 に 住 み、土 の 穴 または 岩 の 穴 におり、
7 灌木 の 中 にいななき、いらくさの 下 に 押 し 合 う。
8 彼 らは 愚 かな 者 の 子、また 卑 しい 者 の 子 であって、国 から 追 いだされた 者 だ。
9 それなのに、わたしは 今 彼 らの 歌 となり、彼 らの 笑 い 草 となった。
10 彼 らはわたしをいとい、遠 くわたしをはなれ、わたしの 顔 につばきすることも、ためらわない。
11 神 がわたしの 綱 を 解 いて、わたしを 卑 しめられたので、彼 らもわたしの 前 に 慎 みを 捨 てた。
12 このともがらはわたしの 右 に 立 ち 上 がり、わたしを 追 いのけ、わたしにむかって 滅 びの 道 を 築 く。
13 彼 らはわたしの 道 をこわし、わたしの 災 を 促 す。これをさし 止 める 者 はない。
14 彼 らは 広 い 破 れ 口 からはいるように 進 みきたり、破壊 の 中 をおし 寄 せる。
15 恐 ろしい 事 はわたしに 臨 み、わたしの 誉 は 風 のように 吹 き 払 われ、わたしの 繁栄 は 雲 のように 消 えうせた。
16 今 は、わたしの 魂 はわたしの 内 にとけて 流 れ、悩 みの 日 はわたしを 捕 えた。
17 夜 はわたしの 骨 を 激 しく 悩 まし、わたしをかむ 苦 しみは、やむことがない。
18 それは 暴力 をもって、わたしの 着物 を 捕 え、はだ 着 のえりのように、わたしをしめつける。
19 神 がわたしを 泥 の 中 に 投 げ 入 れられたので、わたしはちり 灰 のようになった。
20 わたしがあなたにむかって 呼 ばわっても、あなたは 答 えられない。わたしが 立 っていても、あなたは 顧 みられない。
21 あなたは 変 って、わたしに 無情 な 者 となり、み 手 の 力 をもってわたしを 攻 め 悩 まされる。
22 あなたはわたしを 揚 げて 風 の 上 に 乗 せ、大風 のうなり 声 の 中 に、もませられる。
23 わたしは 知 っている、あなたはわたしを 死 に 帰 らせ、すべての 生 き 物 の 集 まる 家 に 帰 らせられることを。
24 さりながら 荒塚 の 中 にある 者 は、手 を 伸 べないであろうか、災 の 中 にある 者 は 助 けを 呼 び 求 めないであろうか。
25 わたしは 苦 しい 日 を 送 る 者 のために 泣 かなかったか。わたしの 魂 は 貧 しい 人 のために 悲 しまなかったか。
26 しかしわたしが 幸 を 望 んだのに 災 が 来 た。光 を 待 ち 望 んだのにやみが 来 た。
27 わたしのはらわたは 沸 きかえって、静 まらない。悩 みの 日 がわたしに 近 づいた。
28 わたしは 日 の 光 によらずに 黒 くなって 歩 き、公会 の 中 に 立 って 助 けを 呼 び 求 める。
29 わたしは 山犬 の 兄弟 となり、だちょうの 友 となった。
30 わたしの 皮膚 は 黒 くなって、はげ 落 ち、わたしの 骨 は 熱 さによって 燃 え、
31 わたしの 琴 は 悲 しみの 音 となり、わたしの 笛 は 泣 く 者 の 声 となった。
Chapter 31
1 わたしは、わたしの 目 と 契約 を 結 んだ、どうして、おとめを 慕 うことができようか。
2 もしそうすれば 上 から 神 の 下 される 分 はどんなであろうか。高 き 所 から 全能者 の 与 えられる 嗣 業 はどんなであろうか。
3 不義 なる 者 には 災 が 下 らないであろうか。悪 をなす 者 には 災難 が 臨 まないであろうか。
4 彼 はわたしの 道 をみそなわし、わたしの 歩 みをことごとく 数 えられぬであろうか。
5 もし、わたしがうそと 共 に 歩 み、わたしの 足 が 偽 りにむかって 急 いだことがあるなら、
6 (正 しいはかりをもってわたしを 量 れ、そうすれば 神 はわたしの 潔白 を 知 られるであろう。)
7 もしわたしの 歩 みが、道 をはなれ、わたしの 心 がわたしの 目 にしたがって 歩 み、わたしの 手 に 汚 れがついていたなら、
8 わたしのまいたのを 他 の 人 が 食 べ、わたしのために 成長 するものが、抜 き 取 られてもかまわない。
9 もし、わたしの 心 が、女 に 迷 ったことがあるか、またわたしが 隣 り 人 の 門 で 待 ち 伏 せしたことがあるなら、
10 わたしの 妻 が 他 の 人 のためにうすをひき、他 の 人 が 彼女 の 上 に 寝 てもかまわない。
11 これは 重 い 罪 であって、さばきびとに 罰 せられるべき 悪事 だからである。
12 これは 滅 びに 至 るまでも 焼 きつくす 火 であって、わたしのすべての 産業 を 根 こそぎ 焼 くであろう。
13 わたしのしもべ、また、はしためがわたしと 言 い 争 ったときに、わたしがもしその 言 い 分 を 退 けたことがあるなら、
14 神 が 立 ち 上 がられるとき、わたしはどうしようか、神 が 尋 ねられるとき、なんとお 答 えしようか。
15 わたしを 胎内 に 造 られた 者 は、彼 をも 造 られたのではないか。われわれを 腹 の 内 に 形 造 られた 者 は、ただひとりではないか。
16 わたしがもし 貧 しい 者 の 願 いを 退 け、やもめの 目 を 衰 えさせ、
17 あるいはわたしひとりで 食物 を 食 べて、みなしごに 食 べさせなかったことがあるなら、
18 (わたしは 彼 の 幼 い 時 から 父 のように 彼 を 育 て、またその 母 の 胎 を 出 たときから 彼 を 導 いた。)
19 もし 着物 がないために 死 のうとする 者 や、身 をおおう 物 のない 貧 しい 人 をわたしが 見 た 時 に、
20 その 腰 がわたしを 祝福 せず、また 彼 がわたしの 羊 の 毛 で 暖 まらなかったことがあるなら、
21 もしわたしを 助 ける 者 が 門 におるのを 見 て、みなしごにむかってわたしの 手 を 振 り 上 げたことがあるなら、
22 わたしの 肩 骨 が、肩 から 落 ち、わたしの 腕 が、つけ 根 から 折 れてもかまわない。
23 わたしは 神 から 出 る 災 を 恐 れる、その 威光 の 前 には 何事 もなすことはできない。
24 わたしがもし 金 をわが 望 みとし、精 金 をわが 頼 みと 言 ったことがあるなら、
25 わたしがもしわが 富 の 大 いなる 事 と、わたしの 手 に 多 くの 物 を 獲 た 事 とを 喜 んだことがあるなら、
26 わたしがもし 日 の 輝 くのを 見、または 月 の 照 りわたって 動 くのを 見 た 時、
27 心 ひそかに 迷 って、手 に 口 づけしたことがあるなら、
28 これもまたさばきびとに 罰 せらるべき 悪事 だ。わたしは 上 なる 神 を 欺 いたからである。
29 わたしがもしわたしを 憎 む 者 の 滅 びるのを 喜 び、または 災 が 彼 に 臨 んだとき、勝 ち 誇 ったことがあるなら、
30 (わたしはわが 口 に 罪 を 犯 させず、のろいをもって 彼 の 命 を 求 めたことはなかった。)
31 もし、わたしの 天幕 の 人々 で、『だれか 彼 の 肉 に 飽 きなかった 者 があるか』と、言 わなかったことがあるなら、
32 (他国 人 はちまたに 宿 らず、わたしはわが 門 を 旅 びとに 開 いた。)
33 わたしがもし 人々 の 前 にわたしのとがをおおい、わたしの 悪事 を 胸 の 中 に 隠 したことがあるなら、
34 わたしが 大衆 を 恐 れ、宗族 の 侮 りにおじて、口 を 閉 じ、門 を 出 なかったことがあるなら、
35 ああ、わたしに 聞 いてくれる 者 があればよいのだが、(わたしのかきはんがここにある。どうか、全能者 がわたしに 答 えられるように。)ああ、わたしの 敵 の 書 いた 告訴 状 があればよいのだが。
36 わたしは 必 ずこれを 肩 に 負 い、冠 のようにこれをわが 身 に 結 び、
37 わが 歩 みの 数 を 彼 に 述 べ、君 たる 者 のようにして、彼 に 近 づくであろう。
38 もしわが 田畑 がわたしに 向 かって 呼 ばわり、そのうねみぞが 共 に 泣 き 叫 んだことがあるなら、
39 もしわたしが 金 を 払 わないでその 産物 を 食 べ、その 持 ち 主 を 死 なせたことがあるなら、
40 小麦 の 代 りに、いばらがはえ、大麦 の 代 りに 雑草 がはえてもかまわない」。ヨブの 言葉 は 終 った。
Chapter 32
1 このようにヨブが 自分 の 正 しいことを 主張 したので、これら三 人 の 者 はヨブに 答 えるのをやめた。
2 その 時 ラム 族 のブズびとバラケルの 子 エリフは 怒 りを 起 した。すなわちヨブが 神 よりも 自分 の 正 しいことを 主張 するので、彼 はヨブに 向 かって 怒 りを 起 した。
3 またヨブの三 人 の 友 がヨブを 罪 ありとしながら、答 える 言葉 がなかったので、エリフは 彼 らにむかっても 怒 りを 起 した。
4 エリフは 彼 らが 皆、自分 よりも 年長者 であったので、ヨブに 物言 うことをひかえて 待 っていたが、
5 ここにエリフは三 人 の 口 に 答 える 言葉 のないのを 見 て 怒 りを 起 した。
6 ブズびとバラケルの 子 エリフは 答 えて 言 った、「わたしは 年 若 く、あなたがたは 年老 いている。それゆえ、わたしははばかって、わたしの 意見 を 述 べることをあえてしなかった。
7 わたしは 思 った、『日 を 重 ねた 者 が 語 るべきだ、年 を 積 んだ 者 が 知恵 を 教 えるべきだ』と。
8 しかし 人 のうちには 霊 があり、全能者 の 息 が 人 に 悟 りを 与 える。
9 老 いた 者、必 ずしも 知恵 があるのではなく、年 とった 者、必 ずしも 道理 をわきまえるのではない。
10 ゆえにわたしは 言 う、『わたしに 聞 け、わたしもまたわが 意見 を 述 べよう』。
11 見 よ、わたしはあなたがたの 言葉 に 期待 し、その 知恵 ある 言葉 に 耳 を 傾 け、あなたがたが 言 うべき 言葉 を 捜 し 出 すのを 待 っていた。
12 わたしはあなたがたに 心 をとめたが、あなたがたのうちにヨブを 言 いふせる 者 はひとりもなく、また 彼 の 言葉 に 答 える 者 はひとりもなかった。
13 おそらくあなたがたは 言 うだろう、『われわれは 知恵 を 見 いだした、彼 に 勝 つことのできるのは 神 だけで、人 にはできない』と。
14 彼 はその 言葉 をわたしに 向 けて 言 わなかった。わたしはあなたがたの 言葉 をもって 彼 に 答 えることはしない。
15 彼 らは 驚 いて、もはや 答 えることをせず、彼 らには、もはや 言 うべき 言葉 がない。
16 彼 らは 物言 わず、立 ちとどまって、もはや 答 えるところがないので、わたしはこれ 以上 待 つ 必要 があろうか。
17 わたしもまたわたしの 分 を 答 え、わたしの 意見 を 述 べよう。
18 わたしには 言葉 が 満 ち、わたしのうちの 霊 がわたしに 迫 るからだ。
19 見 よ、わたしの 心 は 口 を 開 かないぶどう 酒 のように、新 しいぶどう 酒 の 皮 袋 のように、今 にも 張 りさけようとしている。
20 わたしは 語 って、気 を 晴 らし、くちびるを 開 いて 答 えよう。
21 わたしはだれをもかたより 見 ることなく、また 何人 とにもへつらうことをしない。
22 わたしはへつらうことを 知 らないからだ。もしへつらうならば、わたしの 造 り 主 は 直 ちにわたしを 滅 ぼされるであろう。
Chapter 33
1 だから、ヨブよ、今 わたしの 言 うことを 聞 け、わたしのすべての 言葉 に 耳 を 傾 けよ。
2 見 よ、わたしは 口 を 開 き、口 の 中 の 舌 は 物言 う。
3 わたしの 言葉 はわが 心 の 正 しきを 語 り、わたしのくちびるは 真実 をもってその 知識 を 語 る。
4 神 の 霊 はわたしを 造 り、全能者 の 息 はわたしを 生 かす。
5 あなたがもしできるなら、わたしに 答 えよ、わたしの 前 に 言葉 を 整 えて、立 て。
6 見 よ、神 に 対 しては、わたしもあなたと 同様 であり、わたしもまた 土 から 取 って 造 られた 者 だ。
7 見 よ、わたしの 威厳 はあなたを 恐 れさせない、わたしの 勢 いはあなたを 圧 しない。
8 確 かに、あなたはわたしの 聞 くところで 言 った、わたしはあなたの 言葉 の 声 を 聞 いた。
9 あなたは 言 う、『わたしはいさぎよく、とがはない。わたしは 清 く、不義 はない。
10 見 よ、彼 はわたしを 攻 める 口実 を 見 つけ、わたしを 自分 の 敵 とみなし、
11 わたしの 足 をかせにはめ、わたしのすべての 行 いに 目 をとめられる』と。
12 見 よ、わたしはあなたに 答 える、あなたはこの 事 において 正 しくない。神 は 人 よりも 大 いなる 者 だ。
13 あなたが『彼 はわたしの 言葉 に 少 しも 答 えられない』といって、彼 に 向 かって 言 い 争 うのは、どういうわけであるか。
14 神 は一つの 方法 によって 語 られ、また二つの 方法 によって 語 られるのだが、人 はそれを 悟 らないのだ。
15 人々 が 熟睡 するとき、または 床 にまどろむとき、夢 あるいは 夜 の 幻 のうちで、
16 彼 は 人々 の 耳 を 開 き、警告 をもって 彼 らを 恐 れさせ、
17 こうして 人 にその 悪 しきわざを 離 れさせ、高 ぶりを 人 から 除 き、
18 その 魂 を 守 って、墓 に 至 らせず、その 命 を 守 って、つるぎに 滅 びないようにされる。
19 人 はまたその 床 の 上 で 痛 みによって 懲 らされ、その 骨 に 戦 いが 絶 えることなく、
20 その 命 は、食物 をいとい、その 食欲 は、おいしい 食物 をきらう。
21 その 肉 はやせ 落 ちて 見 えず、その 骨 は 見 えなかったものまでもあらわになり、
22 その 魂 は 墓 に 近 づき、その 命 は 滅 ぼす 者 に 近 づく。
23 もしそこに 彼 のためにひとりの 天使 があり、千のうちのひとりであって、仲保 となり、人 にその 正 しい 道 を 示 すならば、
24 神 は 彼 をあわれんで 言 われる、『彼 を 救 って、墓 に 下 ることを 免 れさせよ、わたしはすでにあがないしろを 得 た。
25 彼 の 肉 を 幼 な 子 の 肉 よりもみずみずしくならせ、彼 を 若 い 時 の 元気 に 帰 らせよ』と。
26 その 時、彼 が 神 に 祈 るならば、神 は 彼 を 顧 み、喜 びをもって、み 前 にいたらせ、その 救 を 人 に 告 げ 知 らせられる。
27 彼 は 人々 の 前 に 歌 って 言 う、『わたしは 罪 を 犯 し、正 しい 事 を 曲 げた。しかしわたしに 報復 がなかった。
28 彼 はわたしの 魂 をあがなって、墓 に 下 らせられなかった。わたしの 命 は 光 を 見 ることができる』と。
29 見 よ、神 はこれらすべての 事 をふたたび、みたび 人 に 行 い、
30 その 魂 を 墓 から 引 き 返 し、彼 に 命 の 光 を 見 させられる。
31 ヨブよ、耳 を 傾 けてわたしに 聞 け、黙 せよ、わたしは 語 ろう。
32 あなたがもし 言 うべきことがあるなら、わたしに 答 えよ、語 れ、わたしはあなたを 正 しい 者 にしようと 望 むからだ。
33 もし 語 ることがないなら、わたしに 聞 け、黙 せよ、わたしはあなたに 知恵 を 教 えよう」。
Chapter 34
1 エリフはまた 答 えて 言 った、
2 「あなたがた 知恵 ある 人々 よ、わたしの 言葉 を 聞 け、あなたがた 知識 ある 人々 よ、わたしに 耳 を 傾 けよ。
3 口 が 食物 を 味 わうように、耳 は 言葉 をわきまえるからだ。
4 われわれは 正 しい 事 を 選 び、われわれの 間 に 良 い 事 の 何 であるかを 明 らかにしよう。
5 ヨブは 言 った、『わたしは 正 しい、神 はわたしの 公義 を 奪 われた。
6 わたしは 正 しいにもかかわらず、偽 る 者 とされた。わたしにはとががないけれども、わたしの 矢 傷 はいえない』と。
7 だれかヨブのような 人 があろう。彼 はあざけりを 水 のように 飲 み、
8 悪 をなす 者 どもと 交 わり、悪人 と 共 に 歩 む。
9 彼 は 言 った、『人 は 神 と 親 しんでも、なんの 益 もない』と。
10 それであなたがた 理解 ある 人々 よ、わたしに 聞 け、神 は 断 じて 悪 を 行 うことなく、全能者 は 断 じて 不義 を 行 うことはない。
11 神 は 人 のわざにしたがってその 身 に 報 い、おのおのの 道 にしたがって、その 身 に 振 りかからせられる。
12 まことに 神 は 悪 しき 事 を 行 われない。全能者 はさばきをまげられない。
13 だれかこの 地 を 彼 にゆだねた 者 があるか。だれか 全 世界 を 彼 に 負 わせた 者 があるか。
14 神 がもしその 霊 をご 自分 に 取 りもどし、その 息 をご 自分 に 取 りあつめられるならば、
15 すべての 肉 は 共 に 滅 び、人 はちりに 帰 るであろう。
16 もし、あなたに 悟 りがあるならば、これを 聞 け、わたしの 言 うところに 耳 を 傾 けよ。
17 公義 を 憎 む 者 は 世 を 治 めることができようか。正 しく 力 ある 者 を、あなたは 非難 するであろうか。
18 王 たる 者 に 向 かって『よこしまな 者』と 言 い、つかさたる 者 に 向 かって、『悪 しき 者』と 言 うことができるであろうか。
19 神 は 君 たる 者 をもかたより 見 られることなく、富 める 者 を 貧 しき 者 にまさって 顧 みられることはない。彼 らは 皆 み 手 のわざだからである。
20 彼 らはまたたく 間 に 死 に、民 は 夜 の 間 に 振 われて、消 えうせ、力 ある 者 も 人手 によらずに 除 かれる。
21 神 の 目 が 人 の 道 の 上 にあって、そのすべての 歩 みを 見 られるからだ。
22 悪 を 行 う 者 には 身 を 隠 すべき 暗 やみもなく、暗黒 もない。
23 人 がさばきのために 神 の 前 に 出 るとき、神 は 人 のために 時 を 定 めておかれない。
24 彼 は 力 ある 者 をも 調 べることなく 打 ち 滅 ぼし、他 の 人々 を 立 てて、これに 替 えられる。
25 このように、神 は 彼 らのわざを 知 り、夜 の 間 に 彼 らをくつがえされるので、彼 らはやがて 滅 びる。
26 彼 は 人々 の 見 る 所 で、彼 らをその 悪 のために 撃 たれる。
27 これは 彼 らがそむいて 彼 に 従 わず、その 道 を 全 く 顧 みないからだ。
28 こうして 彼 らは 貧 しき 者 の 叫 びを 彼 のもとにいたらせ、悩 める 者 の 叫 びを 彼 に 聞 かせる。
29 彼 が 黙 っておられるとき、だれが 非難 することができようか。彼 が 顔 を 隠 されるとき、だれが 彼 を 見 ることができようか。一 国 の 上 にも、一 人 の 上 にも 同様 だ。
30 これは 神 を 信 じない 者 が 世 を 治 めることがなく、民 をわなにかける 事 のないようにするためである。
31 だれが 神 に 向 かって 言 ったか、『わたしは 罪 を 犯 さないのに、懲 しめられた。
32 わたしの 見 ないものをわたしに 教 えられたい。もしわたしが 悪 い 事 をしたなら、重 ねてこれをしない』と。
33 あなたが 拒 むゆえに、彼 はあなたの 好 むように 報 いをされるであろうか。あなたみずから 選 ぶがよい、わたしはしない。あなたの 知 るところを 言 いなさい。
34 悟 りある 人々 はわたしに 言 うだろう、わたしに 聞 くところの 知恵 ある 人 は 言 うだろう、
35 『ヨブの 言 うところは 知識 がなく、その 言葉 は 悟 りがない』と。
36 どうかヨブが 終 りまで 試 みられるように、彼 は 悪人 のように 答 えるからである。
37 彼 は 自分 の 罪 に、とがを 加 え、われわれの 中 にあって 手 をうち、神 に 逆 らって、その 言葉 をしげくする」。
Chapter 35
1 エリフはまた 答 えて 言 った、
2 「あなたはこれを 正 しいと 思 うのか、あなたは『神 の 前 に 自分 は 正 しい』と 言 うのか。
3 あなたは 言 う、『これはわたしになんの 益 があるか、罪 を 犯 したのとくらべてなんのまさるところがあるか』と。
4 わたしはあなたおよび、あなたと 共 にいるあなたの 友人 たちに 答 えよう。
5 天 を 仰 ぎ 見 よ、あなたの 上 なる 高 き 空 を 望 み 見 よ。
6 あなたが 罪 を 犯 しても、彼 になんのさしさわりがあるか。あなたのとがが 多 くても、彼 に 何 をなし 得 ようか。
7 またあなたは 正 しくても、彼 に 何 を 与 え 得 ようか。彼 はあなたの 手 から 何 を 受 けられるであろうか。
8 あなたの 悪 はただあなたのような 人 にかかわり、あなたの 義 はただ 人 の 子 にかかわるのみだ。
9 しえたげの 多 いために 叫 び、力 ある 者 の 腕 のゆえに 呼 ばわる 人々 がある。
10 しかし、ひとりとして 言 う 者 はない、『わが 造 り 主 なる 神 はどこにおられるか、彼 は 夜 の 間 に 歌 を 与 え、
11 地 の 獣 よりも 多 く、われわれを 教 え、空 の 鳥 よりも、われわれを 賢 くされる 方 である』と。
12 彼 らが 叫 んでも 答 えられないのは、悪 しき 者 の 高 ぶりによる。
13 まことに 神 はむなしい 叫 びを 聞 かれない。また 全能者 はこれを 顧 みられない。
14 あなたが 彼 を 見 ないと 言 う 時 はなおさらだ。さばきは 神 の 前 にある。あなたは 彼 を 待 つべきである。
15 今 彼 が 怒 りをもって 罰 せず、罪 とがを 深 く 心 にとめられないゆえに
16 ヨブは 口 を 開 いてむなしい 事 を 述 べ、無知 の 言葉 をしげくする」。
Chapter 36
1 エリフは 重 ねて 言 った、
2 「しばらく 待 て、わたしはあなたに 示 すことがある。なお 神 のために 言 うべき 事 がある。
3 わたしは 遠 くからわが 知識 を 取 り、わが 造 り 主 に 正義 を 帰 する。
4 まことにわたしの 言葉 は 偽 らない。知識 の 全 き 者 があなたと 共 にいる。
5 見 よ、神 は 力 ある 者 であるが、何 をも 卑 しめられない、その 悟 りの 力 は 大 きい。
6 彼 は 悪 しき 者 を 生 かしておかれない、苦 しむ 者 のためにさばきを 行 われる。
7 彼 は 正 しい 者 から 目 を 離 さず、位 にある 王 たちと 共 に、とこしえに、彼 らをすわらせて、尊 くされる。
8 もし 彼 らが 足 かせにつながれ、悩 みのなわに 捕 えられる 時 は、
9 彼 らの 行 いと、とがと、その 高 ぶったふるまいを 彼 らに 示 し、
10 彼 らの 耳 を 開 いて、教 を 聞 かせ、悪 を 離 れて 帰 ることを 命 じられる。
11 もし 彼 らが 聞 いて 彼 に 仕 えるならば、彼 らはその 日 を 幸福 に 過 ごし、その 年 を 楽 しく 送 るであろう。
12 しかし 彼 らが 聞 かないならば、つるぎによって 滅 び、知識 を 得 ないで 死 ぬであろう。
13 心 に 神 を 信 じない 者 どもは 怒 りをたくわえ、神 に 縛 られる 時 も、助 けを 呼 び 求 めることをしない。
14 彼 らは 年 若 くして 死 に、その 命 は 恥 のうちに 終 る。
15 神 は 苦 しむ 者 をその 苦 しみによって 救 い、彼 らの 耳 を 逆境 によって 開 かれる。
16 神 はまたあなたを 悩 みから、束縛 のない 広 い 所 に 誘 い 出 された。そしてあなたの 食卓 に 置 かれた 物 はすべて 肥 えた 物 であった。
17 しかしあなたは 悪人 のうくべきさばきをおのれに 満 たし、さばきと 公義 はあなたを 捕 えている。
18 あなたは 怒 りに 誘 われて、あざけりに 陥 らぬように 心 せよ。あがないしろの 大 いなるがために、おのれを 誤 るな。
19 あなたの 叫 びはあなたを 守 って、悩 みを 免 れさせるであろうか、いかに 力 をつくしても 役 に 立 たない。
20 人々 がその 所 から 断 たれるその 夜 を 慕 ってはならない。
21 慎 んで 悪 に 傾 いてはならない。あなたは 悩 みよりもむしろこれを 選 んだからだ。
22 見 よ、神 はその 力 をもってあがめられる。だれか 彼 のように 教 える 者 があるか。
23 だれか 彼 のためにその 道 を 定 めた 者 があるか。だれか『あなたは 悪 い 事 をした』と 言 いうる 者 があるか。
24 神 のみわざをほめたたえる 事 を 忘 れてはならない。これは 人々 の 歌 いあがめるところである。
25 すべての 人 はこれを 仰 ぎ 見 る。人 は 遠 くからこれを 見 るにすぎない。
26 見 よ、神 は 大 いなる 者 にいまして、われわれは 彼 を 知 らない。その 年 の 数 も 計 り 知 ることができない。
27 彼 は 水 のしたたりを 引 きあげ、その 霧 をしたたらせて 雨 とされる。
28 空 はこれを 降 らせて、人 の 上 に 豊 かに 注 ぐ。
29 だれか 雲 の 広 がるわけと、その 幕屋 のとどろくわけとを 悟 ることができようか。
30 見 よ、彼 はその 光 をおのれのまわりにひろげ、また 海 の 底 をおおわれる。
31 彼 はこれらをもって 民 をさばき、食物 を 豊 かに 賜 い、
32 いなずまをもってもろ 手 を 包 み、これに 命 じて 敵 を 打 たせられる。
33 そのとどろきは、悪 にむかって 怒 りに 燃 える 彼 を 現 す。
Chapter 37
1 これがためにわが 心 もまたわななき、その 所 からとび 離 れる。
2 聞 け、神 の 声 のとどろきを、またその 口 から 出 るささやきを。
3 彼 はこれを 天 が 下 に 放 ち、その 光 を 地 のすみずみまで 至 らせられる。
4 その 後、声 とどろき、彼 はそのいかめしい 声 をもって 鳴 り 渡 られる。その 声 の 聞 える 時、彼 はいなずまを 引 きとめられない。
5 神 はその 驚 くべき 声 をもって 鳴 り 渡 り、われわれの 悟 りえない 大 いなる 事 を 行 われる。
6 彼 は 雪 に 向 かって『地 に 降 れ』と 命 じ、夕立 ちおよび 雨 に 向 かって『強 く 降 れ』と 命 じられる。
7 彼 はすべての 人 の 手 を 封 じられる。これはすべての 人 にみわざを 知 らせるためである。
8 その 時、獣 は 穴 に 入 り、そのほらにとどまる。
9 つむじ 風 はそのへやから、寒 さは 北風 から 来 る。
10 神 のいぶきによって 氷 が 張 り、広々 とした 水 は 凍 る。
11 彼 は 濃 い 雲 に 水気 を 負 わせ、雲 はそのいなずまを 散 らす。
12 これは 彼 の 導 きによってめぐる。彼 の 命 じるところをことごとく 世界 のおもてに 行 うためである。
13 神 がこれらをこさせるのは、懲 しめのため、あるいはその 地 のため、あるいはいつくしみのためである。
14 ヨブよ、これを 聞 け、立 って 神 のくすしきみわざを 考 えよ。
15 あなたは 知 っているか、神 がいかにこれらに 命 じて、その 雲 の 光 を 輝 かされるかを。
16 あなたは 知 っているか、雲 のつりあいと、知識 の 全 き 者 のくすしきみわざを。
17 南風 によって 地 が 穏 やかになる 時、あなたの 着物 が 熱 くなることを。
18 あなたは 鋳 た 鏡 のように 堅 い 大空 を、彼 のように 張 ることができるか。
19 われわれが 彼 に 言 うべき 事 をわれわれに 教 えよ、われわれは 暗 くて、言葉 をつらねることはできない。
20 わたしは 語 ることがあると 彼 に 告 げることができようか、人 は 滅 ぼされることを 望 むであろうか。
21 光 が 空 に 輝 いているとき、風 過 ぎて 空 を 清 めると、人々 はその 光 を 見 ることができない。
22 北 から 黄金 のような 輝 きがでてくる。神 には 恐 るべき 威光 がある。
23 全能者 は――われわれはこれを 見 いだすことができない。彼 は 力 と 公義 とにすぐれ、正義 に 満 ちて、これを 曲 げることはない。
24 それゆえ、人々 は 彼 を 恐 れる。彼 はみずから 賢 いと 思 う 者 を 顧 みられない」。
Chapter 38
1 この 時、主 はつむじ 風 の 中 からヨブに 答 えられた、
2 「無知 の 言葉 をもって、神 の 計 りごとを 暗 くするこの 者 はだれか。
3 あなたは 腰 に 帯 して、男 らしくせよ。わたしはあなたに 尋 ねる、わたしに 答 えよ。
4 わたしが 地 の 基 をすえた 時、どこにいたか。もしあなたが 知 っているなら 言 え。
5 あなたがもし 知 っているなら、だれがその 度量 を 定 めたか。だれが 測 りなわを 地 の 上 に 張 ったか。
6 その 土台 は 何 の 上 に 置 かれたか。その 隅 の 石 はだれがすえたか。
7 かの 時 には 明 けの 星 は 相 共 に 歌 い、神 の 子 たちはみな 喜 び 呼 ばわった。
8 海 の 水 が 流 れいで、胎内 からわき 出 たとき、だれが 戸 をもって、これを 閉 じこめたか。
9 あの 時、わたしは 雲 をもって 衣 とし、黒雲 をもってむつきとし、
10 これがために 境 を 定 め、関 および 戸 を 設 けて、
11 言 った、『ここまで 来 てもよい、越 えてはならぬ、おまえの 高波 はここにとどまるのだ』と。
12 あなたは 生 れた 日 からこのかた 朝 に 命 じ、夜明 けにその 所 を 知 らせ、
13 これに 地 の 縁 をとらえさせ、悪人 をその 上 から 振 り 落 させたことがあるか。
14 地 は 印 せられた 土 のように 変 り、衣 のようにいろどられる。
15 悪人 はその 光 を 奪 われ、その 高 くあげた 腕 は 折 られる。
16 あなたは 海 の 源 に 行 ったことがあるか。淵 の 底 を 歩 いたことがあるか。
17 死 の 門 はあなたのために 開 かれたか。あなたは 暗黒 の 門 を 見 たことがあるか。
18 あなたは 地 の 広 さを 見 きわめたか。もしこれをことごとく 知 っているならば 言 え。
19 光 のある 所 に 至 る 道 はいずれか。暗 やみのある 所 はどこか。
20 あなたはこれをその 境 に 導 くことができるか。その 家路 を 知 っているか。
21 あなたは 知 っているだろう、あなたはかの 時 すでに 生 れており、またあなたの 日 数 も 多 いのだから。
22 あなたは 雪 の 倉 にはいったことがあるか。ひょうの 倉 を 見 たことがあるか。
23 これらは 悩 みの 時 のため、いくさと 戦 いの 日 のため、わたしがたくわえて 置 いたものだ。
24 光 の 広 がる 道 はどこか。東風 の 地 に 吹 き 渡 る 道 はどこか。
25 だれが 大雨 のために 水路 を 切 り 開 き、いかずちの 光 のために 道 を 開 き、
26 人 なき 地 にも、人 なき 荒野 にも 雨 を 降 らせ、
27 荒 れすたれた 地 をあき 足 らせ、これに 若草 をはえさせるか。
28 雨 に 父 があるか。露 の 玉 はだれが 生 んだか。
29 氷 はだれの 胎 から 出 たか。空 の 霜 はだれが 生 んだか。
30 水 は 固 まって 石 のようになり、淵 のおもては 凍 る。
31 あなたはプレアデスの 鎖 を 結 ぶことができるか。オリオンの 綱 を 解 くことができるか。
32 あなたは十二 宮 をその 時 にしたがって 引 き 出 すことができるか。北斗 とその 子 星 を 導 くことができるか。
33 あなたは 天 の 法則 を 知 っているか、そのおきてを 地 に 施 すことができるか。
34 あなたは 声 を 雲 にあげ、多 くの 水 にあなたをおおわせることができるか。
35 あなたはいなずまをつかわして 行 かせ、『われわれはここにいる』と、あなたに 言 わせることができるか。
36 雲 に 知恵 を 置 き、霧 に 悟 りを 与 えたのはだれか。
37 だれが 知恵 をもって 雲 を 数 えることができるか。だれが 天 の 皮 袋 を 傾 けて、
38 ちりを一つに 流 れ 合 させ、土 くれを 固 まらせることができるか。
39 あなたはししのために 食物 を 狩 り、子 じしの 食欲 を 満 たすことができるか。
40 彼 らがほら 穴 に 伏 し、林 のなかに 待 ち 伏 せする 時、あなたはこの 事 をなすことができるか。
41 からすの 子 が 神 に 向 かって 呼 ばわり、食物 がなくて、さまようとき、からすにえさを 与 える 者 はだれか。
Chapter 39
1 あなたは 岩間 のやぎが 子 を 産 むときを 知 っているか。あなたは 雌 じかが 子 を 産 むのを 見 たことがあるか。
2 これらの 妊娠 の 月 を 数 えることができるか。これらが 産 む 時 を 知 っているか。
3 これらは 身 をかがめて 子 を 産 み、そのはらみ 子 を 産 みいだす。
4 その 子 は 強 くなって、野 に 育 ち、出 て 行 って、その 親 のもとに 帰 らない。
5 だれが 野 ろばを 放 って、自由 にしたか。だれが 野 ろばのつなぎを 解 いたか。
6 わたしは 荒野 をその 家 として 与 え、荒 れ 地 をそのすみかとして 与 えた。
7 これは 町 の 騒 ぎをいやしめ、御者 の 呼 ぶ 声 を 聞 きいれず、
8 山 を 牧場 としてはせまわり、もろもろの 青物 を 尋 ね 求 める。
9 野牛 は 快 くあなたに 仕 え、あなたの 飼葉 おけのかたわらにとどまるだろうか。
10 あなたは 野牛 に 手綱 をつけてうねを 歩 かせることができるか、これはあなたに 従 って 谷 を 耕 すであろうか。
11 その 力 が 強 いからとて、あなたはこれに 頼 むであろうか。またあなたの 仕事 をこれに 任 せるであろうか。
12 あなたはこれにたよって、あなたの 穀物 を 打 ち 場 に 運 び 帰 らせるであろうか。
13 だちょうは 威勢 よくその 翼 をふるう。しかしこれにはきれいな 羽 と 羽毛 があるか。
14 これはその 卵 を 土 の 中 に 捨 て 置 き、これを 砂 のなかで 暖 め、
15 足 でつぶされることも、野 の 獣 に 踏 まれることも 忘 れている。
16 これはその 子 に 無情 であって、あたかも 自分 の 子 でないようにし、その 苦労 のむなしくなるをも 恐 れない。
17 これは 神 がこれに 知恵 を 授 けず、悟 りを 与 えなかったゆえである。
18 これがその 身 を 起 して 走 る 時 には、馬 をも、その 乗 り 手 をもあざける。
19 あなたは 馬 にその 力 を 与 えることができるか。力 をもってその 首 を 装 うことができるか。
20 あなたはこれをいなごのように、とばせることができるか。その 鼻 あらしの 威力 は 恐 ろしい。
21 これは 谷 であがき、その 力 に 誇 り、みずから 出 ていって 武器 に 向 かう。
22 これは 恐 れをあざ 笑 って、驚 くことなく、つるぎをさけて 退 くことがない。
23 矢筒 はその 上 に 鳴 り、やりと 投 げやりと、あいきらめく。
24 これはたけりつ、狂 いつ、地 をひとのみにし、ラッパの 音 が 鳴 り 渡 っても、立 ちどまることがない。
25 これはラッパの 鳴 るごとにハアハアと 言 い、遠 くから 戦 いをかぎつけ、隊長 の 大声 およびときの 声 を 聞 き 知 る。
26 たかが 舞 いあがり、その 翼 をのべて 南 に 向 かうのは、あなたの 知恵 によるのか、
27 わしがかけのぼり、その 巣 を 高 い 所 につくるのは、あなたの 命令 によるのか。
28 これは 岩 の 上 にすみかを 構 え、岩 のとがり、または 険 しい 所 におり、
29 そこから 獲物 をうかがう。その 目 の 及 ぶところは 遠 い。
30 そのひなもまた 血 を 吸 う。おおよそ 殺 された 者 のある 所 には、これもそこにいる」。
Chapter 40
1 主 はまたヨブに 答 えて 言 われた、
2 「非難 する 者 が 全能者 と 争 おうとするのか、神 と 論 ずる 者 はこれに 答 えよ」。
3 そこで、ヨブは 主 に 答 えて 言 った、
4 「見 よ、わたしはまことに 卑 しい 者 です、なんとあなたに 答 えましょうか。ただ 手 を 口 に 当 てるのみです。
5 わたしはすでに一 度 言 いました、また 言 いません、すでに二 度 言 いました、重 ねて 申 しません」。
6 主 はまたつむじ 風 の 中 からヨブに 答 えられた、
7 「あなたは 腰 に 帯 して、男 らしくせよ。わたしはあなたに 尋 ねる、わたしに 答 えよ。
8 あなたはなお、わたしに 責任 を 負 わそうとするのか。あなたはわたしを 非 とし、自分 を 是 としようとするのか。
9 あなたは 神 のような 腕 を 持 っているのか、神 のような 声 でとどろきわたることができるか。
10 あなたは 威光 と 尊厳 とをもってその 身 を 飾 り、栄光 と 華麗 とをもってその 身 を 装 ってみよ。
11 あなたのあふるる 怒 りを 漏 らし、すべての 高 ぶる 者 を 見 て、これを 低 くせよ。
12 すべての 高 ぶる 者 を 見 て、これをかがませ、また 悪人 をその 所 で 踏 みつけ、
13 彼 らをともにちりの 中 にうずめ、その 顔 を 隠 れた 所 に 閉 じこめよ。
14 そうすれば、わたしもまた、あなたをほめて、あなたの 右 の 手 はあなたを 救 うことができるとしよう。
15 河馬 を 見 よ、これはあなたと 同様 にわたしが 造 ったもので、牛 のように 草 を 食 う。
16 見 よ、その 力 は 腰 にあり、その 勢 いは 腹 の 筋 にある。
17 これはその 尾 を 香柏 のように 動 かし、そのももの 筋 は 互 にからみ 合 う。
18 その 骨 は 青銅 の 管 のようで、その 肋骨 は 鉄 の 棒 のようだ。
19 これは 神 のわざの 第 一のものであって、これを 造 った 者 がこれにつるぎを 授 けた。
20 山 もこれがために 食物 をいだし、もろもろの 野 の 獣 もそこに 遊 ぶ。
21 これは 酸棗 の 木 の 下 に 伏 し、葦 の 茂 み、または 沼 に 隠 れている。
22 酸棗 の 木 はその 陰 でこれをおおい、川 の 柳 はこれをめぐり 囲 む。
23 見 よ、たとい 川 が 荒 れても、これは 驚 かない。ヨルダンがその 口 に 注 ぎかかっても、これはあわてない。
24 だれが、かぎでこれを 捕 えることができるか。だれが、わなでその 鼻 を 貫 くことができるか。
Chapter 41
1 あなたはつり 針 でわにをつり 出 すことができるか。糸 でその 舌 を 押 えることができるか。
2 あなたは 葦 のなわをその 鼻 に 通 すことができるか。つり 針 でそのあごを 突 き 通 すことができるか。
3 これはしきりに、あなたに 願 い 求 めるであろうか。柔 らかな 言葉 をあなたに 語 るであろうか。
4 これはあなたと 契約 を 結 ぶであろうか。あなたはこれを 取 って、ながくあなたのしもべとすることができるであろうか。
5 あなたは 鳥 と 戯 れるようにこれと 戯 れ、またあなたのおとめたちのために、これをつないでおくことができるであろうか。
6 商人 の 仲間 はこれを 商品 として、小売 商人 の 間 に 分 けるであろうか。
7 あなたは、もりでその 皮 を 満 たし、やすでその 頭 を 突 き 通 すことができるか。
8 あなたの 手 をこれの 上 に 置 け、あなたは 戦 いを 思 い 出 して、再 びこれをしないであろう。
9 見 よ、その 望 みはむなしくなり、これを 見 てすら 倒 れる。
10 あえてこれを 激 する 勇気 のある 者 はひとりもない。それで、だれがわたしの 前 に 立 つことができるか。
11 だれが 先 にわたしに 与 えたので、わたしはこれに 報 いるのか。天 が 下 にあるものは、ことごとくわたしのものだ。
12 わたしはこれが 全身 と、その 著 しい 力 と、その 美 しい 構造 について 黙 っていることはできない。
13 だれがその 上着 をはぐことができるか。だれがその 二重 のよろいの 間 にはいることができるか。
14 だれがその 顔 の 戸 を 開 くことができるか。そのまわりの 歯 は 恐 ろしい。
15 その 背 は 盾 の 列 でできていて、その 堅 く 閉 じたさまは 密封 したように、
16 相互 に 密接 して、風 もその 間 に、はいることができず、
17 互 に 相連 なり、固 く 着 いて 離 すことができない。
18 これが、くしゃみすれば 光 を 発 し、その 目 はあけぼののまぶたに 似 ている。
19 その 口 からは、たいまつが 燃 えいで、火花 をいだす。
20 その 鼻 の 穴 からは 煙 が 出 てきて、さながら 煮 え 立 つなべの 水煙 のごとく、燃 える 葦 の 煙 のようだ。
21 その 息 は 炭火 をおこし、その 口 からは 炎 が 出 る。
22 その 首 には 力 が 宿 っていて、恐 ろしさが、その 前 に 踊 っている。
23 その 肉片 は 密接 に 相連 なり、固 く 身 に 着 いて 動 かすことができない。
24 その 心臓 は 石 のように 堅 く、うすの 下 石 のように 堅 い。
25 その 身 を 起 すときは 勇士 も 恐 れ、その 衝撃 によってあわて 惑 う。
26 つるぎがこれを 撃 っても、きかない、やりも、矢 も、もりも 用 をなさない。
27 これは 鉄 を 見 ること、わらのように、青銅 を 見 ること 朽 ち 木 のようである。
28 弓矢 もこれを 逃が すことができない。石 投 げの 石 もこれには、わらくずとなる。
29 こん 棒 もわらくずのようにみなされ、投 げやりの 響 きを、これはあざ 笑 う。
30 その 下腹 は 鋭 いかわらのかけらのようで、麦 こき 板 のようにその 身 を 泥 の 上 に 伸 ばす。
31 これは 淵 をかなえのように 沸 きかえらせ、海 を 香油 のなべのようにする。
32 これは 自分 のあとに 光 る 道 を 残 し、淵 をしらがのように 思 わせる。
33 地 の 上 にはこれと 並 ぶものなく、これは 恐 れのない 者 に 造 られた。
34 これはすべての 高 き 者 をさげすみ、すべての 誇 り 高 ぶる 者 の 王 である」。
Chapter 42
1 そこでヨブは 主 に 答 えて 言 った、
2 「わたしは 知 ります、あなたはすべての 事 をなすことができ、またいかなるおぼしめしでも、あなたにできないことはないことを。
3 『無知 をもって 神 の 計 りごとをおおうこの 者 はだれか』。それゆえ、わたしはみずから 悟 らない 事 を 言 い、みずから 知 らない、測 り 難 い 事 を 述 べました。
4 『聞 け、わたしは 語 ろう、わたしはあなたに 尋 ねる、わたしに 答 えよ』。
5 わたしはあなたの 事 を 耳 で 聞 いていましたが、今 はわたしの 目 であなたを 拝見 いたします。
6 それでわたしはみずから 恨 み、ちり 灰 の 中 で 悔 います」。
7 主 はこれらの 言葉 をヨブに 語 られて 後、テマンびとエリパズに 言 われた、「わたしの 怒 りはあなたとあなたのふたりの 友 に 向 かって 燃 える。あなたがたが、わたしのしもべヨブのように 正 しい 事 をわたしについて 述 べなかったからである。
8 それで 今、あなたがたは 雄牛 七 頭、雄羊 七 頭 を 取 って、わたしのしもべヨブの 所 へ 行 き、あなたがたのために 燔祭 をささげよ。わたしのしもべヨブはあなたがたのために 祈 るであろう。わたしは 彼 の 祈 を 受 けいれるによって、あなたがたの 愚 かを 罰 することをしない。あなたがたはわたしのしもべヨブのように 正 しい 事 をわたしについて 述 べなかったからである」。
9 そこでテマンびとエリパズ、シュヒびとビルダデ、ナアマびとゾパルは 行 って、主 が 彼 らに 命 じられたようにしたので、主 はヨブの 祈 を 受 けいれられた。
10 ヨブがその 友人 たちのために 祈 ったとき、主 はヨブの 繁栄 をもとにかえし、そして 主 はヨブのすべての 財産 を二 倍 に 増 された。
11 そこで 彼 のすべての 兄弟、すべての 姉妹、および 彼 の 旧知 の 者 どもことごとく 彼 のもとに 来 て、彼 と 共 にその 家 で 飲 み 食 いし、かつ 主 が 彼 にくだされたすべての 災 について 彼 をいたわり、慰 め、おのおの 銀 一ケシタと 金 の 輪 一つを 彼 に 贈 った。
12 主 はヨブの 終 りを 初 めよりも 多 く 恵 まれた。彼 は 羊 一万四千 頭、らくだ六千 頭、牛 一千くびき、雌 ろば一千 頭 をもった。
13 また 彼 は 男 の 子 七 人、女 の 子 三 人 をもった。
14 彼 はその 第 一の 娘 をエミマと 名 づけ、第 二をケジアと 名 づけ、第 三をケレン・ハップクと 名 づけた。
15 全国 のうちでヨブの 娘 たちほど 美 しい 女 はなかった。父 はその 兄弟 たちと 同様 に 嗣 業 を 彼 らにも 与 えた。
16 この 後、ヨブは百四十 年 生 きながらえて、その 子 とその 孫 と四 代 までを 見 た。
17 ヨブは 年老 い、日 満 ちて 死 んだ。