Chapter 1
1 神 むかしは 預言者 等 により、多 くに 分 ち、多 くの 方法 をもて 先祖 たちに 語 り 給 ひしが、
2 この 末 の 世 には 御子 によりて、我 らに 語 り 給 へり。神 は 曾 て 御子 を 立 てて 萬 の 物 の 世嗣 となし、また 御子 によりて 諸般 の 世界 を 造 り 給 へり。
3 御子 は 神 の 榮光 のかがやき、神 の 本質 の 像 にして、己 が 權能 の 言 をもて 萬 の 物 を 保 ちたまふ。また 罪 の 潔 をなして、高 き 處 にある 稜威 の 右 に 坐 し 給 へり。
4 その 受 け 給 ひし 名 の 御使 の 名 に 勝 れるごとく、御使 よりは 更 に 勝 る 者 となり 給 へり。
5 神 は 孰 の 御使 に 曾 て 斯 くは 言 ひ 給 ひしぞ『なんぢは 我 が 子 なり、われ 今日 なんぢを 生 めり』と。また『われ 彼 の 父 となり、彼 わが 子 とならん』と。
6 また 初子 を 再 び 世 に 入 れ 給 ふとき『神 の 凡 ての 使 は 之 を 拜 すべし』と 言 ひ 給 ふ。
7 また 御使 たちに 就 きては『神 は、その 使 たちを 風 となし、その 事 ふる 者 を 焔 となす』と 言 ひ 給 ふ。
8 されど 御子 に 就 きては『神 よ、なんじの 御座 は 世々 限 りなく、汝 の 國 の 杖 は 正 しき 杖 なり。
9 なんぢは 義 を 愛 し、不法 をにくむ。この 故 に 神 なんぢの 神 は 歡喜 の 油 を、汝 の 友 に 勝 りて 汝 にそそぎ 給 へり』と。
10 また『主 よ、なんぢ 太初 に 地 の 基 を 置 きたまへり、天 も 御手 の 業 なり。
11 これらは 滅 びん、されど 汝 は 常 に 存 へたまはん。これらはみな 衣 のごとく 舊 びん。
12 而 して 汝 これらを 袍 のごとく 疊 み 給 はん、これらは 衣 のごとく 變 らん。されど 汝 はかはり 給 ふことなく 汝 の 齡 は 終 らざるなり』と 言 ひたまふ。
13 又 いづれの 御使 に 曾 て 斯 くは 言 ひ 給 ひしぞ『われ 汝 の 仇 を 汝 の 足臺 となすまでは、我 が 右 に 坐 せよ』と。
14 御使 はみな 事 へまつる 靈 にして、救 を 嗣 がんとする 者 のために 職 を 執 るべく 遣 されたる 者 にあらずや。
Chapter 2
1 この 故 に 我 ら 聞 きし 所 をいよいよ 篤 く 愼 むべし、恐 らくは 流 れ 過 ぐる 事 あらん。
2 若 し 御使 によりて 語 り 給 ひし 言 すら 堅 くせられて、咎 と 不 從順 とみな 正 しき 報 を 受 けたらんには、
3 我 ら 斯 くのごとき 大 なる 救 を 等閑 にして 爭 でか 遁 るることを 得 ん。この 救 は 初 め 主 によりて 語 り 給 ひしものにして、聞 きし 者 ども 之 を 我 らに 確 うし、
4 神 また 徴 と 不思議 とさまざまの 能力 ある 業 と、御旨 のままに 分 ち 與 ふる 聖 靈 とをもて 證 を 加 へたまへり。
5 それ 神 は 我 らの 語 るところの 來 らんとする 世界 を、御使 たちには 服 はせ 給 はざりき。
6 或 篇 に 人 證 して 言 ふ『人 は 如何 なる 者 なれば、之 を 御心 にとめ 給 ふか。人 の 子 は 如何 なる 者 なれば、之 を 顧 み 給 ふか。
7 汝 これを 御使 よりも 少 しく 卑 うし、光榮 と 尊貴 とを 冠 らせ、
8 萬 の 物 をその 足 の 下 の 服 はせ 給 へり』と。既 に 萬 の 物 を 之 に 服 はせ 給 ひたれば、服 はぬものは 一 つだに 殘 さるる 事 なし。されど 今 もなほ 我 らは 萬 の 物 の 之 に 服 ひたるを 見 ず。
9 ただ 御使 よりも 少 しく 卑 くせられしイエスの、死 の 苦難 を 受 くるによりて 榮光 と 尊貴 とを 冠 らせられ 給 へるを 見 る。これ 神 の 恩惠 によりて 萬民 のために 死 を 味 ひ 給 はんとてなり。
10 それ 多 くの 子 を 光榮 に 導 くに、その 救 の 君 を 苦難 によりて 全 うし 給 ふは、萬 の 物 の 歸 するところ、萬 の 物 を 造 りたまふ 所 の 者 に 相應 しき 事 なり。
11 潔 めたまふ 者 も、潔 めらるる 者 も、皆 ただ 一 つより 出 づ。この 故 に 彼 らを 兄弟 と 稱 ふるを 恥 とせずして 言 ひ 給 ふ、
12 『われ 御名 を 我 が 兄弟 たちに 告 げ、集會 の 中 にて 汝 を 讃 め 歌 はん』
13 また『われ 彼 に 依頼 まん』又『視 よ、我 と 神 の 我 に 賜 ひし 子 等 とは……』と。
14 子 等 はともに 血肉 を 具 ふれば、主 もまた 同 じく 之 を 具 へ 給 ひしなり。これは 死 の 權力 を 有 つもの、即 ち 惡魔 を 死 によりて 亡 し、
15 かつ 死 の 懼 によりて 生涯、奴隷 となりし 者 どもを 解放 ち 給 はんためなり。
16 實 に 主 は 御使 を 扶 けずしてアブラハムの 裔 を 扶 けたまふ。
17 この 故 に 神 の 事 につきて 憐憫 ある 忠實 なる 大 祭司 となりて、民 の 罪 を 贖 はんために、凡 ての 事 において 兄弟 の 如 くなり 給 ひしは 宜 なり。
18 主 は 自 ら 試 みられて 苦 しみ 給 ひたれば、試 みられるる 者 を 助 け 得 るなり。
Chapter 3
1 されば 共 に 天 の 召 を 蒙 れる 聖 なる 兄弟 よ、我 らが 言 ひあらはす 信仰 の 使徒 たり 大 祭司 たるイエスを 思 ひ 見 よ。
2 彼 の 己 を 立 て 給 ひし 者 に 忠實 なるは、モーセが 神 の 全家 に 忠實 なりしが 如 し。
3 家 を 造 る 者 の 家 より 勝 りて 尊 ばるる 如 く、彼 もモーセに 勝 りて 大 なる 榮光 を 受 くるに 相應 しき 者 とせられ 給 へり。
4 家 は 凡 て 之 を 造 る 者 あり、萬 の 物 を 造 り 給 ひし 者 は 神 なり。
5 モーセは 後 に 語 り 傳 へられんと 爲 ることの 證 をせんために、僕 として 神 の 全家 に 忠實 なりしが、
6 キリストは 子 として 神 の 家 を 忠實 に 掌 どり 給 へり。我等 もし 確信 と 希望 の 誇 とを 終 まで 堅 く 保 たば、神 の 家 なり。
7 この 故 に 聖 靈 の 言 ひ 給 ふごとく『今日 なんぢら 神 の 聲 を 聞 かば、
8 その 怒 を 惹 きし 時 のごとく、荒野 の 嘗試 の 日 のごとく、こころを 頑固 にするなかれ。
9 彼處 にて 汝 らの 先祖 たちは 我 をこころみて 驗 し、かつ 四十 年 の 間 わが 業 を 見 たり。
10 この 故 に 我 この 代 の 人 を 憤 ほりて 云 へり、「彼 らは 常 に 心 まよい、わが 途 を 知 らざりき」と。
11 われ 怒 をもて「彼 らは、我 が 休 に 入 るべからず」と 誓 へり』
12 兄弟 よ、心 せよ、恐 らくは 汝 等 のうち 活 ける 神 を 離 れんとする 不 信仰 の 惡 しき 心 を 懷 く 者 あらん。
13 汝 等 のうち 誰 も 罪 の 誘惑 によりて 頑固 にならぬやう、今日 と 稱 ふる 間 に 日々 互 に 相 勸 めよ。
14 もし 始 の 確信 を 終 まで 堅 く 保 たば、我 らはキリストに 與 る 者 となるなり。
15 それ『今日 なんじら 神 の 聲 を 聞 かば、その 怒 を 惹 きし 時 のごとく、こころを 頑固 にするなかれ』と 云 へ。
16 然 れば 聞 きてなほ 怒 を 惹 きし 者 は 誰 なるか、モーセによりてエジプトを 出 でし 凡 ての 人 にあらずや。
17 また 四十 年 のあひだ、神 は 誰 に 對 して 憤 ほり 給 ひしか、罪 を 犯 してその 死屍 を 荒野 に 横 たへし 人々 にあらずや。
18 又 かれらは 我 が 安息 に 入 るべからずとは、誰 に 對 して 誓 ひ 給 ひしか、不 從順 なる 者 にあらずや。
19 之 によりて 見 れば、彼 らの 入 ること 能 はざりしは、不 信仰 によりてなり。
Chapter 4
1 然 れば 我 ら 懼 るべし、その 安息 に 入 るべき 約束 はなほ 遺 れども、恐 らくは 汝 らの 中 これに 達 せざる 者 あらん。
2 それは 彼 らのごとく 我 らも 善 き 音信 を 傳 へられたり、然 れど 彼 らには 聞 きし 所 の 言 益 なかりき。聞 くもの 之 に 信仰 をまじへざりしに 因 る。
3 われら 信 じたる 者 は、かの 休 に 入 ることを 得 るなり。『われ 怒 をもて「彼 らは、わが 休 に 入 るべからず」と 誓 へり』と 云 ひ 給 ひしが 如 し。されど 世 の 創 より 御業 は 既 に 成 れるなり。
4 或 篇 に 七日 めに 就 きて 斯 く 云 へり『七日 めに 神 その 凡 ての 業 を 休 みたまへり』と。
5 また 茲 に『かれらは、我 が 休 に 入 るべからず』と 云 へり。
6 然 れば 之 に 入 るべき 者 なほ 在 り、曩 に 善 き 音信 を 傳 へられし 者 らは、不 從順 によりて 入 ることを 得 ざりしなれば、
7 久 しきを 經 てのち 復、日 を 定 めダビデによりて『今日』と 言 ひ 給 ふ。曩 に 記 したるが 如 し。曰 く『今日 なんじら 神 の 聲 を 聞 かば、こころを 頑固 にするなかれ』
8 若 しヨシュア 既 に 休 を 彼 らに 得 しめしならば、神 はその 後、ほかの 日 につきて 語 り 給 はざりしならん。
9 然 れば 神 の 民 の 爲 になほ 安息 は 遺 れり。
10 既 に 神 の 休 に 入 りたる 者 は、神 のその 業 を 休 み 給 ひしごとく、己 が 業 を 休 めり。
11 されば 我等 はこの 休 に 入 らんことを 務 むべし、是 かの 不 從順 の 例 にならひて 誰 も 墮 つることなからん 爲 なり。
12 神 の 言 は 生命 あり、能力 あり、兩刃 の 劍 よりも 利 くして、精神 と 靈魂、關節 と 骨髓 を 透 して 之 を 割 ち、心 の 念 と 志望 とを 驗 すなり。
13 また 造 られたる 物 に 一 つとして 神 の 前 に 顯 れぬはなし、萬 の 物 は 我 らが 係 れる 神 の 目 のまへに 裸 にて 露 るるなり。
14 我等 には、もろもろの 天 を 通 り 給 ひし 偉 なる 大 祭司、神 の 子 イエスあり。然 れば 我 らが 言 ひあらはす 信仰 を 堅 く 保 つべし。
15 我 らの 大 祭司 は 我 らの 弱 を 思 ひ 遣 ること 能 はぬ 者 にあらず、罪 を 外 にして 凡 ての 事、われらと 等 しく 試 みられ 給 へり。
16 この 故 に 我 らは 憐憫 を 受 けんが 爲、また 機 に 合 ふ 助 となる 惠 を 得 んがために、憚 らずして 惠 の 御座 に 來 るべし。
Chapter 5
1 凡 そ 大 祭司 は 人 の 中 より 選 ばれ、罪 のために 供物 と 犧牲 とを 献 げんとて、人 にかはりて 神 に 事 ふることを 任 ぜらる。
2 彼 は 自 らも 弱 に 纒 はるるが 故 に、無知 なるもの、迷 へる 者 を 思 ひ 遣 ることを 得 るなり。
3 之 によりて 民 のために 爲 すごとく、また 己 のためにも 罪 に 就 きて 献物 をなさざるべからず。
4 又 この 貴 き 位 はアロンのごとく 神 に 召 さるるにあらずば、誰 も 自 ら 之 を 取 る 者 なし。
5 斯 くの 如 くキリストも 己 を 崇 めて 自 ら 大 祭司 となり 給 はず。之 に 向 ひて『なんじは 我 が 子 なり、われ 今日 なんじを 生 めり』と 語 り 給 ひし 者、これを 立 てたり。
6 また 他 の 篇 に『なんじは 永遠 にメルキゼデクの 位 に 等 しき 祭司 たり』と 言 ひ 給 へるが 如 し。
7 キリストは 肉體 にて 在 ししとき、大 なる 叫 と 涙 とをもて、己 を 死 より 救 ひ 得 る 者 に 祈 と 願 とを 献 げ、その 恭敬 によりて 聽 かれ 給 へり。
8 彼 は 御子 なれど、受 けし 所 の 苦難 によりて 從順 を 學 び、
9 かつ 全 うせられたれば、凡 て 己 に 順 ふ 者 のために 永遠 の 救 の 原 となりて、
10 神 よりメルキゼデクの 位 に 等 しき 大 祭司 と 稱 へられ 給 へり。
11 之 に 就 きて 我 ら 多 くの 言 ふべき 事 あれど、汝 ら 聞 くに 鈍 くなりたれば 釋 き 難 し。
12 なんじら 時 を 經 ること 久 しければ、教師 となるべき 者 なるに、今 また 神 の 言 の 初歩 を 人 より 教 へられざるを 得 ず、汝 らは 堅 き 食物 ならで 乳 を 要 する 者 となれり。
13 おほよそ 乳 を 用 ふる 者 は 幼兒 なれば、未 だ 義 の 言 に 熟 せず、
14 堅 き 食物 は 智力 を 練習 して 善惡 を 辨 ふる 成人 の 用 ふるものなり。
Chapter 6
1 この 故 に 我 らはキリストの 教 の 初歩 に 止 ることなく、再 び 死 にたる 行爲 の 悔改 と 神 に 對 する 信仰 との 基、
2 また 各樣 のバプテスマと 按手 と、死人 の 復活 と 永遠 の 審判 との 教 の 基 を 置 かずして 完全 に 進 むべし。
3 神 もし 許 し 給 はば、我 ら 之 をなさん。
4 一 たび 照 されて 天 よりの 賜物 を 味 ひ、聖 靈 に 與 る 者 となり、
5 神 の 善 き 言 と 來世 の 能力 とを 味 ひて 後、
6 墮落 する 者 は 更 にまた 自 ら 神 の 子 を 十字架 に 釘 けて 肆 し 者 とする 故 に、再 びこれを 悔改 に 立返 らすること 能 はざるなり。
7 それ 地 しばしば 其 の 上 に 降 る 雨 を 吸 ひ 入 れて 耕 す 者 の 益 となるべき 作物 を 生 ぜば、神 より 祝福 を 受 く。
8 されど 茨 と 薊 とを 生 ぜば、棄 てられ、かつ 詛 に 近 く、その 果 ては 焚 かるるなり。
9 愛 する 者 よ、われら 斯 くは 語 れど、汝 らには 更 に 善 きこと、即 ち 救 にかかはる 事 あるを 深 く 信 ず。
10 神 は 不義 に 在 さねば、汝 らの 勤勞 と、前 に 聖徒 につかへ、今 もなほ 之 に 事 へて 御名 のために 顯 したる 愛 とを 忘 れ 給 ふことなし。
11 我 らは 汝 等 がおのおの 終 まで 前 と 同 じ 勵 をあらはして 全 き 望 を 保 ち、
12 怠 ることなく、信仰 と 耐忍 とをもて 約束 を 嗣 ぐ 人々 に 效 はんことを 求 む。
13 それ 神 はアブラハムに 約 し 給 ふとき、指 して 誓 ふべき 己 より 大 なる 者 なき 故 に、己 を 指 して 誓 ひて 言 ひ 給 へり、
14 『われ 必 ず、なんぢを 惠 み 惠 まん、なんぢを 殖 し 殖 さん』と、
15 斯 くの 如 くアブラハムは 耐 へ 忍 びて 約束 のものを 得 たり。
16 おほよそ 人 は 己 より 大 なる 者 を 指 して 誓 ふ、その 誓 はすべての 爭論 を 罷 むる 保證 たり。
17 この 故 に 神 は 約束 を 嗣 ぐ 者 に 御旨 の 變 らぬことを 充分 に 示 さんと 欲 して 誓 を 加 へ 給 へり。
18 これ 神 の 謊 ること 能 はぬ 二 つの 變 らぬものによりて、己 の 前 に 置 かれたる 希望 を 捉 へんとて 遁 れたる 我 らに 強 き 奨勵 を 與 へん 爲 なり。
19 この 希望 は 我 らの 靈魂 の 錨 のごとく 安全 にして 動 かず、かつ 幔 の 内 に 入 る。
20 イエス 我等 のために 前驅 し、永遠 にメルキゼデクの 位 に 等 しき 大 祭司 となりて、その 處 に 入 り 給 へり。
Chapter 7
1 此 のメルキゼデクはサレムの 王 にて 至高 き 神 の 祭司 たりしが、王 たちを 破 りて 還 るアブラハムを 迎 へて 祝福 せり。
2 アブラハムは 彼 に 凡 ての 物 の 十分 の 一 を 分 け 與 へたり。その 名 を 釋 けば 第一 に 義 の 王、次 にサレムの 王、すなはち 平和 の 王 なり。
3 父 なく、母 なく、系圖 なく、齡 の 始 なく、生命 の 終 なく、神 の 子 の 如 くにして 限 りなく 祭司 たり。
4 先祖 アブラハム 分捕物 のうち 十分 の 一、最 も 善 き 物 を 之 に 與 へたれば、その 人 の 如何 に 尊 きかを 思 ふべし。
5 レビの 子 等 のうち 祭司 の 職 を 受 くる 者 は、律法 によりて、民 すなはちアブラハムの 腰 より 出 でたる 己 が 兄弟 より、十分 の 一 を 取 ることを 命 ぜらる。
6 されど 此 の 血脈 にあらぬ 彼 は、アブラハムより 十分 の 一 を 取 りて 約束 を 受 けし 者 を 祝福 せり。
7 それ 小 なる 者 の 大 なる 者 に 祝福 せらるるは 論 なき 事 なり。
8 かつ 此所 にては 死 ぬべき 者 十分 の 一 を 受 くれども、彼處 にては『活 くるなり』と 證 せられた 者 これを 受 く。
9 また 十分 の 一 を 受 くるレビすら、アブラハムに 由 りて 十分 の 一 を 納 めたりと 云 ふも 可 なり。
10 そはメルキゼデクのアブラハムを 迎 へし 時 に、レビはなほ 父 の 腰 に 在 りたればなり。
11 もしレビの 系 なる 祭司 によりて 全 うせらるる 事 ありしならば(民 は 之 によりて 律法 を 受 けたり)何 ぞなほ 他 にアロンの 位 に 等 しからぬメルキゼデクの 位 に 等 しき 祭司 の 起 る 必要 あらんや。
12 祭司 の 易 る 時 には 律法 も 亦 必 ず 易 るべきなり。
13 此 等 のことは 曾 て 祭壇 に 事 へたることなき 他 の 族 に 屬 する 者 をさして 云 へるなり。
14 それ 我 らの 主 のユダより 出 で 給 へるは 明 かにして、此 の 族 につき、モーセは 聊 かも 祭司 に 係 ることを 云 はざりき。
15 又 メルキゼデクのごとき 他 の 祭司 おこり、肉 の 誡命 の 法 に 由 らず、朽 ちざる 生命 の 能力 によりて 立 てられたれば、我 が 言 ふ 所 いよいよ 明 かなり。
16 又 メルキゼデクのごとき 他 の 祭司 おこり、肉 の 誡命 の 法 に 由 らず、朽 ちざる 生命 の 能力 によりて 立 てられたれば、我 が 言 ふ 所 いよいよ 明 かなり。
17 そは『なんぢは 永遠 にメルキゼデクの 位 に 等 しき 祭司 たり』と 證 せられ 給 へばなり。
18 前 の 誡命 は 弱 く、かつ 益 なき 故 に 廢 せられ、
19 (律法 は 何 をも 全 うせざりしなり)更 に 優 れたる 希望 を 置 かれたり、この 希望 によりて 我 らは 神 に 近 づくなり。
20 かの 人々 は 誓 なくして 祭司 とせられたれども、
21 彼 は 誓 なくしては 爲 られず、誓 をもて 祭司 とせられ 給 へり。即 ち 彼 に 就 きて『主 ちかひて 悔 い 給 はず、「なんじは 永遠 に 祭司 たり」』と 言 ひ 給 ひしが 如 し。
22 イエスは 斯 くも 優 れたる 契約 の 保證 となり 給 へり。
23 かの 人々 は 死 によりて 永 くその 職 に 留 ることを 得 ざる 故 に、祭司 となりし 者 の 數 多 かりき。
24 されど 彼 は 永遠 に 在 せば 易 ることなき 祭司 の 職 を 保 ちたまふ。
25 この 故 に 彼 は 己 に 頼 りて 神 にきたる 者 のために 執成 をなさんとて 常 に 生 くれば、之 を 全 く 救 ふこと 得給 ふなり。
26 斯 くのごとき 大 祭司 こそ 我 らに 相應 しき 者 なれ、即 ち 聖 にして 惡 なく、穢 なく、罪人 より 遠 ざかり、諸般 の 天 よりも 高 くせられ 給 へり。
27 他 の 大 祭司 のごとく 先 づ 己 の 罪 のため、次 に 民 の 罪 のために 日々 犧牲 を 献 ぐるを 要 し 給 はず、その 一 たび 己 を 献 げて 之 を 成 し 給 ひたればなり。
28 律法 は 弱 みある 人々 を 立 てて 大 祭司 とすれども、律法 の 後 なる 誓 の 御言 は、永遠 に 全 うせられ 給 へる 御子 を 大 祭司 となせり。
Chapter 8
1 今 いふ 所 の 要點 は 斯 くのごとき 大 祭司 の 我 らにある 事 なり。彼 は 天 にては 稜威 の 御座 の 右 に 坐 し、
2 聖所 および 眞 の 幕屋 に 事 へたまふ。この 幕屋 は 人 の 設 くるものにあらず、主 の 設 けたまふ 所 なり。
3 おおよそ 大 祭司 の 立 てらるるは 供物 と 犧牲 とを 献 げん 爲 なり、この 故 に 彼 もまた 献 ぐべき 物 あるべきなり。
4 然 るに 若 し 地 に 在 さば、既 に 律法 に 循 ひて 供物 を 献 ぐる 祭司 等 あるによりて 祭司 とはなり 給 はざるべし。
5 彼 らの 事 ふるは、天 にある 物 の 型 と 影 となり。モーセが 幕屋 を 建 てんとする 時 に『愼 め、山 にて 汝 が 示 されたる 式 に 效 ひて 凡 ての 物 を 造 れ』との 御告 を 受 けしが 如 し。
6 されどキリストは 更 に 勝 れる 約束 に 基 きて 立 てられし 勝 れる 契約 の 中保 となりたれば、更 に 勝 る 職 を 受 け 給 へり。
7 かつ 初 の 契約 もし 虧 くる 所 なくば、第二 の 契約 を 求 むる 事 なかりしならん。
8 然 るに 彼 らを 咎 めて 言 ひ 給 ふ『主 いひ 給 ふ「視 よ、我 イスラエルの 家 とユダの 家 とに、新 しき 契約 を 設 くる 日 來 らん。
9 この 契約 は 我 かれらの 先祖 の 手 を 執 りて、エジプトの 地 より 導 き 出 しし 時 に 立 てし 所 の 如 きにあらず、彼 らは 我 が 契約 にとどまらず、我 も 彼 らを 顧 みざりしなり」と 主 いひ 給 ふ。
10 「されば、かの 日 の 後 に 我 がイスラエルの 家 と 立 つる 契約 は 是 なり」と 主 いひ 給 ふ。「われ 我 が 律法 を 彼 らの 念 に 置 き、そのこころに 之 を 記 さん、また 我 かれらの 神 となり、彼 らは 我 が 民 とならん。
11 彼 らはまた 各人 その 國人 に、その 兄弟 に 教 へて、なんじ 主 を 知 れと 言 はざるべし。そは 小 より 大 に 至 るまで、皆 われを 知 らん。
12 我 もその 不義 を 憐 み、この 後 また 其 の 罪 を 思 ひ 出 でざるべし』と。
13 既 に『新 し』と 言 ひ 給 へば、初 のものを 舊 しとし 給 へるなり、舊 びて 衰 ふるものは、消失 せんとするなり。
Chapter 9
1 初 の 契約 には 禮拜 の 定 と 世 に 屬 する 聖所 とありき。
2 設 けられたる 幕屋 あり、前 なるを 聖所 と 稱 へ、その 中 に 燈臺 と 案 と 供 のパンとあり。
3 また 第二 の 幕 の 後 に 至 聖所 と 稱 ふる 幕屋 あり。
4 その 中 に 金 の 香壇 と 金 にて 徧 く 覆 ひたる 契約 の 櫃 とあり、この 中 にマナを 納 れたる 金 の 壺 と 芽 したるアロンの 杖 と 契約 の 石碑 とあり、
5 櫃 の 上 に 榮光 のケルビムありて 贖罪所 を 覆 ふ。これらの 物 に 就 きては、今 一々 言 ふこと 能 はず、
6 此 等 のもの 斯 く 備 りたれば、祭司 たちは 常 に 前 なる 幕屋 に 入 りて 禮拜 をおこなふ。
7 されど 奧 なる 幕屋 には、大 祭司 のみ 年 に 一度 おのれと 民 との 過失 のために 献 ぐる 血 を 携 へて 入 るなり。
8 之 によりて 聖 靈 は 前 なる 幕屋 のなほ 存 するあひだ、至 聖所 に 入 る 道 の 未 だ 顯 れざるを 示 し 給 ふ。
9 この 幕屋 はその 時 のために 設 けられたる 比喩 なり、之 に 循 ひて 献 げたる 供物 と 犧牲 とは、禮拜 をなす 者 の 良心 を 全 うすること 能 はざりき。
10 此 等 はただ 食物・飮物 さまざまの 濯事 などに 係 り、肉 に 屬 する 定 にして、改革 の 時 まで 負 せられたるのみ。
11 然 れどキリストは 來 らんとする 善 き 事 の 大 祭司 として 來 り、手 にて 造 らぬ 此 の 世 に 屬 せぬ 更 に 大 なる 全 き 幕屋 を 經 て、
12 山羊 と 犢 との 血 を 用 ひず、己 が 血 をもて 只 一 たび 至 聖所 に 入 りて、永遠 の 贖罪 を 終 へたまへり。
13 もし 山羊 および 牡牛 の 血、牝牛 の 灰 などを 穢 れし 者 にそそぎて 其 の 肉體 を 潔 むることを 得 ば、
14 まして 永遠 の 御靈 により 瑕 なくして 己 を 神 に 献 げ 給 ひしキリストの 血 は、我 らの 良心 を 死 にたる 行爲 より 潔 めて 活 ける 神 に 事 へしめざらんや。
15 この 故 に 彼 は 新 しき 契約 の 中保 なり。これ 初 の 契約 の 下 に 犯 したる 咎 を 贖 ふべき 死 あるによりて、召 されたる 者 に 約束 の 永遠 の 嗣業 を 受 けさせん 爲 なり。
16 それ 遺言 は 必 ず 遺言 者 の 死 を 要 す。
17 遺言 は 遺言 者 死 にてのち 始 めて 效 あり、遺言 者 の 生 くる 間 は 效 なきなり。
18 この 故 に 初 の 契約 も 血 なくして 立 てしにあらず。
19 モーセ 律法 に 循 ひて 諸般 の 誡命 をすべての 民 に 告 げてのち、犢 と 山羊 との 血 また 水 と 緋色 の 毛 とヒソプとをとりて、書 および 凡 ての 民 にそそぎて 言 ふ、
20 『これ 神 の 汝 らに 命 じたまふ 契約 の 血 なり』と。
21 また 同 じく 幕屋 と 祭 のすべての 器 とに 血 をそそげり。
22 おほよそ 律法 によれば、萬 のもの 血 をもて 潔 めらる。もし 血 を 流 すことなくば、赦 さるることなし。
23 この 故 に 天 に 在 るものに 象 りたる 物 は 此 等 にて 潔 められ、天 にある 物 は 此 等 に 勝 りたる 犧牲 をもて 潔 めらるべきなり。
24 キリストは 眞 のものに 象 れる、手 にて 造 りたる 聖所 に 入 らず、眞 の 天 に 入 りて 今 より 我等 のために 神 の 前 にあらはれ 給 ふ。
25 これ 大 祭司 が 年 ごとに 他 の 物 の 血 をもて 聖所 に 入 るごとく、屡次 おのれを 献 ぐる 爲 にあらず。
26 もし 然 らずば 世 の 創 より 以來 しばしば 苦難 を 受 け 給 ふべきなり。然 れど 今、世 の 季 にいたり 己 を 犧牲 となして 罪 を 除 かんために 一 たび 現 れたまへり。
27 一 たび 死 ぬることと 死 にてのち 審判 を 受 くることとの 人 に 定 りたる 如 く、
28 キリストも 亦 おほくの 人 の 罪 を 負 はんが 爲 に 一 たび 献 げられ、復 罪 を 負 ふことなく、己 を 待 望 む 者 に 再 び 現 れて 救 を 得 させ 給 ふべし。
Chapter 10
1 それ 律法 は 來 らんとする 善 き 事 の 影 にして 眞 の 形 にあらねば、年毎 にたえず 献 ぐる 同 じ 犧牲 にて、神 にきたる 者 を 何時 までも 全 うすることを 得 ざるなり。
2 もし 之 を 得 ば、禮拜 をなす 者、一 たび 潔 められて 復 心 に 罪 を 憶 えねば、献 ぐることを 止 めしならん。
3 然 れど 犧牲 によりて、年 ごとに 罪 を 憶 ゆるなり。
4 これ 牡牛 と 山羊 との 血 は 罪 を 除 くこと 能 はざるに 因 る。
5 この 故 にキリスト 世 に 來 るとき 言 ひ 給 ふ『なんぢ 犧牲 と 供物 とを 欲 せず、唯 わが 爲 に 體 を 備 へたまへり。
6 なんぢ 燔祭 と 罪祭 とを 悦 び 給 はず、
7 その 時 われ 言 ふ「神 よ、我 なんぢの 御意 を 行 はんとて 來 る」我 につきて 書 の 卷 に 録 されたるが 如 し』と。
8 先 には『汝 いけにへと 供物 と 燔祭 と 罪祭 と(即 ち 律法 に 循 ひて 献 ぐる 物)を 欲 せず、また 悦 ばず』と 言 ひ、
9 後 に『視 よ、我 なんぢの 御意 を 行 はんとて 來 る』と 言 ひ 給 へり。その 後 なる 者 を 立 てん 爲 に、その 先 なる 者 を 除 き 給 ふなり。
10 この 御意 に 適 ひてイエス・キリストの 體 の 一 たび 献 げられしに 由 りて 我 らは 潔 められたり。
11 すべての 祭司 は 日毎 に 立 ちて 事 へ、いつまでも 罪 を 除 くこと 能 はぬ 同 じ 犧牲 をしばしば 献 ぐ。
12 然 れどキリストは 罪 のために 一 つの 犧牲 を 献 げて 限 りなく 神 の 右 に 坐 し、
13 斯 くて 己 が 仇 の 己 が 足臺 とせられん 時 を 待 ちたまふ。
14 そは 潔 めらるる 者 を 一 つの 供物 にて 限 りなく 全 うし 給 ふなり。
15 聖 靈 も 亦 われらに 之 を 證 して
16 『「この 日 の 後、われ 彼 らと 立 つる 契約 は 是 なり」と 主 いひ 給 ふ。また「わが 律法 をその 心 に 置 き、その 念 に 銘 さん」』と 言 ひ 給 ひて、
17 『この 後 また 彼 らの 罪 と 不法 とを 思 ひ 出 でざるべし』と 言 ひたまふ。
18 かかる 赦 ある 上 は、もはや 罪 のために 献物 をなす 要 なし。
19 然 れば 兄弟 よ、我 らイエスの 血 により、
20 その 肉體 たる 幔 を 經 て 我 らに 開 き 給 へる 新 しき 活 ける 路 より 憚 らずして 至 聖所 に 入 ることを 得、
21 かつ 神 の 家 を 治 むる 大 なる 祭司 を 得 たれば、
22 心 は 濯 がれて 良心 の 咎 をさり、身 は 清 き 水 にて 洗 はれ、眞 の 心 と 全 き 信仰 とをもて 神 に 近 づくべし。
23 また 約束 し 給 ひし 者 は 忠實 なれば、我 ら 言 ひあらはす 所 の 望 を 動 かさずして 堅 く 守 り、
24 互 に 相 顧 み、愛 と 善 き 業 とを 勵 まし、
25 集會 をやむる 或 人 の 習慣 の 如 くせず、互 に 勸 め 合 ひ、かの 日 のいよいよ 近 づくを 見 て、ますます 斯 くの 如 くすべし。
26 我等 もし 眞理 を 知 る 知識 をうけたる 後、ことさらに 罪 を 犯 して 止 めずば、罪 のために 犧牲、もはや 無 し。
27 ただ 畏 れつつ 審判 を 待 つことと、逆 ふ 者 を 焚 きつくす 烈 しき 火 とのみ 遺 るなり。
28 モーセの 律法 を 蔑 する 者 は 慈悲 を 受 くることなく、二三人 の 證人 によりて 死 に 至 る。
29 まして 神 の 子 を 蹈 みつけ、己 が 潔 められし 契約 の 血 を 潔 からずとなし、恩惠 の 御靈 を 侮 る 者 の 受 くべき 罰 の 重 きこと 如何許 とおもふか。
30 『仇 を 復 すは 我 に 在 り、われ 之 を 報 いん』と 言 ひ、また『主 その 民 を 審 かん』と 言 ひ 給 ひし 者 を 我 らは 知 るなり。
31 活 ける 神 の 御手 に 陷 るは 畏 るべきかな。
32 なんぢら 御光 を 受 けしのち 苦難 の 大 なる 戰鬪 に 耐 へし 前 の 日 を 思 ひ 出 でよ。
33 或 は 誹謗 と 患難 とに 遭 ひて 觀物 にせられ、或 は 斯 かることに 遭 ふ 人 の 友 となれり。
34 また 囚人 となれる 者 を 思 ひやり、永 く 存 する 尤 も 勝 れる 所有 の 己 にあるを 知 りて、我 が 所有 を 奪 はるるをも 喜 びて 忍 びたり。
35 されば 大 なる 報 を 受 くべき 汝 らの 確信 を 投 げすつな。
36 なんぢら 神 の 御意 を 行 ひて 約束 のものを 受 けん 爲 に 必要 なるは 忍耐 なり。
37 『いま 暫 くせば、來 るべき 者 きたらん、遲 からじ。
38 我 に 屬 ける 義人 は、信仰 によりて 活 くべし。もし 退 かば、わが 心 これを 喜 ばじ』
39 然 れど 我 らは 退 きて 滅亡 に 至 る 者 にあらず、靈魂 を 得 るに 至 る 信仰 を 保 つ 者 なり。
Chapter 11
1 それ 信仰 は 望 むところを 確信 し、見 ぬ 物 を 眞實 とするなり。
2 古 への 人 は 之 によりて 證 せられたり。
3 信仰 によりて 我等 は、もろもろの 世界 の 神 の 言 にて 造 られ、見 ゆる 物 の 顯 るる 物 より 成 らざるを 悟 る。
4 信仰 に 由 りてアベルはカインよりも 勝 れる 犧牲 を 神 に 献 げ、之 によりて 正 しと 證 せられたり。神 その 供物 につきて 證 し 給 へばなり。彼 は 死 ぬれども、信仰 によりて 今 なほ 語 る。
5 信仰 に 由 りてエノクは 死 を 見 ぬように 移 されたり。神 これを 移 し 給 ひたれば 見出 されざりき。その 移 さるる 前 に 神 に 喜 ばるることを 證 せられたり。
6 信仰 なくしては 神 に 悦 ばるること 能 はず、そは 神 に 來 る 者 は、神 の 在 すことと 神 の 己 を 求 むる 者 に 報 い 給 ふこととを、必 ず 信 ずべければなり。
7 信仰 に 由 りてノアは、未 だ 見 ざる 事 につきて 御告 を 蒙 り、畏 みてその 家 の 者 を 救 はん 爲 に 方舟 を 造 り、かつ 之 によりて 世 の 罪 を 定 め、また 信仰 に 由 る 義 の 世嗣 となれり。
8 信仰 に 由 りてアブラハムは 召 されしとき 嗣業 として 受 くべき 地 に 出 で 往 けとの 命 に 遵 ひ、その 往 く 所 を 知 らずして 出 で 往 けり。
9 信仰 により 異國 に 在 るごとく 約束 の 地 に 寓 り、同 じ 約束 を 嗣 ぐべきイサクとヤコブと 共 に 幕屋 に 住 めり、
10 これ 神 の 營 み 造 りたまふ 基礎 ある 都 を 望 めばなり。
11 信仰 に 由 りてサラも 約束 したまふ 者 の 忠實 なるを 思 ひし 故 に、年 邁 ぎたれど 胤 をやどす 力 を 受 けたり。
12 この 故 に 死 にたる 者 のごとき 一人 より 天 の 星 のごとく、また 海邊 の 數 へがたき 砂 のごとく 夥多 しく 生 れ 出 でたり。
13 彼 等 はみな 信仰 を 懷 きて 死 にたり、未 だ 約束 の 物 を 受 けざりしが、遙 にこれを 見 て 迎 へ、地 にては 旅人 また 寓 れる 者 なるを 言 ひあらはせり。
14 斯 く 言 ふは、己 が 故郷 を 求 むることを 表 すなり。
15 若 しその 出 でし 處 を 念 はば、歸 るべき 機 ありしなるべし。
16 されど 彼 らの 慕 ふ 所 は 天 にある 更 に 勝 りたる 所 なり。この 故 に 神 は 彼 らの 神 と 稱 へらるるを 恥 とし 給 はず、そは 彼 等 のために 都 を 備 へ 給 へばなり。
17 信仰 に 由 りてアブラハムは 試 みられし 時 イサクを 献 げたり、彼 は 約束 を 喜 び 受 けし 者 なるに、その 獨子 を 献 げたり。
18 彼 に 對 しては『イサクより 出 づる 者 なんぢの 裔 と 稱 へらるべし』と 云 ひ 給 ひしなり。
19 かれ 思 へらく、神 は 死人 の 中 より 之 を 甦 へらすることを 得給 ふと、乃 ち 死 より 之 を 受 けしが 如 くなりき。
20 信仰 に 由 りてイサクは 來 らんとする 事 につきヤコブとエサウとを 祝福 せり。
21 信仰 に 由 りてヤコブは 死 ぬる 時 ヨセフの 子 等 をおのおの 祝福 し、その 杖 の 頭 によりて 禮拜 せり。
22 信仰 に 由 りてヨセフは 生命 の 終 らんとする 時、イスラエルの 子 らの 出 で 立 つことに 就 きて 語 り、又 おのが 骨 のことを 命 じたり。
23 信仰 に 由 りて 兩親 はモーセの 生 れたる 時、その 美 しき 子 なるを 見 て、王 の 命 をも 畏 れずして 三月 の 間 これを 匿 したり。
24 信仰 に 由 りてモーセは 人 と 成 りしときパロの 女 の 子 と 稱 へらるるを 否 み、
25 罪 のはかなき 歡樂 を 受 けんよりは、寧 ろ 神 の 民 とともに 苦 しまんことを 善 しとし、
26 キリストに 因 る 謗 はエジプトの 財寶 にまさる 大 なる 富 と 思 へり、これ 報 を 望 めばなり。
27 信仰 に 由 りて 彼 は 王 の 憤恚 を 畏 れずしてエジプトを 去 れり。これ 見 えざる 者 を 見 るがごとく 耐 ふる 事 をすればなり。
28 信仰 に 由 りて 彼 は 過越 と 血 を 灑 ぐこととを 行 へり、これ 初子 を 滅 す 者 の 彼 らに 觸 れざらん 爲 なり。
29 信仰 に 由 りてイスラエル 人 は 紅海 を 乾 ける 地 のごとく 渡 りしが、エジプト 人 は 然 せんと 試 みて 溺 れ 死 にたり。
30 信仰 に 由 りて 七日 のあいだ 廻 りたればエリコの 石垣 は 崩 れたり。
31 信仰 に 由 りて 遊女 ラハブは 平和 をもて 間者 を 接 けたれば、不 從順 の 者 とともに 亡 びざりき。
32 この 外 なにを 言 ふべきか、ギデオン、バラク、サムソン、エフタ、またダビデ、サムエル 及 び 預言者 たちに 就 きて 語 らば、時 足 らざるべし。
33 彼 らは 信仰 によりて 國々 を 服 へ、義 をおこなひ、約束 のものを 得、獅子 の 口 をふさぎ、
34 火 の 勢力 を 消 し、劍 の 刃 をのがれ、弱 よりして 強 くせられ、戰爭 に 勇 ましくなり、異國人 の 軍勢 を 退 かせたり。
35 女 は 死 にたる 者 の 復活 を 得、ある 人 は 更 に 勝 りたる 復活 を 得 んために、免 さるることを 願 はずして 極刑 を 甘 んじたり。
36 その 他 の 者 は 嘲笑 と 鞭 と、また 縲絏 と 牢獄 との 試錬 を 受 け、
37 或 者 は 石 にて 撃 たれ、試 みられ、鐵鋸 にて 挽 かれ、劍 にて 殺 され、羊・山羊 の 皮 を 纏 ひて 經 あるき、乏 しくなり、惱 され、苦 しめられ、
38 (世 は 彼 らを 置 くに 堪 へず)荒野 と 山 と 洞 と 地 の 穴 とに 徨 へり。
39 彼 等 はみな 信仰 に 由 りて 證 せられたれども 約束 のものを 得 ざりき。
40 これ 神 は 我 らの 爲 に 勝 りたるものを 備 へ 給 ひし 故 に、彼 らも 我 らと 偕 ならざれば、全 うせらるる 事 なきなり。
Chapter 12
1 この 故 に 我 らは 斯 く 多 くの 證人 に 雲 のごとく 圍 まれたれば、凡 ての 重荷 と 纏 へる 罪 とを 除 け、忍耐 をもて 我 らの 前 に 置 かれたる 馳場 をはしり、
2 信仰 の 導師 また 之 を 全 うする 者 なるイエスを 仰 ぎ 見 るべし。彼 はその 前 に 置 かれたる 歡喜 のために、恥 をも 厭 はずして 十字架 をしのび、遂 に 神 の 御座 の 右 に 坐 し 給 へり。
3 なんじら 倦 み 疲 れて 心 を 喪 ふこと 莫 らんために、罪人 らの 斯 く 己 に 逆 ひしことを 忍 び 給 へる 者 をおもへ。
4 汝 らは 罪 と 鬪 ひて 未 だ 血 を 流 すまで 抵抗 しことなし。
5 また 子 に 告 ぐるごとく 汝 らに 告 げ 給 ひし 勸言 を 忘 れたり。曰 く『わが 子 よ、主 の 懲戒 を 輕 んずるなかれ、主 に 戒 めらるるとき 倦 むなかれ。
6 そは 主、その 愛 する 者 を 懲 しめ、凡 てその 受 け 給 ふ 子 を 鞭 うち 給 へばなり』と。
7 汝 らの 忍 ぶは 懲戒 の 爲 なり、神 は 汝 らを 子 のごとく 待 ひたまふ、誰 か 父 の 懲 しめぬ 子 あらんや。
8 凡 ての 人 の 受 くる 懲戒、もし 汝 らに 無 くば、それは 私生兒 にして 眞 の 子 にあらず、
9 また 我 らの 肉體 の 父 は、我 らを 懲 しめし 者 なるに 尚 これを 敬 へり、況 して 靈魂 の 父 に 服 ひて 生 くることを 爲 ざらんや。
10 そは 肉體 の 父 は 暫 くの 間 その 心 のままに 懲 しむることを 爲 しが、靈魂 の 父 は 我 らを 益 するために、その 聖潔 に 與 らせんとて 懲 しめ 給 へばなり。
11 凡 ての 懲戒、今 は 喜 ばしと 見 えず、反 つて 悲 しと 見 ゆ、されど 後 これに 由 りて 練習 する 者 に、義 の 平安 なる 果 を 結 ばしむ。
12 されば 衰 へたる 手、弱 りたる 膝 を 強 くし、
13 足蹇 へたる 者 の 履 み 外 すことなく、反 つて 醫 されんために 汝 らの 足 に 直 なる 途 を 備 へよ。
14 力 めて 凡 ての 人 と 和 ぎ、自 ら 潔 からんことを 求 めよ。もし 潔 からずば、主 を 見 ること 能 はず。
15 なんじら 愼 め、恐 らくは 神 の 恩惠 に 至 らぬ 者 あらん。恐 らくは 苦 き 根 はえいでて 汝 らを 惱 し、多 くの 人 これに 由 りて 汚 されん。
16 恐 らくは 淫行 のもの、或 は 一飯 のために 長子 の 特權 を 賣 りしエサウの 如 き 妄 なるもの 起 らん。
17 汝 らの 知 るごとく、彼 はそののち 祝福 を 受 けんと 欲 したれども 棄 てられ、涙 を 流 して 之 を 求 めたれど 囘復 の 機 を 得 ざりき。
18 汝 らの 近 づきたるは、火 の 燃 ゆる 觸 り 得 べき 山・黒 雲・黒闇・嵐、
19 ラッパの 音、言 の 聲 にあらず、この 聲 を 聞 きし 者 は 此 の 上 に 言 の 加 へられざらんことを 願 へり。
20 これ『獸 すら 山 に 觸 れなば、石 にて 撃 るべし』と 命 ぜられしを、彼 らは 忍 ぶこと 能 はざりし 故 なり。
21 その 現 れしところ 極 めて 怖 しかりしかば、モーセは『われ 甚 く 怖 れ 戰 けり』と 云 へり。
22 されど 汝 らの 近 づきたるはシオンの 山、活 ける 神 の 都 なる 天 のエルサレム、千萬 の 御使 の 集會、
23 天 に 録 されたる 長子 どもの 教會、萬民 の 審判 主 なる 神、全 うせられたる 義人 の 靈魂、
24 新約 の 仲保 なるイエス 及 びアベルの 血 に 勝 りて 物 言 ふ 灑 の 血 なり、
25 なんじら 心 して 語 りたまふ 者 を 拒 むな、もし 地 にて 示 し 給 ひし 時 これを 拒 みし 者 ども 遁 るる 事 なかりしならば、況 して 天 より 示 し 給 ふとき、我 ら 之 を 退 けて 遁 るることを 得 んや。
26 その 時、その 聲、地 を 震 へり、されど 今 は 誓 ひて 言 ひたまふ『我 なほ 一 たび 地 のみならず、天 をも 震 はん』と。
27 此 の『なほ 一度』とは 震 はれぬ 物 の 存 らんために、震 はるる 物 すなはち 造 られたる 物 の 取 り 除 かるることを 表 すなり。
28 この 故 に 我 らは 震 はれぬ 國 を 受 けたれば、感謝 して 恭敬 と 畏懼 とをもて 御心 にかなふ 奉仕 を 神 になすべし。
29 我 らの 神 は 燒 き 盡 す 火 なればなり。
Chapter 13
1 兄弟 の 愛 を 常 に 保 つべし。
2 旅人 の 接待 を 忘 るな、或 人 これに 由 り、知 らずして 御使 を 舍 したり。
3 己 も 共 に 繋 がるるごとく 囚人 を 思 へ、また 己 も 肉體 に 在 れば、苦 しむ 者 を 思 へ。
4 凡 ての 人、婚姻 のことを 貴 べ、また 寢床 を 汚 すな。神 は 淫行 のもの、姦淫 の 者 を 審 き 給 ふべければなり。
5 金 を 愛 することなく、有 てるものを 以 て 足 れりとせよ。主 みづから『われ 更 に 汝 を 去 らず、汝 を 捨 てじ』と 言 ひ 給 ひたればなり。
6 然 れば 我 ら 心 を 強 くして 斯 く 言 はん『主 わが 助主 なり、我 おそれじ。人 われに 何 をなさん』と。
7 神 の 言 を 汝 らに 語 りて 汝 らを 導 きし 者 どもを 思 へ、その 行状 の 終 を 見 てその 信仰 に 效 へ。
8 イエス・キリストは 昨日 も 今日 も 永遠 までも 變 り 給 ふことなし。
9 各樣 の 異 なる 教 のために 惑 さるな。飮食 によらず、恩惠 によりて 心 を 堅 うするは 善 し、飮食 によりて 歩 みたる 者 は 益 を 得 ざりき。
10 我 らに 祭壇 あり、幕屋 に 事 ふる 者 は 之 より 食 する 權 を 有 たず。
11 大 祭司、罪 のために 活物 の 血 を 携 へて 至 聖所 に 入 り、その 活物 の 體 は 陣營 の 外 にて 燒 かるるなり。
12 この 故 にイエスも 己 が 血 をもて 民 を 潔 めんが 爲 に、門 の 外 にて 苦難 を 受 け 給 へり。
13 されば 我 らは 彼 の 恥 を 負 ひ、陣營 より 出 でてその 御許 に 往 くべし。
14 われら 此處 には 永遠 の 都 なくして、ただ 來 らんとする 者 を 求 むればなり。
15 此 の 故 に 我 らイエスによりて 常 に 讃美 の 供物 を 神 に 献 ぐべし、乃 ちその 御名 を 頌 むる 口唇 の 果 なり。
16 かつ 仁慈 と 施濟 とを 忘 るな、神 は 斯 くのごとき 供物 を 喜 びたまふ。
17 汝 らを 導 く 者 に 順 ひ 之 に 服 せよ。彼 らは 己 が 事 を 神 に 陳 ぶべき 者 なれば、汝 らの 靈魂 のために 目 を 覺 しをるなり。彼 らを 歎 かせず、喜 びて 斯 く 爲 さしめよ、然 らずば 汝 らに 益 なかるべし。
18 我 らの 爲 に 祈 れ、我 らは 善 き 良心 ありて 凡 てのこと 正 しく 行 はんと 欲 するを 信 ずるなり。
19 われ 速 かに 汝 らに 歸 ることを 得 んために、汝 らの 祈 らんことを 殊 に 求 む。
20 願 はくは 永遠 の 契約 の 血 によりて、羊 の 大牧者 となれる 我 らの 主 イエスを、死人 の 中 より 引上 げ 給 ひし 平和 の 神、
21 その 悦 びたまふ 所 を、イエス・キリストに 由 りて 我 らの 衷 に 行 ひ、御意 を 行 はしめん 爲 に 凡 ての 善 き 事 につきて、汝 らを 全 うし 給 はんことを。世々 限 りなく 榮光、かれに 在 れ、アァメン。
22 兄弟 よ、請 ふ 我 が 勸 の 言 を 容 れよ、我 なんじらに 手短 く 書 き 贈 りたるなり。
23 なんじら 知 れ、我 らの 兄弟 テモテは 釋 されたり。彼 もし 速 かに 來 らば、我 かれと 偕 に 汝 らを 見 ん。
24 汝 らの 凡 ての 導 く 者、および 凡 ての 聖徒 に 安否 を 問 へ。イタリヤの 人々、なんぢらに 安否 を 問 ふ。
25 願 はくは 恩惠 なんぢら 衆 と 偕 に 在 らんことを。